堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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伯爵襲来

 えーと皆さん行き成りですが初めまして、ウチの名前は和泉亜子って言います。

 麻帆良学園の女子中等部、3-Aの出席番号は5番で外部のサッカー部に入ってます。

 好きなものはカワイイ絆創膏や掃除で、クラスでは保健委員に入っています。

 好きな男の人のタイプは年上なんやけど、卒業間近の先輩に告白したんけど見事に振られて撃沈、しばらくの間は結構落ち込んでいたんや。

 …だけど、ある日ウチは失礼やけど先輩以上に気になってしまった人に巡り合ったんや。

 イギリスから来た教育実習生のネギ先生とマギ先生、ウチはマギ先生を目にした瞬間気になってしまったんや。

 マギ先生は、自分の事をマギさんなんて呼んでほしいと言っていたからウチもマギさんって呼んでるんやけど。

 ウチがマギさんを好きになってしまったのは、ウルスラがウチらにちょっかい出してきた時にマギさんがウチを助けてくれた時から、ウチはマギさんの事を1人の男性として好きになってしまったんや。

 マギさんを好きになってからは何とかアプローチをしようとしたんやけど、本屋ちゃんや双子の風香や史伽にエヴァンジェリンさん達みたいにかわいい子がマギさんに積極的にアプローチをしていてウチは何時も出遅れていた。

 ウチはあんまり目立つのが得意じゃないから何時も引っ込み思案で、ウチ自身も治したいと思っても上手く出来なかった。

 だけども、いつかはマギさんにウチのマギさんが好きですって言う気持ちを伝えたいと思っているんや。

 だけどもそのマギさんが……

 

「俺がそのお姉ちゃん達を見つけてやるから、もう泣くのはよせって」

 

「あぁ探してやるさ。俺は嘘は吐かないからな」

 

 水たまりに向かって何かを呟いているマギさんを見てウチは少し引いてしまったんや。

 

 

 

 

 亜子は放課後は外部のサッカー部の集りが有ったので、何時ものように部室へと向かった。

 サッカー部の集りは1~2時間ほどで終わったが、外に出ようとした時には豪雨と落雷など酷い天気であった。

 酷い天気に亜子は思わず溜め息が出てしまったが仕方がない、とりあえず雨と雷が少し収まるまで部室で待っていることにした。

 暫くして雨はまだ少し強いが雷は収まってきたので、亜子は寮へ帰る事にした。

 そして学園都市を歩いて寮へ向かおうとすると、其処でマギの姿を見たのだ。

 

「あれ?マギさんこんな所で何やってるんやろ?」

 

 マギはこんな雨の中で何をしてるのか気になって、マギの後をついて行くことにした亜子。

 暫くマギの後をついて行くとマギは急に座り込むと先程のセリフを急にブツブツと呟き始めた。

 

「マギさん…何やってるんやろ…?」

 

 亜子は行き成りブツブツと呟いているマギを見て少し引きながらも、少しづつ近づいて

 

「…マギさん?なにやってるんや?」

 

 と恐る恐ると言った感じで、マギに何をやっているのかと尋ねた。

 亜子に何やっているのかと問われたマギは、ゆっくり振り返りながら亜子の顔を見てマジでかよ…と呟いていた。

 マギはマギで冷や汗がダラダラと流れているのを実感している。亜子にスライム娘との会話を聞かれていたのだ。一応マギの体でスライム娘の体が隠れているのは幸いしたが。

 だが亜子から見たら水たまりに話し掛けている痛い人に見えているのだ。

 

「マギさん、疲れてるならウチに相談してもええよ?ウチは一応保健委員やし」

 

 亜子はぎこちない笑みでマギにいくらでも相談していいと言ったが、マギは内心焦っていた。

 今の亜子の自分に対する認識が、痛い奴に変わってしまっただろう。幾ら言い訳を言っても頭可笑しい奴にしか見えないかもしれない。

 マギはどんな言い訳をしようか迷ったその時、強い魔力が此方に近づいてくるのを感じ取った。

 

