堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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お待たせしました!
漸く話が完成しました。
今日はちょっとバトルも入っているのでかなり長いです
それではどうぞ!!


このかを守れ!!

 京都に到着した3-A一向。まずは京都でも有名な清水寺に向かったのだが…

 午後五時ホテル嵐山にて

 

「「はぁ~~」」

 

 ネギとマギがホテルの休憩所にて疲れた様な溜息を吐いていた。その表情は疲れ切っていてグロッキーだった。

 何故ネギとマギが疲れ切っているのかと言うとそれには理由があった。時間を遡る事最初に廻った清水寺にて事件が2つ起こった。

 最初に清水寺にて集合写真を撮ったのち、清水寺の観光を行った。そこで夕映がガイドさん顔負けの清水寺の説明をしてくれた。

 他にも『清水の舞台から飛び降りる』と言う有名な言葉の通り、清水の舞台から飛び降りようと楓がしようとしたりそれをあやかが止めたりした。

 と言っても楓なら飛び降りても無事な気がするのだが…

 そして次の場所に廻った時最初の事件が起こった。

 京都には有名な縁結びの神社があり、中にも目を瞑って歩き、神社の岩に触れば恋が実るとか無いとか。

 それを聞いた生徒の殆どが目を光らせ、挑戦する者が多く出て来た。中でもあやかとまき絵の恋の闘争心は凄まじく、周りの者も若干引いてしまうほどだった。

 目を瞑って歩いて目的の岩までたどり着くのは困難であり、中にはずるして薄目を開けて歩く生徒もちらほらと居た。

 だがあやかだけは目を瞑っていても岩が何処にあるのか直感で分かり、一直線で目的の岩まで駆け出した。さすがあやかと言う所か、ネギへの思いは伊達では無いようだ。

 しかしまき絵も負けずとずるして薄目を開けて目的の岩まで走り出した。勝負はあやかとまき絵の一騎打ちになりそうだった。岩まで目と鼻の先の距離になったその時

 

 

 ズボッ!

 

 

 まき絵とあやかが走っていた地面が行き成り陥没した。落とし穴であった。深さは結構あり更に最悪な事にその落とし穴の中に数匹のカエルが居たのである。

 マギは固まってしまい、ネギとアスナが落とし穴に落ちてしまったまき絵とあやかを助けてあげたのである。

 因みにのどかがちゃっかりと岩に触れていたのであった。彼女の恋が無事に実る事を祈ろう。

 次に事件が起こったのはこれも有名な音羽の滝である。これは3本に別れた滝でそれぞれ健康に勉学に縁むすびの滝であり、その滝を飲めばその運が上がると言われ、真っ先に生徒達は縁結びの滝の水をまるで飲み干す勢いで飲み始めた。

 しかし縁の水を飲んでいる生徒達に異変が起こり始めた。最初ら辺は水が変な味がすると言いながらもこれがこの滝の水の味だと思い込み構わず飲んでいたが、段々と顔が赤くなりはじめ、一人また一人と顔を赤くしながら倒れてしまった。

 ネギとマギがこれは可笑しいと思い、滝が流れている上に登ってみると其処には大きな日本酒の酒樽があった。今まで流れていたのは水ではなく、日本酒だったのだ。つまり生徒達が赤くなってしまったのは酒に酔って酔いつぶれてしまった様だ。

 ネギとマギに滝の水を飲んでいない生徒は酔ってしまった生徒達を運んで清水寺にあった休憩所に運んだ。

 途中で生徒指導の新田先生に遭遇してしまい、新田先生に酒を飲んだことが知られてしまった場合、最悪修学旅行は中止になってしまう。ネギとマギが必死に誤魔化して難を逃れた。

 流石にこれ以上はマズイと判断したネギとマギはしずな先生に生徒の殆どが疲れ切ってしまったようで泊まるホテルに向かおうと強引に生徒達をバスに乗せて自分達が泊まるホテルに向かい、今に至ると言うわけである。

 

「…ったくやれやれな初日だったぜ」

 

 マギはまた深い溜息を吐いた。マギは自分でも理解していた。これは関西呪術の妨害だと

 

「やっぱりあの刹那って奴の仕業に違いねぇですぜお二人さん!」

 

「う…うんそうなのかな…?」

 

 ネギは信じられなかった。しかし刹那は気が付けば何処かに居なくなっており、姿を確認する事が出来なかった。そのせいで彼女への疑いが濃くなってしまっている。

 

「だけどよ、ただ姿が見えなかったからと言って刹那が関西のスパイと考えるのはまだ早いだろうよ。偶然どっかに行っていたって可能性だってあるだろうが」

 

「何言ってるんですかい大兄貴!あの刹那って奴は間違いなく敵のスパイですぜ!敵を疑わないなんて3流以下も程がありますぜい!」

 

 カモは納得いかずにそう反論した。カモの言っていることももっともだが

 

「あのなカモ、俺達は魔法使いの前に一人の教師だ。教師が生徒を簡単に疑うもんじゃねえ。最後まで生徒を信じてやるのが教師ってもんだろうよぉ」

 

「お兄ちゃん…うんそうだよね!先生の僕が簡単に生徒さんを疑っちゃたらいけないよね!!」

 

 ネギはマギの考えに感動したのか、一瞬だが生徒を疑おうとしていたその考えに反省し、刹那を信じる事にした。

 

「ちょ兄貴に大兄貴正気ですかい!?そんな簡単に信じてしまっていいんですかい!?」

 

「色々と助言には感謝する。だけどなカモ、テメェはヒデェ言い方だが生徒と先生の間じゃテメェは部外者だ。部外者のテメェが俺達の生徒を疑うのはゆるさねぇぞ」

 

「ごめんカモ君、やっぱり生徒をそんな簡単に疑っちゃたら立派な先生にはなれないよ」

 

「兄貴大兄貴!…分かりました。俺っちはアンタ達に着いていくと決めた身。貴方方があの刹那を信じるなら俺っちも信じますぜ!」

 

 とカモがそう言い悪いなカモとマギはそう謝ると

 

「今回は俺の顔に免じて…な」

 

 とそんな遣り取りをしているとおーいネギーマギさーん!とアスナがこっちに来た。

 

「とりあえず酔ってる皆は部屋で休ませているけど、一体何がどうなってんのよ?」

 

「そ…それは…」

 

 ネギはアスナにこれまでの事を簡潔に教えてあげた。

 

「ふ~ん…つまりは私達が関西呪術協会だっけ?そんな変な魔法団体に狙われているってわけね?また魔法の厄介ごとかぁ」

 

 ふんとアスナは疲れた様に鼻を鳴らした。すいませんアスナさんとネギがアスナに謝るが

 

「どうせ又助けてほしいんでしょ?いいわよ、どんとアタシに頼りなさいよ」

 

「あ…アスナさん」

 

