それではどうぞ!
ネギとアスナによる茶々丸尾行奇襲作戦はマギが茶々丸を守った事により失敗に終わった。その翌日の土曜日茶々丸はチェーン店のカフェショップにてロボットなのでコーヒーが飲めないがとりあえずテーブルにコーヒーを置いていた。
茶々丸は昨日の事を思い出していた。自分に魔法の矢が直撃しそうになった時に目の前にマギが現れ、助けてくれて何も言わずに逃がしてくれた。自分が敵であるというのにあっさりと
「マギ先生…」
茶々丸はそれだけが気になってさっきからずっとマギの名を呟いていたのだ。
「茶々丸此処に居たのか」
エヴァンジェリンの声が聞こえ、振り向いてみるとエヴァンジェリンと聡美が居た。
「マスター。ハカセも」
「や茶々丸。メンテナンスに来たよ」
聡美がそう言っているのは、聡美通称ハカセは茶々丸の開発者の一人で麻帆良で2番目の天才中学生である。因みに1番は同じクラスの超である。閑話休題。
という事で同じクラスでもあるハカセ(もうハカセで統一する)が定期的に茶々丸をメンテナンスすることになっている。丁度エヴァンジェリンに会ったからそのままメンテナンスをすることになったのである。
「昨日のジジイの話だがな、桜通りの件がばれてしまってな。釘をさされた。やはり次の満月まで動けん。もっとも坊やが動けばこちらも対処をしなくてはな…っておい茶々丸聞いてるのか?」
エヴァンジェリンは茶々丸が何処かボーッとしているのに気付いて、話を聞いているのかを聞いた。ロボットがボーッとするなど珍しいなと思い、茶々丸が買っておいたコーヒーを勝手に飲み始めた。
「昨日帰り道の途中でマギさんに助けてもらいまして」
「!?ブーーーッ!!ゲホッゲホ!!」
茶々丸がマギに助けてもらったという事をエヴァジェリンに報告するとエヴァジェリンは口に含んでいたコーヒーを思わず吹き出してしまい、咳き込んでしまった。
「何でお前があんな男に助けてもらったんだ!?」
「実は川で流されている子猫を助けようとした所、思わず滑ってしまい、私も流されそうになった時にマギ先生に助けてもらいました」
此れは嘘なのだが、何故嘘を吐いたのか茶々丸自身分からなかった。エヴァンジェリンはマギの名を聞いた途端に不機嫌になり始めた。
「クソ…よりにもよって彼奴に助けられるとは、正直不快だ」
茶々丸は何故エヴァンジェリンがマギの事でそんなに不機嫌になるのかが気になり
「何故マスターはそこまでマギ先生に対してそこまで目の敵にするんですか?」
と尋ねるとエヴァンジェリンは顔を俯いてしまった。マスター?と茶々丸はエヴァンジェリンの顔を覗き込むと
「…似ているから腹が立つんだ」
え?と茶々丸はエヴァンジェリンが言っている似ていると言う言葉の意味が良く分からなかったがエヴァンジェリンは話を続けた。
「顔も声も彼奴にそっくりだ。いい加減な所もな。彼奴は約束をしても来てくれなかった嘘吐きだ。彼奴の息子のマギだって嘘吐きに決まってるさ」
「マスター…」
茶々丸はエヴァンジェリンの独白を黙って聞いていた。
「さっきから何の話をしてるんですか2人とも?」
蚊帳の外だったハカセは2人に何の話をしているか聞いてみた。
「ハカセには関係のない話だよ。それよりも茶々丸のメンテナンスをちゃんとやっておいてくれ」
「はいはい分かりましたよ。あ茶々丸泥が詰まってるからもっと丁寧に動いてね」
「申し訳ありませんハカセ」
エヴァンジェリンは残っているコーヒーをまた飲み始め茶々丸はハカセにメンテナンスをしてもらっていた。
女子寮のアスナとこのかの部屋にて昨日の尾行作戦の事を話していた。
「大兄貴何であの茶々丸ってロボットを助けたりしたんすか!?昨日のうちに仕留めておけば万事解決!!こっちの勝ちだったのに!」
とカモがマギに文句を叫んでいた。昨日の尾行奇襲作戦はマギが茶々丸を助けた事により無駄に終わってしまったのである。
「兎に角ヤツを逃がしたのは不味いっす!昨日までは奴らの余裕風吹かしてましたけど兄貴にパートナーが居るってのを茶々丸がエヴァンジェリンに報告したら絶対今度は2人がかりで仕返しに来るに決まってますぜ!」
