堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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正直自分の駄文が此処まで行くとは思っていませんでした。
本当にうれしいです!
これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします!!
それではどうぞ!!


エヴァンジェリンの過去

「コラネギ!何時まで寝てるのよ!さっさと起きなさい!」

 

 アスナはバイトから早朝のバイトから帰ってきて、何時までも寝ているネギを起そうと何時もの様にアスナのベットに潜り込んでいるネギを起そうとしたが、ネギは其処には居なかった。代わりに居たのはアスナの下着に潜り込んでいるカモだけ。

 アスナはカモから下着を取り返し、ネギを探そうとするとカモが言った。

 

「兄貴ならとっくのとうに学校に行きましたぜ。姐さんがバイトに行っている間に。このかさんも今日は日直だそうで」

 

「うそ!?じゃあマギさんは!?」

 

 アスナは珍しくネギが自分一人で学校に行った事に驚いていると、マギは部屋に居るのかを聞いてみると

 

「大兄貴も今日は珍しく自分で起きて、兄貴と一緒に学校に行きましたぜ」

 

「うそあのマギさんが!?というよりもしかして今此処に居るのアタシだけ!?」

 

 アスナは自分一人じゃ起きれないマギが自分で起きた事にさらに驚いたが、今この部屋に自分一人しか居ないという事は…

 

「遅刻じゃない!もう最悪~!」

 

 アスナは急いで着替えて寮を飛び出した。今急げば遅刻ギリギリで間に合うかもしれない。とそれよりも

 

「何でアンタがアタシと一緒に居るのよ!?」

 

「いや~兄貴と大兄貴が俺っちを起してくれなくて。良いじゃないですか姐さん」

 

「良くないわよ!アンタとアタシでコンビみたいじゃない!!」

 

 と遅刻しない様に走っている女子中学生と喋るオコジョという変な光景が出来ていた。

 そしてとっくのとうに学校に向かっているネギとマギはと言うと

 

「お早うございます!皆さん今日も元気に行きましょう!!」

 

 と今迄うじうじしていたのが嘘のように晴れ晴れとした表情だった。

 

「あら何だか今日は何時もより元気で凛々しいですわネギ先生…」

 

 あやかはネギをウットリとした表情で見つめていた。

 

「本当いつもより元気だにゃー。なんかあったのマギさん?」

 

 裕奈はそう言いながら、ネギの隣にいたマギに何があったのかを聞いてみた。マギはそうだな…と呟いてから

 

「漸く悩みが解決したからか?」

 

 とそう言ってマギも校舎の中に入って行った。

 3-Aに向かうネギとマギ

 

「んでエヴァンジェリンの事は如何するんだよネギ」

 

 マギはネギにこれから如何するのかを聞いてみるとこれだよお兄ちゃん!とネギはマギに何かを見せてきた。見せたものは

 

「果たし状って…いつの時代の人間だよお前は…」

 

 と果たし状を見せてきたネギにマギは呆れていた。

 

「この間僕の方から茶々丸さんに仕掛けてきたことに報復に来ることは間違いないし…でもこれ以上僕の生徒に危害が来ない様にしたいし、僕一人でも何か出来る事があるはずだ。とにかく今は逃げずに立ち向かわないと」

 

 とネギはそう言ってマギは又一人で突っ走りやがってと説教をしようとしたがでも…と呟きながらマギの方を向くと

 

「でももし僕一人じゃ出来なくなったらお兄ちゃんを頼ってもいいかな?」

 

 とネギが言った事にマギはほんの一瞬ネギが気づかないうちに驚くとフッと笑いながらネギの頭に手を置くと優しく撫でまわした。

 

「何言ってるんだ?俺はお前の兄貴だぞ。弟はいくらでも兄貴を頼れ」

 

 まあメンドクならない程度だけどなとマギが少しおどけたようにネギにそう言った、ネギはマギにありがとうお兄ちゃん。とお礼を言った。

 3-Aの教室に着いたネギは聊か緊張してるのか過多唾を飲み込んだ。そして一度咳払いをするとドアを開けた。

 

「おはようございます!エヴァンジェリンさんは居ますか!?」

 

 ネギがエヴァンジェリンが居るかを尋ねるとハルナが

 

