堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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オレノテガカリ

「はいネギ君、動かんといてな~」

 

「あたた…すみませんこのかさん」

 

 ネギがエヴァンジェリンの弟子入りのテストに合格したネギは、直ぐに寮に戻るとこのかに傷の手当てをしてもらった。

 傷口に染みる薬を塗っているため、傷口に染みり、ネギは目に涙を溜めていた。

 

「全くもぉ、何で男の子って何時もそうやって無茶するのかしらね。よく分からないわ」

 

 アスナは何時も無茶するネギに呆れていた。

 

「仕方ねえだろ。無茶な時でもやる時にはやるしかない。それが男ってもんだ」

 

 マギがロフトで片手腕立て伏せをしながらアスナにそう言った。そういうものなのかしらね…と呟くアスナ。

 

「というか何でマギさんが寮に戻ってるの?」

 

 アスナは如何してマギがアスナ達の部屋に戻ってきているのかを尋ねた。尋ねられたマギは腕立て伏せを続けながら

 

「なんかエヴァの奴が思っていたよりも修業の進み具合が早いようでな、次からは修業のスピードを遅くするらしい。だからもう泊まり込みの修業は終わりだ」

 

 まぁ修業のためにエヴァの家に行くのは変わりないけどなとマギはそう答える。

 ふ~んとマギの説明に納得したアスナは未だに腕立て伏せをしているマギをジーッと見ていた。

 

「なんていうかマギさん、エヴァちゃんの所で修業したからかな…雰囲気?が何か違う感じ」

 

 アスナはマギが纏っている雰囲気が少し違うように感じ取った。

 

「まぁこれからはメンドイなんてあんまり言ってられないからな、少しでも変わらないと」

 

 マギは少しでも強く変わろうと考えを改めているようだ。

 

「成程ね~そう言えば話は変わるけど、何でこのかはネギの治療をあの凄い魔法でしないの?あれだったらチョチョイのチョイじゃない」

 

「あ~それなやけどな~あの時は無我夢中やったからなぁ…ウチ魔法はまだよく分からんし」

 

「だったら今度エヴァに魔法の使い方を教えて貰え。エヴァの修業は厳しいが分かりやすく教えてくれるぞ」

 

 マギがエヴァンジェリンに教えて貰うように提案する。

 

「いや~しかしよかったですね兄貴、あのエヴァンジェリンに修業してもらう事は今後の兄貴にとって大きな収穫になるはずですぜ!」

 

 カモはネギにこれからですぜ!とネギを励ます。治療が終わりネギもこれからだと握り拳を握った。

 

「後中国拳法もちゃんと鍛錬しとけよ。古菲にこれからも教えて貰うんだからな。深夜の時にも言ったが、お前は中国拳法をただ覚えて真似していただけだ。格闘戦は頭で理解するだけじゃ駄目だ…長い時間をかけて正しい形と用法を体に覚え込ませないと、俺よりも強い奴と戦っても勝てないぞ」

 

 マギの忠告もネギはしっかりと肝に銘じていた。

 

「所でネギ、あの手がかりの地図はどうなったのよ?」

 

「それなんですけどね、実は…」

 

 ネギがアスナに説明用しようとしたら、チャイムが鳴った。このかが出ようとすると

 

「待てこのか俺が出るヨッと」

 

 マギが片手でロフトから跳び上がり、空中で一回転すると床に着地し玄関の方に向かった。

 

「マギさんって何か、アタシ達と次元が違う人になっちゃったのかしら…」

 

「アハハ、お兄ちゃんが凄すぎてなんて言っていいのか分かりません…」

 

 ネギとアスナはマギが自分達よりも凄くなっているのを見て呆然としてしまった。

 

 マギは玄関を開けると其処には茶々丸が居た。

 

「おぉ茶々丸か、何か用か?」

 

 マギが尋ねると茶々丸は何かを渡してきた。これは?とマギが尋ねると

 

「マスターからネギ先生の傷に良く効く傷薬を、それと美味しいお茶を持ってきました」

 

