ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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熱血、ネタ、シリアスもどき。頂ける感想が多い順に並べてみました。こうして見ると、みなさんが何を求めてこの小説を読んでくださっているのかがわかります。・・・ま、これからも好き勝手書くのは変わりませんけどね!

三月一日、一部を書き直しました。


第百六十話 受け継がれる遺志

目の前に兵藤君が立っている。彼はどこか寂しそうな笑みを浮かべながら俺に背を向け、そのまま歩き始めた。

 

「兵藤君? どこへ行くんだ?」

 

俺の問いかけに兵藤君は答えない。・・・どうしてか胸がざわつく。このまま彼を行かせてはいけない。何故か俺はそう思った。

 

「待ってくれ兵藤君―――」

 

ッ!? 足が動かない!? くそ、何でだ! 早くしないと兵藤君が行ってしまう!

 

必死になって動かそうとするが、何かに抑えつけられているかのように俺の体は微動だにしなかった。まるで、俺に彼を追いかける資格はないとばかりに。

 

「行かないでくれ! 止まってくれ兵藤君ッ!」

 

兵藤君の姿が消える。瞬間、俺を縛っていた何か外れた。すぐさま彼を追う為に走る俺の眼前に扉が現れた。もしかして、兵藤君はこの先に・・・!

 

扉を開けた瞬間―――世界が一変した。俺の前に現れたのは兵藤君では無く、小さな一軒家だった。

 

「これ・・・俺が住んでた家じゃないか・・・」

 

リアス達と同居している今の家では無い。かつて・・・俺が元の世界で両親と一緒に住んでいた家だ。俺と父さん、そして母さんの名が書かれた表札がそれを証明していた。懐かしい。懐かしいけど・・・何でここに? そもそもここは何処だ? まさか、元の世界に帰って来たのか・・・?

 

戸惑いはあったが・・・それ以上の懐かしさに駆られ、俺は家の中へ入る事にした。ドアを開ける。鍵はかかって無かった。玄関から短い廊下を進み、居間へ足を踏み入れる。そこは、今まで一度も使用されていないかの様に、生活感をまるで感じさせない場所だった。

 

「・・いるわけないよな」

 

ひょっとしたらと思ったんだが。・・・まあいいか。

 

居間を出た俺が次に向かったのは・・・自分の部屋だった。階段を上ってすぐの部屋。そこが俺の部屋だ。

 

「・・・え?」

 

扉を開けた俺は目を丸くした。部屋の中には机と椅子しか存在していなかったのだ。使っていたテレビもベッドも本棚も見当たらない。やっぱり、ここは俺の家であって俺の家じゃないのか・・・?

 

室内を見渡していた俺の視線が机の上で止まる。そこには一冊の本が置かれていた。図鑑くらいの大きさをしている。調べてみるか。もしかしたらこの場所について何かわかるかもしれないし。

 

「これは・・・写真?」

 

椅子に座って本を開く。そこには波打ち際ではしゃいでる男の子と、その傍で微笑んでいる女性の姿が映った写真が貼られていた。その写真の下には「亮真、始めての海!」と書かれている。・・・もしかしなくても俺か? じゃあ、この女性は・・・母さん?

 

ページを捲ると、今度は男性に抱きかかえられて泣いている男の子の写真があった。「亮真、お化け屋敷で号泣」・・・これ、父さんか。

 

次のページも、その次のページも、映っているのは俺だった。小さかった俺が少しずつ大きくなっていってる。これじゃ成長記録みたいだな。

 

「で、これが高校の入学式か」

 

誰かにお願いしたのか、父さんと母さんが揃って笑顔で立っている。だが、その間に立つ俺の顔はふてくされたものになっていた。・・・我ながら思い出すのも嫌になるが、この頃の俺は両親の事があまり好きじゃなかったんだよな。今の俺が聞いたらぶん殴りたくなるくらいの言葉を吐いた事もあったっけ。たしか・・・。

 

『俺は、絶対に父さんや母さんのような人間にはならない』

 

そうそう、こんな感じ・・・って、え?

