自分は一昨日はBBQで昨日は日帰り旅行に行ってまいりました
明日は学校があるので今日はのんびりしようと思います
それではどうぞ
「……ん、あれ此処は?」
目を覚ましたアスナは今自分がどこにいるのかと辺りを見渡した。
寮の部屋ではなく、外にいることしか分からなかった。
「此処は学祭で使われる中央ステージ?確か部屋の中からで何かに襲われて、それで眠らされて…駄目だわ。その先の記憶が全くないって何よコレェ!?」
アスナは自分の格好を見て叫ばずにはいられなかった。
手足は触手の様なもので拘束されており、パジャマではなくセクシーなランジェリー姿になっていた。
なんでアタシがいつもこんな目に…と内心嘆いていると、お目覚めかねお嬢さん?とステージの陰からへルマンが現れた。
「誰よアンタ!?」
「ハッハッハいやなに、囚われのお姫様がパジャマと言うのあれだからね。ちょっと趣向を凝らしてもらったよ」
へルマンが爽やかな笑みを浮かべていたが、目の前の男が自分にこんな恥ずかしい格好をさせたというのは直ぐに分かった。
ブチリとキレたアスナは
「なんて事してくれたのよ!このエロジジィ!!」
「モペェ!」
足を拘束されているにも関わらず、持ち前の馬鹿力でへルマンの顔面に蹴りをいれたアスナ。
「ハッハッハ…いやぁ若いお嬢さんは元気があって素晴らしいねぇ」
「鼻血出してなに気取ってるのよ!」
アスナに蹴られながらも爽やかな笑みを崩さないへルマンに、アスナは思わずツッコミをいれた。
「いやはやすまなかった。だが…恥ずかしい格好をしてるのはお嬢さんだけではないのだよ」
みたまえとへルマンが指差した方向には水の球に囚われたこのか達の姿があった。
「このか!本屋ちゃん!ってなんでこのか以外は服着てないの!?」
「大浴場で襲われたんです!」
「油断したアル!」
夕映と古菲が自分達が襲われた状況をアスナに簡潔に説明した。とよく見たら別の水の球が2つ程あり、中には刹那と千鶴が1人づつ囚われていた。
どちらも眠らせたのか目を覚ます気配がない。
「刹那さん!那波さん!ちょっと刹那さんは兎も角なんで那波さんが此処にいるのよ!?那波さんは魔法と何も関係がないでしょ!」
「神鳴流の彼女はお嬢さん達の中でも強力な戦力だからね。眠らせてもらったのだよ…そちらのお嬢さんは成り行きでね、私自身とても興味があったからご同行してもらったのだよ…全てはネギ君を誘う人質なのだよ君達は」
「ネギ?アンタネギとどんな関係なのよ!?」
自分達を人質にしてまでネギを誘うなんて、この男とネギはどんな関係なのかアスナは問い詰める。
問い詰められたへルマンは爽やかな笑みから、冷たい表情へと変わった。アスナはへルマンの冷たい表情を見て身を震わせた。
「彼には特別な思い入れがあってね、ネギ君が
さらっと本来の目的を暴露したへルマンだが、それでもネギ個人の方が重要だと言ったこのへルマンとネギはどんな関係だろうとアスナは考えていた。
一方スライム娘3人に捕まったこのかたちはスライム娘達に此処から出してくれるように頼んだ。
「なーなこのちびちゃん達此処から出してくれないかなー?」
「お願いです!」
このかとのどかがそう頼みこむが
「駄目だぜ私達の特製の水牢からは簡単に抜け出せないぜ。それにお嬢ちゃんじゃない私はすらむぃだ」
「私はあめ子です。溶かして食われないだけありがたいと思ってください」
「私はぷりん…だから諦めて」
短髪のスライム娘はすらむぃ、眼鏡っ子はあめ子。長髪はぷりんという名前で、何とも柔らかそうな名前たちである
すらむぃがクククと笑いながら水牢に近づくと
「一般人が興味半分に足を突っ込むからこんな目にあうんだぜ?」
すらむぃに痛い所を突かれて、ぐうの音もでないのどか達
「まぁ強力な魔法でも使わない限りはこの水の牢屋は、中からは絶対に破れねーよ。まッ一般人のお前達には無理な話だろうけどな」
それだけ言うとすらむぃは水牢から去って行った。
服を着ているこのかは何かを思い出したのか服の彼方此方を探り始めた。
ふとヘルマンが夜空を見上げて来たようだ…と呟いた。
ネギと小太郎が杖に乗って飛んできたようだ。
「来るかネギ君、さぁ成長した君の力を私に見せてくれ」
飛んでるネギの方でもヘルマンや、捕らわれているアスナ達の姿が見えてきた。
「見えた、アスナさん達だ!」
「あのおっさん達も見えた!撃てネギ先制攻撃や!」
「牽制ですぜ兄貴!」
「分かった! ラス・テル・マ・スキル・マギステル 風の精霊17人 縛鎖となって敵を捕まえろ 魔法の射手 戒めの風矢!!」
ネギはヘルマンに向かって魔法の矢を放った。
「うむ素晴らしい。流石だなネギ君」
ヘルマンはネギが放った魔法の矢を賞賛しながら手をかざした。魔法の矢はヘルマンに当たる事無く何かの力に防がれてしまった。
ヘルマンがネギの魔法を防いだのと同時に
「!あう!?」
アスナが悲痛な悲鳴を上げた。自分の魔法を防がれたのとアスナが悲鳴を上げた事にネギと小太郎は驚いた。
「なんや今の!?攻撃を防いだで!
