堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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ポケモンGOが面白すぎる。
家でパソコンやってるよりも外に出る事の方が多くなるかもしれない
けど歩きスマホは気を付けようと思います。
今回もオリジナルですが、原作に似たような感じにしようと頑張りました
それではどうぞ


アスナとエヴァンジェリン 心に傷を持つもの

「まったくもぉ。如何してアンタはそうやって無茶ばっかするのよ」

「あうぅぅ。すみませんアスナさん」

 

 

 無茶をしてボロボロなネギに呆れているアスナ。ネギはアスナに呆れられてシュンとしている。アスナは溜息を吐くと、優しくネギを抱きしめる。

 

 

「でも頑張ったわね。カッコよかったわよ」

「えっ?あのその……ありがとうございます」

 

 

 抱きしめられたネギは頬を赤く染める。そんな光景を微笑ましく見ているマギや刹那。ニヤニヤニマニマと見ているカモや小太郎。マギ達に見られていると気づいたアスナは、バッとネギを離す。

 

 

「いっ今言ったようにあんまり無茶するんじゃないわよ!次無理したら許さないから!」

「はい分かりました」

 

 

 と其処へ和美がやってきた。

 

 

「ネギ君お疲れ様。一時はどうなるかと思ったけど無事に勝てて良かったさね。とそれと明日菜とエヴァンジェリンは次の試合なんだけど、さっきまでの試合でボロボロになったリングを急いで復旧するから、少し時間がかかるかもだから」

「あ、うん分かったわ」

「ふん」

 

 

 和美の報告を聞いて、アスナとエヴァンジェリンは時間がまだ余っているが、余裕を持つために衣裳部屋で着替える事にする。

 

 

「アスナさん、師匠。どちらも頑張ってください。それと出来る限り怪我はしないように……」

「分かったわよ。と言うか、ボロボロのアンタに言われたくないわよ」

「エヴァも程々にな。あんまり張り切り過ぎて暴れ過ぎんなよ」

「お前は私をなんだと思ってるんだ」

 

 

 ネギとマギに声援を送られながら、アスナとエヴァンジェリンは衣装室へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、ネギは自分の事をちっとも考えてないで。少しは自分の事を大切にしなさいよ……」

 

 

 衣装に着替えながら、アスナは呟く。そんなアスナを見てエヴァンジェリンは

 

 

「なんだ神楽坂明日菜、タカミチじゃなくて坊やに鞍替えしたのか?」

「ちっ違うわよ!アタシは今でも高畑先生の事の方が好きなのよ!」

 

 

 エヴァンジェリンがニヤニヤとからかい、アスナが思わずムキになって怒鳴り返す。

 怒鳴るアスナだが、ただ……と急にしぼんで

 

 

「心配なのよ。ネギは、アイツは何時も一人で突っ走って無茶して、傷ついて……それも全部、いなくなったお父さんに追いつくまで。だからこれ以上馬鹿やらないためにも、アタシはネギを止めなくちゃならない」

 

 

 アスナの独白を聞いて、にやけていたエヴァンジェリンは呆れたような顔をしながら

 

 

「神楽坂明日菜、お前は坊やを普通の子供して見ているのか?そうだとしたら、お前の頭の中は随分とお花畑だな」

「むっ、どういう事よエヴァちゃん」

「逆に聞くが、普通の子供があんなに強力な魔法が使えるか?手加減されてもらったからと言ってタカミチに勝てると思うか?マギだってそうだ。あの歳で私が編み出した闇の魔法をほぼ使いこなしてるんだ。ハッキリ言ってあの兄弟は普通じゃない。異常だ」

「いっ異常って……」

 

 

 言い包められて黙るアスナを無視して、エヴァンジェリンは話を続ける。

 

 

「マギはナギを一発ぶん殴る為に、青春の殆どを費やした。坊やは少しでもナギに追いつこうとして分不相応な努力を続けている。どちらも偶に周りが見えていない時がある。だからマギや坊やは支えてあげないといけない……と言ってもあんまりにも馬鹿な事をしようとした時には叩いてでも止めるがな」

