モンスターハンター ~流星の騎士~   作: 白雪

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第三章 蒼穹に舞う天使
EPISODE41 ~予兆~


 ――どこまえも高く、澄み切った青い空。その中に白い雲が美しい模様を描き蒼穹に溶け込んでいる。

 何故、空はあれほどまで神秘的であり、そして幻想的なのだろう。上空に広がるこの蒼穹を見上げればいつもそう考えるようになった。そう、いつだってその思案に浸っている。

 そして、少女はいつものように空を見上げる。

 その瞬間、一羽の白い鳥が、少女の視界を横切った。“彼”がこの大空に舞う姿を少女は目線で追い続けた。いずれ、その純白の羽を一枚残し彼方へと姿を消したその時まで――。

 自由の象徴と呼ばれる鳥。人はどうして、彼らを自由の象徴と呼ぶようになったのか。本当に、鳥は自由なのだろうか。少女の見うる限りでは、あの鳥は何者にも縛られることなく本当に自由に見える。

 自分も鳥のようにあの自由な空に“もう一度”飛び立ちたい。少女はそう思う。例えそれが叶わぬ夢物語だとしても、やはりあの鳥のように自由に飛びたい。いつからかそう決心していた。

 ――そして、少女は歩き出す。

 自らが決めた道。自分が追い求めるその答えを知った人物の元へ……。

 

 

 

 ユクモ村に、もうすぐ春が訪れる。

 この地域一帯のユクモ地方は四季の変化がはっきりしており、四季折々の絶景を楽しむことが出来る。村を吹き抜ける風も幾分温かなものとなり春の訪れを感じさせていた。

 燦燦と輝く太陽は実に心地よく、昼下がりの午後にはウトウトと眠気を誘う。

 集会浴場に戻ってきたグレンもその眠気につられ大きな欠伸をする。狩猟から戻ってきただけあって身体も疲れきってしまっている。致し方ないだろう。

「ふぁ~……。気持ちいい天気だなー……」

 などと珍しく能天気なことを言うグレンの顔は実に眠たそうな表情である。

 仕方ないな、と言わんばかりにヴァイスがため息を漏らし、そのままカウンターへと向かっていく。しばらくして戻ってきたヴァイスの手には二人分の報酬金と素材がぶら下げられていた。

「ほら、グレンの分だ」

「あっ、わざわざありがとうございます」

「これくらい構わないさ」

 相変わらず眠たそうに目蓋を擦るグレンに報酬金と素材を何とか手渡す。

「しばらくは休息が必要か……」

 疲労しているグレンの様子を見ながらヴァイスは呟いた。

 ヴァイスはギルドナイトに所属するハンターだ。ギルドナイトは選ばれたハンター達の集い。その中で、ヴァイスは《クラス. 1st》と呼ばれるランクに属する。彼が全身に纏うギルドガード(あお)シリーズがそれを裏付けている。無論、それ相応の武器も携えている。

 ヴァイスの身長を遥かに凌ぐ細身のフォルムが印象的だ。ドンドルマ地方では金獅子と畏れられるラージャン、古龍に分類される美しくも逞しいキリンと呼ばれるモンスターの素材が使用されている。どちらも雷属性を司り、この太刀もまた高い雷属性を宿していた。銘を鬼哭斬破刀(きこくざんばとう)真打(しんうち)という。

「取り敢えず、しばらくは休息を入れるか」

「そうしてくれると嬉しいですね」

 ヴァイスの提案にグレンも素直に承諾した。

 グレンと初めて出会ったのは、もう三ヶ月ほど前の話になる。その頃は色々と抱え込み自分を見失っていたグレンだが、最近では見事な活躍を何度も見せていた。

 グレンの防具は全身を暗い色で統一している。鎖骨の辺りから迫り出している爪が何とも言いがたい不気味な雰囲気を生み出してる。アームやグリーヴもモンスターの素材の他、竜骨やライトクリスタルで補強を施してある。ネブラシリーズと呼ばれるこの防具は、グレンがヴァイスと初めてパーティーを組んで討伐したギギネブラの素材を主として作られている。

