堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

146 / 179
いざ魔法世界へ

 濃霧がすごい中、集合場所についたマギと雪姫。そこにはもう皆が集まっていた。

 

「お兄ちゃんどこ行ってたの?」

「ちょっとな。もう皆いるようだな」

「うん。お兄ちゃんを待ってたんだよ」

「そうか。それは悪いことをしたな」

「大丈夫だよ。まだ時間はあるからね」

 

 さて出発しようとしたら、ネカネと校長が見送りにやってきた。

 

「ネギ、マギ、どうか怪我だけはしないで」

「うん、お姉ちゃん行ってきます!」

「ネカネ姉。無事に戻ってくることを祈って待っていてくれ」

 

 ネギはネカネが見えなくなるまで手を振りながら目的地まで向かっていった。

 

「やはり心配か」

「心配じゃなければ、こうやって見送りなんて行きませんよ」

「心配はせんでいい。あっちの世界ではナギの仲間がいるからのう」

「どうかネギ、マギ、無事で帰ってきてね」

 

ネカネは無事に皆が帰ってくるのを祈るのであった。

 

 

 

 

 

暫く歩いていると、前方に1人の女性が待っていた。

 

「貴方がマギ君ね。私はドネット・マクギネスよ。私がこれから貴方達を魔法世界へ案内するわ」

「よろしくお願いします」

 

マギとドネットが握手で応じる。

 

「さぁ皆、白いローブは着用してるかしら?でははぐれない様に私についてきて」

「はーい」

「はぐれるとどうなるです?」

 

 夕映が質問すると

 

「ゲートは手順通りの儀式を行いながら近づかないとたどり着けないの。私からはぐれたらこの濃霧の中を彷徨った挙句に村の出口に逆戻りになってしまうから、私から絶対に離れないでね」

 

 とのことだ。これは絶対に離れてはいけない。いざ出発、とアスナはまだ寝ているであろうクラスメイト達に向けて謝る。

 

「ごめんねまきちゃん、いいんちょ。行ってくるわ」

「なにがごめんねですの?」

 

 とあやかがアスナの背後に立っていた。

 

「いいんちょ何でここに!?まさかアンタついてくる気じゃ……」

 

 そうならば致し方ないが力づくで止めるしかないと構えようとするが、あやかは何時もの高笑いではなく、ふっと笑って首を横に振った。普段のあやかとは別の反応にアスナは面食らっているが

 

「それはもちろん、ネギ先生のためなら私もついて行きたいですわ。しかし、今回はこの私の力は何の役には立たない。そんな私はただの足手纏いになってしまいますわ」

「いっいいんちょその――――」

「黙って聞いていてください。ですから、ネギ先生の事は任せますわ。そしてあなたも絶対に無事に帰ってくることを約束しなさい」

 

 あやかは拳を握りしめて真っ直ぐアスナを見つめる。本当はあやかも行きたいだろう。しかし自分じゃ力不足を認識し悔しさを飲み込んでいるのだ。

 

「……わかった。絶対に皆怪我無く帰ってくるから、心配しないで待っててね」

「ええ。帰ってきたら、土産話をたくさん聞きますから、覚悟してくださいね」

「うん。それじゃあ……行ってくるわね。あやか」

「ええ。無事を祈ってますわアスナさん」

 

 あやかに向かって、手を振りながらドネットを追いかけるアスナ。そんなあやかはネギやアスナ達の無事を祈ってやまなかった。

 しかし、そんなあやかの想いを踏みにじる、勝手な動きを見せる者もいるのであった。

 

 

 

 

 

 

 ドネットについて行きながら、マギ達は軽く雑談をしていた。

 

「なぁ千雨、なんか随分と大きい荷物を持ってるがそれどうしたんだ?」

 

 マギが気になったのは千雨の衣服を詰め込んだボストンバックとは違う巨大なスーツケースであった。

 

「ニューボディになった茶々丸さんから受け取ったんですけど、葉加瀬が私専用に作ったあるアイテムとかなんとか。茶々丸さんから葉加瀬の伝言で『危なくなったら開けてください』という事らしいです。現になんかプロテクトでもしてあるのかうんともすんとも言わないんです」

