なので苦手な方はバックをお願いします。
主人公が抱える闇とは?
「…ろ」
ん?声が聴こえる。
「…きろ」
何だ?さっきより近く感じる。
「起きんか‼︎」
「ッ⁉︎」
ガバッ___耳元で大声で叫ばれたせいで変な感じがする。
耳鳴りが酷い。
こんな不快な起こし方をする奴は彼女しかいないな。
そう思い顔を上げて俺を起こした奴を見ると
「まったく、いつまで寝てんのよ!」
「いいだろ。昨日の残業で疲れてんだよ」
たまの休みくらい寝かせろよ…そんな風に思いながら寝返りをうつと彼女は…。
「あ〜も〜いい加減起きなさいよ‼︎」
このままでは拉致があかない。そう思った彼女は俺を起こす為の
……。
静かだな。諦めたのか?
そんな簡単に諦める奴ではないはずだったが睡魔には逆らえずそれ以上思考することを放棄して惰眠していると…突然耳元でカンカン鳴り響いた。
「あ〜もううるせぇな〜⁉︎」
耳元で響く音に驚き目を覚ました。
「やっと起きた。
もう、寝坊助なんだから!
ちゃちゃと朝ご飯食べてよ!」
うるさいな、お前は俺の母親かよ!と思いながら起き上がると彼女は俺の顔に自身の顔を近づけてきて唇にキスをしてきた。
「ぷはぁ……もういいだろ?」
長い口づけで呼吸が苦しくなり彼女の顔を放した。
「……ん、よし!
マーキング終了!」
そう言い彼女はガッツポーズをして微笑んだ。
「意味がわからん」
マーキングってなんだ?と疑問に思う俺の考えを読み取ったようで彼女は説明しはじめた。
「そりゃあ…もちろんみー君の側に泥棒猫が近づかないようにおまじないをかけたんだよ」
「おまじない?」
「うん。みー君の安全を守るのは私の役目だからね!」
「役目って……親父の言うことなら聞かなくていいんだぞ?」
あんな社会不適合者なんて。
「駄目だよ。みー君は私の……なんだから!」
話してる途中からボソボソと声の音量を落として話したせいで彼女が何を言ったのかは最後までわからなかった。
「みー君は私が守るよ!
だって私は……警視総監の娘だもん」
「ならなおさら駄目だろ⁉︎」
え?何でっていう顔をする彼女に言って聞かせた。
「だって俺ん家。
ヤクザだし」
そうあの頃の俺の実家は裏家業まっし暗。地元では知らない者はいないほどの古くから続く極道さんだったんだ。
「だから正義の味方のお前ん家とは相容れない。
敵なんだよ!
だから帰れっ!」
「関係ないもん。私はヤクザだから恋したんじゃないもん…みー君だから好きになったんだもん」
顔を真っ赤に染めながら俺に自分の気持ちを伝えてきた彼女。
その時自分の顔を鏡で見てたらきっと真っ赤だったんだろう。
場面が変わり。
季節はクリスマス真っ只中の12月。
コタツとツリーがある部屋で俺の帰りを待っていた彼女は俺が帰るとコタツから出ようとした。
「おい、馬鹿!
あんまり動くな」
動こうとする彼女を慌てて止めた。
「もう、平気だよ。
ちょっとくらいなら動いた方がいいってお医者さんも言ってたし」
そう言いながら左手で自身のお腹を摩る彼女。
彼女が俺に告白してから2年。
俺達は入籍していた。
年明けには新しい家族もできる。
まさに幸せの絶頂期だった。
さらに場面が飛ぶ。
俺達の赤ちゃんが無事生まれ、桜が咲き誇る季節。
いつも通り俺は出社し、彼女は育児と家事に追われていた。
お互い助けあって、時にはケンカし、時には殴り合い、そして土下座(俺限定)する絵に書いたような幸せな家庭だったがそんや幸せは長くは続かなかった。
俺の実家で抗争があって親父と跡継ぎだった兄が死んだからだ。
急遽俺は実家に戻らなくてはいけなくなった。
彼女と何度も話し合いをした結果、俺は一人で実家に戻る決意をした。
巻き込みたくなかったからだ。彼女も、生まれたばかりの娘もな。
彼女との別れの挨拶は意外と短かった。
「またね…」ってな。
また場面が変わった。
俺が実家を継いでから3年。
俺はシマを荒らした敵対勢力を潰す為、『出入り』を行っていた。
信頼できる部下達を引き連れ、『害』を与える者達を駆逐していた。
俺の家は古くから続くヤクザだけあり代々受け継がれる鉄の掟と云われるものがある。
『弱きを助け、強きを挫く』
正義の味方……ではないが、偽善者の集団だったのは間違いない。
資金も悪徳業者を潰した物や祭りの屋台、マカオのカジノから吸い上げたものなど法に触れない事を前提に活動していた。
もちろん弱者から依頼されても基本は彼らからは直接吸い取らなかった。
警察もその辺は熟知しており持ちつ、持たれずの関係で共存していたんだ。
その日、警察官僚が2人銃撃され死んだ。
警察は事件解決の為、自分達の有能さをアピールする為に早期解決にこだわり、ある組員を逮捕した。
他らならぬ、俺の部下を、な。
すぐに
殺人犯の溜まり場というレッテルを貼られ、俺は人を信じられなくなっていた。