「ネギ君お早う!エヴァジェリンさんなら今日は来ないって」

 

 とハルナの報告にネギは又サボったのかと思ったが、保健委員の亜子が

 

「何や風邪でお休みするって連絡があって」

 

 との事である。その連絡を聞いてネギは考えた魔法使いで吸血鬼な人が風邪をひいて寝込むのかと。ネギは本当かどうかを確かめるためにエヴァンジェリンの元に向かう事にした。

 

「おいネギ行くならさっさと行こうぜ」

 

 如何やらマギも同じ考えのようでさっそくエヴァンジェリンの元に向かう事にした。

 

「ハァハァなんとか間に合ったわ…!」

 

 と遅刻寸前のアスナが漸く3-Aに到着した。アスナが到着したのと同時にネギとマギが教室を出て行った。

 

「ちょッちょっとネギにマギさん!?何処に行くのよ!?」

 

 アスナがネギとマギが何処に行くのかを尋ねると

 

「ちょっとエヴァンジェリンさんの所に行ってきます!」

 

「もしかしたら今日は戻って来れないかもしれねぇから、今日のネギと俺の授業は自習だ。各自一応勉強しておけよ」

 

 自習と言う単語を聞いて、殆んどの生徒が喜んだ。アスナが制止をかける暇なくネギとマギはエヴァンジェリンの所に向かって居なくなってしまった。そんなネギ達を見てアスナは全くと呟きながら

 

「何よアイツ妙に元気がいいわね。エヴァンジェリン事は大丈夫なの?」

 

(兄貴の顔つきが昨日から変わっていたし、なんか考えが思いついたんじゃないスか?)

 

 とアスナの疑問にカモがアスナに聞こえるようにそう教えた。

 

「ネギ君土日をはさんで何か元気でたなー」

 

 このかはネギが元気そうでよかったらしく笑顔でそう言った。そしてネギが元気になったおかげと言える楓はニンニンと笑いながらネギを見ていたのだった。

 

 

 

 学園都市内のとある場所。

 行き成りだが、エヴァンジェリンと茶々丸は女子寮に住んでいない。学園都市内に家を建てて、其処で暮らしながら学校に向かっているのだ。時折寮の大浴場に居るのは偶の気分転換なのである。閑話休題

 今ネギとマギはエヴァンジェリンの家に向かっているのだ。クラス名簿にエヴァンジェリンの住所が乗っている。歩く事数十分漸くネギとマギはエヴァンジェリンの住んでいる家へとたどり着いた。

 さてエヴァンジェリンが如何いった家に住んでいるのかというと…

 

「へぇ~案外素敵なお家だな~」

 

「エヴァンジェリンの奴イイ家に住んでるじゃねえか」

 

 ネギとマギが感嘆の声を上げるのも無理は無かった。というのもエヴァンジェリンの自宅は木で出来たコテージの様な家で童話で出て来そうな『森のお家』のようだった。

 

「僕てっきり墓場に住んでいるのかと思ってた」

 

「おい」

 

 ネギは墓場に住んでいて棺桶から飛び出してきているエヴァンジェリンを想像したようだ。流石に失礼だろうがとマギがツッコミをいれた。そんな事よりもこんな所で話してないでネギとマギは玄関へと向かった。

 玄関のチャイムもボタン式ではなく、紐を引っ張って鳴らすベル式のものだった。さっそくネギがベルの紐を引っ張った。カランコロンと音色が鳴り響く。

 

「こんにちはー担任のネギですけど、家庭訪問に来ました」

 

「同じく副担のマギだが、エヴァンジェリンいるのか?いたら返事しろ~」

 

 マギがそう言ってもエヴァンジェリンからの返事が無く、マギがためしに玄関を開けてみようとしたら鍵が開いていて、ネギとマギは家の中に入って行った。中に入ってみると

 

「中は結構ファンシーなんだな」

 

「これの何処が吸血鬼なの!?」

 

 家の中には基本的な家具があったのだが、そこらじゅうにぬいぐるみや人形に操り人形など小さい女の子が遊んでいそうな空間だった。ネギの言う通り此れの何処が吸血鬼なのかを疑ってしまうだろう。とその時

 

「どなたですか?」

 

