堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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何故だ……何故こんなにも早くに終わってしまったんだ……
自分の執筆のむら加減が悩ましい……


夕映の憂鬱

 高音と別れたマギは、しばらくの間プールスと一緒に屋台などの出店を回った。

 プールスも今迄食べた事のない料理を食べたりでご満悦の様だ。教師の給料を使って、プールスが喜んでくれるのはマギ自身も嬉しい。

 と回っていると、前方からネギと小太郎が歩いてやってくるのが見える。

 

 

「あお兄ちゃん」

「おぉマギの兄ちゃんか」

 

 

 2人が手を振りながら此方に駆け寄ってきた。

 

 

「おぉ。見回りは大丈夫なのか?」

「うん龍宮隊長が、19時まで休んでいいって言ってたから」

「隊長?まぁいいか。んじゃ俺もぶらつきますかね。さっきまで高音とぶらつきながら見回りしたし」

 

 

 それはぶらついている方が多いんじゃとそう思ったネギと小太郎である。

 

 

「それよか聞いてくれよマギ兄ちゃん。ネギの奴女のこと考えてるんやで。男はそんな軟弱な事考えてらんで修業あるべきやと思うやろ?」

「こっコタロー君、お兄ちゃんを巻き込まないでよ」

 

 

 小太郎はマギに同意を求めようとしたが、そのマギは

 

 

「いや俺もこの歳になったらさ、やっぱり好きな子とかできても可笑しくはないと思うんだけどさ。と言っても女性を好きになるって言うのが今一分からないんだけどな」

「えぇマギの兄ちゃんもそう言う事言うんかいな」

「だから言ったでしょ。僕とお兄ちゃんじゃ歳が離れてるんだから、気になる人の1人や2人居てもおかしくはないんだよ」

 

 

 えぇと小太郎は不満そうに不貞腐れる。

 そんな小太郎を見ながらマギは軽く笑っていると、前から歩いて来る人とぶつかってしまった。

 

 

「っとすまない」

「いえ、私もよそ見をしてたですので……え?」

 

 

 聞き覚えのある声で、ぶつかった相手が夕映だった。

 夕映は数秒呆然としていたが、ぶつかったのがマギだと分かると慌てだした。

 

 

「マギさん何をやってるですか!?のどかとのデートは!?」

「いやそれがな……」

「ちょっと来て下さいです!」

 

 

 夕映がマギの腕を引っ張る。引っ張った先にはのどかと一緒に居るマギの姿が

 

 

「!ちゃんといる。でもこの現状は修学旅行と似てるです。まさかあそこにいるマギさんは偽物ですか!?」

「いやあそこにいる俺も本物だ。色々とあってだな」

「どちらも本物!?何を言ってるですか!」

「落ち着いてくれ。詳しい話はあっちで話すから」

 

 

 興奮している夕映を、落ち着かせるため近くにあった喫茶店へと立ち寄った。

 

 

 

 

 

 

「タイムマシンですか?こんなに小さいのが本物なのですか……」

 

 

 夕映はカシオペアをまじまじと見ながらつぶやく。マギとネギがタイムマシンを貰ったいきさつなどをかいつまんで夕映に教えるが

 

 

「マギさんに1つだけ聞きたい事があるです。その……のどかとのデートは上手くいったのですか?」

 

 

 夕映が聞いてきた事に、マギは一瞬だけ固まるが

 

 

「まぁ途中ドタバタな事があったけどな、でも楽しく回れたと俺は思ってるぜ」

「そうですか。それだけでも聞く事が出来て良かったです」

 

 

 マギが言った事に満足しながら、夕映はニッコリと笑った。

 場の雰囲気が合わないのか、小太郎は鼻を鳴らしながら

 

 

「なんやマギ兄ちゃん、あんな読心術の女とデートしてたんか。くだらんわ」

「……コタローさん、無関係なあなたが口を出す道理はないと思うのです」

 

 

 小太郎の言った事に反論する夕映

 

 

「関係大ありや。俺はマギの兄ちゃんの強さを目標にしてるんや。そのマギ兄ちゃんが女と付き合って腑抜けになってもらったら俺が困るんや」

「コタローさんあなたは何も分かってないです。マギさんがそんな簡単に腑抜けるとそう思いですか?だとしたらあなたの目は節穴です。マギさんはのどかの事をそんな軽い気持ちで見ているはずがないのです。それにコタローさん前から言おうとしていましたが、勝ち負けにこだわり過ぎです。強さ弱さを口に出している内は、あなたは真の強さを身に着ける事は出来ないです」

 

 

 小太郎と夕映の口論が始まったが、歳は夕映の方が上で勉強はあまりできないが、頭の回転が早い夕映に言いくるめられて小太郎はたじたじだ。元々喧嘩に明け暮れていた小太郎では口喧嘩は無理である。

 

 

「そして……愛を知らぬ者が、本当の強さを手にすることは永遠とないだろう。恋愛をバカにしてはダメです」

 

 

 それが止めとなり、小太郎は膝から崩れ落ちた。ネギが小太郎に近づくが、小太郎は愛と言うのが何なのかを呟いていた。

 

