こちら、アインクラッド解放軍第104小隊   作:ハイランド

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12軍のお仕事 後編

「ギリギリセーフでしたね」

「ええ。……なにか、勢いで余計なものまで買い込んでしまいましたけど」

 数十分後、私達は市街を流れる川沿いにある、教会の入り口近くにいた。

 敷地内には青灰色の屋根を持つ高い塔が立てられ、てっぺんには十字に円を組み合わせた金属製のアンクが輝いている。

 こんな目立つランドマークがありながら見つけられなかった私達って……。

「とりあえず、サーシャさんにお礼を言いに行きましょう」

「りょーかい」

 先ほど私達に声をかけてくれた女性は、名をサーシャと言った。なんと目印であったこの教会に住んでいるのだという。

 SAOではプレイヤーが宿泊する施設として、宿屋とホームが用意されている。

 宿屋は名前通り宿泊料を支払うことで、安全なベッドでの睡眠を得られる施設。ホームは購入にあてる初期投資額こそ莫大だが、以降は内装を含め自由に使うことが出来る。

 ギルド単位で持つ『ギルドホーム』が基本だが、攻略組やお金持ちの商人プレイヤーの中には個人でホームを持っている人もいるという。私がささやかに憧れているものの1つだ。

 一方、各層に配置されている『教会』では、継続的にコルを寄付することで内部の小部屋を借りることができる。宿屋とホームの中間の位置づけといったところか。

 サーシャさんは<はじまりの街>にあるこの教会に、数人の年少者プレイヤーと共に暮らしている。なんでも、独り立ち出来ない彼らの面倒を見る保母さん的役割を担っているらしい。

 

「あら、おふたりとも。買い物は間に合いましたか?」

 庭で子どもたちと遊んでいたサーシャさんが、私達の姿を認め声をかけてきた。

 しかし一緒にいた子どもたちは私達を見るや、一目散に教会内へ駆け込んでいってしまった。

「……ごめんなさいね。いつもならちゃんとご挨拶出来る子たちなのですけれど」

「いえ、お気になさらないでください。おかげさまでタイムセールには間に合いましたし。ありがとうございました」

 申し訳無さそうな顔をするサーシャさんに、私は頭を下げた。

 最初に声をかけてくれた時、私が軍人であると知るとサーシャさんは険しい顔をしていた。

 おそらくは彼女も昨夜のギン君と同じく、軍に対してあまりいい感情を持っていないのだろう。そして、一緒に暮らす子どもたちも。

 彼女たちに無用な緊張感を与えてはいけない。そう考えた私は、早々に立ち去ることにした。

「それでは、私達はこれで。本当に助かりました。今度なにか……」

 そこまで言いかけた時、教会の扉が勢い良く開かれた。

「先生、軍のヤツラが来たって!?」

 飛び出てきたのは3人の子どもたち。先ほどサーシャさんと遊んでいた子達よりいくつか年上のようだ。たぶん、私の隣に立つクロ君と同じくらい。

 教会内に逃げ出した子どもたちが呼んできたのだろう。そして、真ん中に立つ赤い髪を逆立てた男の子には見覚えがあった。

「ぎ、ギン君!?」

「ギン!なんなの騒々しい、お客様に失礼でしょう」

 異口同音にその名前を呼んだ私とサーシャさんは、『え?』と顔を見合わせたのだった。

 

「……そうですか。あなた達がギンを助けてくれたのですね」

 敷地の隅に設置されたベンチに腰掛け、私達は改めて昨夜のことを話し合っていた。

「ギンが遅い時間に帰ってきたので、どうしたのかと聞いたのですが……。ただおせっかいな人に助けられた、としか言わなくて」

「おせっかい、ですか。あはは……」

 思わず苦笑してしまう。

 ベンチは向かい合うように配置されており、私の正面にはサーシャさん、隣にはクロ君がいる。クロ君の向かいにはギン君が苦い顔をして座っていた。

「1人じゃ街まで帰れなかったくせによー。なにがおせっかいだか」

 昨夜のお返しとばかりにクロ君が口撃している。ギン君は隣に保護者であるサーシャさんがいるためか昨夜の毒舌は鳴りを潜めている。

「こら、クロ君。いじわるなこと言わないの。……それにしても、どうしてギン君はあそこへ?今は最前線からだいぶ下とはいえ、この層よりはずっと強力なモンスターが出るんですよ?」