「そっか、すまねえな茶々丸。助かるぜ」

 

 マギがお礼を言うといえ此れぐらいと茶々丸は言うが、直ぐに何処か申し訳なさそうな表情になる。如何したんだよとマギが聞くと

 

「本来ネギ先生と試験として試合をするのは私だったはず、マギ先生にネギ先生と戦わせると云う辛い事を押し付けてしまったと思うと申し訳なく…」

 

 茶々丸がそう言うが、おいおい何言っているんだよとマギが肩を竦めると

 

「むしろ逆だろうがよ。生徒に殴り合いをさせるわけにはいかねぇよ。兄弟だからこそ殴り合いが出来るんだ。でも俺やネギの事を思ってくれてありがとな」

 

 マギが茶々丸に笑いかける。マギに笑いかけられて茶々丸は思わず呆然とする。

 マギは如何した茶々丸?と首を傾げながら茶々丸を覗き込む。ハッとする茶々丸は

 

「いえなんでもありません…あのわッ私はこれで失礼します…」

 

 それだけ言うといそいそと立ち去ろうとするが

 

「待てよ茶々丸。折角来たんだもう少しゆっくりしとけよ」

 

「そうですか…ではお茶をお入れ致します」

 

 マギに言われて茶々丸はマギ達にお茶を振舞う事になった。しばらくするとどたどたと走って来る音が聞こえ、チャイムを鳴らさずに玄関が開いた。やって来たのはまき絵である。

 

「ネギ君ネギく~ん!選抜テストに受かったよ~!」

 

 まき絵が喜びながら、大会に出場するための選抜試験に合格できたことをネギに報告した。

 

「本当ですかまき絵さん!?おめでとうございます!」

 

「うん、私やったよネギ君!」

 

「よかったじゃないまきちゃん。丁度いいからお祝いのお茶会でも開こうか?」

 

「ええなそれーウチも賛成や」

 

 とまき絵へのお祝いとしてお茶会を開くことになった。

 

「ってうひゃあ!まッマギさん!?」

 

 まき絵はマギがいる事に気づき、思わず身構えてしまう。

 

「…まぁ分かってたけど少しだけ傷つくよなぁ」

 

 とまぁマギが軽く傷ついてはいるが、ワイワイとお茶会を開始した。

 お茶会で騒いでいると夕映とのどかが玄関前にやって来ていた。

 

「毎回思いますが、相変わらず騒がしい部屋です」

 

「まぁまぁ夕映」

 

 夕映がチャイムを押すとアスナが出て来た。

 

「あ夕映ちゃんに本屋ちゃん、如何したの?」

 

「今日は明日菜さん。実はマギさんとネギ先生に内密の話があるんです」

 

 

 

 

 

 

 

 軽いお茶会も終わり、マギ達は夕映達に連れられて学校の図書館に向かっていた。

 今日は学校が休みという事で、図書館には誰も居ないので静かであるが

 

「ええッ!夕映ちゃんがあの地図から手がかりを見つけたの!?」

 

 アスナの大声で一気に騒がしくなった。すこし落ち着けとアスナを注意するマギは、夕映に本当なのか改めて尋ねる。

 本当ですと夕映はネギから貸してもらった手がかりの地図の拡大コピーの数枚を机に広げた。

 

「拡大コピーの8枚目の幻の地底図書室の拡大地図の部分です。ネギ先生は行方不明のお父さんを探していると聞きました。そしてこの地図に手がかりがあると思われるです」

 

 此処ですと夕映が指を差した場所にはブイサインをしているナギのイラストが、そしてその隣に書かれていたのは

 

「オレノテガカリ…おれのてがかり…俺の手がかり」

 

 実はちゃんと手がかりが地図に載っていたのだ。暗号でもなんでもなかったのであった。

 

「あッあれ?日本語だったから見落としてたのかな!?」

 

 ネギはあれほど暗号だとか何とか言ってたのを思い出して、慌てる素振りを見せて誤魔化していた。

 