「分からない!何かに掻き消されたのは見えたけど!」
「それに今姐さんが苦しそうでしたぜ!何か関係が」
ヘルマンがした事が理解できなかったが、ネギと小太郎は地面に着陸するとネギは杖を小太郎は拳を構えた。
「約束通り来ました。アスナさん達には危害は加えてないでしょうね?」
ネギに睨まれても、ヘルマンは平気そうに心配しないでくれたまえと言いながら
「明日菜嬢や他の御嬢さん達には危害は加えていないよ。まぁ明日菜嬢は少々元気すぎるぐらいだけどね」
ネギは未だにヘルマンに喚き散らしているアスナの恰好を見て赤面して思わず顔を逸らす。
「あッアスナさんがまたエッチな事に…」
「ちッ違うわよネギ!これはこの変態ジジイが勝手に着させたのよ!」
アスナはネギに違うと喚き散らしながら、誤解を解こうとした。
「僕の生徒さん達やアスナさんにエッチな格好をさせて、一体何が目的何ですか!?」
ネギは再度へルマンに目的を問うた。言っただろうネギ君とへルマンは小さく笑いながら
「私の目的はネギ君、君と戦いたいのが私の目的だよ。私と戦いネギ君が勝てばお嬢さん達は解放することを約束しよう」
ここまでネギと戦う事に執拗するとは、何故だろうか。
ネギ自身へルマンの事なんか知らないし、会ったことがあるのか知らないが覚えてさえいないのだ。
「へッ!んな簡単な事なら話は早いで!さっきのリベンジや、俺がおっさんの相手をしたるで!」
小太郎は先程は共同戦線とは言っていたが、ヘルマンにやられたことを根に持って居た様で、リベンジを果たそうと自分一人で戦おうとしたが
「待って小太郎君、一人で戦うなんて無茶だ。僕も一緒に戦うよ」
ネギも一緒に戦うと言いだした、自分一人で戦おうとした小太郎は出鼻を挫かれてしまい
「何やネギ!俺が行こうと思ってたのに、それとも何か?俺があのおっさんに負けるとでも思っとるのか」
「うん言っちゃ悪いと思うけど、今の小太郎君は負ける」
ネギは言葉を濁すことなく、今の小太郎は負けるとそう小太郎に言った。
流石に今の言葉にはブチッと来た小太郎はネギの胸倉を掴んで
「おいネギ…ふざけた事ぬかすんじゃあないで、俺が負けるって?さっきのは油断してただけや。今度は勝てる!先にお前との決着をつけてもいいんやで?」
「…」
小太郎が言った事に何も答えないネギは、黙って小太郎の腹…ヘルマンに殴られた所を軽く突いた。すると
「ッ!」
さっきまで平気そうにしていた小太郎が脂汗を流しながら顔を歪ませた。やっぱりとネギは呟いて
「小太郎君やっぱりダメージが残ってたのに無理しようとしたんだね?小太郎君、君は格闘戦では僕よりも凄く強い。けど狗神が使えない今の小太郎君じゃあの伯爵さんには勝てないよ」
「なッならネギ、お前一人が戦うん言うんかいな!?」
ネギ一人が戦うかと思いきや、ううんとネギは首を横に振りながら
「僕一人でも勝てる可能性は低い。だから…一緒に戦ってほしいんだ小太郎君。一人が駄目なら二人で戦えば何とかなるかもしれない。それに僕はアスナさんやこのかさん達を絶対に助けなきゃいけないんだ。だからお願いだよ小太郎君…このとおり」