「それは……」

 これに沈痛な顔で答えたのはサーシャさんだ。『それは、私達のためなんです』と。

 

 サーシャさんの話は、こうだ。

 この教会に暮らす人達の生活費は、子どもたちの中でも年長のプレイヤー数人が狩りによって稼いでいる。もちろん必要最低限の額で、ぜいたくはできない。

 つい最近まではそれでも平和に、慎ましく過ごしていた。しかしMTDが軍に変わった辺りから、事情が変わった。

 軍の徴税部隊と称する人間が税金の名目で集金を始めたのだ。教会にそんな余分なお金はなく、最初のうちは断り続けていた。

 しかしある時、昼も夜もない督促に嫌気が差した年長者の1人が、自身のポケットマネーからその税金を支払ってしまったのだ。

 もちろん彼はそれによって教会の皆を守ろうとする意図もあったのだろう。

 だが、1度支払ってしまえばその能力があると判断してしまうのが集める側の心理。徴税部隊は再び教会を訪れ、納税を迫った。

 悪いことに、以前納税した年長者は上層に出かけていた。

 苛立った部隊はサーシャさんに自身のメニューを他人にも見える<可視モード>に切り替えさせ、そこに表示されたお金の全額を奪っていったのだ。

 帰還した年長者の所持金により教会の運営は続けることが出来たが、危機は去ったわけではない。

 今は全財産を差し押さえたと思い込んでいる徴税部隊が、再び教会を狙わないとは限らないのだ。

 ギン君はそんないざというときのために、秘密裏にお金を貯めこんでおこうと考えた。

 安全性を考えれば、<はじまりの街>周辺で狩りをするのが最善だ。青イノシシを始めとした第1層のモンスター相手なら、遅れをとることもない。

 しかし、部隊の急襲を恐れたギン君は冷静な判断力を欠きついに昨夜、第19層という安全圏を逸脱した場所に脚を踏み入れてしまったのだ。

 

「私は、ギンに危ないことをしてほしくない。昨日も散々叱ったのですけど……」

「それくらいのことをしないと、いざというときに教会を守れるだけの金を手に入れることは出来ないよ、先生」

「教会があっても、ギンが死んじゃったら意味が無いじゃない」

 ふてくされたようにつぶやくギン君と、疲れた表情でうつむくサーシャさん。

 議論は平行線だ。お互いがお互いを大切に思っているからこそ、意見は交わらない。

 私に何か、できる事はないだろうか。軍内部にいる私だからこそ出来る、彼らの助けになること。

 私自身がその徴税部隊に注意するのはどうだろうか。中尉という階級を利用すれば……。

 いや、それは難しい。そもそも私は、軍に徴税部隊があること自体知らなかった。

 軍の資金は各小隊の探索によって得られた報酬の上納分と、マッピングデータの販売など双方の合意による取引で得られるものだけだと思っていたのだ。よって、その指揮官とも面識などあろうはずもない。

 下層の一般プレイヤーを守るために存在する軍が、守るべき対象から強制的に搾取するなんて本末転倒もいいところだ。

 それでは、狩場を独占してまで自分たちを強化している意味がなくなってしまう。

「……あ」

 そこまで考えて、私は思い出した。軍の使命を誰よりも理解し、そのために一般プレイヤーから恨まれることすら厭わない鋼の心を持つあの人。

「副長?」

「……隊長に、相談してみましょう。なにか知恵を貸して下さるかもしれません。サーシャさん、その所持金の全額が奪われた時の軍のプレイヤーの名前は分かりますか?」

「え?ええ。あの時、最初にご自分の名前と階級を仰っていたので。覚えています」

 当惑した様子のサーシャさんに、私は頷いてみせた。

 

