堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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惚れ薬騒動

 ネギとマギが麻帆良学園中等部、2のAに担任と副担にとして就任して1日が経った。その翌日の午前5時、この日の始まりは…

 

「キャアアアッ!!」

 

 麻帆良学園女子寮のとある部屋の悲鳴から始まった。

 

「ああアンタ!!なんでアタシのベッドに入ってるのよ!?」

 

 悲鳴の正体はアスナだったようで、ネギが自分のベッドに(ちなみに二段ベッドで上にアスナで下がこのかとなっている)潜り込んできたから悲鳴を上げたようだ。ネギもアスナの悲鳴で起きたのか、寝ぼけ眼をこすっていた。

 

「あう…お姉ちゃ…ってアスナさん!?すッスイマセン!僕何時もお姉ちゃんと寝ていたもので…!いつもの癖で抱き着いちゃいました!!」

 

 ネギはネカネ以外の女性に抱き着いて寝ていた事に顔を赤くしながら、謝った。アスナは何よそれ!?とネギの眠り方に文句を言っていた。

 

「ちゃんとソファを貸してあげたじゃない!まったく本当にコドモね…ってああッ!?」

 

 アスナは目覚まし時計を見て、慌てはじめた。そしてネギが見ている前で、寝間着を脱いで制服に着替え始めた。ネギは恥ずかしさのあまり後ろを向いた。

 

「もう5時じゃない!!ゴメンこのか!!朝ご飯はいらないから!!行ってきまーす!!」

 

 そう言いながら、アスナは急いで寮を飛び出して行った。ネギは慌てて出て行ったアスナを呆然としながら見送った。

 

「あの、アスナさん。何処に行ったんですか?」

 

 ネギは起きたばっかりのこのかにアスナ行先を聞いた。

 

「んーバイトに行ったんよー」

 

 このかはウーンと伸びをすると、パジャマのままエプロンを付けた。

 

「ネギ君、朝ご飯作ってあげるよ。目玉焼きとスクランブルエッグどっちがええ?」

 

「あ…じゃあ目玉焼きで」

 

 ネギの要望にこのかは分かったよーと朝食を作り始めた。ああそれとーと言いながらこのかは

 

「マギさんも起しといてなー」

 

 このかにそう言われ、マギを起すことになったネギ。そのマギはと言うと…

 

「zzzzzzzzzzz」

 

 ソファに寝転びながら、羽毛布団を上にかぶり目にはアイマスク、耳には耳栓と完璧なスタイルで眠っていた。マギは眠る時は誰にも邪魔されたくないため、光と音を完全にシャットダウンするのだ。

 

「お兄ちゃん!もう朝だよ!早く起きて!」

 

 ネギがマギの体を揺すった。普通だったらこれで起きるだろうが、しかしマギは…

 

「zzzzzzzzzzz」

 

 起きる気配が無かった。そうマギは一度寝てしまうと自ら起きようとしない限り、目を覚ますことが無い。そのためネギや一緒に寝ていたネカネを困らせていた。

 

「朝ご飯出来たよーってマギさん起きないなー」

 

 朝食を運んできたこのかが未だに寝ているマギを見た。

 

「ごめんなさい…お兄ちゃんって自分から起きない限りは絶対起きなくて…」

 

 ネギはマギを起せなかったことに謝ったが、このかはこまったなーーと苦笑いをしていた。

 

「困ったなー早くしないと遅刻しちゃうんよ…マギさんおきてーな、朝ご飯できたえー」

 

 このかはネギより強くマギを揺すったが

 

「zzzzzzzzzネカネ姉は心配しすぎなんだよ…zzzzzzzzzzz」

 

 と寝言を言う始末。このかはほんまにどうしようかーと困っていたが、寝坊助を絶対に起こせる方法を思い出した。それはとあるRPGゲームで主人公を起したシーンで。さっそくやろかーーーとこのかは、台所からおたまとフライパンを持ってきた。ネギは何故このかが、おたまとフライパンを持ってきたのかが理解できなかった。このかはマギの耳から耳栓を抜き取ると、そのままネギに渡した。