 背中に背負っている重量感ある狩猟笛は一見してバグパイプのように見える。だが、これも列記とした武器だ。狩猟笛と呼ぶにはまさに相応しい見た目で、なかなかの破壊力を誇る。へビィバグパイプと呼ばれる狩猟笛だ。

「それなら、クレアにもそのことを伝えないと。俺が行きましょうか?」

 しばらくヴァイスは考えるような素振りを見せた。その後、首を横へと振った。何故なら、その手間は省けたからである。

 集会浴場の入り口から一人のハンターがやってきた。そのハンターはヴァイスたちを見つけるとこちらへ駆け寄ってきた。そして、そのハンターの顔が明らかになる。

「師匠、グレンさん。お疲れ様でした」

「なんだ、わざわざ出迎えてくれたのか」

「いやー、今回の狩猟に同行しなかったのは私のわがままなのでこれくらいはしておかないと、と思いまして」

「ありがとな、クレア」

「そんな、お礼なんていいですよ」

 照れているのか、やや頬を赤らめながらクレアが笑みを浮かべた。

 彼女はクレア。ヴァイスの弟子にあたる。弟子になった経緯は複雑だったが、現段階でヴァイスはクレアを一人前に成長させてやろうと決心している。そしてクレアもまた、ボルボロスの狩猟の際に比べ腕を上げてきている。

 腰に下げている剣はレイピアのように細身の刀身を持つ。その刀身の一部が血のような赤を帯びており、斬りつけた相手にこの剣が宿す毒属性が牙を剥く。グレンのネブラシリーズと同じくギギネブラの素材から作られており、シャドウサーベル改と呼ばれる片手剣である。

 防具も以前のウルクシリーズから変更していた。動きやすさを重視して作られた防具のためかそれほどの重装備ではない。だが、打たれ弱い部分は甲殻で覆われているため十分な防御力を誇る。凍土に住まうモンスター、ベリオロスの素材を使ったベリオシリーズをクレアは纏っている。

「俺たちの留守の間に何かかわったことはなかったか」

「いえ、特に何も」

「そうか」

 今回の狩猟、クレアは同行しなかった。現在、この村にはヴァイスたちの他にもハンターは多くいるため狩猟に出ている間クレアが留守をしなければならないという必要はない。それに、クレアはどちらかというとついて行きたかったという顔をしている。

