堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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今回結構強引な所があると思いますが
ご了承ください
それではどうぞ!!


ドッジボール対決

 ネギとマギが麻帆良に来て、5日が経った昼休み。生徒達は外で昼食をとっているか、体を動かしたりしていた。その集団の中にもAクラスの何人かがボールを遊びを行っていた。

 

「ねーねーネギ君とマギさんが来てからもう5日経ったけど、皆はネギ君とマギさんの事どう思う?」

 

 まき絵がボールをパスしながら、他の生徒がどう思っているか聞いてみた。

 

「ん…いいんじゃないかな?ネギ先生はカワイイし、マギさんはカッコイイし」

 

 まき絵のパスを6番の大河内アキラがそう言いながらパスを回す。

 

「そだねー教育実習生として頑張ってるしね」

 

 と2番の明石裕奈もアキラの言った事に同意した。ネギとマギはこの5日間、教育実習生としては優秀な程だった。ネギは授業は分かりやすい授業だが、私生活は何処か抜けており、オッチョコチョイなため危なっかしい所を見た生徒は数多く、一方のマギは、私生活や職員室での態度はとてもだらしなく『鬼の新田』と呼ばれる新田先生に度々説教をされていたが、馬の耳に念仏状態であったと言う。しかし授業の時にはその態度は一変し、真面目で分かりやすい授業を行っており、抜く時とやる時のメリハリが出来ているようだ。

 そのため、見た目の幼さが残ったネギとだらけた時と真面目なときのギャップの差のマギは2-A以外のクラスでもかなりの人気者である。それに~と裕奈がニヤリと笑うと

 

「亜子はマギさんの事が気になるんだよね~?」

 

「ゆッ裕奈ちょ!?何言ってんのん!?」

 

 裕奈の言った事に亜子が顔を真っ赤にしながら、裕奈に叫んだ。実は亜子、マギが教室に入ってからすぐに気になっていたのだ。

 

「亜子って本当に年上が好きだよね。でもさ最近年上の彼氏に振られなかったっけ?」

 

「そッそれは言わん約束と言ったやろ!?」

 

 裕奈に言われたくなかった過去なのか、も~と軽く怒りながらもボールをパスした。実は亜子は最近…といっても数か月前だが、丁度マギ位の歳の彼氏と付き合っていたのだ。しかし彼氏の方がもう別れようと言ってきたのだ。別れてほしい理由と言うのが『まるで妹の相手をしてるみたいで』と言う理由だったのだ。亜子はショックを受けて、数か月は立ち直れなかったがマギが麻帆良にやってきて、そのショックが何処かに吹き飛んでしまった様な気がした。まるで運命を感じたようなそんな感じだ。

 

「そッそんな事よりも!うちらって来年受験やん!皆はどうするん!?」

 

 と亜子が急に話題を変えてきた。裕奈たちは亜子の必死さに苦笑いしながらもこれからについて考えた。

 

「でも私達って大学までエスカレータ式じゃん?別にそこまで考える必要もなくない?」

 

 そう麻帆良学園は小中高大とエスカレーター式で進学できるというよっぽどの問題を起さなければ問題なく進学できるものなのだ。

 

「その事なんだけどね、私この前マギさんに授業で解らないことがあって、放課後にマギさんに教えてもらった時に受験に付いて聞いてみたんだよね」

 

 まき絵の言った事に裕奈達は驚いた。あのバカピンクと言われていたまき絵が授業で解らないと言う所を聞いてみたのだ。

 

「まき絵が解らない所を質問するなんて…」

 

「明日は雪が降るかもしれない」

 

「ちょと!それはひどくない!アキラ!!」

 

 裕奈とアキラがヒソヒソと話していたが、まき絵には聞こえていたらしく、手をブンブン振りながら可愛らしく怒っていた。

 

「ねぇまき絵、マギさんに進路相談してなんて言われたんや?」

 

 亜子はまき絵がマギになんて言われたのか気になってしょうがないようだ。

 

「うんマギさんが言った事はね…『テメェの人生は一度きりでやり直しは効かねぇんだ。だったら後悔のしないようにしっかりと考えな』ってさ。それを聞いて私ちょっとドキッてしちゃったよ~」

 

 と照れながら話したまき絵。それを聞いてええなぁ~と羨ましそうに言った亜子。

 

「やっぱり年上のマギさんに相談するのが一番だね~」

 

「ネギ君私達より年下だし、悩み事とか相談できないよね~」

 

 裕奈とまき絵がそう言った。何時もはネギの事を可愛がっているが、それとこれとは話が別であるのだ。

 

「逆に私たちがネギ君の悩みを聞いてあげたりして」

 

 裕奈が変な妄想をしたのかプププと笑った。

 

「アハハ経験豊富なオネエサマとして体の悩みとか~?」

 

 まき絵はボールを取ろうとしたが、ボールが高く上がってしまい、取り損なってしまった。ボールが芝生に落ちてコロコロと転がった。

 

「も~ちゃんとトス上げてよね~~」

 

 まき絵がボールと取ろうとしてそう言うと、亜子がゴメンな~と謝った。そしてまき絵がヨッとボールを取ると、目の前に数人の女生徒の脚が見えた。

 

「――――――誰が経験豊富なお姉様ですって?チャンチャラ可笑しいわね」

 

「「「!!あッ貴方達は!!?」」」

 

 まき絵と裕奈に亜子は急に現れた人物たちに驚愕した。まき絵達の前に現れた人物たちとは…

 

 

 

 

 

 中等部の職員室にて、ネギが自分の席で資料を纏めていた。

 

「ネギ先生」

 

 隣の席のしずな先生がネギに呼びかけた。

 

「なんですか?しずな先生」

 

 ネギはしずな先生が何の用か聞いてみた。

 

「いかがですか教育実習の方は、もう教師としてやっていけそうですか?」

 

 しずな先生も言ったが、さっきも言ったようにネギとマギは教育実習として5日間も経っているのだ。5日もあれば慣れてくるものだが

 

「いえまだまだです。僕皆さんよりも年下だから、当たり前なんですけど子ども扱いって言うか……僕には誰も相談に来なくて、変わりにお兄ちゃんに相談してるのが多くて」

 

「フフフ……まあ仕方ないですわね。それより、そのマギ先生はどちらに?頼んでいた資料を回収したいのだけれど…………」

 

 としずな先生がマギを探して辺りをキョロキョロと見渡した。ああその事ですか?とネギはしずな先生を見て思いだし

 

「しずな先生、もしかしてこれですか?」

 

 とネギがしずな先生にその資料なるものを渡した。しずな先生はネギに渡された資料を見て驚いた。

 

