堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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今回は何時もより早く出来ました
①がつくように今回の話は前編みたいなものです
それではどうぞ


ロボットと忍者①

 カモが無事にネギとマギの使い魔として雇われる事となった翌日の早朝の朝3時半。アスナは何時もの通りに新聞配達のアルバイトのために起床した。

 

「ふぁぁ~眠い」

 

 隣にネギが寝ているのはもう当たり前の事になっているのか、アスナは別に驚いたりせずに枕でネギの顔を埋めていた。埋められたネギは寝ながらも苦しそうだ。

 

「やっぱり4月でも早朝は寒いわね…」

 

 春は朝は暖かいものだが、まだ早朝は寒いものである。寒いから厚着の下着にしようとアスナはそう言いながらタンスを開けてみると

 

「あれ!?アタシ達の下着が一枚も無い!」

 

「はれ?ウチのもか?」

 

 アスナの大声にこのかも起きてしまい、眠気眼をグシグシとしていた。アスナはもしかして!と衣服タンスを開けてみると

 

「あ、姐さんおはようございます。朝はちっとばかし冷えたもんで下着を拝借させていただきました」

 

 とカモがアスナとこのかの厚着の下着に包まっていた。

 

「こんのエロオコジョ~!!」

 

 アスナはカモを箒で追いかけまわした。

 

「そんな動物にムキにならんでもいいやん」

 

 このかはアスナに苦笑いしながら言った。こんなドタバタ騒ぎをしているのにマギはというと

 

「zzzzzzz」

 

 と呑気に寝ているのであった。

 

 

 

 学校登校

 

「ったくもう!下着ドロのオコジョなんてとんでもないペットが来たもんだわ!おかげで朝からさんざんよ」

 

「まーまーきっと布の感じが好きなんやろ?」

 

 アスナは早朝の事をまだ許してい無いようで、このかがまーまーと宥めていた。そんなアスナの遣り取りとは他にネギとマギは学校で余り喋らない様にとカモに言い聞かせていたが、カモは納得していない様子だった。

 そんな遣り取りをしている間に昇降口に到着した。アスナ達は外履きから上履きに履き替えていた。とネギは辺りをキョロキョロとしていた。カモは何故ネギが忙しなく辺りをキョロキョロしているのか聞いてみた。

 

「兄貴何さっきから何をキョロキョロとしてるんですかい?」

 

「え?いやちょっとね」

 

 とネギは少し元気が無さそうであった。

 

「なに落ち込んでんすか兄貴?相談ならいくらでも俺っちは乗りますぜ」

 

「それなら俺が話すよ。実は俺達のクラスに余り授業に出ない生徒が居てな。まぁ俗に言う問題児が居るんだよ」

 

「マジっすか?兄貴と大兄貴のクラスにそんな問題児が居るなんて大変っすね」

 

 とカモがネギとマギに憂いの言葉を零しているとその問題児が現れた。

 

「お早うネギ先生」

 

 ネギがバッと振り返ると、そこには不敵に笑っているエヴァンジェリンと静かにお辞儀をしている茶々丸が居た。

 

「今日もまったりとサボらせてもらうよ。ふふネギ先生が担任になってからは色々と楽になったよ。それだけは感謝しているよ」

 

 と又エヴァンジェリンは授業をさぼろうとしていた。

 

「えッエヴァンジェリンさんに茶々丸さん!」

 

 ネギは咄嗟に背中に担いでいた杖を取ろうとしていたがおっとエヴァンジェリンがネギを止めた。

 

「勝ち目はあるのか?校内では大人しくしていた方がお互いのためだと思うがな。ああそれとタカミチや学園長に助けを求めようなどと思うなよ。また大切な生徒を襲われたりしたくはないだろ?」

 

 と言い残しエヴァンジェリンは去ろうとしたが、待てよエヴァンジェリンと今迄無視されていたマギがエヴァンジェリンを呼び止めた。

 

「一昨日の事をまだ怒っているのなら謝る。確かに俺はお前の事を何も知らない。だけどあの時言った言葉は俺の本心だ。それだけは言っておきたかった。あと今度からはちゃんと学校に来いよ」

