堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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高音・D・グッドマンの想い

「これがタイムマシン?こんなに小さいのが」

「ほへぇ~」

 

 

 アスナとこのかはカシオペアをまじまじと見て、感嘆の声を上げた。アスナはカシオペアを裏にして色々と見ている。

 

 

「本当にタイムマシンなら、アタシアメリカの禁酒法時代に行きたい!」

 

 

 なぜそんなマニアックな時代なのかと思ったが、渋いおじさんにいっぱい会えるからだろう。ほんとにおじさん好きだなぁと思ったマギである。

 がカモが言うには、このカシオペア。最大でも24時間の時間転移しか出来ない様だ。自分が行きたかった時代に行きたいと思っていたネギとアスナは残念がっている。

 

 

「ほら今は学祭中だろ?それにパトロールとかも忙しいんだからよぉ。そこまで行きたいなら青狸にでも頼むんだな」

 

 

 マギがそうツッコミを入れて、さっそくアスナ達も連れて時間転移をすることにした。行き先の時間を設定して……

 

 

「行きます。しっかり掴まって」

 

 

 ネギにしっかり掴まり、ネギ達の空間が歪み始めた。

 そして次の瞬間、ネギ達は姿を消したのであった。

 

 

 

 

 学園祭1日。PM13:00

 

 

「わぁ!さっきまで夜やったのに、昼に戻ったえ~」

「ねぇカモ、本当に成功したの?」

「大丈夫ですってアスナの姐さん。俺っち達も前回やった時は成功したんですから」

 

 

 さっきまで夜だったのに、急に昼に戻ったので興奮気味のこのかと不安そうなアスナ。

 

 

「さてと、戻ってきた事だし俺も見回りをしてくるかな。んじゃ後で合流するぞ世界樹の前で集合だ」

 

 

 寝ているプールスを起さない様におんぶをしてネギ達と別れることにしたマギ。

 

 

「僕も無理して代わってくれたコタロウ君と合流します。アスナさん達は休みながらパトロールをお願いします」

 

 

 タイムマシーンを知る前に無理して代わってくれた小太郎と合流するために、小太郎の元へ急いだ。

 

 

 

 

 

 マギはパトロールに向かう道中、告白しようとした男が何者かに狙撃されるのを見た。

 こんな人が大勢いる場所で、正確に撃てるのはクラスに居る真名だろう。仕事のためなら容赦はしないんだな。そう思ったマギであった。

 ふと向こう側が何やら騒がしい。喧嘩かなにかとマギは騒がしい所に向かうと、そこには見知った者がいた。

 

 

「うわぁ、アイツ周りの目も気にしないで、よくもまぁあそこまで騒げるもんだよ」

 

 

 騒いでいる者に呆れながらも、流石に学園祭に来てくれた人達に迷惑になる。

 マギは騒いでいる者へと近づくことにした。

 

 

 

 

 

「ですから!今貴方には世界樹の近くに来られるのは困ると言っているでしょう!」

「なっ何なんですかあなたは!?さっきから失礼ですよ!」

 

 

 高音・D・グッドマンは、目の前の男性が連れている女性に告白すると言う高い数値が出ているために、世界樹に近づかせんとしていた。

 が魔法の事を隠蔽しなければいけないと言うのが最初に出てしまっているために、強引な形となっている。

 

 

(どうして分からないのですか!?私は貴方達の事を思ってこうしているのに……!このままでは人生を無駄にしてしまうかもしれないのに!)

 

 

 人一倍正義感が強い高音ではあるが、その正義感が人には伝わらないこともあると言う事を、彼女は知らない。

 

 

「いい加減にしてください!あんまりしつこい様だと、先生を呼ばしてもらいますよ!」

 

 

 男性は我慢の限界に来たのか、先生を呼ぶと言いだした。それは流石に不味い。このままでは学園のひいては高音の評判にも傷がついてしまうだろう。

 

 

「おっお姉様……」

 

 

 高音の後ろオロオロしている愛衣は、どうすればいいのか分からなかった。

 このまま教師を呼ばれるかと思いきや

 

 

「いたいた。探したぞ。」

 

 

 騒ぎを見ていたマギが助け舟を出してくれた。

 

