堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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武道大会 天下一は誰だ?

 船を降りたマギとプールス、そして夕映。

 夕映はこの後特にやることもないので、マギは自分やネギや小太郎が出る武道大会をよかったら見ないかと聞いてみると、おかしいですと夕映は首を傾げた。

 夕映はその武道大会がどういったものなのか聞いてきたので、マギはその武道大会のチラシを見せた。

 

 

「やっぱりです。賞金がたったの10万円です……恐らくショボイ大会です」

「マジか?」

 

 

 えぇとマギの問いに夕映は頷いた。大会自体は古くからある歴史ある大会のようだが、麻帆良祭では賞金100万200万のクイズ大会など、大きなイベントは当たり前。

 その中で10万の賞金と言うのは、かなり弱小な団体のイベントである。

 

 

「残念ですが、大会参加者のレベルは期待しない方がいいかもです」

「そっか、まぁ俺も忙しかったを理由にして碌に確認しなかったからなぁ。コタローはかなり残念がるだろうな」

 

 

 などと話していると、ネギと小太郎が此方へとやってきた。

 

 

「マギ兄ちゃん!なんやあの強さ!?暴走してたと言うのもあるけどビックリしたで」

「すまん。暴走してた時の事は、よく覚えてなくてな」

 

 

 あの後小太郎は、気づかれないように暴走騒動の場所から退散した。しばらくして先程まで一緒に居たネギと合流。ややこしいと言う事で、ネギに何か目印を付けるように要求する。と言う事で現在別の帽子をかぶっているネギである。

 マギは先程夕映と話していた事を小太郎に説明した。余りレベルの高くない武道大会と言う事で、少なからずショックを受けた小太郎。

 

 

「まぁええか。ネギやマギ兄ちゃんと戦えると思えればええか」

「今度からは慎重に見ないとねコタロー君」

「うっさいわ」

 

 

 とテンションが低い小太郎を連れて、さっそくその予選会場へと向かう事にしたのだった。

 歩いて数分。その武道大会の会場へと到着したのだが……

 

 

「なんだこれ?会場変更?」

 

 

 マギが会場にあったお知らせを見てみると、会場変更とその場所への地図が描かれていた。

 

 

「電車じゃないといけない場所だね」

「なんやねん。場所変更とか」

「とにかく行ってみるです」

 

 

 麻帆良中を走っている路面電車に乗り、目的の会場を目指した。

 辿りついた場所は龍宮神社、真名がここで巫女をしていると耳に挟んでいる。

 でその龍宮神社に大会参加者らしい格闘家が、多く押し寄せていた。

 

 

「おおっ!なんやショボイ大会って言ってたのに、イッパイいるやないか!」

「いやこれは逆に多すぎだろ。何があったんだ」

「ちょっと聞いてみるです」

 

 

 夕映は近くに居た胴着を着た、参加者らしき男にどうして人がこれほどまでに多いのか尋ねてみた。

 何でもある人物が複数の大会を買収、合併させて一つの大きな大会にしてしまったらしい。

 胴着の男は、この大会を伝説の格闘大会の復活だと言っている。何でも20年前まではこの大会が目玉だったようで、かなりの実力者が集まっているらしい。親切に教えてくれた胴着の男は受付に行ってしまった。

 

 

「いやしかし、人が多く集まるのも分かるぜ。見ろよ大会の賞金を」

 

 

 マギはそう言いながら、賞金額が書かれている看板を指差した。ネギと小太郎は賞金額を数えてみる。一・十・百・千・万・十万・百万・千万……一千万。

 

 

「「いっ一千万!?」」

 

 

 ネギと小太郎は驚きで顎が外れるかと思うほどに、大口を開けた。

 

 

「マギお兄ちゃん、いっせんまんってそんなにすごいんレス?」

「まぁ簡単に言えば、好きな物を腹いっぱいに食べてもまだお金が余る。凄い大金なんだよ」

 

 

 一千万の凄さをあんまり理解していないプールスに、マギが分かりやすく教えてあげる。

 

 

「あっネギにマギさん。何なのこの人だかり?」

 

 

 とパトロールをしていたアスナとこのかに刹那が、格闘大会の賑わいを見て近づいてみたようだ。

 ネギがアスナに格闘大会のチラシを見せると、アスナも一千万という賞金に思わず吹き出してしまった。賞金額を見て、アスナも大会に出ようか迷っている。

 

 

「とにかくや!賞金に釣られて強そうな奴がぎょうさんいそうやないか!おもろくなってきたで!」

「兄貴と大兄貴なら絶対優勝できますよ!目指せ優勝!賞金ゲット!」

「カモ君は正直だね」

「まぁでも、少しは楽しめそうだな」

 

