堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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最近の推しは壱百満点原サロメお嬢様。
あの人は本当にすごいと思っております。
お嬢様の実況を耳に傾け、カエル狩りマラソンを行うカオス具合。



弓兵対狼

「──参る」

 

 刀を構えた忍が強靭的な脚力でアーチャーに向かっていった。

 干将と莫耶で刀を防ぎながらバイザーで隠れた目を大きく見開くアーチャー。

 忍や城の武士の亡者達からは何の魔力も感じない。しかし忍ば一瞬でアーチャーと間合いを詰めたのだ。

 つまり己の脚力だけで瞬道術並みの速力を出したというわけだ。

 

(これが己の肉体を極限までに高めた忍の力という訳か!)

 

 しかもこの忍、城の武士のような決まった型があるわけではなく剣筋もでたらめ。まさに戦う事だけに相手を殺すためだけの剣であった。

 アーチャーも忍の刀を防ぎながら干将と莫耶で攻める。忍の刀を弾き少しでも相手の体幹を崩す。

 

(っそこだ!)

 

 アーチャーは弾いた瞬間に忍の体幹を崩れ一瞬の隙を見つけ莫耶を突き刺そうとしたその時

 ばばばばばんと至近距離で爆発物が炸裂した。連続的な爆発音に思わず体が硬直するアーチャー。

 

(爆竹だと!? どこに隠し持っていた? あの義手か!)

 

 祝い事やいたずらで使われるようなちゃちなものではない相手の鼓膜を使えなくするような武器としての爆竹を隠し持っていることに驚くがアーチャーは忍の義手に爆竹を隠していたと直ぐに理解する。

 しかしそんな事を呑気に考えている間に今度は忍の刀がアーチャーの体に突き刺さろうと迫っていた。

 

「っく、うぉぉぉぉぉ!!」

 

 瞬時に魔力で体を強化し、忍の刀を踏んづけ何とか攻撃を防ぎそのまま忍の体を蹴りながら一度間合いから離れる。

 そして一度干将と莫耶を霧散させて今度は黒弓を投影し矢を何本か投影させるとそのまま弦を引き絞りマルチショットで忍に向かって放つ。

 魔力で強化された矢は弾丸同じ速度で忍に向かっていくが忍の動体視力により、あっさりと弾かれてしまった。

 

「やはり只の矢では駄目か。ならばこれならどうだ」

 

 そう言ってアーチャーは黒い1本の剣を投影する。それを細く1本の矢へと変える。

 

「赤原猟犬」

 

 先程と同じように弦を引き絞り放つ。

 真っすぐ黒い矢は忍に向かっていくが、忍は矢を弾き飛ばす。しかし今弾いた矢は普通の矢ではない。

 弾かれ天高く飛んで行った矢は軌道を変え、もう一度忍に向かっていく。

 そのまま矢は忍に当たる。そう思った。

 だが忍の義手から今度は傘が展開され、淡い紫の炎を上げながら回転し追尾の矢を弾いたのだ。忍はあの矢が自動追尾の力を持っていることを分かっていたのだろうか。いや、これは恐らく勘だろう。勘で察して傘を展開し弾いたのだ。

 忍はアーチャーの攻撃を読んだ。そして、アーチャーも忍が何らかの攻撃で矢を防ぐだろうと読んでいた。

 

「残念だがそちらが何らかの手で防ぐことは読んでいた……偽・螺旋剣」

 

 今度の攻撃は傘程度では防ぐことはままならないぞと付け加え、今度の攻撃は忍を爆発と轟音で包んだ。

 マギにも使ったことがある螺旋状の剣は魔力の無い忍ではひとたまりもないだろう。

 現に煙が晴れると黒ずんだ忍がうつ伏せで倒れていた。

 

「……これで終わりか。早い段階で倒すことが出来て良かった」

 

 そう言いながらアーチャーは目当ての大太刀を手に入れようと忍に近づく。

 ぴくりと忍の指が動いた。

 

「なにっ?」

 

 思わず距離を取ってしまった。馬鹿なあの攻撃を防いだというのか。ありえない直撃した致命傷いや死んでいても可笑しくないというのに。

 ゆらりと立ち上がり刀を構える忍を見て漸くアーチャーは確信する。

 

「まさか貴様、死んでも蘇る事が出来るというのか」

 