 

「何かためになる言葉だな。誰が言った事なんだ?」

「亡くなった、哲学者であったおじい様の言葉です。私はおじい様を尊敬してるです」

 

 

 成程なとマギが頷いていると、考える事を止めた小太郎が再度夕映に詰め寄った。

 が小太郎の浅い考えを夕映はことごとく論破した。更に夕映は自身の哲学力を持って小太郎の考えを次々に否定した。

 頭が良くない小太郎にとっては、夕映の言ってる事が分かっていない。

 

 

「うっさいわ!男の戦いに口出しすんなちび助!」

 

 

 小太郎は逃げる事にした。口喧嘩に勝てなくなったら逃げると言うのは子供らしいと言ったらそうなるだろう。

 

 

「待ってよコタロー君!あお兄ちゃん、今日の格闘大会の予選遅れないでね」

「あぁ分かったよ」

 

 

 ネギはムキになって走り去っていった小太郎を追いかけて行った。

 なおムキになった小太郎は、一回目のタイムトラベルをしたマギの暴走に立ち寄り、マギの暴走を止める事になるのをこの時は知る由も無かったのである。

 

 

「しまったです。年下相手に偉そうな事をべらべらと……」

「そうでもないさ。コタローにとってはいい薬になっただろうさ」

 

 

 マギは夕映に気にしないでいいと言い聞かせた。夕映の方はムキになって小太郎の相手をした事に猛省する事にした。

 

 

「それでは私はこれで。これから仮装をしてジュース巡りの予定があるのです」

 

 

 夕映はこの場を立ち去ろうとしたが

 

 

「あっ夕映、もしよかったらなんだが……ちょっとだけ付き合ってもらえないか?」

「え?」

 

 

 

 

 

 マギに誘われ、遊覧船に乗っている夕映。違う服に着替えた夕映の恰好はのどかと違った形で可愛らしい姿だった

 遊覧船に乗るのが初めてなプールスは、船の上での風は気持ちよさそうだった。

 マギは夕映を誘ったが、実際マギと夕映はあんまり話した事は少ない方だ。だからこそ互いに何を話せばいいか迷っている。正直言ってかなり気まずい。

 

 

「あっあのマギさん、マギさんに見てもらいたいものがあるです」

 

 

 そう言って夕映は前にマギに渡された子供用杖を取り出した。

 そして火を灯れの呪文を唱えると、杖の先から火が出てきた。

 

 

「夕映、お前もう火を灯す事が出来るのか?」

 

 

 マギはこんなに早くに火を灯るの魔法を習得したことに驚いた。

 

 

「凄いな夕映。こんな早くに出来るなんて、俺でももっとかかったなのに」

「えっと凄いのです?」

 

 

 あぁとマギは頷いた。マギに褒められ嬉しくなった夕映は

 

 

「他の魔法も色々と練習してるですが」

「他もか?もしできるならやってみてくれよ」

 

 

 マギに言われ、夕映は今度は風の魔法を唱えた。が

 

 

「きゃあっ!!」

 

 

 コントロールが効かないのか、風が強すぎるせいで夕映や周りに居た女子生徒のスカートが捲り上がって、パンツが丸見えになってしまった。

 

 

「すっすみませんです!こんなはずじゃなかったんです!」

「……やれやれだぜ」

 

 

 マギは夕映のパンツを見ない様に、夕映のスカートを戻そうとすることに奮闘したのだった。

 

 

 

 

 

 

「……まさか魔法の練習に1日3時間も費やすなんて」

「その少しでも魔法を身につけて、マギさんのお役に立とうと思っててです」

「その気持ちだけでも嬉しいぞ。でも学校の勉強もちゃんとしてくれよ」

「はいすみませんです」

 

 

 ハプニングがあったが、気まずい雰囲気はもう無くなっていた。夕映もマギが笑顔になってくれて嬉しいと思っている。

 とマギは少し考えながら、夕映にこう尋ねた。

 

 

 

「夕映はさ……気になってる奴、好きな奴とかがさ今いるか?」

 

 

 急に好きな男が居るかと聞かれて、夕映は顔を赤くして慌てだす。

 

 

「いっいきなり何を言ってるですかマギさん!?」

「いや、そのな……のどかの事なんだけどな」

 

 

 のどかの名が出た瞬間、夕映は少し落ち着きを取り戻した。

 

 

「もしかして、のどかとのデートで何かマズい事でもあったですか?」

「いやマズい事は無かったんだけどな。そののどかの親友の夕映に相談があるんだけどな……そのデートの時にのどかにもう一度好きだと告白されてキスされたんだ」

 

 

 マギはのどかとの出来事を夕映に教えると、夕映もかなり驚いた様子を見せた。

 

 

「それでな、この後のどかとどうやって会えばいいのか分からないと言うか、今度こそ返事をしなきゃいけないと思ってるんだが……」

「え?マギさんはのどかの事が好きじゃないのですか?」

「いやそう言うわけじゃない。のどかと本の事で話したりするのは楽しいし。けど……恥ずかしいことに、俺お前らよりも年上なのに一度も女性の事を好きになった事が無くてな、どうすればいいのか分からないんだよ」