 

「あのこのかさん?何でおたまとフライパンを持ってきたんですか?」

 

「ああ、これは直ぐにわかるよーあ、ネギ君耳栓はしっかり付けといたほうがええよ?かなり煩いと思うからなー(・・・・・・・・・・・)

 

 このかに言われた通りにネギは耳栓をしっかりと付けた。それを確認するこのか。そしておたまとフライパンをマギの耳元に近づけた。そしてコホン!可愛らしい咳払いをすると

 

「ほんならいくでー秘技!死者の目覚めー」

 

 ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!

 

「!!うひょああああッ!!?」

 

 ネギは余りの騒音に素っ頓狂な悲鳴を上げてしまった。死者の目覚め。それはとあるシリーズのRPGの第2作目のタイトルの主人公が物凄い寝坊助だったため、見てられない妹が編み出した起床技であり、それは死者でも起き上がってしまうと言われるものであった。これにより主人公は死者の目覚めでしか起きられなかったのである。話がそれてしまったが、その死者の目覚めを耳元で聞かされたマギはと言うと…

 

「!!ウオワァァァァッ!!」

 

 行き成り耳元で騒音を聞かされ、マギは飛び起きてそのままソファから落ちてしまって、鼻を床にぶつけてしまった。マギはぶつけてしまった鼻を押さえて呻いていた。

 

「マギさん朝になったよー朝ご飯たべてーなー」

 

 このかはマギが起きたので笑顔でそう言った。マギは付けていたアイマスクを上にずらして、窓の外を見た。

 

「なんだよまだ暗いじゃねえか。もうちょっと寝かせてくれて「また寝たら又死者の目覚めやからなーーー」………わかった起きるよ」

 

 マギは外を見てまだ暗いと文句を言いながら、2度寝しようとしたが、このかがにっこりと笑いながら、おたまとフライパンを掲げているのを見て、マギは2度寝をするのをあきらめた。そしてネギとマギにこのかは朝食を取る事にした。

 

 

 

 朝8時、麻帆良学園中央駅にて全力疾走で校舎に向かっている生徒の中にネギとマギにアスナとこのかも居た。

 

「全くもお!バイトには遅刻しちゃったし、アンタ達を泊めるんじゃなかったわよ!!」

 

「ええッ!?僕のせいですかぁ!?」

 

 アスナに怒られ、何故自分のせいなのかとツッコむネギ。そんなネギとアスナを見て仲悪いなーー2人と言うこのか。マギは大きな欠伸をしながらアスナとネギのやりとりを見ていた。

 

「いいこと?」

 

 アスナはネギに近づいて、ネギの耳を引っ張った。耳を引っ張られたネギはヒャイ!と情けない悲鳴を上げた。

 

「アンタ達が魔法使いって事を知っているのはアタシだけなんだからね。いい加減おとなしくしないとばらすわよ。クラスの皆とかマスコミに、そしたら大騒ぎになってアンタなんか魔女裁判で磔で火炙りの刑よ!!」

 

「エェェェェェェッ!!!」

 

 ネギは自分が磔にされて火炙りにされてるのを想像して悲鳴を上げた。うわーすっげー熱そうだなって死んじまうか火炙りじゃーと呑気な事を言っているマギだった。

 

「冗談よ。でもこれ以上アタシに逆らうんじゃないわよ」

 

 アスナに言いきられてしまい、僕先生なのに…と落ち込むネギ。だが直ぐに何かを思い出して、アスナに近づく。

 

「あの…アスナさん?昨日言ってた魔法の惚れ薬は如何しますか?本当に4か月位で出来ますけど…」

 

 ネギの惚れ薬という言葉にあれ?と何か大切な事を忘れてる気がした。

 

