マジで楽しい……
それではどうぞ
「はぁ……」
ネギがカゲタロウと戦っていた同時刻、あやかはテラスにて、憂鬱げな溜息を深く吐いていた。
「あやかさん大丈夫ですか?」
「ほうっておけ、どうせまた坊やが大変な時に何も出来ない自分が許せないっていう溜息だ。これで100回位は吐いたんじゃないか?」
「おおっと、雪姫さんは相変わらず辛辣だねぇ」
あやかを心配する茶々丸とさよ。鼻で笑い飛ばす雪姫に苦笑いを浮かべる和美と反応はそれぞれであるが
「いえ、エヴァンジェリンさん、今は雪姫さんでしたわね。雪姫さんの言う通りです。この世界に来てから私1人では何も出来ないと強く実感され、そんな無力な自分が許せないんです」
「そんな! あやかさんはネギ先生の為に色々と尽くしているじゃないですか! あやかさんのおかげでネギ先生も嬉しいはずです!」
さよは落ち込んでいるあやかを必死にフォローしているが
「いえ、それは結局それしか出来ないと暗に示しているだけです。私はアスナさんや刹那さんのように戦う力もなければ、このかさんのように癒す力も持っていない。私は役立たずですわ」
「……っチ」
いい加減自分を卑下するあやかを見て鬱陶しくなった雪姫は隠さず大きな舌打ちをし、そこまで言うならとことん言ってやろうかと思ったその時
「たっ大変やよみんな!!」
休憩に入った亜子が血相を変えて飛んできた。
「今聞いたんやけど、ネギ君が外で襲われて大怪我したって! それも腕がちょん切れるほどの!!」
「なっ、なぁ!?」
ネギが大怪我、更に腕が切断されたと聞いてあやかは音を立てて席から立ちあがった。
「マギさんが言うにはネギ君の腕はちゃんとくっついて動けるようになるから心配は「ネギせんせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」ちょ!? いいんちょ!?」
亜子が最後まで言い切る前にあやかは絶叫しながらネギの元へ駆けていく。あやかのネギに対しての行動の速さに皆呆然としているが、雪姫だけは微笑みながら
「あるじゃないか。神楽坂や桜咲達に負けないほどの、坊やを想う”想いの強さ”がな……」
あやかはネギが治療している手術室へ向かって走る。頭の中はネギの事で頭がいっぱいだ。
(ネギ先生、ネギ先生!! あぁおいたわしや! 私が不甲斐ないばかりにネギ先生だけが辛い目にあうなんて……!)
別にあやかのせいではないのだが、今は自分が不甲斐ないばかりでネギが辛い目に会っているとしか頭になかった。
そんなあやかの想いとは別に前方で言い争いをしているトサカと小太郎がいた。
「ただの才能にあふれた坊ちゃんかと思ったら意外と骨があるじゃねぇか。俺は見直したぜ」
「うっせぇわ! 俺らよりもへぼいくせに何上から目線で語っとんのや!」
「素直に褒めてやったんだ! それぐらい受け取れや!!」
睨みあう小太郎とトサカの前をあやかが通り過ぎようとするが、あやかに気付いたトサカが止めようとする。
「待ちな。アンタがナギの関係者っていうのは知ってるが、ここからは拳闘士とここの関係者以外は立ち入り禁止ださっさと周り右して────「お退きなさい!!」もぺぇ!?」
があやかの掌底がトサカの顎にクリーンヒットし、盛大に回転しながらトサカは顔からダイブしたのであった。
あまりの光景に小太郎も吹き出して
「おいトサカさんよぉ、あやか姉ちゃんに殴り飛ばされた気分はどうや?」
「うっせぇ、黙ってろ……がく」
当たり所が悪かったのかそのまま気絶してしまったトサカ。自分よりも力がないであろうあやかにしてやられ、トサカの自尊心はズタズタになってしまいそうだった。
「おっと待ちなあやか姉ちゃん。トサカの野郎の言い方が悪いけど、こっから先は立ち入り禁止や。ナギの治療が終わったら病室に移動するからそこで会うんやな」
