堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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今回で修学旅行編は終了です
長かった…
それではどうぞ


修学旅行終了

 修学旅行4日目、ホテルに戻ったマギ達は自分達の身代わりを回収するのに一苦労だった。

 アスナ達女性陣はなんとストリップショーを始めてしまい、何とか丸く収まったのだが、マギやネギの男性陣はしずな先生やあやかなどにキスを迫ってしまい、大騒ぎだった。

 これは新田先生の説教かと思いきや、ホテルの従業員に変装した本山の者達が誤って(・・・)教員達の飲み物にお酒を提供してしまったために、お咎めは無しとなった。

 身代わりも一応は騒動を起こすことなく?回収できたので一安心だ。

 

「いやはや全く一時はどうなる事かと思ったぜ」

 

「でも何も問題なくて良かったじゃんカモっち」

 

 和美とカモがそんな事を話していると奥の方からしずな先生が現れた。

 

「あら朝倉さん、班別の記念写真お願いしますね」

 

「はいはーい分かってるってしずな先生」

 

 了解でーすと言ってしずな先生と別れた。

 

「朝倉の姐さんは何か仕事が?」

 

「まぁ私は元々新聞部だからね。こう云った学校行事の記念写真を撮る仕事があるんだよ~」

 

 と和美は3-Aの班別の記念撮影へと向かった。

 和美が記念撮影(と云う名の盗撮作業)に勤しんでる間、本山にて激闘を繰り広げていたネギやアスナ達はというと部屋でゴロゴロと寝転んでいた。

 

「はぁ~こうやって寝転んでいると、昨日の戦いが夢だったんじゃないかって思っちゃうわね~」

 

「そうですねぇ」

 

「そうやねーやっぱり平和が一番やなせっちゃん?」

 

「えッはい、そうですねお嬢様」

 

 もぉまたお嬢様ってーとこのかがわざとらしく頬を膨らませてそう言った。しかしながら平和が一番、何もない事がなんて素晴らしいんだろうとアスナはそう思っていた。

 

「そういえばマギさんは如何したのよ?」

 

 アスナはマギの姿が無いのは如何してなのかネギに尋ねるが、ネギもマギが何処に行ったのか知らなかった。

 

「マギ先生なら先程マスターと一緒に京都の町を観光に行きました」

 

「「うわぁッ!?」」

 

 気配を消した茶々丸が背後から現れ、ネギとアスナを驚かせた。

 

「ちゃッ茶々丸さんビックリするじゃない!てか今マギさんエヴァちゃんと一緒に居るの?」

 

 アスナの質問にハイと肯定する茶々丸。

 

「昨日本山にてこのかさん救出に協力するならば、明日は一緒に京都を観光するという約束をしたのです」

 

 ―いッいいか茶々丸、明日は私とマギで二人っきりで京都を回るからな、いいか付いて来るなよ絶対付いて来るなよ!―

 

 赤面しながら茶々丸に喚き散らすように言ったマスター事エヴァンジェリンを見て可愛らしいと思う反面、自分の事を必要としなかった事に寂しさを感じていた茶々丸であった。

 

「へぇ~マギさんとエヴァちゃんが二人っきりで京都観光…ってあれ?」

 

(そう言えばマギさんって本屋ちゃんに告白されてあまつさえ事故だとしてもキスした仲なのよね?そこんところ考えてるのかしらマギさん…マギさんって一応はネギよりも女心が分かるけど偶に鈍感な所があるし)

 

 アスナにそんな事を思われているマギ本人はというと

 

 

 

 

 

「ぶ…ブエッキシッ!!う~風邪ひいてないのに、誰かが噂でもしてんのか?」

 

 とマギが鼻を啜っていると

 

「すッすまない…またせたな」

 

 黒のゴスロリに着替えたエヴァンジェリンがやって来た。

 

「ふ~ん」

 

 マギはエヴァンジェリンの頭からつま先までじっくりと眺めた。

 

「なッなんだ私の体をジロジロと見て!変な所でも有るのか!?」

 

