堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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最初に言っておきます。
僕はアスナは嫌いじゃありません!
それではどうぞ!!


子供先生と兄先生②

 麻帆良学園女子高エリア中等部の校舎に、学園全体を総べる長、学園長室がある。その学園長室にマギとネギ、このかにジャージ姿のアスナがいた。何故アスナがジャージ姿でしかも学園長室に居るかというと、ネギの武装解除の魔法の暴走により、制服が吹き飛ばされてしまい、手元に予備の制服が無かったため、持っていたのはジャージしか無かったため、仕方なくジャージを着たという事だ。

 そして何故このかとアスナが学園長室に居るかと言うと、実はこの2人は学園長から新しく来る新任の担任と副担任…つまりネギとマギを連れてくるように頼まれていたからである。何故、学生のこのかとアスナが迎えを頼まれたかというと、先生より生徒が迎えに行った方が、新任ネギとマギは安心すると学園長は考えた。それもあるが、このかは学園長の孫なのだ。平たく言うとこのかが学園長に頼まれアスナとは仲がいいという事で、一緒についてきたのだ。

 

「学園長先生!一体如何いう事なんですか!?」

 

 ジャージ姿のアスナが、タカミチに言ったように学園長に訴えかけていた。

 

「まぁまぁ、アスナちゃんや」

 

 学園長はアスナを宥めた。アスナを宥めた学園長は、ネギとマギを交互に見るとふむ…と頷くと

 

「成程、日本で学校の先生を…フォッフォッフォ。そりゃまた難題な課題をもらったものじゃのぉ~そっちの兄の方は成り行きで日本に来たようなものだと、あっちの校長から聞いておるぞ。兄弟そろって、まぁ頑張りなさいや」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

「うい~す」

 

 ネギは緊張した感じの返事で、マギは緊張のきの字もない。腑抜けた返事をしたのだが、今のマギの耳には学園長の話など入っていなかった。マギは学園長が気になって仕方が無かった。何故なら学園長の頭、まるで日本で有名な妖怪の、ぬらりひょんみたいに、頭の形が普通の人間では有りえない程細長く大きい。これでこのかの祖父なんだそうだ。本当に人間か疑ってしまうほどのレベルの頭なのだ。これが東洋の神秘と言う物なのか…?マギは珍しく長い時間考えていた。

 

「しかし先ずは教育実習生…という事になるかのう。今日から3月までじゃ。ところで…」

 

 と此処で学園長の目がキランと光った。ネギは重要な事を言われるのかと思い、生唾を飲み込んで、マギはどーでもいいから早く話を終えてくれと呟きながら、頭を掻いた。

 

「ネギ君とマギ君には彼女はおるかの?如何じゃ孫娘のこのかは?いい娘じゃろ?」

 

 学園長のアホ発言にネギは盛大にずっこけた。ややわ~おじいちゃん。とこのかが、金槌で結構容赦なく、学園長の頭を殴りつけた。わりと本気だったらしく、学園長の頭から赤い血が流れるのを見て、とりあえずは人間なのか…とまた場違いな事を考えていたマギである。

 

「ちょっと待ってください!大体子供が先生なんて可笑しいじゃないですか!?しかもお兄さんが副担でこの子供が担任だなんて!!」

 

 アスナは全然納得がいかない様子で、学園長に(後ろでネギがム~という顔になっていた)訴え続けた。学園長はフォフォフォと笑って飄々とした態度をとっていたが、急に真面目な表情になり

 

「ネギ君…そしてマギ君。この修業は君たちが思っているものより過酷な修業じゃぞ。万が一無理だった場合、君たちは故郷に帰らないといけないことになるのう。二度とチャンスが来ないが…それでもその覚悟は有るのじゃな?」

 

「はっはい!やります!やらせてください!!」

 

「ここで失敗すると、又じーさんがガキと一緒の学校に行かせようとするからな。仕方ねえけどやってやるさ」

 

 ネギとマギの返事に、うむ分かった!と学園長はそう言うと

 

「では今日から始めてもらおうかの。では中等部の生徒指導教員しずな先生を紹介しよう。しずな先生、入ってきてくれい」

 

 学園長がしずな先生という先生を呼ぶと、ハイという女性の声が聞こえながら、学園長室のドアが開いた。ネギは如何いう先生かと思い、振り返ると

 

 モニュン

 

