ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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天獄篇発売前に更新出来てよかった・・・。


第百話 家族が増えたよやったね騎士(笑)!

気合いを入れて蛇龍の大群へ突撃をかましたわけだが、正直言って俺の出番は全くと言っていいほど無かった。というのも、俺が相手をしようとする度に、横からフェンリル達がガブリと行っちゃって倒してしまうのだ。なんとなくだけど、俺を守ってくれている様にも思えた。

 

やっぱりいい子達だ。けど、これで諸悪の根源はロキだという事がハッキリした。口ぶりからして、フェンリル達の噛みつき癖はロキが意図的につけさせたみたいだったし、言う事を聞かないだけで裏切り者呼ばわりとかもう見てて痛かった。ペットは意思のあるパートナーであって、決して所有物ではないのだ。

 

そんな事を考えつつ、三頭のガブガブタイムを後ろから眺めていると、突然もの凄い光が俺の視界を奪った。それが何なのか確認すると、向こうの方でヴァーリさんがお姫様になっていた。・・・普通に可愛かった。無理にセクシーな方向に進まなくても、ああいう方が俺は好きだ。まあ、俺の好みがどうだろうと彼女には関係無いし、そもそも露出強だしな。

 

でも、お姫様の格好でロキをボコボコにしている姿は中々にシュールだった。ドMなはずの彼女が、遠目でも楽しそうだったのが印象的だった。

 

しかしまあ・・・本当に驚かされたのはこの後だったんだよな。

 

「光にぃぃぃぃぃ・・・なぁぁぁれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

兵藤君、まさかの勇者王化! おかしい。俺はミリキャス君にしかスパロボの話はしてないのに、何で兵藤君があのトンデモ技を・・・!?

 

呆然とする俺が見つめる中、兵藤君は“喰らうと光になるハンマー”をロキに向かって振り下ろした。ヴァーリさんの時以上の光や爆音の奔流に耐え、次に俺が目を開けた時には全てが終わっていた。

 

こうして、ロキとの戦いは決着したのだった。あ、ミドガルズオルムはスタッフ(フェンリル)達が残さず頂きました。・・・あの巨体を飲み込むとかホラーってレベルじゃ無かった。

 

にしても、こうしてミドガルズオルムの姿を自分の目で見て改めて思ったが・・・ジェニオン・ガイのあの技はミドガルズオルム要素が本当に皆無だな。スタイリッシュ指パッチンも含めて、後編ではその辺りはどうなったんだろう。・・・思い出したらやりたくなってきたわ。

 

そして、あの一撃で力を使い果たして気絶した兵藤君が目を覚まし、リアスが勝利宣言をした後、俺達がやる事になったのは戦場の修復だった。改めて見ると、地面とか穴ぼこだらけだ。これを全部直すとか中々に大変そうだ。・・・木場君に頼んで守護者の剣(農耕用)でも創ってもらおうか。

 

「がうがう!」

 

と思ったら、ここでもフェンリル達が頑張ってくれた。誰に言われるでも無く、穴に土を盛って大きな足で踏み踏みして平らに直してくれた。その動きが妙に和むんで思わず作業の手を止めて見ていたら、黒歌に「浮気者~!」と罵られたが、ともかく作業がかなり捗りそうだった。

 

そういや、この三頭はどうなるんだろう。ロスヴァイセさん曰く、ロキはこれからしかるべき場所へ運ばれるらしいから離れ離れになるけど、その間誰が面倒みるんだ? やっぱりオーディンさんだろうか。

 

「ふふ、神喰狼にあんな事させるなんてあなたぐらいのものね」

 

そんな心配をしていると、ヴァーリさんに声をかけられた。すでに露出強モードではなく、普段着に戻っている。

 

「いや、俺は別に何も言って無いぞ。彼等が自主的にやってくれているんだ」

 

