ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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どなたかカラワーナとミッテルトの口調がどんな感じか教えてください・・・。自分、アニメ見てないんでわかりません。


第四十話 彼女が堕ちたのは・・・

ヴラディ君、そしてアザゼルさんとの出会いから数日が経った。堕天使のトップの突然の来訪に、悪魔関係者達は驚いていたみたいだ。

 

それとヴラディ君についてだが、あれから兵藤君がよく面倒を見てあげているようだ。意外・・・と言っては彼に失礼かな。悪魔のお仕事に一緒に出かけたり、女性のタイプを話し合ったりして盛り上がったとか言ってた。あんな風に面倒見のいい部分をアピールしたら、学園の女の子達からも好意的に見られるかもしれないだろうに。

 

もちろん、俺も約束を忘れたつもりじゃない。放課後はヴラディ君のいる教室へお邪魔して一緒に神器の特訓を行っている。やはり、止まる事のない俺がいる事に安心出来るのか、結構のびのびとした様子で特訓していた。上手くいった時なんか満面の笑みを見せてくれたのだが、その笑みに一瞬だけ危ないモノが目覚めそうになったのは永遠に胸に秘めておこう。

 

とまあ、そんな感じの日々だった。で、休日の今日、俺は兵藤君と一緒にとある場所へ向かっていた。

 

「この道で合っているのか?」

 

「はい。そろそろ見えて来ると思います」

 

今俺達が目指しているのは、姫島さんの神社。なんと彼女は巫女さんなんだとか。悪魔なのに巫女っていうのも変な感じだが。まあ細かい事はいいか。

 

彼女いわく、兵藤君に会わせたい相手がいるとか。で、俺には話したい事があるらしい。なので別々に行くよりも一緒の方がいいと、学園前で兵藤君と合流し、こうして二人で神社へと向かっているというわけだ。

 

「っと、言ってる内に見えて来ましたよ!」

 

兵藤君の指し示す先には長い石段。そしてその先にそびえ立つ真っ赤な鳥居だった。さらに、その石段の下には巫女服姿の姫島さんが立っていた。

 

「お待ちしてましたわ、二人とも」

 

「おはよう、姫島さん」

 

「お、おはようございます、朱乃さん! その格好、滅茶苦茶似合ってますね!」

 

「確かに、大和撫子とはまさにこの事だな」

 

「ふふ、ありがとうございます。では、早速ご案内しますわ」

 

先に石段を上り始める姫島さんの後について行く。道中、彼女から色々説明を受けた。

 

まずはここについて。神社は神聖な場所ではあるが、ちょっとした理由があって、悪魔でも普通に足を踏み入れられるらしい。人間である俺には関係無いが、兵藤君は明らかに安心した顔をしていた。

 

姫島さんは先代の神主さんが亡くなってからずっとここで一人で生活しているそうだ。その際、リアスが手を回してくれたのだとか。ホント、彼女の優しさは天井知らずだな。

 

そんな事を話しながら石段を上りきると、眼前に立派な本殿が出現した。厳かな雰囲気につい見惚れていると、姫島さんがこちらに振り返った。

 

「さて、それではイッセー君はここで待っていてください。もう少ししたらあの方がいらっしゃるはずです」

 

「え? ちょ、朱乃さんと先輩は・・・?」

 

「私達は席を外します。先方はあなたと二人きりで話をしたいみたいですから、私達がいては邪魔になるでしょうし。私達はあちらの家で待機していますから、終わったら来てくださいね。神崎君、行きましょう」

 

「わかった」

 

「うう、いったい誰が来るんだろう・・・?」

 

ちょっと不安そうな兵藤君をその場に残し、俺は姫島さんの家へ足を動かした。一人残すのは心苦しいが、相手が彼と二人だけになるのを望んでいるのなら仕方ないか。

 

・・・何気に、女友達の家にお邪魔するのって今回が初めてだったりするので、少しばかり緊張していた。情けない? 知るか。童帝舐めんな。

 