(数は1、恐らくしなくても侵入者の1人だなこいつは…)

 

 マギは侵入者が近づいてくる方向を睨み付けた。

 亜子は戸惑っていたマギが、急に人が変わったように一点の方向を睨み付けたのを見て自分自身も戸惑っていると、建物の屋根からガタンと言う音が聞こえてきて、マギ達は上をみあげると

 

「あらぁ?迷子のクソガキを探していたら、目的の男も見つけるなんて運がいいわねぇ私って」

 

 ボンテージ服を着た女が艶めかしい目でマギ達を見降ろしていた。女の姿を見て亜子が真っ先に思った事は

 

(なんやあの女の人…エロッ!?)

 

 思わず赤面してしまった亜子であった。ボンテージと言う大人な服に体に絡みつくような喋り方、そして何処か突き刺すような視線。同じ女性でもある亜子でも直視するのは恥ずかしく目線を逸らしてしまった。

 だがマギは赤面も目を逸らす事もせずただ女を睨み続けていた。

 

「おい、単刀直入に聞くぞ。テメェは学園に侵入してきた1人だよな?」

 

「ええそうよぉ。私はこの学園に侵入した1人で間違いないわぁ」

 

 しらばっくれたりしないで素直に肯定した女。

 そうかとマギは言いながらもまだ聞きたい事があるようだ。

 

「魔力の反応からして…テメェ人間じゃねぇな」

 

 マギの聞いた事にへぇと女は何処か感心したような声を出した。女の今の態度で自分は人間じゃないと認めているようだ。

 

「そうよぉ私は人間じゃなくて、この人間の体は言わば仮初の姿…まぁこの姿の方が馬鹿な人間の男を騙せるから、これはこれで面白いけどねぇ」

 

 女はマギを誘惑するように妖艶なポーズをしてみせた。女のポーズを見た亜子は更に赤くなってしまった。

 マギはチッと舌打ちをしていた。ふざけた女だと毒づきながら

 

「おふざけは止めにしてもらおうか?お前らの目的は何だ」

 

「目的?目的はねぇ、麻帆良学園の調査とぉ、貴方達スプリングフィールド兄弟の調査よぉ」

 

 それだけ言うと女は無詠唱で魔法の射手を展開した。

 いきなりの展開に固まるマギと、女の周りに急に光の塊が出てきたことに戸惑う亜子

 

「それじゃあ…ちゃっちゃと死んじゃってねぇ」

 

 女はマギに向かって魔法の矢を発射した。

 マギは内心焦りまくりであった。女の登場で少し忘れていたが自分の他に魔法を知らない亜子も居るのだ。そんな亜子に魔法がバレたのと今まさに命の危機に瀕しているのだ。

 

「くそ!亜子来い!!」

 

「へ?ってきゃぁ!?」

 

 マギは有無を言わさずに亜子の腕を引っ張ったその直後、魔法の矢が地面に直撃して連続的な爆発が起こった。

 

 

 

 

 マギが都市内で襲撃にあってる間に、学生寮でも大騒動が起こっていた。

 部屋で先生の仕事をしていたネギが、此方に向かっている刹那と知らない魔力が一瞬で魔力の反応が消えたのを不信に思い、アスナにちょっと寮の周りを見回ってくると言って部屋を出ていったネギ。

 また1人で突っ走って…アスナは部屋を出ていったネギを心配な眼差しで見ていたアスナとこのか。

 そんな2人を寮の窓の外からスライム娘の一体が覗き込んでいるのに気がつかなかった…

 

「…此処だ。此処で刹那さんの魔力の反応が消えた」

 

 ネギは刹那の魔力反応が消えた場所を見てみたが、戦った形跡は発見できなかった。何もされず無抵抗で捕まったのかと推測するネギだが、刹那ほどの手練れがそう簡単に捕まるとは俄かに信じられなかった。

 足元を見てみると床が濡れているのを見つけた。雨漏りかと思い天井を見上げても雨漏りなど何処にも見当たらなかった。それに此処だけ濡れているなんて可笑しいとも思ったネギは濡れている床に手を置いてみた。