 エヴァンジェリンが顔を赤くしながらマギに怒鳴った。いや別にと首を横に振りながらマギはエヴァンジェリンの頭を撫でまわし

 

「いやお前の服を見てたんだ。エヴァって黒の服が似合うよな。金髪と合って」

 

 とエヴァンジェリンの服を褒めた。褒められたと分かると気をよくしたエヴァンジェリンは

 

「とッ当然だ!この私は何でも似合うんだからな!」

 

 はっはっは!と高笑いをした。なんともまぁちょろいと言ったらちょろいもんである。

 

「さて…と無駄話も時間がもったいないからな。行きますか」

 

 京都観光に向かったのだ。と言ってもマギとエヴァンジェリンも京都の土地勘はあまりない。なので有名な場所に向かった。

 先ずは京都でも有名な金ぴかなお寺。

 

「しっかし日本も派手な事やるよな~お寺を金ぴかにするなんて。日本が昔黄金の国って言われていたのが頷けるぜ」

 

「あんなに金色で目が痛くなりそうだ」

 

 そんな嫌味も言っているが、実際は楽しんでいるエヴァンジェリン。他の観光者に頼んでツーショットの記念写真を撮った。

 お次は牛の像色々な部位をを撫でると御利益があるというパワースポットの場所へと

 

「そう言えばお前英語以外の科目が微妙だから頭でも撫でとけば?」

 

「おい!なんでこんな時で勉強の事を言うんだ!?」

 

 一応先生だし俺、とマギがそう思っているが牛の頭を撫でたエヴァンジェリン。成績を気にしてるのだろう。

 意外と可愛い所もあるんだなと思ってしまったマギ。

 お次は京都でも有名なお城なのにデカくなく一階建てのお城。

 

「日本のお城は全部が全部デカイものだと思っていたが違うんだな」

 

「そう云うお城ってものもあるんだろ。あとここの城は庭園とかもけっこう有名みたいだな」

 

 マギはガイドブックを見ながらエヴァンジェリンにそう教える。お城の中も綺麗だし、庭園には心を奪われてしまうほどだった。

 今更だが今の今迄徒歩で色々なとこを回っているので京都の街並みも見る事が出来た。

 とマギとエヴァンジェリンのお腹が鳴った。

 

「そういえばさっきからずっと歩き続けてたから腹が減ったな。どっかで休憩がてら軽く食べるか」

 

「そッそうだな!だったら京都と言ったら抹茶だろう!」

 

 何かベタだなとエヴァンジェリンのリクエストだが、マギ自身抹茶を飲んだことが無いのでいい機会だしとマギは軽く歩くと古風な甘味処があったので、そこで休憩がてら軽食を取る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

闇の魔法(マギア・エレベア)……んだそれ?」

 

 聞いた事の無い魔法にマギは首を傾げる。

 

「なッ!知らない…だと?」

 

 エヴァンジェリンは思わず絶句してしまい、食べようとしていたあんみつをこぼしてしまった。

 

「あぁ知らねぇよ。何だよ闇の魔法って凄い魔法なのか?」

 

 本当に知らない様で、マギは呑気にあんみつをぱくついていた。エヴァンジェリンは拳をわなわなと震わせながら

 

「お前が昨日本山で見せたあの姿、マギは魔力を取り込んだと言ったな?」

 

「あぁ取り込んだぜ?それが闇の魔法と何か関係があるのか?」

 

 マギの言った事におおありだとツッコむエヴァンジェリン。

 

「お前が使ったあの技法、あれは私が10年の歳月をかけて編み出した魔法…それをお前は何処で知ったんだ?」

 

「何処でってあんときは攻撃に使う魔法を自分の体に取り込めばスッゲー強くなれると思ったんだが…あれ?エヴァ今私が編み出したって言ったよな?」

 

 マギの問いにそうだと頷くエヴァンジェリン。それを聞いたマギははぁぁ~と項垂れた。

 

「なんてこった…誰も考えられなかった新必殺技だと思ったらもう誰かが使ってて、ましてやもう立派な名前もあるってさぁ。あれだよあれ…自分だけが知ってる物だと思って自慢してたらホントは皆知っていてそれで赤っ恥かく展開じゃねえかよ…穴があったら入りてぇ」

