どうぞ
早朝の4時とある新聞配達の会社にて
「それじゃ行ってきます!!」
新聞が沢山入った袋を持っているアスナが元気な返事をしながら、配達に向かおうとしていた。
「おう、気を付けてなアスナちゃん!」
配達会社の主人がアスナに向かってそう言う。そのすぐに、その主人の奥さんらしい人が慌てて走ってきた。
「ちょっと大変よアンタ!大山君が風邪ひいたらしくて今日は配達できないって!!」
それを聞いて慌てる主人。
「何だって!?最近風邪が流行ってるらしいしなー困ったな、今代わりに配達に行ってくれる人がいないか頼んでみるか」
と主人が困っていると
「あのだったらアタシが配達に行ってきましょうか?」
とアスナが代わりに配達に行くと言った。そして風邪を引いた大山君が配達する分の新聞が入っている袋を肩に掛けるアスナ。流石に重いなと思ったアスナ。
「本当に大丈夫かいアスナちゃん?無理しなくていいんだよ?」
と主人が心配そうにアスナに尋ねるが、アスナは平気そうに笑うと
「大丈夫です!アタシ体力には自信がありますから!任せといてください!!」
そう言い終えるとアスナは、今度こそ新聞配達に向かって行った。
「いやーアスナちゃんはいい子ね。うちの娘に欲しいくらいね」
「全くホントだなー」
アスナを見送った主人と奥さんはアスナに感心しながらそう言っていた。
順調に新聞配達を続けているアスナ。途中で早朝にパトロールを行っていた2人の警官に挨拶をしたりなど、この地域でのアスナはある意味有名人の様だ。
「ふぁ~…眠いな~やっぱり早朝のバイトはキツイわね」
アスナは大欠伸をしながら、そう呟いた。
「とと、いけないいけない!自分からやるって決めたのに、キツイなんて言っちゃダメでしょ!」
と自分自身を叱りつけてやる気を出すアスナ。
「とは言っても、やっぱりちょっと重いな。時間通りに運び終えるかな?」
とよろけながら、新聞の入った袋を見ながら全部時間通りに運べるか心配になってしまったアスナ。
「――――乗って行きますかアスナさん?」
不意に頭上からネギの声から聞こえ、アスナは上を見上げた。
「おはようございますアスナさん。朝早くご苦労様です」
何時も持っている大きな杖に座っているネギと、同じくネギの杖に座っていて、大きな欠伸をしながら目を擦っていたマギが居た。アスナは驚きを隠せなかった。何故ならそのネギとマギが杖に乗って空を飛んでいたのだ。
「あアンタ空飛べたの!?」
アスナが驚いている間にネギは普通にマギは未だ眠いのか危なっかしそうに杖から降りた。
「ええ今からアスナさんの新聞配達を手伝おうと思いまして、お兄ちゃんと一緒に来たんですよ。この杖結構速いので新聞配達も早く終わりますよ」
ネギの手伝うという言葉にアスナは顔を輝かせていた。と言うよりネギが杖で空を飛んできたのに顔を輝かせていたと言っていいだろう。
「さあ乗って下さい」
「え?でもアンタ魔法がバレルと不味いんじゃないの?」
「大丈夫ですよ!さ早く乗って下さい」
とアスナに杖に乗るように言うネギ。アスナは最初はちょっとビクついていたが、自分も空が飛べるという事でお言葉に甘えて乗る事にした。
「さ!行きますよ!!」
遂に浮上すると分かると、アスナは興奮で顔を輝かせていたが。だが…
「ちょっと、全然飛んでいないじゃない!」
「あ…あれ?」
さっきまでと違い、たった50~60㎝位しか飛んでいなかった。ネギは如何して飛ばないか分からないようであったが、マギが
「なあネギ、お前重量オーバーって事考えていたか?」
マギの言った事にネギは、あ…と如何やらネギはそこの所を考えてなかった様だ。それを聞くと、アスナは黙って杖から降り、又新聞配達を続けようとしたが、まあ待てよとマギがアスナの腕を掴んだ。
「離してよ!アンタ達と馬鹿やってるせいで新聞が時間通りに配達できないじゃない!!」
アスナは興奮してマギに怒鳴っていたが、まあ落ち着けってと大欠伸をしながらマギが呑気に言った。
「お前この前言っただろ?弟の責任は兄である俺の責任だってな。少し荒っぽいが空の新聞配達を体験させてやるよ」
マギの荒っぽい空の新聞配達と言う言葉にアスナは首を傾げたが、マギは気にせず集中し始めた。マギの体は淡く発行し始めた。アスナはマギが淡く発行し始めたのを見て息をのんだ。
「マギウス・ナギナグ・ネギスクウ!堕天使の翼よ!罪深き我の背中に汝の翼を与えたまえ!!