 

『赤の他人を助けたって意味が無い。それで何か返って来るのか? 二人がやってる事はただの自己満足なんだよ』

 

部屋に響き渡る声。それは、俺が昔、父さんと母さんに向けて放った言葉だった。

瞬間、俺の心が回想を始める。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

神崎達人と神崎泰葉。それが俺の両親の名前だった。二人はごく普通の家に生まれ、ごく普通に育ち、ごく普通に進学し、ごく普通の会社に就職し、ごく普通の出会いを果たし、そしてごく普通の結婚を果たした。だけどただ一つ違っていた事があった。それは・・・どちらも“超”が三つくらいつくほどのお人好しだったのだ。

 

たとえば、道に迷う人間がいたら教えるのでは無く必ず案内するなんてのは序の口で。自分は関係ないのに、散らばっていたゴミを一人で回収する。さらには、バス停で忘れ物を持ってバスを追いかけ持ち主に渡す。挙げ出したらキリが無い。これが周りの人間へのいい人アピールならまだいい。しかし、あの二人は素でそれをやってのけるから性質が悪かった。

 

だが、そのおかげか近所からの評判はすこぶる良く、「町内一の親切夫婦」・・・なんて呼ばれていて、二人の周囲には自然と人が集まる様になっていた。父さんは、仕事先で目撃した事故現場で率先して人命救助をした事で表彰された事もあった。また、母さんは買い物途中で出くわした妊婦さんが産気づいた場面に居合わせ、救急車を手配し、病院に到着するまでずっと妊婦さんを励まし続けた過去があり、その時には旦那さんに泣いて感謝されたらしい。

 

小さい頃は、親のやっていた事が理解出来ず、ただ単純に自分の親は凄いとしか思って無かった。そんな俺も、小学校高学年になる頃にはそれを理解し、自慢の両親だと尊敬する様になった。俺も、将来は父さんと母さんみたいに優しい大人になりたいと思うくらいに。

 

だが、中学二年生になる頃、その思いを捨て去る事になる事件が起こったのだ。

 

『おい神崎! お前のとこのお節介ババアなんとかしやがれ!』

 

ソイツは、学校でも札付きの不良だった。不良と言っても、漫画とかに出て来る硬派な不良では無く、典型的なイタイタイプの不良だった。ソイツ曰く、カツアゲしている所を俺の母さんに見られた所為で失敗したとかなんとか。

 

一緒にいた友人達は「逆恨みだろ馬鹿」と一蹴したが、ソイツは周りに聞こえる様な大声で罵声を浴びせて来た。

 

『余計な真似をすんなっつってんだよ! “便利屋”のくせによぉ! どうせ、周りにいい人に見られてえからそういうポーズしてるだけだろうが!』

 

『便利屋・・・? おい、今のどういう意味だよ?』

 

『おめえの親はな、陰で便利屋って呼ばれてんだよ! ちょいと泣きつきゃこっちの望むとおりに動いてくれる奴隷みてえなヤツ等だってな!』

 

―――そこからの記憶は今でも思い出せない。気付けば、俺は友人達に取り押さえられていて、目の前では顔を血まみれにさせたソイツが泣きながら「ごめんなさい」を連呼していた。確か、プッツンすると記憶が飛び始めたのはこれが最初だったはずだ。

 

次の日、母さんが学校に呼ばれた。そしてその日の夜、父さんを交えての家族会議が行われた。

 

『亮真。なんでお友達を殴ったりしたの?』

 

『あんなヤツ、友達なんかじゃない! 二人を・・・父さんと母さんを便利屋だの偽善者だの呼んだヤツなんか・・・!』

 

俺が聞いた事をそのまま伝えると、二人は何が面白いのか揃って微笑んだ。

 

『便利屋か・・・中々面白い呼び名じゃないか』

 

『ふふ、そうね』

 

怒りを全く感じさせない二人を見て俺は唖然となった。

 

『何で怒らないんだよ! 父さん達の善意は利用されてたんだぞ! 感謝どころか馬鹿にされてたんだぞ! なのに・・・何で怒らないんだよ!』

 

『・・・そう。亮真、あなたは私達の為に怒ってくれたのね。でもね、亮真。それでも人に暴力を振るってはダメよ』

 

『母さんの言う通りだ。それにな、俺達は別に感謝されたくて人助けをしているわけじゃないぞ。それが正しいと・・・それが俺達にとって正しい選択だと信じて行動しているだけだ』

 