とマギに事の重大さをカモが訴えていたのだが
「しかし相手は生徒だしな…教師は生徒を守る物だし、それにメンドイ事になるのは避けたいしな」
とマギは頭を掻きながらそう言っていたが
「甘いっすよ大兄貴!今は教師と生徒の関係を話している暇は無いっすよ!兄貴と大兄貴は命を狙われているんっすよ!?それなのにそのうちの1人を助けるなんて奴らは敵っすよ敵!」
とマギにそうツッコむカモ。ちょっとエロオコジョとアスナがカモをそう呼びカモっす!姐さん!とアスナに自分の名を覚えさせようとしたら
「エヴァンジェリンも茶々丸も2年間アタシ達と同じクラスメイトだったのよ?そんな今更本気で命を狙ったりはしないと思うけどな」
とアスナがそう言うが姐さんも甘いっすよ!とカモが反論する。そう言いながらカモはパソコンで何かを調べ始めた。
「見てください!俺っちが魔法世界関連のネットで調べたんスけど、あのエヴァンジェリンは15年前までは魔法界で600万ドルの賞金首だったんですぜ!?記録には女や子供を殺したっていうのは残っていませんが、今でも闇の世界で一目置かれている極悪人でさ!」
アスナはカモが調べたサイトを見てみると、エヴァンジェリンが確かに賞金首であったことが記されている。なんでそんなのがウチのクラスに居るのよ!?とアスナが内心でツッコミをいれた。
「なんでエヴァンジェリンが日本に居るのかは不明ですが、とにかく奴らが本気で来たらヤバいっすよ!姐さんの他にも寮内の生徒がやられる可能性が…」
「ウソ!?それマジ!?」
カモが言った事にネギは俯いて何も喋らない。
「とりあえず兄貴や大兄貴が今寮に居るのは不味いっすよ」
「う…うーんそうね今日は休みで人も多いし…」
とカモとアスナがそんな事を話しているとネギは黙って杖を持って窓を開けた。
「ちょっとネギ!?」
「兄貴!」
アスナがネギを止めようとしたが一足遅く
「ウワァァンッ!!」
ネギは泣きながら杖に跨って飛んで行ってしまった。
「姐さんがあんなことを言ったから!」
「アンタだって!!」
とネギが出て行ってしまったのはそっちのせいだと言いあっていたが、そんな事を言い争っている間にネギはどんどんと見えなくなっていく。
「兎に角ネギを追うわよ!!」
「合点でさ姐さん!」
アスナとカモはネギを追いかけるために、部屋を出て行ってしまった。部屋にはマギがポツンと取り残されてしまった。
「これって俺も探さなきゃいけないパターンかよ?…メンドクセェなぁ」
けど…マギはネギが飛び出した窓の外を眺めながら
「これがネギの最初の大きな壁になるのかもな。今は大いに悩めネギ。悩んで悩んでそれでも自分一人で何もできないと思った時には俺やアスナとかに頼ってこい」
さてとマギはそう言いながらゆっくりと立ち上がり
「優秀すぎる愚弟を探しに行くとしますか」
マギもネギを探しに行くために部屋を出て行った。
部屋を飛び出したネギは未だに空を飛んでいた。ネギの顔は暗く沈んていた。自分のせいでアスナやこのか…他の生徒に迷惑が掛かってしまう。これ以上は迷惑はかけられない何処か遠くの場所に逃げなきゃならない。
でも…ネギは溜息を吐きながら
「何時までも逃げられるわけではないし…どうしたらいいのかな僕は」
周りを見渡してみると、麻帆良を少しだけ飛んだだけなのに辺りは山ばかりだった。ふとネギは故郷のウェールズを思い出し、ネカネやアーニャの事を元気かと気にし始めた。
「もういっそのことウェールズに帰っちゃおうかな。そうすればエヴァンジェリンさんも諦めるだろうし…でもお兄ちゃんにそんな事を言ったらどんな顔をするかな…」
と弱気な逃げの台詞を言い始めたネギ。ネギは気づかなかった。自分の目の前に大きな木が有った事に…バシンッ!と木にぶつかってしまい杖を手放してしまった。
「しまった!低すぎた落ちちゃう!!」
そう言っている間にネギは悲鳴を上げながら墜落してしまった。
ドボーン!