「前から思ってたけど、ネギって時々抜けてる所が有るわよね…」

 

「やれやれ、将来が不安だぜ」

 

 アスナとマギが苦笑いをしていた。

 だがこれでナギへの手がかりが一つ見つかったという事だ。ネギは喜んでいると

 

「ネギ先生そしてマギさん、私はお二人に聞きたい事があるです」

 

 夕映はマギとネギを見ながら一回深呼吸する。

 

「修学旅行の時、自分で言うのもファンタジックなのですが…有りえない出来事やそしてお二人のお父さんの捜索で私は1つ認めざるを得ない事があるです。ネギ先生そしてマギさん…貴方達は魔法使いですね?」

 

「ええッ!それは…」

 

 ネギは夕映が言った事をどう言い訳していいのかあたふたしていると、安心して下さいですと夕映が

 

「今回の事はのどかにしか言ってません。というかのどかは先にマギさんが魔法使いだという事を知っていたようですが…」

 

「あぅごめんね夕映、マギさんが秘密にしてほしいって」

 

 のどかは親友である夕映に黙っていた事を謝っていたが、まぁそれはいいですと夕映は気にしていない様子だった。

 

「何故魔法使いの事を秘密にしなければならない理由も気になりますが、他にも気になる点は沢山あります。マギさんやネギ先生の話から推察すると、エヴァンジェリンさんが強力な魔法使いであり、この学園の学園長も魔法使い。それにこのかもです。それとこれが私が一番驚いた情報ですが、このかのお父上の話からして世界中にはかなり大規模の魔法社会が存在する事になるです…違いますか?」

 

 夕映の推察にネギは言い訳が不可能な状態だった。

 

(凄いな、あれだけの情報で此処まで…普段は勉強が嫌いなのにこういった時の頭の回転が速いんだな夕映は)

 

 マギは夕映の分析能力に感心していた。まだ夕映の話は続く。

 

「さらに私はこう考えたんです。学園の色々な不思議、広大な地底図書室に動く石像…そして巨大な世界樹。これらの不思議は全て、魔法使いがこの学園を造ったと云う説なら私は非常に納得が出来るのです」

 

 夕映のクワッとした力説にネギは思わずたじろぐ。

 

「ねえ今の夕映ちゃんの説は本当なの?」

 

「本当かどうかは僕も分かりませんが、恐らく合ってると思います」

 

 ネギは夕映の分析能力に驚きを隠せなかった。先程も言ったが夕映は確かに学校の勉強が嫌いでバカレンジャーとも言われている。しかし夕映自身は頭が悪い訳ではなく、こういった自分が興味を持ったものには頭の回転が速いのである。

 そこでお二人に提案がるんですと夕映は本題に切りだした。

 

「もしその手がかりを調べに行くのなら私達も連れて行ってほしいです。私達は図書館島やこの学園の秘密そして貴方達魔法使いの事を知りたいのです」

 

「でッでも夕映さん、魔法の世界は修学旅行でも体感したはずですけどどんな恐ろしい事が待ち構えているか…」

 

 夕映が付いていきたいと願い出て、ネギは夕映に魔法の世界がどんなに危険なのか教え、こっち側に来ないで欲しいと頼んだ。

 しかしそんな事を言っても今の夕映では火に油を注ぐようなものだ。

 

「構わないです!私達を連れて行ってほしいのです!」

 

 夕映は着いて来る気満々の様だ。ネギは何も言えずにたじろいでしまい

 

「すッすみません駄目ですぅ!」

 

 ネギは逃げ出してしまった。

 

「ちょネギ、アンタ逃げるんじゃないわよ!」

 

 アスナは逃げ出したネギを追いかける。図書室はマギとのどかと夕映だけになってしまった。

 

「ったくアイツは何やってるんだかな…」

 

 マギは逃げ出したネギを呆れた目で見ていた。それでとマギは夕映の方を見て

 

「それで夕映は着いていって俺ら魔法使いの事を知りたいって言ってたな。それは何でだ?」

 

