闇の魔法を使える武偵っておかしいか?   作:トナカイさん

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アンケート活動報告で取ってます。
解答は活動報告内のアンケート実施という場にお願いします。
今月末に締め切ります。


装填12 情報収集

金次と共に教務科(マスターズ)を出ると金次がゲームショップに行かないかと誘ってきた。

気晴らしになるかと思い金次の案内でゲームショップへ向かった。

歩くこと数十分。目的地に着くとそこは…

「おい、金次。何だここは?」

目の前の建物を見てそう言う俺。

「ゲームを売ってる店だ…」

そんなことはわかってんだよ。馬鹿金次。

「俺が言ってんのは何でゲーム買いにビデオ屋に来たのかって聞いてんだよ⁉︎」

俺達がやって来たここは、学園島で唯一のビデオショップ屋。R15のゲームが置いてある(・・・・・・)店だ。

「……報酬だよ」

金次はそう呟き店内に入って行った。

後に続きながら考える。

報酬?

「ある奴にアリアの情報を探らせてるから、これはその情報料代わりだ」

金次のその言葉で俺は彼女(・・)の計画を思い出した。

「……理子か」

峰・理子(みね りこ)

探偵科(インケスタ)のAランク武偵。

ネット中毒者の上にノゾキ、盗聴盗撮、ハッキングなどの情報収集能力に秀でた、現代の情報怪盗(・・・・)だ。

「明日、女子寮の温室前で会うことにしてる」

金次がそう言い、ポケットから出したメモを見ながら買うゲームを手に取っていく。

「それ、俺も行っていいか?」

俺がそう言うと金次が驚いた顔をした。

「光。どうした?

お前がそう言うなんて珍しいな」

ああ。俺もそう思う。

今までの俺なら関わらなかったな。

けどなんでかな。原作のイベントだからこそ(・・・・・)関わらないといけない。

そう思ったんだ。

「……駄目か?」

金次にそう聞くと。

金次は首を横に振り答えた。

「いいや。俺はいてもいい。むしろいてほしい。

理子と女子と2人っきりだと正直辛い」

ヒステリアモードになりたくないからか俺が参加する事に同意した金次。

気持ちはわからんでもないが金次今の台詞、学校や人前で言うなよ。変な誤解を招くぞ。

「じゃあそうと決まったらさっさとゲーム選んで帰ろうぜ!」

金次の支払いを待ち、会計が済んだ俺達は第3男子寮へと歩きだした。

因みに金次はゲームの中に続編物(シリーズ)を入れようとしていたが止めた。

彼女(・・)が傷つく行為をする必要はないと思ったからな。

男子寮に着くと金次の携帯に着信がきた。

着信相手は……アリア(・・・)からだ。

金次が出ると開口一番に…

「馬鹿金次!あんた今どこにいんのよ!

さっさと帰ってきなさい!」

奴隷(金次)を叱責するアリアのアニメ声が響いた。

「だー、うっせぇー!今寮の前だ。光もいる」

金次がそう返すと御主人様(アリア)から俺に代わるようにとの指示が出たようだ。

「ちょうどいいわ!ミツル。あんたもこれから(うち)に来なさい!」

逆らうと面倒そうだったので仕方なく、本当に仕方なく行くことにした。

「わかった。場所は……OK!

今からすぐに行くよ」

そう言って金次の携帯を切り金次に返すと金次が尋ねてきた。

「どこに行くんだ?」

「お前の部屋」

「なっ⁉︎」

絶句してる金次。

「ま、頑張れや〜。女子と同棲とか……アアウラヤマシイ」

「最後棒読みだ!」

あたり前だろ。いくら美少女でもツンツンのアリアさんは勘弁だ。

アリアは可愛い。それは認める。けどな、二丁拳銃や二刀小太刀持ち歩いてる女子なんか誰でも嫌だろ。

「金次、戒名考えとけよ!」

「不吉な事を言うな」

 

 

 

金次の部屋に上がりこむとまず初めにリビングに置かれた大きな旅行鞄に目がいった。

「随分でかい荷物だな。なんだそれ?」

俺がアリアに聞くと。

「何って宿泊セットよ」

「は?」

「キンジが強襲科に戻るって言わないと」

「言わないと?」絶句してる金次の代わりに聞くと。

「泊まっていくから」

「は?ちょっ……ちょっと待て!何言ってんだ!絶対駄目だ!帰れ!」

金次は断固反対した。

「うるさい、うるさい、うるさーい!

あんたはあたしの奴隷なの!」

なんか既視感(デジャヴ)を感じるな。

アリアと金次の言い争いは夜中まで続いたらしい。

俺は早々に帰宅したからその後のことは詳しく知らない。

 

 

 

俺は自室に戻るととある人物(・・・・・)に連絡を取った。

「もしもし…」

電話をかけるとその人物からは不機嫌な返事が返ってきた。

「あ〜。もしもし?」

「……」

「こんばんわ。ちうたん」

「ちうたん言うな⁉︎」

鋭いツッコミを入れる電話先の相手。

彼女は情報科(インフォルマ)所属の2年。Sランク武偵だ。

「わかったよ。長谷川(はせがわ)さん」

長谷川 千雨(はせがわちさめ)。ありとあらゆる情報を掴んでいる腕利きの情報屋であり、その気になれば大国の国防総省(ペンタゴン)のコンピュータにハッキング出来る腕前を持つハッカーでもある。

年齢は俺より一つ上だが、一年間ほど引きこもって過ごしていた為、留年したらしい。

ランク考査は無理やり出されたらしくSランク。卒業できるだけの単位はあるが出席率は最悪で、ほとんど寮から出ないガチのニートになりつつあるという話だ。(薬味少年談)

