モンスターハンター ~流星の騎士~   作: 白雪

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EPISODE57 ~蒼の衝撃~

 ブリザードカノンの銃口から放たれたLv2通常弾が着弾したのを合図に、ヴァイスがジンオウガに斬り込んだ。一歩遅れ、クレアとグレンもジンオウガの側面に回り込んだ。

 しかし、側面に回り込んだ二人が攻撃をしかける寸前ジンオウガは後退した。そして、ソラの真正面に背を向ける形でジンオウガは唸りを上げた。

「ガアアアアァァァァァァァァッ……!」

 静かな闘争心をその瞳に宿し、ジンオウガはヴァイスたちを威嚇してきた。それはまるで、その程度では自分を仕留めることは不可能だ、と見下しているようでもあった。

 だが、ヴァイスもその挑発には乗じない。ソラが後退したのを確認すると、大胆にも正面からジンオウガに向かっていく。ジンオウガの繰り出す攻撃を掻い潜り、一瞬で背後に回り込む。そしで氷刀【雪月花】を抜刀し尻尾に向かって斬撃を放つ。

 大胆な動きを見せたヴァイスに驚かされたものの、クレアとグレンの二人も再度ジンオウガに接近を試みる。互いに逆方向から接近し、同じタイミングでもって各々の武器を振り下ろした。

「てりゃあっ!」

「はあぁっ!」

 クレアは右後脚に向かってアイシクルスパイクを振るい、グレンは左前脚に向かってセロヴィウノを叩きつけた。

 纏わりつく三人のハンターを蹴散らそうとジンオウガは一歩を踏み出した。だが直後、ジンオウガはその三人からあっさりと興味を失うことになる。

 ジンオウガが動きを見せようとした直後、頭部に三発の弾丸が立て続けに撃ち込まれた。それはジンオウガが嫌う氷属性を帯びている弾丸であった。ジンオウガは弾丸が飛来してきた方向を睨み付ける。

 そこには一旦後退して体勢を立て直したソラの姿があった。ソラはLv2通常弾から氷結弾へと弾丸を変更したのだ。氷結弾の速射が可能なブリザードカノンの本領をここで発揮するつもりなのだ。

 ソラは構わず引き金を引いた。放たれた三発の氷結弾全てが、その存在を誇示する角に命中した。

「グルルルル……」

 煩わしげにジンオウガが首を振る。そしてジンオウガはソラ目掛けて、緩慢な動きでもって突進を開始した。射撃を的確に命中させるソラの存在を厄介だと感じたのだろう、徐々にその速度を速めていく。

 ブリザードカノンを肩に背負い、ソラは緊急回避を行い突進を回避する。

 だが、ジンオウガも執拗にソラを追う。突進が回避されてもお構いなしに身体の向きを変え、背中から二発の雷撃を放った。緩やかな弧を描きながら、うち一発の雷撃はソラ目掛けて飛来する。

「っ……!?」

 体勢を整えられていないソラには雷撃の進路を見極める余裕が無かった。

 このままでは、回避は間に合わない。体勢を立て直すよりも先に雷撃がソラの身体を吹き飛ばすだろう。

 そうして衝撃を覚悟しようとしたソラの目の前に何かが割り込んだ。刹那、鋭い金属音が響いたのと同時、無理やり進路を変えられたのであろう雷撃がソラの目に入った。雷撃は岩壁に着弾し、光屑を撒き散らしながら呆気なく弾け飛んだ。