 ネギは思わずジーンとしてしまった。そんなネギを見てマギは黙ってネギの頭に手を置いて

 

「んじゃま、とりあえずは俺達は風呂入って来るからこの話は又後にしようや」

 

 先生たちは先に風呂に入るのが決まりでネギとマギは風呂に入る事にした。

 

 

 

 露天風呂

 

「ふあぁぁ~~凄いよねお兄ちゃんこれが露天風呂なんだね」

 

「あぁやっぱ風呂は気持ちいいよな~心が落ち着いてくるぜ」

 

「気持ちいいっすね~」

 

 ネギとマギにカモは風呂の岩に寄りかかり、風呂の気持ちよさに顔がふやけていた。

 

「これで関西の妨害が無かったらなお最高だったんだけどな~」

 

「アハハ…そうだね」

 

 マギの疲れた様な呟きにネギは苦笑いを浮かべていた。

 

「そう言えばネギ、親書を奪われたときにその式神を刹那が斬ったって事で間違いないんだな?」

 

「うん僕が向かった時には式神はただの紙に戻ってたんだよ」

 

 マギがカエルで気絶してた時にツバメの式神がネギから親書を奪って逃走しようとしていたが、ネギが式神を追いかけている間にいつの間にか式神が元の紙の姿に戻っていて刹那が刀を鞘に戻していたのであった。

 

「しかし飛んでいるツバメを斬るなんて、刹那の奴かなりの腕みたいだな」

 

「日本には昔飛んでいたツバメを斬ったって言う凄いお侍さんが居たそうだよ」

 

 マギは今更だが魔法で戦うよりも接近戦の方を得意としており、ネギの言っていることが本当だったら刹那を賞賛する。

 

「僕はあんまり接近戦は得意じゃないから、魔法を詠唱する前にやられちゃうから魔法使いに剣士は天敵だなぁ~」

 

「だったら俺かタカミチが接近戦の稽古をつけてやろうか?」

 

 などと他愛のない話をしていると

 

 

 カラカラカラ

 

 

 脱衣室のドアの開く音が聞こえ、男の先生が入ってきたのだと思い、ネギとマギが顔を乗り出して見てみると

 

「…ふぅ」

 

 其処に居たのは刹那だった。ネギとマギは驚きサッと顔を岩に戻した。

 

(なッなんで刹那さんが此処に!?入り口は男女別だったんじゃ!)

 

(混浴なんだろ此処の風呂は!)

 

 と慌てながらもネギは再度刹那にばれない様に岩から顔を覗かせ、刹那を見ていた。刹那はどちらかと言うと小柄な部類に入る。肌も真っ白でとても綺麗だ。ネギは思わず見とれてしまっていた。

 

(おいネギ何ジロジロと刹那の裸見てんだ?ヘンタイかこの野郎)

 

(ちッちがうよ僕は刹那さん肌が真っ白で綺麗だなって思ってただけだよ!)

 

(やっぱ見てたんじゃねぇか。良いからばれない様に風呂から上がるぞ)

 

 ネギはマギが何故ばれない様に出なければいけないのか分からなかったのか首を傾げていた。そんなネギにマギは溜息を吐きながら

 

(良いかネギ、お前はまだガキだけどな俺はもう大人なんだぞ。そんな大人が女とましてや生徒と風呂に入っているとバレてみろ。変態と後ろ指差されるのは確実最悪先生をクビになる事間違いなしだ)

 

(そッそんなお兄ちゃんが居なくなるのは僕嫌だよ!)

 

(だったら一刻も早く出るぞ!刹那の奴勘が良さそうだし、少しでも音を立てたらばれる事間違いなしだ!)

 

 ネギとマギはそろ~と風呂から出ようとしたが、刹那が言った一言に固まってしまう。

 

「困ったな…魔法使いであるネギ先生とマギ先生なら何とかしてくれると思ったんだが…」

 

 刹那が言った事にマギとネギは思わず固まってしまった。何故刹那がネギとマギが魔法使いだと知っているのかと、止まったのが仇となりチャプンと音を立ててしまった。

 

「誰だ!?」

 

 刹那は何処から持ってきたのか刀を取り出し、叫んだ。見つかった!ネギとマギは急いで風呂から出ようとした。

 

「逃げるか!神鳴流奥義 斬岩剣!!」

 

 刹那が技名を叫びながら抜刀した。すると先程までネギとマギが居た岩が意図も容易く横一閃で真っ二つになってしまった。

 ネギとマギは真っ二つになった岩を見て声が出なかった。岩を斬ってしまったその刀の斬れ味もそうだが、岩を容易く斬ってしまった刹那の剣術の腕にも舌を巻く。だがあと一歩岩から離れるのが遅かったらネギとマギの首は胴体とさよならするはめになっていただろう。そんな事を考えてしまってゾッとしてしまった。

 

「ふッ風花武装解除!!」

 

 ネギはあらかじめ持ってきていた小さい杖で武装解除の呪文を発動させ、刹那の刀を吹き飛ばした。これで刹那は無力となった…はずだった。

 

「ふ」

 

 刹那は小さく笑うとマギが止める前に目にも止まらぬ速さでネギに接近すると、右手でネギの首を掴み、左手は……男の大事な所を掴むと

 

「何者だ。答えなければ捻り潰すぞ(・・・・・)

 

 冷たい目でネギを見ながらそう脅した。

 

「ひぅ!」

 

 ネギは顔を真っ青にし、マギも思わず内またになってしまった。だが刹那はハッとして自分が拘束しているのがネギだと気づく。

 

「すッスイマセンネギ先生!仕事上急所を狙うのはセオリーなので!」

 

 刹那はネギに誤解を解こうとしたが、行き成り男の大事な所を掴まれましてや握りつぶすと言われたせいで放心状態であった。

 

「おッおい刹那、お前今仕事上って言ったが…もしかしてお前魔法使い(こっち側の人間)なのか?」

 

 マギが尋ねるとはいそうですが…と刹那は肯定した。

 

「と言うよりこの前のエヴァンジェリンの件で私も学園長室に居たのですが…」

 

「え?ああ…そうだっけ?」

 

 そう言えばあの眼鏡の刀を持っていた女性の先生の後ろに刹那が居たような居なかったような記憶が曖昧である。

 

「私はこのかお嬢様の…」

 

 刹那が自分が何者かを話そうとしたその時

 

「ひゃぁぁぁぁ~~~!!」

 

 女性の脱衣所から悲鳴が聞こえた。悲鳴の主はこのかの様だ。

 

「このかお嬢様!?まさか奴らこのかお嬢様に手を出す気か…!お嬢様!!」

 

 刹那は一目散に脱衣所に向かった。マギは未だに状況が掴めなかったがこのかが襲われている事は分かった。マギは未だに放心状態だったネギの頭を叩いた。

 