 

 とマギはエヴァンジェリンに謝ったが、エヴァンジェリンの反応はと言うと

 

「…ふん」

 

 と無視をしていたが、最後は鼻を鳴らしながら去って行った。そんなエヴァンジェリンを見てマギは溜息を吐きながら

 

「まだ許してくれねぇみたいだな…まだまだ先が見えねえなこれは…面倒だな」

 

 とこぼしていた。そんな中カモはエヴァンジェリンをじっくりと観察していた。

 

「あれが兄貴と大兄貴のクラスに居る問題児って奴っすね。だけどどっかで見た事が…」

 

 とカモは何処かで見た事があるのだが、思い出せ無いようだ。

 

「カモ君も知ってるはずだよ。エヴァンジェリンさんは吸血鬼なんだ。それも真祖の」

 

「ちなみに隣に居た茶々丸はエヴァンジェリンのパートナーなんだよこれが」

 

 とエヴァンジェリンの正体をカモに教えるとカモは顎が外れるかと思うほど口を開けて驚愕していた。

 

「しッ真祖の吸血鬼っていう事は闇の福音のエヴァンジェリンっていう事っすか!?何でそんな大悪党がこんな日本の学校に居るんすか!?」

 

「なんでも僕達のお父さんがエヴァンジェリンさんに変な呪いをかけたらしくて、15年も中学生を続けてるらしいんだ。呪いを解くには僕やお兄ちゃんの血が大量に必要なんだ」

 

「そのために俺とネギは完膚なきまでにあの2人にボコボコにされてネギはエヴァンジェリンに血を吸われたのさ。そんなせいでネギはエヴァンジェリンと会うのが怖くなってしまってるという訳なんだ」

 

 とネギとマギがカモに何でエヴァンジェリンが麻帆良に居るのかを説明すると成程と頷いて

 

「それにしても兄貴も大兄貴も良く生き残れたっすね。吸血鬼の真祖って言えば魔法界でも最強クラスの化け物じゃねえっすか」

 

 とネギとマギが生きていることに不思議そうにしていると

 

「なんでも魔力が弱ってるらしいのよ。次の満月まではとりあえず大人しくはしてるらしいけど」

 

 とアスナがその訳を話してくれた。カモはなるほどなるほどと2度頷くと

 

「それならいいアイデアがありますぜ。あの2人に勝ついい方法が」

 

「そッそれは本当なのカモ君!?」

 

 エヴァンジェリンと茶々丸に勝ついい方法それは

 

「ネギの兄貴と姐さんが仮契約をしてあのパートナーの茶々丸を2人がかりで倒しちまおうってことでさ」

 

 カモのいい方法とはネギと仮契約をしたアスナで茶々丸を2人がかりで茶々丸を倒すと言うものだった。その方法を聞いた3人の反応は

 

「え~ッ!何よそれ!?」

 

「僕とアスナさんが仮契約を!?」

 

「…」

 

 アスナは何処か嫌そうに、ネギは多少戸惑っていてマギは無言だった。

 

「姐さんのあの反射神経と運動神経にあの体術を見せて頂きました。いいパートナーになりますぜ」

 

 とカモはアスナをそう評価していた。

 

「けど2人がかりなんて卑怯じゃ…」

 

 とネギはカモの方法に聊か抵抗があった。しかしカモが何言ってるんすか兄貴!と反論する

 

「卑怯じゃないっすよ!兄貴だって2対1で負けたんでしょうよ!やられたらやり返す。戦いとは非常なものですぜ!」

 

 カモの反論にネギはでも…とまだ納得がいかないようだ。

 

「ちょっとアタシは嫌よ!仮契約って昨日の本屋ちゃんとマギさんのやったやつでしょ!?キスするやつ馬鹿じゃないの!」

 

 とアスナは大反対だった。嫌がっているアスナを見てああなるほどとカモはニヤリと笑うと

 

「姐さんって中三になってもまだ初キッスを済ませてないんすね?」

 

 と煽り始める。

 