『そして、その行動の結果が偶然人助けに繋がっているだけなの。だからね、人に利用されていたとしても、馬鹿にされていたとしても、私達は私達の信じた道を進むの』

 

『そもそも、そんな事を考えていたら誰も助ける事なんて出来ないからな。それが偽善だと言うのなら、俺はそれでも構わないと思っている』

 

周りになんと言われようと、自分達の心に従って行動する。その信念とでも呼ぶべきものが二人の中にはあった。・・・けど、当時の俺にそれを理解出来るだけの意思は無かった。

 

『・・・何だよそれ。人に馬鹿にされてもいいなんて・・・俺には理解出来ねえよ!』

 

そして、俺は二人にあの言葉を叩きつけたんだ。それを聞いた父さんは小さい声で「・・・そうか」とだけ言い、母さんは悲しそうな顔で俺を見ていた。

 

その日から、俺の目に映る景色が一変した。両親の友人や仕事仲間・・・周りに集まる全ての人間が、二人を利用するつもりで近づいて来ている様に思えて仕方が無かった。感謝の言葉を聞いても、薄っぺらにしか聞こえず、どうせ裏では次はどうやって利用してやろうか考えてるんだろう・・・なんて事ばかりを考えていた。この頃から、俺は少しずつ両親から距離を取る様になっていた。

 

高校生になってしばらく経った頃、結婚記念日を迎えた両親はわざわざ有休をとって二人でデートしに隣町のデパートへ出かけて行った。

 

『じゃあ、行って来る』

 

『お土産たくさん買って帰るからね』

 

『へーへー』

 

今日くらいは自分達を優先しろよと言いたかったが、どうせ無駄だと思って俺は適当に二人を送り出した。そして―――これが俺と両親が交わした最後の言葉だった。

 

夜の八時を過ぎても帰って来ない両親を流石に不審に思った俺の元に一本の電話が入った。相手は病院の人間だった。次の瞬間、相手の発した言葉に俺の頭は真っ白になった。

 

『落ちついて聞いてください。・・・あなたのご両親が亡くなりました』

 

俺はすぐさま家を飛び出し病院へ向かった。息を切らせながら飛び込んだ俺を待っていたのは、医者と警察。父さんと母さんの仕事仲間達。そして・・・冷たくなった両親だった。

 

寝溜めしてやろうと半日以上ベッドで横になっていた俺は、隣町で発生した事件・・・一人の男による無差別殺傷事件の事を知らなかった。父さんと母さんはそれに巻き込まれたのだ。

 

『キミのお父さんとお母さんは、それぞれ襲われそうになった女子高生と男の子を庇って犯人に刺されたんだ』

 

父さんは女子高生の盾になって心臓を一突き。そして母さんは、男の子に覆いかぶさってその背中を十数か所も刺されていた。それでも、最後まで男の子を守りきった。

 

警察の人の説明を、俺は他人事の様に聞いていた。後から父さんの同僚の人に言われたが、この時の俺はまるで人形の様に生気が感じられなかったらしい。頼るべき親類もいない。俺はこの日、天涯孤独の身となったのだ。

 

それから二日後、父さんと母さんの葬儀が執り行われる事となった。十六のガキに式場の手配出来るはずも無かったが、父さんと母さんの同僚の方達が手伝ってくれたおかげで何とか形だけは整える事が出来た。

 

式の開始が数分後に迫る中、俺は式場の最前列の席の端に座って、両親の遺影を見つめていた。同僚の方達はずっと泣いていたが、俺は両親が死んでからこの日まで全く泣けなかった。

 

『・・・だから言ったんだよ。他人なんか助けたって何に意味も無かったんだよ・・・!』

 

感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い、吐き気すら催した。もういい。こんな式さっさと終わらせてくれ。・・・そんな風に思っていた時だった。父さんの上司だった人が慌てた様子で式場に飛び込んで来たのだ。

 

『た、大変だ亮真君! すぐに来てくれ!』

 

何事かと思って式場の外へ出た俺は目を見開いた。式場の前には、大勢の人が長蛇の列を作っていたのだ。式場のスタッフ総動員で誘導や整理を行っている。

 

『この人達は・・・?』

 

『参列者だよ。キミのご両親の葬儀に・・・これだけの人が集まったんだ!』

 

『え・・・』

 

