エンリコはヘリポートまでの通路に救急ボックスを預けて押し込んで置いた。
クリス達は既に研究施設に入っているだろう。
通路のゲートに細工を施し、自分以外に開けられないようにする、エンリコには悪いが、これが彼のためだ。
梯子を降り、扉を出て階段を降りるとそこは研究施設へと繋がるロの字回廊、そこを確保していたらしいジョセフと再会した。
「ブラッド、傷はもう良いのか?」
「ああ、銃を撃つのは左手でも出来る。」事実、右利きのブラッドを左利きに矯正したため俺は両利きだ。
「すまないな、手前の腕に風穴開けた奴、見失っちまった。」
「構わないさ、痛みは一時のものだ、それよりもジョセフ、お前が無事で良かった。」
「何で俺なんだ?」
わからないのかねぇ、その性格が危ないのに。
「頭に血が登って冷静な判断が出来て無かったからな。
あれじゃ殺してください、と言ってるような物だぞ。」
「うっ…」
「勝手にあの場から離れたのも×だ、あれが俺らを分散させるの策なら、俺やエンリコ、クリスだって危なかった。」
「そりゃ……それについては謝るよ……」
「次から気を付けてくれよ?」
そう言いながらタバコを取り出し、ジッポで火を付ける。
これはポーズだ、俺は普段、タバコは吸わないし、酒も付き合いぐらいでしか摂らない。
しかし、余裕を見せたり、場を落ち着かせる道具としてタバコは最適な小道具なのだ。
だから銘柄も適当、高すぎず、安すぎないものを適等に買う。
「ブラッド、一本分けてくれ無いか?」
な? 場の雰囲気が変わり、余裕が出てきた。
「ホレ」
箱ごと放り投げ、ポケットに入れたジッポを取り出し、火を灯す。
「俺はクリスの方に行く、此処は頼むぞ。」
ジョセフはかる~く片手を上げて応じ
俺は最終決戦の地を目指して歩き出した。
扉をくぐると、通路の突き当たりにある扉、横にあるキーボードパネルの前に立つ。
(えぇっと、パスコードは無いんだよね)
ならそれなりのやり方で………
ホルスターからデザートイーグルを取り出すと…
一発っ!!二発!!三発!!
パスコード入力機にぶち込んだ。
紫電を迸らせるだけで反応は無い………
「うぉぉぉ………!!!!」
今度は扉にデザートイーグルをぶち込む!!
17~8発程撃ち込んだ所で枠ごと扉が外へ倒れ込んだ。
倒れた扉を踏み越えて先へ進むと、そこは監禁部屋、ジルが捕らわれて部屋だ。
「ブラッド……?」
銃声で気付いたのかジルがこちらに気付いているようだ。
「麗しきお姫様、騎兵隊のご到着ですよ。」
「茶化さないで、それよりウェスカーは……」
「言いたい事は全て知ってる、バリーも家族をネタに脅されてただけだ。」
そう言うと、バリーから預かったマスターキーで監禁部屋の鍵を開けた。
バリーはウェスカーからこの鍵をもらったらしい。
「ありがとう」
そう一言だけ、ジルはそっけなく感謝の意を告げると自ら扉を上げて出てきた。
「ジル、装備の方は大丈夫か?」
「ご生憎と、此処に閉じ込められる時に全部没収されたわ。」
平然と告げるジル。
「こいつを貸すよ、ジル 使ってくれ」
サムライエッジと、いくつか拾っておいたマガジンをジルに渡す。
「必ず返してくれよ、俺はクリスの方に行かなきゃならん。」
ジルにヘリポートへの通路前のホールに言うよう告げると、下へと降りるために部屋を出て行った。
タッチの差で下(タイラント)行きのエレベーターが降りて行った。
乗っていたのはクリスとバリー レベッカ、それにウェスカーだ。
エレベーターを呼び出すと、同じようにエレベーターを降下させた。