マギの詠唱が終わると、マギの背中から黒い翼が現れたのを見て、アスナはさっきよりも興奮した。
「凄い凄い!マギさんどうなってるのその羽!?」
「この羽は俺の魔力で練った羽だ。別に俺の体の中に入ってるわけじゃねえからな」
マギの説明を聞きながらも、アスナは黒い羽を触ったりしていた。
「さてと…無駄な時間を過ごすのはもうお終いだ。新聞配達を再開しようぜ?」
そう言いながらマギは、アスナを御姫様抱っこで持ち上げた。
「ええッ!?ちょマギさん!?なんでこんな形で…」
アスナは男性にこんなお姫様抱っこをされた事が今まで無かったために恥ずかしいようだ。
「いやな、羽があるからお前をおんぶするのは無理だから、この体勢が一番楽なんだよ。まあそんな事は置いといて、飛ぶぞ。舌噛まない様に気よ付けろよ」
そう言うと、マギは羽を羽ばたかせて一気に上昇した。アスナは一気に上昇するのにびっくりして、目をつぶっていた。
「ほら目え開いても良いぞ」
マギにそう言われ、アスナはゆっくりと目を開かせた。
「…凄い」
アスナは余りの凄さに絶句してしまった。まだ朝日が昇りかけの暁の光が、家々を淡く照らしていた。いつも見ている風景だが、何だか幻想的に見えてしまったアスナだった。
「如何だ?空を飛んでみた感想は?」
マギがニヤリと笑いながら、アスナに感想を聞いてきた。アスナはマギの笑顔を見て、顔を赤くしながらも
「うん!スゴイ!!空を飛ぶってこんなに気持ちいいんだ」
アスナはとても楽しそうだった。
「お兄ちゃん待ってよ!!」
ネギが遅れて杖で飛んできてマギ達の元に来た。
「おいネギこれ!」
とマギがネギに何かを投げてきた。ネギは落とさない様にしっかりキャッチした。キャッチした其れは、新聞が入っていた袋だった。
「さっきアスナを乗せて飛べなかったお詫びだ。ネギお前がその新聞を配達してやれ」
「分かった!僕が責任を持って新聞を配達をするよ!!」
「んじゃさっさと新聞配達なんてメンドイ事は終わらせちまおうぜ!」
そして、空飛ぶ新聞配達が始まった。新聞配達はいつもの半分以下の時間で配達が終わった事に、主人と奥さんに不思議そうな顔をしながらも、褒められたアスナであった。
昼の12時の職員室、ネギとマギの席。マギは早朝の新聞配達が今に応えのか、机に突っ伏しながら仮眠をとっていた。対するネギは上機嫌に鼻歌を歌っていた。
「アスナさんにありがとうって言われちゃった。やっぱり手伝いに行ってよかったな」
ネギは新聞配達が終わった後に、アスナにありがとうと言われたのだ。いつもアスナに怒られてばっかだったため、ありがとうと言われるのは嬉しかった。でも…と急にネギは表情を暗くした。
「今日のはお兄ちゃんが居たから上手くいったんだ。もし僕だけだったら…」
そう今日の新聞配達はマギがフォローしてくれたから無事に上手くいったのだ。もしネギ1人だったら又アスナを怒らせていただろう。