そうして玄関を通され、俺が案内されたのは和室だった。つい正座してしまった俺の前で、姫島さんがお茶をたてていた。うむ、実に画になる光景だ。オカルト部でも姫島さんの淹れてくれたお茶はいつも美味しかったが、その理由がわかった気がした。

 

「はい、どうぞ」

 

「頂きます」

 

差し出された茶碗を持ち、一息に飲み下す。熱くも無く、かといって温くも無い。正に絶妙な温度のお茶がスルスルと俺の喉を通って行くのを感じる。そんな俺を見て満足気に微笑む姫島さん。改めて思う。この子・・・完璧過ぎる。美人で、スタイルも良くて、性格も穏やかで(ちょっとSよりだが)、自分は一歩引いて相手を立てる奥ゆかしさも魅力的だし、たまに部室で出してくれる彼女手作りのお菓子も絶品だから料理だってきっと上手なんだろう。こんな子を将来お嫁さんに出来る男ってマジで幸せだろうな。・・・いや、すでにその段階で一生分の運を使い切ってたりして・・・。

 

「神崎君? どうかしました?」

 

「いや、気にしないでくれ。キミの魅力を再確認していただけだ」

 

まあ、俺にとっては高嶺の花だ。こうして友人でいられるだけでも恵まれてると思わないとな。

 

「それで姫島さん、話というのは?」

 

「え!? あ、そ、そうね! 話をしないといけないわよね!」

 

何をそんなに慌ててるんだろう? 妙にあたふたする姫島さんに、俺は疑問符を浮かべた。しかし、次の瞬間には、彼女の顔が真剣なものへ変わる。その様子に自然と俺も背筋が伸びた。

 

「憶えていますか、神崎君。以前、私はあなたに聞きました。もしもあなたの傍に正体を隠している堕天使がいたらあなたはどうするかと」

 

「ああ。確かプールでの事だったな」

 

キミの刺激的な格好が印象深過ぎて未だにクッキリ憶えてます。口に出したら軽蔑されそうなので言いませんけど。

 

「あの時、私はもしもの話としてあなたに聞きましたが、本当は違うんです。実際に、あなたの傍に堕天使はいたんです」

 

え、マジ話だったの? 誰だろう。クラスの誰か? それとも・・・まさかの山田先生とか?

 

「これが・・・その正体です」

 

姫島さんが突然翼を広げた。けれど、それは今まで見て来た物とは違っていた。片方は悪魔の翼。そしてもう片方は・・・黒い翼。それは、レイナーレさんやアザゼルさんとまったく同じ物だった。

 

「キミが・・・堕天使?」

 

「・・・そうです。堕天使の幹部であるバラキエルと、人間である母の間に生まれた者。それが私です」

 

つまり、ハーフ? ヴラディ君と一緒じゃん。あっちは吸血鬼だけど。

 

「私は汚れた翼を持っています。それが嫌で嫌で仕方無かった。あの男の血を引いている証であるこの翼が・・・! だからリアスと出会って私は悪魔になった。これでこの忌まわしい物から解放されると信じて」

 

堕天使の方の翼を憎々しげな表情で掴む姫島さん。ふと、その顔が自嘲に変わった。

 

「でも、結果はこの通り。悪魔と堕天使の両方の翼を持ったおぞましい存在。どちらにもなれず中途半端な存在でしかない。ふふ、汚れた血が流れている私にはむしろお似合いなのかもしれないですね」

 

そうかそうか。自分は汚れてて、おぞましくて、中途半端ですか。なるほどなるほど。・・・お兄さん、そういうの許せないなぁ。

 

よかろう。ここはいっちょ、OSEKKYOUさせてもらおうじゃないか!