その言葉はとても信じられるものでは無かった。ウチの親は有名人でも何でも無いただの一般人だ。その葬儀にこれだけの人数が集まるわけが無い。どう見ても百や二百で収まる数じゃ無かった。

 

そして葬儀が始まった。これだけの人数を収容するのは不可能だという事で、焼香だけしてもらう事になった。

 

俺達が済ませた後、最初に現れたのは両目から涙を溢れさせた女性だった。

 

『泰葉ちゃん。私です。高校の時、あなたと同じクラスだった香里です。虐められていた私を、あなただけが助けてくれた。あなたがいなければ、私は自殺してたかもしれない。あなたは私の命の恩人。・・・そんなあなたがどうして・・・!』

 

それ以上言葉に出来ないのか、女性は嗚咽しながら焼香する。それを済ませて振り返り、去り際に俺の前に立った。

 

『あなたのお母さんは本当に優しい人だった。ありがとう。本当にありがとう・・・!』

 

『あ、い、いえ、別にお礼なんか・・・』

 

女性は深々と一礼し去って行った。次に現れたのは、やけに凄みのある、頬に傷を持つ男性だった。

 

『・・・よお、兄弟。まさか、俺よりも先に逝っちまうとはな。だがまあ、他人を守って散るなんざ、お前らしい最期だと思うぜ』

 

男性は父さんの遺影を眺めながら喋り続ける。

 

『きっかけは勘違いだが、お前はウチのオヤジを守ってくれた。それからずっと、お前は俺の組の恩人だ。あの野郎がどういう刑になるかわからんが、万が一クソみてえな判決だったその時は・・・俺達が落とし前をつけてやるからな』

 

背筋が冷たくなるほどの声でそう言い、男性が俺の前に立つ。

 

『・・・お前さんがアイツの息子か』

 

『は、はい。あの、父とはどういうご関係で?』

 

『恩人だよ。お前さんの親父は。・・・強く生きろよ。アイツの息子なら、どんな荒波だって乗りこなせらぁ』

 

ポンと俺の肩を叩き、男性は去って行った。結局、父さんとこの人の間に何があったのかは知る事は出来なかった。・・・まあ、知らない方がよかったんだろうけど。

 

それ以降の人達も、父さんか母さんに何をしてもらったか、どう助けてもらったかを語り、去る時には俺にお礼を言って来た。そこでようやく俺は気付いた。式場の前に集まった人達・・・その全てが父さんと母さんが助けて来た人達だったのだと。

 

『・・・なに言ってんだよ。なに泣いてんだよ。アンタ等は父さん達を利用してたんだろ。馬鹿にしてたんだろ。なのに・・・何で感謝してんだよ。何で・・・何でそんなに悲しそうに泣いてんだよ・・・!』

 

これじゃあまるで、父さん達が正しかったみたいな感じじゃないか・・・。

 

『達人・・・。お前が貸してくれた金で興した会社。やっと軌道に乗ったよ。これでやっと、お前に恩返しが出来るって思ってたのに・・・こんなのってねえよぉ!』

 

後日、この人は貸していた金に加え、さらに巨額の謝礼を俺の所へ持って来てくれた。

 

気付けば、残りの参列者は六人。それは、父さんと母さんが守った女子高生と男の子、そしてその家族だった。

 

『私達の娘を、あなたのお父さんが命をかけて守ってくださった。私達家族は、あなたのお父さんの事を一生忘れません!』

 

『何度も刺されて苦しかったはずなのに、あの方は息子を庇い続けてくれた。この気持ちは、言葉に出来るものではありません・・・』

 

土下座する勢いで頭を下げて来るその人達を見ている内に、俺の頬を熱い何かが流れて行った。

 

『亮真君、神崎はよく言っていたよ。「自分は特別な才能もない凡人だ。そんな自分だからこそ、人として真っ直ぐに生きていきたい。助け合う事の大切さ・・・それだけが自分が息子に教えられるたった一つの事だ」とね』

 

―――困っている人がいたら、よほどの事が無い限り助けてあげなさい。それがお前自身の幸せに繋がるはずだ。

 

『意味が無かったわけじゃない・・・。自己満足だったわけじゃない・・・』

 