「何時までボーッとしてるんだネギ!関西奴らなんかこのかを襲いだしたそうだぞ!」

 

「ええ!?大変だ急いで助けに行かないと!」

 

 とネギとマギも一足遅れて脱衣所に向かった。

 

「このかお嬢様!!」

 

「このかさん!大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫か!?何があった!?」

 

 脱衣所のドアを開けると

 

「いや~~ん!やめてーな!!」

 

「ちょ!ネギ!マギさん!?何かおさるが下着を取ろうとしてるの助けて!!」

 

 カエルのお次は猿の大群がアスナとこのかの下着を取ろうとしていた。ネギは思わずズッコケてしまい、マギは顔を手で覆った。刹那も固まってしまっておりその間に猿たちはこのかのブラとパンツを奪ってしまった。

 

「あッせっちゃん!ネギ君マギさん!?あ~ん見んといて~!」

 

 このかは異性のネギや年上のマギに裸を見られて恥ずかしくなり顔を真っ赤にしていた。刹那は猿どもを斬ろうとしたが、ネギは猿が式神だと気づいていない様で斬るのは可哀そうだと刹那を止めた。

 

「ったく!このか伏せてろ!!」

 

 マギは呆れながら一気にこのかに接近した。

 

「行くぜ!爆竜拳!!」

 

 そしてこのかの周りに居た猿どもに拳の高速のラッシュを食らわした。ラッシュを食らった猿どもはダメージのせいか元の紙に戻ってしまった。マギは此れで終わったと思っていたが油断していた。

 未だ残りの猿どもが居たらしく、その残りの猿どもがこのかを担ぎ上げ、逃げ出そうとしていた。

 

「お嬢様!お嬢様を返せ猿どもが!! 神鳴流奥義 百烈桜華斬!!」

 

 刹那がこのかを連れ出そうとした猿どもを目にも止まらぬ斬撃で猿どもを斬り裂いた。その斬撃まるで桜が散るかの如く。

 

「…はれ?」

 

 このかは今一状況が掴めず変な声を上げてしまった。ネギとマギにアスナが助けられたこのかに駆け付けた。

 

「…ッチ!」

 

 露天風呂に生えている木から舌打ちが聞こえ、ガサ!気が大きく揺れた。

 

(逃がしたか…)

 

 刹那は声に出さず、悔しそうな表情をした。そんな刹那にこのかがせッせっちゃんと刹那を呼んだ。

 

「なんかよー分からんけど助けてくれたん?あ…ありがとなー」

 

 刹那にお礼を言った。対して刹那は

 

「あ…いや…」

 

 と何を言っていいのか分からず、刹那は黙ってこのかをお風呂に優しく落とし、黙って脱衣所に向かってしまった。アスナやネギは呆然としながら走り去ってしまった刹那を呆然と見ていた。

 

「なんか訳ありの様だなこのかと刹那は。よかったら話してくれないか?」

 

 マギはこのかに何があったのかを話してくれないかと頼んだ。このかはええよと言った後にマギから顔をそむけた。マギは何で顔をそむけたのか首を傾げているとアスナがマギを見て顔を真っ赤にした。

 

「下を隠してーな」

 

「え?…あ」

 

 マギはこのかの言っている意味がよく分からなかったが下を見てこのかの言っている意味が分かった。激しく動いたせいか下半身を隠していたタオルが外れており、男の大事な場所がこのかとアスナに見えている状態なのだ。

 

「ままままマギさんの変態~~~~~!!」

 

「…やれやれだぜ」

 

 アスナが大声で喚き散らし、マギは何時ものセリフを言うしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 先程の休憩所にて

 ネギとマギとアスナはこのかの子供のころの話を聞いた。このかは昔は京都に住んでおり、小さい頃は友達が一人もいなかったそうだ。だがある日に刹那がやってきてこのかと刹那は直ぐに友達になった。

 刹那は剣道を習っており、ある時には怖い犬を追い払ってくれたり、危ない時には守ってくれたそうだ。

 しかしある時このかが川でおぼれそうになった時、刹那はこのかを助けようとしたが、自分も川に流されそうになってしまったそうだ。2人とも大人に助けられたそうだ。

 

 ―――守れなくてごめんこのちゃん。ウチもっともっとつようなるから―――

 

 その後からは刹那はその約束の為か、剣の修業で忙しくなって余り顔を出す事は無くなったそうだ。このかが麻帆良に引っ越して中1の時刹那と再会できたのだが…

 

「何かウチ悪い事したんかなぁ?せっちゃん昔みたく話してくれへんようになってて…」

 

 このかは目に涙を溜めながら言った。

 

「このか…」

 

「このかさん」

 

 ネギとアスナはこのかになんて言っていいのか分からず戸惑っており、マギは何も言わずに黙って聞いていた。

 このかと別れたネギとマギにアスナは話にあった刹那を探していた。

 

「このかさん寂しそうでしたね」

 

「うん普段のこのかなら絶対あんな顔しないもん。でも中1の新学期の時ちょっと落ち込んでいた時があったかな?水臭いなー何にも話してくれなかったなんて…」

 

「んまぁこれはこのかと刹那の問題だからなぁ部外者の俺達があーだこーだ言っても意味ないからなぁ」

 

 3人はそんな話をしながらも刹那が何処に居るのか探す。それともうそろそろ消灯時間だから出歩いている生徒には部屋に入るようにと注意も忘れずに。

 途中で楓と会い、楓とネギが親しそうに何かを話していたが、マギとアスナには聞こえなかった。

 楓と別れた数分後にホテルの入り口に何かを貼っている刹那を見つけた。何を貼っているのか尋ねると、式神返しの結界の御札を貼っているそうだ。

 ネギとマギにアスナと刹那はロビーのソファに座って刹那に話を聞くことにした。

 

「あの、その前に神楽坂さんにも話しても大丈夫なのでしょうか?」

 

「あぁうん、もう思いっきり巻き込まれているから別に大丈夫よ」

 

 とアスナはそう答えた。そうですか…ではと刹那の目が鋭くなった。

 

「敵の嫌がらせがエスカレートしてきました。このままではこのかお嬢様にも被害もおよびかねません。それなりの対策を講じなくては…」

 

 それなのに…とネギとマギをジト目で見て溜息を吐くと

 

「ネギ先生とマギ先生は優秀な西洋魔術師と聞いておりましたので、上手く対処してくれると思ったのですが、意外と対応が不甲斐なかったので敵も調子に乗った様です」

 

「あう!すみません!まだ未熟なので…」

 

「こればかりは何も言えねぇ。面目ねえ刹那」

 

 ネギとマギは素直に頭を下げた。そろそろ本題に入ろうか。

 

「刹那さん、僕達も協力しますから襲ってくる敵について教えてくれませんか?」

 

「俺からも頼む。こっちは敵の情報は無いに等しいからな」

 