 

「まっマギ先せ――――」

「まったくカップルの邪魔をするんじゃあないよ。ちょっとすみませんねぇ」

 

 

 高音は何故マギが此処にいるのか聞こうとしたら、マギは高音と口論していた男と小声で話し始めた。

 男は最初はマギを怪訝な目で見ていたが、次には驚いた表情をして、マギの話を真剣に聞き始めた。

 おいてけぼりの高音をほっといて、話はついたようだ。

 

 

「ありがとうございます。見知らずの人がこんなに親切にしてくれるなんて」

「いいって。折角の学園祭なんだし、楽しい思い出をな」

 

 

 男はマギに何度もお礼を言って、一緒に居た女性を連れて世界樹から離れて行った。

 ポカンとしている高音は、離れていく男達に軽く手を振っているマギに聞いてみた。

 

 

「あの男の人と何を話したんですの?」

「今日初めてのデートらしくてな。ずっと好きだった相手に告白しようと思ってたらしくて、世界樹の噂を聞いて思い切って来たらしい。まぁでも今世界樹の近くじゃうちのクラスの真名が見張っててな、告白しようとしてる奴らを次々と狙撃してるのを今さっき見てたからな。世界樹の力が影響しない、告白に良さそうな場所を教えてやったんだよ」

 

 

 高音の強引なやり方と違い、マギは話し掛ける形で事を解決してしまった。

 

 

「……私のやり方は間違っていたと言う事ですか?」

「いやまぁお前らが魔法の事を隠そうとしているのが大事な事だと言うのは分かるけどさ、強引すぎると思うんだわ。テメェの正義とか貫いても、周りの奴らが分かってくれなきゃそれは……正義じゃなくて独善だ」

「それは……」

 

 

 マギにそう言われ、何も言えずに俯いてしまう高音。

 そんな高音を見て、やれやれだぜ……と呟いたマギは

 

 

「高音、お前この後もずっとパトロールか?」

「え?ええ。今日一日は小休止がある以外はずっとです」

「やっぱりか……高音、1、2時間だけでもいいから学園祭回るぞ」

「え?えぇ!?マギ先生!行き成り何を言い出してるんですか!?」

「もう決めたからな。愛衣悪いけど高音を少しの間借りてくぞ」

 

 

 高音の了承も得ずに、マギは高音を連れて行ってしまった。

 残された愛衣は連れてかれる高音を呆然としながら見ているのだった。

 

 

 

 

 

 あれから高音を連れてマギは、様々な出店を見回った。

 アトラクション系は時間を食ってしまうために、軽くゲームが出来るコーナーや屋台の食べ物を軽く摘まんでいる。

 時折世界樹方面に告白目的で行こうとしている男女連れをさりげなく別の場所で告白できるように誘導して、マギの話を聞かず、舐めた態度を取った連中は、真名に狙撃されても良いと言う事で放っておいた。

 そして現在はベンチで一休みしている。

 

 

「つかれたレス」

 

 

 マギに買ってもらったジュースを飲みながら、プールスは少し疲れた様子だ。さっきまで寝ていたプールスだが、時間が戻り昼間の賑わいで目が覚めてしまったようだ。マギに屋台のお菓子を買ってもらい美味しそうに食べていた。

 

 

「高音は……楽しそうじゃないか」

「当然です!他の仲間が頑張っている中で、私だけがこんな所で油を売っているなんて……」

 

 

 予想していた高音の言った事に苦笑いを浮かべるマギは

 

 

「あんまり肩に力を入れすぎると疲れちまうぜ。偶には息抜きしないと」

「ですが……」

 

 

 強情な高音に対して、深い溜息を吐いたマギは次に

 

 

「高音さ、失礼な事言うけどさ……お前友達居ないだろ?」

「なっ!?いくらマギ先生でも、今のは失礼です!撤回してください!」

 

 

 思わず怒鳴ってしまった高音だが、実際は図星だ。彼女は小さいころから正義の魔法使いを目指していた。クラスには知り合いはいる、が魔法関連の事で遊びの誘いは全て断っていた。そのためクラスでは孤立している。

 自分も失礼な事を言ってるのは自覚しているマギは、すまないと頭を下げてから

 

