こちら、アインクラッド解放軍第104小隊   作:ハイランド

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31商人の依頼 後編

「……リーシィの言ったことは、嘘というわけではない。SAOでは僕も彼女も同じギルドに加入しているから、当然寝起きはギルドハウスですることが多いんです。つまりこれが、『一つ屋根の下で暮らしている』というやつに当たります。

 これだけなら別段珍しいことでもないでしょう? でもきみが気にしているのは、リアルでの話のようですね。ベッドを並べていたと。実をいえば、確かにその可能性もあるのです。『可能性』という、曖昧な表現になるのは……。

 つまり、こういうことです。……僕と彼女は、リアルで同じ職場にいるんです。現在のこの状況では、『いた』と言ったほうが正確かもしれませんが。そこには社員寮というか、従業員が住まうアパートがありました。

 僕たちはその寮に住んでいて……ああもちろん、男女で部屋は別々でしたよ。そこは間違えないように。それで、このSAOへのログインもそこからしたんです。幸運なことに僕もリーシィもソフトが買えましたからね。

 そこで、あの事件が起きた。キサラさん、SAO正式サービス開始からしばらくして全プレイヤーが一時的に回線切断したのを覚えていますか? そう、いわゆる『大切断』と呼ばれているアレです。

 巷ではあれは、現実世界で僕たちの肉体を専門の病院に搬送したために起こったものだと言われていますね。個人の家庭では植物状態とも言える肉体の健康を維持するのは難しい。

 政府か警察かが音頭を取って、介護設備の整った施設に収容した後、再び回線を繋いだのではないかと。この説が正しいとすればSAOプレイヤーの身体はおそらく最寄りの医療機関に運ばれたはずです。

 東京なら東京、大阪なら大阪といった具合に。2時間という時間制限がありますからね。さて、そこで先ほどの話です。僕とリーシィは、ログイン時リアルで同じ建物にいた。

 ということは、最寄りの病院が同じということです。少し前に確認したところ、僕も彼女も『大切断』が起きたのが同じ日でした。おそらくは、搬送された病院も一緒だったのでしょう。断言はできませんが、病室も近いはずです。

 SAOプレイヤーは1万人近くいましたから、全員が個室というのは難しい。むしろ管理する側としては一緒くたにまとめて置いた方がやりやすいでしょう。つまり……」

 

 ……同じ病室で、ベッドが隣同士。

 先生の長い話を聞いてみれば、リーシィさんの言った言葉の真意はそんなことだった。

『リアルでだって隣同士のベッドで……』

 日本語の妙、というやつだろうか。確かに彼女は間違ったことを言っていないし、かといって2人は同棲するような仲というわけでもない、らしい。

 もちろんそれは、先生の説明を全面的に信用することが前提だけど。

「そういうこと、ですか……」

「リーシィはなんというか……人をからかって楽しむ悪い癖があるんです。前にきみにとって刺激が強いと言ったのは、彼女のそういう性格を考慮してのことだったのですが」

「言われてみればそうですね。今日も……」

 つい数時間前にされたことを思い出す。リーシィさん曰く『だまされやすい』私と、可愛い女の子に目がない軍曹は見事に手玉に取られてしまったのだ。

 その結果、手痛い教訓を授けられたばかりだ。

「? なにかあったんですか?」

「い、いえ! 別に、なにも」

 心配そうに先生が見つめてくるけど、あの出来事を素直に話したいとは思わない。

 ごまかすために両手を顔のまえでひらひらさせようとーーした時に気づいた。

「せ、先生……。あの、……近いです」

 私と先生の体勢は先ほどのままだ。背後は壁でこれ以上下がれないし、左右は先生の腕で塞がれている。

 私の誤解を解こうと必死だったのか、正面に立つ先生の鼻先はこれ以上ないくらいこちらに接近していた。ここがゲームの中でなければお互いの吐息がかかりそうなくらいだ。

「ん。……ああ! 失礼」

 ようやく今の距離を自覚したのか、先生が慌てて飛び退いた。気まずそうに足元に視線を投げ、頭を掻いている。

「……ですから、その。僕が言いたいことは」

 いつもは飄々としている先生の頬が、わずかに染まっている。私はいつも百面相とからかわれているので、逆の立場になるとなかなか新鮮だ。

 そのおかげか、今まであんなにざわついていた心も徐々に落ち着きを取り戻していた。

「……ふふ。わかりました。そうですよね、先生みたいにちゃらんぽらんな人があんなに可愛い子と付き合えるとは思えないし」

「なんか、引っかかる言い方だなあ」

 口をとがらせる先生。私はその仕草がいっそうおかしく、吹き出してしまった。

 ……うん、大丈夫だ。完全に元通り。涙も止まったし、ちゃんと先生と目を合わせて話す事もできる。

 SAOは感情表現がオーバーだけど、気持ちが切り替わればそれも引きずらない。たとえ大泣きした直後でも目は充血しないし、鼻先も赤くならないのだ。

 システムに支配された世界の数少ない利点だと思う。

「あの、先生。先生とリーシィさんはリアルで同じ職場なんですよね? ……あの人は、向こうでもあんな感じなんですか?」

 心が軽くなるついでに、そんなことを聞いてみる。先生は困ったように笑った。

「んー、彼女は向こうではあんなにやんちゃではないんですけどね。このSAOにいると、どうにもキャラクターに没入してしまうというか。まあ、ロールプレイングを楽しんでいるようです」