ネギは小太郎に頭を下げた。頭を下げられてしまえばなんか怒っていた気持ちがどこかへ行ってしまい、調子が狂ってしまった小太郎は頭を掻きながら
「はぁ~分かった。俺もちづる姉ちゃんを助けるために来たんやしな…下らん意地張ってる場合じゃないで」
「それじゃあ…!」
「ああ、いっちょやってやろうやないか!」
「うん!小太郎君!!」
ネギと小太郎は二人でヘルマンを倒す事に決めた。
ネギと小太郎のやりとりを見ていたへルマンは
「いやはや何とも賢明な判断だねネギ君、それでは始めようじゃないか」
ヘルマンが指を鳴らすと、それを合図にこのか達の所に居たすらむぃとあめ子がネギと小太郎の背後に回っていた。
何時の間にと絶句してしまったネギと小太郎は避けようとしたが、足が動かなかった。足元を見てみるとぷりんがネギと小太郎の足に絡みついていた。
「いッ何時の間に!?」
「駄目や動けへん!」
抜け出そうとしたが間に合わず、ネギと小太郎はすらむぃとあめ子に蹴り飛ばされてしまった。
蹴り飛ばされ観客席に叩きつけられるネギと小太郎。
「何あの女の子たち!?」
「スライムや!気ぃ付けろ、見た目があれだがかなり強いで!」
スライムと言われ、なんか想像と違うなぁと思ったネギとカモ。すらむぃとあめ子、ぷりんがネギと小太郎に迫ってきた。ヘルマンと戦う前に彼女たちが相手の様だ。
「来るでネギ、お前格闘戦は大丈夫なんやろうな!?」
「大丈夫、小太郎君こそ相手は女の子だよ?殴れないんじゃなかったけ!?」
ネギは前に楓と戦った時も相手が女性という事で本気を出さなかった事があった。へッバカにすんな!と小太郎は鼻で笑って
「女言うても、軟体動物がふりしてるだけなら関係ないわ!」
あめ子を殴り飛ばしたが、見た目が女の子という事でやはり余り力が入らない様子だ。
「兄貴行けますかい!?」
「行けるよカモ君! 戦いの歌!」
ネギはエヴァンジェリンに教わった、ちゃんとした身体能力強化の魔法を発動してすらむぃと対峙した。
すらむぃは普通の少女ではないスライムだ。パンチを放ったと思えば急に腕が伸びたり、また蹴りを放ってきたら足が蛇のように柔らかくなりネギの体に巻き付こうとする。
ネギはすらむぃのトリッキーな攻撃の仕方に翻弄されながらも辛うじて躱しながらも、顔面に掌底のカウンターを決めた。顔面に直撃してすらむぃの首が伸びたのを見てネギは顔を引き攣らせる。
ネギのカウンターが入ったのに全く動じていないすらむぃはさらに追撃しようとするが、ネギは両手に気を集中させ放つ
「双撞掌!!」
ネギの放った双撞掌によってすらむぃは大きく吹き飛ぶが、全然ダメージを喰らった様子は無く直ぐに立ち直った。
「おおネギ!何やそれは、なんかの拳法かいな!?」
小太郎はネギの双撞掌を見て何の拳法かと尋ねてきた。
「何の拳法って、中国拳法だよ。僕の生徒さんに中国拳法の達人が居るから習っていたんだ」
「ナハハハ!成程なぁ中国拳法か、そらええなあ!」
小太郎はネギが格闘術を使っているのを見て嬉しく思った。やっぱ男なら拳やろ!と内心でもそう思っていた。
すらむぃあめ子ぷりんは今度は3人同時にネギと小太郎に迫ってきた。ネギは3人のスライム娘たちのラッシュを見て思った。お兄ちゃんよりも動きが遅いと
(行ける!)