(なんか惚れ薬に付いてじーさんになんか口酸っぱく言われた気がするんだが…まあいいか。俺が忘れるんだからどうせどーでもいい事だろし)

 

 …そんな呑気な事を考えていたが、ネギの言う惚れ薬がこの後にとんだ大騒動を起こすとはネギもマギも知る由が無かった…

 

 

 

 

 

 行き成り時間が飛んでの昼休み、マギは中等部の校舎の近くにあるベンチで昼食をとった後、いつも通りにタバコを吸っていた。午前中は授業が無く、職員室でボーッとしてるか、のどかから貰った本を読んでいるか、しずな先生と他愛のない世間話をするだけだ。まあついでに授業内容の予習などもぼちぼちとやっていたが。

 そんな遣り取りをやっている間にまたネギがトラブルを巻き起こしたようだ。なんでもネギの英語に授業時に、アスナに英文の和訳をする様にしたのだが、アスナはヘンテコな和訳をしてネギに英語は駄目だと皆が居る前で笑いながらそう言って、クラスの殆どに笑われるという恥ずかしい目にあったアスナ。当然皆に馬鹿にされ怒り心頭となり、笑われる事になった原因のネギに食って掛かり、揉め合いになったのだが、又ネギの武装解除の魔法が暴発。下着姿になったアスナに授業終了時間まで睨まれていたそうだ。

 授業の出来事を聞いたマギは呆れて物が言えなかった。今回のもそうだが、完全にネギが悪い。仮にも教師としての立場なのに、生徒に向かって駄目と言うのは教育者としてあるまじき発言である。まあ思った事をはっきりと言ってしまう所を見ると、やっぱり子供なんだな~と思うが、それでも教師としての立場として、其処の所はよく考えて発言してほしいものだ…とタバコを吸い終り、新しいタバコを咥えながらそう思ったマギである。

 

「ハァ、午後の授業行きたくねえなあ。絶対アスナに文句言われるぞ『お兄さんなんだからちゃんと弟の躾位しとけ』って絶対言うだろうな。彼奴の性格からして…」

 

 と溜息を吐き、タバコの灰がボロボロ落ちているのに気付かず、ボーッとしていたマギ。すると

 

「あの…マギさん」

 

 自分の名前を呼ばれ、ハッとするマギ。呼ばれた方向を見てみると、其処にはのどかと夕映にハルナの3人が其処には居た。

 

「おお、のどかに夕映にハルナじゃねえか…って」

 

 マギは3人のと言うよりのどかをじっと見つめた。見つめられているのどか本人は顔を赤くしていたが、数秒経つとマギがおおそっか!と手を叩いた。

 

「のどかお前髪型変えたか?もしそうだったら初めて会った時よりも似合っているし可愛いぞ」

 

 そうのどかの髪型が変わっていたのだ。相変わらず目元は隠れているのだが、それでも前の髪型よりは可愛らしい。のどかも自分の髪型を可愛いと褒めてもらって嬉しそうに表情が緩んだように見えた。

 

「でしょでしょ!?マギさんもそう思うでしょ!?この子可愛いのに顔を出さないのよ!」

 

 ハルナはそう言いながらのどかの前髪を上げて、顔が見えるようにした。マギはのどかの顔を見てへぇと呟いた。前髪を上げたのどかの顔はハルナの言う通り、可愛らしい顔立ちをしていた。それに加え恥ずかしさで顔を赤くしているのが、可愛らしさを際立たせた。のどかはマギに顔を見られたのが恥ずかしかったようで、すっ飛んで何処か走り去ってしまった。

 

「あーのどかー」

 

 夕映が間の抜けたような喋り方でのどかを追いかけて行った。

 

「ああちょっと待ってよのどか!ゴメンマギさん!!また後で!」

 

 と言いながらハルナものどかを追いかけるために、マギの元から走り去って行った。行き成り現れて、行き成り去って行った3人を見て、アイツ等何しに来たんだ?と思っていると

