こちら、アインクラッド解放軍第104小隊   作:ハイランド

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君がこの手紙を読んでいるとことは、私はもうこの世に(ry

飽きる前に書ききりたい……
自分的デッドライン(1年以内)のつもりで。
2014/7/20投稿予約


99プロット2

・海辺の町で

前回から少々間の空いた待ち合わせ

女主は隊長から釘をさされたこともあり、ノルマ以上の仕事を片付けての参加だった

海辺の町で、未開拓クエストを開始させた2人

町長の息子ロブは海岸で拾った娘ディーネに恋していた

ディーネが喋れないのをどうにかしてほしいという

ディーネを探す2人は入江の奥で歌う彼女を見つける

彼女は自身が人間ではなく人魚の化身であることを告白する

ディーネは喋れないのではなく、自身の声がロブを魅了してしまうのを恐れていた

彼女は海底に住む一族のスパイで、人間に奪われた至宝を取り返す使命を持っていた

至宝は現在灯台の種火として使われ、化身の足ではそこまで登っていけない

ロブを騙して取りに行かせるつもりだったが、情が移り実行できないという

考えられる選択肢は2つ

1つはロブの代わりに至宝を取りに行き、ディーネに渡すこと

これをすればディーネはとどまる理由がなくなり、海に帰る

2つ目はロブにディーネの正体を明かし、至宝を彼から海に返させること

こちらはその代償としてディーネを娶ることができそうだ

男主は代行案を、女主は告白案を推すが最終的に告白案をとる

ロブを呼び出し、ディーネの人魚としての姿を見せる

ロブは動揺し、人魚としてのディーネを拒絶する

昔、彼の母を乗せた船が海神一族により沈められたのだ

ディーネは自らの一族の仕業ではないと弁解するが、ロブは信じない

絶望するディーネは毒をあおり海の泡と消える

ロブは嘆き、至宝を海へと返す

自分であれば信じ切れたかと悩む女主に、明らかにしないほうがいい秘密もあるのではと男主はつぶやく

 

・商人の依頼

司令部で報告書を書いていた女主のもとに、面会人が現れる

美人の商人プレイヤーだが、女主には面識がない

聞けば、人探しを手伝ってもらいたいという

自分の仕事ではないと断る女主だが、商人は軍の不親切さを盾に無理やり受諾させる

探し人は先ほど一度町ですれ違っただけで、名前などはわからないという

辟易する女主だが、半日かけて町を探し歩く

偶然そこに通りかかった男主

商人は歓声をあげ男主に抱きつく

狼狽する女主に、探し人は彼であると告げる商人

彼女は男主と同じ救命係ギルド所属だった

ソレならば探さずとも連絡はとれたのでは、と不信感を抱く女主に商人はあなたを試したのだという

男主から聞いていたとおりに、親切だが騙されやすそうな娘と評する商人

商人の用件はギルドの連絡であり、女主には聞かせられないという

女主は席を外すが、疎外感を感じる

話を終えた2人に、女主は救命係ギルドの詳細を尋ねるが人様には言えない活動をしている、とはぐらかされる

憤慨し、司令部へ引き上げる女主だった

小隊のメンバーは、女主に色恋沙汰が発生したのでは、と噂する

 

・星辰窟

待ち合わせ場所に、女Aが現れる

最近発見されたあるダンジョンの攻略に協力してほしいという

3人で向かうが、女主は男主と親しげな女Aに対抗心を抱く

二手に別れるが、まずは男主と女Aペア、女主単独である

試行錯誤を繰り返すが、なかなか先に進めない

女Aは仕掛けに気づき、男主に耳打ちする

今度は男主単独と女2人の組に分かれる

男主とリアルで付き合いがあるという女Aに、ますます機嫌を悪くする女主

女Aは仕掛けをすいすいと解いていくが、最後に詰まる

女主は以前男主とした会話から答えを推定し、これを突破する

女Aは自分と男主は恋人などでなく、ただ女主をからかっていたことを告白する

安堵する女主だが、女Aは男主に好意は持っていることを明かす

心がざわつく女主だが、とりあえずパーティーは解散する

 

仕掛け

 それぞれのルートに部屋がある

 部屋には星座の紋章が刻まれた石

 相手ルートと同じ順番で石を押す

 石は12種類から4つランダム

 これを三回繰り返す

 最後の部屋のみ相手ルートの誕生星座を押す

 女Aの攻略法…1月に近いほうからから順番に押す

 

男主はオレンジプレイヤー?ミスリード

 

・男のコミュニケーションツール

女主を待ちながら、男主は考える

先日の商人は、なぜ彼女の前に現れたのか?