 城の武士とは違い死んでも蘇る事が出来る。なんとも厄介な能力を持っているのだろうか。

 

「まぁいい。死んでも蘇るというなら、蘇らないまで殺すまでだ」

 

 黒弓から干将と莫耶へ変え構える。対して忍は変わらずアーチャーに殺気だけを向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 アーチャーと忍が戦い続けてもう10分が経とうとしていた。プールス、カモ、風香、史伽は固唾を飲んで戦いを見守るしか出来なかった。

 忍は今度は剣術以外に拳や脚を果敢に使う拳法を繰り出してきた。剣と拳法といったトリッキーな攻撃に

 アーチャーは冷静を掻く事せずに攻撃を防ぐが、忍は今度は義手から斧を展開し力強く振り下ろし、干将と莫耶を砕いてしまった。さらに掌底をアーチャーの体に当てて吹き飛ばした。

 直ぐに干将莫耶を投影し、突貫するが今度は義手から筒が出て筒から炎が噴き出し、アーチャーは炎に包まれた。

 しかし魔力で炎を吹き飛ばす。大したダメージはなく、軽い火傷を負ったぐらいである。

 

「あぁ! 危ない!」

「もう見てらんないよ!」

 

 風香と史伽はあまりの激しさに手で顔を覆ってしまう。そんな中でもカモは状況を冷静に見ている。

 

「なんて奴だ。どの攻撃も急所を狙った迷いのねえ。戦い方も人のそれじゃねえ。獲物の喉笛を嚙み切ろうとする、狼……隻腕の狼だ」

「狼……」

 

 カモの例えにプールスはぎゅっと手を握るのであった。

 プールス達を蚊帳の外にしながらアーチャーは忍の攻撃に少しずつ慣れてきた。忍の刀を弾く回数も増えてきた。

 そして大きく弾き、体幹を大きく崩した。

 

「もらった!」

 

 好機と見て連撃を繰り出そうとするアーチャー。

 しかしそれは誘われたことに直ぐに気づく。

 今度は天狗が使うような団扇を取り出し、竜巻を起こし、忍は姿を消してしまった。

 

「くっしまった。こういう戦い方も出来たのか!」

 

 油断していたわけではない。しかしまさか姿を消すような道具をも持っているとは。

 しかも忍らしく気配を完全に消している。直ぐに索敵しようとして

 ぞくり。背中に気配を感じたのと同時に背中に激痛が走る。

 

「くっ後ろか……!」

 

 振り返れば義手から小刀が伸びていた。あの小刀で背中を刺したのだ。

 刺された瞬間びりっとした痺れと直ぐに目の前がぼやけ出した。

 

「毒か……」

 

 しかもかなり強力な毒の様だ。このまま悠長に戦っていたら毒で先に参ってしまいそうだ。

 

「しかし油断したな。私の方も誘っていたのだよ。そら……頭上注意だ」

 

 上を見て見ろと忍が言われたように上を見上げると

 何百本もの刀剣が忍に切っ先を向けていた。

 

「そら降り注げ!!」

 

 アーチャーが腕を振り下ろしたのと同時に刀剣の雨が忍に向かって降り注がれる。

 忍も最初は刀で刀剣を弾き飛ばしていたが、遂には捌ききれず体の至る所に刀剣が刺さっていく。

 降り終わった頃には忍は至る所に刀剣が刺さり針鼠状態となっていた。

 

「流石にこれ以上はない事を祈りたいな……少しずつだが毒が回ってきてる感覚が」

 

 そう言いながらアーチャーは懐から何らかの薬が入った瓶を取り出し蓋を開ける。毒消しの薬だろう。効くかどうか分からないが飲まないよりかはましだろう。

 飲もうとしたその時、手裏剣が飛んで来て瓶を弾き、瓶に入っていた薬は地面が吸ってしまった。

 

「……まだ動くのか。勘弁してもらいたいものだな」

 

 脂汗を出しながらも構えるアーチャーだが息は上がっており、少しずつ毒が体を蝕んでいっている。

 そして手裏剣を投げた張本人の忍は体中の刀剣を抜きながら

 

「まだだ……俺は、あの人のために……」

 

 あの人。生前忍が敬愛していた者のことなのだろう。死して尚、誰かのためにその刃を振るう忍の体から黑い瘴気が溢れだした。

 その姿は人でもなく、狼でもなく、まさしく修羅であった。

 