 

「何というかな、似てるんだよ昔の俺とお前が」

「似てる?私とマギ先生がですか?」

 

 

 あぁとマギは肯定しながら、プールスの頭を撫でながら自身の過去を話し始めた。

 マギは幼少のころは色々と悪ぶっていた。同じ学友の陰口、自分をマギの息子としか見ていなかった教師たち。

 魔法学校を卒業してからは、一人で人里離れた場所で魔法の修行をしていた。修業には友人なんかいらないと自身に言い聞かせて……

 そしてこの歳になっても親しいのはネギにネカネ位しかいないと言う結果になってしまった。

 

 

「……正直言うとな、先生になるって言うのも面倒だと言うよりも不安でしかなかった。歳も離れていない女の子とどう接したらいいのか分からなかったからな。でもふたを開けてみれば、クラスの奴らはネギや俺を歓迎してくれた。そん時思ったんだ……あぁ俺は時間を無駄にしてしまったんだなってさ。人との輪を断ってしまったのが、どんなに自分を弱くしてたんだろうなってさ」

「弱くした?」

「結局どんなに悪ぶって孤立しても結局はその程度の人間にしかならない。俺も単純な奴だと思うけどさ、初対面の男に対して此処までしてくれるのかと思った時はさ、何かあった時はこいつらを護ってやろうと思ったぐらいさ。自惚れも甚だしいけどな」

「はぁ、成程……」

 

 

 マギの言っている事も何となく分かる高音だが、次にマギはこう聞いてきた。

 

 

「高音はさ、好きな男とかいるのか?」

「ふぇ!?いっ行き成り何をいい言ってるんですか!?」

 

 

 急に好きな人はいるかと聞かれて狼狽する高音だがマギは

 

 

「好きなヤツが出来ると、そいつを護ってやりたいと思えるようになるからな。と言っても俺自身好きって言うのが良く分かってないんだけどな。情けない話だけどな」

 

 

 

 マギはネギ達に話した事はないが、クラスの女子の何人かは自身に好意を寄せている事は何となく分かっているつもりだ。特にのどかには告白を2回されているし、キスも2回している。そんな彼女が自分の事を嫌いなはずがないと自分で思っていて寒いと思ったがそうであると信じている。他にもエヴァンジェリンも自分の事を何処か意識してるのではと思ったりしている。

 

 

 

「あっあのつかぬ事を聞きますが、私の事はどう思ってますでしょうか?」

 

 

 高音も最近になってマギの事が気になり始めたのだ。マギが自分の事をどう思ってるのか聞いてみたい。

 がマギの返答は

 

 

「え?普通に魔法使いの知り合いとしか思ってないけど?」

 

 

 マギには女性に対して決定的な欠点がある。それはのどかやエヴァンジェリンと言った接している時間が多ければ多いほど、自身に対する好意などに少しでも敏感になるのだ。

 がその反面、高音と言ったあまり接点のない女性に対しては鈍感になってしまうのだ。

 マギの返答にショックを受けた高音。だが裏を返せば自身の想いをマギに強く伝えればマギも応えてくれるのだと。

 

 

「分かりました。マギ先生に応えてもらえるように、私も精進します」

「?そうか。頑張れよ」

「それともう少し私も物事を柔らかく考えられるように頑張ります」

 

 

 それではと高音はマギに会釈して、自分の持ち場へと戻って行った。

 さっきまでとは違い、清々しい晴れやかな表情をしながら。

 

 

「本当、女って言うのは気持ちの切り替えが上手だな。尊敬に値するよ」

「?」

 

 

 プールスの頭を撫でながら、マギはそんな事を呟くのであった。

 

 

 

 その後の高音のパトロールだが、先程とは違い強引なやり方をしなかったので、愛衣は少しばかり驚いたという。

 

 

「お姉様、どうしたんですか?さっきまでとは別人です」

「愛衣……ふふ、正義の魔法使いを目指すのと、一人の殿方のために女を磨こうと思っただけです」

 

 

 愛衣は高音の言った事に、マギが関係していると言うのは何となく分かったようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今更ですが、今まで投稿した話の何話かを修正しました。

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