「ロールプレイ、ですか。先生も昔そんなことを言ってましたね」

 SAOサービス開始日のことを思い出す。あの時先生はMMORPGの楽しみ方の1つとして言っていた。大きなギルドに入って色々な人と付き合い、その中での役割を演じてみてはどうかと。

「え? あ……ええ、そうでしたね……。ええと、それでリーシィのことなんですが。ああ見えても、彼女は会社では僕より先輩なんですよ。まあ、実質1ヶ月程度の違いなんですが」

「そうなんですか?」

 それは意外だ。リーシィさんの外見は、そう私と変わらないように見える。おそらくは20歳前後だろう。

 対する先生は、20代半ばくらいの印象。SAO開始時に会った時はお互い作られたアバター姿だったので、先生はあの時より一回り以上若くなったように感じる。

 なにせ私が自分の父と重ねて見てしまったくらいだ。いつだったかフラッシュ軍曹からMMOでは若いプレイヤーが年配の、いわゆる『おっさんキャラ』を操作することも珍しくないと聞いていたので、たぶん先生もそのタイプだったのだろう。

「ええ、僕とリーシィは臨時採用でその会社に入ったので。……ついでにこのSAO歴にしても、彼女の方が長い。βテストも経験しているようですしね。元々ネットゲームが趣味の子ですから」

「へえ……」

 やり過ぎとも思えるロールプレイも、積み重ねたMMORPG歴の賜物ということなのだろうか。

 私が先生から教えてもらったように、先生もリーシィさんから色々と……。

 ……ん?

 再度の、ちくりとした感覚。喉に魚の小骨が刺さった時のような、小さな違和感。今のは……。

 

「お~いっ!」

 私が違和感の正体を探ろうとしたちょうどその時、路地の入り口から小柄な人影が近づいてきた。リーシィさんだ。

「も~、2人してどっか行っちゃって! 探したよ~」

「ああ、リーシィ。すみません」

「待ってても帰ってこないし。あの後、私大変だったんだから! 1人になったとたん、何人も男の人が声かけてくるし。ちょっとは遠慮してほしいよね~」

「贅沢な悩みですねえ……」

 先生が呆れた顔で呟く。

 さすがはリーシィさんだ。私と一緒にいた時でさえ頻繁にナンパされていたくらいなのに、あの人通りの多い屋台街で1人にされたのだ。

 チャンスをうかがっていた男性プレイヤーにとっては絶好の機会だっただろう。

「べっつに~。その他大勢に好かれたって嬉しくないし。どうせ皆、外見しか見てないんだから」

「ごめんなさい、私のせいで。……あの、おかげさまで誤解は解けましたから」

 ぺこりと頭を下げる。元はといえばこの騒動もリーシィさんの婉曲な話し方のせいなのだけど、ここはこらえて謝っておくことにする。

「あれ? もうバレちゃったの? つまんないな~」

「こら、リーシィ……」

 少しも悪びれる様子もないリーシィさんに、先生がため息をつく。

「あはは……」

「迷惑をかけましたね、キサラ。……では今度こそ、帰りましょうか。さすがに遅くなりすぎた。門まで送りますよ」

 時刻はすでに午後6時を回っている。

 イルが用意してくれているはずの夕飯も、一言の連絡もなくすっぽかしてしまったので帰ったら大目玉だろう。

 先生を先頭に、私たち3人は転移門を目指して歩き出した。

 

 と、路地から出た辺りでリーシィさんが速度を落として私に並ぶ。

「……ね、キサラちゃん。ハイドに何を聞いたの? だいぶ落ち着いたみたいだけど」

「別に……本当の事です。先生とリーシィさんは付き合ってるわけじゃないって。……もうだまされませんからね」

「そっか~、ふ~ん。……ハイドがフリーって分かって、安心しちゃったんだ」

「っ!……い、いえ。そういうわけでは」

 からかわれないために予防線を張ったつもりが、彼女はやすやすとそれを越えてきた。

 どきりと心臓が跳ね上がりそうになるのを必死に押しとどめる。

「ふふ。やっぱりキサラちゃんはわかりやすいなぁ。そんなんじゃ、また簡単に遊ばれちゃうよ?」

「大きなお世話です。もうリーシィさんの言うことは半分しか聞きませんから」

「……そっかぁ、残念~。でも、これから私が言うことはちゃんと聞いておいたほうがいいと思うよ~」

 ふんわりとした口調で言うと、急にその場で立ち止まるリーシィさん。

 私はとっさに対応出来ず、数歩進んだ位置で歩を止め振り返った。

 雑踏の中でも目立つ、ゆるく波打つようなブロンドヘアーの奥で紫色の瞳が妖しく光っている。まるで獲物を見つけた猫のようだ。

「リーシィさん?」

 彼女がびしりと私に人差し指を突きつけ、言う。

 