自分の副業が感づかれているのではないか…

そこへ女主がやってくるが、どこか調子が悪そうだ

聞けば、最近眠りが浅いのだという

理由を尋ねるが仕事のせいではないだろうかと曖昧な答え

男主としては、女主には万全でいてもらいたい

そこで今回は探索には行かず、息抜きを提案する

女主は了承し、2人は釣りに出かける

多数の湖が点在する階層で2人は釣り糸を垂らす

男主は何度か訪れており、釣具の扱いも慣れている

女主は小隊の軍曹も釣りが好きと明かすが、自身は今回が初めてという

男主はボウズだが、女主にはビギナーズラックなのか数匹の釣果

湖には他にも釣り人がおり、その一人ニシダが話しかけてくる

ニシダは2人が恋人かと問うてくる

女主は慌てるが男主はまあそんなものです、と気負うことなく答える

この淡白さに、女主はため息をつく

ニシダはタバコを吸い始め、それを見た男主も懐からタバコを取り出す

男主の喫煙する姿を初めて目にする女主

男主は、女主の前では控えていたという

ニシダは、人が吸っているのを見ると吸いたくなるものだと説明し、男主も同意する

女主も吸ってみたいと言い出すが、男2人は反対する

一口だけ、とねだる女主に折れる男主

一息でムセ、笑う男2人

今後一切吸わないと宣言する女主に、ニシダはタバコは男のコミュニケーションツールだという

女はそれがなくても人と話せるが、男は胸にため込みがちだから、煙と一緒に言葉を発するのだと

男主も同意し、釣りもまたそれにあたるものであるといった

 

・オレンジ疑惑

ニシダと別れ、帰路に就く2人

女主は、いつの間にか気持ちが軽くなっていたことに気付く

男主は満足げにその顔を見ている

機会があれば、小隊員と釣りで交流を持ちたいと提案する男主に、女主も頷いた

男主と別れ自室に向かう女主に、メールが届く

相手は隊長で、話があるので今から会えないかという

司令部の小隊執務室で向かい合う2人

隊長はまず女主の最近の働きぶりから、寄り道せず軍の任務に専念すべきと言ったことを詫びる

その上で、男主との付き合いを止めるべきと語る

何故なのかと問う女主

隊長はまた最近の女主の様子を挙げ、感情の起伏が激しく冷静さを欠いているのではないかと指摘

さらに隊長は、女主が男主の素性をどれだけ知っているのかを問う

隊長は今日の2人を、憲兵隊に尾行させていた

それによれば男主は女主と分かれた後、人目を避けるかのように単身ダンジョンに潜り消息を絶ったという

覗き見されていたことに怒りを爆発させる女主

それを遮り、隊長は男主がオレンジのスパイなのではないかと口にする

当惑する女主に、隊長は次々と疑惑をぶつける

何か隠しているような様子はなかったか?

女主と会う時間の他は何をしているのか?

女主以外の交友はどうなのか?

所属ギルドはどのような所なのか?

軍について興味がありそうな様子ではなかったか?

そのすべてに、明確に反論できない女主

脳裏には、海辺の町でのイベントが再生されていた

明かすべきでない秘密もあるのでは、という男主の言葉が蘇る

自分に近づいたのは軍の内情を探るため?

