ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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今回から新章です。早速のご都合主義からスタートします。


第五章 冥界合宿のヘルキャット
第四十八話 あなたがもらったのは『悪魔の駒』ですか?それとも・・・


トップ会談、ペロリストの襲来、そしてヴァーリさんの離脱。様々なイベントてんこ盛りだったあの日から二週間が経った。あれだけの事があったのだから、しばらくは事件も無いだろう・・・と思っていた時期が俺にもありました。

 

実際は、この二週間の間で大小様々な出来事があった。とりあえず、一つ一つ振り返ってみよう。

 

まず一つ目。カリスMAXこと、アザゼルさんが駒王学園に再びやって来た。しかも、オカルト部の顧問としてだ。堕天使のトップの方が顧問なんて凄い事だと思うが、何故? という疑問と戸惑いの方が大きかった。

 

「つーわけで、オカルト部の顧問となったアザゼルだ。俺の名を呼ぶ時は先生をつけろよ。もしくは総督でもいいぜ」

 

「いやいやいや! それ以前に何でアンタがここにいるんだよ!?」

 

兵藤君が全員の思いを代弁する。

 

「元々ここには滞在する予定だったんだよ。喜べ兵藤一誠。お前や『僧侶』の小僧を俺が直々に世話してやる。制御出来ない神器を見るのは許せないんでな」

 

「それと、あなたが顧問となる事に何の関係があるのかしら?」

 

「文句ならセラフォルーの妹に言え。俺にこの役職を与えたのはあの娘だからな。まあ、俺は知的でイケメンだからな。ついでに女生徒も食いまくってやるさ。とりあえず、まずはここに来る前に見かけた眼鏡の超巨乳のねーちゃんでも・・・」

 

それって、もしかして山田先生の事か? あの人押しに弱いから、アザゼルさんみたいにワイルドな男性に迫られたら大変だろうな。まあ、アザゼルさんもまさか、本気で女の子達に手は出さないだろう。今のはきっと場を和ますための彼なりの冗談みたいなヤツなんだろうな。

 

なので、俺も冗談めかして、「山田先生に手を出したら、穴ブチ抜きます」などと言ってみたら、アザゼルさんは途端に押し黙ってしまった。しかも、心なしか額に汗まで滲ませてるし。そんでもって、リアス達もちょっと引いてた。うーん、穴ブチ抜くはちょっと下品だったかなぁ?

 

微妙な空気の中、アザゼルさんが再び説明を始めた。何でも、彼がここに滞在するための条件として、リアスの眷属達・・・兵藤君や木場君が持つ神器を成長させる役割を頼まれたそうだ。あのペロリストこと『禍の団』に対する抑止力にするつもりだそうだ。

 

「これはお前達の為だけじゃない。フューリー、お前にも関係のある話だ」

 

「え?」

 

「ヴァーリも言っていただろう。フューリーの“友人”であるお前達の事は『禍の団』にも知られただろうし、連中がフューリーの無力化の為にお前達を狙ってくる可能性もある。そうならない為にも、お前達には速やかに実力をつけてもらわなくては困るんだよ」

 

みんな神妙な顔してますけど、俺は初耳ですよ? あの時、兵藤君とヴァーリさんが何か話してたのは知ってるけど、二人から離れ過ぎてて何話してるか聞こえなかったんだよな。

 

「兵藤一誠は、あの戦いで“覚悟”を見せた。リアス・グレモリー。お前達はどうだ?」

 

「わかってるわ。私達はリョーマに頼り過ぎていた。だけどそれだけじゃ、守られるだけじゃ駄目なのよ。私達では彼の強さに届かないかもしれない。なら、せめて足手纏いにならないくらいには強くならないと」

 

「・・・なるほど。一応お前らにも“覚悟”はあると受け取らせてもらうぜ。『禍の団』との本格的な戦いは当分先の話になるだろう。その間に、精々強くなる事だ」

 

リアス達は、いつかペロリスト共と戦わないといけないのか・・・。その時は、俺も力を貸さないとな。俺は悪魔でも天使でも堕天使でもないけれど、連中の存在を許してはいけな事だけは充分理解しているつもりだ。

 

「まあ何にせよ、これからよろしく頼むぜ、お前ら」

 

こうして、アザゼルさんもとい、アザゼル先生が俺達の日常に加わったのだった。

 