「凄い…しっかりと纏めてある…」

 

「お兄ちゃん、今日の午前中は授業が無かったんです。そのため午前中に資料を纏めていたそうです」

 

「それにしても午前中の短時間で、これほど纏められるなんて…」

 

 しずな先生はこの短時間でこれほど正確に纏め上げられた資料を余り見た事が無い。

 

「お兄ちゃんが言ってたんですけど『手抜きで作って文句言われるのも面倒だし、本当はメンドイけどやるしかねぇよな…』って」

 

 しずな先生はブツクサ文句を呟きながらも資料を作成しているマギの姿を簡単に想像できた。

 

「フフフ…マギ先生はそう言う態度をとっても真面目さんなのね」

 

「ハイ!やる時はやるそれが僕の自慢のお兄ちゃんです!」

 

 と互いに笑っていた。

 

「そう言えばそのマギ先生は?」

 

 しずな先生がマギの所在を聞いてみると

 

「お兄ちゃんは今は学園の中を散歩中だと思いますよ?『昼休みは誰にも束縛されない自由な時間だ』っていつも言ってましたし」

 

 とマギの事を教えると、急に職員室のドアが大きな音を立てて開かれた。何事かと先生たちはドアの方を見てみると、其処には傷だらけの裕奈とまき絵が居た。

 

「ちょッ!ネギ先生!!」

 

「ネギ先生~!!」

 

 裕奈は慌てながら、まき絵が泣きながらネギに助けを求めた。

 

「どッ如何したんですか!?裕奈さんまき絵さん!!?」

 

 ネギも2人が傷だらけなのに吃驚して何があったのか事情を聞いてみた。

 

「昼休み私たちがボール遊びをしていたら、ウルスラの高校生の何人かが私達に場所を譲れってイチャモン付けてきて、私達が嫌だって言ったら私達が持っていたボールを強引に奪って乱暴にボールを当てて来たんですよ!!」

 

「見てよ先生!こんなに傷だらけ!!助けて!!」

 

 裕奈が経緯を話して、まき絵が自身の傷をネギに見せた。ネギはこれには驚きを隠せなかった。これは立派な校内暴行である。

 

「まだ亜子とアキラが残っているんです!ネギ先生止めて下さい!!」

 

 裕奈にまだ2人が残っていると聞いて、すぐさまその問題の場所に向かった。

 

 

 

 

 

 時間をほんの十数分遡る。学園内を散歩をしていたマギがのんびりと歩きながら、大欠伸をしていた。

 

「ファァァ~…こうものんびりと出来るとはなぁ…昼休み最高」

 

 と又歩いていると、中等部の校舎に近づいてきた。すると何だか騒がしくなっていて、マギはその騒がしい場所に向かってみた。

 騒がしい場所にたどり着くと、十数人の黒い制服の生徒が何かをしていた。あれは確か、聖ウルスラ女子高等学校の生徒だと前にタカミチに教えてもらった事がある。なんでそのウルスラの生徒がこんな所に居るのかと考えていると、マギの周りにいた生徒がヒソヒソと話していた。如何やらそのウルスラのリーダー格の生徒が中等部の生徒にイチャモン付けてボールを当てて怪我をさせているようだ。それを聞いたマギは

 

(うわあ~めっちゃ校内暴力じゃん。普通は止めなきゃいけないんだよなハァァ…面倒だな…)

 

 と思い、いやいやながら止めようとしたが、ウルスラの生徒の生徒の隙間から、ボールを当てられているアキラと涙目の亜子を見て、えぇぇ~と小さくツッコんだ後、ハァァァと小さい溜息を吐いて

 

(仮にもうちの生徒が傷つけられてるのを見たら、メンドイなんて言ってる場合じゃないかっと!)

 

 マギは体中の魔力を脚に溜めると一気に亜子たちの元に向かうために加速した。

 

「女子高校生アタック!!」

 

 ウルスラのリーダー格の生徒の投げた剛速球のボールがアキラの腕に直撃した。

 

「あう!!」

 

 アキラは短い悲鳴を上げながら、腕に直撃した衝撃で尻餅をついてしまった。

 

「アキラ!大丈夫なん!!?」

 

 亜子は倒れたアキラを助け起こした。それを見ていたリーダー格の生徒はアハハハと笑いながら

 

「分かった?アンタ達なんて私達からしたらお子ちゃまよお子ちゃま!分かったならさっさと場所を譲りなさい。それとももっとボールに当たりたいの?」

 

 リーダー格の生徒が亜子を指差しながらそう言った。対する亜子は

 

「ヒゥッ!!」

 

 怖くて動けない様子だった。リーダー格の生徒は亜子が怖くて動けないのを分かっていながらも、ニヤリと笑い

 

「そう…もっと当たりたいのね」

 

 そう言いながら、ボールを持った腕を大きく振りかぶり

 

「だったら望みどおりにしてあげる!!」

 

 と叫びながらボールを亜子に向かって思いっきり投げた。さっきアキラが当たったのと同じぐらいの速さの剛速球が亜子に迫る。

 

「!!キャアァァァァァァ!!?」

 

 亜子はいずれ訪れる痛みと衝撃に耐えるために、ギュッと目を瞑った。数秒後、ボールが何時まで経っても自分に当たらないのが不思議に思い、恐る恐る目を開けてみると

 

「あ…」

 

 亜子の目の前には自分達がよく知る人が立っていた。その人物とは…

 

「全く…うちの生徒に何してんだお前ら?」

 

 マギである。マギが亜子の前に立ちはだかり、リーダー格の生徒が投げた剛速球を受け止めたのだ。

 

「マギさん!!」

 

 亜子はマギが来てくれて嬉しくて声を上げていた。

 

「おお亜子大丈夫か?怪我は…してるけど大事ないか?」

 

「うんこんなの掠り傷や!マギさん助けてに来てくれてありがとう!!」

 

 亜子が大怪我をしてないのを見ると、一安心するマギ。

 

「ちょっとそこのアンタ!行き成り割り込んだ挙句に邪魔するなんて何様のつもりよ!!?」

 

 リーダー格の生徒が、行き成り現れたマギを指差しながら憤慨した。対するマギは自分の紹介をするのが面倒なのか欠伸をして頭を掻きながら

 

「ここ最近こいつ等2-Aの副担の教育実習をしている、マギ・スプリングフィールドだ。別に覚えなくてもいいぞ」

 

 知らないわよアンタなんか!!とマギに向かって怒鳴り散らすリーダー格の生徒。リーダー格の生徒の右隣に居る生徒が、リーダー格の生徒の肩を叩くと

 