「宣戦布告。キサラちゃん、私ね。…………ハイドのこと、好きだよ」

 

 瞬間、周囲から音が消えた。

 門を目指して歩く人、門から出て街なかに向かう人。その足音、話し声、装備の触れ合う金属音の全てが消失する。

「な……」

「まあ、あのとおりニブチンだからまだなんとも思われてないけどね~。いつかは振り向かせるつもり。だから……」

 硬直した私の方に、ゆっくりと近づいてくる。顔にかかった金髪をさらりとかきあげーー。

「……早く認めて、自分の気持ち。相手が土俵にも入らないまま不戦勝になっても、つまらないから……ね」

 すれ違いざま、耳元でささやく。

 ……嘘だ。

 これはまた、私をからかおうとして口からでまかせを言っているのだ。

 そうでなければおかしい。だってリーシィさんはとっても可愛らしくて、男性からもすごくモテていた。よりにもよってあの先生を本気で好きになるはずがない。

 だいたい彼女は『自分の気持ちを認めろ』と言ったけど、私のなかにそんな感情はーー。

「あ、そうそう」

 少し進んで立ち止まる、リーシィさん。私もまだ動けず、背を向けあったままだ。

 表情を窺えないまま、声だけが届く。

「リアルでの話はとにかく、少なくともSAOで同じギルドに入っているのは本当だよ。出会いはキサラちゃんの方が早かったかもしれないけど、一緒にいる時間は私の方が長いんだから」

「それが……どうしたって言うんです……」

「一度情が移っちゃえば、男の人なんて薄情なものだよ。ハイドがキサラちゃんに会いに行く時間も、段々減っていってそのうち……ゼロになっちゃうかもね」

「っ……!」

 胸を突かれる感覚。

 ……先生と過ごす、あの穏やかな時間が無くなる?

 脳裏に再生された想像図はほんの一瞬だ。それでもその光景を思うだけで私の胸は締め付けられ、中の空気が搾り出される。

 心臓のあたりがむず痒く、引っ掻いてみても手は身体の表面をなぞるだけでそこには届かない。言いようのない不快感。

「……リーシィ、キサラ?」

 胸を押さえて立ち尽くす私の背後から、先生の声が聞こえた。

 自分についてこない私たちを不審に思ったのだろう。近づいてくる気配を感じる。

 ……いけない、せっかくいつもの私に戻れたのに。こわばった顔を見せたら、また先生に心配をかけてしまう。

「ごめ~ん、ハイド~」

 先ほどまでの冷徹な雰囲気が嘘のように、甘えた声でリーシィさんが謝っている。

 私は2人に気付かれないようにゆっくり深呼吸をすると、後ろを振り返った。眼前には眉をひそめる先生と、その腕にしがみつく彼女の姿。

「ご……ごめんなさい、先生。ちょっと露店に気になるものがあったから……。その、リーシィさんと一緒に見入っちゃってました」

 とっさについた嘘にしては、滑らかに口が回ったと思う。見ればリーシィさんもいたずらっぽく笑い、口元に人差し指を立てていた。秘密、ということらしい。

「……そうですか。キサラ、僕たちのギルドは門限などありませんが、きみは違うのでしょう? 見物はまた今度にしましょう」

「は、はい」

 どうやら先生には私の動揺は気付かれなかったようだ。内心ほっとしつつ、小走りで駆け寄る。

 私が隣に並ぶと、2人は向きを変えて再び門へと歩き出した。

 