「ちょ!エヴァちゃん、さっきアタシの止めるって言う事に対して強めに否定してきたのに、自分はいいの!?」

「だからお前はアホなんだ。私が強いからに言えるんだ。誰かを止める時はそいつよりも強くなければいけないのが当たり前だ。腕っぷしも、止めようとする思いもだ。ハッキリ言えば、坊やが本気を出せばお前なんか秒殺だぞ秒殺。少しは現実を見て物を言え」

「ちょっと!さっきから何よその言い方!そんなのやってみなきゃ……」

「やらなくても分かる。魔法世界(こっちの世界)に最近片足を突っ込んだ小娘が生意気な口をきくんじゃあない。貴様が思っている以上に魔法世界は甘い場所じゃない。実力も無い奴が綺麗事をほざいていたら、直ぐに呑まれるぞ。魔法世界の闇に」

 

 

 エヴァンジェリンの凄味のある言い方に、アスナは何も言えない。

 

 

「この試合で思い知らせてやろう。お前の坊やを止めると言う覚悟が、どんなに薄っぺらいものなのか。現実というものを見せてやろう」

「……上等よ。アタシがどれくらい成長したのかかを、エヴァちゃんに見せてやるわよ。エヴァちゃんと初めて戦った時と同じだと思わないことね!」

 

 

 エヴァンジェリンとアスナの間で火花が飛び散るが、不敵な笑みを浮かべるエヴァンジェリンが

 

 

「精々この私相手に足掻いてみろ。あぁそれと……いつまでそんな格好でいるんだ?」

「え?……っ!!?」

 

 

 アスナは話すのに夢中になって、着替える手を止めてしまった。今のアスナの姿はファンシーな下着姿である。エヴァンジェリンは黒ゴスロリに着替え終わっている。

 バタつきながら慌てて着替えるアスナを一瞥して、エヴァンジェリンは衣装室の外に出る。

 

 

「神楽坂明日菜。お前のような、自分の大切なものを失った事のないのに綺麗事を言うのが、私は大嫌いだ」

 

 

 吐き捨てる形で呟いたエヴァンジェリンは衣装室を後にする。

 

 

 

 

 

 メイド服姿に着替えたアスナ。華やかな衣装に対して、表情は少しピリピリしている様子だ。

 

 

「あのアスナさん、どうしたんですか?また僕アスナさんに何か……」

「なんでもないわよ」

 

 

 ネギに対してもそっけない態度を取り、アスナの周りで気まずい空気が流れている。

 

 

「アスナに何かしたのかエヴァ?」

「別に何もしていないさ。ただお前の考えが甘いと言っただけさ」

 

 

 マギが尋ねると、それだけしか答えないエヴァンジェリン。マギは追及などもせずそっかと納得する。

 

 

「それにしても、アスナの相手がエヴァとはな。最近刹那が剣の師になって色々と教えてもらって成長したと聞いたが、今のエヴァンジェリンに勝てるかと言ったら難しいだろうな」

「フフ、それはどうでしょうか。そうとは限りませんよ」

 

 

 マギが2人の試合の予想を呟いていると、背後からマギの予想に待ったをかける声が。振り返ると、そこには白ローブ姿の、にこやかな表情を浮かべているクウネル・サンダースが立っている。

 

 

「アンタ……」

「え?誰?」

「なっ!お前がどうしてこんな所に!?」

 

 

 マギは急に背後に現れた事に少なからずビックリし、アスナは見知らぬ男が現れた事に戸惑う。エヴァンジェリンはクウネルの事は知っているようだが、麻帆良に居る事を知らなかった様だ。

 クウネルはエヴァンジェリンの問い詰めをスルーして、アスナに対して親しげに話し始める。彼はアスナの子供の時の事を知っているようだ。がアスナ自身はクウネルに会った記憶がない様だ。白ローブ姿の男忘れる事はなさそうだが。

 話は戻り、アスナにアドバイスを送る。自分を無にする。何も考えずにボーっとすれば、アスナもタカミチのような力を出せるとそう教える。

 

 

(何でだろう。こんな胡散臭い人の事の言う事なんか聞くはずないのに。それにこの人、どっかで見た事が……)

 

 

 アスナはどこで見たか思い出そうとするが、全く思えだせずにモヤモヤする。

 モヤモヤとしながらもエヴァンジェリンに対峙するアスナ。和美が試合のゴングを鳴らし、アスナとエヴァンジェリンの試合が始まる。

 

 