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 午後の授業が始まる10分前のチャイムが学園内で鳴り響いた。そろそろ5時間目の授業が始まる。5時間目は自分が教える歴史の授業だと伸びをした。そして一回職員室に向かい授業に必要な物を持ち出すと、Aクラスに向かった。数分もしないうちにAクラスにたどり着いて、マギは教室のドアを開けた。

 

「おおいテメェ等、午後の授業が始まるぞぉ。さっさと席につ…」

 

 けと最後まで言おうとしたが、マギに何か液体の入ったシリンダーが飛んできたのだ。そしてシリンダーはマギに向かって行きそして…

 

「ムグッ!!?」

 

 マギがシリンダーを咥えてしまった。マギは何なのか一瞬理解出来なかった。その間にもシリンダーの中に入っていた謎の液体はどんどんマギの口の中に入ってきて、マギは謎の液体を全て飲み込んでしまった。そして空になったシリンダーを口から外すと、ゴホッ!!ゴホッ!!と大きく2回むせると。空となったシリンダーを掴んで掲げると

 

「今このシリンダーを投げたのは誰だ!?怒らねえから名乗り出て来い!」

 

 と言っても誰も名乗り出てこなかった。代わりに青い表情になっているネギの姿が凄く目立ち、マギは今シリンダーを投げたのがネギだと瞬時に分かった。そしてネギの元に近づきシリンダーを渡すと、いつも通りにネギの頭をハリセンで思い切り叩いた。

 

「何馬鹿な事やってるんだよお前は…もし生徒にあたったら怪我どころの騒ぎじゃねえぞ」

 

 マギに怒られ、慌てて謝った後にシュンとしてしまったネギ。反省しているようで、それ以上何も言わずに、いつものようにネギの頭を撫でた。

 

「そろそろ俺の授業が始まるからな、お前は職員室に戻っておけ」

 

「うん…分かったよお兄ちゃん」

 

 ネギはマギに撫でられて少しだけ笑顔になったが、マギに怒れたのがまだ少しだけ来ているのか、ゆっくりとした歩みで職員室に戻って行った。そんなネギを心配そうに見ているアスナ。

 

「ちょっとマギさん、ネギだってワザとやったわけじゃないのよ?それなのにハリセンで叩くのはあんまりじゃない?」

 

 実の所、ネギがシリンダーを投げたしまったのにはアスナにも原因があったのだ。どういう事かと言うと、昼休みネギの事で苛々していた時にそのネギ本人が登場。手には怪しい液体が入っているシリンダーを持っていた。何でも惚れ薬みたいな物を作ったらしく、恥ずかしい目にあわせたアスナへのお詫びとして作ってきたのだが、アスナは受け取る事を拒否した。それでもネギはアスナに渡そうとして取っ組み合いとなる。遂にはアスナがシリンダーを払ってしまったが力が強すぎて、ネギの手からシリンダーが離れてしまった。そしてマギが来て今に至るという訳だ。それを聞いてマギはフフと小さく笑うと

 

(まったくアイツは真面目だな。まぁ真面目がアイツの良い所でもあるがな……本当に誰に似たんだか)

 

「まぁネギが作った惚れ薬だが恐らく失敗だな」

 

「え?如何してそんな事が分かるの?」

 

 とアスナが聞いてきた。当たり前だマギは言う。

 

「俺はネギの兄貴だぞ?いくら不真面目なマギさんでもな、そん位の知識は持ってるんだよ。まあ話を戻すが、惚れ薬ってのはなその薬を飲んだものは、異性を見てしまうと見られた異性は必ず薬を飲んじまった奴の事を好きになってしまう」

 

「マギさんが言ってる事が正しければ、アタシはもうマギさんの事を見ているのにマギさんの事を好きにならない。という事はネギが作った薬は失敗作だったのね?でもそんな失敗作を飲んで平気なの?」