「英子そう言えば中等部に子供の先生とその兄貴の先生が教育実習生として来たって噂があったじゃない。あれがその兄先生じゃないの?」

 

「嘘、あの噂って本当だったの?」

 

 リーダー格の生徒(名前は英子の様だ)が右隣に居た生徒とひそひそ話をしていた。マギはそのひそひそ話を見ていた。

 

「んで、如何してお前らはうちの生徒達にボールをぶつけるっていう暴力をふるったんだ?下らねえ理由だったら張ったおすぞ」

 

 マギの言った事に英子はハンと鼻で笑いながら

 

「決まってるじゃない。礼儀を知らないお子ちゃま達に目上に対する礼儀を叩き込んであげてるのよ」

 

 そんなくだらない理由にマギはハァァと呆れたような溜息を吐いて

 

「お前らなあ、礼儀を叩き込むのに暴力をふるうなんて馬鹿じゃねえのか。なに?お前の頭の中には脳みそが入ってないの?」

 

 とマギの呆れられた言い方にブチッと来た英子。

 

「いい気になるじゃないわよ教育実習生の分際で」

 

「いい気になってねえよ。なに勝手に怒ってるの?馬鹿なの?」

 

 と一触即発の雰囲気なってしまった。すると

 

「コラーッ!!君達待ちなさーい!!」

 

 と少し遅れてネギがやって来た。

 

「僕のクラスの生徒をいじめるのは誰ですか!?僕担任だし怒りますよ!!」

 

 と目には涙を浮かべて、腕をブンブンと振ってネギは怒っていたがいかんせん、涙目で怒り方も子供で威厳が無かった。英子達ウルスラの生徒達は、ネギが来て一瞬ポカンとしていたが次の瞬間

 

『キャアアァカワイイィィッ!!!』

 

 マギの事はほっといて、ネギに一気に群がった。

 

「此れが噂の子供先生!?」

 

「私が最初に抱っこする!!」

 

「私が最初よ!」

 

「ほっぺやわらかーい!!」

 

 とネギはウルスラの生徒達に頭を撫でられ、頬を触られ強く抱きしめられと違う意味で涙目になってしまっていた。それを見ていたマギは

 

「うわぁ…これ、どう収拾つければいいんだ?」

 

 と呟いていると、今度は新たな参戦者が現れた。

 

「いい加減におよしなさいオバサマ方!!」

 

 と誰かが英子の後頭部にボールを当てた。英子は誰が自分に当てて来たのかを見てみると、其処にはアスナとあやかが立っていた。

 

「事情はまき絵さん達から聞きましたわ!私の大切なクラスメイトを傷つけた挙句にネギ先生を汚そうとした行為!万死に値しますわ!!」

 

「今時先輩風吹かして物事通そうなんて頭が悪いんじゃないの!?とにかくネギを離しなさい!!」

 

「アンタ達神楽坂明日菜と雪広あやかね!ガキが調子にのんじゃないわよ!!!」

 

 と今度はアスナ&あやかvsウルスラ生徒達のリアルファイトが勃発しそうになった。ネギは如何止めていいのか分からずオロオロしており、マギは正直言うと面倒になってきたのだが、止めないともっと面倒になると判断して、止めようとしたその時

 

「――――相変わらず元気だな2人共」

 

 と誰かがアスナとあやかの襟をグイッと引っ張った。誰が引っ張ったかと言うと

 

「たッ高畑先生!!」

 

 そうタカミチだった。

 

「女の子が取っ組み合いなんてみっともないぞ」

 

「は…はい…」

 

 タカミチにそう言われ、すっかりと戦意喪失してしまったアスナ。

 

「君達も元だけど僕の生徒が悪かったね。でも…中学生相手にちょっと大人げなかったんじゃないかな?」

 

「い…いえ…はい」

 

 大人のタカミチそう言われ、何も言い返せずに英子はアスナ達を一睨みした後に、すごすごと退散していった。

 とりあえずは大問題にならないで済んだようであり。マギはタカミチに近づいてお礼を言った。

 

「悪いなタカミチ。とりあえずは助かったぜ」

 

「この位当然だよ。マギ君こそ最初に駆け付けたんだろう?」

 

 とタカミチにそう言われ、本当は散歩していて偶然遭遇したんだけどこの事は黙っておこうと思ったマギである。

 

「でも高畑先生!悪いのはあいつらなんですよ!?」

 

 とアスナがタカミチに講義をしたが

 

「それでもアスナ君が手を出したら負けさ」

 

 とそう返した。そんな遣り取りと何処か自分が何もできない事を悔しそうな表情になっていたネギを見て、マギは何も言わずにネギの頭を撫でた。

 

 

 

 

 午後の最後の授業2-Aは体育らしく、生徒達は教室で着替えていた。その中でハァァァと亜子が呆けていた。

 

「亜子如何したの?なんか呆けているけど」

 

 ハルナがアスナに聞いてみると

 

「なんかマギさんに助けられたんだって」

 

 と聞くと、ハルナはおぉぉぉぉぉぉと眼鏡を光らせ

 

「道理で亜子の体からラブ臭が…」

 

「笑みがいやらしいですよハルナ」

 

 ハルナがいやらしい笑みを浮かべていたのか、夕映がハルナにツッコんだ。

 

「なーなーアスナ、昼休みに何があったん?」

 

「ウルスラ奴らと場所の取り合い」

 

 このかが何があったのか聞いてみて、アスナが簡単に教えた。

 

「えー又ですか?」

 

「みんなやられてるよ」

 

 双子の風香史伽がそう言った。2人の話だと、ウルスラの特に英子の嫌がらせはしょっちゅうあるようだ。

 

「それにしても高畑先生はやっぱりすごいよね~~」

 

「うん」

 

「やっぱり頼りになるにゃ~」

 

 まき絵が事態を収束させたタカミチを賞賛して、アキラと裕奈が同意した。

 

「マギさんもカッコえかったなぁ~『うちの生徒に何してるんだ』…あれには痺れたわ~」

 

 亜子はマギのさっき言った事を思い出して復唱すると又呆けていた。

 

「でもネギ君はちょっと情けなかったかな~?」

 

「でも10歳だししょうがないじゃん」

 

 裕奈がネギの事をそう評価して、まき絵がふざけたように否定した。しかしネギの事を悪く言えば彼女が黙っていない。

 

「何ですの皆さん!散々ネギ先生の事を可愛がっていたくせに!!」

 

 ネギの事が大好きなあやかが裕奈とまき絵にそう言った。

 

