闇の魔法を使える武偵っておかしいか?   作:トナカイさん

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闇の魔法(初期版)開放します。


装填1   闇の魔法《マギア・エレベア》

”武偵〟

 

武偵とは凶悪化する犯罪に対抗して作られた国際資格であり、武装を許可され逮捕権を有し報酬に応じ”武偵法〟の許す範囲内においてあらゆる仕事を請け負う―――――いわゆる便利屋である。

 

 

そして彼らを育成するための教育機関が東京湾岸部に存在する。

 

 

東京武偵高―――――通称、”学園島〟

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、八神 光は転生者だ。

転生先のこの世界の知識を幸運な事に持っている。

前世では漫画やアニメ、ラノベが好きで《緋アリ》も読んでた。

だから原作が始まるこのシチュエーションもアニメで見ている。

金次のチャリに爆弾が仕掛けられ、空から振ってきたインなんとかさんのような幼児体型の少女に助けられるのが物語のスタートのはずだ。

はずなんだが…。

 

 

 

何で俺のチャリに仕掛けられてるんだよ!?

 

 

 

俺はこの世界の主人公ではないはずだ。

まさか、崩壊してる!?

 

「おい、金次。

お前元強襲科(アサルト)のSランクだろ!

なんとかしろ」

隣を並走する金次に助けを求める。

 

「お前こそ、現探偵科(インケスタ)超能力捜査研究科(SSR)でSランクだろ!

何とかしろよ」

金次はそう言い返してきた。

そう、俺は転生時に与えられた能力とこの10年近い特訓の成果により《天才》といっても過言ではない程の能力と評価を得ていた。

《探偵科》ではアンサー・トーカーの能力により未解決事件の捜査を指揮し、SSRでは魔術(法)の取得、改良、開発を行っている。

最初は失敗し続けたが今ではだいぶ上手に魔法を使えるようになった。

まあ、あくまでも普通の魔法はだけどな。

 

闇の魔法はまだまだ完全には制御できない。

いわば《不完全体》だ。

 

 

金次とどうしようか言い争っていると上の方から声が聞こえた。

可愛らしい、アニメ声が。

 

 

 

 

 

―――――空から女の子が振ってくると思うか?-----

 

「ほら、そこの馬鹿二人!

さっさと頭下げなさいよ!!」

 

 

 

―――――それは不思議で特別なことが起きるプロローグ―――――

 

 

 

見上げると女子寮の屋上に誰かいる。

いや、わかってる。

彼女の名は―――――

 

 

 

屋上から彼女は飛び降りた。

手に持つコルトガバメントを二丁拳銃で水平撃ちし俺と金次を追い回すセグウェイ(UZI)を破壊していく。

だが数が多い。

彼女の持つ銃の装弾数では全て破壊するのは無理だ。

 

誰かが援護しないと。

誰が?

 

 

決まってんだろ、俺しかねえよな。

 

 

 

「おい、そこの桃まん女。

このチャリには爆弾が仕掛けられている。

おそらくだがそっちのネクラ男のチャリにもな」

「誰がネクラだ!

げっ…本当にありやがる」

金次は俺の指摘によりようやく気づいたようだ。

 

「減速すると爆発するタイプの物だ。

俺は自分でどうにかするから金次の事は頼んだ!」

「え!?」

「待て、何をするつもり…アレをやるのか?」

どうやら金次は察しがついたようだ。

アリアはそんな俺と金次を見てから頷いた。

「何をやるつもりか知らないけどここは信じてもいいのね?」

「ああ。

武偵憲章1条。

仲間を信じ、仲間を助けよ…だ」

金次を助けようとアリアはパラシュートを開いて金次の上に落下していった。

金次はアリアの太腿に挟まれながら自転車から体を浮かされていった。

俺はまずは爆弾の動作を停止させるために魔法を放った。

 

「来レ氷精。

大気二満チヨ。

白夜ノ国ノ凍土ト氷河ヲ…」

喰らいやがれ。

俺は発動させた魔法を自分と金次の自転車に向けて放つ。

 

コオル大地!!(クリュスタリザティオー・テルストリス)

 

自転車はアスファルトごと凍りついた。

俺は技を発動させた際に《虚空瞬動》により上空へと退避していた。

 

続けざまに金次やアリアを狙うUZIを破壊する為の魔法を放つ。

 

「来レ氷精。

爆ゼヨ風精…」

 

アリアが破壊できなかった4体のセグウェイに向けて放った。

 

氷爆(二ウィス・カースス)

凄まじい爆風が起こる。

氷の爆発によって俺も吹き飛んだ。

ヤバイ。

威力調整ミスった。

 

 

元の場所に戻ったがそこには破壊したセグウェイの残骸と俺と金次の自転車の残骸しかなかった。

金次とアリアの姿はどこにも見当たらない。

 

これが原作通りなら体育倉庫に飛ばされてるはずなんだが。

「行ってみるか」

 

俺はアリアたちが飛ばされた方角へ《瞬動》を使って移動した。

 

 

 

「…へ…へ…ヘンタイ―――――!!」

体育館倉庫に着くと中から少女の悲鳴が聞こえてきた。

どうやら金次は《やっちまった》らしい。

さて、原作通りならあとは金次一人で十分なんだが。

 

 

 

…まじっすか!?

 

思わずうなだれた俺は悪くないと思う。

なぜならさっき破壊したセグウェイが30体もきやがったからだ。

 

 

「おいおいおい、《武偵殺し》さんよはっちゃけすぎだろ!!

あとであの子にはお知りぺんぺんしちゃる」

なぜか九州弁が出たがそこは気にしないでほしい。

 

 

 

 

 

「さて、アレを使いますか」

 

 

 

 

 

 

俺はセグウェイの前に飛び出した。

 

ガガガガアアアア――――――

セグウェイからは9mmパラベラム弾が勢いよく発射された。

俺は歩法の一つ。

《瞬動術》を使いセグウェイの背後に回りこんだ。

銃弾は誰もいないところを通過した。

 

俺は《遅延》させていた魔法を発動させる。

 

「開放!雷の暴風…固定」

掌を開いたまま空中で渦巻く魔力をその場に留まらせる。

 

「掌握」

留まらせた魔力を握りつぶし体内に吸収させる。

 

「魔力充填

術式兵装…(アルマティオーネ)

体が白く発光し雷撃が迅る。

 

疾風迅雷(アギリタース・フルミニス)

 

フォ――――ンという風を翔る音が聞こえると一筋の白き閃光が迅ばりセグウェイを、それに搭載されているUJI(サブマシンガン)を次々と破壊していく。

残り7体が残ったがあえて破壊せずにこの場に来たもう一人のSランク武偵に一任する。

 

「遅せえよ…金次」

 

「悪い、すぐに終わらせる」

金次は向かっていった銃弾を体を大きく反らしてやりすごし、自身が持つ銃《ベレッタM92Fs》を連射した。

金次が放ったたった7発の銃弾はUJIの銃口に吸い込まれ次々とUJIは破壊されていった。

 

 

「今のが〈銃口撃ち〉(チエッカー)か…さすがは元Sランクだな。

人間じゃねぇ」

 

「お前が言うなよ!?」

金次の突っ込みはかなり深く俺の心に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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