 

 アスナがマギを心配そうに見ていたが、まあ大丈夫だろと呑気な顔でそう言ったマギ。

 

「別に危ない毒性の物を使ったわけじゃないだろうし、心配することもないだろ?」

 

 とマギがそう言った次の瞬間に、5時間目の授業を始めるチャイムが鳴った。

 

「さてと、授業の時間だ。アスナもさっさと自分の席に着きな。あ、あともし又俺の授業を聞いてなかったらコレな」

 

 とマギが手をでこピンを打つ形にした。アスナはマギのでこピンを思い出し、素早く席に着いた。アスナが席に着いたのを見ると、マギも教卓に着いた。

 

「さて授業を始めるぞ。あやか、号令を頼む…あやか?」

 

 返事が無い。前日は委員長でもあるあやかが授業の開始と終了の号令をしてくれているのだが。見ればあやかが、心此処に非ずと言った状態で、ボーッとマギを見ていた。

 

「おいあやか。お前大丈夫か?ボーッとして」

 

「ッは!?ああ申し訳ありません!委員長である私としたことが!授業開始時に気が抜けるなんて!」

 

「本当に大丈夫か?無理しないで保健室に行ってもいいんだぞ?」

 

「いえ御気になさらず!マギ先生は授業を始めてくださいな!!」

 

 あやかが大丈夫と主張しているので、マギはそのまま授業を始める事にした。あやか号令をして、皆もあやかの後に続いて礼をした。

 

「さてと今日は昨日の続きからやるぞ。教科書を開けー」

 

 

 

 何かが可笑しい。授業をやっていて、マギはそれが気になっていた。別に昨日みたいにアスナに授業を妨害されているわけではない。それどころか、みんな真面目に授業に取り組んでいるのだが、今日は何か変だ。

 一言で言うなら…クラス中の空気が何処か、カワイイ言葉で言うならフワフワしている感じだった。だがクラス全員ではなかった。10割中9割で、1割のアスナを含めたほんの数人だけが普通の状態だった。

 兎に角殆どの生徒がボーッとしているか、顔を赤くしていたのだ。最初は集団の風邪か何かかと思ったが、それは有りえないと瞬時にその考えを止めた。話を戻すが、先程に授業での質疑応答をしたときに

 

「んじゃ亜子、室町幕府の第8代目将軍は?」

 

「はッはい!足利義政です!!」

 

 出席番号5番の和泉亜子が正解を言う。マギは正解だと言うと、亜子は過剰に喜んでいた。その後にも何人かに問いに答えさせ、問いに正解すると喜んでいた。そして、授業の終了をチャイムが鳴った。

 

「んじゃ今日の授業はこれで終わりだ。各自に予習と復習をしっかりしとけよ」

 

 と生徒達にそう言い残すと、マギは教室を出ようとしたが、このかやあやかに風香と史伽の双子に、7番の美砂に11番の円に17番の桜子のチア3人組がマギの前に現れた。

 

「如何したお前ら、分からない所とかがあったのか?」

 

 マギがこのか達にそう訪ねたが、このか達からは何の反応が無かった。マギはこのかの顔を見てみたが、ボーッとして大丈夫そうではなかった。おいこのかとマギはこのかの名前を呼ぶと

 

 グリグリ~

 

 このかが行き成りマギに抱き着いて来てマギの体に顔を埋めた。マギとマギを遠くから見ていたアスナは目を点にして、は?と言葉を零した。

 

「マギさんってよく見ると、なんかすっごくかっこええなー」

 

 そう言いながら、このかはマギの体にグリグリと顔を埋めていた。マギは行き成りの事に呆然していたが、このかのやっていることに気づき慌てだした。

 

「おッおいこのか!?何やってるんだよ!!?お前そんなキャラじゃないだろ!!?」

 