 

「!…これは…」

 

「兄貴も気づきましたか?この水はただの水じゃあないですぜ。魔力の反応がまだ残ってやがる」

 

 カモもネギと同じように濡れた床を触ってそう断言した。刹那はやはり何者かに捕まったのだと確信した。しかもこの魔法は恐らくしなくても水を使った転移魔法。

 まさかまたあのフェイトと何か関係があるのかと思ったその時、何処からか悲鳴が聞こえた。

 

「カモ君今のは!?」

 

「兄貴!こっちから聞こえてきましたぜ!!」

 

 カモが悲鳴が聞こえた方へネギを案内すると、到着したのは夏美と千鶴にあやかの部屋だった。

 ネギは此処で間違いないのかとカモに聞くが、間違いないと断言するカモ。とにかく悲鳴が聞こえたのだ。ただ事ではないはずだ。

 警戒しながらゆっくりと玄関を開けると、其処には倒れているあやかの姿が

 

「いいんちょさん!?」

 

 ネギは倒れているあやかに近づくが、あやかは静かに寝息を立てていた。

 どうやら寝ているようだが、こんな玄関で寝ているなんて不自然だしよく見ると玄関のチェーンが折り曲げられて壊されていた。

 これはやはり何かあったとネギは部屋の奥へ進んでみると…

 

「…やぁ、少し遅かったね。ネギ・スプリングフィールド君」

 

 白いひげを生やした老年の男が千鶴を横抱きにしていた。

 

「なッ那波さん!?貴方は誰なんですか、那波さんを返して下さい!」

 

 ネギは千鶴を横抱きにしている男に何者かと尋ねる。

 

「おおそう言えばネギ君には私の名前を教えていなかったね。私の名はヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン伯爵、あぁ伯爵と言っても没落貴族でね。今は雇われの身だよ」

 

「その伯爵さんが、僕の生徒にそんな事をしてるんですか!?」

 

 ネギはヘルマンが何故千鶴を横抱きにしているのか聞くが

 

「この御嬢さんはとても興味深い御嬢さんでね、御同行願おうと思ったのさ。あぁそれと君の仲間である、神楽坂明日菜嬢とその数名を此方で預かっている。彼女達を返してもらいたかったら私の元へ来たまえ」

 

「なッアスナさん達を!?貴方の目的は何なんですか!?」

 

 アスナ達を捕まえて何が目的なのか今にも飛び掛かる勢いでヘルマンに聞くネギだが、ヘルマンは平然を装い

 

「目的は単純さネギ君。君がどれほどの力を宿しているのか私は知りたいんだよ。神楽坂明日菜嬢達は学園の巨木の下にあるステージにて預かっている。早く彼女達を助けたいなら急いで来たまえ…それと誰かの助けを呼ぼうなんて、そんなつまらない事は止めてくれたまえよ?私は君と戦いたいのだからね」

 

 それではとヘルマンは水の転移魔法でそのステージに向かおうとした。

 

「若いのは素晴らしい…そこで伸びている少年も素晴らしかったが、君はどれほど成長したのかい?楽しみだよネギ君…」

 

 何処か意味深げなセリフを呟いてヘルマンは消えてしまった。ネギはそこで伸びている少年とやらが居る場所を見てみると、其処にはぐったりしている小太郎の姿があった。

 

「こッ小太郎君!?何で君がこんな所に…!」

 

 ネギは小太郎に近づき体を揺すったが、反応をしなかった。

 

「村上さん!小太郎君に何があったんですか!?それよりもこの部屋でいったい何が!?」

 

 蚊帳の外状態だった夏美はネギに何があったのかと聞かれるとビクッ!としてしまい

 

「ねッネギ君あのね…その…」

 