 

 マギは顔を恥ずかしさの余り赤くしながら悶えていた。

 

(しかしあの闇の魔法を私が10年で編み出した物をその場でしかも成功したと来た。全くスプリングフィールドの男と云うのは規格外な者ばかりだな)

 

 とエヴァンジェリンは戦慄を覚えたのと同時に怖いと思ってしまった。

 

(どうして私が好きになってしまった人間はこうも規格外なんだろうな…ナギもそうだった)

 

 自分が初めて好きになったナギも規格外の強さで、そしてバカで自分の決めた事は決して曲げない。マギもそんなナギに似ている所が有る

 

(そんなマギも私の前から居なくなってしまうのか…)

 

 ナギも自分の元から去ってしまった。マギも若しかしたら自分の元から居なくなってしまうのではないか…そう思ってしまうと怖い。

 

「なッなぁマギ、どうしてもというのなら闇の魔法をうまく制御できるように、私が師となって教えてやらんことも無いぞ?」

 

「ほッホントか!?」

 

 マギはエヴァンジェリンの提案に目を輝かせた。あぁ本当だと頷くとマギはヨッシ!と喜んだ。

 

「これでもっと強くなれるぜ!もっと強くなってクソ親父を越えてやる…!」

 

 と喜んでいると、自分の時計をふと見ておっとそろそろ時間だな…と呟いた。

 

「エヴァ、あんみつ食い終ったら最後に行く場所があるから」

 

「最後に行く場所?私が見たい観光場所は全て回ったが」

 

 未だ行っていない場所があったのかと考えていると、寺とかじゃねえよとマギは言った。

 

「クソ親父の別荘に行くんだよ今から」

 

「あぁそう言えばナギの別荘が京都にあるんだったな」

 

「だったってお前が言ってたんじゃねえかよ」

 

 すっかり忘れていたエヴァンジェリンにツッコミを入れて、あんみつと抹茶を飲み終わったマギとエヴァンジェリンは甘味処を後にした。

 

 

 

 

 

 ナギの別荘にはナギの腐れ縁でもある詠春が案内してくれるようで、マギとエヴァンジェリンは詠春との待ち合わせ場所に向かっていた。

 待ち合わせ場所に到着すると、もうネギやアスナ達がもうやってきており詠春が来るのを待っていたのだ。

 

「あッお兄ちゃん!」

 

 ネギがマギがやって来たのを見て手を振った。マギもお~と軽く腕を上げてこたえる。

 

「マスターマギ先生との京都観光は如何でしたか?」

 

「うむ満足だった!」

 

 茶々丸が京都観光の感想を尋ねるとエヴァンジェリンは満足そうに鼻を鳴らした。

 今の話を聞いたハルナ(面白そうだからという事で付いてきた)と夕映はマギに詰め寄った。

 

「ちょマギさん!今の話本当!?のどかに告白されてさらにキスまでしてっていうのに他の生徒とデートしたの!?」

 

「答えによってはマギさんでも許さないです」

 

 ハルナと夕映に問い詰めにマギもなんて答えていいか迷った。マギはのどかに告白されたり、キスもした。そんなのどかをほっといて他の生徒と一緒にいたら親友のハルナと夕映が黙っていないだろう。

 マギはハルナと夕映が納得するような言い訳を必死で考えてある事を思い出した。それは

 

「エヴァはな今迄は家の都合でこういった校外行事に行けなかったんだ」

 

「そういえば…1年や2年の時の校外授業や林間学校にエヴァンジェリンさんや茶々丸さん来てなかったような…」

 

「今回来れたのは家の都合が大丈夫だった。そういう事ですね?」

 

 嘘は言ってない。エヴァンジェリンは今迄呪いのせいで学校の外に出れなかった。だがマギが呪いを解いたおかげでこういった学校行事に行けることが出来るのだ。ただ呪いを家の都合にしただけである。

 

「まぁそういう事だ。中学最後の校外行事だろ修学旅行は。だからアイツにいい思い出と思ってな」

 

