闇の魔法を使える武偵っておかしいか?   作:トナカイさん

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活動報告にてヒロインに関するアンケートとってます。
七月末までなのでまだの方はお早めに!


装填8『闇の福音』

武偵高の校門に着いた。

遅刻を覚悟していたが時計を見ると時刻は8時10分だった。

アリアと金次はまだ着いていない。

小太郎は多分もう着いてると思う。

アリア達と一緒じゃないのは理由がある。

金次の馬鹿がアリアの車に一人だけ乗りやがったせいで俺と小太郎は走って武偵高まで行くことになったからだ。アリアの車は2人乗りだからな。

おかげで俺と小太郎は瞬動術で公道を爆走してきた。

小太郎は「これも修業の一つや〜!」とか言って一人俺を置いて爆走して行ったけどな。

小太郎ほど修業脳筋(体育バカ)じゃないから武偵高までの道をショートカットできないかを考えた末、建物の屋上や屋根を《虚空瞬動》で飛び跳ねて(・・・・・)移動する術を思いつき実証してみた。

結論から言うと大成功だった。

武偵高まで行く道を自転車で行くより早くつけるショートカットをついに見つけた。

この道の情報を情報科(インフォルマ)あたりに売れば、遅刻常習犯の武偵高生達が買うんじゃないか。

今度情報科の長谷川さん(ちうたん)あたりに持ちかけてみよう。

そんなことを思っていると制服の胸ポケットに入れている俺の携帯がなった。

発信者は通信科(コネクト)の茶々丸さんからだった。

電話に出ると。

「もしもし?」

「おはようございます八神さん」

「おはよう!茶々丸さん」

「朝からお元気そうで何よりです。マスターから伝言を預かってます」

「ゆ、雪姫から…⁉︎」

俺に緊張が走る。

雪姫、この名前は武偵高生で知らない奴はいない。

三大危険教師の一人だからな。

「はい。一般科目が終わったらすぐにSSRのマスターの部屋に来るように、と。

遅れたり、サボったりしたら(バックれたり)血を貰う(・・・・)との事です。

では八神さん…お気をつけて!」

「ちょっ、何に(・・)気をつければいいんだよ⁉︎」

茶々丸さんからの電話は切れてしまった。

血を吸うとか雪姫相当ヤバイじゃん。

うわ〜。ろくな目にあわない予感が半端ねぇ。

昨日から俺、ろくな目にあってないじゃん。

アリアと雪姫のWパンチとか無理ゲーすぎる。

 

「不幸だ________‼︎」

俺の叫び声は武偵高の校舎の中まで響いたらしい。

 

 

 

 

 

結局遅刻してきた金次とアリア、それに小太郎は校門の前で待ち構えていた蘭豹に見つかったらしく、3人共蘭豹の教育(体罰)を受けて酷く疲弊していた。

金次やアリアはともかく小太郎が何故遅れたのか気になって理由を尋ねると小太郎は俺の先に行った後、白いスーツを着た紳士に声をかけられ勧誘されていたらしい。

その紳士は右手にステッキを持っていて、黒髪で自らを教授(プロフェシオン)と名乗っていたとか。

小太郎は着いてくればさらに『強くなれる』と言われ迷ったみたいだがその誘いを断ったらしい。

なんで断ったのか理由を尋ねると。

「いや、断らなかったら『夏美先輩』が怒るやん」と言った。

教授(プロフェシオン)とか、勧誘とか気になるワードがあったがそれよりも…。

「ああ…夏美先輩怒らしたら怖いからな」

小太郎の戦姉(アミカ)の事を思い出す。

村上 夏美(むらかみなつみ)

彼女はこの世界だと俺の一つ上の学年で特殊捜査研究科 (CVR)のBランク武偵だ。

ある特殊な能力(・・・・・)を持っていて初見の相手なら彼女の接近を防ぐ事は非常に困難だろう。彼女はその能力と中学時代に演劇部にいた経験を生かして特殊捜査研究科(CVR)に入った。中学時代より逞しくなっていてランクこそBだがCVR内では将来を期待される有能な武偵という評価をうけている。