「僕ってお兄ちゃんが居ないと何にも出来ないのかな?やっぱり10歳の僕に先生なんて無理なんじゃ…」
その想いが頭を過り、ふと自分の杖が自分の目に写り、何も考えずに杖を持った。するとさっきまでの甘い考えが何処かへ無くなっていくような気がした。
「いや!やっぱり頑張らなくちゃ!こんな所でクヨクヨしてられない!!」
と新たな決意をしたネギ。
「その意気ですわネギ先生」
と行き成り後ろからしずな先生の声が聞こえ、ネギはビクッとした。
「うわ!しずな先生こんにちわ!何でしょうか!?」
ネギはしずな先生に自分に何の用かを聞いてみた。
「実は前担任の高畑先生から預かっていた『2-A居残りさんリスト』を渡しに来たんですよ」
とそのリスとなるものをネギに渡した。と丁度仮眠をし終えたマギが大欠伸をしながら起き上がった。
「んあ?しずな先生か…コンチワ。今ネギに何渡したんスか?」
マギは口から涎を出しながら、しずな先生に聞いてみた。口から涎が出でいますわよとしずな先生に言われ、マギは慌てて涎を拭き取った。
「ネギ先生に今渡したのは居残りさんリストと言って、高畑先生が月に1度位に小テストを行って、余りにも得点が低い生徒には放課後に居残りの補習授業をしていたんですよ」
としずな先生の説明にやっぱりタカミチは真面目だな~と思ったネギとマギ。
「それで、これに居残りのメンバーが書かれていますわ」
としずな先生がメンバーのリストを見せてきた。どれどれとそのリストを見るネギにマギ。誰がリストに入っているというと
4. 綾瀬夕映 第7回8点 第8回14点
8. 神楽坂明日菜 第7回6点 第8回8点
12. 古 菲 第7回12点 第8回14点
16.佐々木まき絵 第7回8点 第8回10点
20.長瀬 楓 第7回6点 第8回9点
と彼女達が居残りの生徒の様だ。その中にアスナの名前が載っているのを見て、ネギは吹き出してしまった。
「そっかアスナさん勉強苦手って言ってたもんな」
「て言うかアスナ以外も点数が悪い奴が結構いるんだな。これじゃアスナの事を笑えないんじゃないか?」
まあその中でもアスナさんは居残り補習を楽しみにしていたんですけどね。としずな先生がそう言った。
「でも…もう3学期だし、赤点が取る生徒が出ると実習生としても問題ありですよ」
としずな先生にそう言われ、ネギはウッと言葉を詰まらせ、うへぇ~と情けない悲鳴を上げたマギ。
(う~ん困ったな…)
とネギが居残り補習をやるか迷っていると、マギがしずな先生に
「しずな先生、これって俺がやる居残り補習の授業ってあるんスか?」
と聞いてみた。その質問にしずな先生は
「恐らくないんじゃないかしら?高畑先生の担当が英語だったから、歴史の補習は無いと思うのだけれど」
としずな先生の話を聞いて、ンじゃ俺はそのメンドイのをしなくて済むのか~とマギの言葉を聞いて、ネギはこれはチャンスだと思った。
(お兄ちゃんの力を借りないで、アスナさんの役に立てるかもしれない…!)