「それは…」

 

 マギに理由を聞かれ、夕映は理由を話し始める。

 

「私はこの学校に入学した中一の時尊敬していた祖父を亡くし、何もかもがつまらなく、退屈な日々を過ごすのだと思っていたです。でものどかやこのかにハルナと一緒に図書館探検部に入部してからは色々と楽しかったです。けど…それでも何処か物足りなさを感じる時があったのです。そんな時にマギさん達魔法使いがやって来た…私は何処か嬉しかったのです。もっと自分が知らない事を知る事が出来ると」

 

「成程な、だけどよ夕映魔法使いの事を知って如何するんだ?」

 

「魔法使いを知ったその先をまだ考えてないです。でも今は魔法使いの事を知りたいそれだけです」

 

 マギは夕映の気持ちを知って成程なと頷いた。

 

「だけどな夕映、さっきもネギが言ったけどな魔法使いの世界は危険が隣りあわせだ。下手したら命を落とすかもしれない」

 

「構わないです、私は退屈な日々を延々と過ごすなら、危険な世界で冒険する方がましです」

 

 夕映の目は本気の様だ。夕映は退屈な日々を過ごすのなら、危険な世界を冒険する方がましだと訴えていた。

 今の夕映に何を言っても無駄だと分かったマギは頭を掻きながら

 

「分かったよ、けどな魔法使いの世界に足を突っ込むんだ。それ相応の覚悟を持ってもらうぞ。死んでも悔いが無いって言うなら着いて来い」

 

 マギのマジな顔にのどかと夕映は生唾を飲み込んだ。

 

 けど…ま心配すんなとマギは笑いながらのどかと夕映の頭を撫でまわした。

 

「お前らを死なせるつもりなんかあるもんか。俺が命を賭けてお前らを護ってやる。約束だ」

 

 マギに護ってやると言われて思わず2人は赤くなってしまった。

 

「よーし、そんじゃ明日の早朝に図書館島の地下へ潜入調査をするぞ。遅れんなよ、遅れたら容赦なく置いていくからな」

 

「「はい!」」

 

 マギは夕映とのどかと約束して、図書室で解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の早朝アスナは新聞配達のバイトでもう部屋を出ており、マギとネギはこのかにばれない様に部屋から出ようとしていた。

 そしていざ玄関を開けようとしたが

 

「はれ?ネギ君とマギさん何処行くん?」

 

 このかが寝ぼけながらマギとネギに何処に行くのか尋ねた。

 

「早朝のトレーニングさ。やっぱ毎日続けないといけないからな」

 

「このかさんは心配せずに寝てていいですよ」

 

「そっか~無理はしないようにな~」

 

 そう言ってこのかは二度寝した。

 マギとネギはホッと一息ついて玄関を開けた。

 外に出たネギとマギは出発する準備をし、準備が完了したネギはいざ出発しようとしたがマギがちょっと待てとネギを呼び止めた。

 なぜ呼び止めたのかネギは首を傾げていたが

 

「あと2人がこっちに来るからよ」

 

 マギが言った2人と云うのが誰だか分かり、もしかして…とネギがマギに誰が来るのか尋ねようとしたが

 

「お待たせしたです、マギさんネギ先生」

 

 準備をしていた夕映とのどか(寝起き)がやって来た。まだ寝ぼけているのかフラフラとマギとネギに近づいてきた。

 

「おぉちゃんと来たか」

 

 マギが呑気そうに来た夕映とのどかにそう言った。

 

「お兄ちゃん何でのどかさんと夕映さんが此処に居るの!?」

 

「ああ俺が付いて来てもいいって言ったんだよ。何を言っても夕映は聞きそうにないからな。まぁ諦めろ」

 

 マギが言ったのだ。ネギが何を言っても無駄だろう。ネギは何も言わなかった。

 

「今日は連れて行くが、危険だと分かったらすぐさま引き返すからな」

 

「はッはい!」

 

「了解です」

 

 のどかと夕映の返事にいい返事だと返したマギ。

 