 

SIDE OUT

 

 

朱乃SIDE

 

彼の前で、私の抱えていた闇を吐き出す。けれど、神崎君は何も答えない。その代わり、私に向かって手を向けると、親指と中指で輪を作った。不可解な行動に戸惑う私の額を、突然の激痛が襲った。

 

「ふあっ!?」

 

咄嗟に額を手で押さえる。い、いったい何事!? あまりの痛みに涙まで出て来てしまった。そのまま神崎君を見ると、彼の中指が私の方へ伸びていた。そこで理解する。私は今、彼にデコピンされたのだ。

 

「か、神崎君?」

 

「・・・姫島さん。俺はな、友人を蔑む相手が大嫌いなんだ。たとえ、それが本人だとしてもな」

 

神崎君の瞳に怒りが宿っていた。確かに、普段物静かな彼だけれど、友達や仲間に手を出されると途端に豹変する。現に、エクスカリバーの件の時は、アーシアちゃんを傷付けた二人を振るえあがらせるほどの感情を見せていた。さらに、黒歌さんを傷付けたコカビエルを圧倒的な力で蹂躙してみせた。そんな仲間思いな彼がこうして怒っている。私を蔑んだ私自身に対して。

 

「リアスといい、キミといい、どうしてそこまでこだわるんだ。堕天使だろうがなんだろうが、そんな事は問題にすらならない。姫島さんは俺にとっては大切な友人だ。汚れてもいないし、おぞましくもないし、中途半端でもない」

 

神崎君が私の肩を掴み、顔を近付けて来る。至近距離に迫る彼に心臓が跳ね上がるのがわかった。

 

「ああ、そうだとも。あの時も言ったが、本当にどうでもいい。理解してもらってないようなので、もう一度ハッキリ宣言させてもらうぞ。姫島朱乃は俺のかけがえのない友人だ。その正体がなんであろうと、その関係を崩す気は無い!」

 

「ッ・・・!」

 

真っ直ぐに私を見つめる神崎君。そこには同情も憐れみも存在しない。あるがままに私を受け入れようとしている彼の激しくも温かい言葉に、気付けば頬を涙が伝わっていた。

 

「それに、こうして改めて見ると綺麗な翼じゃないか。コカビエルの物とは比べる事すらおこがましい。キミの清らかな心がそのまま形になったと思うくらいだ」

 

・・・ずるい。反則だ。そんな事まで言われたら、そんな風に優しく撫でられたら、もう抗いようがないじゃない。あの時、プールで彼に抱いた感情は間違っていなかった。私は、彼を、彼の事を・・・。

 

リアス、アーシアちゃん、黒歌さん、それにもしかしたら小猫ちゃんもゴメンなさい。私・・・もう自分の気持ちを抑え切れない。

 

「姫島さん?」

 

俯いてしまった私を心配したのか、神崎君が覗きこんで来る。そんな僅かな優しさでさえ嬉しくなってしまう。ああ、自覚するとこんなにも世界が変わって見えるなんて・・・。

 

「これからは朱乃って呼んで。あの時のように」

 

「え? あ、ああ、キミがいいのなら名前で呼ばせてもらうけれど」

 

「お願い」

 

「なら・・・朱乃。これからも、友人としてよろしく頼む。俺の事もよければ名前で呼んでくれ」

 

プールでの時は、恥ずかしさしか感じなかった。けれど今、こうして彼の口から私の名前が出た瞬間、全身を圧倒的な歓喜が包みこんだ。ああ、この感情は危険だ。多くの男女がこの感情の所為で破滅してしまった気持ちがよくわかる。他の全てを放り出しても構わないとさえ思ってしまう。

 

リョーマ。あなたの言葉は本当に嬉しい。・・・けれど、私は友人で終わるつもりは無いから。精々覚悟していてちょうだい。

 

「ふふ・・・」

 

私・・・姫島朱乃は恋をした。相手の名前は神崎亮真。どこまでも強く、どこまでも優しい素敵な男の子。前途は多難だ。ライバルは多い。それでも、譲るつもりは無い。

 

だって、彼以上に魅力的な男性なんて、これから先には絶対に現れないって断言出来るから・・・。

 

この初恋を、いつか必ず実らせてみせよう。一歩一歩、着実に歩んで行こう。彼との未来をこの手に掴む為に。




違う! 私が書きたいのはこんな騎士(真)では無い! 勘違いを繰り返す騎士(笑)が書きたいのだ! なのにどうしてこんな事に。

こうなったら、予定よりも早く赤と白をぶつけるしか・・・!

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