落ちた場所は小さな池の様だった。もし地面に落ちていたなら大怪我では済まなかっただろう。ネギはとりあえず無事な事に一安心したが大事な事に気づいた。
「あれ!?僕の杖が無い!」
先程木にぶつかった時に杖を手放してしまい、今自分の手元にないのだ。ネギは慌てて杖を探し始めた。ネギは杖が無いと殆ど魔法が使えなくなってしまい、なによりもこんな森のような場所では帰れなくなってしまう。何処かで狼か野良犬の遠吠えが聞こえ、ネギは怖くなってしまい駆け出す。
「たッ助けてお兄ちゃん!」
ネギは咄嗟にマギの名を呼んだが、マギが現れるという事はなくネギは躓いてしまう。
「ううう…お兄ちゃん…アスナさん」
ネギは泣き出してしまいマギとアスナの名を呼んでしまった。とその時
ガサガサガサガサッ!!
ネギの前方の茂みが揺れ始めネギはビクッとしてしまった。もしかしたら凶暴な野生動物が現れたのかと思いもう駄目だとネギはギュッと目を瞑ったが、現れたのは野生動物ではなく。
「おや?誰かと思いきやネギ坊主ではござらんか」
とまるで武士の様な喋り方をするのはネギの知っている中1人しかいない。ネギが顔を上げると其処には楓が居た。
「楓さん!?ウワァァン!助かりましたぁ!!」
「おととネギ先生落ち着くでござるよ」
ネギは思わず楓に飛びついてしまったが、楓は別段驚かずにネギを優しく抱きしめてあげたのだった。
ネギの濡れてしまった服は竹の竿で干してあげて、ネギは楓が持っていたバスタオルにくるまっていた。時折クシャミをしてしまい楓笑われていた。ネギは何故こんな所に楓が居るのかを聞いてみると
「土日は寮を離れて此処にて修業をしているのでござるよ。因みに…なんの修業かは秘密でござるよニンニン♪」
(絶対忍者の修業なんだろうな。ニンニンって言ってるし)
ネギは楓が忍者の修業でこんな所に居るのだろうと結論付けた。そんな事よりもと楓はネギを見ながら
「ネギ坊主は何でこんな山奥に居るのでござるか?」
と聞くとネギは黙ってしまった。
「まぁ話したくないのであれば無理に話さなくてもいいでござるよ」
と楓にそう言われネギは小さくはい…とそう答えた。楓とそんな遣り取りをしている間にネギは無くしてしまった杖の事を考えていた。
(何処に行っちゃったんだろう僕の杖…何時もなら目を閉じれば何処にあるのか分かるのに。やっぱり僕が駄目な魔法使いだから杖も愛想を尽かされちゃったのかな)
ネギはネガティブな事を考えながら溜息を吐いていると
「ネギ坊主暫くの間拙者と修業をしてみるか?」
と楓が自分と修業をしてみないかとネギに聞いて来て、ネギは何かを言う前に腹の虫が鳴いてしまった。楓はネギの腹の虫を聞いてニッコリと笑うと。
「この山では自給自足が基本でござる。イワナでも獲ってみるでござるか?」
「あッはい!」
ネギは楓に連れられてイワナが居る場所に向かった。着いた場所は水が透き通っている池で池の中には数十匹のイワナが元気よく泳いでいた。
「凄いいっぱい泳いでますね!」
ネギはイワナが沢山泳いでいるのに興奮していた。
「イワナは警戒心が強い魚で手づかみだと足音を立ててしまうと逃げちゃうんでござるよ」
と楓はネギにイワナの事を教えてくれた。
「じゃあどうやって獲るんですか?」
「これ…でござるよ」
ネギがどうやって獲るのかを聞いてみると楓はキラリと黒光りする何かをネギに見せてあげた。楓が持っている物の名前は苦無というものでネギも日本の忍者の本で読んだ事があり、どういう物かは知っていた。
楓はシッ!と言いながら苦無をイワナめがけて投げたら、苦無にイワナが命中して動かなくなった。と今度は2本の苦無を同時に投げて2匹のイワナを同時に仕留めた。
「ほらこれで3匹でござるよ」