「これは失敬。それじゃあ仮契約と言えども抵抗はあるっすよね~」

 

 煽る煽る。単純悪く言えばバカなアスナはカモに煽られムキになってしまい

 

「なッ何言ってるのよ!上等じゃない!チューくらい別になんでもないわよ!」

 

 とアスナがそう答えてしまったら当然

 

「じゃ姐さんはOKという事で「ちょ!アタシはパートナーになるって言ってな」大丈夫っすよ、この作戦なら上手くいきますって。兄貴の方は如何ですか?」

 

 とアスナを無視してカモは話を進める。もはや詐欺の手口である。カモにどうかと聞かれネギはどうするか考えていた。

 

 このまま次の満月までやられるのを待つより反撃した方が良いのではないのか?それに先生が生徒を守れないのなら先生失格だと。そして考えた末に

 

「分かった!やッやるよ僕!」

 

「そう言ってくれると思ってたっすよ兄貴!」

 

「ちょっとネギ!?何勝手に決めてるのよ!」

 

 とアスナは正直仮契約なんてしたくなかったのだが

 

「お願いしますアスナさん!一度だけ一度だけでいいですから!!」

 

 とネギの涙目で必死の表情を見てアスナも折れた様で

 

「もう本当に一回だけよ」

 

 と仮契約を承諾してくれたようだ。カモがチョークで仮契約の魔方陣を書いて準備は完了した。

 

「そんじゃ行きますぜ!パクティオー!!」

 

 カモが叫んだのと同時に魔方陣が輝きだしネギとアスナを包み込んだ。

 

(な…なんか変に気持ちよくなってきた…)

 

 アスナは仮契約の魔法で変に気持ちよくなっていて早いとこ終わらせようとした。

 

「い…行くわよ」

 

「は…はい」

 

(アレ?そう言えばこれってアスナさんとキスするってことじゃ…)

 

 と今更仮契約でアスナとキスすることに気づいたネギ。そしてアスナはそんなネギの事なんか露知らずネギにキスをした。ネギのおでこに

 

「ちょ姐さん!おでこなんてそんな中途半端な所にキスなんて!」

 

「いッいいでしょ別に!」

 

 流石に唇にキスをするのは抵抗があったのかおでこにキスが限界なアスナである。

 

「もういいや!とりあえず仮契約成立!!『神楽坂明日菜』!!」

 

「わぁッ!?」

 

「キャーッ!!」

 

 仮契約の魔方陣がさらに強く輝きだし、ネギとアスナは余りにも眩しすぎたために目を瞑ってしまった。此処にネギとアスナの仮契約が成立したのである。

 しかしネギとアスナは気づかなかった。マギが仮契約を行っている時に何処か複雑そうな顔になっていることに…

 

 

 

 

 

 

 

 突然だがエヴァンジェリンと茶々丸は囲碁部と茶道部を兼部している。今日は茶道部の部活動を行っていた。茶道部専用の茶室にて茶々丸が着物を着て他の生徒に茶を振舞っていた。

 

「結構なお手前で」

 

 と他の部員に茶々丸が淹れた茶を褒めていた。茶々丸が淹れる茶は茶道部の中でも一番とも言えるほどの腕前である。

 

(うん…今日の茶もなかなかだな……)

 

 茶々丸のマスターであるエヴァンジェリンも茶々丸が淹れた茶に高評価であった。そして茶道部活動も終わり、エヴァンジェリンと茶々丸は帰路についていた時にエヴァンジェリンが面倒そうに口を開いた。

 

ネギ・スプリングフィールド(坊や)に助言者がついた気配があった。しばらくの間は私から離れるなよ」

 

 如何やらエヴァンジェリンは長年の経験でネギにカモがついた事を感じ取ったようだ。

 

「はいマスター」

 

 と茶々丸はエヴァンジェリンの従者であるためにマスターの命令に逆らう事無く了解した。それと茶々丸は気になった事があり

 

「あのマスター、マギ先生の事はまだ怒っているのですか?」

 

 そう聞くと、エヴァンジェリンは歩みをピタリと止めてしまった。

 

