イカレタ男は愛を知らない   作:Yuusha S

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才能発揮、ずば抜けた回避能力

現実は、神は残酷である。

どんなに未来へ希望を持っても

どんなに明日を願っても

どんなに辛く苦しくても

 

現実は、神はゴミの様に見捨てる

 

それが現実、それが神の選択、救済など夢物語

だから俺は現実や神に希望を持ったことは、数えるくらいしかない

皆に聞きたい、神社や仏や神に願って救われたことは

 

 

1度でもあったか?

 

 

俺は無い、俺はそういう人間だ

なのにどうやって信用すればいい

だから俺には宗教なんて信用できない

いつも軽蔑している。

 

嫌、もしかすると、神や人を信用できない俺には当然の報いなのかもしれない

でも俺からすれば信用なんてギャンブルや賭けの様なものだ。

俺はそのぐらい神や人を信用できない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っがぁぁぁかっああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ」

 

ガスバーナーで傷口をあぶられるような痛みが走る。

失敗して左肩の付け根から巨大蜘蛛に喰われた。

肩からゴッソリまるごと無い

こんなに痛いなら、いっそ頭を喰われて死んでおけばよかった。

でも痛いということは、生きている証拠だ。

 

俺は巨大蜘蛛に喰われ、ぶつかった勢いで、コンクリートの壁に叩きつけられた。

ついでに左足の白い液体も取れていた。

コンクリートに叩きつけられた痛みは感じない

それよりも肩の痛みが尋常じゃない

 

俺を仕留め損なった巨大蜘蛛はすぐにその巨体をこちらに向けた。

痛がって、泣き叫んでいたい体に喝を入れる

すぐに動かないと今度こそ喰われる。

足を子鹿のようにビクビクさせながら立ち上がった。

でも俺の顔は不思議と、巨大蜘蛛に見つかった時からずっと笑ったままだ。

 

巨大蜘蛛が飛びかかってくるのに身構えていると

自身の体の異常に気がついた。

 

(あれ?痛くない、肩が痛くない、え?なんで、嘘だろ!なんで付け根からまるごと食われてんのに痛くないんだ)

 

当然、知っているはずがない

ガストレアなんて生物は元いた世界には存在しないのだから

俺がさっき巨大蜘蛛に噛まれてガストレアウイルスに感染して

体の痛覚が麻痺していることなんて

知っているはずがないのである

そしてガストレアウイルスに感染すると約1時間でガストレアに変貌する事実も俺は知らなかった。

俺の死が確定していることも

 

 

 

 

 

 

巨大蜘蛛は6本の足を少し折ると、すぐ飛びかかってきた。

やはり、1度見ても怖い、足がカタカタと震える。

それでも、さっきと同じように飛んでくる蜘蛛の腹を全力で前転して潜る

巨大蜘蛛がこちらに振り返る僅かな時間で後ろを走り抜ける。

そしてビルとビルの細い隙間に入り込んだ

巨大蜘蛛は振り返るのにわずかとは言えない時間をかけることに気がついた。

巨大蜘蛛が飛ぶ瞬間が回避のチャンスということも

これで生存確率は大きく上がった

 

このままビルの隙間を進んでも抜けたら回り込まれるのをわかっているが、作戦があるのでビルを抜ける。

「ドンッ!」

やはり巨大蜘蛛はビルを飛び越え回り込んできた。

僅かに地面が振動する。

ここが重要

着地の瞬間、巨大蜘蛛に僅かな隙ができるのに俺は賭けた。

この僅かな隙に巨大蜘蛛の口から射出される白い液体を遮ることのできる障害物を見つける

巨大蜘蛛の15m向こうに赤いポストを見つけることができた。

 

「あれでいいか…」

 