ネギは楓の苦無を投げる姿に感激して自分もやってみたいと楓お願いして苦無を貸してもらって、ネギもイワナに向かって苦無を投げてみたが、楓みたいにちゃんと飛ばずにボチャン!ボチャン!と虚しい音を立てながら沈んでいった。
「ん~~とホレこうやってぽぽーんと投げれば上手くいくでござるよ」
と言いながら楓は岩壁を蹴り上げながら体を回転してその遠心力で苦無を投げていた。そんな楓を見て
「そんな事もっとできませんよ!」
とツッコミをいれた。
「でも凄いです楓さん!流石日本の忍者ですね」
とネギは楓に感激していたが楓ははて?何のことでござるかなと恍けていた。イワナは大漁
「次は山菜採りでござるよ」
「山菜か。それなら僕でもできそうだ」
とネギは山菜採りなら自分でも出来ると言い聞かせていた。
「でも山菜採りを2人でやってたら日が暮れませんか?」
とネギが心配していたが楓はああ大丈夫でござるよほらと指差すとネギがあんぐりと大口を開けてしまった。何故なら
「16人に分身すれば16倍の速さで採れるでござるから、心配ご無用でござるよ」
と楓の後ろには15人の楓が山菜を採っていた。忍者の術の中でも有名な分身の術である。
(やっぱり忍者だ!!)
此処まで来ると感激ではなく驚愕の方が強いネギであった。
そして今までで獲った食材で昼食を取る事にした。
「美味しいです楓さん」
「あいあい」
ネギが美味と楓にそう言って楓はネギが食べている所をにっこりと笑って見ていた。獲れたての魚や山菜はどれも新鮮でそれば美味しさを倍増していた。
(だけど凄いな楓さんは…もしも楓さんが僕のパートナーになってくれたら…)
とそんな考えがネギの頭の中でよぎり、ネギはハッとしながら
(何を言っている僕は!パートナーと言っても戦いの道具として頼っているだけじゃないか!僕が原因の揉め事なのに僕の生徒をそんな形で巻き込んじゃだめだよ!昨日のアスナさんに頼ったのだって…)
とネギは又頭を抱えてしまった。ネギを楓はジッと見つめているとネギの頭に手を置きながら
「ほら食べたら行くでござるよ」
と楓は先に食べ終えて立ちあがっていた。
「行くって何処にですか?」
ネギは何処に行くのかを尋ねると
「午後の修業は夕ご飯の食材探しでござるよ」
「え!?又御飯探しですか!?」
とネギはなんで又食材を探すのかと思っていると
「山での修業は食材集めが主な修業内容でござるよ」
という事で午後の修業も食材集めとなったのだが、ネギはこの時は簡単なものだろうと思っていたが大きな間違いだった。
「ヒェェェッ!たッ高いです!!」
「この頂上のキノコが美味なんでござるよ」
断崖絶壁を命綱なしで登って頂上のキノコを採ったり
「グルオォォォォォンッ!!」
「くくくくクマァッ!!?」
「あいあい。早く逃げるでござるよ」
蜂の巣をクマから横取りして必死に逃げたり
「ネギ坊主はぐれると出れなくなってしまうでござるよ」
「楓さん先に行かないでくださぁぁい!」
はぐれたら一生出られないような森にて木のみを採ったりなどをしていた。正直先程の修業が優しいものであったなぁと思い始めたネギであった。
「ほらほらそっち行ったでござるよ」
「あわわッ!ボク素手じゃ獲れないでござるよ!」
と最後は川魚を手づかみで獲り、ネギは楓の協力で漸く一匹を捕まえる事が出来たのであった。一匹を捕まえた事にネギの顔には笑顔があった。
色々な食材が獲れて夕食も満足に食べれたネギ。体中が泥や汗で汚れてしまっていた。
「フワァァ疲れたぁ…汗と泥でドロドロですよ」
ネギは自分の体を見てそう言った。楓はそれならばとネギに向かって
「風呂でもはいるでござるか?」
とそう言った。ネギはこんな所に風呂が有るんですか?と楓に聞いてみると勿論と楓は肯定しながら