茫然と女主は立ち尽くす

 

・官民交流会

 

三日三晩悩んだ末、女主は結論する

ただ、信じること

明かせない秘密は事情があるのだろうし、自分を利用するつもりならここまで依頼につきあう前にしているだろう

楽しかった時間が嘘であってほしくもない

だが、隊長はまず認めないだろう

憲兵隊まで動かしたのだから、近いうちに男主を取り調べるかもしれない

そうなる前に、先手を打つことにする

小隊の仲間に男主を知ってもらい、皆に隊長を説得してもらうのだ

自分一人では根拠が薄くても、皆が信じてくれれば隊長も認めてくれるはず

女主は、前回の釣りを思い出した

男主も隊の皆と交流をもちたがってたし、軍曹も釣り好きだから話も合うだろう

男主を呼ぶことは伏せて、小隊員に釣りの会を提案する

話を聞いた皆は快諾

あわよくば隊長にも来てもらい、男主の人柄を直接知ってもらいたかったが、上層部との会議があり欠席するとのこと

男主にも約束を取り付け、休日に湖の階層に集まった

男主側には商人も付いてきており、にぎやかな一団となった

男主・女主・隊長の三角関係に加え、女主・男主・商人の三角関係でもあるのだと煽る伍長

料理の腕前を披露する上等女

黒ずくめの服装を攻略組のキリトを意識しているとからかわれる上等男

ニシダも合流し、軍曹は意気投合

主釣りに挑戦するが失敗、これを釣るには攻略組クラスの力がいると諦める

双方の関係が深まり、成功したと安堵する女主

帰り道で軍曹に隊長の説得を相談すると、軍曹は快諾

自分には女主と同い年の娘がいることもあり、女主を娘のように思っていた

それが彼氏を連れてきたとなれば評価も辛口になるが、男主は合格点であるという

恋人ではないと反論する女主だが、まんざらでもない

これで隊長を説得できる、と意気込む女主だった

 

・雪の結晶

待ち合わせ場所に現れた女主は喜色満面、無事隊長を説き伏せたという

今回の探索は情報屋から仕入れた話に基づき、雪山に向かう

そこで高レベルの鉱石が手にはいるらしい

何でも、ドロップ品だと思われていた鉱石は竜の巣の奥で拾える物だったという

装備を整え雪山に入る2人

竜の留守を狙い巣に潜入しようとするも、女主が足を滑らせ落ちてしまう

男主は女主を庇い落下のダメージを引き受けるが、レッドゾーンまで減らしてしまう

焦る女主に対し男主はケロリとしている

その無頓着さに女主は怒る

鉱石を発見するも、手に取る直前で竜が帰ってくる

身を隠し、翌日の竜が巣を出る時間まで待つことにした2人

寝袋に入りウトウトしていると、女主から呼びかけられる

男主は疲れもあり返事をしないでいると、女主は自身が彼に抱く好意を告白する

男主はそれを嬉しいと思いながらも、自分に応える資格があるのかと煩悶する

翌朝、素知らぬ顔で挨拶を交わす2人

雪の結晶のような白い鉱石を手に入れ、巣を脱出する

女主を見送る男主は、彼女に対し深入りし過ぎたかと呟く

 

・鍛冶師の娘

先日手に入れた鉱石を武器に加工してもらおうと兵站科を訪れる女主

ここには同期入隊の士官がいる

素材を渡すも、あまりに高レベルの品であるため軍内部の鍛冶師では手に負えないという

途方に暮れる女主に、外部の知り合いで腕の立つ鍛冶師がいると紹介してくれる同期

次の休みに男主とそこを訪ねると、鍛冶師リズベットは持ち込まれた鉱石を見て驚く

雪山での一件を伝えると、リズベットは連れの男主に視線を向ける

自身もあの雪山に登り、キリトに告白したことを話すと食いつく女主

結果を尋ねると敗北した、聞かされ

肩を落とす女主

リズベットはジンクスを否定し、武器の製作に取りかかる

出来上がった白い槍は要求筋力値が女主とほぼ同じで、かなりの重さを感じる

自分に扱えるかという不安と、製作費により心許なくなった所持金のことを口にする女主

リズベットはそんな女主に、エギルから聞いたギルガメの洞窟での腕試しを提示する

 

