闇の魔法を使える武偵っておかしいか?   作:トナカイさん

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思いつきで書いた息抜き作です。
更新は不定期です。


第一章 武偵殺し編
プロローグ  ドSの女神様に転生させられました。


 ……転生してしまった。

そう、してしまった。別に俺の意思じゃないのに、転生してしまったのだ。

だがしかし、その転生先が普通に元いた世界であればなんの文句もない。

でも、転生させてくれちゃった女神様は俺に優しくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあはぁ……」

 

 

 

朝、お台場に近い人工浮島にあるとある公道。

通っている高校の通学路に指定されているその道を一台の自転車が爆走している…いや、人事みたいに言うのはやめよう。

猛スピードで自転車のペダルをこいでいる俺。何故朝っぱらから汗だくになってこんな事をしているのかと言うと……

 

 

 

 

『その自転車には爆弾がしかけてい、やがります♪』

 

自転車のすぐ後ろに自走してる20台のセグウェイ。

銃座が付けられており、その銃座にはイスラエル製のUJIが装着されており遠隔操作で不振な行動をしたらすぐさま蜂の巣になるように設定されている。

きわめつけには自転車のサドルの下に自動車を吹き飛ばせる量のプラスチック爆弾が仕掛けられている。

 

 

 

 

 

「知ってるよ、クソッタレ!!」

 

ああ、知ってる。

俺はこの展開をよく知っている。

体験したことなどないがこの後何が起こるかよくわかってる。

この世界(・・・・)の事は誰よりもよくわかってる。

 

 

でもな。

 

 

「何で俺なんだよ!?」

 

 

それだけはよくわからない。

いや本当になんで俺が狙われてるんだろう?

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなったかよくわからないが状況の説明をしたいと思う。

 

 

 

 

人に言っても信じてもらえないが、俺は転生者だ。

……うん、そこの人。かわいそうな目で俺を見るな。

そりゃわかるよ。

俺が逆の立場だったのならそういった人を受け入れてくれる専門医院や施設をすすめるだろう。

だが俺はどこもおかしくない。

いたって《一般的》な《普通》の人間だ。

……俺の中では、な。

 

 

 

回想。

 

前世の最後の記憶はあるができればあまり思い出したくない。

俺は《人》として《最悪の行為》を犯し、結局最愛の人を救えなかったからな。

人生の終わりの瞬間に目を閉じて最期の時を迎えていると頭の中に声が聞こえた。

目を開けると大きな樹がぽつんとたってる広い草原の中に俺は倒れていた。

 

「目、覚めましたか?」

 

可愛らしい少女の声が聞こえ、起き上がって声がした方を見ると大きな樹の下の幹に寄り添うようにして金髪の美少女が立っていた。

少女の右手には魔法使いが使うような大きな木製の杖が握られており、左手には本を持っている。

少女は俺の顔をみると微笑み俺の傍にまるで滑るように、摩擦なんかないように滑らかな動作で近寄ってきた。

 

「無事に魂の固定が終わったようですね。

では次は転生の儀式といきましょうか」

 

なんだかよくわからない言葉を口に出す少女。

ただ一つだけわかる単語が聞こえた。

 

「転生?」

 

「はい。

転生です。

あなたにはとある世界に転生してもらいます。

今、神々の間で行われている《代理戦争》の駒……一兵士としてこれから送る世界で修行していただきます」

 

いやいやいやいや。

突然何言ってんの?

それにいまこの子、俺のこと《駒》って言ったよな?

聞き間違いじゃないよな?

 

「絶対嫌「あなたに拒否権はありません」……は?」

何言ってんの?

 

「もう、あなたは私の物なんです。

さっき魂を固定したと言いましたよね?

あれは神である私の力であなたの存在の力を、事象を書き換えたんです。

あなたを《代理戦争》に出すためには神の眷属という扱いにしなければならないので申し訳ありませんが強制的に転生していただきます。

安心してください。

あなたには神である私の権限で強力な魔法をつかえるようにしておきますので」

 

無理無理無理無理。

 

「無理だから「私には嫌いな言葉が3つあります。

 

無理、疲れた、めんどくさい。

 

この3つの言葉は人間の能力を落とすよくない言葉です。

私とあの子達の前では口にしないように」…っておい」

 

 

「聞けよ、人の話を!!」

 

自称神の美少女は俺の言葉を無視して俺の前でジャンプし、空中に浮かんだ。

 

「期待してますよ、私の歩…兵士さん?」

 

「お前、人を駒みたいに言うな―――――!!」

 

 

「あ、忘れてました。

私の名前はアポロ。

あなたの名前は何でしたっけ?

