9月28日 昼
今はもう逃げ惑う人々の声はない。
しかし………私達はまだ生き延びている。「……そろそろここを出た方が良いわね」私は外の様子を窺うために窓際に立っていたのだが、話し合いをするために中へと戻る。
「正気か!? 私は表で娘を失ったんだぞ!!」
騒いでいるのはダリオ・ロッソと言う小太りの中年男性だ、娘を失って少々気が立っているらしい。
「残念だが………もう助けはこないぞ?」
奥でコードやら基盤やらビニールテープで括り付けられたトランジスタ・ラジオを聞きながらクルツの整備をしていたブラッドが告げる。
「警察隊は全滅、アンブレラの投入した傭兵部隊も壊滅状態らしい…
最もまだ生き残りはいるようだがな?」
どうやらラジオを警察無線や隊内無線を受信出来るようにしているらしい。
銃器の整備から食糧の確保、さらに無線機まで。
……実に頼りになる男だ……
「絶対外には出んぞ!! 外に出て化けものに喰われるならここで飢え死にした方がマシだ!!」
言うが早いか、男性はコンテナの中に閉じこもってしまった。
ブラッドは やれやれ と言わんばかりに肩をすくめるとこちらに向き直った。
「どうする?」
コンテナを見つめながら私が問うと、
「無理に連れて行こうとすれば足手まといになるだけだ」と実に彼らしい返答が帰ってきた。
事実パニックを起こした彼は足手まといにしかならない。
しかし、置いて行く訳にもいかない。
「脱出のメドがたったらそれを提示して納得して貰うしか無いだろう。」
それもそうね。
「ブラッド、武器の方は?」
「カスタムしたブローニング・HPとHK P7M13が一丁
パラベラム都合500発は拡張弾に改造済み。
マグナム(S&W M629C)一丁、
弾はスピードローダーで8つ、(48発)
クルツが(HK MP5‐A4 K)二丁に
マガジンが四つ
デザートイーグル(DE50AE2)一丁
にマガジンが6つ(48発)
スナイパーライフル(HK PSG-1)が一丁
弾が20発マガジンで3つ(60発)
ショットガンの予備弾も5ダース(60)発ある」
それを聞いて私は目眩がした………
この男(ブラッド)………
一体………何と戦う気でいたのだろうか?
彼はニヤリと笑うと
「備えあれば憂い無し…ってな。
三ヶ月もあったんだ、これ位楽さ。」
彼一人でこれほどまでの火器の調達するとは……
銃の腕前から情報戦(内通者)まで……
下手をすれば彼一人でも軍隊一個と戦える気がする。
「そうでも無いぞ、
ブローニングとクルツ、デザートイーグルやPSG-1は洋館事件の時から使ってた奴だし、マグナムはクリスから返してもらっただけだ。自分で調達したのは弾と、ショットガン位だ。」
事も無げに言うと、マグナムとショットガンの弾、9mmパラベラムをマガジンで4つ程寄越した。
「装備は俺が持つよ。
パラベラムはマガジンの持ち合わせが無いんでバラのままケースに入ってる、欲しければいつでも言ってくれ。」
ブローニングとP7のスライドを引くと二丁拳銃で構えたブラッドが立ち上がった。
私もベレッタのマガジンを確認するとスライドを引いてその後に続いた。
side Brad
どうやらアイテム欄式四次元ポケットと四次元BOXは意外と常識らしい。
どう見てもでかいはずのマガジンがするするとマガジンパウチの中に収まって行くのは自分でやりながら壮観だった。
あれだけの弾丸がマガジンパウチ5つ分で収まるなんて有り得ないだろう。
……………深く考えるのは止めよう。
PSG-1を背中に背負い、クルツを腿に下げる。
デザートイーグルをショルダーホルスターに収め。
腰にブローニングとP7のホルスターを下げる。
表に出るとジルが
「私がポイントマンになるわ、カバーをお願い。」
………まぁ、主人公にお任せしますわね。
わしの両手、ハンドガンで塞がれてますし。
ジルは左手、正面の扉を開けると路地裏へと入っていった。階段を登ると不意に鉄製の扉が内側から弾け飛び、多数のゾンビが飛び出してきた。
扉にぶつかり、思いっきり吹き飛ばされたジルは尻餅をついている。
両手に構えた二丁のハンドガンを構えるとすかさずトリガーを引き絞る。
全て眉間を狙い、確実に放って行く。
尻餅をついたジルを引き起こすと倉庫の中で打ち合わせた通り、警察署へと向かう。
ブティックなど、商店が並ぶ地区に入ると悲鳴が響いた。
ジルが駆けだし、通りの突き当たりに立った俺がライフルをスタンディング(立射)
姿勢で構える。
進行方向に入るゾンビにスナイパーライフルを打ち込むと一気に悲鳴の音源にたどり着いジルがショットガンでゾンビを吹き飛ばす。
しかし、悲鳴を上げた時点ですでに手遅れだったらしく、俺がジルの傍らにたどり着くと心臓にダガーナイフを突き刺す所だった。
人間のまま死ねた“彼”に十字を切るとジルは相手の死体の、恐怖に歪み、開いた目蓋を閉じていた。
それだけで、表情が安らかに変わったように見える。
突き当たりまで行くと、再び路地裏を抜ける。
バリケードの向こうには大量のゾンビが見える。
「俺が警戒するからドアを……」
クルツに持ち替えると。
ドアの前に立つジルをかばうように立つ。
「………ダメねブラッド、がっちりとロープで縛ってある。
油か何か、何かギトギトしてるし。」
それはわかってる、確かこのポケットに~っと。
「あった ジル、コイツでロープを焼き切れ。」
ポケットから取り出したのはマッチ、タバコを吸うときに使っていた奴だ。
二回、マッチの擦る音の後、マッチに火が灯り、ロープに火を押し付けるとあっという間に火はロープに燃え移った。
「……!! ジル!!」
俺が叫ぶが速いか、バリケードが決壊し、ゾンビが飛び出して来る。
ジルがショットガンで吹き飛ばし、クルツで倒す。
ゾンビ達を倒し終わる頃にはロープは燃え尽き、路地裏は正常が訪れていた。
しかし、今のゾンビがほとんどが警官だった事が現状を伺わせる。警察署前に出ると消火栓が噴水になってません。
………? アレ!?