 ネギとマギは刹那に頭を下げて情報を提供してもらおうとした。刹那も戦力になってくれるネギとマギにありがたく思い、快く情報を提供してくれた。

 

「私達の敵はおそらく関西呪術協会の一部勢力で、陰陽道の『呪符使い』そしてそれを使う式神です」

 

 陰陽道と聞いてアスナは有名な安倍晴明を想像した。さらに刹那の説明は続く

 

「呪符使いは古くから京都に伝わる日本独自の魔法『陰陽道』を基本としていますが、呪文を唱える間に無防備になるのはネギ先生やマギ先生達西洋魔術師と同じです」

 

 それ故に西洋魔術師が従者を従えているのと同じく上級の術者は善鬼(前鬼)護鬼(後鬼)と言った強力な式神をガードとして従わせているのが普通だと言う。

 それらを破らぬ限り呪文や剣などの攻撃は通用しないと言うのだ。

 

「善鬼に護鬼ですか。強そうですね…」

 

「式神っていう事は人間じゃねぇんだろ?それに鬼とは…本体を攻撃するのは骨が折れそうだし面倒そうだな…」

 

 ネギとマギは困ったような顔をしながらも話を聞いていた。アスナは…ちょっと話について行けてない様で首を傾げていた。

 

「さらに関西呪術協会は我が京都神鳴流と深い関係があります。神鳴流とは元々京を護り、魔を討つ為に組織された掛け値なしの力を持った戦闘集団。呪符使いの護衛として神鳴流剣士が付く事もあるので、そうなってしまえば厄介な事極まりないです」

 

 アスナとネギは事の凄さに絶句していたが、マギは刹那に質問した。

 

「と言うと刹那は神鳴流なんだよな?だけどもお前は西洋魔術側の人間だ。という事は神鳴流としてはお前は裏切り者っていう事になるのか?」

 

 ネギとアスナはそれに気づかず思わず刹那を見てしまった。マギの質問に刹那は首を縦に振り肯定をした。

 

「はい。関西にとっては見れば私は、西を抜け東についた言わば裏切り者…でも私の望みはこのかお嬢様をお守りする事なので仕方ありません」

 

 と言って刹那は一拍開けるとフッと静かに笑いながら

 

「私はお嬢様を守れれば満足なんです」

 

 刹那のこのかに対する思いを感じ取ったアスナは

 

「よーし!分かったわよ桜咲さん!!」

 

 と刹那の肩をバンッ!と叩いたアスナ。

 

「あんたがこのかの事を嫌ってなくて良かった事が分かればそれで十分!友達の友達は友達だからね、アタシも協力するわよ!!」

 

 友達思いでお人よしのアスナは快く刹那の手伝いをすると決めたのだった。

 

「うじゃ決まりだな」

 

「うん!そうだねお兄ちゃん!僕達の力を合わせて関西呪術協会からクラスの皆を護りましょう!!」

 

 ネギとマギとアスナに刹那は手を重ねた。

 

「んじゃ俺とネギは外を見張っておくぜ。まださっきの敵がまだ近くに居るかもしれねぇからな」

 

「アスナさん刹那さんはホテル内をお願いします!!」

 

 ネギとマギはホテル外を見回りに行くことにした。アスナと刹那にはホテル内の護りを頼んだ。

 アスナと刹那もホテルの部屋に戻ろうとしたが

 

「あぁ刹那、ちょっと話いいか?まぁすぐ終わるからよ」

 

「マギ先生?何でしょうか?」

 

 マギはアスナに先に部屋に戻るように言ってロビーに居るのはマギと刹那の2人だけ。

 

「それで話とはなんでしょうか?」

 

 刹那は話の内容は何なのか尋ねた。

 

「あぁさっきのこのかの事なんだけどよ、お前はこのかを守れれば満足だって言ったよな?」

 

「はい私はお嬢様を守れればそれだけで充分です」

 

 充分ねぇ…マギは刹那の答えに頭をガシガシと掻きながら次の事を言った。

 

「聞くけどよ、お前はこのかが自分を守ってくれってそう言ったか?」

 

「…え?」

 

 刹那はマギの言った事が今一掴めなかった。たっくやれやれだぜとマギは呆れていた。

 

「このかは泣いてたぜ…アイツは自分に非があると思って刹那が素っ気ない態度を取っているのは自分が悪いんだってな」

 

「そ…そんな…ですが私は護衛をする身、このかお嬢様を守ればそれで…」

 

 刹那は意外と頑固そうで、自分がこのかに近づくなど恐れ多いと思っているようだ。ったくメンドイ性格してんだなとマギは内心呆れる。

 

「お前とこのかはガキの頃は一緒に遊んでいたそうじゃねぇか。それにお前はこのかにとって最初の友達じゃねぇか。だったらこのかと一緒に居て一緒に笑ってやれよ。じゃないと…いつか絶対後悔するぜ」

 

 刹那は何も言わず黙って俯いていた。そんな刹那にマギは黙って頭に手を置いて優しく撫でてあげた。

 

「こればっかりはお前とこのかの問題だ。だが悔いの残らない様にしっかり悩みな」

 

 そう言ってマギは外の見回りに向かった。向かう道中

 

「すいませーん台車通ります」

 

 ホテルの女性従業員が布団が入った台車をかなりのスピードで飛ばしてマギの横を横切った。マギはとりあえずぶつからない様に避けた。すると

 

「ん?」

 

 女性従業員の懐から何やら紙が落ちた。若しかしたら大切な物かもしれないと思ったマギは女性従業員を呼び止めた。

 

「スイマセン!紙を落としましたよ!」

 

「!!あッありがとうございます拾ってくださって!!」

 

 そう言って女性従業員は、ひったくるようにマギから紙を取ってそのまま急いで何処かへ行ってしまった。マギは紙をひったくるように受け取った女性従業員に驚いたが、よっぽど急いでいたのだろうとそう考え、マギは急いでネギの元へと向かった。

 一方先程の女性従業員はと言うと…

 

「危なかったえーばれたんじゃないかと冷や冷やしましたわー」

 

 と呟きながら眼鏡を掛けた。先程のマギが拾った紙はよく見ると呪文のようなものが書かれており、更には布団から先程の猿の式神が顔を覗かしていたのだ。

 

「さぁて…ほな仕事を始めましょか…」

 

 そう女性従業員は怪しく笑うのだった。彼女の名は千草、関西呪術協会の一人で西洋魔術を憎んでいる過激派の一人である。

 

 

 

 

 

 

 渡月橋

 ネギとマギにカモは敵が来ない様に外の見回りを行っていた。序にカモがパクティオーカードの使い方を説明してくれた。

 

「へぇこのカードでパートナーと念話出来たり、遠くから呼び出したりパートナーの能力を上げたり道具を発動できるんだ。なんかすごいね」

 