 後ろから茶々丸の声が聞こえ、振り返ってみるとメイド服の茶々丸がおぼんに水と薬らしきものを置いて佇んでいた。

 

「ネギ先生マギ先生、今日は。マスターに何か御用ですか?」

 

 茶々丸はネギとマギに何か御用かを尋ねてきた。ネギは後ろに茶々丸がいた事に驚いていたが、まず最初にやる事は

 

「茶々丸さんこの間はどうもすみませんでした」

 

 この前に茶々丸を尾行し攻撃したことに謝ったネギ。茶々丸もいえ此方こそと謝り返した。

 

「そしてマギ先生助けてくれてありがとうございました」

 

「謝んなよ当然の事をしたと思っているぞ俺は」

 

 茶々丸はマギが自分を助けた事に助けた事にお礼を言ったのだが当然のことをしたまでとあしらわれた。と今日は茶々丸に謝るのも目的の一つだったが本来の目的はエヴァンジェリンだ。

 ネギは茶々丸にエヴァンジェリンは如何しているのかを尋ねると

 

「マスターは連絡した通り病気です」

 

 と返された。しかしネギは未だにエヴァンジェリンが風邪だという事を信じていなかった。すると

 

「その通りだ。私は元気だぞ」

 

 上の方からエヴァンジェリンの声が聞こえ、エヴァンジェリンが階段の柵に腰かけていた。

 しかしマギはエヴァンジェリンをよく観察してみた。エヴァンジェリン本人は自らを元気だと言っていたが、顔は赤く上気しておりハァハァと呼吸も荒かった。これは如何見ても風邪の症状である。

 

「よく来たな。まぁ邪魔なおまけもついてきたようだが、まぁ魔力が十分でなくとも貴様らごときをくびり殺すことぐらいわけないのだぞ」

 

 邪魔なおまけって絶対俺の事だよな…とマギが内心で呟いた。茶々丸がマスターベットを出ては…と何処か慌てている様子だった。

 そんな遣り取りをしている間にネギはエヴァンジェリンに果たし状を見せた。エヴァンジェリンは果たし状をなんだそれは?と呆れた様子で眺めた。

 

「果たし状です!僕ともう一度勝負してください!それとちゃんと学校に来て下さい!このままだと卒業できませんよ」

 

「だから呪いのせいで出席しても卒業なんかできないんだよ」

 

 ネギの必死の訴えに、エヴァンジェリンは呆れたように返した。まぁしかし…とエヴァンジェリンはニヤリと笑うと

 

「それじゃあここで決着をつけるか?私は一向に構わんが」

 

 とエヴァンジェリンはなけなしの魔力を集中して魔法薬が入っている試験管を数本取り出した。対するネギも

 

「…いいですよ。そのかわり僕が勝ったらちゃんと授業に出て下さいね!」

 

 と杖を構えた。どちらも臨戦態勢で一触即発の雰囲気となってしまい、茶々丸は止めようとしたが止められる雰囲気ではなかった。マギはなんでこんな事になっちまったんだよと呆れていた。

 そして互いがぶつかりあおうとしたが…

 

 

 

 ぽて  ゴンッ!!

 

 

 

 エヴァンジェリンが階段の柵からずり落ち、床に頭を打っちそしてそのまま動かなくなってしまった。ネギはエヴァンジェリンが行き成り階段からずり落ちた事にポカンと見ていたが、マギがエヴァンジェリンに近づきエヴァンジェリンの額に手を当てた。そしてったくと舌打ちをしながら

 

「すげー熱じゃねえか。これの何処が元気だよまったく」

 

「ええ!?風邪って本当だったんですか!?」

 

 と漸くネギもエヴァンジェリンが風邪であった事を信じたようだ。そしてマギがエヴァンジェリンを抱き上げた。エヴァンジェリンはマギに抱き上げられるのを嫌がりジタバタしようとしたが、風邪で動けないため無駄に終わった。

 

「2階のベッドに寝かせてください。マスターは風邪の他に花粉症も患っていますので」

 

 それを聞いてネギとマギはエヴァンジェリンが本当に吸血鬼なのか疑い始めた。

 2階のベッドにエヴァンジェリンを寝かせたマギ達。寝かせたのだがエヴァンジェリンの表情は何処か苦しそうだった。

 