彼女は麻帆良学園(まほらがくえん)と武偵高の交流事業の一貫として一昨年武偵高へと入学をした。

彼女の他にも元麻帆良学園生(魔法生徒)は何人か武偵高生として通っている。

俺の部屋の同居人(ルームメイト)、犬上小太郎もその一人だ。

 

一般科目(だるい授業)を終え昼休みになると俺の携帯にメールが届いた。

差出人は迷惑教師(雪姫)からだ。

文面は一言だけ。

『屋上に来い!』とだけある。

どこの屋上とか書いてないが雪姫が示す屋上なんてあそこしかない。

 

俺は昼食を誘ってきた金次や不知火、武藤らに断りを入れて超能力捜査研究科(SSR)棟に向かった。

 

 

SSR棟に着き、何故かトーテムポールが柱になっている階段を上り、何故か魔法陣が描かれた屋上のドアを開けると屋上には木造の家(ログハウス)が建てられており、そのログハウスの周りには家庭菜園場まで作られている。

慣れた手つきでログハウスのドアをノックすると中から小さな女の子が出てきた。

「ケケケ。ヒサシブリダナー。クルノガオソイカラコチラカラコロシニイクトコロダッタンゼー!」

女の子と思った物はよく見ると人形で手には出刃包丁を握っている。

「よお、元気そうだなー。茶々0(チャチャゼロ)?」

「ケケケ…オレハゲンキダゼ!

ゲンキスギテイマスグオマエヲキリキザンデヤリタイクライダ」

「おー。怖い、怖い」

相変わらずの戦闘狂(バトルジャンキー)だな。

製作者に似て口調と性格が悪いんだよな。

「誰の性格が悪いんだ?」

俺の思考を読んだのか部屋の奥にいるこの家の主がそう尋ねてきた。

「ケケケ。ババアガオイカリダゼ!

キョウハドンナイジメヲスルノカタノシミダ」

チャチャゼロがそう言うが俺は全然楽しくない。

「ふん。タカミチのぼーやから聞いたぞ。

お前を奴隷にしたがっている身のほど知らずの女がいるみたいだな」

椅子に胡座をかいて座るその少女(・・)は長い金髪の髪に雪のように白い肌。見た目は10歳の姿をしているが実年齢は600歳越え。

名をエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルという。

金髪ロリ吸血鬼(・・・)だ。

「今日はその姿のままなんだな……雪姫先生(・・・・)?」

超能力捜査研究科(SSR)の雪姫教諭。その正体は600年を生きる吸血鬼だ。

この世界の吸血鬼、ブラドやヒルダ達とは種がまた違うようだ。

詳しくはわからないが彼女は10歳の誕生日に何者かに吸血鬼にされ、現代まで裏の世界で生きてきたらしい。

「貴様はどうやら幼女嗜好(ロリコン)みたいだからな。

この姿の方が嬉しいんだろう?」

「人をロリコン扱いするな!」

誰だそんなことを雪姫に言った奴は。

「おやおや、おかしいな〜。タカミチのぼーやから聞いた話や茶々丸が録ったデータでは幼児体型の神崎・H・アリアの服を脱がせたとあったが…」

「あれは誤解だ!」

くっ、よりによって雪姫に知られるなんて…。

元はといえば金次のせいだ。金次の馬鹿は後で殺す。

「で、使ったのか?」

雪姫が椅子から立ち上がり俺の目の前にくると俺のワイシャツのボタンを外しはじめた。

「ちょっ…何を⁉︎」

「黙っとれ!」

雪姫は俺の身体に触れると何かを確認するかのような動作で俺の身体中を触りはじめた。

「なっ⁉︎」

「腕に力を魔力を集めろ!」

言われた通りに魔力を集中させると…。

「ふん。ずいぶんと馴染んできたようだな(・・・・・・・・・・)

