ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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第四十三話 騎士(笑)VSペロリストそして・・・

なんか凄い人が出て来た。俺に対し興奮を隠さないカテレアさんに圧倒される。なんだろう、どことなくヴァーリさんと同じ匂いがする。そう・・・“残念”という匂いが。見た目は出来る女性! って感じなのに・・・。

 

「あーよかった。私、カテレアちゃんと戦いたくなかったもん」

 

「勘違いしないでくださいセラフォルー。私はフューリー様のご命令に従っただけで、あなたと慣れ合うつもりは・・・」

 

「あ、そうだ! カテレアちゃんにも見せてあげるね。これ、フューリーさんとコカビエルの戦いが映ってるんだよ」

 

「拝見しましょう!」

 

再びビデオカメラをいじるセラフォルーさんと、嬉々として彼女に寄り添うカテレアさん。とりあえず、あの人は彼女に任せておこう。

 

「キミ達、今はそれどころじゃ・・・」

 

「ほっとけサーゼクス。あれを見せればこの女も大人しくしてるだろう。それよりも、外にいる連中を黙らせておこうぜ。ヴァーリ、行って来い」

 

「いいの、私が出て?」

 

「ああ、蹴散らしてきな。それとフューリー。お前も出てくれ。結界は俺とサーゼクス達でさらに強化しておく。遠慮はするな。お前の力を連中に見せてやれ」

 

望む所だ。教会、コカビエル、そしてペロリスト。俺の前に現れる連中の共通点・・・それは“変態”。ならば、俺の役目は、被害者が増える前に、連中を排除する事だ!

 

「わかりました。・・・叩き潰します」

 

暴力的な感情が胸の中に渦巻くのを感じる。おそらく今、俺は危ない笑みを見せているだろう。現に、俺を見ているアザゼルさん達の顔が引き攣っている。

 

「ふふ、素敵な殺気ね。魂まで凍りついてしまいそうだわ。よっぽど外の人達が気に食わないみたいね」

 

ヴァーリさんの言葉に頷く。テロリストでペロリストなヤツなど、この世に必要無い。変態には罰を。ド変態には死を。それがこの世の真理だ。

 

「さて、私も準備しないとね」

 

ヴァーリさんの背中に光の翼が出現する。そこからさらに彼女の言葉は続く。

 

「―――禁手化」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!』

 

機械的な音声が発せられた途端、ヴァーリさんの体を真っ白なオーラが包みこむ。それが治まった時、彼女の体は白銀の鎧に覆われていた。

 

「それが白龍皇の禁手。・・・だが、前回現れた時はそんな鎧では・・・」

 

木場君の言う通りだ。それが禁手だというなら、あの露出強全開な姿はなんだったんだろうか。疑問を抱く俺達に、ヴァーリさんが薄く笑いながら答える。

 

「これはいわば第一段階。本当に強い相手との戦いになれば、余計な部分をパージするの。もっとも、今回の相手はその必要も無さそうだけどね」

 

「禁手に段階!? さらに能力が上がるというのか・・・!」

 

「それじゃ、先に行かせてもらうわ」

 

窓を開け、ヴァーリさんが飛び出していく。俺も急がないと。美人な彼女を見てペロリスト共がやらかすかもしれないしな。

 

「木場祐斗君。キミも出てくれないか? あの二人で充分かもしれないが、敵の数も甘く見れない。故に、キミにフォローを任せたい」

 

「はっ! お任せください! ゼノヴィア、キミも来てくれ!」

 

「了解。神崎先輩の戦いを傍で見られる絶好の機会だ。色々吸収させてもらおう」

 

おお、二人も来てくれるのか。それは心強いな。

 

木場君とゼノヴィアさんを連れ、俺はヴァーリさんが開けた窓を飛び出すのだった。

 

SIDE OUT

 

 

アザゼルSIDE

 

校庭に降り立ったフューリー達を、魔術師共が取り囲む。

 

「新手か! あの女悪魔は何をやっている!」

 

「捨ておけ! 所詮、伝説とやらに縋る愚かな女でしかない!」

 

好き勝手にカテレアをこきおろす魔術師たち。どうやら、あいつが望んで旧魔王派へ入ったわけではないというのは本当らしいな。

 

「・・・彼女と貴様等を同じにするな」

 

フューリーが放ったその一言が魔術師共を凍りつかせる。ああして対峙した事で理解出来たのだろう。自分達の前にいる野郎が、ただの人間ではないのだと。

 

「『禍の団』・・・俺は貴様等を認めない。己の目的や欲望の為に、関係の無い人達を傷つける貴様等は害悪でしかない。俺が・・・俺達が、貴様等を止めてみせる!」

 

・・・なるほど。あいつが騎士たる理由がわかった気がする。かつて、あいつがいたという世界でも、あんな調子で戦っていたのだろう。己の心に従い、顔すら知らぬ他人の為に・・・。

ただのカッコつけ野郎とは違う。あの男は“本物”だ。

 

「だ、黙れ! 貴様ごときに、我らの崇高な理想を・・・!」

 