「あっ、そういえば妙な噂が最近流れていますね」

「妙な噂?」

 グレンが顔をしかめる。それもそのはずで、二人が狩猟に出る前まではそんな話など聞いた覚えがなかったからだ。

「何でも、ユクモ村の近辺で妙に雷光虫が活発になっているらしいんです」

 雷光虫とは、普段の生活の中でも広く利用されている昆虫の一種だ。衝撃を与えると防衛本能のためか放電を行い攻撃を仕掛けてくることもある。

 しかし、雷光虫はユクモ村近辺でなくても孤島や凍土にも出現している。ヴァイスたちが狩猟に赴いた水没林でも雷光虫は出現したが普段どおりの動きを見せているだけだった。

「俺たちも向こうで雷光虫には遭遇したけど、別に活発っていう感じはなかった気がするけどなぁ」

「うーん、どうもその話も曖昧なんですよね。他のハンターも別にそんなことはなかったって言ってますし」

「その話の根源がハンターではなく、商人や旅人だったら話は別かもしれないな」

 雷光虫を見慣れたハンター達ならまだしも、商人などはそういった勘違いをすることが少なからずある。それだけの要素では、どうも話の信憑性は高いとはいえない。

「それだけなら確かに師匠のような考え方もできると思います。でも、まだ他にも噂はあるんです」

「そうなのか?」

 てっきり、噂話が一つや二つだと思っていた二人は多少驚いたような面持ちでクレアの話を聞いた。

「これもユクモ村近辺らしいんですけど、最近狼のような竜のような、とにかく異様な雰囲気を発しているモンスターの影を見たという人が後を立たないんです」

「それも商人たちが?」

「いえ、私もそこまではよくわかりません」

 それがハンターたちが見た、ということならまた話は変わってくる。だが、現段階ではそれがわかっていない。どうにも信憑性に欠ける話だ。

「その話、一体いつ頃から流れ始めているんだ?」

「師匠たちが村を出発してから二、三日後からでした」

「なるほど。道理で俺たちが知る余地がないわけだ」

 これにはただ間が悪かった、としか言いようがない。

 しかし、それだけの目撃情報や異常現象を見たという人が多いのならこの話はかなり重要性が高まってくる。こういった場合、率先してギルドナイトが動くことになっていることは言うまでもない。

「少し爺さんの所へ行ってくる。二人は先に戻っていてくれ」

「あ、はい」

 爺さん――ギルドマネージャーなら何か知っているだろうと踏んだヴァイスは、相変わらず飽きもせず酒を飲んでいた小柄な人物の元へと急いだ。

 

 

 

 先ほどまで眠気に襲われていたグレンであったが、クレアの話のおかげで嘘のように眠気が消えてしまった。ある意味残念ではあったが、今はそれよりも重要なことが眼前に迫っていた。

 一旦家へと戻ったその足で、グレンは詳しい事情を聞くべくクレアの元を訪れていた。だが、これ以上の収穫は今はなかった。

「雷光虫……? 一体何と関連しているんだ?」

 最近ヴァイスから借りていた資料を読み漁っているが何も手がかりは見つからない。それどころか、調べれば調べるほど謎が深まるばかりである。

 ページをめくっていくとシビレ罠と書かれた欄が目に入りその手が止まる。

「シビレ罠……。そうか、雷光虫だから雷に関連しているのかもしれないけど……」

 推測を立てては誤っているのではないかと考え込んでいるのが続いてしまっている。髪を乱暴にムシャムシャと掻き毟る。

「グレンさん、一回休んだらどうですか? 狩猟を終えてすぐなんですし疲れも溜まっていることですから」

 クレアが淹れてくれたお茶を受け取りながら、それもそうだなと思う。

「うん、そうだよな。ありがとう」

「どういたしまして」

 絶妙な苦味がグレンのムシャクシャした気持ちを洗い流してくれるようだった。気分が落ち着き頭の中も整理しようかと考える。

 すると、玄関の方からドアをノックする音が聞こえていた。

「はーい、今行きます」

 クレアが応答にあたるために玄関へと急ぐ。

 ドアを開けるとそこには知った顔が目の前に立っていた。

「あ、師匠。お疲れ様でした。グレンさんも中にいますよ」

「そうか。家にいなかったからここだと思ったけど、予想通りだったな」

 家へと上がり資料を読み漁っているグレンが目に入ると、ヴァイスは思わず苦笑いしてしまった。

 相変わらず勤勉な性格だなと関心する一方、少しは休んだらどうだと呆れる感情が浮かんでくる。

「ところで、何か分かったことはありますか」

 グレンが期待するようにヴァイスに問いかけてくる。だが、ヴァイスは首を横に振る。

「あまり詳しいことはわかっていない。ギルド側も、既に調査に乗り出しているようだ。俺たちが動くかどうかはその後だな」

「そうですか……」

 グレンは安堵しているのか、気落ちしているのか複雑な様子だった。

 だが、それだけ彼が未知の何かに傾ける情熱は確かに伝わってきた。

「しばらくは休息を入れよう。クレアも精神的には疲労しているだろ?」

「すいません。私が不甲斐ないばかりに……」

「今は別に構わないさ」

 今回、クレアがヴァイスたちに同行しなかったのは、標的のモンスターにその原因があった。水没林でのリオレイアの狩猟。それが今回の依頼内容であった。このリオレイアがその原因だ。