 マギはこのかを引き剥がそうとしたが、しっかりと抱き着いて離れない。その間に今度はあやかが、高そうな花束をマギに渡してきた。

 

「愛らしいネギ先生とは違い、凛々しいマギ先生へ、この花束をどうぞ」

 

「ちょっと待てあやか!お前絶対可笑しいショタキャラが崩れてねえか!?」

 

 あやかがマギにプレゼントするなんて可笑しい。はっきり言う、壊れていると、と今度はチア3人組があやかを突き飛ばしてマギに詰め寄った。

 

「マギさん!家庭科でケーキ作ったんだ!食べて!」

 

「ちょうど大人用の服をくぎみーと造ったので着てみてください!!」

 

 と桜子がケーキの皿を持ちながら、円と美砂が服を持って押し倒してきた。そしてズボンを脱がしてきた。この3人も顔が赤くなっていて興奮状態で正気ではなかった。

 

「マギ兄!ボク達ともあそべーッ!!」

 

「遊ぶですーッ!!」

 

 と今度は風香と史伽がマギの体に伸し掛かった。と更に顔が赤くなっている生徒達が、マギに集まって来た。それはまさに生者に群がるゾンビの如く。

 

(若しかしなくても、ネギの作った惚れ薬は成功してたのか!?でもアスナは別に平気だったし、どうなってるんだ!?)

 

 円と美砂がズボンを脱がす力が強くなっていた。これ以上は流石に本当にマズいとそう思い。力を入れ始めた。

 

(こいつ等を怪我しない様にうまく調節しないとな。これがメンドイのに…怪我したらゴメンな!!)

 

 と内心で謝ると魔力で身体能力を上げる。

 

「ウラァッ!!」

 

 マギは叫びながら思い切り起き上がった。このか達はキャッ!と短い悲鳴を上げながらマギの体から振り落とされた。幸いこのか達に怪我は見られない。それにホッとするマギ。すまんと軽く謝るとほぼ飛び出す形で教室を出て行った。数秒後にはマギを追いかけるために教室を飛び出してきた生徒達。そこからはマギと生徒達による追いかけっこが始まった。それとマギはなるべく女子生徒と目を合わすことはしなかった。これ以上追いかけてくる女子を増やさないためである。数分走っていると、全ての原因であるネギ姿が見えてきた。

 

「おッお兄ちゃん!?なんで走ってるの!?「説明は後でする付いてこい!!」グエッ!!?」

 

 ネギはマギに襟を引っ張られ、変な悲鳴を上げた。その間にも女子生徒達がマギ達を追いかけてきた。

 

「おいネギ!あいつ等を撒きたい!何処か隠れられる場所は無いか!!?」

 

「そッそれだったらこの先に図書室があるよ!隠れるには最適だよ!!」

 

 図書室か…とマギは呟いた。確かに図書室だったら隠れられるのには最適だ。

 

「ネギ、飛ばすからしっかり掴まれッ!!」

 

 ネギにそう言って、マギは魔力を完全開放する。爆発的な力により、マギは一瞬で追いかけて来る生徒達を撒いた。生徒達は行き成りマギが消えて驚き、マギが何処に行ったか彼方此方を探し始めた。

 その間にもマギとネギは図書室に到着し、追いかけて来る生徒達が居ないと分かるとフウと一息ついた。

 

「お兄ちゃん行き成り如何したの?」

 

 ネギは行き成りマギに連れてこられて驚いていたが、マギはネギを睨むとネギの頭にアイアンクローを食らわす。ギリギリとネギの頭が締め付けられる。

 

「イタタタタタタタッ!?お兄ちゃん痛いよ!!」

 

「黙れ馬鹿。お前が作った惚れ薬のせいでとんだ大騒ぎだ」

 

 と言い終えると、アイアンクローを止めた。ネギはマギのアイアンクローが痛かったのか、頭を摩っていた。そんなネギを見て、マギは溜息を吐いた。

 