・レッドイービルデッド

ギルガメの洞窟は、主街地バルガラフから沼地を抜けた先にある

装備を整え街を出ると、小隊のメンバーが付近で活動中のようだ

後で合流することも考える

洞窟に入り腕試しを開始する

新しい槍は扱いが難しいものの、威力は極上だ

お金も拾え、女主は気分上々

しかしそこにオレンジプレイヤー、イービルデッドが現れる

この洞窟は一味の隠れ家の一つだったのだ

背後にコルタートス、前面にEd

結晶無効化空間のため転移結晶も使えず、追い詰められる2人

男主が必殺の一撃を放つがEdにヒットする直前、男主の体が停止する

以前に聞いたラグがこのタイミングで発生したのでは?

唖然とする女主、笑みを浮かべるEd

次の瞬間、Edの一撃により男主のHPは全損

ポリゴンの欠片となって爆散する

絶叫する女主

 

・混乱

数日後、女主は軍務を離れ湖の階層にある小屋に閉じこもっていた

男主が散った直後、小隊のメンバーが駆けつけEdを追い払ったのだ

彼らがあの階層にいたのは、そもそもEd含むオレンジ捕縛のためだった

あともう少し早ければ…隊長は頭を垂れた

女主は言葉を飲み込み、長期休暇を申し入れた

小屋はその時に借りたものだ

久しぶりに日の光に当たろうと小屋の外に出た女主は、献花を思いつき黒鉄宮の墓碑に足を向ける

墓碑の男主の名前には、やはり横線が引かれていた

それに触れる女主

死亡時の日時、死因が浮かび上がるが女主は驚く

男主は先日の日付よりもずっと以前に死亡していたという

混乱する女主だが、黒鉄宮を後にする

するとそこには、商人が待ちかまえていた

男主が死亡したことを告げる女主だが、商人はすでにそれを知っている

その上で、この数日間女主を監視していたことを告げる

女主が黒鉄宮の墓碑を見たのなら、それについて口止めすることが任務であったという

女主が塞ぎ込んでいるのを見かねて、独断でこれを明かしたのだ

訝る女主に、商人は問う

男主に会いたいか、と

たちの悪い冗談だと怒る女主

それを遮り商人は言う

これは自分たち救命係ギルドの秘密であり、男主から説明させるつもりであると

それによって感じるであろう、今以上の絶望に耐えられる覚悟があるのなら後日連絡してこいと

呆然とする女主を後に、商人は去る

 

・警務庁救命係

茨城県つくば市の某所

男は苛立っていた

あの失敗による潜入停止措置から数日、未だにそれは解除されない

情報は同僚が流してくれ、それによれば彼女は塞ぎ込んではいるものの無事だという

直接会って確認したいが、それは出来ない

また仮に会えたとして、自分はどう接すればいいのか?

悩みが苛立ちに変わり、彼に対し同僚たちは距離を置いていた

ただ一人、彼女は変わらず接してくれる

以前は疎ましかったが、今となってはありがたい

喫煙所で煙を吹かしていると、女が入ってくる

女に求められるまま、タバコを差し出す男

女は礼を言い、ライターと一緒に紙片を渡す

紙片には日時と、ある場所の名前、IDとパスが書かれていた

危険を押して協力してくれた女に対し頭を下げる男

男が喫煙所を出て行った後、女は懐から自分のタバコを取り出し一服すると、敵に塩を送る行為に対し自嘲するのだった

 

・再会

心を決めた女主は、男主に会いたい旨を商人に伝えた

商人からは湖畔の小屋で待つよう指示され、指定の時間がきた

零時を回った頃、扉がノックされる

訪ねてきたのは商人だった

若干肩すかしを食らいながらも室内に招き入れる女主

茶を前にした商人は、どこか様子がおかしい

意を決した顔で言う「僕だ、男主だ」

唖然とする女主に、自分たち救命係ギルドはログアウト可能な人間の集まりであること、

男主のアバターが現在使用不可能であり、そのために商人のアバターを借りて話していることを告げる

最初は大人しく話を聞いていた女主がキレる

バカにするな、やっていいことと悪いことがある

小屋から排除しようとする女主に、商人が叫ぶ

白龍の巣で女主が告白した時、自分は起きていた、と

商人が知り得ない情報を口にしたことで、女主はクールダウンし再び話を聞くことに

 