地面の振動など気にもかけず巨大蜘蛛の体の下を走る。

膨らんだ腹の下を抜ける

俺の予想では今頃、巨大蜘蛛はこちらに体を向け、口から白い液体を射出しようとしてくるはずだ。

俺は自分の予測を信じ、振り返らず全力で走り、赤いポストへ滑り込んだ。

狙いどうり、赤いポストに巨大蜘蛛の射出した白い液体がかかった。

赤いポストに白い液体が、かかったのを確認して

すぐさま全力で反対側のビルと店の隙間に入る。

 

「ゴッ!」

 

瞬間、後ろで俺に飛びかかってきていた巨大蜘蛛とビルの激突音がした。

ギリギリ助かったようだ。あと少し遅ければ、今頃、口の中だろう

そう思うと、ブルリと背筋が震える、それと同時に心臓が強く高鳴った。

死の恐怖が興奮へと変わっていた。

 

今度もまた同じ方法でこのビルと店の隙間を出てさっきのように障害物を探し、それを盾にして隙を見て走ればいける!逃げ切れる!

俺はそう考えていた。

 

 

走りながらビルと店の隙間を出る

すると、すぐに巨大蜘蛛が大きな振動を立てて地面に着地した。

そして僅かな隙ができる。

すぐにちょうどいい障害物を見つけた。

今度は枯れた大きな木にすることにした。

 

また巨大蜘蛛の体の下に向かって走り出す。

 

 

 

途端に!

体が不意に重たくなった。

そして巨大蜘蛛の足元で大きく転んだ。

 

「ッ………ツ!」

 

手で受身を取ろうとしたが、左手がないので倒れる体を支えられず肩のない左に転んでしまった。

その拍子に抉れた左肩を強く地面に打ち付けたが痛覚が麻痺してるのでまったく痛くなかった。

 

「じょ…じ……冗談…じや…ない」

 

いくら足に力を入れてもびくともしない

足だけでなく顎や舌まで動きづらくなっていた。

体が重いなんてレベルじゃないこれは固まったと言っていい。

 

俺は気がついていなかった。

これがガストレアウイルスの症状だということを

 

「こ…んな…もの!」

 

どれだけ踏ん張っても体は動かなかった。

 

顔を前に向けると巨大蜘蛛が、こちらをまっすぐ見ていた。

巨大蜘蛛は確実に後2秒以内に喰ってくるだろう、そう直感した。

 

でも、死に恐怖は感じなかった。

むしろ興奮した。

 

だって俺は諦めていなかった。

俺の体で唯一動く場所がまだあった。

それは首から上と右の指先だ。

そこですら動かし辛い

 

 

 

まだ、足掻ける、死のダンスを踊れる。

 

 

 

指に渾身の力を入れて地面を押す

俺は運良く寝返りを打つことができた。

もう一度押す

さらに寝返りを打つことができた。

これは相当運がいい

俺が微妙に自分の位置を変えた理由は

巨大蜘蛛の目は口の辺りが大きいので見えないようになっているからだ。

だから、口の下で少しでも動けば

巨大蜘蛛の喰らう位置から逃れることができるのではないか?

俺はそう考えた。

 

 

 

 

 

 

運の良いことに…

 

 

 

 

 

 

 

右腕が食われた…

両腕が食われてしまった…

生きる気力を失った…

これから先どう生きれば…

そんなことをのんきに考えてしまった…

もう次も未来も見えない…

 

 

 

でも痛くは無かった。

痛覚が麻痺している影響だろう

その代わり出血のせいだろうか体が妙に寒い

 

「ひ…ひ………ひ………ひ……ひひ…ひ…ひひひひひひひひひひひひひぃひひひひぃひひひひひ」

 

でも何故だろう、絶望しかないのに、笑いが止まらない

 

また食べようと巨大蜘蛛の口が近づいてくる。

 

 

 

 

 

 

あぁ…つまんねぇ人生だ、

 

瞼が重い

 

意識が…遠い……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇパパ、どうして助けるの?」

 

幼い女の子の声がした。

 

「それはね小比奈、我々と同じ人種だからさ」

 

仮面の男の表情は見えない




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