「そうすればあなたが喜んでくれるからよ。あの目を見れば、あの三頭があなたに懐くどころか心酔しているのがハッキリわかるわ。本当にどうやって手懐けたのかしら」

 

本当に懐いてくれたのなら、むしろ俺がその理由を聞きたいです。

 

「でも、終わってみると本当にアッサリだったわね。あなたがフェンリル達やミドガルズオルム達を相手にしてくれたというものあるけれど、まさかロキがあの程度だったなんて・・・ガッカリもいいところだわ」

 

「・・・あの一方的なシーンを見ていた者としては、ロキがどうこうよりキミが強すぎるからだと思うのだが」

 

「あら、見てたの?・・・って、ちょっと待って。という事は、私の『覇龍』も・・・?」

 

俺が頷くと、ヴァーリさんは何とも言えない表情を浮かべた。・・・まさかとは思うが、露出強だから肌の面積が少なくなる様な格好になるのが嫌・・・とかいうわけじゃないよな?

 

「はあ・・・一誠の『覇龍』の参考になればと思ったけれど、やっぱり使わない方がよかったわね。よりにもよってあの場面であの格好にさせられるなんて・・・」

 

「どうしてそこまで不満なのかはわからないが、よく似合ってたと思うぞ」

 

「え・・・?」

 

「むしろ、俺はああいう姿の方が好きだな。遠くからしか見れなかったけど、本当にお姫様かと思ったよ」

 

見てるこっちが恥ずかしくなる様な露出強姿よりも、あっちの方がずっといいと思うんだ。

 

「やれやれ、何で俺っちまでこんなめんどくさい事をぶっ!?」

 

―――本当に一瞬の出来事だった。修復作業の為に近くを通りがかった美猴さんの腹に、ヴァーリさんがワンパンをかました。

 

「うぐおぉぉぉぉぉぉ・・・! い、いきなり何してくれてんだヴァーリィ・・・!」

 

「ごめんなさい。自分でもわからないけど、胸の中に渦巻いている変な感覚を追い出そうとしてつい・・・」

 

「理不尽過ぎ・・・んあ? なんか少し頬が赤えぞぼっ!?」

 

二回目の理不尽ナックルを受け、美猴さんがその場に倒れ伏した。

 

「どうも戦闘の熱が治まって無いみたいね。ちょっと向こうでクールダウンして来るわ」

 

「あ、ああ・・・」

 

何故この場面で突然グレイフィアさんみたいになってしまったのかは知らないが、余計な発言をして次の標的になりたくなかったので、俺は去って行くヴァーリさんを見送るのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

それから何時間が経っただろう。ようやく修復作業が完了した所で、俺達はオーディンさんが会談していたホテルへ戻って来ていた。

 

「ふむ、やっと戻って来おったか」

 

すっかりヘトヘトになった俺達を、オーディンさん、アザゼル先生、そして支取さん達が迎えてくれた。続いて、アザゼル先生の指示でロキがどこかへ連れて行かれた。おそらく、俺が彼の姿を見る事はもう無いだろう。

 

「ご苦労だったな。お前達のおかげで、こっちも無事に終了したぞ」

 

「それはよかったですけど、アザゼル先生」

 

「何だ?」

 

「どうしてこっちじゃなくてあさっての方向を向きながらしゃべるんですか?」

 

(・・・視界に“そいつ等”を入れたくねえんだよ。なに普通に連れて帰って来てんだお前は・・・)

 

「「「ぐるるる」」」

 

「ほっほっほ。驚いたのぉ。まさかフェンリル親子を手懐けてしまうとは」

 

俺達の後ろに並ぶフェンリル達を見て、オーディンさんが腹を抱えて笑った。

 

「どうじゃ騎士殿。お主さえよければ、その三頭の面倒、お主が見てくれんか?」

 

「え?」

 

まさかの提案に俺は目を丸くする。そこへロスヴァイセさんが慌てた様子で異議を唱える。

 