「如何したのお兄ちゃん?」

 

「ん?ああ。さっきこのか達から逃げている時になヤバい事を思い出してな」

 

「ヤバい事?ヤバい事って何なの?」

 

 ネギが何がヤバいのか聞いてきた。ああヤバい事ってのはな、とマギは次の言葉を放つ。その言葉はネギを凍らせた。

 

「惚れ薬ってのはな……違法薬ってのに分類されてるんだよ」

 

「…え?」

 

 ネギは一瞬だが、呆けてしまったがマギが言った事を理解すると慌てだした。

 

「ええッ!?惚れ薬が違法薬って僕知らないよ!」

 

 マギはネギの慌てぶりに本当に知らなかったのかよと呟いて、手で顔を覆った。そしてネギに何故惚れ薬が違法薬なのかを説明した。

 

「いいかネギ?惚れ薬みたいな人の心を操るっていうのは魔法の法を犯しているんだよ。しかもめんどい事に惚れ薬を製造すると、最低でも20年はオコジョの刑だって話だし」

 

「2ッ20年!?」

 

 ネギはマギの20年という言葉に顔を真っ青になった。

 

「しかも惚れ薬を飲んでしまった者は50年のオコジョの刑で、惚れ薬を飲ませた者は30年の刑だという話だしな」

 

「50!?30!!?」

 

 ネギは尋常程ではない汗を流し始めた。ネギなんて惚れ薬を作って、挙句の果てにはワザとではないがマギに飲ませてしまった。製造の罪と飲ませてしまった罪を合わせて50年の罪である。しかもマギなんて飲んだだけで50年だ。ネギは自分とマギがおっさんになるまでオコジョになってしまう姿を想像してしまった。

 

「おお兄ちゃんどうしよう!?僕達立派な魔法使いになる前に立派な犯罪者になっちゃうよ!!」

 

「確かにヤバいそれに他の魔法使い(・・・・・・)にバレルのはマズイ」

 

 マギの言った他の魔法使いと言うのは、この麻帆良にはネギとマギ以外にも多くは無いが、魔法使いの学生や先生がいると学園長とタカミチから聞いてある。聞いてあるという事で、学園長とタカミチも魔法使いである。話を戻すが、此処の魔法使い達は、俗にいう正義の魔法使いであって、惚れ薬なんてものはもちろん許されないものである。もしかしたらもうバレテいるのではないかと考えてしまっている。

 

「兎に角俺は、惚れ薬の効果が切れるまでここで隠れてるからネギは此処でこのかやあやかがやって来ないか見張っててくれないか?」

 

「うんッ!分かったよお兄ちゃんッ!!」

 

 ネギは急いでこのか達が来ないか図書室を飛び出して、見張りを始めた。日本に来て早々問題を起して、強制送還された挙句にオコジョにされるなんてたまったもんじゃない。死ぬ気で見張りをするつもりである。

 マギは図書室のドアに鍵をかけると、漸く落ち着けると思い深い溜息を吐いた。ついでにタバコを吸おうと思って、懐からタバコを取り出そうと思ったが、図書室だし吸うのを止めた。とその時

 

 

 ガタンッ!!

 

 

 図書室に本が落ちる音が鳴り響き、マギはビクッとしながら音が聞こえた方を見ると、其処には…

 

「あっあのっマギ……さん?」

 

 本を持っていたのどかが居た。マギは現れたがのどかだと気づくと溜息を吐いた。どうやらのどかはチャーム状態になっていなかった。恐らくだが、目が前髪で隠れていたからだろう。

 

「何だのどかか。如何して図書室にいるんだ?」

 

 マギにそう聞かれると、のどかは顔を赤くしながらも言葉を詰まらせながら

 

「あっあの借りた本を返しに来たのと…マギさんが皆に追いかけられていたので…もしかしたら此処に…いるんじゃないかと思って…」

 

 のどかの言った事にそっかと安心したように疲れた様に言った。

 