「……なるほど。話は分かった」

 その日の夜、私は隊長に昼間の件を説明していた。

「確かに、<可視モード>を使ってまで全財産を徴収するというのは、やり過ぎだ。それでは強盗と同じだからな」

「それじゃあ……」

「ああ。その者たちは徴税部隊から外すように……いや、軍からの除名も視野に入れて上層部と交渉にあたることにしよう」

「ありがとうございます」

 さすがは隊長だ。同じ士官とはいえ、他部隊の士官とのつながりが薄い私には難しい案件をあっさりと承諾してくれた。

 これが士官同士の交流の産物といったところか。やはり私も士官食堂には顔を出す機会を増やしたほうが良さそうだ。

「隊長は、税金のことも知ってらしたのですね」

「ああ。徴税自体は軍の発足から間もなく行われていた。今回の件のように悪質なものではなく、あくまでも納税者と同意の上でだが」

「そもそもなぜ、徴税が必要なんですか?軍にはちゃんとした資金の獲得方法があるのではないでしょうか」

 抱いた疑問を口にすると、隊長はいつかのように思い口調で話し始めた。

「……中尉。現在の<アインクラッド解放軍>は、SAOで最大のギルドだ。そこで消費される回復アイテムや食材といった消耗品、そして装備品の額はとてつもなく大きい。だが残念なことに、軍は最大規模ではあっても実力的にはほぼ中層以下のプレイヤーで占められている」

「はい」

 軍では回復ポーションを始めとしたアイテム類が、任務に応じて支給される。量としては必要最低限なのだが、任務にあたる小隊数は3ケタを超える。

 ちりも積もればなんとやらで、日々消費される薬品数は軍全体では膨大なものになるだろう。

 私たちの隊ではイルの<調合>スキルによってある程度余裕のある運用が可能だが、隊によっては週に数える位しか戦闘出来ないところもあるという。

「1日あたりに稼ぎ出す金額は、攻略組1人に対し軍は3個小隊以上を投入しても追いつけるか怪しいだろう。フィールドに全く出ない人材もいることだしな。有り体に言って……」

「追いつかない、ということですか」

 例えば食堂の調理係の人たちは、大量の食事を作る作業に追われて黒鉄宮から一歩も出られない日が続くこともあるという。

 彼らにも俸給としていくばくかのコルが支払われるので、単純な数字上の話では彼らの稼ぎはマイナスということになる。

 自前での資金繰りが不可能であるなら、軍と言う組織が存在し続けるためには税金制度というものが必要だということだ。

「そうだ。……そして軍が最大規模のギルドであることに、また別の問題もある」

「別の問題?」

「今回の件がいい例だが……。組織の端々まで規律が行き届いていないのだ。私が思うに、このような軍の名を借りた無茶な徴税は他でも行われているはずだ」

「そんな……」

 例の夜警で見た街の姿を思い出す。夕食時であるにも関わらず出歩くひとがいなかったのは、外出禁止令の為だけではなく徴税部隊による取り立てを回避するためだったのだろうか。

「無論、その件は上層部でも問題視されている。……シンカー司令にはリーダーシップを発揮し、今一度軍の理念を徹底させて欲しいものだ」

 嘆息混じりで締めくくった隊長の顔には、無念さを抑えきれない表情が浮かんでいた。

「……話を戻そうか。今回の問題になった教会には、過払い分が返金されることになると思う」

「過払い分?……その、全額ではないのですか?」

 恐喝まがいの手段で集めたお金なら、一度全額返還して謝罪するのが筋ではないだろうか。

 そんな意志を持って隊長を見つめると、彼は困ったような笑顔で肩をすくめた。

「そうしたいのはやまやまなんだがな。全額返金してから再び徴税となれば手続きが煩雑になるし、それに……」

 先ほど浮かべていた苦笑を消し、真顔で私に向かい合う隊長。

「軍が取り上げた税金を、こちらに非があったとはいえ全額返金した、となればその話は噂となり広がるだろう。噂とは伝わるうちに都合良く形を変えるものだ。『軍の税金はゴネれば全て返金される』などと噂されればそれは悪しき前例となってしまう」