「お、お待ちくださいオーディン様! 神喰狼を一個人に託す等・・・!」

 

「じゃがのぉ、ロスヴァイセ。正直、ワシですら余裕でぶっ殺されてしまう様な存在は扱いに困ってしょうがないのじゃ。しかし、この青年ならば問題は無い。なにせ、神殺しの牙を砕いてしまうのじゃからな」

 

「ですが・・・」

 

「ええい、ワシが決めたのじゃから文句を言うでない。さあ、答えを聞かせてくれんか騎士殿。この三頭ならばちょうどいい番犬になると思うぞぃ」

 

「でも、この大きさだと色々マズイんじゃねえの?」

 

兵藤君の言う通りだ。流石にこのサイズじゃ誤魔化しきれない。

 

「それなら問題無いわい。グレイプニルは使っておらんのじゃろ?」

 

「え、ええ。必要無かったから」

 

「ほいほい。ならばこうしてしまえば・・・」

 

オーディンさんが何かを詠唱すると同時に、フェンリル達の足下に魔法陣が出現し、そこから伸びて来た鎖がフェンリル達の首に巻きついていった。

 

直後、フェンリル達の体を光が包み込む。その光の中で、フェンリル達のシルエットが少しずつ小さくなっていくのが確認出来た。

 

俺達が見守る中、光が徐々に治まっていき、それが完全に消えた時、あれほどの巨体だったフェンリル達の姿が豹変していた。フェンリルは凛々しい成犬サイズ、そしてスコルとハティは可愛らしい子犬サイズにまで小さくなっていた。

 

「グレイプニルでリミッターをかけた。大きさもこの通りじゃ。これで文句あるまい?」

 

た、確かにこれなら問題無いと思うけど・・・どうしようみんな?

 

「決定権はあなたにあるわ。だから私は何も言わない」

 

「わ、私もリョーマさんにお任せします」

 

「・・・正直、不満しかないけど、ご主人様が私もしっかり可愛がってくれんなら我慢するにゃ」

 

「私は問題ありません。・・・べ、別に姉様みたいに可愛がって欲しいとか思ってませんからね」

 

つまり、結局俺次第というわけか・・・。なら、後は彼等自身に聞いてみるか。

 

「俺の所に来るか?」

 

「「「わん!」」」

 

尻尾を大きく振りながら俺を囲むフェンリル達。・・・それを見て俺も心を決めた。

 

「・・・オーディンさん。この三頭、俺に預けてもらってもいいですか?」

 

「決まりじゃな。精々可愛がってやってくれ」

 

こうして、俺の家に新たな家族が増える事となった。帰ったら色々準備しないとな。

 

(・・・とてもじゃないけど、譲ってくれなんて言える空気じゃないわね。残念だけど、今回は諦めましょう)

 

「ヴァーリさん?」

 

「何でも無いわ。ねえ、ちょっと撫でさせてもらっていいかしら」

 

「ああ、どうぞ」

 

俺はスコルを抱き上げてヴァーリさんに近付けた。

 

「ふふ、可愛―――」

 

「がうっ!」

 

ヴァーリさんが撫でようと手を近付けた途端、スコルはヴァーリさんの手を“ぱっくん”した。

 

「ふ、ふふ・・・。リミッターをかけてこの痛み・・・。流石神喰狼ね」

 

納得した表情でそんな事言ってる場合じゃないよ! 思いっきり血が出てるじゃん! 決めた! 俺の家で住む間に、この癖、絶対に直してみせるぞ!

 

アーシアに手当てされるヴァーリさんと、俺の手をぺろぺろ舐めているスコル、自分も抱っこしろとばかりにズボンを引っ張って来るハティをそれぞれ見つめながら、俺はそう決心するのだった・・・。




神崎家の要塞化がまた一歩前進しました。近い将来、世界一安全な場所として三陣営のみなさんに広く知られる事になりそうです。

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