 

 熱くなっている小太郎に、賞金に興奮してるカモ。そのカモ見て乾いた笑みを浮かべるネギ。頭を掻く何時ものマギである。

 

 

「コタロー君。やっぱりここにいた」

「あれ?夏美姉ちゃん。何でこんな所にいるんや?」

「ひどいなぁ。部の準備抜けて、折角応援に来たのに」

 

 

 妖精の恰好をした夏美が、小太郎の応援に来てくれたようだ。

 

 

「あっマギさん。ちづ姉が後で応援に来てくれるって」

「千鶴が?そうか。千鶴に応援に来てくれてありがとうと伝えといていてくれ」

 

 

 参加希望者と見学者は、入り口に入って会場内に集合というアナウンスが流れたので、マギ達は会場へと向かう事にした。

 参加希望者は100人を超えていて、皆気が張っているようだ。

 

 

『ようこそ!麻帆良生徒及び、学生及び部外者の皆様!!復活した「麻帆良武道会」へ!突然の告知に関わらず、これ程の人数が集まってくれた事を感謝します!優勝賞金一千万!伝統ある大会優勝の栄誉と賞金を見事、その手に掴んでください!』

 

 

 

 司会者で、マイクパフォーマンスをしているのは和美である。何故和美が司会をやっているのか分からないマギ達であるが、この大会を復活させたのが、彼女であるからだ。

 

 

『では今大会の主催者に挨拶を!学園人気№1屋台「超包子」オーナー、超鈴音!!』

 

 

 神社の奥から現れたのは、チャイナドレスを着こんだ超であった。超の登場にネギやアスナは驚いている。

 超は会場内に居る者達に、ニーハオとお辞儀をする。

 

 

「私がこの大会を買収して、復活させた理由はただひとつネ。表の世界、裏の世界問わずこの学園の最強を見たい。それだけネ」

 

 

 裏の世界と言う言葉が出て、参加者の大半がざわつきだす。恐らく裏の世界と言うのは、魔法使いとかそう言った類だと言うのだろうとマギは解釈した。

 超はこの大会がどういったのモノで、時代の流れで大会が自粛されてたが、今この場で復活を宣言する。などの話をしていたが、次の大会説明で更なる爆弾発言をする。

 

 

「飛び道具及び、刃物の使用禁止!そして……呪文の詠唱の禁止!この2点を守ればいかなる技を私用してもOKネ!」

 

 

 超の爆弾発言に、ネギやアスナにこのか、刹那夕映カモと言った魔法に関わっている者達は驚いた。

 小太郎は口笛を吹いているが、マギは超の言った事に対して、考えている。

 

 

(超の奴、一般人の前で堂々と言いやがったな。一般の参加者は分かってないだろうが、高音とか魔法を隠そうとしてる奴らが黙ってないぞ。何が目的なんだ?もしかしなくても魔法をバラスなんて大掛かりな計画の1つなのか……)

 

 

 マギが考え事をしてる間にも、超は映像記録が無ければ誰も信じない。大会中ここ龍宮神社は完全な電子的装置により全ての記録機器は使用できなくなると言う事で、思う存分戦っていいとのこと

 賞金が莫大で、裏の世界の者と戦えると言う事で、血の気の多い連中はがぜんやる気に満ち溢れている。

 

 

「天才の超があそこまで言ってるんだし、魔法がばれると言うのはなさそうだな。まぁ安心して戦う事が出来るな」

「でも大丈夫かな……」

「ええやんか。俺はワクワクしてきたで」

 

 

 少し楽観視してるマギ。心配してるネギに対して、むしろ楽しくなってきた小太郎。そんな彼らに近づく人影が

 

 

「ふふ、面白そうだな。なら私達も出場してみるか」

「そうでござるな。修行の成果、はっきするでござるよ」

「強そうな奴いっぱいでうずうずするアル」

 

 

 巫女姿の真名、風香と史伽を肩車した楓。そして古菲と言った、3-Aの実力者3人である。

 

 

「おう、お前らも大会に出るのか?」

「あぁ一千万をこの大会で手に入れられるならぼろ儲けだからな」

「拙者、一度マギさんと手合せしたいと思ってたでござるよ。もし対戦する事になったらお手柔らかにお願いするでござるよ」

「マギ兄ちゃん大会でるの?だったら僕マギ兄ちゃんが優勝できるように、いっぱい応援するよ!」

「私もお姉ちゃんと一緒に応援するです!」

「わたしもいっぱいいっぱいおうえんするレス!」

「ありがとな。優勝できるように頑張るぞ」

 

 