「魔力が減少したマスターの体は元の肉体である10代の少女となんら変わりありませんので」

 

 と今のエヴァンジェリンの容態を説明してくれた茶々丸。ネギとマギはただ頷くだけである。

 ネギ先生マギ先生…と茶々丸は2人の方を向いて

 

「私はこれからツテのある大学病院にて良く効く薬を貰っくるのと猫にエサをやってくるのでその間だけマスターを見ていただけませんでしょうか?」

 

「ええッ!僕とお兄ちゃんがですか!?」

 

 ネギは驚きを隠せなかった。自分達は戦った者同士どうしてそこまで頼むのだろうと

 

「先生方ならお任せ出来ると判断したからです」

 

 と茶々丸が断言していると

 

「分かった。エヴァンジェリンの看病は俺とネギがやっとくからお前はクスリと猫のエサをさっさとやってこいよ」

 

 とマギが快く引き受けてしまった。ネギはなんでそんな簡単に引き受けちゃうの!?と言う顔でマギを見たが

 

「あのな生徒が苦しそうにしているのに何もしないって言うのは、それはそれでいけないだろ」

 

 とマギが言っていることも正論なためネギは押し黙ってしまった。そして茶々丸はエヴァンジェリンの看病をネギとマギに任せて薬を貰いに行くのとエサをやりにいったのであった。

 さてエヴァンジェリンを看病することになったネギとマギであるが、何をすればいいか考えていると、エヴァンジェリンが急に咳き込み始めた。どうやら喉が渇いたようだ。

 という事で台所から、飲み物を持ってきた。水にお茶果てにはコーラなどのジュースである。しかしエヴァンジェリンはどれも飲む気配が無かった。もう飲ませる物が無くネギが困っているとマギが

 

「やっぱ吸血鬼だし血じゃねえのか?」

 

 と台所からナイフを持ち出してきて、躊躇いもなくマギは自分の人差し指をザクッ!と切った。切った指先から血が流れ出した。そして血が出ている指をエヴァンジェリンに近づけた。

 

「おいエヴァンジェリン口を開けろ。血だぞ」

 

 血と言う言葉を聞くとエヴァンジェリンは弱弱しく口を開いた。マギは開かれた口に自らの指を突っ込んだ。エヴァンジェリンはチュウチュウと血を吸い始めた。

 

「おう飲み始めた。美味いか?」

 

 とマギが聞くとエヴァンジェリンは弱々しくマズイと一言だけ言った。それを聞いたマギはそっかと苦笑いをしていた。

 エヴァンジェリンに血を飲ませて一段落着いたと思ったら、日差しが直に当たってエヴァンジェリンは汗をかき始めたのでネギはカーテンを開いて日光が当たらないようにした。

 日光が当たらなくなりエヴァンジェリンが暑がる思いもしなくなると思った矢先に今度は汗をかいたために体が冷えてしまった。ネギはエヴァンジェリンを着替えさせようとして、エヴァンジェリンの寝巻きを脱がせ始めると、似合わないような下着を直視してしまい、恥ずかしくなりこれ以上脱がせることが出来なかったが、マギが代わりにエヴァンジェリンの下着を脱がして代わりの下着と寝巻きを着せてあげた。

 そしてエヴァンジェリンが静かに寝息を立て始めの見て、漸く落ち着いたようだ。しかし…とマギとネギはエヴァンジェリンの事をじっくりと見ていた。よく見てみると可愛らしい少女である。それなのにどうして吸血鬼なんかやっているのだろうと。

 昔聞いた事があるのだが、真祖というのは今は失われた秘伝によって自らを吸血鬼と化した元人間だったということである。正直な所10代の少女が自ら吸血鬼になるとは思えないネギとマギ。

 

「エヴァンジェリンって前に自分の歳は600歳ぐらいだって言ってたが…クソ親父(サウザントマスター)とどういう関係だったんだ?」

 

「如何して呪いなんてかけられたのかな?」

 

 という事でマギとネギは何かてがかりになるような物がないのか探し始めた。

 

 

 十分後

 

 

「なんも無いなてがかり…」

 

「昔の写真とかも一枚も無かったね」

 