「最高の露天風呂…でござるよ」
と自信満々にそう言った。
夜ネギは楓に言われた最高の露天風呂に入っていた。その風呂だがドラム缶である。誰でも知っていそうなドラム缶に水をいれて火を焚き水を沸かすと言う物である。有名なドラム缶風呂である
普通はそんなドラム缶風呂が最高の露天風呂と言うのはどうかと思うが、これだけは格別だった。
「うぁぁ~~確かに最高の露天風呂ですね」
ネギがそう言うのは夜空の満点の星々を眺められるという絶景だった。楓が言っていた最高の露天風呂と言うのは頷ける。
それに頭を自分で洗うのが苦手なネギとしてはこういう風呂は大歓迎である。
「ふわぁぁ~~気持ちいいなぁ~~」
ネギは気持ちよさのあまり顔が崩れて笑顔がこぼれてしまった。そんなネギを見て楓はフフと笑いながら
「元気になったようでござるな」
とネギに向かってそう言ったネギはえ?と言いながら楓の方を見ると
「ネギ坊主新学期に入ってからずっと落ち込んでいたでござろう?心配していたんでござるが、漸く笑顔を見せてくれたようで一安心でござる」
「あ…」
ネギはそうやって楓に心配されて生徒に心配されるとは恥ずかしいと思い、顔を赤くしてしまったが楓が次に言った一言に固まってしまった。
「ほいでは…拙者も風呂に入らせてもらおうかな」
と楓が自分の服を脱ぎ始めた。ネギは慌てて風呂から出ようとしたが、楓がまぁまぁ良いではないかと言いながら楓も一緒にドラム缶風呂に入ってしまった。
「いい湯でござるなネギ坊主」
「そ…そうですね」
互いに裸である為にネギは恥ずかしさで楓に背を向けていた。数秒の間沈黙があったが、先にネギが口を開いた。
「凄いですね楓さんは…中学3年生で「胸がでござるか?」そうですね楓さんはほんとに胸が大きくて…って違いますよ!」
とネギが何かを言おうとして、楓に言葉を被せてネギをからかった。ネギは出ばなを挫かれたが、話を続けた。
「まだ14歳なのにそんなに落ち着いてて頼りがいもあるし、こんな修業を1人でやっているし、お兄ちゃんもそうです。なんでも一人で出来て皆からも信頼されてそれに比べて僕は…」
ハハハとネギは乾いた笑い声を上げていた。そんなネギを楓は何も言わずに聞いてた。
「ネギ坊主は拙者やマギ殿が何でもできているとそう見えているようでござるな?」
「はいだってそうでしょう?僕なんて一人じゃ何にも出来ないんですから」
とネギがそう言っているが、楓はう~~んと唸ってから
「それはネギ坊主の勘違いでござるな」
「え?」
ネギは楓が言った勘違いの意味がよく分からなかった。
「ネギ坊主が何でも出来ると言うのなら拙者は勉強も出来てバカレンジャーなんて言われることもないでござるよ」
「あ…確かに」
楓はそこまではっきりと言われると軽く傷つくでござるなと傷ついているのか分からないような笑みを浮かべていた。
「拙者は勉強が出来る友人を頼っているから何とか勉強について行けるのでござるよ。まぁ結局のところ試験は赤点ばっかでござったが」
それに…と話を続ける楓。
「マギ殿もでござるよ」
「お兄ちゃんもですか?」
とネギが聞くとあいあいと楓は頷く。
「数日前に散歩部の活動で拙者学園の中を歩いていた時でござったが、その時にマギ殿と高畑先生を見たのでござるよ」
「えッ!お兄ちゃんとタカミチが!?」
マギとタカミチが一緒に居ることはさほど珍しいものではないのだが麻帆良では何処か珍しい感じがするのである。
「それでお兄ちゃんとタカミチはどんな話をしていたんですか!?」
ネギはマギとタカミチが如何いう事を話していたのか気になっていた。