 とマギの言い訳を如何にか信じてくれたハルナと夕映

 

「な~んだ!そういう事か!だったら私達も誘ってくれたらよかったのに水くさいじゃんマギさん!」

 

「悪いがエヴァの方も人づきあいが苦手な方でな。大人数はちょっとな」

 

「そうですか。マギさんに下心がない事は分かりましたです。ですが…のどかを悲しませるような事はしないで欲しいです」

 

「おッおう…」

 

 夕映の凄味のある言い方に、マギは頷く事しか出来なかった。そんな遣り取りをしていると詠春がやって来た。

 

「皆さんお待たせしました。さぁ行きましょうこの奥にありますよ。狭い3階建の建物ですが」

 

 詠春がにこやかに(持っていたタバコをこのかに取り上げられながら)マギ達をナギの別荘に案内した。

 

「ってそう言えば私何処に行くか知らないで付いてきたけど何処行くの?」

 

「なんでもマギさんやネギ先生の父親の別荘に向かっているらしいです」

 

「へ~よく分からないで来たけど面白そうじゃん」

 

「マギさんのお父さんの別荘…」

 

 のどかはマギの父であるナギの別荘がどんなものか想像を膨らませていた。

 

「おい近衛詠春、スクナの封印は如何した?」

 

 エヴァンジェリンが詠春にスクナを如何したのか尋ねた。

 

「ご心配なく、スクナの再封印は完了しました」

 

 詠春の報告にエヴァンジェリンはご苦労と労いの言葉を送るが、いえ此方こそ厄介事を押し付けて申し訳ありませんと謝罪の言葉を送る詠春。

 話を聞くと、エヴァンジェリンも如何やらリョウメンスクナノカミを完全に倒すことなど出来なかったようで、精々氷漬けにして行動不能にしただけであったようだ。

 

「長さん、あの小太郎君は?」

 

 ネギは騒動の後、本山の者に拘束されてしまった。反乱紛いの事に首を突っ込んだ小太郎だ。まさか酷い事をされるのではと心配するネギであったが、ご安心をネギ君と詠春は笑いかけ

 

「それほど重い罪にはならないと思います。ですがそれなりの処罰はあるでしょう」

 

 ただ…と詠春は苦虫を潰しような顔をして

 

「今回の首謀者である天ヶ崎千草を取り逃がしたのが…それとマギ君が撃退したと思われるアーチャーなる傭兵の姿も在りませんでした。京都中をくまなく捜索したのですが、発見できず恐らくですがもう逃亡を成功してしまったのでしょう」

 

 という事は、まだアーチャーは自分の事を狙っているのだろう…やれやれ面倒な事だぜと呟いたマギ。

 

「天ヶ崎千草もそうですが、問題は他にもあります。あの銀髪の少年ですが、ただ今調査中です。彼が名乗っていたフェイト・アーウェルンクス…1か月前にイスタンブールの魔法協会から日本へ研修として派遣されたという事ですが、フェイトと云う名も偽名でしょう。それ以外は全く分からないと言っていいでしょう」

 

 そう詠春は言っているが、マギは詠春がフェイトを見た時にかなり動揺していた。何というかフェイト自体ではなく、フェイトの顔を見て動揺していた。まるで今この場にいる事自体が有りえないと言ったような…

 フェイトと云う奴はアーチャーかそれ以上の厄介な敵になるかもしれない…とマギは考えていた。

 

「此処です。着きましたよ」

 

 詠春が言うと其処には3階建てで、屋上には天文台があり草木が生い茂っており、まるで秘密の隠れ家だった。和美はカメラでナギの別荘を撮っていた。

 

「10年で草木が生い茂ってしまいましたけど、中は綺麗ですよ」

 

 アスナやこのかにのどか達はナギの別荘に入っていた。マギとネギは自分達の父であるナギの別荘を呆然と眺めていた。

 

「これがクソ親父の別荘…」

 

「此処ならお父さんの手がかりが…」

 

 掴めるかもしれないと思っていると

 

「おいマギ早く入れ!」

 

「ネギ~何ぼぉ~っとしてるのよ~!」

 