ネギはそう思いながら肘鉄を、小太郎は蹴りをおみまいした。吹き飛ばされるスライム娘達。
スライム娘達が怯んでいる間にネギと小太郎はヘルマンへと接近する。
「あのスライムには打撃は効かねえ!狙うはあのおっさんただ1人や!」
「うん!」
2人は迷わずヘルマンへと突っ込む。そしてふと顔を見合わせるとニヤッと笑いながら
「さっきの技、中々やるやないかネギ!」
「小太郎君こそ、やっぱり強いよ」
互いが互いを褒め合う。小太郎は思った…今のネギなら自分のライバルに相応しいと。
ネギも思った。今の小太郎君は僕が最初に超える壁でもありライバルでもあると。
スライム娘三人が立ち直し、再度ネギと小太郎に仕掛けてきた。
「たくしつこいっちゅうねん…お前らの相手はこの俺や!」
小太郎が分身を使ってスライム娘達を足止めする。
「いけネギ!此処は俺が食い止めたる!お前はおっさんを相手しとけ!」
「うん分かった!」
スライム娘を小太郎に任せてネギはヘルマンと遂に対峙する。
「1本だけなら出せるはず 魔法の射手・光の1矢!」
ネギは杖を構えて無詠唱で1本だけ魔法の矢を発射した。ヘルマンもネギが無詠唱で魔法の矢を出した事に驚いていたが、またもやネギの魔法をかき消した。
「また無効化された…!でも、目くらましには充分だ!」
ネギはヘルマンの隙をついて背後に回った。そして懐から封印の瓶を取り出した。
へルマンはネギが封印の瓶を持っているのを見て固まってしまった。
「これで僕達の勝ちです…封印の瓶!」
ネギはへルマンを封印するための呪文を唱えた。これでヘルマンは瓶の中に吸い込まれる。
ネギやアスナと誰もが勝利を確信してた。だがしかし…アスナの首にかかっているネックレスが突然光だし
「!きゃあぁぁぁぁ!」
突然苦しみだしたアスナ。アスナが苦しみだしたのと同時にヘルマンを吸いこもうとした封印の瓶の力が弱まって遂には力が消え去ってしまった。
ネギは瓶が力を失って地面に落ちるところを呆然と見ていたが、ハッとするとヘルマンに奪われる前に瓶を取って後退した。
瓶の力が無くなって戸惑うネギにヘルマンが
「いやはや危なかった。ネギ君が瓶を持っていると思ってね、一応保険をかけての実験をと思ったが、上手くいったようだね」
たった今封印の瓶の力が無効化されたのがその保険の力なのだろう。つまり簡単に言えばもうヘルマンを瓶に封じ込める事が出来なくなったという事だ。
「これで心置きなく戦えるという事だ。さぁ…始めようじゃないかネギ君」
ヘルマンが皮の手袋をキュッと引き締めた。本気のヘルマンが動き出す。それだけを考えると汗が止まらないネギであった。
一方ヘルマンの仲間であろう女と戦っているマギは、善戦していた。
女の槍の突き攻撃、薙ぎ払い攻撃投擲攻撃、遂にはもう一本槍を具現化させて双槍を振り回す乱舞攻撃までも繰り出してきた。
だがマギは女の攻撃を全て防いでしまった。
常人では捉えきれない速さの突き攻撃を横に避けて躱し、リーチが長い薙ぎ払い攻撃も高い跳躍で躱した。大砲の弾のスピードで投げられた槍の投擲攻撃も難なく防ぎ、2本の槍の乱舞攻撃でさえも息を吐くかのように躱しきってしまったのだ。
これ自体マギ自身も驚いていた。前までの自分だったらこれほどの猛攻恐らく体を何回か貫かれていたはずであろう。だが今の自分は掠り傷1つさえなかった。
それは何故か、恐らく否確実に分かる事は1つだけある。それは…エヴァンジェリンの所で修業をして強くなりすぎてしまったのだろう。
(凄いな、敵の攻撃が全て見えるなんて…全く今の自分が恐ろしいぜ)
マギは自分自身にさえ、恐ろしさを感じながらも女の攻撃を見切り槍を2本とも破壊してしまった。
槍を破壊されてしまった女は舌打ちをしながらも、自身の魔力で槍を再度具現化した。槍自身魔力で構成されているため女自身の魔力が続く限り何度でも作り出せるようだ。
「如何した?この程度か?ハッキリ言ってアンタと俺とじゃ力の差が歴然としてるし、潔く降参したらどうだ?」
「こッこのぉ…!調子に乗ってるんじゃないわよぉ…!」