(アイツが神楽坂明日菜の事を知ってるのが気がかりだが、今はさっさと終わらせてしまおう)

 

 

 エヴァンジェリンは魔力を腕に集中させる。狙うはアスナの水月(鳩尾)、一発でKOさせるつもりだ。魔力で一瞬の内に踏み込み、アスナを殴ろうとするが

 

 

「心を無に、からっぽに……」

 

 

 なんて呟いていたアスナが、無意識にハリセンバージョンのハマノツルギでエヴァンジェリンの攻撃を防いだ。エヴァンジェリン、そして無意識に防いだアスナも驚く。

 

 

「へ?アタシの体勝手に動いてた?」

「このっ!お前は本能で動く動物か神楽坂明日菜!」

 

 

 エヴァンジェリンはテコンドーなどのラッシュで攻め込むが、アスナは全て防ぎきる。それこそエヴァンジェリンの言う通り本能で動いているようだった。

 

 

「すっすごい!アスナさんが師匠相手にあれほど戦えるなんて!」

「明日菜さんの師として色々と教えてきましたが、すごい成長です」

 

 

 ネギと刹那はエヴァンジェリンと戦えているアスナに驚いているが、マギは別の事を考えていた。

 

 

(いやアスナがエヴァ相手に此処まで粘れるなんて少しおかしい。あのクウネルって奴がアスナに何かしたのか?)

 

 

 マギのなにかしたのかと言う考えは少し外れており、今もクウネルは空っぽになったアスナに対して念話で指示している。

 優勢と言う訳ではないが、エヴァンジェリンに食いつくアスナであるが

 

 

「あぇ?」

 

 

 ストンと急に力が弱くなって来る感覚が来る。

 

 

(どうやらガス欠のようですね。まぁ初めてなので仕方ありません)

「え?あのアタシさっきから何をやってたか……」

(さぁさっさとやってみましょう。タカミチと同じことをしてください)

「高畑先生と同じ?えっと左手に魔力。右手に気。それを合わして……」

 

 

 アスナの体中から力が湧いてくるのを感じる。タカミチと同じ咸卦法を使ったのだ。

 

 

「な!?神楽坂明日菜!お前がどうしてその力を使えるんだ!?」

「アタシも分からないわよ!言われた通りにやったら……」

(エヴァンジェリンが動揺して隙を見せてますね。軽く小突いて見ますか)

 

 

 アスナは隙を見せているエヴァンジェリンに突っ込む。エヴァンジェリンは慌てて魔法障壁を張るが、アスナに対しては悪手になる。

 スパァン!といい音がエヴァンジェリンの頭から聞こえ、エヴァンジェリンは頭を押さえ縮こまる。アスナはなぜか魔法を無力化してしまう。

 

 

(エヴァンジェリンにはかなり効いたみたいですね。ここでさらに畳み掛けた方がいいでしょう)

「ちょっちょっと待ってクウネルさん!これ以上の助言は結構です!」

 

 

 アスナはクウネルに助言を止めるように訴えかける。

 

 

(それは何故ですか?)

「アタシは自分の力で、自分が成長したところをネギに見せてあげたいんです!ネギと肩を合わせて戦えるところを見せてあげたいんです!」

(そうですか。ですが、そんな考えではエヴァンジェリンには勝てません。そのひた向きな真面目さは評価しますが、それではネギ君には追いつけませんし、彼にあの様な惨劇をまた見せるかもしれません)

 

 

 あの惨劇と聞いて、アスナは雪の日の襲撃を思い出す。クウネルとの念話に夢中になって、エヴァンジェリンが回し蹴りを繰り出してきた。

 慌てて防ぐアスナだが、さっきまでのキレがない。クウネルの助言が無くなり、アスナは段々と劣勢に持ち込まれる。クウネルは淡々と話し続ける。

 

 

(確かにネギ君には危ない所がある……あのままにしていれば、あの子をも(・・)失うことになるやもしれませんよ)

 

 

 ネギをも失う。アスナは前にも誰か大切な者を失った事があったのか。その時、アスナに強烈な頭痛が走る。

 ネギやマギと初めて会った時も起こった頭痛。だが今回のは違う。頭痛の中に何か大切な事が思い出しそうだ。アスナの頭の中に記憶が蘇る。封じ込めていた辛い記憶が。

 

