破壊神のフラグ破壊   作:sognathus

21 / 71
怒ったマミさん可愛い


第7話 仲直り劇場

降参した杏子を前にしたマミとほむら。

彼女達は怒っていた。

だから二人は杏子を説教せずにはいられなかった。

先に口火を切ったのはマミ。

だが彼女が切ろうとしたのは口ではなく……。

 

「ティロ・フィ……」

 

『笑ってない』笑顔でいきなり必殺技を見舞おうとするマミに杏子は慌てた。

 

「ま、待てマミ! ちょっと話を……!」

 

「……」

 

ほむらは敢えてリボルバー式の拳銃を取り出し、無言で撃鉄を起こして杏子を威圧した。

 

「銃!? ちょ、お前それ本物かよ!? ちょ待ってくれ。マジで!」

 

 

そんな感じで杏子が二人にお説教をされようとしている一方で、まどか達の方はというと……。

 

「おぉ! これがプリンというものか! なんて美味いんだ!」

 

ビルスが念願のプリンを食し、その美味しさに舌鼓を打っていた。

 

「えへへ。喜んでもらえてよかった」

 

「ホントにな……」

 

「良かったですね、ビルス様。やっと食べられましたね」

 

「ああ、全くだ! こんなに美味いものだったとわなぁ!」モグモグ

 

ビルスはすっかりプリンのお蔭でご満悦の様子だった。

これならあのほむらとか言う子の願いくらい聞いてやってもいいだろう。

ビルスはプリンを食べながらほむらの願いについても前向きになっていた。

その時である。

バンという突然と銃声にまどかとさやかは驚いてほむら達の方を向いた。

見るとほむらが杏子の足もとに発砲して杏子が飛び上がっていた。

 

「ひゃぁっ!? お、おま……う、撃ちやがったな!」

 

「ただの威嚇よ」

 

「あら、ほむらさん優しいのね」

 

「っ……。いきなり襲ったのは悪かったって。だから話を聞いてくれ!」

 

 

「……あの二人まだやってたのか……。いい加減許してやったらいいのに」

 

呆れた顔でほむら達をみつめるさやか。

ほむらが実銃を持っている事に関しては特に触れないところを見ると、ここまでに強烈な体験をする事によって大抵の事には動じない程の器量を身に付けつつある感じだった。

 

「あんなに怒っているマミさん初めて見た……」

 

「まぁ大丈夫でしょう。二人とも本気で怒っているみたいですが、どうやら脅す以外の事はするつもりないようですし」

 

「んー? ついでにアイツも破壊してやろうか?」モグモグ

 

「ビルス様」

 

ウイスが嗜めるような目をビルスに向けた。

その眼はビルスに、諸悪の根源はインキュベーターの筈でしょう? と改めて念を押していた。

 

「分かってる分かってる。で、なんだっけ? 何かを退治して欲しいって話だっけ?」

 

「そういえば、ほむらの奴そんな事を言ってたな。えーとワル……わる……悪プリン?」

 

 

「ワルプルギスの夜よ」

 

杏子との話が着いたのかほむらがすまし顔でさやかの間違いを訂正してきた。

 

「ん、もう話は着いたのか?」

 

「ええ、ただの誤解だったみたい」

 

「だからさっきからそう言ってたじゃねーか!」

 

「え?」

 

「はい?」

 

「……すみませんでした」

 

説教によって立場の優劣が決まったのか、二人の威圧的な視線に杏子は直ぐに折れた。

 

「ま、僕のプリンを台無しにした事については大目にみてあげあるよ。ウイスに感謝するんだね」

 

初めてビルスに声を掛けられた杏子は改めて彼を見て顔を曇らせながら言った。

 

「それについても悪いと思ってるよ。でもさ、あんた一体何なんだ?」

 

ビルスを襲うまで彼に関する情報はキュウべぇによるものしかなかった杏子にとって当然の疑問だった。

 

「無礼な奴には教えない」

 

「なっ」

 

「杏子!」

 

「杏子さん!」 

 

「ビルス様」

 