「ソラさん、大丈夫!?」

 突然の出来事にソラの頭は理解が追い付かなかった。目の前に割り込んだクレアが声を掛けてきたとき、初めてその状況を理解した。

 クレアは雷撃の進路上に自ら割り込み、雷撃を盾で防ぐことによってその進路を捻じ曲げたのだ。かなりの荒技ではあるものの、直感の冴えるクレアでこそ成せる技だった。

「はい、わたしは大丈夫です」

「そう、なら良かったよ」

 クレアも何事もなかったような振る舞いでソラ答えた。

 雷撃を外したジンオウガは、ソラから興味が失せたようだ。纏わりつくヴァイスとグレンを標的に定める。

「クレアさん。その、えっと……、ありがとうございます」

 こういう時、クレアにどのような言葉をかけるべきかソラには曖昧だった。辛うじて口にできたのは、クレアに対するお礼の言葉だった。

「大丈夫だって。仲間だから当然だよ!」

「仲間、だから……」

 ソラはその言葉の重みを噛み締める。

 クレアは何も言わずにジンオウガに向かっていく。その姿を見たソラもブリザードカノンを構え直し、射撃を再開する。

 ソラの援護を受け、クレアがジンオウガの背後から斬り込む。尻尾に向かってアイシクルスパイクを抜き放ち斬撃を放つ。無論、尻尾の先端部に斬撃が命中してしまえばアイシクルスパイクの刃は弾かれてしまうため、クレアは尻尾の付け根辺りを集中して狙った。

 一方、ヴァイスは先ほどから時折、大胆な動きを見せるようになった。リスクを冒しジンオウガの懐に飛び込み、狙いづらい二対の角に向かって氷刀【雪月花】の軌跡を走らせた。

「ゴアアアァァァァァァァァァァッ!」

 ジンオウガもやはり、大胆な動きを見せるヴァイスに気を取られる。右前脚を持ち上げ振り下ろし、すぐさま逆脚で同じように地面を叩きつける。

 ヴァイスもその攻撃を掻い潜るが、深追いしている分だけその動作にはあまり余裕が感じられなかった。いや、むしろその立ち回りは、他の人から見れば危険にも思えたのだ。

 だが、ヴァイスは気にしない。なぜならば、彼は冷静だったからだ。ジンオウガがどのように動き、その動きに対しどのように対処するか。そのことを意識しつつヴァイスは立ち回っている。

 実際、この時のヴァイスは自分自身を試していた。ジンオウガの動きに対し、自分がどれほど対処仕切れるのか。その余裕を見極めるためにヴァイスは敢えてリスクを冒すような立ち回りをしているのだ。

「はっ……」

 斬り下がって一旦間合いを取ると、ヴァイスは短く息を吐き出した。

 正直なところ、楽な状況とは言えない。いや、大型モンスターを相手取る際に楽な場合など存在しないことはヴァイスも承知している。だが、ジンオウガの場合には、更に過酷な状況に追い込まれているのだ。

 前回の経験もあり、ヴァイスはジンオウガの動きに慣れてきた。だが、ヴァイスだけがジンオウガの動きに慣れても意味は無い。同行する仲間に的確な指示を出さなければならないのだ。

 おそらく、ヴァイスがクレアたちに的確な指示を出すことはできるはずだ。彼女たちもヴァイスの指示に沿って動けるだろう。

 しかし、この状況が長引けばそうはいかなくなる。まだクレアたちは超帯電状態となったジンオウガの動きに付いていけない。ジンオウガが超帯電状態に移行すれば、こちらの消耗は著しく加速するだろう。そうなる前にジンオウガを討つという手もないわけではない。

 だが、それでは駄目なのだ。

 ヴァイスは単独であっても、ジンオウガを討伐できるほどの技量と知識を持ち合わせているのは事実だ。だが、それに縋ってジンオウガを討伐しては、ヴァイスがクレアたちと共に狩猟する意味が無くなってしまう。

 強くなりたい。その想いはクレアもグレンも、そしてソラも抱いている。ならば、その想いを抱く三人にとって、このジンオウガという存在は非常に大きな壁なのだ。そして、その壁を越えた先に見えてくるものが必ずあるはずなのだ。

 だから、ヴァイスはその()()()をする。三人が目の前に立ち塞がる大きな壁を越えるためにヴァイスは彼らに手を貸している。

 無論、現在の状況下で、このような悠長なことを言っていられる場合ではないことをヴァイスは理解している。だからこそ、ヴァイスは「最後の手段」を行うことも視野に入れていた。ヴァイスがリスク冒すことのもう一つの意味は、仮に「最後の手段」を行うことになった場合のためでもあった。