 とネギの顔に何か柔らかい物が当たった。これは何かな?とネギは顔を上にあげてみると…

 

「あら、ごめんなさい」

 

 ネギの真上から女性の声が聞こえ、ネギは上を見上げると、其処には20代後半から、30代前半の眼鏡を掛けた女性がいた。彼女がしずな先生なのだろう。ここで漸くネギは顔に当たっている物が、しずな先生の胸だと分かり、自分がしずな先生の胸の谷間に顔を埋めていると理解し、子供らしく恥ずかしさで顔を赤くする。

 

「何か分からない事があったら、しずな先生に遠慮なく聞くといい」

 

「よろしくね?」

 

「あ…はい」

 

 しずな先生によろしくと言われても、ネギは呆けた返事をしていた。マギはしずな先生に軽く会釈をして挨拶を終えた。

 

「ああ…それとネギ君とマギ君の住まいが決まっていなくてのう。それでの…」

 

 次の学園長の発言はある意味、いやかなり爆弾発言だった。

 

「このか、アスナちゃん。しばらくはネギ君とマギ君をお前たちの部屋に泊めてくれんかのう?」

 

 学園長の泊めてくれ発言に、ネギとアスナはとっても嫌な顔になった。

 

「もう!何から何まで学園長!!」

 

 アスナが今の発言には問題があると、学園長に詰め寄ったが、笑ってごまかす学園長。

 

「えーやないアスナ。この子かわえーよ?」

 

 とこのかが、ネギの頭を撫でながらアスナに言った。

 

「だからガキは嫌いなんだってば…」

 

 アスナは断固反対なのか、拳を握り震えていた。

 

「まぁ、これから先生と生徒の関係になるんだから、ちゃんと仲良くしなさい」

 

 と学園長にそう言われ、うっと黙るアスナ。

 

「ちょっと待てジーサン。ネギがその2人の部屋に泊まるのはいい「いいわけないでしょ!!」だが俺はもう日本で言う高校生とおんなじ年齢だ「ちょ!無視するなーーー!!」そんな俺が中学生の部屋に泊まるのは問題になるんじゃねえか?」

 

 だからむしすんなーー!!とアスナが騒いでいたが、敢えて無視するマギ。確かにマギ位の男性が女子中学生の部屋に泊まるなど、世間に知れ渡れば大問題だ。それを考えているのかこの学園長は。

 

「それなんじゃが、本当にまだ決まってないのじゃよ。それにマギ君だけ野宿なんてことになったら、他の先生からなんて言われるか、まあ我慢してくれ…まあマギ君が女性との間で問題なる事は絶対ないと故郷の校長からは聞いておるのでのう。まぁ儂としては、このかと彼氏彼女の関係になってくれたら万々歳なんじゃがのう。フォフォフォ」

 

 学園長の言った事に、もうおじいちゃん!頬を膨らませるこのか。マギは故郷の校長にあのじーさん余計な事言いやがってと呪詛を唱えていた。まぁこれ以上言っても、結局、問題は解決する感じは無いようで、マギはこの話を呑む事にした。

 

「全く、これで面倒事が増えるのか…やれやれだぜ」

 

 そう呟きながら、マギは大きな溜息を吐いた。

 

 

 

 

 アスナとこのかのクラス、Aクラスに向かっている、アスナとこのかに、ネギにマギと付き添いでしずな先生。学園長室から出たマギ達は(アスナは予備の制服に着替え、制服姿になった)アスナの案内でAクラスに向かっているのだが、今どういう形でAクラスに向かっているのかというと

 

「フンッ!!」

 

「む~~…」

 

 不機嫌そうなアスナと気まずそうなネギを先頭に、その後ろをこのかとダルそうに歩くマギと普通に歩いているしずな先生が続いて行った。アスナはチラッチラッと何回かネギを怪しい人物を見るような目で見ていたが、ネギがアスナに何か言おうとしたら、急に目つきギロッと鋭くしネギを指差し

 

「アンタと当分暮らすなんてお断りよ!じゃあアタシ先に行きますから先生!!」

 

 と最後の先生を嫌味たらしくネギにそう言うと、ネギとマギを置いて先にAクラスに向かって行ってしまった。アスナが先に行ってしまったのを見て、このかも

 

「それじゃー私ももーいくなー先生方お先にーー」

 