「…許すわけないだろう。彼奴の言っている事だってどうせ口から出たでまかせだ。彼奴の父親と同じようにな」

 

 エヴァンジェリンの表情は暗かった。そんなエヴァンジェリンを茶々丸は心配そうに見ていた。無表情な茶々丸だがそのように感じられた。と其処に

 

「おーいエヴァ」

 

 とタカミチが現れた。タカミチはエヴァンジェリンをエヴァと呼んで何処か親しそうだった。そんなタカミチにエヴァンジェリンは鬱陶しい顔をしながら

 

「何かようか?」

 

 と本当に鬱陶しいのか口調がぶっきらぼうだった。いやねとタカミチは如何いう用かというと

 

「学園長がお呼びだ。一人で来いってさ」

 

 学園長の名が出てくるとエヴァンジェリンはじじぃかと面倒そうな顔になりながらも学園長の元に向かう事にした。

 

「茶々丸すぐ戻る。必ず人目のある所を歩くんだぞ」

 

 と言われ茶々丸は了解の合図としてペコリとお辞儀した。今度こそエヴァンジェリンは学園長の元に向かった。タカミチもエヴァンジェリンと一緒に学園長の元に向かって行った。その間にもタカミチは終始エヴァンジェリンに親しそうに話しかけていて、エヴァンジェリンに鬱陶しがられていた。

 

「お気を付けてマスター」

 

 歩き去るエヴァンジェリンを見て茶々丸は静かにそう言った。

 

 

 エヴァンジェリンと別れてひとりで帰路につく茶々丸。その近くの茂みがガサガサと怪しく動いていた。

 

(茶々丸って奴が1人になりましたぜ兄貴!今なら倒せますぜ!)

 

(駄目だよカモ君!人目につくと不味いからもうちょっと待ってて!)

 

(なんか辻斬りみたいでイヤね…しかもクラスメイトだし…)

 

 茂みの中ではネギとアスナにカモが茶々丸の後を尾行していて攻撃のチャンスをうかがっていた。それにしてもカモは呟いて

 

(なんで大兄貴が此処に居ないんすか兄貴!?)

 

 マギが不在なのだ。如何してマギが此処に居ないかと言うと

 

(お兄ちゃん言ってたよ『尾行なんてメンドイ事なんかしたくないって』あんな事言ってたけどホントはお兄ちゃん茶々丸さんやエヴァンジェリンさんに酷い事したくないんじゃ…)

 

(アタシもそう思う。マギさんいい加減な所もあるけどアタシ達生徒の事を守ってくれていたし生徒に暴力を振る事なんて出来ないんじゃ…)

 

 とネギとアスナはそう言っているが、カモは何言ってるんすか!と

 

(あの闇の福音のエヴァンジェリンとそのパートナーっすよ!今のうちに叩いておかねぇと!又兄貴たちの大事な生徒が絶対に襲われないっていう保証はないんすよ!)

 

 とカモの反論に何も言えないネギとアスナ。カモの言っている事もある意味正論なのだ。エヴァンジェリンがもう生徒を襲わないという保証はないのだ。今はやられないためにも先に仕掛けるしかないのだ。ネギとアスナは仕方なく茶々丸を尾行するのを再開した。

 と数百メートル歩いていると前方に泣いている幼稚園児の女の子が居た。茶々丸は女の子に如何したんですか?と聞いてみると女の子が上を指差して

 

「あたしのフウセン木に」

 

 と茶々丸も上を見上げてみると、確かに風船が木と木の間に引っ掛かっているのが見える。女の子が手を放してしまい風船が飛んでしまい引っ掛かったのだろう。状況を把握した茶々丸は背中からジェットの噴射口を出して(女の子が吃驚してる中)飛び、途中で樹に頭をぶつけながらも風船を取ってあげた。風船が戻ってきて女の子は大喜びで茶々丸にお礼を言いながら歩き去って行った。茶々丸は女の子に手を振っていた。