「んじゃ図書館島まで飛んで行くから夕映とのどかは俺の腕に掴まれ」

 

 マギに言われて、のどかは右腕に夕映は左腕に捕まった。

 

 2人がしっかり捕まっているのを確認したマギは、そのままギュッと2人を強く抱きしめた。

 

「きゃッ!」

 

「ちょマギさん、行き成り何をするんですか!?」

 

 行き成り抱き着かれて動揺するのどかと夕映だが、マギは別に気にしてない様子で

 

「あんま騒ぐなよ、舌噛むからな。そんじゃ行くぞ」

 

 とマギが言った瞬間、のどかと夕映は自分の足から地面の感覚が無くなり、下を見降ろすと自分達が浮いてるのが分かった。

 そして少しづつだが、上昇し始めて上空100m程で止まった。丁度朝日が昇り始めて、麻帆良の学園都市を照らし出した。

 

「す…すごい私達空を飛んでいるです」

 

「まるで絵本の世界の出来事みたいです…」

 

 夕映とのどかは自分達が空を飛んでいると感動と興奮が入り混じった表情をしていた。

 しばらくするとネギが杖に乗ってマギの元へやって来た。

 

「御覧の通りだが、俺とネギは魔法使いだ。怖いか?」

 

「いえむしろ素敵です」

 

「私としてはどうやって空を飛んでいるかの事が不思議です」

 

 のどかはそうだが、夕映はどうやって空を飛んでいるかの方が不思議の様で、相変わらずだなとマギは苦笑いを浮かべていた。

 

「あの、空を飛んでいて下から見つかってしまう事は無いんですか?」

 

「心配すんなのどか、ちょっとした認識阻害の魔法がかかってるから普通の人間では見つかったりしないんだよ」

 

「成程よく分かったです」

 

 のどかが見つかったりしないのかと気になっていたが、マギが認識阻害魔法がかかっているから大丈夫だと説明し、夕映は納得したようだ。

 

「俺の周りにちょっとした魔法がかかってるから落ちる事は無いけど、怖かったらもっと俺にくっついていてもいいぞ」

 

 マギに言われてのどかと夕映もさっきよりもくっつきだした。

 

「よし図書館島に行くか」

 

 マギ達は図書館島に向かって飛び出した。

 

「そう言えばお兄ちゃん何時もは黒き翼で空を飛んでいたのにどうやって空を飛んでいるの?」

 

 ネギはマギが黒き翼を使っていないのに空を飛んでいるのはどうやっているのか聞いてみると

 

「エヴァの所で浮遊術を教えて貰ったんだよ。黒き翼よりもこの浮遊術の方が魔力の消費量が少ないからな」

 

 マギはネギに浮遊術の事を教えた。

 そんな事を話しているともう図書館島に到着した。やはり飛んで行ったお蔭で直ぐに到着したようだ。

 

「そんじゃ行くぞ」

 

 マギの呼びかけにネギ達は頷く。そしてマギ達は前に図書館島を脱出するときに登った長い階段を飛びながら下って行った。

 飛んでいるから簡単に目的地に到着するかと思いきや、地下から強力な上昇気流が発生し、押し戻されそうになった。

 

「うおッ!すげー風だなこりゃ、のどか夕映飛ばされない様にしっかり捕まれ!」

 

「きゃああああッ!」

 

「はッハイです!」

 

 のどかと夕映は吹き飛ばされない様にマギの体にしっかりとしがみついた。

 上昇気流も収まり、もう大丈夫だと思ったがお次は目の前に巨大な蜘蛛の巣が

 

「うおネバネバが体にくっついた!ネギ何とかしてくれ!」

 

「うッうん!」

 

 ネギは捕まったマギ達の周りの蜘蛛の巣を雷の魔法で焼き切った。

 蜘蛛の巣以降は何も問題なく目的の地下に到着した。

 

「さてと一応何とか到着したが、これ以降は侵入者撃退用のトラップとかがあるはずだから警戒しないとな」

 