二つ目の出来事は、黒歌の立場についてだ。会談の翌日の夜、全員がリビングに揃った所で、俺は黒歌にサーゼクスさんと交わした約束を伝えた。

 

その時の黒歌の喜びようと来たら・・・。最初は何を言われたのか理解出来なかったのかポカンとしてたが、時間が経つにつれてその顔が戸惑いに変わり、最終的には号泣しながら笑顔を見せるという離れ業を見せてくれた。

 

ついでにこれでもかというくらいの感謝の言葉と共に思いっきり抱きつかれました。正直、煩悩を追い出すのに必死だったから内容自体は憶えて無いけど。彼女はいつも喜びや悲しみを体で表現するけど、やられる方はたまったもんじゃない。アル=ヴァン先生じゃなかったら間違い無く理性が崩壊してただろう。

 

その二日後、リアスに連れられて黒歌は冥界へ向かった。サーゼクスさんと直接話す事になったらしい。んで、そのまた二日後に、彼女は帰って来た。

 

「ご主人様! これで私も自由になったにゃ! これで、今日からは堂々とこの姿でご主人様と一緒にお出掛け出来るにゃ!」

 

誰に見られているかわからないからと、黒歌と一緒に出かける時は、いつも猫の姿の彼女を肩に乗せていた。おかげで、近所の方々に『猫のお兄さん』なんて呼ばれるようになってしまったが、それも今日で終わりだ!

 

「まずは、これまでの分を取り返すために一杯デートするにゃ。そして、いい雰囲気になった所で、ホテルに・・・。にゅふふ、猫の姿であちこち歩いてたから場所はすっかり頭に入ってるにゃ」

 

何やらブツブツと呟く黒歌。小さくて聞き取れないが、きっと、今まで不自由な生活をしてたから、やりたい事がたくさんあり過ぎて何から手をつけていいのか悩んじゃってるんだろうな。はは、中々可愛らしい所があるじゃないか。ただ、その後でなんかギラギラした目で俺を見つめて来たのはちょっと怖かったけど・・・。

 

そんでもって三つ目の出来事。丁度一週間前だった。学校から帰ったら家がでっかくなってた。二階建てだったはずなのに、どう見ても三階建てになってた。

 

最初見た時は当然混乱した。ひょっとして帰り道間違えた? なんて思ったりもした。現に一緒に帰って来たアーシアも「あ、あれ? 道、間違えちゃいました?」とか言ってた。

 

戸惑いつつ、インターホンを鳴らすと、少ししてドアが開き、黒歌が顔を見せた。

 

「はーい。あ、お帰りにゃさい。ご主人様、アーシア。ささ、中に入るにゃ」

 

言われるままに玄関で靴を脱ぎ、リビングに向かう。そこで黒歌から説明を受けた。以前、部屋の数が足りないという悩みにリアスが一肌脱ぐと言っていたが、今日、俺達が学校に行っている間に、冥界から来たという業者のみなさんがササっと増築したんだとか。

 

そんな短時間で増築って出来るもんなの? けど、外から見た分には決して手抜き工事な感じじゃ無かったし。ここは「冥界の技術ってすげー!」という事で納得しておこう。

 

その後、帰って来たリアスと塔城さんを加えて、改めて増築の事について話し合った。今回の増築で出来た三階には部屋が五つあるんだとか。おかしいよね。塔城さんの部屋だけでいいはずだよね? 無駄になるんじゃないの?

 

そう言ったら、リアスに溜息を吐かれてしまった。しかも、「どうせ、すぐに満室になるわよ」とか言われてしまった。ウチってホテルじゃないんですけど・・・。

 

アーシア達はアーシア達で、「ああ・・・」とか妙に納得してるし。もうわけがわからないよ。誰か、俺でもわかるように説明してください!

 

「必要なら、これからもその都度増築するわ。精々、これ以上増えない様に自重してね、リョーマ」

 

え、俺の所為なの!?

 

夕食の準備に入るリアス達が動きだす中、ポツンとその場に残された俺は一人小さく呟いた。

 

「・・・解せぬ」

 

これが三つ目に起こった事だった。そして四つ目、これが最後の出来事だ。眠っていたオカンがついに目覚めた。一昨日、寝ようとした時に、久しぶりにあの声が頭の中に入って来たのだ。

 

『いんや~、久しぶりやな~! おかげで元気百倍やで!』

 

声でわかる。どうやら絶好調のようだ。そっか、あれからもう一ヶ月が経ったのか。月日が流れるのは早いねぇ。・・・今の年寄り臭かったか?