「でもいいんちょ、もうすぐ私ら期末だし、色々と相談できるマギさんの方がいいなって思う時もあるって」

 

 亜子がそう言って、それも正論だと思い、何も言えないあやか。

 

「う~ん可愛さをのネギ君を取るか、頼りがいのあるマギさんを取るか…迷うな~」

 

 そんな事を悩んでいる裕奈を呆れたように見ていたアスナ。

 

「ほらほら今日は屋上でバレーでしょ?速く移動しよ」

 

 アスナがそう言い、皆で教室を出た。

 

「あぁお前ら漸く出て来たか。待ちくたびれたぜ」

 

 と何故かジャージ姿のマギが立っていた。

 

「マギさん!?なんでジャージ姿なの!?」

 

 アスナが何故マギがジャージ姿なのか聞いてみた。いやなとマギが

 

「お前らの体育を教えている先生が急用でお前らの授業を見る事が出来なくなったんだと。まあその代わりに、授業の無い俺とネギがお前らの体育を見ることになってな」

 

 だからジャージなんだよとそう言いながら、自らのジャージを引っ張ってそう言うマギ。

 

「そうだったんだ。あれ?そのネギは何処にいるの?」

 

 アスナがネギ居場所を聞いてみると

 

「ネギは先に屋上に向かったよ。他の生徒が来ない様に見といてくれってそう言っといていたよ」

 

 それじゃ行くぞ。とマギが生徒達を連れて、屋上へと向かった。

 

「だいたいこの学校って生徒数の割にコートの数が少ないんだから!」

 

「敷地ひろいくせにねぇ」

 

「そうそう」

 

 と屋上に行くまでに、裕奈達が学校の設備の不足に不満を言っていた。そして屋上に到着し、屋上のドアを開けると

 

「あらまた会ったわね、アンタ達。偶然ね」

 

 先程言い争った英子達ウルスラの生徒達が何故か居た。おまけに先に居たネギは良いように扱われていた。

 

「アンタ達何でこんな所に居るのよ!?」

 

 アスナが英子を指差しながら言った。

 

「私達自習だから、レクリエーションでバレーやるのよアンタ達は?」

 

「アタシ達だってバレーよ!」

 

「ふ~ん如何やらダブルブッキングの様ね」

 

 と何処かワザとらしくそう言う英子。そんな英子の態度にアスナ達はう~と唸る。

 

「ていうかネギはなんでそこで捕まってるのよ!?」

 

「い…いえお兄ちゃんとアスナさん達を待っていたらこの人たちが来て帰ってもらおうとしたんですが…」

 

 良いように扱われて今に至るようだ。

 

「とにかく今回は私達が先客よ。お引き取り願おうかしら?神楽坂明日菜」

 

 と英子がそう言っている間に、マギは英子が何で此処に居るのかを簡単に考えて、直ぐに結論を出した。

 

(こいつ等絶対ワザとだな。やる事が小さい奴らだなぁ)

 

 と呆れたように肩を竦めた。

 

「アンタ達ワザとでしょ!?アンタ達隣の校舎じゃない!こっちの屋上に来るなんて!!」

 

 アスナもワザとだと気づき、英子達を追い出そうとするが

 

「へぇ今度は言いがかり?さすがお子ちゃまよねぇ」

 

 といけいけしゃあしゃあとそう返した英子。これにはさすがのアスナ達も堪忍袋の緒が切れた様で、英子達に悪口を言って、それに英子達が頭にきてそれが火種となり、今度こそ取っ組み合いの喧嘩になるかと思った

 

「やめてくださいッ!!!!」

 

 何時もだったら大声を出さないネギが大声を出した事にアスナ達も吃驚して、足が止まってしまった。英子達もつられたように止まった。ネギ自身も自分が大声を出した事に驚いていたが

 

「どんな争い事でも暴力は駄目ですアスナさん!」

 

 何時もの幼さが無くなった、力強い目でアスナを見た。

 

「あ…うん」

 

 アスナも何時ものネギじゃないのに少し驚いて素直に従った。

 

(へぇ…成長したじゃねえか。ネギの奴)

 

 マギはそんなネギを見てニヤリと笑った。

 

「…ではこうしたら如何でしょうか?学生らしくスポーツで勝負を決めるんです。爽やかに汗を流せばいがみ合う事も無いと思うのですが…」

 

「いいわよ」

 

 ネギの提案を飲んだ英子達。

 

「面白そうじゃない。私達が負ければおとなしく出て行くし、今後昼休みにもアンタ達の邪魔しないわ。これで如何?」

 

 此れはとてもいい条件である。しかし問題があった。

 

「そんな事言ったって年齢も体格も全然違うやん!」

 

 亜子の言う通り、英子達とアスナ達では圧倒的に体格的にアスナ達が不利となる。

 

「確かにバレーじゃ相手にならないわね。じゃあドッジボールでどう?こっちの人数は11人でそっちは倍位の23人でかかってきてもいいわよ」

 

 但し…と言いながら、英子がネギを自分の方へ引っ張りながら

 

「もし私達が勝ったらネギ先生を教生としてそこに居るマギって奴を私達の奴隷として貰い受けるわよそれでもいいのかしら?」

 

 英子が言った事にアスナ達は騒然とした。自分達が負けたらネギとマギは英子達の物になってしまうのだ。そんな条件を聞いて、どうせ生徒の戯言だし実現される可能性は0に近いが、それでも奴隷になると言う想像をして、とても面倒だと思ったマギである。

 

「如何したの?負ける戦いはしたくないのかしら?」

 

 英子の分かりやすい挑発にアスナ達は一瞬だが戸惑ったが

 

「わッ分かったわ!それでいいわよ。でもアタシ達が勝ったら約束を守ってもらうわよ!!」

 

 アスナ達も条件をのんでドッジボールをすることになった。だがアスナ達は見落としていた。英子が不敵に笑っているのをそしてこの22人がとんでもない落とし穴だという事もバカレッドのアスナは気づく由もなかった。

 そして屋上にて聖ウルスラ女子高等学校11人と女子中等学校23人(ネギとマギを含む)によるドッジボールが開幕した。今回出なかった2-Aのメンバーと言うと、チアとして応援することになった。美砂と円と桜子に、体育座りしていたエヴァンジェリンに、その隣に居た10番の絡繰茶々丸が何処から持ってきたのか、簡易打ち上げ花火を打ち上げ、他にも18番の龍宮真名と15番の桜崎刹那に31番のザジ・レイニィデイと楓などが不参加だった。

 そして試合のホイッスルが鳴って、試合が開始された。ネギはこの試合が上手くいくか心配だったが、1度だけ読んだ日本のスポーツマンがで敵同士だった者同士がスポーツによって友となったというのを見て、若しかしたらそんな事が起こるかも知れないとそう妄想して、ネギは笑っていた。しかし妄想が現実になると言うのはほぼ有りえない。

 

 ボゴッ!!