 ネギはカードの使い方を聞いてカードの凄さに素直に驚いた。

 

「それじゃ早速使って見て下せぇこのカードのミラクル便利機能を!」

 

「うん!じゃあアスナさんに念話で話し掛けてみるね」

 

 ネギはカードをおでこに当て、念話を始めて見た。

 

「アスナさんアスナさん聞こえますかー?」

 

 ネギはアスナに念話を試した。アスナの方は行き成り頭の中でネギの声が聞こえて驚いていた。ネギはアスナに念話を続けていたが

 

「アレ?アスナさんからの声は聞こえないの?」

 

「ま、まぁそうですね」

 

「それってケータイの方が良くねぇか?」

 

 マギにそれを言われ、カモは何も言えなかった。するとネギのケータイに着信が入った。アスナからだ。

 

「もしもしアスナさん?如何したんですか?」

 

 ネギは如何したのかをアスナから聞いた。

 

「魔法使いがケータイとはなぁ…」

 

「これが時代ってもんじゃねえかカモ」

 

 カモが時代の流れに嘆いているとマギがとりあえず慰めた。だがネギが次に言った言葉でほのぼのとした空気が破壊される事となる。

 

「ええ!このかさんが誘拐された!?」

 

「何だって!?」

 

「おいおいマジかよ…!」

 

 ネギはアスナに詳しい事情を聞こうとしたその時

 

「兄貴大兄貴アレアレ!!」

 

 カモが叫びながら空を指差した。ネギとマギはカモが指差している空を見てみると、何かが飛んでいたが、此方に近づいてきてそしてネギとマギの目の前で着地した。

 それは大きな猿だった。

 

「おッおサル!?」

 

 ネギは巨大な猿が降ってきて吃驚したが、人と同じくらいの猿が居るはずもなく着ぐるみだとマギは直ぐに分かった。しかしマギは空から猿が降ってきた事よりも猿の腕に抱かれている者を見て驚いた。

 

「な!このか!?」

 

 このかである。先程誘拐されたと言われていたこのかが猿の着ぐるみの腕の中に居る。つまりこの猿の着ぐるみは

 

「お前は関西呪術の者だな?このかを返しやがれ、さもねぇと痛い目にあってもらうぜ」

 

 マギが拳を構えて猿の着ぐるみにそう警告した。しかし猿の着ぐるみはくっくっく…と笑っており、余裕の姿を現していた。そして猿の着ぐるみが振り返った。着ぐるみの口が開いており、中に誰が入っているのかが見えたが、誰が入っているのかを見て2人は又驚いた。

 

「貴方は…」

 

「さっきのホテルの従業員の…」

 

 そう猿の着ぐるみの正体は千草だったのである。千草はくくくと笑いながら

 

「このかお嬢様は確かに頂きましたえ」

 

 と不敵な笑みを浮かべていたのだが、猿の口の中から顔を出してるせいで何とも間抜けだと思ってしまいそうだったが、このかが捕まっているのもまた事実。

 

「このかさんを返しなさい! ラス・テル・マ・スキ…!」

 

 ネギは隠し持っていた小さい杖を持って詠唱を始めようとしたが、何処からか先程と同じ猿の式神の大群がネギの詠唱を邪魔し、マギが千草を追いかけさせない様にした。

 

「このおサルさんさっきの!?」

 

「くそメンドイもの残しやがって邪魔だ!」

 

 ネギは何とか猿を追い払い、マギは先程と同じように爆竜拳で猿達を蹴散らした。しかし猿を倒した時には千草の姿ははるか先へと行ってしまった。

 

「クソ逃がしちまった!追うぞネギ!!」

 

「うッうん!!」

 

 ネギとマギが千草を追いかけようとすると、アスナと刹那が走って此方に向かってきた。2人と合流したネギとマギは急いでこのかを助けるために猿女千草を追いかけ始めた。

 

 

 

 

「ふふ、西洋魔術師と言うても大したことあらへん。このかお嬢様を楽に手に入れてしもうたわ」

 

 千草は楽にこのかが手に入った事に歓喜していた。このままこのかが戻ってきてくれたら関西呪術の悲願がかなう…そう思っていると

 

「待てーーー!!」

 

「待ちやがれコラァ!!」

 

 ネギとマギの叫び声が聞こえ、思わず後ろを振り向くと

 

「お嬢様!」

 

「このかーッ!!」

 

 撒いた筈のネギとマギにアスナと刹那がもう追いかけて来たのに千草は舌をうつ。千草の前には駅が見えており、千草はそのまま駅に入ってしまった。

 

「クソ!駅に逃げ込みやがった!!」

 

 マギは千草が駅に入った事に悪態をつく。

 

「ていうより何なのよあの猿の着ぐるみは!?」

 

「恐らく関西呪術の呪符使いです。見てください!」

 

 と刹那が駅の柱を指差した。其処には御札らしきものが貼ってあった。

 

「人払いの呪符です!普通の人では近づくことができません!!」

 

 そうこう言っている間に千草が電車に乗り込み、ネギ達もギリギリで電車に乗り込むことが出来た。

 

「ネギ先生マギ先生!前の車両に追い詰めますよ!!」

 

 刹那が言う様に前の車両に追い詰めて身動きを取れなくさせようと言う作戦であった。

 しかし千草の方も黙って捕まるつもりなど毛頭も無く、式神の猿から御札を取り出すと

 

「お札さんお札さん。うちを逃がしておくれやす」

 

 そう唱えた途端にお札から水が出てきて、それが瞬く間に激流の川となり、ネギ達は溺れはじめる。

 

「ちょ何よこの水!?」

 

「おッ溺れる!?」

 

 ネギとアスナがそんな事を言っている間にネギ達が居る車両が水で完全に浸水してしまった。浸水した後も水は絶えず流れ続ける。

 

「ホホホホ。車内で溺れ死なんようにな、ほな」

 

 前の車両に逃れていた千草は溺れているネギ達を高みの見物で笑いながら見ていた。

 

「この…ラス・テ…ゴボゴボボボボボ!!」

 

「ちょ!浴衣がぬげごボボ!」

 

「水を瞬時にこんなに大量に出すとはスゲェ魔法ゴボボボボボッ!!」

 

 水の流れが急なのと、絶えず流れるせいでネギは魔法を詠唱できずに水を多く飲んでしまうこのままでは本当に溺れ死んでしまう。

 

(くそ息が…!この水では剣も振れない!ここまでなのか私は!?私は未熟者なのか…)

 

 刹那は諦めかけたが、幼いころのこのかを助けられなかった自分を思い出した。

 

(くそ!目の前で助けられるヤツをただ指を咥えて見てるなんて事はもう御免だ!!)