「分かりました!その居残り授業、僕が引き受けます!!」
ネギは強い決意でそうしずな先生に言った。
放課後の2-A
「…という訳で、2-Aのバカレンジャーがそろったわけですが」
「誰がバカレンジャーよ!誰が!!」
夕映の言ったバカレンジャーと言う物にアスナが憤慨しながらツッコんだ。さっきから言っているバカレンジャーと言うのは、別に悪の組織と戦う正義の戦隊という訳でなく、ただ2-Aの勉強が苦手なアスナに夕映に楓に古菲とまき絵の5人を合わせて、バカレンジャーと呼んでいるのだ。因みにアスナがバカレッドで楓がバカブルー。古菲がバカイエローで夕映がバカブラック。最後にまき絵がバカピンクとされている。
「いーのよ別に補習なんかしなくても!この学校ってエスカレーター式で高校まで行けるのよ」
としずな先生がアスナはどちらかと言うと、補習授業を楽しみにしていたと言っていたが、それはタカミチと一緒に補習が出来たからで、ネギが補習の先生だとやる気にならないのであろう。ネギはアスナがやる気を出さないのに困っていたが、ある事を言った。それは…
「でもアスナさんの英語の成績が悪いとタカミチも悲しむだろうなー」
とタカミチを餌にしてアスナをやる気にさせようとする。アスナもタカミチの名前を聞いて、ウッと苦虫を噛み潰した顔になった。
「分かったわよ。やればいいんでしょやれば!」
と渋々ながらも補習授業をやると言ったアスナにほっとしたネギ。ところでだが…
「なんでお兄ちゃんが此処に居るの?」
そう教壇にマギがグデ~していたのだ。ネギになんで此処に居るのかと聞かれ、マギはんあと間抜けな返事をしながら
「本当だったら全部お前に任せるつもりだったんだがな、しずな先生が『ネギ先生はまだ子供だから、補習授業は大変かもしれないから見ていてあげて下さい』ってさ。こちとら早く帰れると思ったのに…めんどくせえなあ…」
とブツブツと文句を呟いていたマギ。
(そんなあ、やっとお兄ちゃんの力を借りずにアスナさんの役にたてると思ったのに…)
とネギが落ち込んでいたが
「まあ英語は俺の教える教科じゃねえからな、全部ネギに任せるわ。頼んだぞネギ」
マギの頼んだという言葉にネギは顔を明るくした。マギに頼まれるなんて滅多にないからだ。
「うん!僕に任せといてお兄ちゃん」
とやる気になったネギは、アスナ達に小さなペーパーテストを配った。
「それではこの10点満点の小テストをやってもらいます。6点以上取らないと帰っちゃダメですからね」
とネギの言った説明にはーいと返事をするアスナ達。
「では始めて下さい!」
と開始の合図で、小テストを始める。
――――――――3分後―――――――――
「出来ましたです」
と言いながら、夕映が小テストをネギの元に持ってきた。
「え!?もうですか!?」
ネギは流石に驚いた。まだテストを始めて3分しかたってないのにもう終わってしまったのだ。とりあえず終わったのだから採点をするネギ。そしてテストの採点が終わり、更に驚いた。
「凄い夕映さん10点中9点!合格です!!」
なんとたった一回でほぼ満点の点数を出した夕映。
「なんだ夕映、お前やれば出来るんじゃねえか」
とマギが夕映にそう言うと
「…勉強はキライなんです」
と言い、マギとネギは成程と思った。夕映は頭いいが、勉強が嫌いなため成績が悪いのだと。
「失礼しまーす!夕映を迎えに来ました!!」
「ほ…補習授業お疲れ様です」
ハルナとのどかが夕映を迎えに来た。のどかは何故かマギに会釈をした。俺が補習授業してるじゃねえだけどな…と思いながらも、おうご苦労さんと手を振るマギ。
「ちゃんと勉強しなよ夕映」
「やーだ」
まいっか、帰りに本屋によってこーと言いながら夕映達は教室を去って行った。
「出来たアルよー」
「ネギ君出来ましたー!」
夕映達が教室から出た数分後に古菲とまき絵に楓がテストを持ってきた。ネギはさっそく3人の採点をしたが、採点を終えるとネギは苦い顔になった。マギは3人の点数を覗き見てうわぁ~と思った。
「楓3点、古菲4点まき絵は3点って…」
3人は自分達の点数を聞いてテヘヘと笑いながら頭を掻いていた。