 

「アイタッ!!?」

 

 行き成りネギの後頭部にボールが直撃した。

 

「コラッ!!足引っ張んじゃないわよネギ!!」

 

 アスナがボールをキャッチして、ネギはセーフとなった。

 

「うりゃッ!!」

 

 と今度はアスナがボールを思い切り投げ、英子に引けを取らない剛速球をウルスラ女子生徒の1人に当てる。ボールが当たり、アウトとなるウルスラ女子の1人。

 

「よろしいですわ!この喧嘩絶対勝ちますわよ!!」

 

「OK!!」

 

 何時は犬猿の仲のアスナとあやかがヤル気の様である。だから喧嘩じゃないのにぃ!!と涙目でツッコむネギ。このドッジボール波乱の展開となりそうである。

 

(なんでもいいから早く終わってくれ……)

 

 と何時もの通り平常運転のマギである。

 

 

 

 さてウルスラの方が減ってしまい、アスナ達が一段と有利となった。

 

「やったねアスナ!こういう時は頼りになる!!」

 

「これなら楽勝!一気にやっつけちゃおうよ!!」

 

 まき絵と裕奈がアスナとハイタッチをした。

 

「あううアスナさんこれは喧嘩じゃ…」

 

 ネギはオロオロとしながらアスナにそう言った。さっきのキリッとした顔は何処に行ってしまったのか、何時もの情けないネギに戻ってしまった。そんなネギを見てアスナは呆れながら

 

「アンタ邪魔だから隅っこに居なさい。怪我するわよ!」

 

 アスナにそう言われ、ネギは言われた通りに隅っこに向かった。

 

「このドッジボール絶対に勝たせてもらうわよ!年下だからって馬鹿にしていると痛い目に合うわよ!!」

 

 アスナは英子を指差しながらそう言うが、英子はまだまだ余裕の表情を崩していなかった。

 

「意外とやるじゃない。でも…まだ気づいていないようね。悪いけど子供先生と其処に居る男は私達の物ね」

 

 との事に、ネギは英子を怖がって震えていたし、マギはんなことねえだろ?と呑気に欠伸をしていた。と今度がウルスラ側の攻撃。ボールを持っているのは英子。

 

「いくわよお子ちゃま達!必殺!!」

 

 英子の必殺と言う言葉に恐れをなした数人が逃げようとしたが

 

「ああ!ちょっと!後ろに入れて!!」

 

「ちょっと押さないで!!」

 

 と皆がギューギューに押し詰められて、上手く動けない様子だった。そして

 

「それ」

 

 英子はさっきの気迫の混じったフォームではなく、余り力の入って無いスローボールを投げた。普通だったら避けられスピードのボールだが

 

「アダッ!?」

 

「イテ!」

 

「あう!」

 

 ハルナと風香に21番の那波千鶴の3人が一気にアウトになってしまった。アウトになってしまった3人はアスナ達に謝るとコートの外に出た。アスナはしょうがないわねーと呆れながら文句を言った。さらに英子の攻撃は続き、先程と同じような緩い球を投げて

 

「あッ嘘!?」

 

「あうー」

 

「ひゃう!」

 

「あ」

 

 と今度は和美に24番の葉加瀬聡美に28番の村上夏美30番の四葉五月がアウトになってしまった。

 

「ちょっと皆さん!さっきのと今のは大したボールじゃないでしょう!もっとよく見なさい!!」

 

 あやかはアウトになってしまった。者達に文句を言った。だけどいいんちょと和美が

 

「こんなにギューギューじゃ動けないって」

 

 和美のギューギューと言う言葉にアスナは数秒だけ考えて、もしかしてッ!?と何かに気づいた。

 

「ドッジボールって数が多いのは有利じゃなくて、ただ的が多くなって当てやすくなっただけ!?」

 

 それに気付きあやかと裕奈はガビーンと言う表情になった。

 

「お前ら今更気づいたのか?」

 

 マギは何処か呆れたようにそう言った。

 

「えッ!?もしかしてマギさんは最初から気づいてたの!?」

 

「あぁこっちが不利なのにお前らそんなでいいのかと思ってたんだけどな」

 

「気づいてたなら教えなさいよ馬鹿!!」

 

 アスナはキレながらマギに飛び蹴りをしたが、んなこと知るかとアスナの飛び蹴りを避けながらそう言うマギ。そんあ茶番劇を不敵に笑いながら見ていた英子。

 

「ふふふ…今更気づいてももう遅いわよ。そんなに子ザルたちが固まってたら動けるものも動けないでしょう」

 

 英子の策略にまんまとはまってしまったアスナ達は慌てはじめる。

 

「皆!固まってないで散り散りになって!的になっちゃうわよ!」

 

 アスナに言われた通りに散り散りに散開する2-Aの生徒達。だがその行為はある意味無駄で。

 

「そんなのとっくのとおに御見通しよ。次に狙うのは…どう見てもボールを取る気の無い奴!!」

 

「ヒャウッ!!!」

 

 と今度は後ろを向いて、逃げていた史伽にボールが後頭部に直撃した。

 

「ふッ史伽!?」

 

「ひッ酷いです!後ろからボールを当てるなんて!!」

 

 亜子が後頭部に直撃した史伽を見て悲鳴を上げ、ネギが英子に向かって酷いと訴えた。だがボールを当てた英子は知った事じゃないと言いたげに鼻で笑いながら

 

「後ろを向いてる奴が悪いのよ!次の的はそこのアンタよ!!」

 

 と今度のターゲットはのどかであった。ターゲットになったのどかは悲鳴を上げながら逃げようとしたが、どちらかと言うとトロイのどかは怖くなって動けなくなっていた。

 

「それ!これでアウトよ!!」

 

 英子はのどかに向かってボールを投げた。のどかもアウトになってしまうかと思いきや誰かがのどかを後ろに引っ張った。

 

「ほッ!」

 

 のどかを引っ張ったのはマギであった。マギはのどかを引っ張ると代わりに自分がボールをキャッチした。

 

「ま…マギさんありがとうございます」

 

 のどかはマギにお礼を言った。

 

「礼はいいぞ。後ろを向いていたら狙われるだけだぞ」

 

 裕奈達はマギのナイスキャッチを褒めた。

 

「さてとこれ以上良いように扱われるのは癪…だよな!!」

 

 マギは本気で投げると、英子達が怪我をすると思い、軽く投げた。軽くと言ってもかなりの速さのボールが英子に迫る。だが…

 

 

 バシィィィィッ!!