ーーここから男主ーー

 

現実世界である時、SAOのバグが発見された

SAOでゲームオーバーを迎えたアバターの再利用が可能になるもので、これには死亡したプレイヤーのナーヴギアを使う必要がある

そのことに拒否感を持たない者で、ベータテスターを中心に有志が集められた

 

・バウンティハンター

 

有志は総務省SAO対策課の臨時職員として採用され、ゲーム内で死亡しても生命に危険がない特性を利用し、ゲーム攻略の先鋒として送り込まれた

茅場に悟られぬよう、使用するアバターは元ソロプレイヤーや全滅したギルドのメンバーなど、生き返っても周囲に気付かれないものに限定する

ギルド警務庁救命係は、その時居合わせた菊岡によって命名されたもので、現実世界での正式名称は総務省SAO対策課潜入救命班という

意気込んでアインクラッドに降り立った救命班だが、すぐに壁にぶつかった

ネットゲーマーは嫉妬深い

強力な装備、高いレベルを持っているだけでも注目を浴び、時には非難される

そこに来ての実質不死属性を持ったプレイヤーの台頭は、危険な軋轢を生みかねない

他プレイヤーが100円玉一枚でクリアを目指す横で、20枚30枚の100円玉を積む連コイン野郎がいたら、モチベーションは大きく後退する

しかも、その100円玉は他ならぬ自分の命なのだ

有名になり、その過去を詮索されたらすでに死亡していたことを突き止められるような危険はおかせない

このため救命班は当初の活動目的であった攻略から手を引かざるを得なくなり、専らアインクラッドでの情報収集にシフトしていった

だが一部のプレイヤーはこれに不満を抱えることになる

他人が楽しくゲームしている横で、ただ見ているしかできないのと同じことであると感じたのだ

そこで彼等は、この状況を利用した小遣い稼ぎを思いついた

一般プレイヤーのリアル家族知人から報酬を得るかわりに、アインクラッドでそのプレイヤーの身辺調査や護衛を引き受けるのだ

無論こちらがログアウト可能などとは言えないので、家族間の伝言などはNGだが、自らの子女の命の代償に高額を支払う父兄は多かった

ある種のRMTである

彼らは総務省側にばれないよう独自の連絡網を作り、ゲーム内にもそれを作った

ギルド・バウンティハンターである

 

・葛藤

救命班プレイヤーは何人いるのか

ハンターは何人いるのか

先日まで一緒にいた男主とゲーム開始直後に別れた男主は別人なのか

元の男主アバターを使っていたプレイヤーはどうしているのか?

そこで女主は思い出す

男主の所属ギルドは、救命係とハンターであること

つまり男主はRMTerということだ

男主は肯定する

オレンジ疑惑のとき、信じると決めた

しかしこれは、オレンジなど問題にならない

死なないSAOプレイヤーなどビーターが霞んで見えるくらいインチキな存在ではないか

だから、自身の命を軽く見ている節があったのか?

いや、それでも自分のことを身を挺して守ってくれたではないか

今のレベルも装備も彼がいてくれたからこそのものだ

だが待て、彼はRMTerだといった

もし彼が金のためにSAOをプレイしているとすれば、自分に近づいたのもそのため?

君と《再会》したのは、偶然ではない

女主の心を見透かすように語り出す男主

自分は君の父親の依頼を受け、ゲームオーバーにならないよう護衛するために近づいたのだ

男主のアバターを知っていたのは予想外のことだった

危険を遠ざけるには大きな組織に守られているのが良い

その意味では軍に所属する女主は、身辺調査の報告だけで良かった

だが、自分と《再会》してしまったために女主は強化行動に出てしまった

依頼の遂行のためには危険を自分が排除しなければならない

冒険に付き合ったのは、それが理由だ

すべては金のためで、君に好かれる資格などない

騙していたことは詫びるが、許してもらおうなどとは考えていない

恨んでくれて結構、ただ高額を支払った君の父上のためにも生き残ることを最優先に考えてほしい

男主はそう言うと背を向けた

女主は最後に一つ、と質問する

自分と一緒にいた時間は本当に仕事のためだったのか?