 悪しき前例。それは以前<メービウス>と狩場の使用権について揉めたときに私が隊長から諭された言葉だ。

「でも、隊長。彼らはそんな無責任な噂を広げるような子たちじゃ……」

「中尉の気持ちは分かる。だが噂を変質させるのはその子供たちではない。聞く側の、軍に不満を持つ大人たちだ」

「……」

 反論できずに黙り込んだ私を気遣ってか、隊長はふっと表情を和らげた。

「だが、私も今回違反者を見つけるきっかけを作ってくれた中尉の顔を立てたいと思っている。そこでだ……」

 隊長の声を潜めた提案に、私は100%とはいかないまでも納得せざるを得ないのだった。

 

「証明書、ですか?」

 翌日、私はクロ君とイルの2人を連れ再び東7区の教会へ来ていた。

 昨日の隊長との相談で決まったことの報告と、過払い金の返還をするためだ。

「はい。お金は先ほどの説明通り、税額を引いた分しかお返し出来ないのですが……。その代わりといってはなんですが、今月からおよそ5ヶ月分の税金を軍に前払いしたと証明する書類が発行されました。……これです」

 私はメニューのストレージからアイテムを実体化させると、それをサーシャさんに手渡した。

 軍のシンボルである黒鉄宮の紋章が印された羊皮紙状のアイテムには『納税証明書』と書かれている。

 発行者はウィンスレー大尉だ。

「でも、私たちは実際には支払っていません。それでは……」

「ええ。ですから、このことは他言無用でお願いします。もしこの話が広まってしまえば、私たちもただでは済みませんので」

 恐縮するサーシャさんに対し、私はなるべくおどけた雰囲気で念を押した。

「本当ならその恐喝した軍人に謝罪させたいところなんですけど、彼らは現在拘留されているんです。余罪がまだありそうで」

「そうなんですか……」

 羊皮紙をしげしげと眺めていたサーシャさんが、視線を上げ笑顔で私に頷いた。

「それでは、こちらはありがたく頂戴します。半年近く税金を納めなくていいなら、子供たちにも美味しいものを食べさせられそうです」

「徴税部隊が来たら、それを突きつけちゃってください。徴税部隊で大尉以上の人は稀らしいので、効果はあるはずです」

「ありがとうございます。……それにしても」

「?」

 不意に言葉を切ったサーシャさんに、私は首を傾げた。

「軍にも貴女のようないい人がいるんですね。私、少し誤解していたかもしれません」

「あ……」

 その言葉に、胸が暖かくなる感じがした。

 外側から見れば排他的で、専横を押し通す軍にも外部を理解しようとする者がいる。

 それが分かってもらえたことが嬉しいのだ。

 

 ーー先生。これでいいんですよね。

 

 脳裏に浮かんだあの人に、私は早くこのことを話したくなった。

 

