Bio Hazard Side <b>    作:白風 海斗

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納屋にあったクランクで水門を開くと、あっと言う間に水位が下がり、向こう岸へのルートが姿を表した。

 

………水はあちらに流れ出るみたいだな。

関係無い事がふと頭に浮かぶが、頭を振って追い出す。木の上から

(屋根裏で対峙した化け物蛇程ではないが)大きな蛇が降ってきたがかまわず一気に走り抜ける。

 

エレベーター…と言うかリフトのスイッチを押し込むと低い稼働音と共に降りていった。

 

降りた先は、石造りの庭園で、

先程の貯水池から流れ落ちる水が滝を作っていた。

 

見れば犬どもが何体か倒れていた。

 

ホルスターからハンドガンを取り出すとゆっくりと近づいて行く…………

 

どうやら杞憂だったようだ、倒れていた犬どもは躯体に小さな穴が開いており、銃により撃ち倒されていたからだ。

 

ハンドガンをホルスターに戻すと、胸の鞘に収められたナイフを取り出す。

 

銃創にナイフを押し当て、広げると中から出て来たのは先端の潰れた9mmパラベラム……恐らくはハンドガンの弾だ、骸の状況からここ20分から30分前にやられたのだろう。

 

他にも3体ほど犬の死骸が転がっている。

 

「…撃った奴はかなりの腕だな……確実に仕留めてる……………」

 

犬はいずれも数発で仕留められており、殆どが脳天に一撃だ。

 

それだけの実力者というと……

一瞬、ヘリを操縦していた同僚の姿が頭を浮かんだが、それは有り得ない。

 

突如鳴り響いた銃声にナイフもそのまま、ハンドガンを引き抜くと銃声の鳴った先、“寄宿舎”へと歩を進めた……寄宿舎の中は驚くほどすんなりと歩く事が出来た。

すでに物言わぬ骸と化したゾンビ、蜘を尻目に探索を開始する。

 

002号室から梯子で地下に降りると木箱の橋を渡り半ば水没した地下室へ、大きな水槽が有ったのか、割られたガラスから大量の水が溢れ出している。

 

ともかく水を止めなければ………

水を止めるための策を考えていると、嫌な癇が背を走った。

 

見れば巨大なサメがゆっくりとこちらに泳ぎよって来ている。

 

慌てて近くのドアを潜ると、どうやら会議室のような長机と椅子の並ぶ部屋だった。

巨大な樹の根が天井から突き出している。

しかしどうすることも出来ず、サメが居ないことを確認すると部屋から抜け出した。

サメが近づいてくる前に、と部屋を探すが、武器庫と書いた扉は鍵穴も無く、扉は開かなかった、何か仕掛けがあるのだろうか。

 

隣の部屋は持っていた鍵で簡単に開いた。

その部屋には探していた水槽の制御があり、水槽への給水装置の電源を切ると徐々にてはあるが水位が下がってきた。

 

他にも隣の武器庫の扉を開けるスイッチもあり、開錠した。

 

中には鍵と銃の弾があったが大半が長い間水に浸かっていた所為か、使い物にならなくなった物が多かった。

 

ハンドガンのマガジンを2つとショットガンの弾を14発ほど見つけると地下から寄宿舎へと戻った。

しかし、大半の化け物が倒されていた為、油断をし過ぎて居たのだろう。

廊下の角を曲がろうとした時、ゾンビが襲い掛かって来た。

 

“フイ”を突かれ、対応が出来ずに押し倒される。

 

身動きが取れない、噛みつかれまいと必死に頭を掴み抑える。

 

その時、飛来した弾丸がゾンビの頸を貫き、絶命させた。

 

廊下の突き当たりからゾンビを狙撃したのは………

 

「クリス!!」

あろうことかブラッドだった。


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