「しっかし、この図書室には驚かされるな。本がこんなにあるなんてな」

 

「こ…この学園って結構古くて、昔ヨーロッパの職人さんが作ったんです。それに歴史も長いから蔵書数も多くて、でも大学部にある図書館島はこの図書室の何千倍もあるんです」

 

「へー。詳しんだなのどかって、今度その図書館島ってとこに案内してくれないか?」

 

 マギの誘いの言葉にのどかは顔が赤くなるのを感じた。

 

「あ…はッはい!いつか絶対案内します!」

 

 と言いながら、のどかは顔を赤くしながら、マギの元を去ろうと走り出したが、躓いてしまった。

 

「キャッ!!?」

 

「あぶねえッ!!」

 

 マギは倒れそうになるのどかの元に駆け付けた。

 

 ドシーーンッ!!

 

 のどかは倒れた時の衝撃に耐えるためにギュッと目を瞑っていたが、何も起こらなかった。のどかは恐る恐る目を開けると

 

「イテテテ……のどか、大丈夫か?」

 

 マギがのどかの下敷きになる形で倒れていた。マギのおかげでのどかは怪我をしないで済んだのだ。

 

「まっマギさん!?ごめんなさい!私のせいで!!」

 

「ああ気にすんな。生徒を護るのも先生の役目だから」

 

 マギが笑うと、のどかはさらに顔が赤くなり、何処かおかしくなっていた。ハァハァと息も荒くなっていた。

 

「お…おい、のどか?大丈夫かってうげ!!?」

 

 マギは慌てだした。何故ならのどかの前髪が上がってしまっていて、マギの目をばっちり見てしまっていた。のどかも惚れ薬の影響で可笑しくなってる。しかも、何だか段々とのどかの顔が近づいているように見える……いや絶対近づいている。マギは慌てはじめる。

 

「おッおいのどか!!これ以上はマズイ!俺達は先生と生徒の関係なのに流石に冗談では済まねえぞ!!?」

 

「あっはい…そうですね…ごめんなさい」

 

(言ってる事とやってる事が違うじゃねえか!!)

 

 遂にのどかとマギの距離が零距離まじかになった。もう駄目かと思ったその時

 

「どっせぇぇぇぇぇぇい!!!」

 

 

 バギャァァァァンッ!!!

 

 

 図書室のドアを誰かに蹴破られた。蹴破られたドアは大きい音を出しながら倒れた。のどかはドアが蹴破られた音にびっくりして気を失ってしまった。マギは普段は見せないような慌てた顔をしながら、のどかを横に寝かせると、ハァァァァァと溜息を吐いた。本当にどっと疲れた。でドアを蹴破った本にはと言うと

 

「マギさん大丈夫!?」

 

 ハァハァと荒い呼吸をしていたアスナが其処には居た。

 

「アスナ!?何でお前が此処に居るんだよ!?」

 

「このか達に追いかけられたマギさんが心配になって追いかけてきたのよ。途中でネギに会って、マギさんが図書室にいるって聞いて此処に来たんだけど、鍵がかかっていたから蹴破ったのよ…って本屋ちゃん!?マギさんアンタなにしたのよ!?」

 

「何もやってねえよ!!でも…助かった。アスナサンキューなおかげで助かった」

 

 アスナにそう言うと、マギは気絶しているのどかを抱き上げた。気絶させてしまったのはマギにも責任があるからだ。

 

「アスナ、俺はのどかを保健室に連れ行くから、後の事は頼んでいいか?」

 

「えッ!?まあアタシが出来る範囲なら構わないけど」

 

 アスナがそう言った間に、マギはのどかを保健室に連れて行った。数分後に惚れ薬の効果が無くなり、このか達は今まで自分達が何をやっていたか思い出せない様子だった。

 

 

 

 

 

 




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次回は話が飛んで、ドッチボールの話になるかもしれません

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