「……よし」

 ヴァイスは氷刀【雪月花】を握り直しジンオウガに向き直る。攻撃の際に生じた一瞬の隙を突き、ヴァイスはジンオウガの死角に入り込んだ。そして、上段から氷刀【雪月花】を振り下ろす。

 斬りつけ、突き、斬り上げ、移動斬りで立ち位置を変える。それと同時にグレンが一旦後退したのがヴァイスの目に入った。ヴァイスは追撃を行うことを諦めグレンの元へと向かった。

 肩を上下させ、やや呼吸が荒れているものの、グレンはジンオウガに食い下がっている様子だった。少憩を入れるグレンの元にヴァイスがやって来る。

「辛そうだが、大丈夫か?」

「ええ、これくらい、どうってことないですよ」

 そう言ってグレンは不敵に笑って見せる。

 見たところ、グレンは無理をしている様子はない。だが、念には念を入れてグレンに忠告をする。

「だが、無茶は禁物だ。しばらくはグレンも様子見のような形で立ち回ってくれ」

「分かりました」

 会話を終え、ヴァイスは再びジンオウガの元へと走っていく。呼吸を整えたグレンもヴァイスの後に続く。

 ヴァイスはジンオウガの後方から接近を試みていた。だが、ジンオウガも目敏い。ヴァイスの気配を感じ取るとすぐさま向き直り、そして前脚を振り下ろした。

 その攻撃を見定め、ヴァイスは回避行動を取る。同時に、その動きはグレンへの援護でもあった。背中を向けたジンオウガの元にグレンが駆けつける。深入りはせずに、尻尾に向かってセロヴィウノを叩きつけた。

「ウオオオォォォォォォ……」

 ジンオウガは一旦後退し、煩わしそうにヴァイスを睨み付けた。

 やはりジンオウガも、向かってくる四人の中でヴァイスが最も厄介な存在だと認識しているのだ。ヴァイスの相手の気を器用に惹き付ける立ち回りは、ジンオウガにとっても厄介極まりないだろう。

 だが、ヴァイスも逡巡と立ち回っていられるわけではない。自ら行動に迷いが現れれば、ジンオウガはその一瞬の隙に確実に付け入れてくる。気が抜けないのは両者も同じに違いないのだ。

「っ……!」

 ヴァイスが先に動く。開いてしまった距離を一気に縮めようとする。ヴァイスの動きに乗じて、別方向からクレアとグレンも距離を縮める。

「ウオオオオオオォォォォォォォッ!」

 ヴァイスの他にも接近してくる者の気配を感じ取ったジンオウガが周囲を薙ぎ払う。異変に気付いた三人は動きを止め、薙ぎ払いの範囲外でその攻撃を見送った。

 宙に身を躍らせたジンオウガが地面に着地したと同時、三人は各々の武器を抜き放ち、攻撃を繰り出した。

 その動きは、ガンナー視点から見ていたソラには無駄の無いように見える。ソラは前衛の三人とジンオウガの様子に気を配りつつも、着実に自分の仕事をこなしていた。そしてソラの放った氷結弾によって、ジンオウガが一瞬怯んだようにその身を仰け反らせたのだ。

「ガアアアアアァァァァァァァァァァァッ!?」

 今まで薄れていた現実味が、ここに来てようやく感じられるようになってきた。少しずつではあるものの、確実にジンオウガを追い詰めているという実感がようやく掴めたのだ。

「よし!」

 グレンが手応えを感じたように頷く。

 初めて見せたジンオウガの弱みに、クレアたちの士気も上昇していく。

 ヴァイスが最初に飛び込み、クレアとグレンが後に続く。ヴァイスは尻尾の付け根に狙いを定め斬撃を放つ。クレアとグレンは用心深く後脚を狙った。遠距離からはソラの射撃が行われる。