「ところでリーシィ。……いつまで引っ付いてるんです? 歩きにくいのですが」

「え~、別にいいじゃない。いつもこうして歩いてるんだから~」

「えっ……?」

「ちょっ、また貴女はそうやって……。キサラ、わかってるとは思いますが今のはリーシィの……」

 露骨に驚いた私に、先生は慌ててフォローを入れてくる。リーシィさんを見ると、彼女は小さく舌を出していた。どうやらまたからかわれたらしい。

 ……このままじゃ、ダメだ。

 こうして手玉に取られっぱなしでは遅かれ早かれ、本当にあの想像図が実現してしまうかもしれない。

「……」

「え、あの……。キサラさん?」

 今度は先生が目を丸くする。

 リーシィさんに煽られたからというわけではないけど、私はとっさに先生の空いた方の手の袖を摘んでいた。

 反対側に立つリーシィさんも一瞬目を見開いた後、不敵な笑みを浮かべる。

「その……。はぐれるといけませんから。人も多いし」

「でも、門はすぐそこですよ?」

「……にぶちん」

 いまだ腕を掴んだまま、リーシィさんが小声でつぶやく。その言葉の意味が理解できなかったのか、先生は困惑顔だ。

「ふう。……それなら」

「あっ……」

 短くため息をついたあと、先生は私が袖を摘んだ方の腕を一振りした。不意に引き離された私の手は空を切り、思わず声を出してしまう。しかし……。

「……こうした方がいいのでは?」

 そう言って先生は宙をさまよう私の手を逆に握り返してきた。

 私の手は先生の大きな掌にすっぽりと包まれ、そこから熱を伝えてくる。温かい。

「あ……。ありがとうございます」

 先生の手を握り返そうとしたけど、私の指先はしびれたように動かなかった。顔が熱い。また例のごとく私は赤面しているだろう。

 それを気取られたくなくて、顔を彼から背ける。

 考えてみれば、こうして手をつないで歩くのは初めてかもしれない。気恥ずかしさと一緒に、胸の奥がじんわりと温まっていく。

 ……まあ、それ以上のスキンシップをついこの前したような気もするけど。

「いやあ、両手に華ですねぇ。……周りからの視線が痛いなあ」

 私の内心の葛藤に気づきもせず、のほほんと言う先生。この人は本当に……。

「……言ったとおりですね、リーシィさん」

「でしょ~?」

 先生の身体ごしに目を合わせ、苦笑する私とリーシィさん。

 1人会話から取り残された先生だけが、頭に疑問符を浮かべていた。

 

「じゃあ、僕たちはこれで。本当は<はじまりの街>まで送って行きたいのですが……」

 温かな時間は、すぐに終わりを迎えた。

 先生が私の手を握ってくれてから転移門の前に来るまで、ものの十数メートルしかなかった。ゲート前に到着した段階で、自然と繋がれていた手は離される。

 あとに残ったのは動揺を悟られずに済んだ安心感と、ほんの少しの喪失感。

 見るとリーシィさんも先生の腕を開放し、門を囲む柱の1本に寄りかかっていた。往来をゆく旅人たちを見つめている。

「大丈夫です。門をくぐってさえしまえば、黒鉄宮はすぐ目の前ですから。心配しないで下さい、これでも軍人の端くれですよ」

 先生たちのギルド<警務庁救命係>のホームがこの街にあることは、先ほどリーシィさんから聞いた。

 そして、今夜はそこで集会が行われる予定なのだという。ただでさえ私のせいで時間を取らせてしまったのだし、これ以上迷惑をかけるわけにもいかないだろう。

「……キサラの戦闘センスは信頼していますが、それ以外の部分でたまに心配になるのですよ、僕は」

「う……」

 チラリとリーシィさんを盗み見る先生。何を言いたいのかは明白だ。

 私も今日は幾度と無く彼女に翻弄されているので、反論出来ない。

 すると私たちの視線に気づいたのか、リーシィさんがこちらを振り返った。

 きょとんとした表情を見せたのはほんの一瞬で、すぐさま天使のような笑顔を浮かべる。

「なになに? なにか面白いことあった~?」

「きみが喜ぶようなことは、そうそうあってほしくないですね……」

「あはは……」

 私が彼女と過ごしたのは今日1日という短い期間だけど、それでさえ大きな疲れを感じているのだ。

 おそらく先生は普段から、リーシィさんのおてんばぶりには手を焼いているのだろう。

「なによ~、人を悪者みたいに!」

「ははは……。まあまあ」

 ふくれっ面のリーシィさんをなだめる先生。その光景はつい先ほどまで仲睦まじい兄妹のように映っていたのに、彼女の宣言を聞かされた今ではまるで別のものに感じてしまう。

「えっ……と。先生、リーシィさん。それでは私はここで……」

 もやもやとした感情が心を支配しそうになるのを押さえて、別れの言葉を口にする。

 今の私には時間が必要だ。落ち着いて考えを整理しなければならない。

「え、ええ。キサラ、今日はお疲れ様でした。次の機会に、また」

「じゃ~ね、キサラちゃん! 今度は3人で遊ぼうね!」

 笑顔で見送られ、私は門に足を踏み入れた。振り返って一礼し、転移先である<はじまりの街>の名を告げる。

 青い光に包まれた向こうでは、肩を並べた先生とリーシィさんが手を降っていた。

 