えっと……ゴミさん」

 

「人をゴミ呼ばわりすんな―――――!!

俺の名は、八神 光(やがみ みつる)だ!」

 

この自称神様、絶対ドSだろ。

 

「ドSですけど?」

 

「認めた!?」

 

もうやだ…。

 

「さあ、時間ももったいないですしさっさとゴミを追い出し……転生の儀式をはじめましょうかー」

 

「いつか……土下座させてやる」

 

「そうですか。

では100000年後になりますね」

 

「長っ!?」

 

「動かないでくださいね?」

 

そう言って彼女は俺の目の前に一瞬で現れて顔を近づけてきた。

近くで見るとやはり可愛い(顔は)。

そんな少女に近寄られてドキドキしないはずない。

 

「ふふっ緊張してますね?」

 

「そりゃ初めてだからな」

 

「そうですか。

では私がリードしてあげますね!」

 

顔と顔が近づき俺と彼女は一つになった。

 

 

 

 

「って痛てぇぇぇぇぇ―――――!!」

 

俺の眼球に彼女の人差し指と中指が突き刺さっている。

いわゆる目潰しというやつだ。

 

「我慢してください。

攻められるの大好きでしょう?

ガンガンいきますよ!」

 

「うぎゃああああああ」

 

「転生の儀式には痛みか興奮が必要です。

本来ならキスでいいんですがドMな光君のために《初めて》の目潰しにしてみました」

そう言ってあろうことか彼女は指を動かし始めた。

「ほらほらグリグリされたいんでしょう?

もっとしてあげますからね~」

 

指を回転させる自称神。

 

「みぎゃあああああああ」

 

ちなみに俺にM属性なんかない。

ないったらない。

痛いだけで快感なんてない。

本当だよ?

 

 

 

この悪夢のような儀式はこのあと30分ほど続いた。

 

 

「さて、とっくに終わってましたけど楽しくて29分も余分に続けちゃいましたねー。

光君と私の相性はいいんですねー。

また今度やりましょうか・」

 

「もうやりたくねえよ!!」

 

駄目だこの神。

はやくなんとかしないと。

 

「転生はもうできます。

あなたには4つの力を与えておきます。

 

一つ目は身体強化。

 

二つ目は答えを知る者(アンサー・トーカー)

 

三つ目は膨大な気と魔力。

具体的に言えばネギま!のラカンとナギの10倍の量。

 

そして四つ目は……。

 

闇の魔法(マギア・エレベア)です。

 

使いすぎに注意してください。

今のあなたでは呑み込まれます……闇に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想終了。

 

 

 

 

 

 

 

 

で、転生して16年たったわけだが。

うん。

どうしてこうなった?

 

 

 

爆弾付き自転車を漕いでると目の前に見知った奴がいた。

あれは!?

 

「金次―――――――――!!

武偵憲章1条だ!」

 

「ん?

光かおはよ……何だその後ろの!?」

 

俺の前方で自転車をのんびり漕いでいるのは俺の親友(ここ重要)の遠山 金次(とおやま きんじ)

同じ高校に通う同級生でこの世界の主人公だ。

俺の後ろを見て絶句する金次。

 

「少しお前にやる。

お互い助け合おうぜ!」

 

「断る!

武偵憲章4条に武偵は自立せよってあんだろ!?」

 

「うるせ―――!!

1条に仲間を信じ、仲間を助けよってあんだろうが―――――!!」

 

 

 

「そこの馬鹿達、さっさと頭を下げなさい!」

 

お互いに迫るセグウェイを押しつけあってると上から少女のアニメ声が聞こえた。

その少女は長いピンクブロンドの髪を揺らし、その髪をツインテールに結んでいる。

背丈はよく見えないがおそらく小学生に間違えられるくらいしかないんだろうな。

 

その少女の名は、神崎・H・アリア。

 

上から降って来る少女を見て思う。

 

ああ。

やっぱり。

この世界は―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

『緋弾のアリア』の世界なんだな、と。


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