 

『どうした嬢ちゃん。涙を見せるなんて初めてじゃねぇか。初めての涙がこんなのを見せるなんて悪いな』

『師匠……』

『タカミチ、嬢ちゃんを連れてさっさと行け。ここは俺が何とかする……と言っても俺も永くはないけどな』

『やだ、やだよ。ナギもいなくなった……それなのにおじさんまで……』

『泣くなって嬢ちゃん。せっかくの美人が台無しだぜ。ふっ……幸せになりな嬢ちゃん。アンタにはその権利がある』

『やだ……ダメ!ガトーさん!いなくなっちゃやだ!』

 

 

 血だらけで永くは持ちそうもない中年の男、まだ若いタカミチ。そして……その中年の男に涙を浮かべ叫んでいるアスナ。

 その記憶がフラッシュバックし、アスナの中で何かが切れた。

 ブワァッ!!アスナの魔力と気が暴風のように吹き荒れ、エヴァンジェリンを吹き飛ばす。

 何とか体制を持ち直すが、エヴァンジェリンが見た光景は、ハマノツルギがハリセンではなく、大剣の刀身へと変わっていた。しかもアスナの目に光は無く、意識が飛んでいるようだ。

 観客が呆然としている中、アスナがハマノツルギを軽く振っただけで、リングの柱が切り裂かれた。

 

 

(なんだこの力は!?さっきまでは段違い、神楽坂明日菜にこれほどの力が元々備わっていたのか!?)

 

 

 エヴァンジェリンが驚いている間に、アスナはネギと同じように瞬動術(無意識)を使い、エヴァンジェリンの背後に回る。そしてそのままハマノツルギを振り下ろした。

 魔法障壁を張ろうとするエヴァンジェリンだが、アスナのハマノツルギには魔法を無力化する力がある事を思い出した。このままではエヴァンジェリンが斬られる。観客の方から悲鳴が上がる。

 

 

(まさかこんな小娘に斬られるとはな。この私も学園生活が楽しくなりだして腑抜けてしまったのかもな)

 

 

 自分自身に呆れてフッと笑みを浮かべるエヴァンジェリン。さっさと斬られるかと思ったその時、金属と金属がぶつかり合う甲高い音が会場に響いた。

 唖然とするエヴァンジェリン。何故ならハマノツルギを仕込み杖で防いでいる、マギが自分の目の間に居るからだ。

 

 

「えっ?マギなんでお前が?」

 

 

 エヴァンジェリンはマギが目の前に居て、自分を助けた事に困惑していたがマギが

 

 

「エヴァ先に言っておく、わりぃ。あと耳塞いでくれ」

 

 

 マギに言われた通りにエヴァンジェリンは耳を塞ぐと

 

 

「すぅぅぅぅ……アスナァッ!!!」

 

 

 マギは大声でアスナの名を叫んだ。余りの声量と声の響きで観客の殆どが耳を塞いだり目を回している。

 耳を塞ぐこともしなかったアスナは、ショック状態になったのかそのまま気を失ってしまった。

 

 

「エヴァ、大丈夫か?」

 

 

 仕込み杖の刃をしまいながら、大丈夫かと尋ねるマギ。

 

 

「あっあぁ。でも私は不死なんだから別に気にしなくても大丈夫なんだぞ?」

「例え大丈夫でも、エヴァが傷付く所なんて見たくないからな。気が付いたら体が勝手に動いてた」

 

 

 マギの発言に顔を赤くするエヴァンジェリン。と和美が倒れているアスナへと近づく。

 アスナのハマノツルギが真剣だと言う事で、凶器を使ったアスナの反則負けとなった。

 アスナの反則負けで勝利したエヴァンジェリンは、納得いかないことよりも、未だにガトーおじさんと涙を流しながら呟き続ける、気を失っているアスナを見る。

 

 

(お前も何かしら大切なものを失ったのだな。神楽坂明日菜いや神楽坂。だが私はまだお前を認めたわけじゃないからな)

 

 

 啖呵に運ばれるアスナを見てそんな事を思ったエヴァンジェリンである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エヴァンジェリンは気に入らない奴はフルネーム
少し気になる奴は名字呼び
気に入った奴は下の名で呼ぶかあだ名で呼びます。
アスナは気に入らない奴から脱却したもようです

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