約一年ぶりの投稿となってしまいました。
申し訳ございません
ストックが何話が出来たので、今のところは二週間おきに投稿したいと思いますので、宜しくお願いいたします。
あの後もう一度タイムトラベルをしたマギとネギ。
その後は腕の激痛と勝手に動くことは起こることもなく、原因はわからずじまいだった。
正直不安はあるが、違和感がなければ大丈夫だと自分に言い聞かせ、次の目的場所へと向かう。
次の場所は図書館島、ここでは図書館探検部が図書館島の飛躍的安全なエリアを紹介し観光するといった内容である。
まだ時間があるという事で、徒歩で向かうスプリングフィールド兄妹。歩きながら、マギは考え事にふけっていた。
「どうしたのお兄ちゃん?」
ネギが訪ねると、マギは大したことじゃあない。と言いながらもネギの方を向き
「なぁネギ、お前って誰かを好きになったことあるか?」
「えっ?好きになったこと?」
いきなりそんなことを聞かれ、顔が赤くなりながら戸惑うネギ。
「マギお兄ちゃん、好きな人がいるんレスか?私はマギお兄ちゃんが大好きレス!」
「ありがとなプールス。俺もお前のことが大好きだぞ」
マギに肩車されてるプールスが、えへへと笑っている場が和むような光景が広がっていた。
「ごめんお兄ちゃん。僕まだ本気で誰かを好きになったことは……」
「そっかぁ。だよなぁ」
先生をやっていても、まだ少年のネギ。色恋についてはまだまだ先になるであろう。
そんな弟に対して、ありがとなと返すマギは今までの事を思い出す。
学校を卒業してからは、修行の毎日。自分と同年代の者は異性と遊んだり出掛けたり、果てには付き合ったりと……
その当時は恋愛には興味を持っていなかったが、今となっては随分勿体ない過ごし方をしていたな……と。
あぁ悲しきかな我が灰色の青春時代と内心で嘆いている間に図書館島へと到着した。
関係者側の入り口から入って欲しいとのことだったので、関係者専用の入り口から入ってしばらく歩いていると、のどか達といつものメンバーが揃っていた。
が何故かハルナだけが、ネギとマギが来た瞬間に目を光らせていた。
「すみません遅れました」
「いやいや遅れてないよぉネギ君!んじゃあ早速だけどここに立っててもらえるかなぁ!?」
ハルナがネギを人目につかない場所へと移動させる。段々とハルナがネギに何をしたいのか察してきたマギ。
「あの、ハルナさん?一体何を?」
「大丈夫大丈夫!すぐ終わるから!んじゃ……いただきます」
へ?と今一自分の状況を理解していないネギの唇をハルナが奪う。
展開を読んでいたマギは素早くプールスの目を手で覆った。幼い子には目の前の光景は刺激が強すぎる。
「何も見えないレス」
「プールスにはまだ早いからな。見れないようにな」
マギとプールスのやり取りの間にもネギとハルナのディープキスは続いている。
息が続かなく苦しくなってきたのか、ネギが手をじたばたし始めたところでハルナもネギから唇を離してから首を傾げる。
「あれぇ?出ないなー。一応舌もチロっと入れて見たんだけど」
「お前は何をやってるんだ」
弟とアダルティーなキスをしたと、ぶっ飛んだ発言をしたハルナにすばやいツッコミを入れるマギ。未だにキスをされたネギは放心状態だ。
「やっぱ歳が離れすぎてるのがダメなんかなぁ。よし今度はマギさんと」
「だから何を言って、何をやろうとしてるんだお前は」
ネギの次はマギに標的を変えたハルナに、どこから取り出したのかハリセンを持ち、割りと本気ではたくマギ。
結構痛かったのか、うめき声をあげながら頭を抑えうずくまるハルナ。
目の前でマギに大胆な事をしでかそうとしたハルナにのどかとこのかは赤面し、夕映は複雑な表情を浮かべていた。
「―――んで、なんでいきなりあんな奇行に走ったのか吐いて貰おうか」
まだ痛いのか、頭を擦っているハルナをジト目で見るマギ。落ち着いてきたがまだ顔が赤いネギを指差しながら
「うちのネギにあんなことして、あの年で変な性癖に目覚めたらどうするんだ?プールスの教育にも悪いし」
「のどかお姉ちゃん、せーへきってなんレスか?」
「ぷっプルちゃんはまだ知らなくていいんだよー」
最近分かったことだが、プールス関連になるとマギは途端に兄バカになる。純真無垢な目でのどかを見ながら聞いてくるプールスに、何とか誤魔化すのどか。
観念し、乾いた笑い声をあげ頭をかくハルナ。
「いやぁ。私もカードが欲しくなっちゃって、ついネギ君とキスを……ね?」
ハルナの言い訳に、のどか達の方を見た。ハルナの言ったカードは恐らくしなくともアーティファクトのカードだ。だがハルナは魔法関連のことは何も知らないはず、どういうことなのかと目でのどか達に訪ねると