「話してください! 私は今すぐにあの人の元へ!」
「大丈夫や。こっちの世界の医術はあっちの世界よりも何倍も凄い。何せ斬られた腕が元通りになるんや。あいつが心配なのは分かるけどな、今はあいつが無事に怪我が治ることを祈っておこうや」
小太郎の説得で漸く落ち着きを取り戻したあやかはネギの元へ突撃することを諦めてくれた。今はネギの手術が何事もなく終わるのを祈るだけであった。
というか、これではトサカの殴られ損であるが、それに対して誰もツッコミはなかったのであった。あわれトサカ。
「────あれ、ここ、は?」
無事に手術が終わり、腕がくっつき腹の手術も無事に完了したネギはぼんやりと目を開けて、今の自分の状況を確認した。
(そうだ、僕はカゲタロウって人と戦って、でも届かなくて、それでラカンさんに助けてもらってそれから……)
「ネギ先生!!」
自分が呼ばれたことにハッとして、見れば目を真っ赤に腫らしたあやかが自分を心配そうに見ていた。
「あやかさん……」
「よかったですネギ先生。今日はもう目覚めないかと心配で……」
ネギが無事に目を覚ましたのを見て安堵したのか、あやかは止まっていた涙がまた流れだしてしまった。
あやかが泣いている姿を見て胸が締め付けられる感覚に襲われネギは
「あやかさん……ごめんなさい」
ネギは反射的に謝ってしまった。謝れた事にあやかは数回瞬きをしてしまう。
「何故、ネギ先生が謝るのですか?」
「僕は、この闘技大会に出れば少しは成長できると思いました。けど、僕は勝ち進んでも全く強くなっている実感も沸かなく、お兄ちゃんや師匠、父さんのような本物に辿り着けそうにありません。それに加えて僕は今日強者に会いました。その人に勝つことが出来なかった。そんな人に勝てないなら、僕はなんのためにここにいるんでしょうか。井の中でふんぞり返っているならいっそ────」
それ以上は言えなかった。それを言ったら僕はもう立ち上がる事は難しくなるだろうとそう思ったのであった。
あやかはどうすればいいのか迷った。もしアスナがここに居れば拳骨1回でネギのうじうじした状態を黙らせるだろう。
しかしあやかはネギに拳骨とか平手打ちをするのは難しい。
ならばどうするか、考えに考えた結果、あやかはこう言った。
「でしたら、もうお辞めになったらどうですか?」
「え?」
「ネギ先生のお父様がこの世界では英雄だったからといって、ネギ先生も同じような道を歩む必要なんてないんです。そういった事はマギ先生や雪姫さんに任せればいいんです」
あやかがもう強くなるのは辞めたらいいと言い、ネギは思わず目を点にしてしまった。魔法世界に来てから幾日か経ち、あやかは違和感を覚えていた。
嘗ての麻帆良で見ていたネギの雄姿。その時は素敵だかっこいいといった感情が先走っていたが、魔法世界に来てからは確かに戦うネギを素敵だと思っていたが、今は心配の方が強くなっている。
麻帆良の力により、麻帆良での出来事はごくごく当たり前の光景だと思われていた。だからこそネギが先生をやっていても、ネギがタカミチや超と戦っていた時も何重ものフィルターがかけられ、ただ単にネギがかっこいいとしか思えなかった。
だが魔法世界に来てからは今まで何でもないと思っていた光景が、何重もフィルターにかけられた世界が、リアルな光景がそのまま目に焼き付けられた。ネギと言った幼い少年が何故傷つきながら戦わなければいけないのか。
しかし、ネギが戦う姿を見て痛ましく思う反面、美しくいっそうかっこいいと思う自分も居たのは確かだ。
その反面、ネギがこれ以上傷ついてもらいたくないのも事実。だからこそあやかはもうこれ以上ネギが辛い目に会わなくてもいいと説得しようとしている。