 部屋の中をくまなく探したが、呪いに関する物や昔の写真などは一枚も見つからなかった。諦めかけていると

 

「や…やめ…ろ」

 

 エヴァンジェリンの弱々しい声が聞こえ、探し回っていたのがばれてしまったのだと思っていたが近づいてみると寝言だった。ネギがホッとしていると

 

「やめてくれ…サウザント…マスター」

 

 次のエヴァジェリンの寝言にネギは固まってしまった。今エヴァンジェリンはサウザントマスターと会っている夢を見ているようだ。とネギが何かを閃いたのかマギの方を見た。マギもネギが何を思いついたのが分かったようで嫌そうな顔をしていた。

 

「お前アレをやるつもりだろ?嫌だぞ俺は。メンドイし人のプライバシーにかかわる」

 

「だけどこれでエヴァンジェリンさんの過去が少しは分かるかもしれないし…」

 

 と言われると仕方ねえなと頭を掻くマギ。

 

「もしエヴァンジェリンがキレても俺は知らねえからな」

 

「うん」

 

 そしてネギは寝ているエヴァンジェリンの隣で杖を構えた。

 

「ラス・テル マ・スキル・マギステル 夢の妖精女王メイヴよ扉を開けて夢へといざなえ…」

 

 ネギの詠唱が終わるとまばゆい光がネギとマギを包み込んだのだ。

 

 

 光が晴れるとそこはエヴァンジェリンの部屋ではなく、麻帆良の図書館島の湖の浜辺にネギとマギがいた。行き成りだが此処はエヴァンジェリンの夢の中の世界だ。先程ネギが発動した魔法は他人の夢に侵入する魔法だ。そして精神系の魔法なのかネギとマギは全裸で体が青白く発光していた。

 とそんな事は如何でもいい。先程から肝心のエヴァンジェリンの姿が見えないのだ。探しているとエヴァンジェリンは直ぐに見つかった。見つかったのだが身体つきは大人の女性で手には茶々丸に似た糸の操り人形を持っていた。そしてもう一人エヴァンジェリンと対峙しているローブを被った男が一人その人物はネギと同じ杖を持っていた。そうその男こそが

 

「遂に追い詰めたぞサウザントマスター…この極東の島国でな。今日こそ貴様を打倒し、その血肉を我がモノにしてくれる」

 

 そして対峙している男は

 

「『人形使い』『闇の福音』『不死の魔法使い』エヴァンジェリン恐るべき吸血鬼よ。己が力と永遠の美を糧に何百人を毒牙にかけた?その上にこのサウザントマスターと呼ばれた俺を狙い何を企んでいるのかは知らぬが…」

 

 とゆっくりと顔を上げた。そしてネギはその男の顔を見て息を呑み、マギは顔をしかめた。そう彼こそが

 

「諦めろ。何度挑んでも俺には勝てんぞ」

 

 ネギとマギの父であり、サウザントマスターと呼ばれた。ナギ・スプリングフィールドである。やはりと言っていいのかネギとマギの顔とそっくりである。特にマギは父と瓜二つである。

 

「この人がサウザントマスターで僕とお兄ちゃんのお父さん!?カッカッコイイ!!」

 

「彼奴がクソ親父…」

 

 ネギは父のナギがイメージ通りなのか大はしゃぎだったが対するマギはナギの顔を見て顔を歪めていた。そんなネギとマギを置いて夢であるために話が先に進んでいく、エヴァンジェリンはフン!ほざけと鼻でナギを笑い構える。

 

「パートナーの居ないお前に何が出来る。行くぞチャチャゼロ!!」

 

「アイサー御主人」

 

 茶々丸に似た人形チャチャゼロは自我を持っているらしく、ケケケと笑いながらナイフを構え、そしてエヴァンジェリンもナギに向かって行った。対するナギは何故か杖を構えずにえーと確かこの辺だったかなと呟きながら杖で地面を叩いていた。

 そんな事をしている間にエヴァンジェリンとチャチャゼロはナギの近くまで接近していた。

 

「ふ…遅いわ小僧!私の勝ちだ!!」

 

 エヴァンジェリンは勝利を確信しており魔法を発動しかけていた。ネギは未だに行動を起こさないナギを見てハラハラしていたが、ナギが急に立ち止まると地面を先程よりも強く叩いた。すると

 

 

 ズボッ!! ドボーーーンッ!!