「キサラさん、そろそろ行きましょう。タイムサービスが始まる頃です」

 私の後ろに控えていたイルが声をかけてくる。この場に彼女がいるのは昨日の失敗を挽回するためだ。

「そんなに焦んなくてもいいじゃないかよ。必要なものは昨日でほとんど揃ったんだろ?」

 イルの横に立つクロ君は不満げである。

「なに言ってんのよ、バカクロ。あんたが余計なもの買ってくるから結局予算オーバーしちゃったのよ。しばらくはおかずも一品減らさないと。……あんただけね」

「うそだろー!?き、昨日は副長も一緒だったんだぜ?」

「うっさい、問答無用」

 ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる2人に、私もサーシャさんも笑ってしまう。と……。

「なんだようるさいな……。先生、新入りか?」

 奥から顔を覗かせたのは、赤毛のギン君だ。まだ寝間着姿で、髪もボサボサ。

「お、2人もか……って、なんだ昨日の黒いのじゃん。もう一人は……」

 クロ君を見てがっかりしたような後、イルに視線を移すギン君。次の瞬間……。

「なわぅっ!」

 謎の叫び声とともに奥へと引っ込むギン君。待つこと数十秒。

「……おはよう皆さん、今朝もいい天気だね」

 ドタドタドタ、と激しい足音とともに再登場したギン君は先日19層で見た簡易な旅装に着替えていた。髪もツンツンとした逆立ちに整えられている。

「お、なんだ赤いの。また上に行くつもりか?止めとけ止めと……どわっ!」

「お嬢さん、教会にようこそ。歓迎しますよ。……あなたのお名前は?」

 クロ君を押しのけ、イルに話しかけるギン君。イルは突然の闖入者に一瞬呆気にとられるも、目を細めてギン君を睨み据えた。

「人に名前を尋ねるときは、自分から名乗るものじゃないの?」

「む……。それもそうか。オレ……僕の名前はギンと言います。どうぞよろしく」

 頭を下げ、右手を差し出す。イルはその手を取ると柔らかく握り替えした。

「ギン君ね。私はイルカ、皆からはイルって呼ばれてる。よろしく」

「イルカさんですか。かわいい名前だなぁ、あなたにぴったりです」

 握手を解き、照れた様子ではにかむギン君。うーむ、これはもしかして?

「……なあ、おい!こら赤いの!オレを無視してイルと喋ってんじゃねえよ」

 先ほど突き飛ばされたクロ君が頬を膨らましている。ギン君は表情を一変し、クロ君に向き直った。

「なんだ、黒いの。まだいたのか。オレは今イルカさんと話してるんだ、邪魔するな。……イルカさん、この男とお知り合いですか?」

「イル、でいいわよ。クロとは同じ小隊の仲間なの」

「イルカさん、でもかわいいのになぁ。……まあいいか。しかし、イルさんのような人とこの粗暴な男が仲間?信じなれない」

「てめーに言われたくねえよ。猫被りやがって。くそっ……イルもイルだぞ、そんな奴に口説かれたからって得意になってんじゃねえ!なにがかわいいだ、イルカどころかペンギンみたいな顔のくせに」

 苛立ちがピークに達しているのか、クロ君の矛先はイルにも向けられた。

 はっとしてイルを見ると、その顔からは表情が抜け落ちていた。

 クロ君がまずい、といった顔をした瞬間。

「……へー。クロ、あんたまたそれを言うの」

「いや、あの……。イル、怒ったのか?」

 しどろもどろ、という表現がふさわしい様子のクロ君。イルはそんな彼に背を向けるとギン君の手を掴んで教会の出口に歩き出した。

「……別に、怒ってません。買い物にはギン君と一緒に行くから、クロは来なくていいわ」

「え?イルさんとお買い物ですか?嬉しいなー。どこに行くんです」

 まんざらでもない様子のギン君を引き連れていくイル。クロ君は2人の周りをうろうろしながら『ごめんって、イル。なぁ』などと平謝りをしている。

 3人が出て行ったとき、私はサーシャさんと顔を見合わせ、再び吹き出してしまった。

 以前、イルに先生との関係を尋ねられたときにSAOでの恋愛話の希少さを考えたものだけれど……。そういった話は、案外近くに転がっているのかもしれない。

「ギンがあんな風に喋るところ、初めて見ました。……仲良くなってくれればいいのですが」

 サーシャさんの言葉に私も頷く。

「ええ。軍でもクロ君やイルと同じ位の子は少ないですから、きっと大丈夫です」

 軍人と教会の孤児。立場は違うけれど、クリアを願うSAOプレイヤーとしての考えは同じ。

 私は彼らの関係が、そう悪いものにならないであろうことを確信していた。


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