 とこのかもアスナに続いて先に行ってしまった。先に行ってしまったアスナとこのかを呆然と見ているネギ。

 

「何なんですかあの人は…」

 

 ネギはアスナに文句を言っていた。

 

「彼女はいつも元気だからね。でもいい子よ?」

 

 としずな先生が笑いながら、そう言った。

 

「あの女は元気というより喧しいだけだと思うんだがな…」

 

 マギはアスナの今迄の行動を見てそう思って言った。まぁ彼女は確かに元気が有り余っているわね。としずな先生も否定はしてい無いようだ。ともうそのAクラスに到着したようだ。

 

「ハイ、これクラス名簿」

 

 とネギがしずな先生にクラス名簿を渡されたネギ。あ、どうもとしずな先生にお礼を言う。

 

「それより、今日から行き成り授業だけど、大丈夫そうネギ君?」

 

 しずな先生に大丈夫かと聞かれ、緊張で体が震え始めたネギ。

 

「あ…う…正直、キンチョーしてきました」

 

 と何とか落ち着かせようとしたが、上手くいかずに大きく深呼吸をし始めたネギ。そんなネギを見てマギが…

 

「おいネギ、さっきも言っただろう?在りのままの自分でいろってな。自分を信じて見ろ。自分なら大丈夫、自分なら出来る…ってな」

 

 マギの言った事にネギは幾段か緊張が薄れてきたようだ。

 

「ありがとうお兄ちゃん!そうだよね、僕は大丈夫…僕なら出来る…」

 

 とネギが自分に言い聞かせていた。そんなネギを見て、しずな先生はふふと笑いながら、マギの方を見る。

 

「さすがお兄さんと言った所かしら?ところで、マギ君は緊張はしないの?さっきから随分リラックスしているけど」

 

 としずな先生の問いに、マギは別にと言い

 

「俺は何処に行っても自分のスタイルを貫くんで、変に緊張してもメンドイだけなんで」

 

 とマギはしずな先生にそう返す。そんなネギとマギを見てしずな先生はこう思った――――この兄弟は似ていそうで似ていない―――と。とネギは緊張がほぐれて着た様で、教室の中を見てみることにした。

 

「うわぁ…」

 

 とネギの口から感嘆がこぼれた。教室の中の雰囲気はというと、女子中学生でごった返していた。肉まんを売っている生徒やそれを買って食べている生徒も居れば、部活の朝練から帰ってきて、制服に着替えている生徒。読書をしている生徒も居れば、パソコンを弄っている生徒も居た。

 

「これが、僕とお兄ちゃんがこれから、教えていく人達か…」

 

 教室を見渡してネギはそう呟いた。そう言えば名簿を見るのを忘れていたネギ、さっそく名簿を開いて、生徒を確認する。マギも副担として生徒を覚えなきゃいけない(メンドイが)と思いクラス名簿を見てみた。そして2人の思った事はというと

 

「「げ…多い」」

 

 それだけだった。生徒の人数は、31人。これが全員女子ときたもんだ。まぁここは女子校だから女子しかいないのは当たり前か。と2人は瞬時に頭を切り替えた。ネギとマギはクラス名簿に目を通し、生徒の名前と顔写真を覚えていった。2人は記憶能力は高く、一度覚えた物は絶対忘れない程であり、クラスの女子達もすぐに覚えていった。とクラス名簿の中にさっきのアスナとこのかの名前が載っていた。フルネームは、神楽坂明日菜と近衛木乃香であった。とよく見ると所々に、タカミチが書いたと思われる書き込みがちらほらとあった。とすると…

 

「ん?」

 

 行き成りマギが難しい顔をした。滅多に見せないマギの表情に、ネギは顔を傾かせ

 

「如何したのお兄ちゃん?」

 

 と聞いてみると、いやなと言いながらマギは一人の女子生徒の写真を指差した。その女子生徒とは…

 

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさん。この生徒さんがどうかしたの?」

 

 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。出席番号26番、所属している部活は囲碁部と茶道部で、タカミチの書き込みには『困った時には相談しなさい』だそうだ。この書き込みはよく分からなかったが今は如何でもいい。このエヴァンジェリンという生徒、容姿は中学生に見えず、双子の姉妹の鳴滝風香と鳴滝史伽と同じ小学生にも見えなくない。

 

「いや、コイツどっかで会った気が…」

 