「おそーい! キサラさん、今何時だと思ってるんですか!?」

 黒鉄宮の司令部に戻った私を迎えた第一声は、イルのものだった。

 両手を腰に当て、目を三角にしている。

「ご、ごめんねイル。ちょっと色々あって……」

 104小隊の事務室には私を除いて2人、イルとクロくんが残っていた。他の大人たちは席を外しているらしい。

 日々の食事を用意してくれるのは、主に料理を得意とするイルの役目だ。このところは士官食堂で食事を摂る機会が増えた私だけれど、夕飯は彼女に頼むことが多い。

 今日も本来であれば小隊の皆と一緒に夕飯を食べるつもりだったので、その用意も頼んでいたのだ。

「キサラさんがあんまり遅いから、皆先に食べちゃいましたよ。事情はフラッシュ軍曹から聞きましたけど、ちゃんと連絡くらいして下さい」

「うう……。本当にごめんなさい」

 全面的に反論の余地がない。私にできることは平身低頭、謝ることだけだ。

「まあまあ、イル。いいじゃないかよ、副長にも付き合いってものがあるんだしさー」

 私たちのやり取りを見守っていたクロくんが助け舟を出してくれた。私はこれ幸いとばかりに話題を逸らすことを試みる。

「そ、そうそうイル。付き合いと言えば、今日はギンくんが来ませんでしたか?」

「ギン? いえ、今日は見てないですけど」

 きょとんとした顔で小首を傾げるイル。

 今日の午前中、私とリーシィさんが教会を訪ねた時ギンくんはいなかった。サーシャ先生の話では彼はおめかしをして出て行ったとのことだったので、てっきり行き先はイルのところだと思っていたのだけれど。

 すると自席に座っていたクロくんが、こともなげに言った。

「ああ。アイツなら、オレが追っ払っておいた」

「え?」

「……はあ!?」

 私の横で驚愕の表情を浮かべたイルが、残像を残しそうな勢いでクロくんの机に走り寄る。バン、と天板に両手をつきーー。

「どういうことよ、クロ!? ギンが来てたなんて、私聞いてないわよ!」

「当たり前だろ。そんなどーでもいいこと、イルにわざっ、ざざざ」

 すました顔で答えるクロくんが言葉を終えないうちに、彼の襟元を掴み乱暴に揺するイル。

 おそらくは『わざわざ言わなくてもいいだろう』などと口にしようとしたのだろうけど、ガクガクと前後に振られる頭部からはぶつ切りになった声が漏れでている。

「ちょ、やめ……っ」

「あーんーたーはーっ!」

「い、イル! 穏便に!」

 放っておけば窓からクロくんを投げ飛ばしそうなイルをなんとか押しとどめる私。

 ああ、話題を逸らすつもりが……。とんだ方向へと飛び火してしまったものである。

 

「……今日の昼飯はオレが一番早く食べ終わったろ? そんでこっちに戻って来る途中、あの赤いのがいてさ」

 クロくんの話では、ギンくんはいつものようにクエスト攻略を持ちかけて来たのだという。

 今日は自選作業ということで、時間に余裕はあったはずだった。しかし不幸なことにーークロくんにとってはラッキーだったろうけどーーその時イルはまだ食堂にいた。

 ギンくんをライバル視しているクロくんは彼がイルに近づくことを面白く思っておらず、邪険に扱いがちだ。

 なにかと理由をでっち上げて、受付まで来た彼を追い返してしまったらしい。

「……あのさー。あんたたちの仲が悪いのは知ってるけどさ、ウソついてまで帰らせるようなやり方は良くないんじゃないの? しかもそれを私にも隠すなんて」

「う、うるせー! オレはただイルに変な虫がつかないようにしようと……」

「よ・け・い・な・お・世・話! ……だいたいね、あんたにそんな事まで心配される筋合い無いわよ。お父さんでもカレシでもないのに」

「うぐっ……」

 イルの腕から解放されたクロくんは、床にへたり込んだ姿勢で話していた。そんな彼を仁王立ちで見下ろすイルには、取り付く島もない。

「それに……。あんたの方こそ最近、浮かれてるんじゃないの? 女の子の写真を見て、ニヤニヤしちゃってさ」

「ばっ……! あ、あれはちげーよ!」

 イルが言っているのは、私がクロくんにプレゼントしたあの写真のことだろう。

 以前<セルムブルグ>でアスナさんとキリトさんに会った時、私は先生の記録結晶で2人に記念撮影をお願いしていた。

 攻略組の間で<黒の剣士>と呼ばれ、トッププレイヤーの一角として活躍しているキリトさんに対し、クロくんが強い憧れを持っていたことは聞いていたので、彼へのお土産として撮らせてもらったのだ。