「語る舌は持たない。言いたい事があるなら力づくで聞かせてみろ」

 

その言葉を皮きりに、フューリー達と魔術師達の戦闘が幕を開けた。聖魔剣使いの小僧が軽やかに敵を斬り伏せて行く。速さが自慢なのだろうが、俺から見たらまだまだだ。鍛えがいはありそうだがな。

 

反対に、デュランダル使いの女は典型的なパワータイプのようだ。デュランダルの一振りと共に光の波動が迸り、校庭を敵ごと抉っている。ったく、もうちっとスマートに扱えないのか。あれじゃただ振り回してるだけじゃねえか。

 

そして、肝心のフューリーはというと・・・。

 

「青龍鱗!」

 

構えた両手から青白い光を放ち、魔術師共を吹き飛ばしていた。向こうでヴァーリが波動弾をぶっ放しているが、それと同レベルくらいの威力はありそうだ。

 

続けて、光を両手に収束させるフューリー。映像で見せた瞬間移動で一人の魔術師の眼前に現れると、俺ですら霞んで見える速度で拳を叩き込む。やり過ぎなくらい連打した後、相手の腹部に両手を当て、収束した光を一気に解き放った。

 

「白虎咬! でいぃぃぃぃぃやっ!!」

 

炸裂した光の衝撃が、魔術師の体を紙屑のように宙へ舞い上がらせる。そいつはそのまま校舎の壁に叩きつけられた。

 

「ほお、中々面白い技を使・・・」

 

「頑張れー! フューリーさーん!」

 

いつの間にか俺の横でセラフォルーとカテレアが観戦していた。

 

「セラフォルー! 録画は!?」

 

「バッチリだよ!」

 

「流石ですね! あとアザゼル、邪魔なんでどいてください」

 

「お前らな・・・」

 

サーゼクスじゃないが、つい溜息が出てしまう。レヴィアタンの名を持つ悪魔が、人間の虜となるってのも妙な話だ。あいつ・・・女難の相がありそうだな。こいつらでこれだ。あいつの周りの女共も何人かは落としているかもな。

 

「おっと、どうやらイッセー君とリアスも上手くやったみたいだな」

 

サーゼクスの声につられて旧校舎の方へ目を向けると、たった今玄関から二人と、赤龍帝の背中に乗った吸血鬼の小僧の姿が確認出来た。

 

外の戦いも終わりを迎えようとしている。敵の増援が来るスピードが目に見えて落ちて来たのだ。もう少し掃除すれば、決着がつくだろう。

 

それから数分後、最後の魔術師が地面に倒れ伏した。これでようやくここから出られる。・・・はずだった。

 

「あ? ヴァーリのヤツ、何してんだ?」

 

戦いを終えたはずのヴァーリが禁手を解かない。それどころか、魔術師共と戦っていた時よりも巨大な闘気を放ちながらフューリーの前に降り立った。

 

・・・嫌な予感がする。あいつの性格からして、魔術師との戦いは退屈極まり無かったはずだ。もし、その不満をぶつける相手が近くにいたとしたら、あいつは間違い無く・・・。

 

「ねえ、亮真・・・。私と戦ってくれない?」

 

チッ! やっぱりこうなりやがったか・・・!

 

アザゼルSIDE OUT

 

 

IN SIDE

 

「ねえ、亮真・・・。私と戦ってくれない?」

 

はい? この露出強さんは何を言ってるんですかね。たった今ペロリスト共を片付けたと思ったら自分と戦え? いやいや、どういう流れだよ。

 

「駄目なのよ。この程度の連中じゃ、私の疼きは止められない。私が求めるのは強者との戦い。だから亮真。異世界よりやって来た騎士様。あなたなら、きっと私を満足させてくれるはず。だから、私と戦ってちょうだい」

 

何を言っているのかさっぱりわからないよ? 戦うのが好きって、所謂戦闘狂ってヤツ? 露出強で戦闘狂とか、この子どこまで行く気なんだろう・・・。

 

そもそも、キミと戦う理由なんて俺には無いよ? そう伝えると、ヴァーリさんは僅かに首を横に振った。

 

「あなたには無くても、私・・・いえ、彼にはあるのよ。ねえ、アルビオン?」

 

ヴァーリさんの問いかけに鎧の宝玉が激しく点滅し、聞き覚えのある声が発せられた。

 

―――お、落ちつけ、ヴァーリ! まだ時期尚早・・・!

 

「いいじゃない。どうせいつかは戦うんだから」

 

―――し、しかし。

 

「それに、しばらくはドライグとも会えないかもしれないし。ここで一度互いの実力を測るのもいいと思わない?」

 

俺を無視してどんどん話を進めていくヴァーリさんとアルビオン。キミら、人の話はちゃんと聞いてくださいよ。

 

―――・・・わかった。お前の言葉に従おう。ドライグ! ドライグはいるか!

 

アルビオンが叫ぶ。すると間髪入れずに別の声が響き渡った。

 

―――ここにいるぞアルビオン!