 夏美はしどろもどろになりながらも、ネギにこの部屋で起こった事を話した。時間は数十分程戻す。

 それは夏美たちが夕食を食べていた。その光景は今迄無かったのか、小太郎は嬉しい気持ちでいっぱいであった。

 と小太郎、夏美。千鶴にあやかは楽しげに夕食を食べていたら、玄関のチャイムが鳴りだした。あやかが自分がでますと言って玄関に向かった。

 …が数分経ってもあやかが戻ってくる気配が無く、玄関からバキリと何かが壊れる音が聞こえた。そして何者かがこちらに近づいて来る足音が聞こえ、小太郎は全身の毛が逆立ち冷や汗が流れた。

 そして現れたのがヘルマンであった。小太郎はヘルマンの姿を見て動揺し始めた。そしてヘルマンは小太郎に元気だったかね?と尋ねると同時に小太郎を容赦なく殴り飛ばした。

 余りにも強力だったのか、小太郎は吹っ飛ばされクローゼットに背中を強く叩きつけられた。行き成りの事だが小太郎が殴り飛ばされたのを見て夏美は悲鳴を上げ目を瞑った。今自分達の目の前で起こっている事は普通ではないと…

 小太郎を殴り飛ばしたヘルマンは再度尋ねた。瓶は何処かね?と。そしてこう言った我々の目的はネギ君とマギ君だけだとも。

 ネギの名前を聞いて、小太郎は思い出そうとしたがまだ思い出せずにいた。千鶴はヘルマンに恐れず何者かそして濡れたままの土足で部屋に入るのは失礼だと言った。

 ヘルマンは土足で入った事を詫びて、自分の名を教えた。一方の小太郎は目の前のヘルマンがヤバい人間だと言うのは、今自分が殴り飛ばされたことで分かった。

 そしてヘルマンが言っていた瓶を自分が持っているそうだが、小太郎自身はさっぱりわからない状態だ。だが今此処でヘルマンを倒さなくてはと小太郎はヘルマンに向かって突撃する。

 小太郎が攻めても、ヘルマンは余裕そうに躱しながら逆にカウンターを決めてくる。重くそして速い攻撃に小太郎は苦戦を強いられていた。

 ならばと小太郎は奥の手を使う事にした。それは修学旅行では使わなかった戦法、分身の術を。

 小太郎の姿が一気に増えた事にヘルマンも驚いてしまい、小太郎の攻撃を防ぐしか出来なかった。そして分身のフェイントを交えた小太郎本人の一撃がヘルマンのボディーに入った。

 小太郎の一撃に怯んでしまったヘルマン。小太郎は止めとばかりに狗神を発動しようとしたが…狗神は発動しなかった。

 なぜ狗神が発動しなかったか、それはこのかの父詠春が罰という事で小太郎の狗神を封印してしまったのだ。

 狗神が出なかったことに戸惑う小太郎に、ヘルマンはさっきのお返しとばかりに小太郎のボディーに強力な一撃をおみまいした。

 一撃によって体の骨が軋みながら床に叩きつけられる小太郎。ダメージが強すぎて体が動かない。ヘルマンはそんな小太郎を足で踏みつけ動けないようにした。

 ヘルマンは小太郎に止めをさそうと、口の中でエネルギーを溜めはじめた。そして放とうとしたその時、千鶴がヘルマンの頬に平手打ちをした。それも本気で。

 夏美は千鶴がやった事に絶句していたが、何時も子供たちの面倒を見ていた千鶴にとっては、目の前で子供が暴力によって傷つけられる事に我慢が出来なかったのだ。

 ヘルマンは自分に恐れず平手をした少女を素晴らしいと思い…そしてネギが来た時には千鶴はヘルマンに捕まってしまったのだ。

 

「これがさっきまで起こった事だよ」

 

 夏美はネギに今まで起こったことを全て話したが、今でも自分が見たことが現実なのか信じられなかった。

 

(兄貴今は伸びてるこいつを起こす事が先ですぜ!)