それぞれの立場が上の者が揃って子供同士の喧嘩を叱るような態度で注意した。

 

「……う」

 

「むむ……」

 

「ウイスさんってビルスさんの何なんだろう? ただの友達とかじゃないみたい」

 

「まぁ立場的には上みたいな感じだな。でもあの杏子って子もすっかりマミさん達の尻に敷かれちゃってる感じだな」コショ

 

 

「はいはい。取り敢えずお互い自己紹介をしてここは仲直りしましょう」

 

場が収まったところでウイスが明るい声で手を叩いて事態の好転と進行を促した。

 

「佐倉さん。先ずはあなたからよ」

 

「……分かったよ。あたしは佐倉杏子。見ての通り魔法少女だ。さっきは……悪かった。騙されていたとは言え危害を加えちまったしな……ごめんなさい!」

 

「……ふん。まぁいい。僕はビルス。破壊の神だ」

 

「は、破壊? 神様……?」

 

魔獣の話は信じても破壊の神という言葉は流石に予想だった杏子は戸惑った顔をした。

 

「戸惑うのも無理はないわ。でもね杏子、その言葉は本当よ。この人は本当に恐ろしいほどの力を持っているの」

 

「ちょっと怒らせてしまうだけで惑星を簡単に破壊してしまうそうよ。だから言葉には気を付けてね」

 

「わ、惑星って……」

 

二人の補足に唖然とした顔で杏子は再びビルスを見る。

 

(確かにさっきは凄くヤバイ気がしたけど……マジか?)

 

 

「こほん、では私も自己紹介させて頂きますね。私はウイス。ビルス様の付き人をしております」

 

まだ若干混乱気味の杏子に次いでウイスがビルスとはまた違った柔和な態度で自己紹介をしてきた。

 

「あ……うん」

 

「……暁美ほむらよ。あなたと同じ魔法少女」

 

「私は特に自己紹介の必要はないわよね? 佐倉さん」

 

「え? マミさんこの子の事知ってるの?」

 

「ええ、以前ちょっと、ね」

 

マミが杏子の事を知っていた事に驚いたさやかが今度は自己紹介をしてきた。

 

「へぇ……気になる……。あ、あたしは美樹さやか。よろしくな!」

 

「わたしは鹿目まどか。さやかちゃんとは友達同士だよ」

 

「お、おう……」

 

ビルスに続いて暖かい自己紹介に杏子は自身の警戒心が抜けつつあるのを感じていた。

返事も最初の刺々しいものから戸惑いがちなものへと変わり、今ではまどかとさやかのフワフワした女の子オーラに気圧されて生返事しかできなくなっていた。

 

 

「杏子、自己紹介が終わったところでちょっといいかしら?」

 

「あ? ああ……」

 

(なんだコイツ? 何でさっきからタメ口なんだ? それにあたしの事を知っているような感じだし……)

 

「いろいろ落ち着いた事だし、まどか達とその……ビルスさんも話を聞いてもらえるかしら?」

 

「ん、いいよー」

 

「拝聴致します」

 

「さっきのワルプルギスの夜とかいうものの事?」

 

「……」

 

今までと違い、明らかに緊張した雰囲気でほむらが切り出してきた。

 

 

「まどか達はもうインキュベーターの話は理解してると思うけど、今は杏子もいるから今度は私からその事も含めて、さっき言ったワルプルギスの夜の事と魔法少女と魔女の仕組みについて話すわ」

 

「魔法少女と……」

 

「魔女の仕組み……?」

 

自分が知らない事実に不安を覚える者、自分が信じていたパートナーの真意を知って新たな真実に覚悟する者、危うく魔法少女の勧誘を受けそうになったが今は普通の人として大切な友人を心配する者、特に何も考えてない者。

それぞれが思いを秘める中、ほむらは自分が知る限りの真実を打ち明けた。




1か月ぶりです。
まだ見てる人いるでしょうか?
や、いなくても続けますがw

まどマギ編は次か、その次くらいで終わる予定です。

……さやかはともかく、なんかまどかの存在が薄いような。
主人公なのに……。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。