 

 

 英子はマギの投げたボールを何と片手でキャッチした。アスナ達はマギの投げたボールを片手でキャッチしたことに驚いていた。投げた本人であるマギは驚きはしなかったが、ピュウと軽く口笛を吹いて英子を賞賛した。

 

「ふん……これがアンタの実力?この程度で全力投球とは笑わせるわね」

 

 それでも結構痛かったのか、英子はキャッチした片手をブンブンと振っていた。別に全力出してないし、結構軽めだったんだけどな…と思ったが、言うのもメンドイ事になりそうだし、黙っておくか…とそう考えたマギ。そん事を考えている間に、英子が聞いてもいないのに話を勝手に進めた。

 

「そもそもアンタ達、子ザルの集団が私達に勝てるわけないのよ。何故なら私達の正体は………」

 

 そう言いながら英子とその他のウルスラの女子が制服を脱いだ。そして制服の下から現れたものは何かのユニフォームだった。

 

「ドッジボール関東大会優勝チーム麻帆良ドッジボール部『黒百合』だからよ!!」

 

 とアスナ達に黒百合のユニフォームをドーン!!と見せつけた。アスナ達は英子達が黒百合だと聞いて驚愕した…かと思いきや

 

「…高校生にもなってドッジボール部だなんて…」

 

「小学生の遊びとちゃうの?」

 

「関東大会もアイツ等しか出場して無かったんじゃないの?」

 

 アスナと亜子と裕奈がいつも邪魔や嫌がらせをしてきたのを仕返しするために、小声で英子達を馬鹿にしていた。ネギは純粋に英子達が凄いと思い、拍手で称賛していた。マギは何処が凄いのか分からずぼ~としていた。無論英子達に聞こえるように小声で話していたため、当然英子の耳に入るわけで

 

「う…うるさいわね!余計なお世話よ!!」

 

 顔を赤くしながら、アスナ達に怒鳴り散らした。

 

「この…子ザル達のくせに生意気な…!ビビ!しぃ!!アイツ等に見せつけるわよ!フォーメーション『トライアングルアタック』よ!!」

 

「了解!」

 

「任せて!!」

 

 英子に呼ばれたビビとしぃと呼ばれた生徒がそのトライアングルアタックと呼ばれるフォーメーションについた。

 

「トライアングルアタックだって…」

 

 アスナ達は英子がネーミングセンスが可笑しかったのか、声を出して笑っていた。ネギは如何動けばいいか迷っていると、ネギの前にあやかが前に出た。

 

「ネギ先生気を付けてください!ここは私が受けて立ちますわ!!」

 

 そう言いながら、あやかは優雅に笑いながら

 

「さぁ!かかってきなさいオバサマ方!2-Aのクラス委員長の雪広あやかが相手になりますわ!!」

 

 あやかは英子達を笑いながら挑発した。しかしその挑発は不発に終わり、あやかはあっさりとアウトになってしまった。

 

「く…パスの軌道が読めませんでしたわ。トライアングルアタック…一体どんな陣形だったのですの?」

 

「「いやだから三角形(トライアングル)やん」」

 

 あやかの呟きにこのかと亜子が突っ込んだ。ようはこのトライアングルアタックと言うのは相手を3人で囲みパスを回して相手にボールを当てると言うただそれだけなのだ。しかしそれでもアスナ達には脅威となっていた。今度は千雨と9番の春日美空がアウトとなって遂には、数が2倍あったのが残りの人数が11人となってしまった。

 

「あっという間にハンデ分追いつかれてもうた」

 

「私達このままじゃ負けちゃう?」

 

 亜子とまき絵がこのままでは負けてしまうのではないかと思い、不安になってきた。

 

「ふ…残ったのはチビとトロそうなのばかりね…次のターゲットはアンタよ神楽坂明日菜!」

 

 英子は勝利を確信したのか、余裕な態度でアスナを指差した。

 

「しぃ!今度はアレを(・・・)やるわよ!!」

 

 英子にアレと言われ、しぃは英子に向かって空高くパスをする。英子は空高くジャンプした。

 

「必殺!!太陽拳!!」

 

 そう叫びながら、アスナに向かってボールを放とうとする。アスナはボールをキャッチしようとしたが

 

「なッ!?太陽を背に!!」

 

 そう、英子の背に太陽が重なり、英子の姿をちゃんと視認できなかったアスナ。そしてアスナがボールを視認できずに、英子はボールを放った。そして

 

 

 バシッ!!

 

 

「あた!?」

 

 アスナの背にボールが当たった。これでアスナはアウトになってしまったのだが、なんと英子は戻ってきたボールを又アスナに向けると

 

「もう一撃!!」

 

 アスナにもう一回ボールを当てようとした。アスナはギュッと目を瞑って痛みに耐えようとしたが

 

 

 バシィィィィィィィィンッ!!

 

 

 ボールが弾かれる音が聞こえ、アスナはゆっくりと目を開くと其処には…

 

「イテテテテテテテ…二度も当てるのは卑怯じゃないのか?」

 

 マギがアスナに向かってきたボールを弾いたようで、手をブンブンと振りながら、英子にそう言った。

 

「フン!おだまり!!どんな汚い手を使ってでも勝!それが『黒百合』のポリシーなのよ!!…アンタはボールを弾いただけでキャッチしてないから残念だけどアンタも一緒にアウトよ」

 

「あッアスナさん!大丈夫ですか!?」

 

 ネギはアスナの怪我を心配して、駆け寄った。

 

「別に平気よ。ほんの掠り傷だし。そんな事よりもマギさんアタシのせいでアウトになっちゃって」

 

 アスナは申し訳なさそうにマギに謝ったが、マギは別に気にすんなと笑いながらそう言った。

 

(むう…あのお姉さんたち、今のはわざとやったな!今のは余りに酷いです!こうなったら…)

 

「ラス・テルマ・スキル…」

 

 ネギは魔法を詠唱し始めた。今のは許される行為ではないと思い、少し懲らしめようと思った。英子達は行き成り暴風が起こり戸惑い始めた。と詠唱が終わろうとしたその時

 

 

 スパァァァァァァァァンッ!!