 本当はキリトさんだけの写真でも良かったのだけど、あの2人が並んでいる姿はとても絵になっていたのでツーショットにさせてもらった。

 ……それがまさか、こんな場面を引き寄せることになるとは。

「あ、あの。イル、それくらいに……」

「フン。あんたが誰を好きになろうが知ったこっちゃないけど、相手の写真を持ってるだけで満足してちゃ根暗なストーカーとおんなじよ。女々しいったらありゃしない」

 ぐさり。

 イルの言葉が胸に突き刺さる。もちろん彼女はギンくんに向けて言ったのだろうけど、その内容は偶然にも私に当てはまるものだった。

 今朝もこっそり撮影した先生の写真をぼーっと眺め、朝食に遅れたのは記憶に新しい。

「そんなもの大事にするくらいだったら、ちょっとでもお近づきになれるように努力したらどうなの? まー、あんなに美人だったら競争相手も多いでしょうけどね。だからって……。あれ、どうかしましたかキサラさん?」

「い、いえ……。別に、なんでも」

 額を押さえて壁に寄りかかる私に、イルが視線を向けてくる。

 ううん……。これ以上この場にいるのは、私にとっても精神衛生上よろしくないかもしれない。

 彼女のよどみない口撃はクロくんだけでなく、私の心にもクリティカルなダメージを与えてくる。

「……イル。すみませんが、私はお風呂に入ってきますね。続きは部屋に戻ってからで……」

「あ、はーい」

「副長お……」

 取り残されることになったクロくんが非難めいた声を上げるも、聞こえないふりをする。

 たとえ私がこの部屋に残ったとしても、彼の窮地を救うことは出来ないのだ。クロくんがアスナさんではなく、キリトさんの方を見ていたのだと言っても信じてはもらえないだろうし。

 また仮に信じてくれたとしても、その時はクロくんが秘密にしている<黒の剣士>への憧れをイルに明かさざるをえない。

 ーーだから、がんばって耐えて。

 ドアを開きつつクロくんに軽く手を振ると、彼はがっくりとうなだれた。

 

 日々気温の上昇を感じる初夏とはいえ、バーチャル世界であるこのSAOでは汗をかいて肌がベタついたり、体臭が発生するようなことがない。

 現実世界では病院のベッドに1年半以上も横たわっているであろう生身の身体はともかく、こちらでは基本的に入浴する必要はないのだ。

 このためSAOプレイヤーの多くは夜の食事を終えるとそのままベッドに直行する。

 さすがに寝間着には着替える人がほとんどだけど、中には鎧を着込んだまま寝る人もいるのだとか。

 私はそこまでの豪胆さを備えていないので、なるべくお風呂には入るようにしている。お湯をかぶったからといってなにか特典があるわけでもないけど、気分の問題だ。

 温かな湯船に浸かり手足を伸ばすと、それだけで1日分の疲れが溶け出していくかのような感覚を味わえる。

「んーっ……」

 軍の司令部には、男女別に大浴場が何箇所か用意されている。

 比率で言えば男性プレイヤーの方が圧倒的に多いはずだけど、実際によく浴場を利用しているのは数少ない女性プレイヤーたちだ。

 入浴するにはやや遅い時間帯であるにもかかわらず、今も私の他に何人かが浴室にいる。

「女々しい、か」

 他の誰にも聞き取れないくらいの、小さな声でつぶやく。

 好きな人の写真を保管し手元に置くクロくんの行為を、ーーその対象は勘違いしているのだけどーーイルはそう評した。

 相手を象ったモノなんかで満足しないで、本人の横に立てるように努力しろと。それが、彼女にとっての考え方なのだろう。

「私は……」

 私はどうなのだろう。そもそも、あの時先生の写真を撮ったのは何故なのか。

 思い出を残すため? 一緒に写した海の風景やウミネコと同じように。

 現実世界では友達と遊びに行く度に、携帯で写真を残すのは当たり前のようにしていたことだ。SAOでの『友達』である先生を撮るのもおかしいことでは……。

 ……いや。だったらあんなふうに隠し撮りのような真似をしなくてもいいはずだ。

 ただ一言『一緒に写真、写ってくれませんか』と言えばいいのだから。

「そうしなかったのは……」

「なあ、さっきから何をブツブツ言ってるんだ?」

「っ!!」

 ばしゃあ、と水音を立ててとびずさる。

 突然声をかけられたことにびっくりして思わず身体が動いたのだけど、銭湯のように広い湯船内では壁にぶつかることはなかった。

 元いた場所を振り返り、見上げると。

「……なんだ、そのお化けでも見るような目は」

 そこにいたのは、見覚えのある赤髪の女性プレイヤー。……<アインクラッド解放軍>第08小隊所属、カレンだった。

 