この瞬間、俺はやっと理解出来た。二人のやって来た事はずっと繋がっていたんだ。あれだけの人達が父さんと母さんの為に泣いてくれた。確かに利用していたヤツもいたのは間違い無いんだろう。けれど、純粋に父さんと母さんに感謝していた人達も確かにいたんだ。ここに来てくれた人達はみんな二人に感謝していた。それは・・・父さんと母さんの優しさが紡いだ絆があったからだ。誰が言ったかはわからないが、人の価値はその人間が死んだ時にどれだけの人が泣いてくれるかでわかるらしい。それに当てはめるならば、俺の両親は・・・間違い無く立派な人達だったんだと思う。

 

『あ、あの・・・』

 

女の子が俺の前に立つ。今にも泣きだしそうな顔になっていた。

 

『ゴメンなさい・・・。ゴメンなさい・・・。私の所為で、私の所為であなたのお父さんが・・・!』

 

『・・・いいんだ。きっと父さんはキミを守れて満足したはずだ。・・・だから、キミは精一杯生きてくれ。父さんも、きっとそれを望んでいるはずだ』

 

『ッ・・・! う、うう・・・!』

 

『僕も・・・僕も精一杯生きる! 僕を守ってくれたおばちゃんの分もたくさん頑張る!』

 

男の子の決意が籠った視線が俺を射抜く。母さん・・・。母さんの思いは、この子の中に残ってるよ。

 

そしてこの日から俺は誓ったんだ。父さんと母さんの様に、俺も人に手を差し伸べられる人間になるのだと。それが・・・あの二人の間に生まれた俺が成るべき姿なのだと。

 

それこそが俺の・・・「お節介が服を着て歩いている」と揶揄される神崎亮真という人間の始まりだった。それからの事は・・・まあ思い出す必要も無いだろう。

 

「―――それが、今のアンタの根源なんやな」

 

回想を終えた俺の背後・・・部屋の入り口にオカンが立っていた。

 

「ここは、アンタの心の最奥の世界。アンタが大切にしまいこんでいた記憶の世界や」

 

そうか、このアルバムやあの声はそういう事だったのか。

 

「アンタの精神は大きなショックを受けた。その所為で、こんな場所まで意識が落ちて来てしもうたんや」

 

精神に大きなショック・・・?

 

―――・・・ええか。落ち着いて聞くんやで。アンタの後輩が・・・。

 

「ッ・・・!?」

 

その瞬間、全ての記憶が蘇って来た。俺はオカンに詰め寄る。

 

「どういう事ですか! 何で兵藤君が死なないといけないんですか! 俺が知らない間に彼に何があったって言うんですか!」

 

「あー・・・実はその事なんやけど・・・。ウチもな、いきなり言われて慌ててもうたんよ。せやから、ロクに確認もせずにアンタに伝えてしもうたんやけど・・・」

 

「何ですか!? 言いたい事があるならハッキリ言ってください!」

 

「・・・あの子、生きとった」

 

「・・・はい?」

 

「せやから・・・イッセーちゃん、生きとった」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ファッ?

 

「あれからすぐ、別の子がウチの所に来てな。そう教えてくれたんよ。その・・・最初に来た子はちょっとおっちょこちょいな所があってな。それでつい・・・」

 

俺はオカンの肩を力一杯握り締めた。

 

「痛い痛い痛い! ちょ、食い込んどる! 指がえげつないくらい食い込んどるってぇ! おかしいわ! ウチ、神様やから痛み感じへんはずやのにぃ!」

 

「・・・人の死を冗談に使わない。あなたはそう言いましたよね・・・?」

 

「ちゃうんや! あの時はウチもそう思っとったからああ言っただけで!」

 

「では・・・改めて納得の行く説明をしてもらいましょうか・・・」

 

(あ、これアカンわ・・・)




というわけで、オリ主の性格の秘密はこんな感じでした。本当ならもっと長く書く予定でしたが、とある方に余計な話が多すぎるとお叱りを受けたので削りました。色々ご意見はあると思いますが、オリ主にとってはいい両親だった・・・という感じで一つお願いします。

そして、誰得なシリアスもどきは今回で終了。次回からオリ主側の反撃が始まります。また、主要メンバー以外にも、ペットな親子、焼き鳥、ライオンさん、そしてあの教団のみなさんにも活躍してもらいます。

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