「その時は拙者も気になってどういう話をしているのか聞いてみたでござるよ。何を話していたのかというと、生徒にどういう授業方法で教えればいいのかを尋ねていたんでござる。他にも生徒指導にしずな先生にどういう指導をすればいいのかとか…他の先生にもいろいろな事を聞いていたでござるよ」
と楓の言った事にネギはマギがそんな事をしていたと言うのは初耳だった。
「拙者は高畑先生と別れたマギ殿に聞いてみたでござる『如何してそこまで色々な先生に色々と尋ねているんでござるか?』とするとマギ殿はこう答えたんでござる」
――俺が出来る事なんてたかが知れてるからな頼れるのもは何でも頼った方が良いからな、後々面倒な事になるだろうしな――
「と言っていたでござる。それを聞いたときにはマギ殿だなと思ってしまったでござる。話が変わるがネギ坊主今迄落ち込んでいたのは、今まで何でも自分一人で上手くやってこれたけど此処に来て壁にぶつかり、どうしていいのか分からず戸惑っている…という所でござろう?」
ネギは自分が考えている事が当たっていて流石忍者だと感心していた。
「如何すればいいんですか?僕は…」
とネギはどうやら如何すればいいのか考えていた。そうでござるな~と楓は夜空を見上げながら
「ネギ坊主はまだまだ10歳なのだからそんな壁の一つや二つ当然でござるよ。それにネギ坊主には頼れるマギ殿や明日菜が居るでござろう」
「でも僕は…」
ネギはそれでも誰かに頼ろうとするのに躊躇いが有るようだ。そんなネギに安心するでござるよ。と楓がネギを後ろから優しく抱きしめてあげた。
「辛くなったり如何した良いのか分からなくなった時は又此処に来れば、オフロ位にはいれてあげるでござるよ」
と楓が言った事が夜の森に静かに響いた。
「これ以上浸かっているとのぼせてしまうから、今日はもう上がってゆっくり休んで、それから又考えるでござるよ」
そう言ってネギと楓はドラム缶風呂から上がったのである。
その夜中ネギは楓が張ったテントにて楓と一緒に寝ていたのだが、中々寝付けなかった。隣に居るのが楓だから(その楓は気持ちよさそうに寝息を立てている)という訳ではなく、ネギ自身の今迄を振り返った。
確かに自分は魔法学校でいい成績で卒業してなんでも出来ると良い気なっていた。しかしいざ自分ではどうしようもない問題が起きた時には何もせずに逃げる事だけを考えていた。
ネギとマギの歓迎会の時にアスナに言った。よく祖父の校長先生が言っていた言葉「わずかな勇気が本当の魔法」という言葉をエラそうにアスナに言っていたが、自分が言える立場では無いと今そう思った。ネギはこれ以上深く考えるのはよそうと思い、ギュッと目を瞑っていると。段々と眠くなり次第に意識を手放していったのだった…
翌朝早くに起きたネギはまだテントで寝ている楓に『オフロとゴハンありがとうございました』と書置きを置いておいた。
そしてネギは目を閉じ、無くしてしまった杖を探し始めたが直ぐに見つかった。ネギがぶつかって杖を手放してしまった木の枝に引っ掛かっていたのだ。ネギは杖に強く念じると杖は引っ掛かっていた枝を振り払い物凄い速さでネギの元に戻ってきてネギの手の元に戻ってきた。
「ありがとう。僕の杖」
戻ってきた杖にネギは優しく撫でてあげた。上着を着て準備完了したネギはよし!と一言言った後に楓の方を見ながら
「ありがとう楓さん。僕、もう少し一人で頑張ってみようと思います。でも…もし一人で出来ない事があった時は誰かに頼ってみようと思います」
それではと再度楓にお礼のお辞儀をすると、杖に跨り飛び出したのであった。
「行くでござるか…」
実は楓も起きていて、テントの隙間からネギが飛び立っていくのを見ていた。ネギの表情が吹っ切れたような気がしたから楓は一安心のようだった。