「ガアァァァァァ、ガアアァァァァァッ!」

 ジンオウガも押されるのではなく、更に興奮してきたのか咆哮する。

 身を翻した後、三人まとめて吹っ飛ばそうとボディプレスを繰り出してくる。位置的にクレアとグレンが巻き込まれそうな状態であったが、クレアは衝撃で生じた風圧を盾でガードし、グレンも辛うじて風圧の影響が及ぶ範囲外に免れた。

 前転回避で距離を取ったヴァイスにジンオウガが追い打ちを仕掛ける。瞬時にヴァイスを正面に捉え頭突きを行った。

 ヴァイスも素早く周囲の状況を把握した。既に体勢を立て直したクレアとグレンがジンオウガに肉薄しているのがヴァイスの視界に入ったのだ。ヴァイスは再度ジンオウガを惹き付けるような動きで距離を取る。そして、飛び掛かってきたジンオウガを回避し、その隙を突いて前脚に氷刀【雪月花】を振り下ろした。

 手に伝わってくる感触は薄い。だが、ヴァイスは氷刀【雪月花】を振るう手を休めようとはしない。

 後方からはクレアとグレンが攻撃を行い、ソラの射撃も的確にジンオウガの角に命中していた。

 そんな中、ジンオウガは唸るように咆哮し三人から距離を取るように身を翻した。そして、ヴァイスたちに背を向け走りだす。

「もうエリア移動するつもりなのか?」

 グレンが予想していなかったとばかりに口を開く。

 だが、ヴァイスはグレンの言葉をすぐさま否定した。

「いや違う。あれは……!」

 ヴァイスが全てを言い切る前にジンオウガが動きを見せた。

 エリアを移動するかと思われたジンオウガは突然その動きを止め、代わりに天を仰いだ。その動きが意味するものは一つであった。

 異変に気付いたヴァイスが瞬時に反応し、ジンオウガの後を追った。他の面々も後に続く。だが、既に距離が広がりすぎていた。背を向けているジンオウガに閃光玉は通用しない。今回ばかりは成す術が無かった。

「くそっ!」

 グレンが舌打ちした直後、鼓膜を突き抜けるかのような咆哮が渓流に轟いた。そして、その姿を目の当たりにしたグレンの表情が焦りから驚愕のそれへと変化する。

「超帯電状態……」

 あの時。最初にジンオウガに挑んだ時。

 全く歯が立たなかった奴が。

 今、目の前にその姿を再び現した。

 蒼雷をその身に纏ったジンオウガがこちらを蔑視するように睥睨する。

 その姿に誰もが背筋をぞっとさせた。それほどジンオウガの印象は、威圧感は凄まじいものだったのだ。

 だが、ヴァイスは。ヴァイスだけは氷刀【雪月花】を抜刀したまま、ジンオウガの姿を冷静に窺っていた。そして、ヴァイスは振り返ることなく口を開いた。

「……立ち止っているだけならば、何も変わりはしないさ」

 そう言って、ヴァイスは単身ジンオウガへと向かっていく。

 すぐさま冷静さを取り戻したクレアがグレンとソラに声を掛ける。

「グレンさん! ソラさん!」

「ああ、分かってるよ」

「任せてくださいです」

 ヴァイスの後を追ってクレアとグレンも超帯電状態となったジンオウガに接近を試みた。

 ソラは弾丸を氷結弾から、残り僅かとなったLv2通常弾へと再び変更した。スコープを覗き込んで微調整をし、引き金を引く。弾丸はヴァイスが斬りかかったと同時にジンオウガの胸部に命中した。

 ヴァイスは前脚に斬り込む。だが、すぐにジンオウガとの距離を取り様子を窺う。

 ジンオウガはヴァイスではなく、接近してくるクレアとグレンに狙いを定めた。背中が青く発光したかと思うと、計四発の雷撃がそこから放たれた。

 一発や二発ならまだしも、四発の雷撃の進路を瞬時に見極めることは困難であった。グレンは横っ飛びで何とか回避し、クレアは盾で二発の雷撃を防いだ。

 しかし、ジンオウガの動きは止まらない。まだ体勢を立て直していないグレンに急接近し、そこからサマーソルトを繰り出す。雷を帯びた鞭のように薙ぎ払われた尻尾にグレンが餌食となる。