「何だよあれ、絶対にまともな力じゃねえぞ」

 

 忍から溢れ出る禍々しい力に戦々恐々するカモ。

 

「でも、あの人辛そうレス……」

「うん、それになんか」

「あの忍者さん悲しそう」

 

 対してプールス達は忍が無理をしていると直感で感じ取った。

 そしてこれが最後の復活、最後の戦いだという事も感じ取ったのであった。

 

「毒の回り具合からすると全力で戦う事が出来るのは持って1,2分が限界……か。ならば、魔力を回す。決めに行くぞ」

「……来い」

 

 アーチャーは干将と莫耶をブーメランのように投げ、新たに干将と莫耶を投影し突撃を仕掛ける。

 間合いを詰めた瞬間、今度は義手から槍が伸びてきて突き攻撃を繰り出してきた。

 もはや何でもありな吃驚義手に舌を巻きながらも忍の槍を飛び越えた瞬間に投げていた干将と莫耶が戻って来て忍を切り裂く。

 

「鶴翼二連!」

 

 追撃で干将と莫耶を振り下ろしたが、攻撃が当たった瞬間に今度は霧のように消え、直ぐに現れて刀を振るってきた。

 

「ぐっ……ごほ」

 

 刀を防ぐが思わず咳き込む。咳と一緒に血反吐が出た。激しく動いたせいか毒の回りが早まったのかもう時間が残っていない。

 

「がんばれー!!」

 

 応援の声が聞こえ、思わず声のした方を向くと

 

「がんばれ! まけんな!!」

 

 敵視しているはずの風香が応援していた。思わず目を丸くする(バイザーで隠れているわけだが)アーチャー。

 

「お姉ちゃん何で応援してるの? あんなにあの人事を敵視してたのに」

「だって、目的がマギ兄ちゃんの危険になることだからってあんなにきつそうになってでも必死になってるんだ。そんなのを見てたら思わず応援しちゃったんだよ」

 

 そう言いながらもアーチャーを応援する。風香。そんな風香を見ていたら段々と史伽とプールスも感化され始め

 

「お願い勝って!!」

「負けないでレス!!」

 

 必死でアーチャーを応援している少女達を見て、アーチャーは思わず顔が綻んでしまい

 

「ここまで応援してくれるのなら、応えなければ無作法というものだな」

 

 そう言い干将と莫耶を手放す。手から離れた双剣は魔力となって霧散する。

 目の前の忍を屠るには愛用している剣では足りない。

 あの修羅を超えるにはまさに必殺の剣が必要であった。

 イメージするのは最強の一振り。その剣を魔力で生み出せ。

 対して忍びも手に持つ刀を鞘に収め、背中に担いでいる大太刀を鞘からゆっくり抜く。

 禍々しくも力強いオーラが刀身から現れる。

 あの大太刀は強力だ。忍が構え、その切っ先を向けられているアーチャーは肌にびんびんと感じている。

 

「う……気持ち悪い……」

「なんか、体に力が入らなくなった。なにこれ……」

 

 大太刀が鞘から抜かれた瞬間に風香と史伽は急な吐き気に襲われ立っていられなくなり地面に座り込んでしまった。

 

「まさかあの大太刀、力の弱い奴から生命力を吸っているのか!? おい! 早くけりをつけないと嬢ちゃん達の身が持たねえぞ!!」

「どうやらそのようだな……」

 

 アーチャーは余計な雑念を捨て、集中する。

 

I am the bone of my sword

 

 詠唱をしながら何の剣も投影せずに忍に突撃するアーチャー。

 無策の特攻を仕掛けたのかと思われるかもしれないが、カモやプールスは何かしようとしているのを直感で理解し、風香と史伽もアーチャーが勝つことを信じていた。

 そして忍の大太刀がアーチャーの体を切り落せるまでの間合いに入る。

 

「────!!」

 

 忍は何も叫ばず、ただ目をかっぴらく。目はこれで終わりだと叫びながら大太刀をアーチャー向かって袈裟斬りで振り下ろす。

 大太刀が振り下ろされている間、アーチャーはイメージを続けていた。そして自身の体で回路のような物が迸り、繋がった。そして頭の中で一本の剣が出来上がった。

 それはこの記憶の本来の持ち主(……………………)がよく知るとある王が振るっていた光り輝く聖剣。その聖剣が振るわれる事により勝利に導く。

 そう、その剣の名は

 