「しかしフフ…魔法使いって本当にいるんでござるな。まぁ拙者も人の事は言えんでござるが…」
そう言い終えると楓はコロンと寝っころがり又寝息を立てて寝てしまった。
ネギは杖に跨り女子寮に帰ろうとすると
「おーいネギ」
と何処からかマギの声が聞こえ、ネギはマギを探してみるが見つからずマギが此処だよ此処!とネギの真上から聞こえ、見上げてみるとかなり大きな木のてっぺんにマギが立っていたのだ。
「おッお兄ちゃん何でこんな所に!?」
ネギは何故こんな所にマギが居るのかを聞いてみたら
「行き成り出て行ったお前を探しに来たんだよっと!」
と言いながらマギは木のてっぺんから何も言わずに飛び降りたのである。ネギは慌ててマギが落ちてくる場所に杖を動かし、マギは杖の上に着地したのである。ネギは行き成りは危ないでしょ!とマギにツッコもうとしたが、行き成りマギに頭を撫でられたのである。ネギはマギの方を見るとマギは静かに笑いながら
「漸く吹っ切れた様だな」
と言いながらマギは再度ネギの頭を撫で続ける。ネギは今迄心配かけてしまった思い
「お兄ちゃん…ごめんなさい」
マギに謝ったがマギは頭を掻きながら
「俺に謝る前に他に謝る奴が居るんじゃないか?」
え?とネギはマギの言っていることがよく分からずマギは下を指差した。ネギも下を見降ろしてみると
「この馬鹿ネギ!漸く見つけたわよ!早く降りてらっしゃい!!」
「兄貴~!!漸くみつけましたぜ~!!」
ぜぇぜぇと短い呼吸をしながらもネギに怒鳴りつけているアスナとネギが見つかって大喜びのカモが其処には居た。
「アスナさんにカモ君!?何でこんな所に!?」
「お前が部屋を出て行った後にアスナとカモはお前を追いかけて来たんだよ。カモの鼻を頼りにな。おかげでこんな山の中で危うく遭難しかけたぞ」
ほら早く降りなとネギにそう言った。
「アスナの奴寝る間をおしんでお前の事を探していたんだ。早く降りないと説教だけじゃ済まねえぞ」
「どうして僕なんかを探しに来たんですか?アスナさん達に迷惑をかけてしまうと思ったのに」
とネギがそう言って俯いていると、マギは何処からか何時もネギを叩いているハリセンを取り出し、ネギの頭を思い切りはたいた。ネギは呆然としていると
「ば~かお前、そんなの決まってるじゃねえか…お前の事が心配だったからに決まってるだろ?」
そう言ってネギとマギはアスナとカモが居る場所に降りて行った。
最初はアスナに頭を叩かれ、心配をかけるなと説教をされたが、説教はほんの数分で終わり次からは体は大丈夫?やら風邪はひいてない?おなかは空いてないの?と心配し始めた。
アスナにこんなに心配されているのかと気づくネギは最後ら辺は泣き始めて、アスナの胸に飛び込んだ。アスナはキャッ!と短い悲鳴を上げていたが、ネギを優しく抱きしめてあげた。
そんなネギとアスナをマギとカモが静かに見守っていたのである。
今回ほんの少しですが、原作と違う所があります
それはネギが少しだけですが、他の人に頼ろうとしている所です。(描写がへたっぴで分かりにくいと思いますが)
原作だと楓と別れた時も自分一人で問題を解決しようとしていますが、この作品のネギは人に頼ろとする考えが芽生え始めます。
正直な所、ネギはまだ10歳なのに人に頼ろうとしなさすぎだと思いました。この歳ならもう少し人に頼ってもいいのではないのでしょうか?
という事でエヴァンジェリンとの決戦の話は少しだけ原作と違うと思います。
それと今月の24日から自分が通っている大学の秋学期が始まるので少しだけ更新の速さが遅れるかとおもいます。ので24日までに原作の4巻には入ろうと思います。
もう一つ、第3章が終了したのちに活動報告であるアンケートを取りたいと思いますので
楽しみに待っていてください。