「……なんで貴女がここにいるんです」

 警戒する私を尻目に、カレンは悠然と湯船に入ってくる。

「なんでって、ここが女湯だからさ。あんたには、アタシが男にでも見えるのかい?」

「い、いえ。そんなことは」

「そうだろう? 身体つきもどう見てもアタシの方が女らしいし、なあ?」

 ふふん、と何故か勝ち誇った笑みを浮かべるカレン。その視線が向けられている先は……。

「って、どこ見てるんですか!?」

 慌てて体の前で腕を交差させる。今のは明らかに、特定の部位を『鑑定』していた。

「いいじゃないか、減るもんじゃなし。……あ、それ以上減りようもないか」

「しっ、失礼な! これでも今日、『思ったよりもある』って褒められて……」

「おっ? なんだ、もうハイドとそこまでいったのか? 大人しそうな顔しといて、ヤルことは早いね-」

「ちっ!? ちがーうーっ!!」

 浴室に絶叫がこだまする。

 ……なんなのだろう、今日は。リーシィさんといい、カレンといい。女難の相でも出ているのだろうか……。

「おーい、元気があるのはいいけどここは公共の場所だぞー。他の連中に迷惑かけるなよー」

 こちらの気も知らないカレンは、大変にリラックスした様子で足を伸ばしていた。

 

「で? 実際どこまで行ったのよ、あんたらは」

 湯船の縁に並んで腰掛けた状態で、カレンが言う。浴室にはすでに他に人影はなく、私たち2人きりだ。

「……」

「キサラちゃーん? お姉さんに教えてよー」

「誰がお姉さんですか、誰が……!」

 脳天気な声でおちょくってくるカレンを無視し、お湯をすくって身体にかける。

 ……なんだか前にも、こんなやり取りを誰かとしたような。デジャヴ、というやつだろうか。

「……なに? あれからなんにも進展してないの? 1ヶ月も経つのに」

「進展もなにも……。先生と私はそんな関係じゃ……ただ」

「ただ?」

「今日、手をつないで歩きましたけど。なりゆきで」

 しつこいカレンの態度につい、言葉をもらす。すると彼女はぽかんと数秒間口を開けた後……。

「ぷっ……。あは、あはははは! なんだソレ、中坊かよ! はははは……!」

 先ほどの私の絶叫以上の大声で笑い出した。泣くほどおかしいのか、目元を指先でぬぐっている。

「な……。なんなんですか、もう!」

「いやー、悪い悪い。あんたらがあまりにもピュアな恋愛してるもんだから、つい」

「れ、恋愛だなんて」

 カレンの言葉中にあった単語にぴくりと反応してしまう。すると彼女はそんな私の動きを瞬時に感じ取り、言う。

「……なあ」

「なんですか……?」

「本当のところ、どうなんだよ? ハイドのこと、好きなんじゃないのか」

「……」

 真顔になったカレンが口にしたその問いこそが、ここ最近私のなかで渦巻いていた悩みの正体だ。

 曹長に心配され、リーシィさんに自覚を促され。写真の中の先生を見つめ続けてもその輪郭はつかめないまま、気持ちだけが空回りしていた。

 私は本当に、先生ーーハイドさんのことが、好きなのか?

「その、私にとっては……。先生と一緒にいる時間は楽しいし、もっと先生のことを知りたいと思うんです。でも……」

「でも、なんだ」

「正直、よく分からないんです。あの人を男の人として見てるのか、頼れる『先生』として見てるのか。……歳だって5つ以上は離れてそうだし」

「…………くっだらねー」

「はい。……えっ」

 聞き間違いだろうか。今カレンに『くだらない』って言われたような気がしますよ?

 横を見ると彼女はざぶんと湯船に飛び込み、水面を仰向けになって漂い始めた。赤い髪が花火のように広がる。

「あんたさ、頭堅すぎ」

 先ほどまでの真顔はどこへやら、気の抜けきった酔っぱらいのような表情をしている。

「キサラ。あんたが人と付き合うときに見るのは人間か、それとも肩書きか? 例えばアタシやゼルが聖竜連合にでも移籍したらもう話すことも無いか?」

「そんなことは……!」

「『先生』とは言っても、リアルで先生と生徒の間柄だったわけじゃないんだろ? ただのロープレだ。そりゃあ向こうで本物だったら色々難しいところもあるだろうが、それをコッチに来てまで再現しなくてもいいだろうさ」

 ロープレ……ロールプレイ。役割を演じること。

 確かに私と『先生』の関係は、あの始まりの日に彼をそう呼んだことから始まっている。

 カレンはそれに、縛られすぎるなと言っているのだ。

「それに、5歳差くらい大したモンじゃないよ。向こうじゃありふれてる。……あんたはまだ10代だろうから、余計に大きく感じるだろうけどね」

「そういうものでしょうか……」

「そういうものさ。恋愛で一番大事なのは理屈じゃない。自分の気持ち、感情だ。……女は子宮で考える、ってね」

 とんとん、と自身のお腹あたりを指さすカレン。

 ……大事なのは理屈ではなく、自分の気持ち。

 その言葉に、何かがすっと胸の奥に収まったように感じる。

「……ありがとう、カレン」

 自然と、私は感謝の言葉を口にしていた。カレンが一瞬目を見開くけど、すぐに唇の端をつり上げて獰猛な笑みを浮かべる。

「ふん、せっかくのオモチャだからな。たまにはメンテしてやらないと。……安心しな、もしあんたがフラレたらハイドはアタシがもらっといてやるよ」

「性格悪いなぁ……」

 その余計な一言がなければ、年上の女性としてもっと尊敬できるのに、と思う。……言わないけど。

 