対してネギは迷った。今まで迷った時はアスナ達に渇を入れられていた。しかしあやかのようにもう止めてもいいと優しく言われたことはなかった。
もう無理をしなくてもいいのか。そうだ僕にはお兄ちゃんや師匠がいる。だったら僕が無理をしないでも……
そんな事が頭をよぎった瞬間、フェイト・アーウェルンクスの事が頭をよぎった瞬間、ネギの考えは決まった。そう、ネギはどうしようもない負けず嫌いな所もあるのだ。
「あやかさん、僕を心配してくれてありがとうございます。けど、僕は一度決めたことにもう逃げることはしたくないです。例え僕の体を傷つけることになっても」
改めて決意を固めたネギ。そんなネギを見て、ふっと微笑むあやか
「そうですね。ネギ先生は一度決めたら最後まで突き進む。そんな所が素敵ですからね」
「あやかさん?」
「私はそんなネギ先生が好きですから」
好き、それを聞いてネギは目を点にしたが、次には顔を赤くしてしまう。
「えっとあやかさん、好きっていうのは」
「前まではネギ先生を弟のように想い接していましたが、こんな状況になってから不謹慎ですが、凛々しいお姿に、その魅力にまたも陶酔してしまいました。雪広あやか、改めてネギ先生の事を恋、慕っておりますわ」
「あの、あやかさん、その、えっと……」
「ネギ先生……」
あやかの艶っぽい目にネギはドギマギしてしまい、流れ的にこのままキスをする流れになりそうだ。
がそんな空気を読まずに
「ネギ君、いいんちょ~大丈夫? 一応ネギ君の着替えを持って来たんだけ」
夏美が扉を開けて、ネギの着替えを持ってきたら目の前の光景を見てしまい、固まってしまうと
「えっと……ごゆっくり~」
それだけ言うと扉を閉めてしまった。せっかくいい雰囲気(あやか目線)になりそうだったのに夏美のせいで台無しになり、あやかは夏美を追いかけて病室を後にした。
「夏美さあああん!! こんな事言うのも不謹慎ですが、もうちょっと空気を読んでくださいまし!!」
「ご、ごめんっていいんちょ! 許してぇ!!」
2人の声がドップラー効果で段々と聞こえなくなる中
「あやかさん……」
仮契約ではないキスを迫られ、呆然としながらあやかの名を呟くネギであった。
翌日、医療技術によってもう歩けるまでに回復したネギは沈みゆく朝焼けを見ながら、切断された自身の腕の縫合部分を見る。もう神経も繋がっており指も動かすことが出来る。流石は魔法世界の医療技術だ。
「ネギ先生」
千雨の呼ぶ声が聞こえ、振り返ると千雨と茶々丸と小太郎が居た。
「千雨さん、茶々丸さん、コタロー君」
「おう随分と堪えたみたいだな。けどあんまり心配させんなよ」
「はい、ご迷惑をおかけしました」
頭を下げるネギに千雨が軽く小突いた。
「神楽坂の代わりだ。アンタは無茶しすぎだ。無理な時はさっさと負けを認めて次に勝てるようにしろよ」
「はい!」
千雨の説教もしっかりと受け止めた。ま、分かってるみたいだからこれ以上は言わないでおこうかと思った千雨である。
「そんなネギに朗報や。さっき念報やけどアスナ姉ちゃんと刹那姉ちゃん達から連絡が入ったで」
「! 本当!?」
「生放送から4日経って初めての収穫だな」
念報はかたごとであるが、アスナと刹那が無事だという事が伝わった。
それだけ聞くとさっそくネギ達は行動に移すのであった。マギ達に直ぐに知らせて、さっそく捜索隊を結成することにした。
「ほほぉーこれが捜索ルートか。ホンマに世界一周やなぁ」
「人口密集地は大方カバーしています」
「これで駄目ならその後虱潰しで」
空港内で世界地図を見ながらまじまじと呟いた小太郎に茶々丸と和美が答える。捜索隊は茶々丸と和美(少女スタイル)が担当することになった。
「この旅費でこれまでのお二方とマギさんとマスターのファイトマネーを消費してしまいました」