 と今度は元気いっぱいな男の子2人の幼稚園児が茶々丸にちょっかいを出していた。その男の子2人は茶々丸を知っているようで茶々丸も男の子達を知っている様子だった。とそんな遣り取りをしているのを茂みの中でネギ達はポカンと眺めていた。

 

「そう言えば茶々丸さんってどんな人なんですか?今飛んでましたけど」

 

 とネギは同じクラスで自分より知っていそうなアスナに聞いてみたが

 

「えーと…あれ?あんまり気にしてなかったかな」

 

 とアスナもどういう人物かを知らない様であった。何言ってるんすかお二人ともカモが呆れながら

 

「あれはどう見たってロボでしょうよ。いや~流石日本っすねロボが学校に通っているなんて」

 

「ええッ!じゃあ茶々丸さんって人間じゃないの!?」

 

「えええッ!?」

 

 とアスナとネギは茶々丸が人間じゃないと分かると分かりやすいほどに驚いていた。

 

「いや見りゃわかるでしょ普通に!」

 

 と驚きすぎている2人にカモが突っ込みを入れる。

 

「いやアタシ機械とかよく分からないし」

 

「僕も…」

 

「いやそう言う問題じゃないでしょうよ!」

 

 と場違いな事を言っている2人にカモが再度ツッコミをいれた。そんな3人の遣り取りなんか知らずに茶々丸は男の子2人を連れて何処かに行こうとしていた。

 

「!茶々丸が何処か行こうとしてる後を追いますぜ!」

 

 とカモが言いながら尾行を続ける。と今度は陸橋で階段を辛そうに登っている老婆が居て、茶々丸は何も言わずに老婆を背負ってあげた。そして陸橋を渡り終え

 

「何時もすまないね茶々丸ちゃん」

 

「いえ…」

 

 茶々丸は老婆にお礼を言われると、茶々丸は深くお辞儀をするとそのまま去って行き。ネギ達は又呆然と見ているだけだった。

 と又歩いていると川に人が集まっていた。何事かと思っていると

 

「大変だ!子猫の入ったダンボール箱が川に流されているぞ!」

 

「警察に連絡しろ!」

 

 ネギ達も慌てて川を覗き込んでみると、ダンボール箱に入っている生後数週間の子猫がニャーニャー鳴きながら流されていた。

 

「大変だ助けなきゃ!!」

 

「ちょと待ちなさいよ!アタシ達今尾行中でしょ!」

 

 ネギは子猫を助けようとして杖を持とうとしたが、アスナに止められてしまった。しかしそんな事をしている間に子猫が入っているダンボールはどんどん流されていく、とその時

 

 

 ザボンッ!!

 

 

 と誰かが川に入る音が聞こえ、見てみると茶々丸がザブザブと川の中を歩いていき、制服が濡れるのを気にせずに子猫を助けて岸まで戻ってきた。

 

「子猫が助かったぞ!」

 

「ってよく見たら茶々丸さんじゃないか」

 

「流石茶々丸!」

 

「スゴーイ!」

 

 と子猫を助けて市民たちから拍手喝采であった。小さい命を助ける姿を見てネギとアスナは

 

「め…めちゃくちゃ良い奴じゃないの!?しかも町の人気者みたいだし!」

 

「偉いです茶々丸さん!!」

 

「あッアレー?」

 

 アスナとネギは茶々丸が良い奴だと再認識して、カモはおかしいなと思いながら首を傾げていた。その後の茶々丸は子供たちと別れ先程助けた子猫を頭に乗せて又何処かに向かっていた。

 

「今度は何処に行くんでしょうか?」

 

「さ…さあ?」

 

 ネギとアスナはどちらかというと茶々丸が今度はどんな事をするかが気になって尾行を続けていた。そして人気のない場所で止まると持っていたビニール袋からキャットフードやらパンくずを取り出した。すると

 

 

 

 ニャーニャーニャー

 

 チチチ ピピピピ

 

 

 

 何処からか野良猫やら野鳥が茶々丸の周りに集まってきて、集まって来た野良猫や野鳥に茶々丸は持ってきたキャットフードとパンくずを与え始めた。野良猫や野鳥が喜んで食べているのを見て、茶々丸は静かに微笑していた。そんな茶々丸を遠くから眺めていたネギとアスナは