「そうだねお兄ちゃん。のどかさんと夕映さんも気を付けて」

 

「はい…」

 

「分かっているです」

 

 のどかと夕映も警戒しようしたその時夕映がカチッと何かボタンを踏み抜いてしまった。

 何か嫌な予感がした次の瞬間、ゴゴゴゴゴゴと何か大きい物が此方に近づいている音が聞こえだす。

 マギ達は顔を青くしながら後ろを振り返ると巨大な岩の球が此方に迫ってきていた。

 

「うわぁぁぁッ!」

 

「に逃げろぉッ!!」

 

「きゃああああ!?」

 

「私としたことが申し訳ありませんです!」

 

「うおおおお何かこんなシーン映画で見たことあるぞ!」

 

 迫りくる巨大な球に潰されない様にマギ達は必死に逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 迫りくる球を何とか回避して、マギ達は目的の場所に辿り着いた。

 到着した場所は前回マギ達が落ちた地底図書室よりもかなり奥にある場所で、目の前に巨大な扉があった。

 

「よ…漸く着いた…」

 

 此処まで来るのに道中様々なトラップに引っ掛かってしまった。首が跳ね跳びそうなギロチンに、穴から出てくる吹き矢。水攻めもあれば床から棘棘が出てきたりとおかげでボロボロである。

 しかしボロボロにはなったが、お目当ての場所に辿り着いたのなら良しとしようではないか。

 

「開きそうですか?」

 

「さぁな兎に角やってみるさ。ネギ手伝え」

 

「了解お兄ちゃん」

 

 マギとネギは扉が開くか試しに押してみた。しかし扉がうんともすんとも言わず開かなかった。

 なら押して駄目なら引いてみろと今度は手前に引いてみた。だがやはり扉はビクともしなかった。

 

「だめだ開かねえ。何処か錆びついてるんじゃないのか?」

 

「それは無いと思うけど…」

 

 押しても引いても駄目なら何処かに仕掛けがあるのではないかと考えたマギとネギは、扉周辺に仕掛けが無いか探し始める。

 マギとネギが仕掛けを探している間にのどかと夕映は手がかりの地図を再度見てみる。

 

「ねぇゆえゆえ、この地図に描いてあるこれなんだろ?デンジャーって書いてあるけど」

 

「何でしょうか?犬か猫ですかね?扉を守る門番でしょうか?」

 

 のどかと夕映は地図に描かれている犬なのか猫なのかよく分からないイラストに何なのかと考えていた。しかし猫や犬だったらよかったと直ぐに思うだろう。

 突如のどかと夕映はの頭上にベチャリと何かが落ちてきた。最初は地下の水が漏れたのだと思ったが、その水はベタベタしておりまるで涎の様だ。

 

「わぁ何これ~」

 

「ベトベトです…」

 

 のどかと夕映はベトベトの正体を確かめようと上を見上げて固まってしまった。マギとネギものどか達のように上を見上げて同じく固まってしまった。

 何故なら其処に居たのは犬でもなければ猫でもない。地底図書室で遭遇したドラゴンが目の前に居たのだ。

 

「コイツはあの時のドラゴン!何でこんな所に!?」

 

 マギは何故こんな所にあの時のドラゴンがこんな所に居るのかと考えていたが、マギはクウネル・サンダースの言葉を思い出した。

 

 ―この子は飛んでいた時に偶然と学生が来るような場所に迷い込んでしまったのです―

 

 クウネルの言葉が正しいのならこの場所が本来ドラゴンが居る場所なのだろう。

 

「グルルルル…」

 

 ドラゴンは威嚇をしながらのどかと夕映を睨みつけていた。

 睨まれているのどかと夕映は固まってるままで動けない様子だった。

 

「やべぇのどか夕映逃げろ!」

 

 マギが叫んでいる間にもドラゴンは2人を踏み潰そうと足を振り下ろそうとしていた。

 

「くそ!間に合え!」

 