「あれ?アスナさんは?」
ネギはまだアスナからテスト用紙をもらってないので、終わったか聞いてみた。
「…」
アスナは黙ってネギに答案用紙を渡した。そして採点を始めたが、直ぐに終わった。アスナの点数はと言うと
「2点…」
というびりっけつな点数をとってしまった。ネギとアスナの間に気まずい空気が流れる。
「じゃッじゃあポイントだけ教えますね!!終わったらもう一回やってもらいますから!!」
ネギは気まずい空気を払拭するために、ポイントを教え始めた。はーいとまき絵が元気よく返事をする。そしてネギが分かりやすく解説した。
「えーとアスナさん、ここはですね…」
当のアスナはやはり年下のネギに教えられるのは屈辱的のようだ。アスナに教えてる間に古菲が出来たアルよ!と言いながらネギに答案用紙を渡した。その数秒後に楓とまき絵が答案用紙を持ってきた。
「古菲さんと楓さん、どちらも8点で合格です!!」
合格と言われ、喜んだ古菲と楓。どうやら彼女らもやり方が分かると頭の回転が速くなるようだ。帰り支度をしながら古菲が
「ワタシ日本語を勉強するので精一杯なのアルよ」
と笑いながら言う古菲。聞けば古菲は中国から日本へ留学中なのだそうだ。確かに古菲の日本語には少し訛りが強いと思うネギである。日本語の勉強頑張ってくださいと古菲にそう言いながら、さようならの挨拶をした。
「まき絵さんは6点でギリギリ合格です」
「えへへへバカでゴメンね、ネギ君」
まき絵は笑いながら、ネギの頭を撫でた。残るはアスナだけだが、さっきと同じように黙って答案用紙を渡してきた。アスナの答案用紙を採点をしてネギは固まった。ネギが固まったのを見て、マギはアスナの答案用紙を見てみた。そしてネギが固まった理由が分かった。
「今度は1点かよ」
とさっきより悪くなっていた。
「…だッ大丈夫ですよ!!コツさえ分かれば合格なんて直ぐなんですから!!僕やお兄ちゃんだって日本語を3週間ぐらいでマスターしましたから!丁寧に教えますから今度こそ合格しますから!!」
ネギはアスナを励ましながら、さらに分かりやすく黒板に書きながら教えた。アスナはさっきより屈辱的で体を震わせていた。そんなネギとアスナを見てマギはこう思った。
――――――――――――これ絶対帰るの遅くなるだろうなぁ―――――――――と
そして夕日がきれいに空を照らし、カラスが何羽かがカァーカァーと鳴いてる中、2-Aは暗く沈んでいた。
「3点2点1点3点2点1点そして最後は4点…全滅だな」
マギがアスナの今迄の答案用紙を見た感想がこれである。ネギの説明は確かに分かりやすく、酷い話馬鹿でも解る授業だった。だがアスナは一度も合格点を取っていなかった。此処までいくと異常さを感じる。
「…もういいわよ。アタシバカなんだし…」
アスナは目に涙を浮かべて、机に顔を埋めていた。
「ああ!アスナさん諦めないで!!」
とネギは必死に励まそうとした。その時、ある意味今会いたくない人物が此処に現れた。
「おーい。調子は如何だいネギ君?」
アスナはガバッと顔を上げて声が聞こえた方を見た。其処に居たのはアスナが思いを寄せる
「おッ例によってアスナくんか。あまりネギ君を困らせちゃダメだぞアスナ君」
タカミチである。
「高畑先生!?いえ!これは…あの…」
アスナはタカミチに何を言えばいいか分からなくなりしどろもどろになってしまった。
「じゃあ頑張ってね2人とも」
そう言ってタカミチは去って行った。タカミチが去ったのを見て、アスナはプルプルと震え始めた。
「あ…あのアスナさん?その気にしないで…」
もう何を言っていいか分からず、気にしないでと励ましたが、遂に…
「ウワァァァァァァァァンッ!!!!」
アスナは遂に爆発してしまい、泣きながら教室を飛び出してしまった。
「あッアスナさん!!?」
ネギはアスナが飛び出したのを見て吃驚してしまい、アスナを呼び止めようとしたが、アスナは泣きながら全力疾走をして直ぐに見えなくなってしまった。
「あーあー何か本当面倒な事になっちまったな…一緒に行ってアスナを連れ戻すか?」
とマギがネギにそう訪ねたが、ネギはううんと顔を横に振りながら