 

「千雨で言いつたっろ」

「わかったよ、ちうたん」

「ちうたん言うな⁉︎」

どうやらちうと言うのは駄目らしい。

「わかったよ。千雨さん」

「ふん、で?」

俺は用件の一つでもある神崎・H・アリアについて情報収集を頼んだ。

「……。すぐ行く!」

 

ちうたんが家にやって来た。

「歯を食いしばれ!」

俺の側に近寄ってきた彼女は、突然俺の顔を殴った。

「くっ……」

ストレートパンチが決まり頬に痛みがでた。

「この、たらしが……」

何故殴られたかよくわからなかったが文句を言える雰囲気ではなかった。

「そんなにロリが好きならいつでも、ちうになっ……って待て私。落ち着け、早まるな。

危ねえ、盛大に自爆するとこだったぜー」

一人で何やらブツブツ呟く千雨。

顔が赤いのは風邪でも引いたのか?

「ゴホン。あー、そのだな…。神崎・H・アリアとはどんな関係なんだ?」

千雨さんがそう聞いてきたのでありのままを話すことにした。

「んー。一応、(仕事の)パートナーかな?」

「寝食は共にしてないよな?」

「あ〜。したけどあれは…」

「なっ⁉︎

ま、まさかそこまで関係を……

(ってきり仕事のパートナーだと思っていたが、まさか恋愛のパートナーだったとは……)

くっ……光。やっぱ後で殴る」

なんでだ?

その後も罵倒されたが結局ちうたんが何故怒りだしたのかわからないまま朝を迎えてしまった。

 

 

 

 

翌日。

「理子」

金次と共に向かった女子寮の前の温室に彼女はいた。

ここの温室。ビニールハウスだが人けがなく、秘密の打ち合わせには便利な場所となっている。俺もたまに神鳴流の女剣士さんとか魔眼を持つ必殺仕事人とか中国拳法のお師匠様とか糸目忍者さんとか元気が最強と言う口癖のバスケ部員とかとの会合や呼び出し、仕事の話などでちょくちょく使っている場所だ。

「キーくぅーん……あれ?ミっくんもいる?」

バラ園の奥にいた理子がくるっと振り返った。

理子はアリアと同じくらいチビだがいわゆる美少女の部類に入る。

ふたえの目はキラキラと大きく、緩いウェーブのかかった髪はツーサイドアップ。ふんわり背中に垂らした長い髪に加えて、ツインテールを増設した欲張りな髪型だ。

「相変わらずの改造制服だな。なんだその白いフワフワは」

「確か、白アリだか白ヤリとかそんな名称じゃなかったか?」

「違うよ!これは武偵高の制服・白ロリ風アレンジだよ!キーくん、ミっくんもいいかげんロリータの種類くらい覚えようよぉ」

「だが、断る」

「キッパリと断る。ったく、お前はいったい何着制服持ってんだ」

金次の質問に答える理子。

「ん〜と100着くらい」

「ひゃ……ひゃく⁉︎」

驚いて声もでないとかまさに今の状態を言うんだな。

金次は驚きながら手に持っていた紙袋から中身を取り出しはじめた。

「理子こっち向け。いいか。ここでの事はアリアには秘密だぞ」

「あと、俺がいたこともな」

 

「うー!らじゃー!」

ぴしっ。

理子はキヲツケの姿勢になり、両手でびびしっと敬礼ポーズをした。

金次が苦い顔をしながら紙袋を開けると、包装紙をビリビリに破いて鼻息をふんふんふんとしだした。

「うっっっわぁ______!『しろくろ』と『白詰草物語』と『妹ゴス』だよぉー!」

ぴょんぴょん飛び跳ねながら理子が両手をぶんぶん振り回しているのは、R15指定。

15禁ゲームだ。

「はぁ〜」

理子のテンションについていけず溜息を吐く金次。

仕方なく俺が金次の代わりに理子に聞いた。

「おい、理子。頼んだもん、あるんだろ?」

「_______あい!」

「よし、それじゃあとっとと話せ」

そして理子は語りはじめた。

アリアは強襲科のSランク武偵。友人はいないこと。徒手格闘、バーリ・トゥードや拳銃、ナイフの腕は天才の領域ということ。

二つ名は「双剣双銃」(カドラ)のアリア。

14歳からロンドン武偵局の武偵としてヨーロッパ各地で活躍していたこと。

99回連続逮捕で一度も(・・・)犯罪者を逃がしたことはないこと。

父親はイギリス人とのハーフで母親は日本人。

アリアはクオーターにあたること。

 

そして、アリアの一族は貴族の称号を与えられていること。

祖母は『デイム』の称号をイギリス王家から授与されていること。

 

『H』家の人達とは上手くいっていないこと。

 

 

それらが理子が集めた情報だった。

 

 

ま、俺は知ってたけどな。

 

「そうだよ。リアル貴族。

でもアリアは『H』家と上手くいってないらしいんだよね。

理子は知っちゃってるけどー。あの一族はちょっとねぇー」

「教えろ。ゲームやったろ」

「理子は親の七光りとか大キライなの。

イギリスのサイトでもググればわかるんじゃない?」

「まあ、そうだな」

俺は納得した…というような顔をした。

「俺、英語ダメなんだよ」

「がんばれやー!」

「おっと!」

理子が金次にぶつかりそうになったが理子を支えてやり金次の腕時計が壊れないように(・・・・・・・)してやった。

「危ねえな。気をつけろよ理子?」

「……。

あっ、う、うん。ゴメンありがとう」

理子は苦笑いを浮かべ俺から離れた。

 

 

 

 

俺と金次は理子と別れ、金次の部屋。第3男子寮へと向かった。

 

 

 


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