そんな時だった。
ずっと音信不通だった彼女から連絡がきたのは…。
娘はもう幼稚園に通う年齢になっていた。
彼女に似てるから将来は美人になる。そう確信していたが残念ながらなれなかった。
娘は殺された。
俺の部下だったある男に。
信じたくなかった。
だけど俺の元に送られてきた包みに娘の頭部が入っていたのを目の当たりにし、俺は信じるしかなかった。
それと同時に絶望した俺は残った部下を引き連れ娘の仇討ちに向かった。
元部下は組の情報を流し、あろうことか警察官僚を殺った組織に取り入りその試練として、何の罪もない娘を射殺しやがったんだ。
許せない。
そう思った俺は親父の遺品から大型拳銃、デザートイーグルを持ちだした。
敵対者を射殺しながら屋敷を進むと離れに元部下と何故か彼女がいた。
彼女は人質に取られていたんだ。
元部下は俺に武器を捨てろと言った。
だけど彼女は
俺はその場を動けなかった。
あの男は憎い。
だけどあの男のすぐ前には彼女がいる。
撃てない。撃てるわけなかった。
「終わりだ!」
男がそう叫び男が手に持つ銃で俺を撃とうとした時、男の拘束がわずかに緩んだ彼女は男と俺の間に、直接線に飛び出した。
そして撃たれた。俺の目の前で。
俺は怒りのあまり男の眉間と左胸の二箇所を放った2発の銃弾で撃ち抜き殺した。
外しはしなかった。昔から射撃はちょくちょくやらされていたから得意だった。
人間を撃ったのはこれがはじめてだったけど。
彼女に駆け寄ると彼女の胸からは血が流れていた。止まらない。流れつづける血液。染まる紅い色。
俺は自分を攻めた。もっと早く撃っていれば。力が
血を流し続けているのにもかかわらず彼女は俺に微笑んだ。
笑っていた。
死が近いはずなのに微笑んでくれたんだ。
今思えば彼女が俺を安心させる為にしてくれたんだろう。
死が怖いはずなのに『わずかな勇気』をだして。
だけど当時の俺は気づけなかった。
それどころかこう思っていた。
やめてくれ。そんな顔を俺に向けんな。
俺には君に微笑んでもらえるような資格はないんだ。
そう思った俺は無意識の内に手に持つ銃を自身の額に向けていた。
トリガーを引く直前、彼女の顔が見えた。彼女は泣いていた。俺は彼女を最期の最期で泣かしてしまった。
さっきまであんなに微笑んでいた彼女を泣かしてしまったんだ。
ガチャッと音がし振り向くと。
俺が殺したはずの男が立ち上がっていた。
眉間と胸からは血が流れている。
最期の悪あがきだったんだろう。
俺は抵抗するのを放棄した。
俺は逃げたんだ。
死にたかった。彼女と娘を守れなかった情けない男だった俺は彼女の『わずかな勇気』を踏みにじって『死』に逃げた。
人として『最低な行い』をした。
俺は男に撃たれ、そして気がつくと草原に寝ていた。
そして女神様と出会った。
これが俺が犯した『最低最悪な罪』と今までのいきさつだ。
「……ろ!」
声が聞こえる。
「…きろ!」
またあの夢か?
一体いつまで見続けるんだろう。
終わらない悪夢。繰り返される絶望。
夢なら早く覚めろ。そう思っていると。
「起きんか!」
ゴンッと脳天に強烈な衝撃を受ける。
この痛みを生み出せるのは…。
「……痛ぇな!
普通に起こせ、馬鹿吸血鬼‼︎」
俺が文句を言うと。案の定。
「ほう。師匠を馬鹿呼ばわりとは随分といい身分だな。オイ」
目つきの悪い目をより悪くしている雪姫が俺が寝かされているベッドの側に立ち俺の顔を覗きこんでいた。
「随分と愉快な夢を見ていたようだな?」
ちっとも愉快じゃねぇよ。
「最初、デレデレだったではないか」
げ?ま、まさか彼女に告白されたシーンを見られた?
そういやぁ、夢見の魔法とか記憶を覗く魔法とかあったな。
「靄がかかっていたから全部見れなかったがあの美少女は誰だ?
うん?」
何故だか雪姫は目を吊り上げ、頬をわずかに膨らませて俺の首を締め付けてきた。
「師匠命令だ!吐け」
師匠関係ないだろ⁉︎
「な、なんでもない。ただの夢だ…」
そう言ったが信じなかった。
何故か機嫌を損ねた雪姫に引きずられた俺はダイオラマ魔法球の中で丸4日程、現実世界で四時間ほどこってり、たっぷりシゴかれて肉体的にも、精神的にも追いつめられた。
まあ、でも
結果オーライなのか……いや、どう考えてもデメリットの方がデカイ。
雪姫に2日ほどサンドバックにされたせいで耐久性がまた上がってしまった。
吸血鬼に攻撃されても死なないとか、俺もしかして人間辞めてる?
ダイオラマ魔法球の外に出ると日は暮れており、教務科で金次に声をかけられた。
金次はアリアと
余談だが。
雪姫からは今後ダイオラマ魔法球を自由に使う許可を取り付けた。
代わりに見知らぬ女に近づくことを何故か禁じられたが……なんでだ?
活動報告内でヒロインに関するアンケート取ってます。
今月末までなのでお早めに!