「マギさんごめんなさい。私達がハルナに話しちゃいました」
そう言ってのどかは漫画の原稿数枚をマギに渡した。
漫画の原稿に描かれていた内容は、逆さに吊るされたのどか達が、鞭を振るうハルナに魔法についてのあらいざらいを吐かせると言った内容であった。
あまりの内容に引きながらハルナを見る。
「お前……友達をこんな内容で描くか普通」
「ふっふーん!私に黙ってこんな超面白いネタを黙ってたのが悪い!」
さっきまでの痛みが嘘だったかのように、ケロッとして胸を張るハルナ。自分の興味のために、ここまで行動力を働かせるのにはマギも流石に舌を巻いた。
「まっまぁのどかさん達のお友達ですし、いつかはと覚悟をしてましたし」
「だな。むしろよく今まで持った方だよ」
「おぉ!話が分かるねお二人さん!いやー感動しちゃったよ!二人にあんな隠された秘密の目的があったなんて!是非私も協力するよ!」
「んで本音は?」
「私も夢の秘密道具が欲しい!!」
「自分の目的に忠実な所、俺は嫌いじゃないけどな」
このままハルナはさっさと仮契約をして、こちら側につかせた方がいいだろうとマギは判断した。
話を聞けば、魔法の存在を知った瞬間に他の生徒にポロっとこぼしそうになったのだ。それに魔法の存在を知ってしまうと何かあったときに大事になったらことである。さっさとこちら側につかせた方が護りやすいだろう。
一応、他の生徒には他言無用だと強くお願いすると、了解ーと軽い敬礼をするハルナ。本当に大丈夫だろうかと心配になるマギとネギ。
と和美と同じように話が分かると思いしゃべり出したカモに興奮しながらも、カモから改めて仮契約の話を聞くハルナ。
ハルナが話を聞いている間に、プールスがとことこと夕映の元へやってくる。
「?どうしたですかプールスちゃん」
自分に何の用なのか、夕映がプールスに訪ねると、次のプールスの発言に夕映の思考は凍りつく。
「夕映お姉ちゃんは、かりけいやくってしないんレスか?」
「……え?」
プールスの仮契約をしないのかという問いに、夕映はすぐに返答出来なかった。
「夕映お姉ちゃんもマギお兄ちゃんが好きで、キスしてかりけいやくすればもっとなかよくなるレス!」
「わっわぁぁぁ!何を言ってるですかプールスちゃん!!」
大声をだしてプールスの言ったことをかき消す。近くにはのどかもいるし、聞かれたくない。
幸い聞かれた様子は無いが皆が夕映の方を見た。
「どうしたんだ夕映?いきなり大声を出して?」
「なっなんふぇもないです!さぁもう時間ですし、行くですよ!!」
マギの問いかけに噛みながらも、何とかごまかし会場へ行くように誤魔化す夕映。
皆首を傾げながらも、言われた通りに会場へ行くのを見て、胸を撫で下ろした夕映。だが一人だけ、ハルナだけが夕映に目を光らせていたのであった。
改めて図書館島の内観には驚きを隠せない。何せ大絶壁があり、大きな滝が流れているのだから。外から来た観光客などは感嘆の声を上げるばかりであった。
「最深部まで行ったことがあるが、やっぱこの図書館島は規格外だな……」
「ふふ、秋にはフリークライミング部の大会もやってるんですよ」
「もはや何でもアリだな、図書館島……」
最後尾の旗を持ちながら、マギとのどかが楽しそうに話していた。終始のどかも笑顔を浮かべている。マギとのどかのいい雰囲気にハルナはにやにやと眺めていた。
「おーおー、のどかとマギさんいい感じじゃん」
「大兄貴、昨日のデートでのどかの嬢ちゃんとまたキスしたらしいしな」
「マジで!?」
カモからデートでのキスの話に、ハルナは驚きの声を出す。
「じゃなに!?あの二人もう付き合ってるの!?」
「いえ、お兄ちゃんとのどかさんはまだ付き合っているというわけじゃあないそうです」
「はぁ!?そこまでやっといて!?」
ハルナは信じられないと驚きと呆れが混じったような声を出した。
「全く!のどかも甘いんだから!そんな悠長なことをしてたら、恋の弱肉強食の戦いじゃ生き残れないんだから!ましてライバルの一人にあのエヴァンジェリンがいるんだからいつの間にか盗られちゃうかもしれないじゃん」
ハルナは、のどか達から魔法にあれこれ吐かせた中で、エヴァンジェリンが真祖の吸血鬼でありマギにぞっこんであり、のどかと恋のライバルであるということも知っている。
エヴァンジェリンは我が強い性格だということも知っており、このままではマギを盗られると危惧するハルナ。
「いよぉーし!こうなったら私達がもう一肌脱いでやりますか!!」