俺の腕や背中に現れている紋章状の魔素痕(・・・・・・・)を確認した雪姫はそう呟いた。

「やはり、貴様は…」

雪姫は何やら呟いたが声が小さくて最後まで聞こえなかった。

「何か言ったか?」

「何でもないわ!」

そう言った雪姫に押し倒された。

雪姫のその綺麗な顔が近づく。

……ッ⁉︎

な、何赤くなってんだ俺の顔。

ゆ、雪姫だぞ⁉︎幼女に見えて中身600歳の婆さんだぞ⁉︎

落ち着け、落ちつけ、俺。

「光。実はな…お前にずっと…ずっと伝えたい事があったんだ」

雪姫がその綺麗な顔を俺の口先数cmまで近づけてきた。

な、なんだよ?なんで雪姫あんたまで顔を赤く染めているんだよ?

「ずっと言おうかどうか迷っていたが……もう我慢できん」

え?え?なんなの。

入っちゃた?雪姫ルート入った?

雪姫の顔が俺の唇に近づき俺は全ての行為を彼女に任せる為に瞳を閉じた。

まだか、まだか?さぁ、雪姫かも〜ん。

峰不二子に対するリュパン3世の心境で雪姫がするのを待った。

「うむ。では……いただきます‼︎(・・・・・・・)

「…ッ⁉︎」

雪姫の唇が俺の首筋に(・・・)触れ勢いよく血を吸われた。

「あぎゃあああああ」

チュ〜〜〜〜とされ続け、俺の意識は暗闇の中に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ⁉︎」

目を覚ますと俺は雪姫の家のベッドで寝かされていた。

首筋に手を当てると傷跡はなかった。

どうやら夢をみてたらしい。

「起きたか」

部屋に入ってきた雪姫は変化していた。

背は高く、胸もいつものちっぱいではなく巨乳になっていて顔つきも大人になっている。

年齢詐称薬を使ったようだ。

「やはりお前の血は美味かったぞ!

傷跡なら心配するな。救護科(アンピュラス)の近衛が直したからな」

そういう問題じゃねぇだろ!とツッコミたかったがなんか突っ込んだら負ける気がした。

「もうロリは飽きたのか?」

そう聞くと雪姫は。

「お〜や〜。ロリコン好きの光君はあっちの私の方がいいのかな〜」

意地の悪い笑顔を浮かべてそんなことを言ってきやがった。

「違げぇよ⁉︎」

俺はロリコンじゃない。じゃないよな?

なんだか不安になってきた。

「不治の病露理魂(ロリコン)にはかかってない……はずだ」

自信がないのは最近、アリアや雪姫みたいなひんにゅー幼女に絡まれてるからだ。

「ははは……まぁそういうことにしといてやろう。

ところでもう『アレ』は使えるようになったのか?」

雪姫が言うアレとは『千の雷』のことだろう。

「なわけないだろ!無理難題すぎる!

もっと取得難易度が低い誰でも使える強力な魔法を教えろよ!」

「は?取得難易度が低い誰でも使える強力な魔法?

そんな魔法はない!

わずかな勇気が本当の魔法だ(True magic results from corage of the heart)!」

「いや、あんたそれテキトーに言ってるだろ⁉︎」

なんだよ、わずかな勇気って。

勇気だけじゃ誰も(・・・・・・・)救えないんだよ(・・・・・・・)

「勇気より力だ!」

「馬鹿か貴様は。

本当の魔法を理解できないとは情けない。

私はそんな風に貴様を育てた覚えはないぞ?」

「俺もあんたに育てられた覚えはねぇよ!」

虐められたことしかねぇ!

「いいだろう。

私直々に教えてやろう。

この最低、最悪で最強の『不死の魔法使い』!

闇の福音』(ダークエヴァンジェリン)がな!」


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