 

「…」

 

「いい人だ」

 

 感激の涙を流していた。

 

「ちょっとお二人とも待ってくださいよ!何2人して感動の涙なんか流してるんすか!?」

 

 カモは泣いている二人に叫んでいたが、だってとアスナは泣きながら

 

「あんないい人攻撃できないわよ」

 

 と茶々丸に攻撃をすることにためらい始めていた。確かに!とカモは続ける。

 

「あの茶々丸は町の人を助けたり小さい命を救ったりしてる良い奴かもしれないっす。けど!彼奴のマスターはあのエヴァンジェリンっすよ!彼奴の命令には従うのがパートナーの役目!マスターに人を襲えと言われたら襲うはずっす!兄貴や大兄貴だって命を狙われたんっすよ!とにかく今がチャンスっす!心を鬼にして今は倒す事だけを考えてください!そうしないとネギの兄貴やマギの大兄貴の他に生徒達にも危険がおよぶはめになるっすよ!」

 

 カモの言っていることにネギは自分が殺されかけた事や、血を吸われて倒れたまき絵や吸われかけたのどかの事を思い出した。そうだ今此処で倒しておかないとカモ君の言う通りになってしまう。ネギはギュッと握りしめると

 

「分かりました。アスナさんお願いします」

 

「…しょうがないわね」

 

 

 

 

 

 餌をやり終えた茶々丸が振り返ると其処には表情が重いネギとアスナが立っていた。

 

「今日はネギ先生、神楽坂さん。油断していました。しかしお相手はします」

 

 茶々丸は頭のネジを取って臨戦態勢となった。ネギは悲痛な顔で杖をギュッと握りしめると

 

「茶々丸さんもう僕やお兄ちゃんを狙らったり他の生徒を襲うのは止めて頂けませんか?」

 

 ネギは此処で分かりましたもう襲いませんと言ってほしかった。しかし…

 

「……申し訳ありませんネギ先生。私にとってマスターの命令は絶対ですので」

 

 やはり茶々丸はマスターであるエヴァンジェリンの命令は絶対であったようだ。仕方ないですネギは杖を構えながら

 

(アスナさんさっき言った通りにお願いします)

 

(正直上手く出来るか分からないわよ)

 

 と小声で作戦を言った。

 

「では茶々丸さん行きます」

 

「はい…神楽坂明日菜さん。良いパートナーを見つけましたね」

 

 そしてネギとアスナと茶々丸がぶつかり合う。

 

「行きます!契約執行(シス・メア・パルス)10秒間(ペル・デケム・セクンダス)ネギの従者『神楽坂明日菜』!!」

 

 ネギは契約執行の魔法を発動する。するとアスナから力が溢れてくるような感じがし駆け出すといつもより早く動けた事にアスナは自分自身驚いていた。

 

(凄い!これが仮契約の力なの!?何時ものアタシじゃないみたい!)

 

 そしてアスナは一気に茶々丸に接近し茶々丸の腕を素早い動きで弾くと

 

「えい!」

 

 茶々丸にでこピンを食らわした。

 

「早い!それに素人は思えない動きと反射神経」

 

 茶々丸もアスナの動きに驚きながらも冷静に対処しアスナの足を払い転ばせて後ろに後退した。しかしこれもネギの作戦の内であった。

 

「光の精霊11柱集い来りて…!」

 

 茶々丸がアスナに注意をひかれている間にネギが攻撃魔法を完成しつつあった。

 

(何も殺すつもりはないんだ。少しの間だけ動けなくなってもらうだけでいいんだ!)

 

 そして詠唱が終わり

 

「魔法の射手連弾・光の11矢!!」

 

 茶々丸に魔法の矢を発射した。茶々丸は避けれるか計算したが

 

「追尾型魔法至近弾多数…避けきれません」

 

 避けられないと判断したのか茶々丸は動きを止めそして

 

「すみませんマスター。もし私が動けなくなった時は代わりに猫たちの餌を……」

 

 自分の最後を悟ったのかそう言い残した。茶々丸のその言葉を聞いてネギは茶々丸の先程の町の皆にやった事や子猫を助け、猫たちに餌を与えた事を思い出し

 

「やっぱりダメ!戻って!!」

 

 と魔法の矢を戻そうとした。がしかし間に合わずそして……

 

 

 ドドドドドドドドドッカァァァァァァァァァンッ!!