 

 マギも自らの拳を力強く握りしめそして

 

「斬空閃!!」

 

「剛魔神拳!!」

 

 刹那の飛ぶ斬撃と魔神拳よりも強力な衝撃波がドアを吹き飛ばした。水が千草の方まで流れて千草はあれ~~と言いながら流された。

 如何やら電車が目的の駅に止まったようで電車が完全停止し、ドアが開いた。ネギ達と千草も電車から水に流されながら降りた。ゲホゲホ!と水を吐き出すネギ達。

 

「どうだ見たかデカザル女。諦めてお嬢様を返してもらおうか」

 

「なかなかやりますなーでもこのかお嬢様は返しまへんえ!」

 

 千草はこのかを抱き上げ又逃げ始めた。それを又追いかけ始めるネギ達。

 

「せッ刹那さんいったいどういう事ですか!?」

 

「あのデカザル女何でこのかを誘拐しようとしてるのよ!?」

 

 ネギとアスナはなぜ千草がこのかを誘拐したのかが分からなかった。刹那は実は…と重々しい口調で訳を話した。

 

「関西呪術の中にこのかお嬢様を東の麻帆良にやってしまった事に快く思わない輩がいて。恐らく奴らはこのかお嬢様の力を利用して関西呪術協会を牛耳ろうとしているのでは…」

 

「なッ何ですかそれは!?」

 

 ネギはいまいち状況が分かっていなかったが、マギは事前にエヴァンジェリンから関西呪術の長はこのかの父であると聞いていた。という事はこのかにも何かしらの力があるとみて考えた方が良い。

 

「私も学園長も考えが甘かったとしか言えません。よもや修学旅行中に誘拐など強行策に出ようとは…」

 

 刹那は自分の甘い考えに自ら腹を立てていた。見るとこの駅にも人払いの呪符が貼られていた。やはり計画的犯行であったようだ。

 

「くッ!私が付いていながら…お嬢様!!」

 

「おい刹那!?」

 

「刹那さん待ってください!!」

 

 刹那は先に向かおうとしてネギ達は辛うじて追いかけているという状態だった。

 広い場所に出て、千草は猿の着ぐるみを脱いでいた。

 

「フフ、よーここまで追って来れましたな。そやけどそれもここまでですえ。最後の3枚目のお札ちゃんいかせてもらいますえ」

 

 千草がお札を構えながら不敵に笑った。させるつもりなど毛頭も無く刹那は刀を構えて千草に突貫した。

 

「お札さんお札さん。うちを逃がしておくれやす 喰らいなはれ!三枚符術京都大文字焼き!!」

 

 千草が唱え終えるとお札から炎が舞い上がり、京都で有名な炎の大文字が現れた。

 

「なッ!?」

 

 刹那は炎が舞い上がり驚いていたが、走り出したせいで上手く止まれなかった。このまま灼熱の炎に突っ込んでしまうかと思いきや

 

「桜咲さん!!」

 

 アスナの持ち前の反射神経と運動能力で刹那の浴衣を引っ張り、間一髪刹那は炎の中に飛び込むことは無くなった。

 

「神楽坂さんありがとうございます」

 

「礼は後でいいわよ!それよりもどうすんのよこの火!これじゃこのかの所に行けないじゃない!!」

 

 アスナが焦ったようにそう言い、その通りと千草はニヤリと笑いながらそう言い

 

「並みの術者ではその炎は越えられまへんえ。ほなさいなら」

 

 千草が余裕の態度で立ち去ろうとしていたが、千草は油断していた。ネギが並みの術者以上だという事に

 

風花 風塵乱舞(フランス サルティオ・ブルウエレア)!!」

 

 ネギが発動させた風の魔法により、炎の大文字が吹き飛んでしまった。

 

「なッなんや今のは!?」

 

 千草が驚いていると

 

「逃がしませんよ!このかさんは僕の生徒で大切な友達です!!」

 

「そういう事だ。今直ぐこのかを返しやがれ、それとカエルの恨みだ。一発殴らせろ」

 

 杖を構えたネギと拳を構えたマギが千草を睨んでいた。千草は炎の大文字を吹き飛ばしたのがネギだと分かったが、あの歳で此処までの実力とは驚いた。

 

「行きますよアスナさん 契約執行180秒間!ネギの従者神楽坂明日菜!!」

 

 ネギがパクティオーカードの魔力供給によりアスナをパワーアップさせ、マギは咸卦法を使い、刹那は刀を構えた。

 

「桜咲さん行くよ!」

 

「はッはい!」

 

 アスナと刹那は千草に攻撃を開始した。

 

「このバカザル女このかを返しなさい!!」

 

「兄貴!ここはパクティオーカードの出番ですぜ!!」

 

「うん分かった!アスナさん!パートナーだけが使える専用アイテム(アーティファクト)を出します!!アスナさんのは『ハマノツルギ』恐らく武器だと思います!受け取って下さい!!」

 

「武器!?そんなのがあるならちょうだいネギ!!」

 

 アスナは武器であるならぜひとも欲しいとネギにそう言う。ネギは頷くと能力を発動させるとアスナの手に光が収束していき、まるで剣のように細長いものに姿を構築していった。

 アスナも何か凄い武器になると予感して、出て来た武器ハマノツルギは…巨大なハリセンだった。

 

「…へ?ってちょ何よこれ!ただのハリセンじゃないのよ!これじゃマギさんのツッコミと被るじゃないのよ!!」

 

「あッあれー?おかしいなー」

 

 ネギもまさかハリセンが出て来るなんて思っても居なかったので若干戸惑いを隠せずにいた。

 

「ったく何やってるんだよ…」

 

 マギは呆れながらも千草に向かって一直線に向かって駆け出した。しかしその時

 

「!!!」

 

 マギは何かを感じとり右に大きく飛び跳ねた。ネギやアスナと刹那は何故マギが右に大きく飛んだのか分からなかったが次の瞬間

 

 

 ドガァァァァァァァァンッ!!

 

 

 さっきまでマギが居た場所が行き成り爆発しながら土煙をあげた。ネギはギョッとしたもしあのままマギが其処に居たら今頃爆発に巻き込まれてバラバラになっていただろう。

 

「くくく残念やけど、そこのおにーさんは坊ややお嬢ちゃんと違って出来ると思ったから特別に助っ人を呼ばせて頂きましたえーほな頑張ってなおにーさん」

 

 千草が言った瞬間に連続で何かの攻撃がマギを襲い、マギは避けるのに精一杯だった。何処から攻撃が飛んでくるのか辺りを探してみたが、その助っ人らしき人物は何処にも居なかった。

 

(くそ狙撃手かよ…!俺が一番嫌いで面倒な相手じゃねぇか。おまけに俺だけしか狙ってねぇおかげでアスナ達を援護出来ねぇじゃねぇか!!)