 

 

 エヴァンジェリンの足場が行き成り陥没し陥没した下が大きな水たまりでエヴァンジェリンは豪快に水たまりに入ってしまった。

 

「なッなんだこれは!?」

 

「落トシ穴ダ御主人」

 

「見ればわかるわ!…ん?」

 

 エヴァンジェリンが落ちたのは落とし穴しかも水が入っているというおまけつき。エヴァンジェリンはすぐさま落とし穴から脱出しようとしたが、何かかがプカプカと浮かんでいた。何が浮かんでいるのかエヴァンジェリンは見てみるとそれはニンニクと長ネギだった。その二つを見た途端エヴァンジェリンは顔を真っ青にして、顔から滝のような汗を流し始めた。更にナギは追い打ちをかけるかのように

 

「ふははは~ニンニクとネギの追加だ~」

 

 とナギは大きな袋から大量のニンニクと長ネギを落とし穴にドバドバと入れ始めた。

 

「ひッひぃぃぃッ!!私の大嫌いなニンニクとネギをいれるな~!!」

 

 とエヴァンジェリンは涙目でこれ以上ニンニクと長ネギをいれるなと叫んだ。ニンニクは分かるがネギも苦手ってどんだけ弱点があるんだよとマギは呆れていた。エヴァンジェリンはやめろ!!涙でパニック状態でナギに懇願していたが、ナギは聞く耳を持たずに杖で水を掻き混ぜて行った。そして遂に

 

「あう!」

 

 ポンという音とともに大人の姿であったエヴァンジェリンは何時も見かける子供の姿へとなってしまった。如何やら先程の大人の姿は幻術の類の様だ。

 

「ははは噂の吸血鬼がチビのガキだと皆が知ったらなんと言うかな~」

 

 ナギはエヴァンジェリンの幻術が解かれてもまだニンニクとネギを落とし穴に落とし続けていた。エヴァンジェリンがやめろ!と叫んでいたがナギは高笑いをしながらニンニクとネギを落とし続ける。まるでいじめだ。

 ネギはナギとエヴァンジェリンの魔法による激闘を予想していたのにこんな子供の悪戯みたいなもので呆気なく終わった事に呆然とし、マギはナギのやり方を見て呆れたような溜息を吐いていた。

 

「おいサウザントマスター貴様!仮にも魔法使いだろう!魔法使いなら魔法で勝負しろ!」

 

 エヴァンジェリンは溺れかけながらナギに魔法で勝負しろと訴えかけたが、ナギはヤダねと言いながら頭のフードを外した。ナギの顔が露わになるが本当にネギとマギにそっくりだ。髪型もネギとマギにそっくりだった。しかしナギの次に言った言葉はエヴァンジェリンにネギやマギでさえ呆然とするものだった。

 

「おれ勉強が苦手でな本当は5~6個しか魔法しらねーんだよ。魔法学校も中退だ恐れ入ったかコラ」

 

 とナギのドヤ顔にネギとエヴァンジェリンはガーンとショックを受けていた。サウザントマスター…千の呪文の男と呼ばれていた男が本当はたったの数個しか魔法を覚えていないと言うはネギは大きくイメージを崩したのだった。

 

「クソ親父奴学校を中退したのか。俺もメンドイから中退したかったが中退したらクソ親父と同類になっていたのか…中退しなくて良かったぜ本当に…」

 

 そんな事を呟いたマギ。その後もエヴァンジェリンは行き成りナギに自分の何が嫌なのかを聞いてナギは年下には興味が無いとそう言うとエヴァンジェリンはもう100歳は越えていると返すと、じゃあバァチャンじゃねーかと又返された。チャチャゼロは呆れたように落チ着ケヨ御主人とエヴァンジェリンを落ち着かせようとしていた。

 

「なあそろそろ俺を追うのは諦めて悪いことからも足を洗ったらどうだ?」

 

「やだ!!」

 

 とエヴァンジェリンの返事にそうかそうかだったら仕方ねえとナギがニヤリと笑った。

 

「変な呪いをかけて二度と悪い事が出来ない様にしてやるぜ」

 