 マギはこのエヴァンジェリンを何処かで会った否見た気がするのだが、何処で見たか…小さいとき、エヴァンジェリンらしき人物を見た気がするのだが、小さい時の記憶が曖昧なせいで、覚えていなかった。まぁもしかしたら他人の空似という事かもしれないし、これ以上思い出すのも面倒になってきたので、止めることにした。

 

 教室に入る時が来たネギとマギ。最初に入るのは、担任という事でネギである。ネギは大きく深呼吸をして、一度目を瞑った。瞼に移ったのは、自分達を見送ってくれたアーニャとネカネ。

 

(ネカネお姉ちゃん…アーニャ…今日から僕とお兄ちゃんの修業が始まる…帰ってきた時には立派な魔法使いになって帰って来るよ!!)

 

 ネギは、ドアを軽くノックした。アスナはネギ達がやって来たとそう思った。

 

「し、失礼します」

 

 ネギがドアを開けた瞬間にドアに挟まれていた黒板消しが落ちてきた。実はネギが見るのを見落としていて、ドアの近くで、新任の先生を驚かせようと、いたずらレベルの罠を設置していたのだ。それを知らずに黒板消しがネギの頭に直撃しようとしていた。だが…

 

 

 

 フワァ

 

 

 

 黒板消しがネギに直撃する数㎝直前で、急に黒板消しが止まってしまった。止まった黒板消しを見てざわつく生徒達。ネギは止まった黒板消しを見てしまった!と瞬時に思った。

 

(これは有名な黒板消しトラップ!しまった何時もの癖で防壁の魔法を張っちゃった!早く解除しないと!!)

 

 ネギは魔法をすぐさま解除すると、止まっていた黒板消しが又落ち始め、そのままネギの頭に直撃。ボフンッ!!黒板消しに付いていた粉が、ネギの頭に附着した。

 

「あはは…ゲホッ!いや~ゴホッ!ひっかっかちゃたな~ゲホゲホッ!!」

 

 ネギは引っ掛かってしまったと笑いながら言ったのだが、棒読みのわざとらしい言い回しに生徒達は若干呆然としていた。尚ドア越しに居たマギは手で顔を隠してハァァァァ…と大きな溜息をついていた。ネギは誤魔化し笑いを続けているせいで、足元のひもに気づかず、足を引っ掛ける。

 

「へブッ!?」

 

 ひもに足を引っ掛け盛大に転び

 

 

 ゴンッ!!

 

 

「ゴフッ!!」

 

 頭上から水の入ったバケツが降ってきて、バケツがネギに当たり、中に入っていた水をかぶり、バケツが頭に嵌り、バラスンを崩し、次には接着版が付いた矢がネギにペタペタとくっ付き、前が見えないため、バランスを崩して転び、教壇に盛大にぶつかった。女子生徒達は、最初呆然としていたが、いたずらが成功して、大喜びだったが、アスナだけネギを怪しんだ目で見ていた。女子生徒達が、喜んでいる間に、マギが呆れた表情をしながら、しずな先生は苦笑いをしながら、同じく教室に入ってくる。しずな先生を見た生徒達は、今度はネギを見る。いたずらで気づかなかったが、ネギが子供だと気づき、騒然とするクラスメイト。

 

「えええええええッ!?子供!?」

 

「もしかしてそっちの垂れ目のイケメンが新任の先生だったの!?」

 

「君大丈夫!?ゴメンね!てっきり新任の先生だと思って!」

 

 女子生徒が、ネギに押し寄せて行った。

 

「いいえ、この子が貴方達の新しい担任よ。でこのお兄さんが副担任なの」

 

 しずな先生の言った事に女子生徒達は、え?という顔をしていた。さ、ネギ君マギ君。自己紹介をしてもらおうかしら。としずな先生に促され、ネギとマギは教壇に上がった。最初にネギが自己紹介をする。大きく深呼吸するネギ。

 

「きょ…今日からこの学校でま…英語を教えるとことになった、担任のネギ・スプリングフィールドです。3学期だけという短い間ですが、よろしくお願いします!!」

 

「同じく本日から、お前らに歴史を教える事になった、副担のマギ・スプリングフィールドだ。名前の通り俺はネギの兄だ。世間知らずな弟共々、よろしく。あ…あと、俺は先生なんて堅苦しい感じで呼ばれるのは好きじゃないからな、俺の事はマギ、マギさんと好きに呼んでくれ。俺もお前らの事は名前で呼ぶからな、答えは聞かないぞ」