 

 

 マギが何処からか持ってきた何時も所持していたハリセンでネギを叩いた。

 

「お兄ちゃん何で止めるの!?」

 

 ネギは如何やら納得がいかなかったようで、マギに抗議しようとしたが、今度はアスナが余計な事をしないでよとそう言った。

 

「そんなことしたらアイツ等と同類じゃない。自分で言ってたでしょ?スポーツで勝負するって」

 

 そうだぜネギとマギが続けて言った。

 

「スポーツでずるして勝利してもこいつ等は嬉しくねえはずだぜ?正々堂々と行こうぜ?……お前は男なんだしよ」

 

 マギにそう言われ、ネギは直ぐに魔法に頼ろうとした自分が恥ずかしくなった。遂に主力であるアスナとマギが居なくなり、亜子たちは絶望しかけていた。

 

「おいテメェ等…悔しくはねぇのかよ」

 

 マギの一言に亜子たちはえ?と一斉にマギの方を見た。

 

「悔しくはねぇのかよって聞いたんだ。あんな卑怯な手を使って勝とうとするアイツ等に言い様にやられて悔しくねぇのかよ。それにアスナが居なくなって何勝手に絶望してるんだよ?テメェ等はまだ負けたわけじゃねぇだろ?最後までテメェの力を信じて戦おうとしないで如何するんだよ?…俺はテメェ等が卑怯な手しか使わないアイツ等に勝てるって信じてるぜ」

 

 そう言い残して、マギはコートを去って行った。

 

「お兄ちゃんの言う通りです!それにさっきも言ってたじゃないですか!後ろを向いてたら狙われるだけだって!前を向いてればボールをとれるかもしれないですし、諦めないで頑張りましょう!!」

 

 亜子達は黙ってネギの言った事に耳を傾けていたが、数秒後には

 

「そうだね!負けたらネギ君とマギさんがアイツ等に取られちゃうもんね!!」

 

「このまま、なめられたままじゃ終われないよ!!」

 

 と2-Aの士気を取り戻した。そんなネギを見てマギはニヤリと笑った。何人かの生徒はネギの見方を改めていた。

 

「フフ…今更無駄な事よ。もうアンタ達の負けは決まっているのよ。そこのアンタの奴隷も確実ね。ねえどんな格好がいい?私達も悪魔じゃないから執事服ぐらいは着せてあげるわよ」

 

 英子はもう勝利を確信しているようで、マギを指差しながらそう言った。マギはお断りだぜと笑いながらそう言うと

 

「言っとくがこいつ等が本気を出したらテメェらが勝つ確率は0%だぜ。断言してやってもいい」

 

 とマギの余裕の表情が気に食わない英子。

 

「ふ…ふん!そもそも女子中学生が女子高校生に立てつこうとしたのがそもそもの間違い…」

 

 と英子が強がりを言おうとしたその時

 

 

 ピピ~ッ!!

 

 

 と行き成りホイッスルがコート中に鳴り響いた。

 

「5秒ルールです!!公式ルールブックによると5秒以上ボールを投げずに所持していると反則です!!」

 

「よってボールを此方に渡してくださいです」

 

 ホイッスルを吹いたのは如何やら夕映で、のどかがドッジボールのルールを説明しながら、ボールを此方に渡せと要求する。

 

「なッ!?ルールブックを持っていないで適当な事言わないでよ!!」

 

「この素人が!!」

 

 ドッジボール部の2人が夕映とのどかにそう叫んで訴えた。それなら大丈夫ですとのどかがドッジボール部の2人に何か本を見せた。その本の題名はと言うと『体育のルールブック集』

 

「ルールブック集なら持ち歩いています」

 

 と証拠の本を見せ、ナイス本屋ネと19番の超鈴音が用意周到なのどかを褒めた。マギがそのルールブック集のドッジボールの項目を見てみると確かにのどかが言っていた反則が乗っていた。

 

「おお確かに乗ってるな。まさかテメェ等ドッジボール部なのにルールを知らなかったのか?」

 

 図星だったのか、英子達は滝のような汗を流し始めた。

 

「か…勘違いしないでよね!そんなルール位知ってるに決まってるでしょ!ハンデよハンデ!負けが決まってるアンタ達にチャンスを与えようと思っただけよ!!」

 

 そう言い訳を言いながら、英子は近くに居たアキラにボールを渡した。2-Aの反撃が今始まる。

 

「アキラさんお願い」

 

「うん…任せろ」

 

 そう言い、アキラの投げたボールは油断していた一人をアウトにした。

 

「こ…この!いい気になるんじゃ…!」

 

 ボールを拾ったウルスラ側の生徒が今度は亜子に狙いを付けた。かなり速いボールが亜子に迫るが

 

「むむッ!!…えーい!!!!」

 

 なんと迫ってきたボールを逆に蹴り返して、逆にウルスラ側をアウトにした。弾丸ボレーシュートである。

 

「おお!流石サッカー部!!」

 

 裕奈が亜子をGJとサムズアップをした。ウルスラ側をアウトにしたボールが、2~3m程空高く上がっていた。

 

「よぉし!それなら私も!!」

 

 と裕奈が空中に浮かんでいるボールに向かって驚異的なジャンプ力を見せ、ボールを楽々とキャッチすると

 

「ダンクシュート!って違うかー!!」

 

 落下のスピードを兼ねた速いボールが又相手の1人をアウトとした。裕奈が所属してる部活はバスケットボール部。これぐらいのジャンプは余裕である。

 

「こ…この調子に乗るんじゃ…!!」

 

 英子は自分達のコートに戻ってきたボールをキャッチしようとしたが

 

 

 シュルシュルシュルパシィッ!!

 

 

 ボールがリボンの様な物で捕まってしまった。それをやったのはまき絵であった。そしてまき絵はリボンで掴んだボールを

 

「えい!えい!えーーい!!」

 

 とまるで奴隷闘士が使うような鎖で繋がれた鉄球の如く振り回して、一気に3人をアウトした。

 

「凄いまき絵!流石新体操部!!」

 

「ちょっと!そんなの卑怯よ!!」

 

 英子がまき絵のやってる事に卑怯だと叫んだが、何言ってるんだ?とマギがそう言い、ニヤリと笑うと

 

「卑怯?馬鹿言ってるんじゃねえよ。こいつ等はテメェ等に勝つために、自分が今持ってる力を精一杯使ってるんだ。卑怯な手を使ってまで勝とうとするテメェ等よりよっぽどましだぜ」

 

(と言っても流石にリボンは駄目だろうけど…まッいいか一々言うのも面倒だし)

 

 流石にまき絵のリボンは行き過ぎだと思ったが、言うのは野暮だと思ったマギである。そのご古菲と超のダブルチャイナアタックと言う技でも何人かアウトにしそして

 

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 授業の終了のチャイムが鳴り響いた。試合終了である。そして結果はと言うと

 

「試合終了!勝負の結果はウルスラ残り人数3人!麻帆良女子中学残り人数10人!よって勝者は麻帆良女子中学!!」

 

「やったー!!」

 

「勝った!!」

 

 2-Aの生徒達は自分達の勝利を喜んだ。

 

「そ…そんな。私達が負けた…?」

 

 残っていたのは英子ビビしぃの3人であった。英子は自分達が女子中学生に負けたのが信じられなかった様だ。

 

(くそ…もとはと言えばあの女が出しゃばるから…このままでは済まないわよ神楽坂明日菜!!)