 エヴァンジェリンとアスナに呼ばれた。

 

「おいネギさっさと入るぞ」

 

「うッうん」

 

 マギとネギも別荘の中に入って行った。

 

 

 

 

 

 別荘の中は一言で言ったら本が多いという感想が最初に来るだろう。モダンチックでとてもおしゃれだった。

 本が好きなのどかや夕映はナギへの好印象が上がった。

 

「此処に昔父さんが…」

 

 ネギはナギが此処に住んでいたという事にどんな事をしていたのだろうと想像を膨らませる。

 

「クソ親父…」

 

 マギは此処で少しでもナギへの手がかりがつかめる事を祈った。

 ナギの別荘を見学するのどか達。本が好きな図書館探検部の3人は梯子で登り、本を取っていた。エヴァンジェリンはそんなのどか達を呆れながら見ており

 

「おい良いのかあれ?」

 

 と詠春に尋ねる。

 

「お嬢様方!故人の物ですから手荒に扱わない様に!」

 

 詠春がそう注意する。

 のどかや夕映にハルナや和美達が自由にしている中、マギとネギは少しでもナギの手がかりが無いのかと色々と探していた。そこへ詠春がやってくる。

 

「如何ですかネギ君にマギ君、何か分かりましたか?」

 

 尋ねるがマギとネギは首を横に振って

 

「今のところは全然っすね。調べたい事が沢山あり過ぎて」

 

「時間がもっとあれば…今は修学旅行中なので」

 

「それならば鍵を渡しておきましょう。いつでも来ていいですよ」

 

 とにこやかに言う詠春。いつでも来れるというのは有りがたいと思ったネギ、あの長さんとネギは詠春の方を向いて

 

「長さんから父さんの事を聞いてもいいですか?」

 

「俺からもお願いします。詠春さんから見てクソ親父がどんな人間だったのか聞いてみたいっす」

 

 マギが頭を下げて、お願いする。そうですね…詠春は顎に手を当てて

 

「このかに刹那君、それと明日菜君にエヴァンジェリンも来てください。あなた達にも色々と話しておいた方が良いでしょう」

 

 詠春がこっちに来るように言った。アスナ達もやってくると詠春は1つの写真を見せた。集合写真の様だ。

 

「この写真は何ですか?」

 

 ネギは詠春が見せた写真が何なのか尋ねた。

 

「この写真はサウザントマスターとその戦友たちの写真です。かれこれもう20年位前の写真ですが…」

 

 その写真には若かりし頃の詠春とナギの姿が写っていた。ネギの知的やマギのどちらかと云うとクールさとはちがく、少年時代のナギはやんちゃそうな顔であった。

 

「この当時のナギは15歳でしたが、いや手を焼かせてもらいました」

 

 昔を懐かしむように笑う詠春。何か色々と迷惑をかけてしまった様で。クソ親父がすいませんでしたと謝っておくマギ

 

「わひゃーお父様が若いな~ネギ君も大きくなったらナギさん見たくなるんかなぁ?」

 

「ねぇこのかどんな写真なの見せて見せて!」

 

 アスナもこのかから写真を渡されて、若かりし頃の詠春やナギを見ていた。

 

「へ~ネギとマギさんのお父さんってこんなだったんだ…アレ?」

 

 アスナは詠春の隣に居る男性を凝視していた。白髪頭の中年で口にはタバコを加えていた。正直タイプな方だがそう云う事じゃない。

 

(この渋いオジサマとアタシ何処かで会った事が…?)

 

 アスナは中年男性を見た途端急に変な頭痛がアスナを襲った。

 

(いたッ!又変な頭痛…最近は来なかったのに何で…!?)