 

 マギが狙撃手なる者の攻撃を辛うじてよけながらもアスナ達の状況を見てみた。

 刀を持った刹那とハマノツルギというハリセンを持ったアスナが千草を攻撃しようとしたが、熊の着ぐるみと先程の猿の着ぐるみが一人でに動きだし、アスナと刹那の攻撃を(猿の方はアスナのハリセンを白刃取りしようとしたが、腕が短いせいで出来なかった)防いだ。

 この着ぐるみ達が先程刹那が言っていた善鬼と護鬼のようだ。一見着ぐるみと言う愛らしい姿をしているが鬼の名がついている事もあり、その力は計り知れない。

 千草はアスナ達の相手を善鬼と護鬼に任せて自分はこのかを連れて、逃げようとしたがそこで信じられない事が起こった。アスナの相手をしていた猿の着ぐるみがアスナのハリセン一閃で消えてしまいあっさりと倒されてしまった。

 これには刹那に千草は驚きを隠せなかった。ただの人間が鬼相手にこんなにあっさりと倒されてしまうとはにわかに信じられなかった。カモは如何やらアスナのアーティファクトであるハマノツルギに秘密があると見た。

 アスナは何だかよく分からないがいけると判断したようで、クマは自分が相手をするから刹那にこのかを任せた。刹那は今の出来事を見て大丈夫だと判断し、クマの相手をアスナに任せ、刹那は再度千草に向かったが、またもや邪魔が入った。

 

「え~~い」

 

 と何とも間の抜けた掛け声と共に何者かが刹那の剣を防いだのである。刹那の剣を防いだ者はファンシーな服を着ているが、その恰好には合わない小太刀と太刀を持っていた。

 名を月詠と言い、神鳴流の一人であり刹那の後輩にあたるようだ。今回は護衛として雇われたようだ。姿が見えない狙撃手に加えて神鳴流の護衛こちらが不利になってきた。

 しかもこの月詠という少女ファンシーな格好をしているが、剣術は出来るようで刹那と互角な腕前だった。これではこのかを助ける事が出来ない。刹那は焦りで太刀筋が荒くなっていた。

 

(クソ…!助けにいきてぇが邪魔がしつこ過ぎるぜ!!)

 

 マギはアスナや刹那の援護に行きたかったが、先程からマギだけしか狙わない姿が見えない狙撃手により足止めを喰らっていた。しかもアスナに小型の方の猿の式神の大群がアスナに群がり動きを封じ、クマの式神に捕まってしまった。これで今度こそ邪魔者が居なくなったと思った千草はこのかを連れて行こうとしたが、まだネギが残っている。

 

「魔法の射手 戒めの風矢!!」

 

 ネギは先程から詠唱に集中しており、千草に向かって魔法を発動させた。

 

「しッしまったガキを忘れてた!!」

 

 気付きた時にはもう遅い。魔法の矢が千草に迫る。千草は思わずこのかを盾にした。ネギは千草がこのかを盾にしたの見て慌てて魔法の矢の軌道を逸らし、このかに魔法の矢が当たる事は無かった。

 千草は攻撃がそれたのを見てネギが甘ちゃんだと気づいた。

 

「卑怯ですよ!このかさんを離してください!!」

 

 ネギはそう千草に訴えかけたが、千草にそんな言う通りにするつもりなど無く

 

「甘ちゃんやな。人質が多少怪我するくらい気にせず打ち抜けばいいのに。ククク…ホーホホホ!まったくお嬢様には役にたちますなぁ!この調子でこの後も利用させてもらうわ!!」

 

 千草の高笑いが駅に響いた。

 

「あッアンタ!このかを如何するつもりなのよ!?」

 

 クマに捕まりながらもアスナは千草を睨みつけながら目的を聞いた。千草はう~んどないしようかな~とアスナ達をまるで小ばかにするような態度で考え

 

「せやな~まずは呪文や呪符とか使て口でも利けんよにして、上手い事ウチラの言う事を聞くだけの操り人形にするのがえー考えやなー」

 

 そんな考えを聞いてこのかを大事に思っているネギとマギにアスナと刹那の中で何かが切れかける音が聞こえた。

 

「クククウチの勝やな。このかお嬢様がこんななまっちろいお尻しよってからにかわえーもんやな。ほななケツの青いクソガキどもオシリペーンペン」

 

 千草がこのかを尻を叩いた所で遂にネギ達の堪忍袋の緒が切れた。

 

「このかに何てことすんのよッ!!」

 

「このかお嬢様に何をするかーッ!!!」

 

「俺の生徒に何してるんだテメェ!!」

 

 クマをハリセンで消し去り、月詠を斬り飛ばし狙撃手の攻撃を魔法で防ぎながら3人は千草に向かって行った。

 

「風花 武装解除!!」

 

 ネギの武装解除の魔法で千草の服と持っていたお札を吹き飛ばし(ついでにこのかの浴衣も吹き飛ばしてしまった)その間にマギが接近し

 

「顔は勘弁してやるよ 魔神拳!!」

 

 千草の腹に衝撃波を喰らわすマギ相手は女性だが、大切な生徒を危険な目にあわすのならたとえ女性でも容赦をしないマギである。

 腹に衝撃波を喰らって気絶しそうになった千草だが、護りの護符によりいくらか衝撃を軽減できた。しかし千草がよろめいている間にアスナが千草の頭にハマノツルギもといハリセンを叩きつけると、千草の護りの護符が消滅してしまった。

 

(うそやろ護りの護符が効かんなんて!こうなれば必殺の式神を…!)

 

 千草はまだ隠し持っていたお札を発動させようとしたが

 

 

 バシュンッ!!

 

 

 千草の持っていたお札が何者かにより射抜かれ大きな穴が空いてしまい使い物にならなくなってしまった。

 

(なッ!?あの助っ人の男(・・・・・)何で邪魔なんかしはるんや!?(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 千草は目を大きく開いて有りえないと驚いていると、刹那が千草の背後に迫っておりそして

 

「秘剣!百花繚乱!!」

 

「ぺぽーーーッ!!」

 

 刹那の剣技で千草を斬り飛ばした。峰打ちで殺してはいないが…斬り飛ばされた千草は壁に激突した。

 

「く…くそ!何でこんなガキどもがこんなに強いんや!?」

 

 千草は自分を睨みつけているネギ達を見て流石に不利だと感じ取り、二匹目の猿の着ぐるみを召喚し

 

「お…覚えてなはれやーッ!!」

 

 猿に乗って逃げ出してしまった。アスナは追いかけようとしたが、刹那に深追いは禁物だと止められた。それよりもこのかである

 

「あの女さっき呪符やら薬やらを使ってとか言ってたがこのか姉さんは大丈夫なのか?」

 

 カモの言っている通り、このかを誘拐するときに何かしらの薬が使われているかもしれない。そう思ったネギ達はこのかに意識があるのかを確かめるためにこのかに大声で呼びかけた。

 なんどか呼びかけてみるとこのかはゆっくりと目を開いた。

 