「そうだ。……あの、カレン。カレンはアイリさんのことはどう思ってるんですか?」

「アイリ? なんでまた」

 アイリさんはカレンと同じく、第08小隊に所属している女性プレイヤーだ。炎のように攻撃的で活発な印象のカレンとは逆に、アイリさんは優しく流れる清流のような雰囲気をもつ。

 どちらも隊長であるジーゼル中佐に惹かれてパーティを組んでいるのだと言っていた。つまり。

「その……。もしもゼルさんを取り合いすることになったらどうするのかなー、と」

 男性1人に、女性2人。この組み合わせは先生と私、リーシィさんとも同じである。

 私がリーシィさんの『宣戦布告』を受けた場合、どのように動くべきかの参考にしようかと思ったのだ、が。

「ははっ、それはないな。アタシたちは1対2の関係じゃなくて、1対1対1なのさ。アタシはゼルもアイリも好きだし、あいつらもそう思ってるはずだ。3人の内誰かが欠けるまでは、アタシたちの距離は均等だよ」

「そ、そうですか」

 もともとリーダーのゼルさんからして、破天荒な人物だ。類は友を呼ぶということで、3人は一般的なカップルより柔軟に結びついているのかもしれない。

「……ただ、まあ。万が一決着をつけるしかない状況になったら……。アタシは全力で戦うと思うな。もちろん、アイリもゼルもそれを選ぶだろう」

「それまでの関係が壊れてしまったとしても、ですか」

 自分に置き換えて、想像してみる。

 もしもリーシィさんが先生に告白して、彼もそれを受け入れたとする。先生は優しいから、2人が正式に恋人同士になっても、私との連絡を断つようなことはしないだろう。

 リーシィさんもあの性格だし、3人で遊びに行こうなどと平気で言い出すかもしれない。……でも、残された私は?

 きっと遠慮して……いや、あの2人が仲良くしている所を見たくなくて、距離を取るのだと思う。そうしている内に少しずつ疎遠になって、……赤の他人になってしまうのだ。

「なあなあの関係を無理やり維持するよりはいいだろう? 壊れたとしても、それはアタシたちの間柄がその程度に過ぎなかったってことさ。それならアタシは、ぬるま湯に浸かっているよりかは明確な決着を望む」

 さばさばしたカレンらしい答えだ。

 彼女は立ち上がり、座ったままの私の横を素通りすると身体の水気を切りながら脱衣所に歩き出した。

「……長湯しちゃったな、湯あたりしそうだよ。アタシは先に上がるから、あんたもほどほどにしときな」

「はい」

 手をひらひら振りながら去っていくカレンに、私は頭を下げた。

 第一印象は最悪だったし、話すと本当に意地が悪い。以前もどれだけ言葉でいじめられたことか……。

 それでもカレンは頼れる先輩だ。SAOプレイヤーとしても、人として、女としても。今回話したことで、私自身の悩みもだいぶ整理されたように感じる。

 ここに彼女が来たのはまったくの偶然だけど、会えてよかった……と思う私だった。

 

「……さて」

 浴場を出る前に、最後にお湯をかぶることにする。

 ざば、と頭から全身にかけて流れる水の行き先を見つめていると、今日の出来事が脳裏に次々と再生されていった。

「……」

 

『ハイドがキサラちゃんに会いに行く時間も、段々減っていってそのうち……ゼロになっちゃうかもね』

『そんなもの大事にするくらいだったら、ちょっとでもお近づきになれるように努力したらどうなの?』

『恋愛で一番大事なのは理屈じゃない。自分の気持ち、感情だ』

『なあなあの関係を無理やり維持するよりはいいだろう?』

 

 リーシィさん、イル、カレンの言葉が駆け抜ける。

 ……そう。

 きっと本当は、ずっと前からソレはあったのだ。

 ただ、私は今までソレに蓋をして、気づかないふりをしてきた。一緒にいる時間が楽しすぎて、壊したくなくて。

 ソレを昔お世話になった恩人に対する感謝の気持ちだとか、父に似た雰囲気の男性に対する親愛の情だとかに、置き換えていた。

 そして最後に、彼女の言ったことを思い出す。

 

『……早く認めて、自分の気持ち』

 

 ……うん。

 認めよう、わたしは。

 

 ……先生のことが、好きなんだ。




ライバルが登場して主人公が自分の恋心を自覚する、という展開は王道ですね。
私も大好物です(*´∀`)

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