「ま、世界一周の旅費じゃしゃーないな」
ぼやく小太郎。けどこれで仲間が見つかるなら安いものだろう。
「けど、こんな広い所を探すのに空の上から位置を確認するだけじゃ意味なくない? 朝倉」
夏美の素朴な疑問に何処か嬉しそうに和美がポケットから取り出す。
「ふっふっふ! そこで御登場となるのが本作戦の目玉、これさ! じゃじゃーん! 仮契約カード!」
それは和美の仮契約カードであった。カードの登場に一般人組のアキラと夏美、そしてあやかは首を傾げていた。
和美は千雨が電子関係のカードが出てきたから自分は情報収集関連のカードが出ると読んでおり、それがドンピシャだったわけである。
アーティファクトは『渡鴉の人見』。スパイアイテムである。
最大6体のスパイゴーレムを超長距離まで遠隔操作可能とのことである。色々と制限はあるらしいが、それは相方のさよの協力をもって補うとのこと。
これさえあれば仲間の捜索の力添えになるだろう。
「それはすげえがお前何時仮契約をしたんだ!?」
「えー? 一週間前ぐらいかなー」
「何時の間にやったんだよ! それに仮契約はあのオコジョが居ないと出来ないはずだろ!」
千雨が和美に追求するが、和美はあっさりとカミングアウトとした。
「やったって何を?」
「やったちゅうのはこのボケネギが和美姉ちゃんとキスしたって話や」
「「ええ!? キス!?」」
夏美とアキラは驚き、あやかはネギが和美とキスをしたという事を聞いて固まる。
「ここには仮契約屋あってね。まぁネギ君にお願いして、仮契約をしたって所さ。そんで記念に撮ってもらったのが、私の仮契約シーンの写真ってわけさ!」
写真には和美とネギが仮契約のキスをしている所が激写されていた。ドッキリ大成功みたいな感じで笑っていた和美だが背筋が寒くなるのを感じ、振り返ると目が据わっているあやかが和美を見下ろしていた。
「和美さん、貴女ネギ先生と何をしたんですか?」
「ちょ! ちょっとストップいいんちょ! あたしは仲間を見つけるために協力したいと思ってネギ君に頼んだんさね」
「本音は?」
「自分のアーティファクトがどんななのか興味本位でもありました」
「和美さぁぁぁぁん!!」
「堪忍していいんちょぉぉぉぉぉ!!」
怒りで和美を追いかけ回すあやかであった。
「なんやキスぐらいでうるさいやっちゃ。ネギなんて和美姉ちゃん以外にもやってるやろが」
「ちょ! コタロー君!」
更に小太郎がカミングアウトをしたことで、和美を追いかけていたあやかが足を止め、小太郎の方に駆け寄り、小太郎の肩を思い切り揺すった。
「コタロー君どういう事ですか!? ネギ先生は和美さん以外にもあんなことをしたんですか!?」
「痛いわ! ネギの事になるとなりふり構わず過ぎるやろあやか姉ちゃん! 茶々丸姉ちゃん他に誰がネギと仮契約してんや?」
「ネギ先生はまず最初にアスナさん、次にこのかさん、次に刹那さんハルナさんそして和美さんと計5人がネギ先生と仮契約を行っています」
「そんな、もう5人とキスをしてるなんて……!」
「あの、アキラさん、それについては」
「因みにマギさんはのどかさん、夕映さん、千雨さんに亜子さんの4人と仮契約をしています」
「あの、茶々丸、何で俺の仮契約もカミングアウトしたんだ?」
「そんな亜子とキスをしておきながら、他の人ともそんな事を……不潔だネギ先生マギさん!」
不潔と叫びながら走り去るアキラに何とか弁明をしようとするネギに、アスナ達とも仮契約のキスをしたことを聞いてショックで膝から崩れ落ちるあやか。
「まったくキスぐらいで騒いであほらしいわ」
「いいなぁ」
そんなドタバタ劇を鼻で笑う小太郎にそんな仮契約を羨む夏美であった。
なんてドタバタ劇を繰り広げていたが、搭乗時間が迫って来た。