楽しいと感じたことは一度もなかったのか?

男主は言いよどむが、100%仕事でしかなかった、と告げる

一連の秘密は誰にも話さないで欲しい、と男主

女主が頷くと、サービスと称し家族への伝言を請け負う

女主は必ず生きて帰ると伝えてほしいと言う

男主は了解すると、女主の目の前でログアウトする

 

・黒と閃光

翌日、女主は気晴らしに湖畔を散歩していた

途中で一組の男女と出会い、彼らが攻略組であると知る

彼らは夫婦でもあり、今は前線を離れてのハネムーン期間だという

女の《閃光》アスナの人柄に触れ、男主のことをある程度ぼかしつつ相談する女主

アスナは、それは男主が女主を生かすための方便であると判断する

本当に金づるとしか見ていなかったら、わざわざ現れて突き放すようなことは言わず消え去るはずだ、と

男は勝手な生き物であると2人は笑い会い、アスナは女主に男主ともっと話し合うことを提案する

 

・崩壊の兆し

商人を呼び出し、バウンティハンターのことも含めた全てを打ち明ける

その上で男主と再び話す機会を設けて欲しいと頼む女主

しぶしぶ了承する商人は、一つの情報ももたらす

最近、下層での軍の活動が低下しているという

隊との連絡を絶っていた女主は初耳である

折りよく上等男から通信が入り、これを尋ねるも、上等男はそれ以上の情報をもたらすのだった

同日夜、突然隊長が訪ねてくる

軍に戻り、また自分の片腕として働いてほしいという

隊長はクーデターを計画していた

総長とキバオウ派の対立を利用し、若手将校の自分たちで実権を握ろうというのだ

決行は今夜零時だという

軍は民のためにあるべしと、内紛を否定する女主

評価されない組織構造を根底から作り直すことを主張する隊長

議論は平行線をたどり、軍曹に通報しようとする女主

と、その腕と足を切り落とす隊長

君は部外者に毒されたのだ、と嘆く隊長

女主であれば、自分の考え方を理解してくれるものと信じていたのに、と

隊長は最後の選択を迫る

死か、恭順か

隊長は女主を気に入っており、自らの思い通りにならないのであればその命を奪うことで所有欲を満たそうというのだ

女主は硬い顔で、上等男からの情報の真偽を質す

男主がEdに殺されたとき、小隊はすぐ駆けつけられる位置にいた

本来間に合ったものを意図的に遅らせたのは、隊長の指示であったというのだ

上等男は上等女とのペア解消を盾に口を封じられていた

隊長はこれを認め男主に対する不快感を示す

女主を変えさせた毒虫を排除したのだ、と

あなたを尊敬していたのに、と泣く女主

隊長は女主の首筋に剣を向ける

間一髪のところで、伍長が乱入する

回復結晶はなく、ポーションでの時間回復のため女主は戦えない

隊長と伍長の対決

伍長より隊長が実力に勝るが、伍長の捨て身の一撃により隊長は背走する

 

(生死二択)

 

五体が回復した女主のもとに、今度は軍曹から通信が入る

黒鉄宮監獄エリアが何者かによって解放され、多数のオレンジ・レッドが第一層に溢れかえっているのだという

 