「……いえ、のどかは頑張っていると思うです」
ハルナがのどかの恋の手助けをしようとし、夕映が待ったをかけた。
……ただ、と言葉を繋げながら
「のどかには嫉妬心というものがないのでしょうか……いくらエヴァンジェリンさんと認め合う仲だとしても目の前で好きな男性と別の女性が仲良くしているの見たら、普通なら嫌な気持ちになるはずです」
心配そうにのどかを見つめる夕映。
「うーん、のどかの場合は好きって気持ちが憧れや尊敬に近いからじゃないかなー」
「多分お兄ちゃんが師匠や茶々丸さんと仲良くしてるのを見ても好きな人が仲良くしてるのを見ても嬉しいって気持ちが勝るんじゃないんでしょうか」
このかとネギがのどかの気持ちがこうなんじゃないかと伝えると
「それは、そうかもしれないですが……それじゃあ困る……です」
悲痛な顔で、俯く夕映。そんな夕映に良い雰囲気だからということで、マギじゃなくネギ達と一緒に歩いているプールスが夕映の服の裾をくいくいと引っ張りながら
「夕映お姉ちゃんはマギお兄ちゃんが他のお姉ちゃんと一緒にいるのはだめなんレスか?」
「駄目……とは言わないです。でも、いつかは好きな人同士で互いに愛し合うのが当たり前だと思う……です」
プールスの純粋な質問に、無理して泣きそうな顔を浮かべる夕映にこのかやネギはいつもと雰囲気が違うのに戸惑った。
ただ一人、ハルナだけは夕映を見てため息を吐いて優しく肩を叩く。
「夕映、ちょ~っと向こう行こうか?話したいことがあるからさ」
と列から離れ、別の場所へ向かうことにした。
と夕映達が列からいなくなったことに気付くのどか。
「ゆえ達どこいっちゃんたんだろ……マギさん私ちょっと探してきますね」
「おぅ、気を付けてな」
マギを列に残し、のどかだけが夕映達を探しに行った。
これが、後のちょっとした修羅場になる前触れだと知らずに……
「……ハルナ、話とはなんなんですか?」
ついた場所はベンチや変なパック飲み物を扱っている自販機が置いてある、ちょっとした休憩場であった。
「変な飲み物がいっぱいレス」
「飲みたいならウチが買ってあげるえー。ネギ君もどう?」
「ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えて」
このかがネギとプールスと自分用に購入し、夕映とハルナがこれから何を話すかを飲みながら見守る。
「……んで今はどう思ってんの?このまま私たちがガンガンのどかの恋の応援をして、マギさんとくっつけちゃってもいいのかって話」
「……もっもちろんいいに決まってるです。何を今さら言ってるですかハルナは」
さっきよりも悲痛な顔で言い返す夕映に話の雲行きが怪しくなって来たのを感じ、固唾と一緒にジュースを飲みこむこのかとネギ。
「本当にそう思ってる?なんかこのままマギさんとのどかが付き合ってくれれば私はすっぱり諦められるって言ってるように聞こえるんだけど」
「そっそんなわけないです!」
「おっとぉ何時もよりも0.8秒おそいにゃ~」
ハルナの言葉の攻めにより、冷静さを失っていく夕映。足も震えだし立っているのがやっとの状態だった。
「まぁ確かにのどかはマギさんを見る目があったねぇ。最初マギさんとネギ君がこの学校に来た時、正直マギさんの事胡散臭いお兄さんだと思ったんだよねぇ。でも最近のマギさんは段々頼れるお兄さんみたいな感じになってきたし、今日の大会でも見せた事無い涙を流して、ギャップにキュンとしちゃった人もいるかもね。だから……アンタも応援していた親友の相手を段々と気に出したんじゃないの?」
「な……何を馬鹿な事を……」
もう退路が無くなった夕映。ネギとこのかは赤面しながらハラハラと夕映とハルナを交互に見た。
「ゆえ……もう素直になっちゃいなよ。あんたマギさんの事、好きなの?」
ハルナの問いに夕映は段々と涙を浮かべ始め。
「そんな……ことは……」
遂には泣き出してしまった。ネギとこのかは泣き出した夕映を見て慌てるのと同時に理解する。夕映もマギを好きになってしまったと言う事に。
「応援していた親友の相手を好きになるって……どこのテレビドラマよ。まったくバカだねあんたも。ネタが面白すぎんのよ」
静かに涙を流す夕映に微笑みを浮かべながらハルナは優しく抱きしめる。
「……え?」
少し離れた所でのどかが今迄の話を聞き、呆然としながら本棚にもたれかかった。
修羅場が始まる……
改めて遅くなり申し訳ございませんでした。
なぜ遅くなったかは、夜、活動報告に載せようと思いますので、宜しくお願い致します