 両肩にマギに好意を寄せる風香と史伽、頭の上にプールス。幼女3人に応援されるという不思議な光景となった。

 ネギは真名や楓、自分の師でもある古菲が出場すると言う事を聞き、ネギは委縮してしまう。小太郎は掛かって来いという姿勢だったが……

 

 

「ほうマギと坊やが出るのか……だったら師匠であるこの私が出ると言うのが筋というものだな」

「まっ師匠!?」

「おぉエヴァ」

 

 

 チャチャゼロを連れたエヴァンジェリン(マギに肩車してもらってる双子と頭に乗ってる妹を見て少し不機嫌そう)が登場した。

 服装が白いゴスロリで、マギがさりげなく似合ってると褒めると、頬を赤く染めた。

 

 

「エヴァも出るのか?」

「あぁお前に封印を解いてもらったんだ。折角だし全盛期の力で暴れてやろうと思ってな」

「……分かってると思うけどさ、死人とか出すなよ?」

「おまっ私をなんだと思ってるんだ!?」

「悪の魔法使い。自分でそう言ってるじゃん」

 

 

 マギとエヴァンジェリンがじゃれてるのを見て、最恐( 強)の魔法使いが参加すると言う事で、流石の小太郎も少し震えだした。さらに……

 

 

「おや、マギ君やネギ君が出るんだったら僕も出てみようかな」

「「タカミチ(!?)」」

 

 

 何時からいたのか、タカミチがエヴァンジェリンの背後に立っており、自分も出ると言いだした。

 

 

「タカミチ何でこんな所にいるんだ?」

「いや覗いてみてたら面白い事になってると思ってね。マギ君やネギ君が出るんだったら僕もとね……君たちが小さい頃に、ある程度力がついたら腕試ししようという約束をしたからね」

「そうか、もし当たったらよろしくなタカミチ」

「いっいやタカミチ!僕まだまだ修行中だし、もうちょっと先でいいよ!」

「あれ?そうなのかい?」

 

 

 ネギの遠慮の返事に少しショックを受けているタカミチ。

 

 

「あっあの!高畑先生が出るなら私も出ます!」

「ええっアスナ君もかい?」

 

 

 タカミチが出場するなら自分もとアスナも出ることになった。更にせっちゃんのカッコイイ所を見たいとねだられて、お嬢様のためならと刹那も参加する事になった。

 これでマギとネギが知っている、体力と武道に自信のある者達が全員参加する事になる。

 

 

「……コタロー君、僕やっぱり出るの止めようかな」

「はぁっ!?ここまで来て、なに弱腰な事言ってるんや!?」

 

 

 自分よりも実力的に上の者達が次々と参加する事になって、完全に戦意を失ってしまったネギ。

 元々腕試しと思って軽い気持ちで参加した大会なのだ。嫌々出ても何時もの力が出せるわけがない。

 ネギが出るかどうか、マギは待っている。とネギの様子を見たのか、超が

 

 

「ああひとつ言い忘れてるコトがあったネ。この大会が形骸化するまえ、実質最後の大会となった25年前の優勝者は学園にフラリと現れた異国の子供。『ナギ・スプリングフィールド』当時10歳の少年だった」

 

 

 聞き間違える事は無かった。超が言ったその少年の名は、マギとネギの父であるナギだ。

 ネギはナギと関わりが深いエヴァンジェリンとタカミチに聞いてみると、タカミチがそんな話を聞いたことがあると言った。

 ネギは数十秒ほど何かを考えると、決意した顔で

 

 

「コタロー君、僕やっぱり大会に出るよ」

「おぉ!ええでその意気や!やっぱネギはそうでなくちゃな!」

 

 

 小太郎はネギが出場する事に喜んでいるが、ネギは父であるナギと同じ場所に立っている。そう思っているんだろう。

 

 

(クソ親父の名前を聞いた瞬間に目の色を変えた……か。ネギの奴はあの……あの雪の日からずっとクソ親父の背中を追う事でいっぱいなのか。俺としてはクソ親父を追う事を人生の目標にはしてもらいたくはないけどな……)

「まぁ結局、テメェの人生を決めるのはテメェ自身だからな。さてと俺も大会出場の受付に行くとするか」

 

 

 ネギと小太郎が受付へと向かったので、自分も受付へと向かうマギである。

 

 

 

 

「ふふ。ナギ、貴方の息子2人は大きく成長したようです。さて……私も面白おかしく彼らにお節介をやいてみますか。特にマギ君。彼とナギが大きく似ていて、大きく違う所を見てみたいものですね」

 

 

 マギの後方で、白いフード付きローブをかぶった男が含み笑いを浮かべていた。

 最強を決める戦いが今、幕を開けようとしているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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