永久に遥か黄金の剣(エクスカリバー・イマージュ)!!」

 

 逆手に持った光り輝く聖剣を忍が振り下ろすより早く振り上げる。

 聖剣が忍の体を深く切り裂く。

 そして聖剣から放たれた光の奔流が忍の体を突き抜け、そのまま忍の背後にあった廃城を包み込み、轟音と共に破壊してしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……見事だ」

 

 膝から崩れ落ちた忍はその一言をアーチャーへ称賛として送った。

 そして自身が持っていた大太刀を鞘に納めアーチャーへ渡す。

 

「これを、お主に託す。お主も斬らねばならぬものがあるのだろう」

「……あぁ、有難く頂戴する。感謝する」

 

 大太刀を渡され、感謝の意を見せるアーチャーに忍は頼みがあると言う。

 

「その大太刀、不死斬りで俺を斬ってくれ。俺はもう……その大太刀でしか死ぬことが出来ない」

 

 それに、と忍は続ける。

 

「俺の体はもう限界だ。これ以上は人の身を捨て、正に修羅となる」

 

 見れば聖剣に切り裂かれた体が少しずつだが修復していっているが、その体はもう人の体ではなかった。その体は少しずつだが化生の身へと変わろうしていた。

 化生の身になってしまえば自我などなくただ暴れる存在となってしまうだろう。アーチャーは慈悲を持って忍を斬る事を決めた。

 そして不死斬りの柄を掴み鞘からゆっくりと刀身を抜く。その瞬間アーチャーの体に激痛が走る。

 毒のせいかと思ったが、これは不死斬りが拒んでいるのだろうとアーチャーは理解する。

 しかし今は忍の名誉の為に、激痛を堪え、不死斬りを構える。

 

「名もなき忍よ。死して尚誰かの為にその刃を振るうその姿。そのような男と戦えた事に俺は誇りに思う」

 

 そう言いながらアーチャーは忍に向かって袈裟斬りに不死斬りを振り下ろした。

 不死斬りに斬られ、忍から鮮血が舞う。

 

「あぁ、御子様。出来れば、貴方の元へ――――」

 

斬られながらもその顔は穏やかな顔を浮かべながら、想う相手を呟きながら灰になり消えていく忍。

残ったのは忍の義手と鞘に収まった刀だけであった。

灰となり、空へと昇る忍を見上げながら不死斬りを鞘へ納めるアーチャーであった。

 

「終わったの?」

「あぁ。これであの忍も解放されただろう」

 

風香に聞かれ、微笑みを向けるアーチャー。

 

「ねぇ、あれ。あれってお墓?」

 

史伽が指さした所に、ススキ畑の真ん中に小さいお墓がぽつんとあった。

 

「そう言えばあの忍、この墓を護るように陣取ってたな」

「じゃあこのお墓が忍者さんが言っていた御子様レス?」

「おそらくはそうだろう」

 

アーチャーは義手と刀を墓へお供えする。

 

「どうか黄泉の国で自身が敬愛した者と再会出来るように、せめての手向けだ」

 

そう言ってアーチャーは合掌をする。アーチャーに続くようにプールス達もお墓に合掌する。

どうかあっちの世界で御子様と会えますようにと

と合掌をしていると、轟音と崩れる音が立て続けに起こった。

 

「なっなんだぁ!?」

「カモおじちゃん!!」

「どしたプールスっておいおい!城が!」

 

見れば城が大きい音を上げながら崩壊していた。

 

「おいおいアーチャーさんよ!ちいとやりすぎじゃねえのかい!?」

「いや、私のせいだけではないようだ。この空間はどうやらこの不死斬りと忍が保っていたようだ。そしてその要の忍が成仏したことにより止まっていた時間が一気に動き出したのだろう。それこそ浦島太郎の玉手箱のようにね」

 

それはつまり、城に居た武士達も無事に成仏が出来たということだ。しかしそんな悠長な事をしている暇はない。

 

「やばいじゃないか!だったら僕達も逃げないと!」

「私達も崩壊にまきこまれちゃう!」

 

大慌てを見せる風香と史伽にすまないとアーチャーは謝罪しながら座り込み

 