 

「お、おい、ドライグ! 何だよ急に!?」

 

振り返ると、リアスと兵藤君、それにヴラディ君がいた。どうやら無事に彼を救出出来たみたいだな。

 

「ヴラディ君。無事でよかった・・・」

 

「は、はいぃ。ご心配とご迷惑をおかけしましたぁ」

 

「来たわね、赤龍帝君。さあ、私と一緒に亮真と戦いましょう」

 

「いやいやいや! 突然何言ってんのアンタ!? 何で俺が神崎先輩と戦わないといけないんだよ!」

 

「それが赤と白の龍を宿す者の運命だからよ」

 

「え・・・?」

 

―――その通りだ、相棒。俺達を宿す者が、どのような理由や目的で力を振るおうが構わない。だが、たった一つだけ俺達には譲れないものがある。何百年経とうが、決して譲れない“誓い”がな。

 

―――赤と白は何代にも渡って争い続けていた。だがそれは決して憎しみによるものではない。いつでも“誓い”が果たせるよう、宿主を徹底的に鍛え上げる為だ。

 

「そ、そういえば、前にもそんな事言ってたよな。なら、お前らの言う“誓い”ってなんなんだ?」

 

兵藤君の問いに、ドライグとアルビオンが声を揃えて叫んだ。

 

―――我らの目的はただ一つ! フューリー! 貴様を倒す事だ!!!

 

「・・・え?」

 

ちょちょちょっ! 何で!? いやマジで何で!? 俺が何をしたっていうの!?

 

「待ってくれ。理由がわからない・・・」

 

―――うるせえこの野郎! 俺の尻尾ぶった切りやがった恨みは忘れてねえからな!

 

―――よくも翼に穴開けてくれたな! いきなり地面に落ちてマジで怖かったんだからな!

 

ありましたよ理由! やべえ、そういえばあの時の事、謝ってなかった。違うんです! あの時はただ無我夢中だったんです!

 

「ドライグ、気合い入ってる所悪いが、俺は先輩と戦う気は無いぞ」

 

いいぞ兵藤君! なんとかドライグ様の気持ちを落ち着かせてあげて!

 

「あら、ずいぶん弱気ね、赤龍帝君。あなた、亮真に憧れてるんでしょ? ここで逃げたら益々彼は遠ざかっちゃうわよ」

 

「そ、それは・・・」

 

「はあ・・・仕方ないわね」

 

そう言うと、ヴァーリさんが目を閉じる。そして次に目を開けた時、彼女の鎧が派手な音と共に弾け飛んだ。そう・・・露出強モード(勝手に命名)だ!

 

「もし一緒に戦って勝てたら・・・私の胸、好きにしていいわよ」

 

「勝負です、先輩!」

 

変わり身早っ!? 胸か!? やはり胸なのか!? まずいぞ。みんな感情が高ぶってまともな判断が出来てない。ここは一旦冷静になって話し合おうじゃないか!

 

えーっと。確かこういう時に役に立つセリフがあったよな・・・。

 

SIDE OUT

 

 

リアスSIDE

 

目の前で繰り広げられるやりとりに頭が痛くなって来た。確かに、歴代の赤龍帝と白龍皇が常に争っていたというのは聞いた事があるが、まさかリョーマを倒す為だったなんて・・・。

 

それにしても、イッセー。あなたって本当にブレないわね。リョーマもこれくらいとまではいかなくていいから、もうちょっと男の子の性を見せてくれていいのに。毎日毎日エッチな下着で誘惑してるけど何の反応もしてくれないから、全く女性として意識されてない気がして落ち込んでるのに。

 

そうやって心の中で愚痴っていると、リョーマの雰囲気が急変した。彼から発せられるとてつもないプレッシャーが私達を襲う。

 

「ドライグ・・・アルビオン・・・」

 

―――ッ!

 

感情の全く籠っていない機械的な呼び声に、ドライグ達が息を呑む。そして亮真は死刑宣告とも取れる言葉を口にした。

 

「少し頭・・・冷やそうか?」

 

僅かな微笑み。私にはそれが死神のそれに見えた。直後、ドライグとアルビオンの悲鳴が校庭に響き渡った。

 

―――あ、あああああ相棒ううううううう!!! 早く! 早く『赤龍帝の鎧』を纏えぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

―――ヴァーリ! ヴァーリ! 『覇龍』だ! 『覇龍』じゃないとやられる! やられる!! 殺られるぅぅぅぅぅぅぅ!!!

 

「お、おおおお落ちつけドライググググ!」

 

「まずあなたが落ちつきなさい。それとアルビオン。私、こんなところで『覇龍』は使うつもりは無いわよ?」

 

かつて二天龍と称された存在が本気で恐怖している。その様子はどこか滑稽だった。錯乱し過ぎて口調もちょっとおかしい。リョーマ・・・一体どれだけのトラウマを植え付けたのかしらね。

 

(もう勝敗はついてると思うのだけれど、本当にやるのかしら?)

 

そう思いつつ、私は三人のやりとりをじっと眺め続けるのだった。




感想でもあれだけ止められたのに、やっちゃいました二天龍。

彼らは“誓い”を果たせるのでしょうか。

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