マギの方が優位に立っているため降参しろと女に言うと、女は屈辱のあまりギリギリと歯軋りするが、直ぐに歯軋りを止めて一点の方向を見てニンマリとした。
女が見た方向には、プルプルと震えているマギと話していたスライム娘であった。
「おいクソガキィ、何そんな所で震えてるのよぉ。さっさと私に加勢しなさいよぉ」
女はスライム娘に加勢しろと言ってきた。勝つためには手段は選ばない考えなのだろう。
呼ばれたスライム娘はビクッとしながら
「あうぅぅ、そッそこのお兄ちゃんは、逸れたお姉ちゃんを一緒に探してくれるって言ったれす。そんな優しいお兄ちゃんと戦いたく」
スライム娘は最後まで言えなかった。女がスライム娘にすれすれで当たらないほどの距離で、魔法の矢を放った。女は
「何ふざけた事言ってるのぉ?このまがい物が。ふざけた事言ってると殺しちゃうわよぉ」
と脅した。スライム娘は恐怖でさっきよりも激しくプルプルと震えだした。今日此処であったマギは自分が化け物であっても優しく手を差し伸べて来た、会って間もないのにスライム娘はマギがいいお兄ちゃんだと言うのは一目で分かった。
だが自分を脅している女は前から知っている。この女は自分を毛嫌いしておりなにかとあれば何時も自分を虐めて来るのだ。
虐められるのは怖いし嫌だ。だが優しくしてくれたマギに攻撃するのはもっといやだ。しかし…
「お兄ちゃん…ごめんなさいれす!」
スライム娘は恐怖に負けてしまいマギを攻撃する事にした。マギ自身泣いてる女の子に攻撃する気にはなれず、てきとうに躱せばいいと思ったその時スライム娘の体が一気に固まってまるで鉄のようになった。
「んだと!?」
マギは驚きながらも躱したが、鋼のようになったスライム娘の体当たりによって地面が轟音を立てながら砕け散った。かなりの破壊力の様だ。
「ふふどう驚いたぁ?このクソガキはねぇ自分の体を鉄のように固める力を持ってるのよぉ。その気になれば剣にもなるし槍になってなれるのよぉ」
「あぁ驚いたさ。正直アンタよりも厄介かもな」
マギは驚いてはいるが、正直スライム娘の動きが遅いのと単純という事で別段脅威とは感じられなかった。まぁ体を鉄みたいに固くするのはかなり危険だろうなと思ったマギ。
女に対して挑発を続けるマギに対して女はフンと鼻で笑いながら
「その減らず口が何処まで叩けるかしらねぇ…さぁあの男を八つ裂きにしなさぁい!」
「ふッふえぇぇ!」
スライム娘は何が何だか分からず泣きながら両腕を鎌のようにして、なりふり構わず振り回した。マギはスライム娘の鎌の攻撃を断罪の剣で防ぐがただ振り回してるだけで隙だらけで幾らでも防げる。
だが今度は女も加わって槍を振り回してきた。まだマギに余裕はあるが段々と攻撃のスピードが上がってきた。元々2対1このままではいずれ不利になる状況だ。
マギはスライム娘を軽く攻撃して怯ませる作戦へ打って出た。
「ちょっとビックリするかもしれないが、我慢しろよ!」
マギは右腕だけ断罪の剣を解除して気などを練り込まずにスライム娘に殴り掛かった。気を練っていないからダメージは0に近いただ驚いて怯んでくれればいい。だがしかし
「ひゃぁ!?」
スライム娘が驚いたのまでは良かった。ただ驚いた瞬間にスライム娘は体を柔らかくしてしまいマギの腕がスライム娘の体に沈み込んでしまったのだ。
「んな!そんなのありかよ!?」
マギは驚きながらも自身の腕を引っこ抜こうとするが、スライム娘の体が腕に絡みついて上手く抜けなかった。その隙に
「隙ありよぉ!」
女がマギが動けない事を良い事に槍を容赦なく突いてきた。
「このクソッタレ!」
マギはスライム娘の拘束から逃げる事が出来たが、少し遅く女の槍がマギの脇腹を浅く斬り裂いた。
「マギさん!」
亜子の悲鳴が聞こえてマギは一旦女とスライム娘から距離を置いた。斬られた脇腹に手を当ててみると手には血がべっとりとついていた。
死ぬほどの傷ではないが、今のは自分が油断したために起こった事である。だが目の前の女にスライム娘…
「やれやれ…如何やら骨の折れそうな展開になりそうだ」
マギはそう呟いた…