 

「(そッそうだね)小太郎君、起きて!起きるんだ!」

 

 夏美に聞かれないほどのヒソヒソ声で話すネギとカモ。ネギは小太郎の体を揺すりながら起こそうとした。

 すると小太郎の目がゆっくりと開いて

 

「…う…あ…ね…ネギ?」

 

 小太郎はぼやけながらもネギの姿を見て、やがて意識がはっきりすると

 

「ネギ!ネギやないか!!」

 

「小太郎君…よかった。目を覚まして」

 

 ネギも小太郎の意識が戻ってホッとした様子。小太郎は意識が戻ったが、まだ頭を押さえていた。

 

「そうややっと思い出せた…ネギ…そやネギ!京都の時(このあいだ)の決着がまだやった!今此処で決着をつけようやないか!」

 

「って!今はそれどころじゃないでしょ!?」

 

 小太郎はネギの事を思い出したのと、まだ決着がついていないと言う事も思い出して、ネギはそれどころではないとツッコミを入れた。

 

「小太郎君は僕との決着をつけたくてここまで来たの?」

 

「あぁそうや。関西の長に罰として懲罰房にいれられてたんやけど、やっぱお前のとの決着がまだやったから無理矢理抜け出してきたんや!」

 

 小太郎が脱走してこのかの父の詠春や、関西の人達が慌ただしくしているのを簡単に想像できたネギ。でも…と小太郎は苦い顔になって

 

「ここに来る道中あのおっさん達と出くわしてな、おっさん達の目的もお前らだったし、なんかヤバそうな臭いをプンプンしとったからな。いまここで…なんて思っていたら返り討ちにあって、おまけに記憶を飛ばされる始末や。ちづる姉ちゃんも巻き込んでしまった」

 

「僕もアスナさん達が捕まったらしいって」

 

 ネギの言った事に小太郎もマジかと驚いていた。

 

「あの姉ちゃん達もか?神鳴流の剣士や心の中を読める日記を持った姉ちゃんもかいな…こりゃ本格的にヤバいで」

 

「う…うんどうしよう」

 

 ネギと小太郎は如何しようか迷っていたが、そや!と小太郎は

 

「お前の兄ちゃんのマギ兄ちゃんはどうや!?お前の兄ちゃんだったらあのおっさん達なんか余裕で倒せるやろ!?」

 

 小太郎の提案にネギは首を横に振った。

 

「駄目だよ。そう思ってこの部屋に来る途中お兄ちゃんに連絡してもつながらなかったんだ。若しかしたらお兄ちゃんも襲われてるんじゃ…」

 

 頼りのマギも連絡が取れずじまいであった。こうなったらネギが行くしかない状況へとなった。

 そうやネギ…と小太郎は自分の大きい犬耳の影に挟んであった小さい瓶を取り出してネギに渡した。

 

「さっきのおっさんがこの瓶を欲しがってたんや。この瓶に呪文を唱えるとアイツラをこの瓶に封じ込めるはずや。お前に預けとくわ」

 

「そうなの?だったら僕が預かっておくよ…これは!?」

 

 ネギは小太郎に渡された瓶を見て驚きを隠せなかった。

 何故ならその瓶は、あの雪の日に自分達を助けてくれたスタンが、魔物を封じ込める時に使った瓶と同じだったのだ。

 とにかくとネギはその瓶を握りしめて

 

「ありがとう小太郎君、とにかくみんなを助けに行かなくちゃ」

 

「おおネギ、その瓶渡す代わりに条件がある。俺も連れてけや」

 

「え?でも小太郎君さっき負けたばっかだし、怪我の方は?」

 

「アホンダラ!あれは油断してただけや。それにもう痛くもかゆくもないわ!」

 

 小太郎は握り拳をネギに向けながら

 

「ちづる姉ちゃんを巻き込んだのは俺の責任や。助けてくれた恩義もある…俺がちづる姉ちゃんを助け出すんや」

 

 其処だけは譲れ無いようだ。分かったよとネギも頷いて

 

「だったら共同戦線だね。勝負はとりあえずお預けってことで…いいよね?」

 

「おお!それでオッケーや!」

 

 ネギと小太郎は腕を組んで共同戦線する事を決めた。ネギと小太郎が部屋を出ようとしたが

 

「ちょッちょっと待って!私は何したらいいの!?」

 

 あまり話について行けなかった夏美は、自分は何をしたらいいのか部屋を出ようとしてるネギと小太郎に尋ねるが

 