 

 ネギのマギの自己紹介を聞いた生徒達は、一瞬シン…と静まり返ったが、次の瞬間。

 

『キャァァァァァァァァァァァァ!!』

 

『カワイィィィィィィィィィィィィ!!』

 

『カッコイィィィィィィィィィィィッ!!』

 

 と叫びながら(余りの五月蝿さに顔を歪めるマギ)ネギとマギに押し寄せる女子生徒達。

 

「何歳なの!?」

 

「えッ!?1…10歳です」

 

「17だ」

 

「何処から来たの!?」

 

「何人!?」

 

「ウェールズの山奥だ」

 

「何処に住んでるの?」

 

「え…えとまだ決まってません」

 

 女子達の質問攻めに、淡々と答えるマギとしどろもどろに答えているネギ。

 

「…マジなんですか?」

 

 眼鏡を掛けているちょっと地味な少女、長谷川千雨がしずな先生に尋ねる。マジなのよと答えるしずな先生。

 

「しずな先生!このカワイイコとイケメンさんが今日から私たちの担任と副担なんですか!?」

 

「そうよ仲良くしてね」

 

「本当に先生なんだぁ!!」

 

 と興奮しながら、更に密着してくる女子達。

 

「ねえ君ってば頭がいいの!?」

 

「あッはい!僕とお兄ちゃんは一応大学卒業程度の語学力は持っています」

 

「スゴォォイ!!」

 

 とネギにベタついて来る女子生徒もいれば

 

「お兄さん先生凄くおっきいです!!」

 

「楓姉といい勝負だねぇ~」

 

「おっきくて、年上の先生…かっこええ~」

 

 とマギの周りにも、ちびっ子の双子姉妹に、このかと似たような方言を使っている女子などが、マギの周りに居た。

 

「…やれやれだぜ」

 

 マギはこれが女子中学生という物かと、理解して、めんどくさい事になると実感しながら、諦めたような溜息を吐いた。生徒達には歓迎されていると肌で感じで、一安心するネギ、だが一人だけ歓迎してない生徒がいた。アスナがズンズンとネギに近づいて、またネギの胸倉を掴むと、一気に顔を近づかせ

 

「アンタ、さっきの黒板消しに何かしたでしょう?なんかおかしくないアンタ」

 

 アスナの言った事に、ギクッとしながら顔を青ざめるネギ。実はさっきの黒板消しの悪戯の時、アスナはネギが黒板消しを空中で止めてる所をバッチリと見ていたのである。早くも魔法がバレそうになるネギ。アスナはさっきの事の説明を要求して、ネギを大きく揺らす。とその時

 

「いい加減になさい!!」

 

 と誰かが、机をバン!!と思い切り叩いた。机をたたいた人物は髪の色は金髪で、何処か上品さが体からあふれ出ていた。彼女は出席番号29番、雪広あやか。このAクラスのクラス委員長だ。

 

「皆さん、席に戻って、先生方がお困りになっているでしょう?」

 

 あやかの指示で、席に戻り始める生徒達、それと…とあやかはアスナを見て

 

「明日菜さんもいい加減その手を放したらどうですの?もっとも、貴女のような凶暴なお猿さんにはピッタリのポーズでしょうけど」

 

 と馬鹿にするようにアスナに言い放つあやか、あやかの言った事に額に血管を浮かべるあすな。どうやらあやかの言った事と、アスナの態度を見ると、この2人は犬猿の仲なのが直ぐに解った。

 

「ネギ先生とマギ先生はどちらもオックスフォードを御出になった天才とお聞きしておりますわ。それに教えになるのに年齢なんて関係ありませんわ。どうぞHRを続けてくださいな」

 

 あやかが顔を赤らめながら、ネギを見ながらそう言った。アスナはあやかの態度が気に入らなかったようで

 

「委員長、何アンタいい子ぶってるのよ」

 

 アスナの言った事にもフフンと笑いながら、髪をかきあげ

 

「あら、いい子なのだから、いい子に見えるのは当然でしょう」

 

 と余裕のあった態度にムカついた、アスナはムカッとして

 

「何がいい子よ、このショタコン」

 

「んな!!?」

 