「…んあれせっちゃん?なんか可笑しな夢を見たえ。変なおサルにさらわれてな、でもせっちゃんやアスナにネギ君とマギさんが助けてくれたんや」

 

 如何やら先程までの出来事が夢だと思い込んでいるこのか。このかが大丈夫だと分かると刹那はホッとした表情で

 

「よかった…もう大丈夫ですこのかお嬢様」

 

 とこのかに向かって静かに笑いかけていた。久しぶりにこのかは刹那の笑顔を見て

 

「よかったぁーせっちゃんウチの事嫌ってる訳やなかったんやなー」

 

 嬉しかったのか、思わず泣いてしまった。このかのうれし涙を見た刹那は

 

「え…そりゃ私かてこのちゃんと話し…」

 

 若干混乱してしまい、昔みたいな口調で話しそうになってしまい、ハッとした刹那は

 

「しッ失礼しました!!」

 

 素早い動きで下がり、このかに頭を下げた。

 

「わッ私はこのちゃ…お嬢様をお守りできればそれで幸せ!それも陰からひっそりとお守りできれば、なのでその…御免!!」

 

 それだけ言い残し、刹那は走り去ろうとしてしまった。やはり行き成り仲直りするのは難しいようだ。

 

「桜咲さーんッ!!」

 

 アスナが大声で刹那を呼び止めた。刹那は立ち止まり後ろを振り返るとアスナが手を振りながら

 

「明日の班行動別の班だけど一緒に奈良回ろうねーッ!!」

 

 明日の班行動の時に一緒に奈良を回る事を約束した。刹那は黙って頷いてそのまま走り去ってしまった。ネギはアスナの友達思いな場面に感動していた。

 

「ほら大丈夫だってこのか安心しなよ!」

 

「でも…」

 

 とこのかは不安そうだったが、ポンとマギがこのかの頭に手を置くと

 

「大丈夫だって、刹那はこのかと又前の関係に戻りたいと思っているさ。だけども時間と歳月のせいでどうやって又このかと接したらいいのか分からねえのさ。大丈夫さ絶対又前の関係に戻れるぜ。だからこのかも諦めずに刹那にアタックして行けって!!」

 

 ニカッと笑いながらこのかにそう言うマギ。このかはおもわず呆然とマギの言った事を聞いていたが

 

「うん!ウチ頑張ってせっちゃんに話し掛けてみるわー!!」

 

 と笑いながらそう言った。とりあえずは一件落着と言っていいだろう。

 

「あれ?そういえばウチどうしてハダカなんやろ?」

 

「そッそれはあのね!!」

 

 このかが自分がハダカなのは如何してなのかと首を傾げているとアスナは必死に誤魔化そうとした。

 

「ったくこれが修学旅行初日とはな…まだこんなのが後4日あると考えると面倒な事になりそうだなおい…」

 

「というよりどうしよう僕達結構いろいろな物壊しちゃったけど!!」

 

 マギはこれからも千草の妨害があると考えると面倒になると思い、憂さ晴らしにタバコを吸い始めた。ネギの方はこのかを助けようとして、色々な物を壊してしまい弁償とかどうしようと考えているが、別に何とかなるだろう?とマギは後回しと誰か任せであった。

 問題は他にある。

 

「おいネギ来て見ろよ」

 

 とマギはマギを足止めしていた姿が見えなかった狙撃手が作った攻撃によるクレーターを見ていた。ネギも近づいて見てみると

 

「何だろうこれ?」

 

「何だろな弓矢の矢かこれは?しかし変な形だよなこれ…」

 

 マギはクレーターの中から一本の矢を取って見た。マギの言う通り矢にしては変な形をしていた。何故なら剣をまるで極限までに細くした様な矢であった。マギが細くなった様な剣の矢をまじまじ観察してみようとしたが

 

 

 ピキピキ…パリィィィィィンッ!!

 

 

 剣の矢に罅が入りガラスのように砕け散ってまるで最初から無かったような幻想で会ったような物だった。

 

「持って感じたがさっきの剣の矢魔力で錬られて造られたもだった。おいカモ、武器を魔法で造るって言う魔法を何処かで聞いた事ねぇか?」

 

「いやそんな魔法聞いた事ねぇですぜ大兄貴」

 

 魔法の事をある程度知っているカモですらそんな魔法を知らない様子だった。

 

「だけどさっきのおサルさんの女の人が言っていた助っ人は何でお兄ちゃんしか狙わなかったんだろう?魔法を詠唱していた僕も邪魔すればよかったのに…」

 

 ネギの言う通りだろう。確かにマギはパワーだけならこの中でも一番だろうが、ネギの詠唱も止めた方が効率的だったろうに

 

「もしかして大兄貴のことを知っていてそれで命を狙おうとしたんじゃ…」

 

「冗談!確かに今の今迄喧嘩を売ってきた事はあるが流石に殺されるまでの恨みを貰った事はねぇぞ流石に」

 

 マギも流石にそこまではしなかったと言う。しかし助っ人はマギだけを狙っていた。謎は深まるばかりであった…

 

 

 

 

 

 マギ達から数キロ離れた場所にあるビルの屋上

 ビルの屋上に男が立っているが月が雲に隠れているせいで、影しか見えないがその人物は手に弓を持っていた。如何やらこの男が千草が言っていた助っ人なのだろう。助っ人が持っていた弓だが瞬きをしている瞬間に弓が男の手から消えていた。

 男が黙っているが屋上に足音が聞こえ、男に近づいていた。背丈は小さく少年の様だった。やはり雲のせいで顔が見えない

 

「何故あの女の邪魔をした。君の行動は理解しかねる」

 

 少年の高い声が男にそう訪ねた。男は黙っており話そうとはしなかった。少年は聞くだけ無駄かと思い立ち去ろうとしたが

 

「別にマギ・スプリングフィールドを狙おうとしたが手が滑った。ただそれだけだ」

 

 それだけ言った。少年はそれだけ聞くとそうかいとそう言った。

 

「言っておくけどネギ・スプリングフィールドの相手は僕がする。彼は…ネギ君は僕の相手に値するかを確かめる必要がある」

 

「構わん、勝手にしてくれ。私はマギ・スプリングフィールドにしか興味が無いのでね」

 

 そう言った話をしていると月が雲から出て来た。月がビルの屋上を照らすが、其処には少年と男の姿は何処にもなかった。




はい今回はオリジナルとしてマギのオリジナルの敵を出してみました。
と言っても読者の中にはオリジナルの敵の元ネタが分かってしまったと思いますが
どうか感想を送った時にネタバレをしないでもらいたいです。
あと最後の場面ですが、一人はオリ敵ですがもう一人は原作の敵です。
ですが原作の敵の口調が合っているか不安です。
次回の話はバトルが無いので短いと思います。

感想お待ちしております

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