 するとナギは魔力を集中させた。それはエヴァンジェリンが恐怖で震えあがるほどの強大な魔力だった。

 

「確か麻帆良のじじい(学園長)が警備員を欲しがってたんだよな。えーと何々?マンマンテロテロ…長いなこの呪文。まッてきとーでいいっか」

 

「お…おい馬鹿やめろ!そんな力でテキトーな呪文を唱えるな」

 

 エヴァンジェリンは必死に落とし穴から出ようとしたがパニック状態で上手く抜け出せない状態だった。チャチャゼロは御主人ピーンチ自分の主人がピンチなのに何処か呑気だった。

 

「おいサウザントマスター!本当にやめてくれ!!頼むから!!」

 

 エヴァンジェリンは涙目でナギにやめてと必死に懇願したが時既に遅く。今まさに呪いの呪文が完成した瞬間だった。

 

登校地獄(インフエルヌス・スコラステイクス)!!」

 

 ナギが発動した呪文はエヴァンジェリンの体を稲妻で包み込んだ。

 

「うわぁぁぁぁッ!!」

 

 エヴァンジェリンはただただ悲鳴を上げるしか出来なかったのであった。

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 夢から覚めたエヴァンジェリンはガバッとベッドから体を上げた。ハァ…ハァ…と呼吸も荒い。

 

「ま…またあの夢か…」

 

 エヴァンジェリンがナギに呪いをかけられた時の夢は大抵このような状態になる。辺りを見渡してみると

 

「すーすーすー」

 

「zzzzz」

 

「うわッ!?」

 

 自分のベッドにネギとマギが爆睡しているのを見てエヴァンジェリンは驚いた。

 

「何でこいつらがこんな所に居るんだ。殺してくれと言っているような物じゃないか…」

 

 と呆れられていたがネギとマギの周りにはエヴァンジェリンを看病した時に使った物が散らばっていた。そこで漸くエヴァンジェリンはこの2人に看病されていたという事に気づいた。それに気付いたエヴァンジェリンは舌打ちをした後に溜息を吐いた。殺す気が失せてしまった様だ。

 と寝ていたネギがゆっくりと目を覚まし、エヴァンジェリンが起きているのを見て慌てだした。

 

「はッしまった!寝ちゃった!エヴァンジェリンさんもう風邪は大丈夫なんですか!?」

 

「あぁ大丈夫だよ。今日の所は見逃してやるから其処に居る邪魔なこの男を連れてさっさと帰れ」

 

 邪魔な男と呼ばれたマギをネギは何とか起こした。そしてマギを起したネギは結局果たし状はエヴァンジェリンに渡さずにそそくさと帰ろうとした。エヴァンジェリンの夢を見た事を感づかれない様に。

 しかし

 

「おい貴様。何故寝ながら杖を握っていたんだ?」

 

 其処を指摘されてネギはギクリと固まった。まさか…と勘が良いエヴァンジェリンは分かってしまった様で

 

「貴様…私の夢を見たんだな…!!」

 

 とバレテしまい、ネギは必死に誤魔化そうとしたが、未だに寝ぼけているマギが

 

「おう見たぞ。ったくクソ親父は酷い事したよな。落とし穴に落とした後にニンニクとネギだからな」

 

 とマギの言った事でこの2人が自分の夢を見たいた事が確信した。ブチリとエヴァンジェリンがキレた音が聞こえた。

 

「きッ貴様等は親子そろって…!!殺す!やっぱり今殺す!!」

 

「うひぃぃぃぃぃ!?」

 

 キレたエヴァンジェリンがネギとマギを追いかけまわした。そこからはドタバタと大騒ぎだった。丁度薬を貰って来て猫たちにエサをやって来た茶々丸が帰ってきて、エヴァンジェリンが元気になった声が聞こえてきて一安心したようだった。

 その後女子寮に帰ってきたネギとマギだがマギは大丈夫だったが、ネギはボロボロで戻ってきたためにアスナとカモを驚かせたのだった。




今回はエヴァンジェリンの呪いの話ですが
正直ネギマギナギと似た名前が一杯なので
間違えない様にしていたのですが、もしかしたら
誤字があるかも…
もしあったら教えてください

さて次回は漸くエヴァンジェリンと決着がつきそうです。

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