 とアスナのショタコン発言に、カチンときたあやかは

 

「言いがかりはお止めなさい!!貴方だってオジコンのくせに!!」

 

「なッなんですって!!?」

 

「知ってますのよ!貴方が高畑先生の事を…」

 

「ウギャ~!それ以上言ったら殺すわよアンタ!!」

 

 と互いの性癖を暴露されて、口喧嘩から、リアルファイトに勃発しそうになる。ネギはオロオロとしながらも止めようとしたが、マギは我関せずという態度をとっていて、他の生徒は、喧嘩を止めるどころか、ヤレヤレ!と煽る始末。このクラスに常識人は居ないのか…としずな先生がパンパンと

 

「はいはい、そろそろ時間が押してるから、授業を始めましょうね。ネギ先生お願いします。マギ先生は後ろでネギ先生の授業を見ていてください」

 

 と手を叩きながら、アスナとあやかの喧嘩を止めた。流石は生徒指導教員、生徒の扱い方が上手い。しずな先生に言われ、納得いかない様子で、しぶしぶと自分の席に戻るアスナとあやか。自分が担任なのに、喧嘩を止められなかった事を嘆くネギであった。

 

 

 

 さてネギの英語の授業、ネギは初めての授業で、失敗しないか心配だった。さらに生徒達の期待の眼差しにより、さらにプレッシャーがかかり、心が折れそうになったが、先程マギが自分言った事を思い出した。

 

(そうだ!僕なら大丈夫!僕なら出来る!!!)

 

 とマギの言葉に勇気づけられ、持ち直したネギ。よし!と心の中で気合を入れた。

 

「では教科書の12…8ページ…を」

 

 と此処である意味ネギにとって最初の難関が襲った。届かないのだ黒板に。背伸びをしても届く気配が無かった。生徒の皆はそんなネギを見て、カワイイと言いながら笑っていた。

 そんなネギを教室の後ろで、だらけながら見ていたマギ。時々、マギの事が気になってチラチラと見ている生徒がちらほらと居て、マギはそんな生徒に、授業に集中しろと言うシッシと追い払うようなジェスチャーをした。マギがそんな事をやっている間に、あやかがネギに豪華そうな踏み台を貸してくれて、漸く黒板に手が届くようになった。ネギが黒板に英文を書こうとした時

 

「アイタッ!!」

 

 とネギが涙目で叫んだ。ネギの頭に何かが当たったようだが、ネギは何が当たったのかキョロキョロと探していたのだが、分からず授業を進めようとしたのだが、今度は連続で何かが連続でネギの後頭部に直撃した。ネギは黒板の方を向いていて何が飛んできているのか分からなかったが、後ろにいたマギは誰が何を飛ばしてきたか見えていた。アスナが消しゴムを千切っては、ネギに向かって飛ばしていたのだ。ネギが何が飛んできているのか困っていると、あやかが、ネギに近づいて、誰がやったかを教えてくれたようだ。しかし余計な事も言ったようで、アスナは耳がいいのか自分の筆箱をあやかに投げつけた。投げられた筆箱はあやかの後頭部に直撃。激怒したあやかがアスナとのリアルファイトが再度勃発。ネギは喧嘩を止めようとしたが、止められず授業終了のチャイムが鳴ってしまった。

 こうしてネギの最初の授業は悲惨な形で終了してしまった。

 

 

 

 次の授業はマギの歴史の授業で、今度はマギが教壇に上がり、ネギが教室の後ろに座っている形となっていた。ネギと同じで、マギに興味津々な生徒達。対するマギは緊張していない様子で、大きく欠伸をして、ゴキ!ゴキ!と首を大きく鳴らして、教科書を開いた。生徒達はマギの行動に唖然としていたが、この人はこういう人なんだと瞬時に理解した。中にはマギの事を顔を赤くしながら見ている生徒もちらほらと居た。

 

「今日は教科書の369ページの室町幕府についてだ。いいか、室町幕府とは…」

 

 とマギが黒板に授業の内容を書き始めた。数十分経つが、歴史の授業とは退屈になるものだが、寝ている生徒は1人もいなかった。めんどくさがり屋のマギであるが、授業内容はしっかりとしていた。と言うのも、手抜きの授業をして、生徒の保護者や他の先生から苦情が来る方が面倒なので、せめて授業はしっかりしようと決めていたマギである。分からない所は重点的に教えて、分かりやすい簡単な所は付け足しなどをしながら教えたりしていた。これには歴史が苦手な生徒もこれなら分かりやすいと思えるほどだった。