「どうやら毒のせいで限界が来たようだ。もう動くことも困難な状況になってしまった」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!終わりだぁ!ボク達はこの廃城と一緒に終えるんだ!この巨大な城がボクの墓標になっちゃうんだぁぁぁぁぁ!!」

「お姉ちゃん落ち着いて!!」

 

絶望で喚く風香を落ち着かせようとする史伽も顔は絶望に染まっていた。少しずつだが崩壊が進み、崩壊はススキ畑へと迫っていった。

もはやここまでかと覚悟を決めようとしたカモとプールス。とその時甲高い鳥の鳴き声が聞こえた。

 

「どうやら間に合ったようだな」

 

アーチャーがふっと笑みを浮かべていると、空から巨大な鷲に乗ってアーチャーのパートナーの千草が現れたのであった。

随分ナイスなタイミング。おそらく何処かで待機をしていたのだろう。

 

「アーチャー!無事かえ!?」

「あぁマスター、何とも感動的なタイミングだよ」

 

毒が回っているがまだ減らず口を出す元気はあるようだ。

千草は最初はアーチャーしか見ていなかったが、アーチャー以外にカモやプールス、風香と史伽が居ることに驚いている。

 

「何であの魔法使いの仲間が一緒に居るんや!?」

「話は後でしよう。それよりも彼女達も一緒に乗せて上げてほしいのだが構わないかな?」

「はぁ!?何言うとるねん!……って本当は言いたい所やけど、なんか危ない展開みたいやからな。早く乗りや!」

 

千草が早く乗れと促し、先に風香と史伽にプールスとカモを乗せてから最後にアーチャーが鷲に乗る。

 

「いいぞ出せ」

「いくで!振り落とされない様にしっかり掴まっとれ!」

 

鷲が甲高い声を一言上げながら羽ばたきススキ畑を脱出する。

間一髪の所で崩壊から逃れる事は出来た。下を見下ろすとお墓の寸での所で崩壊は止まっていた。

お墓は崩壊に巻き込まれずに無事なのを確認出来て、ほっと胸をなでおろすプールスと風香と史伽であった。

 

 

 

 

 

 

 

「ほいアーチャー。これを飲めば幾段か楽になるはずや」

「感謝するマスター」

 

千草が袖から解毒薬を出してアーチャーに渡し、感謝しながら解毒薬を煽る様に飲むアーチャー。

 

「それで、目的の物は手に入ったんかい?」

「あぁ。これだよ」

 

そう言ってアーチャーは不死斬りを千草に見せた。

不死斬りを見た千草は思わずうげっと声を出しながら

 

「それ、確かに強力な力を持っているみたいやけど、完全に妖刀の類やないか。絶対まともな代物と違うえ」

「あぁ。だからこそ、使える可能性は大いにあるというわけさ」

 

そう言って不敵に笑うアーチャーであるが内心では

 

(しかしこの不死斬りは人を選ぶようだな。どうやら私は選ばれた者ではない。使えるのは後1回か2回が限界だろう。使いどころを間違えない様に見極めなければな)

 

忍を斬るために不死斬りを使ったが、あの時不死斬りから拒絶されていた。本来は拒絶された者は使う事が出来ない所だが、アーチャーは忍を斬るために強引に使ったのであった。

 

「話は変わるけど、何であの子たちがアーチャーと一緒に居たんや?」

 

千草がプールス達を見て、プールス達も千草を警戒して見ている。

 

「どうやら強制転移であの地へ飛ばされたようだ。あのオコジョからの依頼でマギ・スプリングフィールドの元へ送り届ける事にした」

「それはええけど、お前もよく分らんな。敵の仲間を親切に送り届けるなんてな」

「まぁ、敵に塩を送るのもまた一興かと思ってね」

 

かっこつけがと千草に呆れられながらも、千草は外でマギ達がオスティアへ向かっているという情報を掴んでいた。

 

(待っていろマギ・スプリングフィールド。貴様を屠る準備は整った。首を洗って待っているがいい)

 

しかし限界が来たのか意識を手放すアーチャーなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




言い訳というかなんというか
今回の忍は隻狼をモデルにしておりますが、あくまでモデルにしているだけで本人ではございません。
SEKIROファンからしたら納得のいかない描写があったかもしれませんがご了承ください。

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