 

 アスナは突然来た頭痛に混乱していた。

 

「アスナ如何したん?」

 

 このかは急にアスナが頭を押さえていたので心配そうに見ていたが、ううんなんでもないわよ!と誤魔化した。

 

「私はナギの友人としてかつて起こった大戦の時に共に戦った戦友でもありました。そして20年前に平和が戻った時には、彼はすでに数々の活躍からサウザントマスターと呼ばれる英雄となりました」

 

 詠春の昔話を聞いていた(このかとアスナは若干理解してない様子)マギ達。しかしと詠春の話はまだまだ続いた。

 

「その戦で多くの魔術師が戦死しました。天ヶ崎千草の両親もその戦で亡くなっています。彼女の西洋魔術師への恨みや今回の行動もそれが原因の一つだと思います」

 

 成程とカモは今回の騒動の原因が分かったと頷いていた。

 

「戦以来私とナギは無二の友であったと思います…しかし彼は10年前に突然と姿を消しました。以来彼の消息を知る者は誰も居ません。ただし公式の記録では1993年に死亡となっています…すみませんお二人とも。私が知っているのは此処までです」

 

 詠春は申し訳なさそうに頭を下げた。いえ大丈夫です、気にしないでくださいとネギは詠春に言った。

 手がかりは無しか…とマギは溜息を吐いたが、再度写真を見ると気になる人物を発見する。

 

「詠春さん俺この男と合った事があります」

 

「え?誰ですか?」

 

 マギ言った事にネギや詠春にアスナ達が集まった。集まった事でマギは見た事がある男を指差した。

 

「コイツっす、クソ親父の左隣に居るローブみたいな服着てる奴っすよ」

 

 マギが指差した男を詠春は黙って見ていた。

 

「どッ何処で会ったのお兄ちゃん?」

 

 ネギはさらなる手がかりになるかもしれないとその男と何処で会ったのか詳しく聞いた。

 

「ほら俺達が図書館島でドラゴンから逃げた事があっただろ?」

 

「あ…あの時ね。あの時は本当に怖かったわ…」

 

 アスナはドラゴンに追われていた時の事を思い出し震えていた。

 

「それでネギ達を逃がして俺だけがドラゴンとやろうとしてた時にその写真の男が現れたんだよ。そん時はフード被っていて良く顔が見えなかったけど今思い出すとこの写真と同じ顔だったよ。そんでもってドラゴンを大人しくしてしまいやがった」

 

「名前はなんていうの?」

 

 ネギはドラゴンを大人しくさせた男の名を尋ねる。

 

「クウネル・サンダースとかそんなふざけた名前を名乗っていた。あれは絶対に偽名だった…人をおちょくって楽しむ性格だったなあの男は」

 

 其れだけを聞くと全く相変わらずだなアイツは…と詠春は呆れたような溜息を吐いた。如何やら知っているようだ。

 

「彼の本当の名はアルビレオ・イマ。彼もナギの友人では有りますが、私以上にナギを知っているはずです。彼なら若しかしたら私よりもナギの情報を持っているはずです」

 

「そう言えばそのクウネル……いやアルビレオって奴は、近いうちに俺やネギと会う事になるって言ってたな」

 

 クウネルこと、アルビレオ・イマが本当にナギの友人だと分かり、彼からならもっと有益な情報が手に入るかもしれないと希望が出て来た。

 

「よかったすね、兄貴に大兄貴。此処に来て親父さんの事が少しだけでも分かって」

 

「うん。僕京都に来れて良かったよ」

 

「そうだなこれでクソ親父に近づけたかね」

 

 少しでも収穫があった事に喜ぶマギとネギ。そんな2人に詠春が懐から、

 

「ネギ君にマギ君、実はこれを。若しかしたらナギ捜索の手がかりになるかもしれない」

 

 と大きな紙を丸めた物を渡してくれた。何が書いてあるんだろうと紙を開こうとしたら和美から声が掛かる。

 

「はいはーい話が終わったんなら記念撮影といくよ!」

 

 和美がカメラを持ちながら記念撮影をしようと言い出した。

 

「いや~実は5班と6班の写真を撮るのを忘れちゃってさぁ、だったら今此処で記念写真をと思って」

 

「へぇいいじゃん早速撮ろうよ!」

 

 とアスナやこのかは乗り気であった。エヴァンジェリンは嫌々である。

 

「私は嫌だぞ!それに此処にはザジの姿が無いじゃないか!」

 

「あぁそれなら心配なく、ザジさんなら他の班の子と一緒に撮ってもらったから」

 