「そんじゃそう言う事だから、行ってくるよ!!」
「行ってまいります」
「和美さん茶々丸さん、お願いします!!」
「皆の捜索頼んだで!」
「そっちも、借金返済頑張りなよ」
「茶々丸、みんなの事を頼んだ。けど、君も無理はしないでくれ」
「はい、マギさんもどうか無茶はしないでください」
茶々丸の頭に優しく手をのせるマギ。そんなマギをぽーっと見つめる茶々丸だが、直ぐにハッとして
「千雨さん、マスター、どうかマギさんの事をよろしくお願いします」
「あぁ分かってるって茶々丸さん。あたしらでマギさんの事は見てるから」
「マギの事は心配するな。お前は捜索だけに専念すればいい」
一時の別れの挨拶を済ませ、空飛ぶクジラの飛行艇に乗り込んだ和美と茶々丸。彼女らが乗った飛行艇見えなくなるまで、見送るマギ達。
これからどうするか、ネギはもう決まっていた。
「コタロー君、僕は」
「分かっとる。何とかっておっさんの所に行って稽古つけてもらいに行きたいんやろ?構へんで。行ってこいや。出場権は任しとき」
小太郎はネギが考えていたことが分かっていた。だからこそ任せろとそう言い切ったのだ。
「コタロー君……ありがとう」
「その代わり、しっかりと強ようなってこいよ。お前の新必殺技、見れるのを楽しみにしとるからな。けど俺は実戦の方が成長するのが早いんや。うかうかして俺に抜かれない様にするんやな」
「うん、分かった。楽しみに待っててね」
そう言って、ネギは小太郎と拳を合わせた。威力が強すぎて拳圧で千雨が飛ばされそうになっているが。
そしてマギも雪姫に向き合った。
「雪姫、俺もラカンって人に会ってくる。あの人どうやら闇の魔法に詳しいみたいだし、若しかしたら何かヒントか収穫を得られそうだから、頼む俺も行かせてくれ」
マギは雪姫に頭を下げた。雪姫はマギには行くなと言いそうであった。闇の魔法は自身が編み出したものなのだから別に行かなくてもいいだろうと言われる可能性はあると思っていたからだ。
けどラカンの元へ行けば何かが掴めるかもしれない。マギの勘はそう囁いていた。だからこそ、マギは頭を下げる。そしてその答えは
「いいぞ、行ってこい」
「本当に良いのか?」
「あぁ、あのバカは文字通りバカだが戦いのセンスはある。それにあいつも闇の魔法の事は知っている。発案者の私が分からない見落としの点を見つけているかもしれない。お前が闇の魔法の魔法をあんな簡易的なもので制すのではなく、本当の意味で闇の魔法を制する事が出来ればお前は更に強くなれるだろうさ」
「ありがとう。けど、俺が行って出場権は大丈夫なのか?」
「あぁそれには心配するな。あのトサカが言っていたが、『座長がお前の相方のネギはもう充分戦ったから出場権はやるとよ。けどアンタは今まで何もしてないから、ネギに釣り合う奴なのか今後はアンタ1人で相手をしろってよ』との事だ。だからお前は心配するな。私1人でも出場権は手に入れられるさ」
「いや、それは心配してないんだが、相手を殺したりしないか?」
「心配するな。苦しませないで楽にさせてやるさ。ふふ」
いや、そのまま殺しそうなんだがというツッコミは皆飲み込んでおいた。何はともあれマギの出場権は問題なさそうだ。
千雨が雪姫に進言する。
「雪姫さんよ。マギさんの同行に許可してくれないか?マギさんの事だ絶対何か無茶をしそうだからな」
「好きにしろ。私としてもマギに何かあれば気が気でないのは確かだからな」
千雨がマギの修行に同行することになり……
「雪姫さん、私もネギ先生に同行したいです!」
「あー好きにしろ好きにしろ。お前が居ても居なくても正直変わらないからな」
ちょっと適当に相手をする雪姫。
こうしてマギに千雨、ネギにあやかが同行することになり、ラカンの居る場所へ向かう事になったのであった。