 

 英子はアスナを睨むと、持っていたボールを大きく振りかぶると

 

「まだロスタイムよ!神楽坂明日菜!!」

 

 叫びながらアスナに向かってボールを投げた。アスナは裕奈達と勝ったのを喜んでいて、ボールが向かっているのに気付いていない。

 

「危ないアスナさん!!」

 

 ネギは身体能力増強の魔法を使いアスナを護るように飛び出した。アスナはえ?と言いながら振り向くと自分にボールが向かって来ているのに気付いたが、アスナは避けようとするが間に合いそうもなかった。ネギはアスナを庇うように前に出たが、今度はネギはボールに当たりそうになった。あやかやまき絵が悲鳴を上げながらネギの名を叫んだ。ボールがネギに当たろうとしたその時

 

 

 バシィィィィィィィィィッ!!

 

 

 マギがネギとアスナの前に立ち、ボールを受け止めた。ネギとアスナはあ……と呆けながら、マギを見た

 

「ネギ、自分の事を顧みずに女を護ろうとするなんて男になったじゃねえか。それと怪我はねぇか?『アスナ』」

 

 とマギがアスナの方を見ながら、アスナが無事かどうか尋ねた。その時又アスナの頭が一瞬だけズキリと痛くなった。

 

 アスナは前にもこう誰かに護られたような気がした。マギと顔がよく似た男に…

 

(な…なによ今の…?)

 

 アスナは自分が知らない記憶に戸惑っていたが

 

「う…うん大丈夫」

 

 と頷きながら、自分は大丈夫だとマギにそう言った。マギはそうかと頷くと英子の方を見た。

 

「もう勝負はついたじゃねぇか。それなのにまだ難癖つけてくるのかよ?メンドクセェ女だな」

 

 マギは面倒そうな目で英子を見た。五月蝿い!と叫びながら英子はマギを指差した。

 

「まだ私達が残ってるわよ!勝負はまだついてないわよ!!」

 

 …あこいつ等本当にメンドクセェ。だんだんムカついてきたマギ。ネギはビクッとした。マギが少し怒っているのに気付いたからだ。

 

「…分かったよ。じゃあ俺が今から本気で投げるからテメェが其れを取れたらテメェ等の勝にしてやるよ」

 

 マギの提案にアスナ達はちょっと待って!とマギにツッコんだ。

 

「ちょっと何勝手な事言ってんのよマギさん!もしアイツがボール取っちゃたらアタシ達の勝ちが無駄になっちゃうじゃない!!」

 

 アスナの言った事にマギは大丈夫だとそう言った。

 

「だって絶対に取らせるつもりなんかないからな」

 

 とアスナにニヤリと笑った顔を見せたマギ。

 

「ほら!さっさと投げなさいよ!アンタのボールはさっき取って見せたから楽勝よ!!」

 

 英子はさっきマギが投げたボールが本気だと勘違いしているようだ。だが其れは大きな計算外だ。なぜなら

 

「何言ってんだ?さっきの俺は本気のほの字も出してねぇぞ(・・・・・・・・・・・・・)

 

 マギが投げるフォームをしている時に、英子はマギの目を見て恐怖した。

 

「そら」

 

 マギがボールを投げた瞬間に英子はヒィッ!短い悲鳴を上げながら右に飛んで避けた。それが正解だろう

 

 

 

 グォォォォォォォォォォッ!!ドガァァァァァァァンッ!!

 

 

 

 ボールが出す音ではない音を出しながら、剛速球という言葉が生ぬるいほどのボールが、屋上のドアの横のコンクリートの壁に直撃し轟音を上げた。英子達はボールが当たったと思われる場所を恐る恐る見た。

 そこにはコンクリートの壁がひび割れ、へこんでいて未だボールが回転していた。そしてマギはボールが完全停止するのを見て、ボールに近づくと壁からボールを引っこ抜いてボールを持つと英子の方を見て

 

「まだ………やるか?」

 

 マギがそう訪ねると、英子達は

 

『ヒィィィィィィィッ!?ごッゴメンナサァァァァァァァァイッ!!』

 

 情けない悲鳴を上げながら我先にと屋上から退散していった。これでもう英子達はアスナ達に嫌がらせをすることは無いだろう。それよりもマギはヤバいと思った。

 

(やべぇ…勢い余って壁壊しちまった。これ絶対ジーさんに怒られる)

 

 と思っていたが、それを気にしてる間に、マギの周りにアスナ達が集まって来た。

 

「すごいマギさん!今のボール!!」

 

「高等部の奴ら情けなく逃げてやんの!!」

 

「マギお兄ちゃん凄かったです!!」

 

「かっこいい!!」

 

「ネギ君もカッコ良かったよ!!」

 

「アスナさんを護ろうとしたネギ先生は凛々しくてすてきでしたわ!!」

 

 と史伽や風香がマギに抱き着いて来たり、まき絵やあやかがネギを胴上げしたりと勝利を喜び合った。

 

「…あら…うまくいったみたいね」

 

「はははでもアレを見ると、先生と生徒と言うより、頼りがいのあるお兄さんとカワイイ弟と言った方がいいかもしれませんね」

 

 高等部との騒動を聞いてきたしずな先生とタカミチが一足遅く屋上に来て、ネギとマギ達を見てそう感想を述べた。

 

 

 

 

 

 その後マギが屋上の壁を壊した件についてだが、新田先生には厳しい説教と指導をしてもらい、学園長には今までの高等部の嫌がらせがあったため、今回は不問とし厳重注意となり、弁償もクビも無かった。余談であるが

 

「え?俺がドッジボール部に?やだよメンドイ」

 

 英子達ドッジボール部がマギの投球にほれ込んで、ドッジボール部にスカウトしたが、マギのメンドイと言う一言で丁重にお断りしたそうだ。




次章からはは期末試験の話ですが、今回は話が原作と大きくそれる予定です
原作ではまだまだ先のキャラが出たりあれが出たりと……
それと次章からは魔法とバトル色が強くなります

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