 しかし、順調に進んでいるマギの授業であるが、またしてもアスナが邪魔しようとしていた。さっきも何故ネギに消しゴムを飛ばしていたのかと言うと、さっきの黒板消しを見て、ネギが普通の子供ではないと思い、それを証拠にネギを追い出そうとしたのだ。そうすれば、またタカミチが担任になってくれるだろうと考えたのである。しかしさっきのネギは消しゴムを飛ばしても、なにも不思議な力は使ってこなかった。

 

(きっとあのマギって男が秘密の力の鍵なのよ!きっとそうに違いないわ!!兄弟仲良くこの教室から追い出してやる!!)

 

 とアスナがマギの後頭部に狙いを定めて、消しゴムを飛ばした。結構な速さで飛ばされた消しゴムが、マギの後頭部に迫って行ったが

 

 ひょい!

 

 マギは、軽く首を横に傾けると、消しゴムはマギに当たらずに、黒板に当たっただけだった。アスナはあれ?と思い、まぐれだと思い今度は連続で消しゴムを飛ばすが、まるで見えてるかのように、消しゴムを躱し続けるマギ。流石にこれでは授業妨害になると感じ、あやかがアスナを注意しようとしたその時

 

 バシッ!!

 

 マギは見ずに消しゴムを掴むと

 

 ブゥンッ!!

 

 と思い切り投げた。思い切り投げられた消しゴムはアスナが飛ばした比にもならない程の速さで

 

 

「アイタァッ!!」

 

 アスナの額に直撃した。アスナは余りの痛さに額を押さえて俯いていると、アスナの体に影が差した。アスナは顔を上げてみると

 

「さっきから何をしているんだアスナ?」

 

 教科書を丸めて肩に担いでいたマギが其処いた。しかも垂れている目が細く、鋭くなっていた。

 

「あ…マギ…さん」

 

 アスナはさっきまでのマギの態度の違いにビクついていた。

 

「てめぇさっきから何をしていたんだって聞いたんだ。俺の授業は聞いていたのか?」

 

「はッはい!聞いてました」

 

 マギの雰囲気に押され、思わず嘘をついてしまったアスナ。アスナの返事にほう…と更に目を細めたマギ。

 

「そうか授業を聞いていたなら、これは答えられるよな?室町幕府の3代目将軍の名前は足利なんだ?言っておくが、隣のこのかに答えを聞くって方法は無しだぞ」

 

 と先手を打たれ、うっと詰まるアスナ。答えが分からないアスナは冷や汗を流しながら。

 

「足利…慶喜?」

 

 と間違った答えを言った。正解は足利義満である。基本中の基本である。マギはハァと溜息を吐きながら、アスナに近づき

 

「大間違いだ。大馬鹿野郎」

 

 

 バチィィィィィィィィィィンッ!!!!!

 

 

 額にでこピン『破壊神のでこピン』を食らわした。さっきと同じ場所、しかもさっきよりも数倍痛いでこピンが額に当たり

 

「…イッタァァァァァァァァッ!!!!?」

 

 頭が割れるかと思うほど、強力な一撃にアスナは悶絶していた。そんなアスナを生徒達は本当に痛そうに見ていて、何人かの生徒は顔を青くしていた。マギは全くと言いながら、教壇に上がると

 

「いいかてめえら…俺はめんどい事が嫌いだ。だから授業中だけは仕方なく真面目に取り組む。だがもし俺の授業を妨害するような奴が居たら…アスナの二の舞になる事を覚えておけ」

 

 と未だに頭を押さえているアスナを見て、黙って頷く生徒達。流石にあんなのを見てふざけようとは思えない。やった途端に自分もあんな目にあうんだから。

 

「まあもしわからない所があれば、面倒じゃない範囲だったら、教える事は出来るぞ」

 

 それじゃあ授業を再開する。とまた黒板に授業内容を書き始めた。生徒達は急いで黒板の内容をノートに写し始めた。アスナはまだ俯いているが、生徒達は余りアスナが可哀そうとは思えなかった。だって自業自得だったから。こうしてマギの授業は、ある意味?問題なく終了したのだった。

 

 

 

 




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