 クレアは数年前、旅の途中で両親と逸れリオレウスに襲われた。その時に死というものが目前に迫っていたクレアにすれば、リオレウスがトラウマの対象になってしまうのは致し方ないことかもしれない。そんなことならハンターを辞めればいい、というのが早い話だ。だが、クレアにはその程度では退けない想いがあるのだ。

 違いはあれど、リオレウスとリオレイアは夫婦火竜(めおとかりゅう)と呼ばれており、その姿は似つくものがある。リオレウスに対する恐怖がリオレイアに乗り移っても無理はない。

 最初はクレアもついて行くと言っていた。だが、ヴァイスはそれを止めた。今のままではクレアは何も出来ずに終わるだけだと考えたからだ。だが、いずれその高い壁を乗り越える日がやってくるだろう。その時のために、今はまだ成長段階のクレアを止めたのだ。

「まあ、近いうちに何か分かるだろう。噂話として流布している現状では、何もせずにただ真相を待てばいい」

「そうですね。まずはこの話の真偽が分かってからでないと、何も始まらないですからね」

「ああ、そうだ」

 話を終えるとヴァイスはゆっくりと立ち上がる。急な用件だったため、ヴァイスの方も疲労が溜まってきていることだろう。

「あ、そうだ!」

 クレアが何かを思いついたようにポンと手を叩く。

「せっかくだから私が何かご馳走しますよ! ……そうですねぇ。私の料理なんでどうでしょう? これで疲労回復もバッチリですっ!」

「え゛っ!?」

「り、料理か……」

 クレアに決して聞かれることとないよう、二人は悲鳴を上げた。

 クレアの料理を食べる。それは即ち、地雷を自ら踏みにいくというものだ。いや、彼女には悪気はないはずだ。現に、今浮かべている笑顔も生粋のものであろう(と信じたい)。

「? どうかしましたか?」

 クレアが小首を傾げる。

「い、いやー! 俺今さ、なんと言うかさ、腹が減ってるわけでは――」

「いや、なんでもない。ありがたくいただくことにするよ。そうだろう、グレン?」

 調子を合わせろ、と言わんばかりの禍々しいオーラがヴァイスから漂ってきた。それに気圧され、グレンもそれに逆らうことができなかった。

「あ、あぁ! 俺も楽しみだなー! クレアの手作り料理!」

 二人がそう言うと、クレアはパアァッと顔に花を咲かせた。

「はい! 任せてください!」

 クレアは「ふんふふ~ん♪」と陽気に鼻歌を歌いながら台所へと去っていった。

 その途端、二人は大きなため息をする。そして、グレンに至っては今にも涙目になりそうにヴァイスに迫ってきた。

「何言ってるんですかあなたは……!? 俺たち、死にに行くようなものですよ……!?」

 小声になりながらもグレンはどうしてこうなった、と諦めと絶望の表情を浮かべていた。

 先日、グレンはクレアの料理を初めて食べた。その後グレンがどんな反応をしたかということは、それぞれの想像に任せるとしよう。

「お前、あの状況下で断ったら鬼だぞ」

「うっ、それはそうかもしれませんが……」

 確かに、現状から逃れるためだとはいえ、あの状況のクレアを断ることは可哀想にも程がある。だが、それではこちらの身が持たない。

「でも、それとこれとは事の重大さが違います……!」

 グレンの言い分も理解できる。

 ヴァイスも、ユクモ村を訪れクレアを弟子にしてから早々“アレ”にやられてしまった。それが後を引きずっていないかと言われれば嘘になる。

 しかし、それでもヴァイスはグレンを止めた。それも自分自身をも巻き添えにして。

「大丈夫さ。今回は」

「大丈夫って、一体何を根拠に……」

「最近、あいつの料理の腕は日に日に上昇しているんだ。案外、期待できなくもないぞ」

「……」

 ヴァイスらしくないが、明らかに顔を青く染めていた張本人が言っても説得力は皆無である。しかし、ここまで言われてはグレンも言い返せない。

 だったら、腹をくくって倒れる時は潔く倒れてやるだけだ。

「……わかりましたよ。そこまで言うなら、一緒に付き合ってもらわないといけませんね」

「ああ、そのつもりだ」

 そうして、しばらくの間家には台所の方から聞こえてくる物音以外、何も聞こえることはなかった。暫時、二人が喋ることもなかった。

 そうして、しばらくの後、「できましたよー!」と本来ならば喜ぶべきなのに恐ろしい呼び声が聞こえてくるのであった。

 