「ぐはっ!?」

 受け身を取る余裕もなく、背中から地面に叩きつけられる。他の面々がジンオウガの気を惹き付けることに成功し、グレンが追撃を喰らうことはなかった。

 しかし、身体を起こしたグレンはすぐに身体の異変に気付く。

「うっ……、身体が痺れる……」

 これが雷属性やられだと理解した時には、既に口にウチケシの実を口に運んでいた。加えて応急薬も使用しようとするが、ジンオウガがこちらに向かって突進してくるのを確認したため、グレンはその場所を離れた。

 セロヴィウノで奏でられる雷属性強化【小】は、重ねがけすることで雷属性を無効化できる。事前にそれは奏でておいたはずだが、タイミングが悪い時にその効力が切れてしまったらしい。

 自分のミスを心の中で反省しつつも、グレンは体力を回復した後、セロヴィウノを構えて演奏体勢に入る。

 一方、ヴァイスとクレアはジンオウガの後を追う。しかし、ジンオウガはすぐさま身を翻し前脚でクレアを殴り飛ばそうとする。回避が間に合わないと判断したクレアは右手に装備した盾でもって、その打撃を防ごうとした。

 続けざまに三度ジンオウガが前脚を振り下ろす。地面を抉ると同時に雷が迸り、それを盾で防ぐクレアのスタミナを根こそぎ奪っていく。クレアは何とか凌ぎ切ったものの、続けて繰り出されたショルダータックルを防ぎきることができず吹っ飛ばされてしまう。

「くぅっ……」

 クレアは受け身をとることに成功し、何とか衝撃を和らげる。

 ジンオウガに目を向ければ、既にヴァイスと回復を終えたグレン、ソラが援護をしてくれている。クレアは応急薬を一本飲み干し体力を回復した。体勢を整えたクレアは再びジンオウガに向かっていく。

 そのクレアの姿がソラの目に入った。ソラは狙いを胸部から頭部に変更した。より激しくなった動きの中、頭部に射撃を集中させることは難しい。何発かは命中しんかったり、角度が悪く弾き返されたりしたものの、ジンオウガの注意をこちらに向かせるには十分であった。

 狙い通り、ジンオウガは肉薄してくる剣士の面々ではなくソラに関心を移した。その場所から勢いよくソラ目掛けて飛び掛かる。だが、ソラも今回は冷静に対処し無事に回避に成功する。

 ジンオウガの背後から接近したヴァイスが尻尾に向かって斬撃を放つ。今回は深入りせず、注意深くジンオウガの様子を窺いながら氷刀【雪月花】を振るった。

 ジンオウガもヴァイスが背後に回ったことは察していた。反転して空中から尻尾を振り下ろし、ヴァイスを叩き潰そうとする。ヴァイスは寸前に移動斬りを繰り出し立ち位置を変えていたため回避できた。近くにいたクレアやグレンも巻き込まれずには済んだようだった。

 しかし、立て続けに繰り出した薙ぎ払いに対応できなかったグレンは吹っ飛ばされる。クレアも回避は間に合わず、間一髪ガードしたという状態だった。

「一旦体勢を立て直すべきか」

 ヴァイスは氷刀【雪月花】を振るう手を休めそう判断した。そして、氷刀【雪月花】を鞘に納め閃光玉を投擲する。閃光玉が無事に仕事を果たしたことを確認すると、ヴァイスは三人に声を掛けた。

「一旦体勢を立て直す。エリア1に向かうぞ」

 その言葉に渋々ながらも三人は頷いた。

 ソラは最後に、弾丸をペイント弾に変更した。ブリザードカノンの銃口から放たれたペイント弾は無事にジンオウガに命中した。

 ペイントの臭気が徐々に強まっていく中、ソラとジンオウガの様子を窺っていたヴァイスは先に移動したクレアとグレンを追ってエリア1へと急いだ。


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