 と色々と用意周到な和美。

 

「まぁいいじゃねえかエヴァ。最後の思い出の記念写真位撮ってもらおうぜ」

 

「まッマギが言うなら仕方ないな…」

 

 マギに頼まれ渋々とやるエヴァンジェリン。

 

「んじゃ撮るよ~ハイチーズ!」

 

 和美がシャッターを押して、ネギとマギも一緒に入った記念写真を撮ってもらったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行最終日、麻帆良女子の生徒達は京都駅に居た。後は新幹線に乗って午前中に麻帆良学園に到着して学園駅にて解散という流れである。

 

「皆さん修学旅行は楽しかったですかー?」

 

 しずな先生の問いに3-Aは元気よく答えていた。

 

(幼稚園児かよまったく…)

 

(やはりアホばっかです)

 

 千雨と夕映が3-Aの元気の良さに呆れていた。

 

「ネギ残念ね。お父さんの事、結局分からずじまいで」

 

 アスナがネギにそう言ったが、ネギはいいえと首を横に振りながら

 

「実は長さんからお父さんについての手がかりを貰えたんです。帰ってから開けてみようと思うんです」

 

 と詠春から渡された大きな丸まった紙を見せた。

 

「それに学園に居るクウネルって奴にもクソ親父の情報が貰えるかもだしな」

 

 マギは前にあったクウネル(アルビレオ・イマは言いにくいので偽名のクウネルで呼ぶことにした)からも、もし次に会ったら有力な情報を貰えるかもしれないと期待していた。

 

「ネギ先生とマギ先生!よかったら締めの一言をお願いしまーす」

 

 しずな先生に呼ばれてネギとマギは、しずな先生の元へ行こうとしたが、ネギが自分の荷物に躓いて盛大にスっ転んで、生徒達に大笑いされた。

 やれやれだぜ…とマギは呆れながら、ネギが再起動するまで自分が最初に締めの一言を送った。

 

「今日で修学旅行も終わりだ。明日は日曜日、しっかり休んで月曜日に元気な姿で登校するように」

 

 マギの言った事にはーいと答える3-A次はネギだがマギがほとんど言ってしまったが

 

「僕からは、明日はよく休んでください。休みだからと言って無理な行動は慎んでくださいね」

 

 とネギからの締めの一言も貰った事で、3-Aの生徒達は新幹線に乗ったのだった。

 

 新幹線の中は行と同じようにワイワイと騒いでいるかと思いきや皆静かに寝静まっていたのだ。

 

「やれやれ、あの騒がしかった3-Aが静かなものですな」

 

 何時も3-Aに手を焼いていた新田先生がそんな事を零していた。

 

「ほんと皆ハシャギ疲れちゃったのね」

 

 カワイイ寝顔で寝ているのを見てしずな先生がフフと笑いながら言った。

 

「元気だけがこいつ等の取り柄ですからね」

 

 マギも肩を竦めながらそう言った。

 

「あら、マギ先生も休んでも良いんですのよ?あとは私達が見ておきますので」

 

「本当ですかしずな先生?んじゃ…お言葉に甘えてっと」

 

 マギは首をゴキゴキしながら、エヴァンジェリンの席の横が空いていたので、其処に座った。

 座った数十秒後にはマギも静かな寝息を立てながら寝静まった。よっぽど疲れていたようだ。

 

「あらマギ先生もよっぽど疲れていたのね…あらフフまるで恋人みたい」

 

 とエヴァンジェリンの頭がマギの肩に寄りかかるようにマギの肩を枕にしながら寝てしまい、はたから見たら恋人どうしだ。

 

「あら、ネギ先生も同じ事になってますわ」

 

「いや、ネギ先生はどちらかと言えば姉弟ですな」

 

 見ればネギがアスナに寄りかかる形となっており、新田先生からは恋人ではなく姉弟だと言われてしまった。

 こうして色々と問題があったが、修学旅行は此れにて終了である。

 

 

 

 

 




次回からは原作7巻に入ると思いますが
その前にキャラクター紹介をしようと思います

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