 マギは魔力と気を開放してのどか達の元へ行こうとしたが、マギよりも先に動いてのどか達を助け出した。その助けてくれた者は

 

「茶々丸!」

 

 茶々丸がのどか達を助けてくれた。

 

「茶々丸如何して此処に?」

 

「マギ先生たちが気になって後をつけていたのです。それよりも早く脱出しましょう」

 

「おッおう、ネギ早く逃げるぞ!」

 

「うッうん!」

 

 茶々丸にいわれ、マギは浮遊術でネギは杖に跨り跳び上がり逃げ出した。

 ドラゴンは雄たけびを上げながら羽を羽ばたかせマギ達を追いかける。

 巨体の割にかなりのスピードで追いかけており、さらに口を開いて火を噴いてきた。

 

「なッ何か吐いたですー!」

 

「いやぁぁん!」

 

「てか特に俺を狙ってないか!?絶対前にボコった事根に持ってるぞアイツ」

 

 マギの言う通りでドラゴンはマギを執拗に狙っていた。恐らくだがマギに一回倒されたことを未だに根に持っているようだ。

 ドラゴンに追いかけられること10分ほどたったが、マギ達の目の前にマギ達が潜れるほどの抜け穴を発見した。

 

「あそこから抜け出すぞ!あれ位の穴だったらドラゴンも追ってはこれねぇだろ!」

 

 マギが言った通り、抜け穴はマギ達は通れることは出来たが、ドラゴンは抜け穴に入る事が出来ずぶつかってしまった。

 またもやマギ達を逃したことにドラゴンは悔しそうに雄たけびを上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドラゴンに追われながらも何とか脱出出来たマギ達。

 

「疲れた…たくドラゴン(アイツ)が居るなんてな。当分はあそこには行きたくねえぜ」

 

「だね、今の僕達じゃドラゴンに勝てるかどうか」

 

 マギとネギは深い溜息を吐いていた。

 

「しかし茶々丸おかけで助かったぜ。のどかと夕映を助けてくれてありがとな」

 

「いえマギ先生たちが心配で…でもマギ先生たちが無事でよかったです」

 

 マギは助けに来てくれた茶々丸にお礼を言った。

 

 一方ドラゴンの涎を頭に浴びて襲われそうになったのどかと夕映はというと

 

「ふぇぇぇ~怖かったですぅ」

 

 緊張の糸が切れたのか、腰が抜けて座り込んでいたのどかと

 

「フフフ…ちょっと大きめのトカゲ風情が私の頭に大量の涎を…いい度胸です。覚えているですよ」

 

 プルプルと震えており、決めたです!と何を決めたのかマギの方を見て、爆弾発言をした。

 

「マギさん私魔法使いになるです!魔法使いになってあのトカゲを退治してやるです!!」

 

「はッはぁぁ!?」

 

 魔法使いになると言いだし、マギは思わず声を上げて驚いてしまった。

 

「おッおま何考えてるんだよ!?魔法使いなんて早々簡単になれるもんじゃねえぞ!」

 

「そんな事は分かっているつもりです!ですがもう決めましたです。だからマギさん魔法についてご指導ください!」

 

 お願いしますです!夕映はマギに頭を下げていたマギが如何言って諦めて貰おうか考えていると

 

「ネギ先生一緒に頑張るです!目指すは打倒ドラゴン!!」

 

「はッはい!」

 

 と話がトントン拍子で進んで行ってしまった。マギは諦めるしかないと溜息を吐いて

 

「人間がドラゴンを退治するのに何年かかると思ってるんだよ」

 

「あははは…」

 

 のどかは打倒ドラゴンに闘志を燃やしている親友に乾いた笑い声を上げる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 今回の潜入調査は結局ドラゴンが現れた事によって殆ど収穫は無かった。

 しかしあのドラゴンがあの扉を護っているという事は何となく分かった。

 あの扉の先を知る事になるのは、修業でもっと力をつけた方が良いのだろう。

 それまでは手がかりを探すのは先になりそうである…

 

 

 

 

 

 


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