 

『ウチが寝とる間にも色々大変やったみたいやな~』

 

ええまあ、確かに色々ありましたよ。俺はオカンにこの一ヶ月の事を話した。その中でオカンが興味を持ったのは、サーゼクスさんからもらった『悪魔の駒』だった。

 

『ふ~ん。それが『悪魔の駒』かぁ。・・・で、それどうすんの?』

 

机の上に駒を並べると、オカンがそんな事を聞いて来た。

 

「どうだろうな。そもそも、俺自身には使えないみたいだしな」

 

『そらそうやで。悪魔って光に弱いんやろ? アンタの体にマイナスになるのわかっとるのに、受け付けるわけないやん』

 

この体、そんな機能まで付いてんの? 自分の事ながら恐ろしいんですけど。

 

「だが、せっかく貰った物を腐らせるのも申し訳無い気がするがな」

 

『ん~? そういう事なら、ウチが何とかしようか?』

 

「何をする気だ?」

 

『休んで溜まったパワーを使うええ機会や。ウチに任せとき』

 

頭の中に、「ふんっ」とか「はあっ」とかいう気合いが入った声が響いたと思ったら、『悪魔の駒』が急に光り始めた。ちょ、今度は何やらかしたんですかオカン!?

 

『・・・よし、出来たで!』

 

「今の一瞬で何を・・・?」

 

満足気なオカンに早速問い質す。

 

『ちょっと弄らせてもらっただけや。得られる特性や恩恵をそのままに、悪魔になる機能だけ除去させてもらった』

 

「つまり、この駒を使っても、人間のままでいられると?」

 

『その通りや。種族は変わらん。もちろん、元々悪魔の子にも使えるから安心し。ウチの加護もたっぷり込めてあるから、きっと気に入ってもらえると思うで』

 

ごめんなさい、サーゼクスさん。せっかく頂いた物ですが、オカンが魔改造した所為でもう、『悪魔の駒』とは呼べません。オカンの手で生まれ変わったこの駒達。あえて名づけるなら・・・『オカンの駒』だろうか。うわ、効果は凄いのに名前だけ聞くとヒドイ!

 

ところで、オカンの加護って何だろう・・・。聞きたい様な、聞きたくない様な、何とも反応に困ってしまうじゃないか。

 

『あ、そうそう。『王』の駒だけは、アンタにしか使えんからな』

 

「何故?」

 

『それはアンタにこそ相応しい駒やからや。正しき願いや想いを抱き、力を欲したなら、その時、駒はアンタに新たな力を与えてくれるはずや』

 

何でこれだけパワーアップアイテムみたいな感じになってんの? てか、これ以上力なんて必要無・・・いや、待てよ。パワーインフレが代名詞なこの世界で力をつけておく事に越した事は無いか・・・。

 

『ほな、ウチはそろそろ失礼するな。これからあの子達とご飯やねん』

 

あの子達って・・・。いつの間に子持ちに!? いや、オカンだからいいのか・・・。

 

「正しき願いや想いを抱く時、新たな力が授けられる・・・か」

 

果たして、そんな時が本当に訪れるのだろうか。オカンの声が聞こえなくなった後、俺は手に持った『王』の駒をジッと見つめた。

 

さて、以上がこの二週間で起こった出来事だ。あと数日もすれば夏休みに入る。何故だろう。何だかまた騒ぎに巻き込まれそうな気がしてならないんだけど・・・。

 

「今から気にしても仕方が無いか・・・」

 

そうだ、ポジティブにいこう! 一応、高校生活最後の夏休みじゃないか! いい思い出を作ろう!

 

期待と不安を抱きつつ、俺は部屋の電気を消し、ベッドに横になるのだった。




リョーマは『悪魔の駒』を失った! 代わりに『オカンの駒』を手に入れた!

というわけで、毎度のごとく強引ですが、『悪魔の駒』を変化させました。これでアーシアにも安心して渡せますね。

そして、さりげなくオリ主の強化フラグを建てました。最も、強化するのはラフトクランズなんですけどね。いつか、“ぼくのかんがえたさいきょうのラフトクランズ”をお見せ出来るといいんですけどね。

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