「僕が自分でやるって言ったんだ!だから最後まで僕がやり遂げなくちゃいけない!何時までもお兄ちゃんの頼っちゃいけないんだ!!」
そう言いながらネギは、自分の杖を持ちながら教室を飛び出した。
「僕が責任を持ってアスナさんを連れ戻すから、お兄ちゃんは先に帰っててもいいよ!!」
「ああ分かった。だったら早く連れ戻しに行って来いよ」
マギの言った事にネギは頷きながら杖に跨ると、今出せる最高速度でアスナを追いかけに行った。マギ以外誰も居なくなった教室。マギはハァと溜息を吐いて。
「いい加減出てきていいぜ…タカミチ」
「…驚いた。気配を消すのは得意な方だと思ったんだけどな」
そう言いながらタカミチがひょっこりと現れた。実はタカミチはアスナの前から去ると、近くの気づかれない場所に隠れていたのだ。しっかりと気配を消してまで。教室に入ってくるタカミチ。
「いいのかい?ネギ君だけにアスナ君を任せといて」
タカミチはマギにそう聞いてきた。マギはああ?と返事をしながら
「大丈夫じゃねえか?ネギは俺と違って真面目だからな。それに…」
それに?とタカミチがその言葉が気になって再度聞いてきた。
「彼奴昼休みに呟いていたんだよ。『僕ってお兄ちゃんが居ないと何にも出来ないのかな?』ってな」
実の所マギはネギの呟きを聞いていたのだ。その後すぐに起きるのもあれなため、しずな先生からリストを渡されるまで寝たふりをしていたのである。
「何言ってるんだろうなあの馬鹿は、自分じゃ出来ないことだってあるっていうのに…もうちょっと俺を頼れって言うんだ。ほんとに面倒な性格してるよ彼奴は…」
とマギは文句を言った。そんなマギを見てタカミチはアハハと笑いながら
「でもそんなネギ君がほっとけないんだろ君は?」
とそう言われ、マギは珍しく顔を赤くしながら頬を掻いた。
「うるせえな…こんなの俺のキャラじゃねえんだよ」
とそっぽを向いてしまった。
「そうだ、久しぶりに会ったんだしよ、昔みたいに又格闘戦の修業に付き合ってくれよ」
「残念だけど、僕にはまだまだやらなきゃいけない仕事や出張が残ってるからね、悪いけど付き合うのは難しいかな」
とタカミチが無理だと言ったのに、なんだよと文句を垂れた。
「そんな面倒な事さぼっちまえばいいのに…」
「いやいやそれは流石に無理だろう?」
タカミチのツッコミにマギは冗談だと言いながら笑った。タカミチもつられて笑ってしまう。
「もう時間だし、僕はもう行くよ。それじゃこれからも教育実習を頑張ってくれ」
「あぁ俺なりに頑張るつもりさ」
夜の女子寮。アスナとこのかの部屋にてアスナが猛勉強をしていた。結局居残り授業はアスナを連れ戻した後に出来なくなったために、今ネギと同じ部屋で生活しているため残りは部屋でやる事になったのだが、教室の時よりも、やる気が一段と違う気がした。
「おいネギ、アスナの奴やる気が一段と違うじゃねえか。何したんだ?」
マギはネギに聞いてみると、ネギはえーと、と頬を掻きなが
「えっと…内緒」
と何故かはぐらかされてしまった。マギは何故と内緒と言ったのか少し考えたが、まッそんなに考える事でもないかと考える事を止めた。丁度その時アスナが勢いよく席を立ち
「出来た!フフン今度こそ完璧!!ほらさっさと採点しなさいよ!!」
と自信満々に答案用紙をネギに見せる。この自信今度こそ大丈夫じゃないかと思いながら、ネギは採点をした。しかし…
「3点4点3点5点…あれ?」
結局合格点に到達してなかった。アスナは今度こそ出来たと思っていたので、落ち込みは半端ではなかった。
「前途多難ってこういう事を言うのか?…やれやれだぜ」
今のアスナの英語の成績は『もう少し頑張りましょう』といった所であった。
次回がドッジボール対決となります。
其れとですが、テイルズ系の魔法ですが、闇属性が少ないのでもしかしたら
他の属性の魔法が出るかもしれません
感想と評価お待ちしております
最後に言うのもあれなんですが、私の作品を登録してくれた読者の皆様ありがとうございます。
これからも頑張って行きますので、どうか応援よろしくお願いします