 

 

 茶々丸に魔法の矢が直撃し茶々丸の姿が煙で見えなくなっていた。ネギ自身も強力過ぎたと実感した。もしかしたら殺して―――――

 途端にネギは体を震わせてしまった。自分の手で生徒を殺めてしまったのではないのか…とそして煙が晴れると、茶々丸の影ともう一人の影(・・・・・・)があった。ネギとアスナはえ?と固まっていた。そのもう一人と言うのが

 

「いてて…ったく何でこんな面倒な事をやってるんだかなお前らは」

 

 マギが其処には居てネギが放った魔法の矢をマギが防いだのだ。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「マギさん!?」

 

「大兄貴!何でこんな所に!?」

 

 カモが何故マギがこんな所に居るのかを尋ねると

 

「ちょっと散歩しててな、そしたらお前らが茶々丸と戦っているのを見ててな、そしたらネギが茶々丸に魔法の矢を食らわせようとした時には不味いと思ってな。防がせてもらったってわけだ」

 

 というのは嘘で実はマギもネギとは違う場所で尾行していたのだ。そしてネギとアスナが茶々丸と交戦し、ネギが魔法の矢を発動した時に流石にアレは不味いと判断し、咸卦法を瞬時に発動して茶々丸に接近し魔法の矢を全て防いだのである。それにしても…とマギは呆れながらネギを見て

 

「ネギ、今の魔法は流石に不味いだろう。下手したら茶々丸を殺すところだったぞ」

 

 と殺すという言葉を聞いてネギはビクッとした後に震えていた。マギはやれやれだぜ…と呟いた。ネギも殺すつもりは無かっただろう。力の加減を間違えてしまったのだろう。さて…ととマギは茶々丸に向き合うと

 

「早く行けよ茶々丸」

 

 茶々丸は今マギが言っていることが今一理解が出来なかった。

 

「それはつまり私に早く逃げろと仰ってるのですか?」

 

「いやそう言ってるのが分からねえのか?ロボットなのに理解すんのが遅いなお前。ネギ達には俺が言っとくから、お前のマスターのエヴァンジェリンだって心配してるはずだぜ」

 

 それだけ言うと茶々丸は黙ってマギにお辞儀をすると背中からジェット噴射口を展開して飛んで行ってしまった。それを見届けるとマギはゆっくりと片膝をついた。

 

「イテテ…やっぱり全部防ぎるのは無理があったかな…」

 

 マギはそう言いながら痛むのか腕を押さえていた。

 

「大兄貴何やってるんすか!?チャンスだったのに易々と逃がしちまうなんて!!」

 

「やっぱり生徒をボコるのは良くないと思ってな色々と問題になったら面倒だし」

 

「ちょ!マギさん血が出てるわよ早く保健室に!!」

 

「ウワァン!お兄ちゃんごめんなさい!!」

 

 とカモやアスナは大慌てネギは泣きながら謝った。

 

「たかが切り傷なのに大げさすぎるだろお前ら…」

 

 そんな3人をマギは呆れた顔で見ているのであった。

 

 

 

 

 

「マギ先生…マギ・スプリングフィールド」

 

 マギ達の近くにあった建物の屋根に茶々丸は着地し、マギ達を見降ろしながらマギの名を呟いていた。何故かマギの事が気になってしまっているのだから………

 

 




今回の話を見て皆さん思った事ですが
「忍者出てねぇじゃん!」
と思った事でしょう。
申し訳ありませんが忍者は②にて出します。
次回も短いと思うのでと言うより今までの話で一番短いと思うので今週中には出来上がると思います


感想よろしくお願いします(批判的意見が有れば送って下さい。感想も私の創作意欲の一つですので)

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