特に妨害を受けずにラクーン市警に入れました。
バタフライ・エフェクトって奴だね、とりあえず ここで触手 ってのは無くなりましたが。
油断は禁物、これからもネメシスちゃんは来るわけですし。
ハンターβやγ グレイブティガーなんてのもいる。
油断大敵大胆不敵ってね。警察署に入るとスタスタと先に行こうとするジルを呼び止めるとコンピューターの所へ行く。
「先んずこう言う所から情報を集めないと」
ジルが2~3端末をいじると
「ブラッド、S.T.A.R.S.カード持ってる?
私、S.T.A.R.S.が解散になる、って話しになったときに、署長にカード突き返しちゃったの………」
「ホレ」
カードケースごとS.T.A.R.S.カードを渡してやる。
「S.T.A.R.S.メンバーへ連絡……
S.T.A.R.S.オフィスの鍵は押収物保管庫に保管しました……
今日のナンバーは4312です……か、
良かったなジル。オフィス、カギかかってるらしいぞ。」
唯一、封鎖されていない扉を開けると数体のゾンビがいたがハンドガンで事は足りた。
「っ……ちっ!!」
オフィスの一角にある課長のデスクの前、一人の警官が倒れていた。
「マービンか…良い奴だったんだがな。」ポツリ、と一言漏らすと、
「まだ死んで無いわよ。」
ジルが口を挟む。
「相当重傷だ、手の施しようが無いさ。」
「そうね。」
「ジル、マービンの持ってた報告書だ、俺はデスクを調べる。」
ジルがファイルを読み耽る間に、デザートイーグルのマガジンを3つ程デスクの上に置いておく。
“後日ここに来る人”の事を考えてだ。
「オーケィ…行くぜ。ジル」
オフィスを出ると押収物保管庫だ、ここで青く輝く宝石とS.T.A.R.S.オフィスの鍵を回収すると、S.T.A.R.S.目指し歩を進めた。
途中ゾンビを迎撃しながらS.T.A.R.S.オフィスにたどり着くと。
ケンドの店からのFAXが届いていた。
ジルがデスクの上に置きっぱなしにしていたキーピックを回収すると。
俺は壁のガンロッカーを開く。
中身はS&W M629C
………閉めた。
持ってるものをわざわざもう一丁はイラネ。
外に出ようとすると、無線機が何かを受信したらしい。
ピコン ピコンと受信音を立てる。
改造ラジオをいじると砂嵐交じりだが、カルロスが救援を求めている事はしっかりわかった。
オフィスを出ると来た道を引き返す。
階段を下りた所で………
きたぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!
ネメシス‐t型!!
俺をぶっ殺してくれちゃった奴。
ジルにマグナムをパスするとデザートイーグルとクルツを両手に全弾叩き込んでやりました。
マグナム二丁+サブマシンガンで一斉に撃たれればいくらネメシスと言えども!!
ダウンしてる間に一気に逃げる!!
ってまだ来ますかネメシス!!
デザートイーグルぶち込まれて置いて……なんて頑丈なコ………
俺のボケをさっ引いても強いぞ……!?
ちょ ちょたんま!!
何でジルじゃなくてこっちに来ますか!?
修正力!?
修正力!?
これが噂による修正力と言うものなのか!?
胸倉掴むなコラ!!
持ち上げるな!!
まじ3のムービー再現になるから!!
死んでたまるか!!!!!!!!!!!!
持ち上げられたそのままの姿勢から頭部にクルツを連発。
さしものネメシスも頭部への攻撃には耐えきれなかったらしく、手を離す。
……たすかっ………てなぁぁい!!
ジルはとっくの昔にどこかへ逃げ、俺一人!!
=DEAD!!
回れ!!右!!
足踏み始め!!
前ぇ!! 進め!!
こうして命からがら、警察署を後にしたのであった。