・最下層の、最前線

女主が司令部に着くと、小隊のメンバーが待っていた

何度も頭を下げる上等男に、笑顔で抱きしめ許す女主

軍曹の説明によれば、すでに黒鉄宮監獄は機能を取り戻し、現在は街の外に逃げたオレンジを軍の人間が追っているという

主街地の転移門はすでに軍が押さえており、街に入れないオレンジは全て第一層のフィールドにいることになる

また、街に入って買い物の出来る偽グリーンが転移結晶を買えないように、主街地含めた他の村々の道具屋を封鎖している

オレンジたちの目的は現在フィールドにいる一般プレイヤーから転移結晶を奪い、他の階層へと逃亡を図ることと思われる

軍の主力であるフタケタは総動員済み

攻略組を含めた上位プレイヤーにも協力を求め、一般プレイヤーの救出と脱獄の情報公開を進めている段階だ

ただ間の悪いことに現在、血盟騎士団を始めとしたトップギルドは迷宮区の攻略中であり、助力は期待できない

自分達104小隊の任務は一般プレイヤー救出である

脱獄者の中には元ラフコフもおり、無理な戦いは禁物

フィールドに出ると事件を知らない一般プレイヤーがオレンジに襲われている

彼らを助けオレンジを監獄送りにした後、転移結晶を持たない彼らのために上等兵2人と伍長が護衛として街まで送り届けることに

捜索しながら、女主は軍曹から自身が護衛艦ながとの乗員であり、なかなか帰れないために娘と不仲であることを明かす

それでは必ず生きて帰り、仲直りしなくてはいけないと励ます女主

再びオレンジと出くわした2人

そこにいたのは、男女一組のグリーンと、三度目の対面となるEd一味だった

グリーン2人に自らの転移結晶を渡し脱出させる女主

Ed一味にはラフコフ幹部ザザが加わっており、ザザを軍曹が、Ed三人を女主が受け持つ

防戦一方となる2人

追いつめられたとき、馬に乗った男主が元のアバターで助太刀に現れる

Ed部下2人を退け、Edも追い詰める2人

その時ザザが裏切り、Edを処分する

満身創痍となった軍曹に男主が転移結晶を渡し脱出させると、ザザに2人で挑む

女主が負傷し一旦下がったとき、男主がソードスキルを発動させる

ザザほその全てをはじくが、再び発現したラグによってタイミングがずれ、一撃がヒットする

ザザが撤退し、安堵する男主

しかしその直後強制的にログアウトさせられてしまう

つくば市の施設で覚醒する男主

彼は潜入救命班の存在の公表を盾にログインしていたのだ

職員に詰め寄る男主

しかしこのログアウトは職員の手によるものではなく、あくまでラグよる事故であるとこのこと

再びのログインを要求する男主の耳に、別の職員が告げる

何故か全プレイヤーを対象としたログインシーケンスが始まっており、これからのログインは不可能であると

ちょうどその頃、最前線の迷宮区でキリトがヒースクリフを打ち破っていたのだ

 

・SAO帰還者学校

SAOが76層という中途半端な段階でクリアされた後、女主は帰還者学校の高等部三年生に編入されていた

兵站部士官であった亜矢(アヤメ)とも仲良くなり、大学受験に向けての勉強を進めている

クリア後、隊長を除いた小隊メンバーとオフ会で会うことが楽しみの一つになっていた女主だが、男主とは連絡が取れない

総務省に問い合わせても、そのような部署は存在しない、の一点張り

ある日の授業中、物思いに耽っていると男性教師から名指しで注意を受ける

その時の、自分の名を呼ぶ声に聞き覚えがあるように感じる

亜矢に訊くと、彼は臨時勤務の教師で、教え方は上手いもののやや地味な印象もあり、女生徒からの人気はそれほどではないという

教師と話してみると、趣味はネトゲーでアウトドアはからきしだという

酒もタバコもやらず、面白みが薄いというのが他の教師からの評価でもあった

ある日の放課後、女主は教師が校庭の隅で喫煙しているのを見かける

目が合いあわてて火を消す教師だが、照れ隠しのように笑うとそそくさと行ってしまった

あのタバコを吸う仕草は、男主そっくりだった

顔も声質も違うが、名前を呼ぶときのイントネーションは、やはり男主のものだ

彼がRMTerになる前、リアルでも教師をしていたのだとしたら?