 

 

 マギは本気で悩んでいる。そんなマギを見て、夕映の中の悪魔が囁きだした。

 

 

「のどかに対しても、どういった返事をすればいいのか……」

「でっでしたら、今は先生と生徒の間と言う事ですし、ここはのどかが卒業するまで待つと言うのはどうですか?」

 

 

 夕映は何故自分がこんな事を言ってしまったのか、自分でも分からなかった。

 

 

「そうか?でもそれじゃあのどかに対して失礼なんじゃあ」

「いえのどか自身も焦っているわけではないと思うです。私やハルナが急かしてしまった側面も大きいですから」

 

 

 夕映は勝手に喋っている口を閉じようとしたが、止まらない。

 

 

「のどかは自身の気持ちを伝えたいだけだったと思うですし、マギさんがその事で悩んでいると知ってしまったらのどかも辛いと思うです。ですからマギさんは今まで通りいいと私は思うです。のどかもその方が嬉しいと思うです」

 

 

 夕映のアドバイスに、そっかと頷いたマギは

 

 

「今まで通り、それが今は一番いいのかもしれないな。ありがとうな夕映、おかげですっきりしたよ」

 

 

 夕映にお礼を言ってマギはスクッと立ちあがって

 

 

「なんかホッとしたらトイレに行きたくなっちまった。夕映はプールスと一緒に待っていてくれ」

 

 

 船の中にあるトイレに向かおうとしたマギは、振り返ると夕映に向かって

 

 

「ありがとな夕映。俺今日夕映と話す事が出来てよかったよ」

 

 

 それだけだと言って、マギはトイレへと向かった。

 お礼を言われて赤くなっている夕映は、心臓が早鐘を打っていた。

 夕映は安心してしまった。マギに恋人がいないこと、のどかとの仲が進展していない事にホッとしてしまっていた。

 夕映は自身の行いを恥じた。マギにのどかの気持ちを自分の都合の良いように解釈させてしまった。

 もう自分を誤魔化しきれない。気が付かないふりをして、抑えつけていた感情と気持ちが溢れだしそうになっている。

 修学旅行の時から、ずっとマギを目で追っていた。彼の笑顔や頑張っている姿を見てときめいている自分が居る。魔法を一生懸命練習したのも、それもすべて……

 

 

「ユエお姉ちゃんは、マギお兄ちゃんの事がスキレスか?」

「ひゃあ!?」

 

 

 プールスがニコニコと笑いながら夕映にマギが好きなのかを尋ねてきた。

 

 

「ぷっプルちゃん?」

 

 

 夕映はプールスがまさかマギをそんな目で見ているのでは?と勘潜ってしまったが、そうではなかった。

 

 

「私はマギお兄ちゃん、ネギお兄ちゃん。アスナお姉ちゃんにカモおじちゃん。のどかお姉ちゃんにユエお姉ちゃん……みんなみんな大好きレス」

 

 

 プールスは小さい子らしい、恋とかそういうのではない。ただ皆が大好きなのだ。

 夕映は涙を流して、そのままプールスに抱き着いた。

 

 

「ふぇ?ユエお姉ちゃん?マギお兄ちゃんの事キライなんレスか?」

「違うんですっ……私もマギさんの事が好きです。好きになってしまったんです!」

 

 

 夕映はマギの事を異性、1人の男として好きになってしまった。それものどかが好きな人を自分も好きになってしまった。親友を裏切ってしまう……それだけで夕映の頭の中がグチャグチャになってしまった。

 

 

「ふぅスッキリした。って夕映どうしたんだ?」

「っ!いっいえなんでもないです!」

 

 

 トイレから戻ってきたマギに、プールスに抱き着いている所を見られ、慌てて離れる夕映。その時に流している涙を慌ててふき取る。

 

 

「夕映、泣いてたみたいだがどうかしたのか?」

「泣いてないです。そのっ目にゴミが入っただけです!」

 

 

 夕映は必死に誤魔化したが、マギにさっき言った事を聞かれてしまっていたのではないかと内心冷や冷やしていた。

 

 

「そうか。でも何かあったら俺に言ってくれよ。俺に出来る事なら何でもするからよ」

 

 

 どうやら先程の事は聞いていなかったようだ。夕映はホッと胸をなでおろすが、先程の事でマギに対しての自身の想いを再認識する事になる。

 

 

(あぁおじい様、夕映は夕映はどうしたらいいのです?)

 

 

 亡き祖父に自分はどうしたらいいのかと問いかけた。

 亡くなった者が答える事は出来ないが、夕映の祖父はこう言うかもしれない。その答えは自分自身で見つける事だと。そしてその答えが後悔のないようにしなければならない。そう夕映に言ってくれるだろう。

 親友と同じ人を好きになってしまった夕映。彼女の恋への苦しみと戦いはこれから始まるのだった……

 

 

 

 

 




今回原作と違うのは、カモじゃなくプールスに変わったところですかね。

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