「夏美姉ちゃんは此処に居てくれ!大丈夫や絶対ちづる姉ちゃんを取り戻してくる!」

 

「村上さんはいいんちょさんを頼みます」

 

 それだけ言うとネギと小太郎は今度こそ部屋を後にした。

 ポツンと部屋に残された夏美だが、自分が行っても意味は無いとは思っていた。夏美は言われた通りに部屋で待ちながら玄関に倒れているあやかの事を見ていることにした。

 ネギと小太郎そして千鶴達が無事に戻ってくると祈りながら…

 

 

 

 

 一方ヘルマンの仲間らしき女にいきなり襲われたマギと亜子は、何とか攻撃を躱してはいた。

 

「イテテ…クソッタレ。行き成り攻撃してくるなんてな…亜子大丈夫か?」

 

「うッうん大丈夫やってマギさん!腕が!」

 

 亜子がマギの腕で騒ぎ出してマギも自身の腕を見てみると、右腕が浅く斬られてはいるが血が流れていた。

 亜子を護ろうとして腕をやられたのだろう。だが此れぐらいの傷マギにとっては如何って事も無かった。

 

「へぇ今の攻撃を避けるなんてぇ。結構やるじゃなぁい?」

 

 女はまさか自分の攻撃が避けられるとは思っても居なかったのか、マギが避けた事に小ばかにしたように称賛した。

 

「一応鍛えているからな。それよりも行き成り攻撃してくるなんて、趣味が悪いなテメェ」

 

「趣味が良いって言ってほしいわねぇ。それとも何かしらぁ?人間は正々堂々と真正面から戦うのが当たり前なのかしらぁ?」

 

「そう言う訳じゃあないけどな。だがな、離れた場所からしか攻撃できないのかテメェは?人間に負けるかもしれないとか考えているならよっぽど肝っ玉の小さい女…いや若しかしたら男が化けてるのかもしれないなぁ」

 

 マギの挑発に少しだけ顔を歪めた女は、背中に悪魔のような翼を生やして屋根から飛び降りた。

 羽で羽ばたきゆっくりと着陸すると

 

「減らず口が耐えない男ねぇ…いいわぁ、お望み通り正面から相手してあげるわぁ。けど後悔しないでねぇ」

 

 女は余裕な表情を崩さずに両手に、紅い槍を具現化させた。

 

「へッ!こっちこそテメェのその余裕そうな面を崩してやるよ」

 

 マギもエヴァンジェリンに教わった断罪の剣を両腕に展開した。

 

「亜子、取りあえず俺が見えるぐらいの所で隠れていてくれ」

 

「ちょッちょっと待ってぇなマギさん!ウチ今の状況が全然わからんわ!何がどうなってんや!目の前のエロいお姉さんの背中から翼が生えたり、マギさんの手からはビームみたいなのが出てるし。何やウチ頭が可笑しくなったんか!?それともこれは夢なんか!?」

 

 亜子は行き成り現実離れな出来事を目撃して自分は頭が可笑しくなってしまったのかと、マギにそう訪ねたがマギは残念だが此れは現実だとそう返した。

 

「行き成りの事で混乱してるかもしれないが、これは現実だ。だがこれだけは言って置く、何があってもお前は俺が護る」

 

 マギが亜子の方を向いて俺が護ると言ったら、亜子は顔を赤くしながらあたふたし始めた。

 それ位の元気があるなら大丈夫だとマギがそう思っていると、女が両手の槍を振り回しながらマギに向かって行った。

 マギは女の槍を断罪の剣で受け止める。

 

「全く人間はそうやって護る護るなんて言ってぇ。反吐が出るわよぉ」

 

「そうか?人間ってのはなぁ、護るもんが居れば何時もよりも何倍もの力を出せるんだよ」

 

 マギと女は鍔迫り合いをして一回離れると、またもや斬り合った。

学園都市内でネギ達よりも早く、戦いが始まろうとしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回出て来たマギと戦っている女は
ハイスクールD×Dのレイナーレが作者としてのイメージですはい


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