女主の中で興味が湧いてくる

翌日、あの教師を訪ねることにして帰路につく女主

 

・最後の戦い

学校からの帰り道、女主はスタンガンをくらい昏倒する

車に乗せられるが、その時にポケットから財布を落とす

気づけば見知らぬマンションの一室で後ろ手に縛られていた

部屋の壁には一面に隠し撮りされたと思わしき自分の写真

女主にかけられる声

それはある時期一番身近にいた者の声だった

声の主は小隊の隊長で、女主は彼に拉致されたのだ

なぜこのようなことをするのかと問う女主

隊長は答える

君ともう一度異世界で生きていきたいと

隊長は身上を語る

自分の父は弁護士で、正義のために働く姿に憧れがれていたこと

そのために旧帝大を目指し学業に励んでいたものの、結果はふるわず二浪

息抜きのために始めたSAOに二年近く閉じ込められ、父から見放されつつあること

SAO世界では正義のために軍へ入隊したものの組織は腐敗、現状打破のため起こしたクーデターも失敗に終わった

なぜ自分だけがこのような目に遭うのか?正義を行おうとする自分が悪いのか

もはやこの世界で自己実現は不可能である

残された手段として隊長はアミュスフィアに目をつけた

自分と女主用に二台購入し、マンションは父からの手切れ金かわりに手に入れた

あとは、女主を連れてくるだけ

帰還者学校の監視できるこの場所に防音マンションがあったのは幸いであった

隊長は望遠レンズ付のカメラも購入し女主を探し始めた

女主のリアルはすぐ見つかり、満足いくまで撮影したのち、行動を起こしたのだ

隊長はアミュスフィア用のソフトを複数提示する

ALO、GGO…女主と行けるならばどれでもよいと

女主をゲーム内に閉じ込め、ログアウとは食事の時以外禁止する

身の回りの世話は入浴も排泄も、隊長が全て行うと

隊長の狂気に戦慄する女主は、男主に助けを求め叫ぶ

その時、部屋のインターホンが鳴った

相手はNHKの契約人で、受信契約がまだ済んでいないという

追い払おうとする隊長だが、これから毎日来るぞと脅されしぶしぶドアを開ける

その瞬間、男教師が飛び込んで来た

隊長に掴みかかり、張り倒す

女主は相手が小隊の隊長であること、無理やり連れてこられたことを教師に話す

教師は隊長との初対面がこのような形になったことを惜しむ

女主を落ち着かせるため抱きしめていた教師は、隊長が攻撃姿勢に入ったことに気づかない

女主が気づき両手をふさがれた状態ながらも教師を守るため、足技系体術スキルを浴びせるのだった

 

・その後の話

病院で手当てを受け、女主の保護者である父が迎えにくるまでの間、教師は経過を話した

校庭で目があったあとふと気になり追うと、正に車に乗せられているところだった

近くに財布も落ちていたので、間違いない

ナンバープレートを陸運局に問い合わせ、出て来た住所から親元を、そこから隊長のマンションを聞き出せたのだと

同時に教師は自らが男主のアバターを扱っていたことを告白する

総務省の職員を辞めたとき、菊岡から帰還者学校の臨時勤務教師の働き口を紹介してもらったのだという

そこで女主の父がやってきた

男主は女主に、父には自身がRMTerだったことを秘密にしておいてほしいと頼む

女主は助けてくれたお礼として、了承する

 

・墓前にて

お盆の終わり、男主と女主の二人は墓参りに来ていた

元の先生、男主のアバターを作成した人物の墓である

女主は花を供え、感謝を述べる

先生のおかげでSAOを生き延び、また親しい友人もできたと報告する

今日はこれから小隊メンバーに男主、商人も交えてのオフ会がある

男主も、彼のおかげで女主と会えたことに感謝し、彼のように一人前の教師になることを宣言する

元男主はリアルでも教員だったのだ

彼のナーヴギアは今、女主の家にある

三人の思い出の品として、大切にするつもりだ

男主は、女主の父から得たRMTerとしての報酬を全額返金した

彼女の学費として活用して欲しかったからだという

女主は法曹界に入ることを目標にしている

それもまた、2人の恩師からの影響だという

墓地を去り際、女主は男主に問いかける

白龍の巣での返事はいつしてくれるのか?

男主は今さら、というが女主はちゃんと言葉にしてほしいという

男主はその見返りにキスを要求し、女主は照れながらも応える

そして男主は言う

愛してる、と

 


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