 ああ、終わったな。と思った。

 この料理を食べた後、自分は無慈悲に現実から意識が遠のいていき、後は全ての苦痛などから解放されるのだと。少なくとも、料理を一口運ぶ前まではグレンはそう思っていた。

 だが……、

「あ、あれ……? 意外と、いける……?」

 ついに自分の味覚が狂ってしまったのではないかと第一に考えた。

 試しにもう一口。やはり普通に食べられる。というより、普通に美味しかった。チラリとヴァイスのほうへ視線を向ける。

「この短期間でよくここまで腕を上げたな」

「そんな、まだまだですよ」

 どうやら、ヴァイスも普通に食べられている様子だ。つまり、グレンの味覚は正常だということである。

「言ったとおりだろ」

 ヴァイスがクレアに気づかれぬような小声で言ってくる。

 以前食べた時は、確かに倒れるくらいのとんでもない味だった。だが、それがどうだろうか。今、目の前に広がっている料理は、品数は少なく質素でありながらも食べられる。何故だろう。グレン自身の方が嬉しかった。

「一体、何が起こったんですか」

 マジックを目の当たりにしたような物言いでヴァイスに問いかける。

「さあな。俺にも詳しいことはわからない。だが、最近のクレアの様子を見ると何故かこうなることが予想できる気がしたんだ」

「結局、一か八かの賭けじゃないですか……」

 グレンが冗談半分に呟いた。だが、普通に生還できることなのでよしとする。

 だが、まさかとは思うが、本当に一か八かの賭けに出たのではないだろうか。仮にそれが本当だとしたら、料理が失敗していた時どうなってしまっていたのだろうか。考えるだけで鳥肌が立ってきそうだ。

「ご馳走様」

 取り合えず完食して、大きな安堵のため息がグレンの口から漏れ出した。

「この様子なら、しばらくは大丈夫そうだな」

 何が大丈夫なのか皆目検討も付かないが、少なくともヴァイスは今回の出来に満足しているようだった。

 まあ、この事を考えれば次に作ってくれた時も食べることはできそうだ。この影響でさすがに次回こそはグレンも拒否するような真似もしないだろう。

「さて、そろそろお暇させてもらおうか」

「そうですね。長い時間世話になりましたし」

 二人は立ち上がると、クレアに礼を言って立ち去った。帰り際「また作って欲しいときは言ってくださいねー」とクレアが言っていたが、次からは料理の味ではなく“クレアの料理”という単語に慣れておこうと思うグレンであった。

 

 

 

 黎明の空に月がまだ輝いている。

 山間に位置するユクモ村は、朝方になるとよく霧が発生する。山沿いの獣道の視界は制限され、見えるのは月の光に照らされ光る白一色の景色ばかりである。

 小鳥のさえずりが響く中、ガタガタと一台の荷車が派手な音を立てて突っ切っていく。その荷車はユクモ村の鳥居の前で止まると、一人のハンターとその荷物と思われる物を置き去りまた霧の中へ消えていった。

「ここが、ユクモ村なのですね……」

 聳え立つよな高い塔を見るような目でハンターが呟いた。

「……」

 暫時、ハンターは黙り込む。瞳を閉じゆっくりと深呼吸を行う。

 そして、深呼吸を終えると近くに置いてあった荷物を担ぎ赤い鳥居の下を潜り抜けた。

 このハンターがユクモ村を訪れた理由。それは、このハンターの願いでもあり、そして希望そのものでもあった。


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