「危なくなったらか。何事もなければいいんだけどな」

「ですね」

 

 それよりもと千雨はマギの背中を見る。

 

「その剣野ざらしにしてて大丈夫なんですか?絶対に職務質問されますよ」

「そうだよなぁ。ドネットさん、これ、大丈夫ですか?」

 

 千雨の言う通り、現在マギは月光の剣を背中で担いでいる状態なのだ。本当はグレートソードと同じように自身の影にしまおうとした。しかし、月光の剣は意思を持って影にしまわれるのを拒否した。そして今は鞘のようなものに入れられている。

 

「大丈夫よ。その鞘に入っていれば封印状態になっているから。けどだからといってゲートポート内で振り回すなんてことはしないでね」

 

 とりあえずは大丈夫のようだが

 

「けど、何かあったときに使えないのは不便だな……」

「心配しないで。ゲートポートは常に最重要警備体制だからトラブルになった事は一度もないわ」

 

 と自信を持って大丈夫と言っているドネットを見て

 

「なぁ雪姫、のどか、夕映に亜子に千雨」

「どうした?……なんて阿呆な事は聞かないぞ」

「はい。私も何か胸騒ぎがします」

「マギさんとネギ先生が一緒に魔法世界に行く。何も起こらないはずないですね」

「うー。ウチ、普通に安心な旅がしたかったなぁ……」

「ぼやくなよ。あたしらは万が一の為に辛い修行をしてきたんじゃねえか。それよりもああまでフラグになること言ったら、100%何か起こるだろうが」

 

 マギ達は若しかしたら迫りくるだろう危険に改めて身構える。

 

「マギお兄ちゃん……」

「プールス、俺か雪姫か皆からは絶対に離れるんじゃないぞ」

「はいレス」

 

 心配そうに見てくるプールスの頭を優しく撫でる

 

「なんやビビってるのかマギ兄ちゃん!俺たちもあれから修行を続けて強くなってるんや。何が来ても恐るるに足らずや!!」

「まったく、随分と楽観的なのね。少しは緊張感を持てないのかしら」

「うっさいわちんちくりん女が」

「誰がちんちくりんよいぬっころのガキが!!」

 

 ドードーとマギはと言い合いになる小太郎とアーニャを宥める。

 

「それよりもアーニャはよかったのか?別に無理して来なくてもよかったんだぞ」

「いいのよ好きで来たんだから。それに魔法世界に行こうと思ったのは日本でネギと喧嘩した時から決めてたんだから」

 

 自ら魔法世界に行くことを決めたアーニャ。どうやら日本でネギがアスナ達と仮契約した事に対して一悶着あったようだ。

 

「まったく。坊やが心配なら素直にそう言えばいいのにな」

「うううっさいわね!性格キツイアンタみたいな年増が偉そうに言うんじゃないわよ!」

 

 年増と言った発言に雪姫はともかくドネットにまで飛び火してしまった。

 

「ほぉ。この私を年増とはな……死ぬ覚悟は出来たか小娘」

「わー!師匠どうか矛を納めてください!!」

「年増、か。そうね私ぐらいの歳ならそう言われてもしょうがないわね」

「大丈夫ですよドネットさん!まだ全然いけますって!私たち小娘なんかよりも大人の色気ムンムンですから!!」

 

 凍える殺気を出す雪姫を収めようとするネギと、沈んでいるドネットを必死で持ち上げるアスナとハルナなんともグダグダな感じになりながらも漸く目的地に到着した。

 

「うわぁ……」

 

 ネギは感嘆の声を上げる。ゲートはストーンヘンジとなっており、朝焼けに照らされ正に幻想的な雰囲気を醸し出している。

 早朝からずっと歩きっぱなしで各々体を伸ばしたりしている。

 

「俺たちだけかと思ったが、結構人がいるもんだな……」

「そうだね。あそこにいる人たち全員魔法世界に行くんだね」

 

 マギとネギがゲート前に居る人だかりを見ながら呟いた。ゲート前にはローブの集団がたむろっている。数は10人を超えている。これでも少ない方だとドネットは答えている

 

「ゲートは世界中で数か所しかない上に扉が開くのは週に一度、酷いときは月に一度くらいだからね」

「一週間に一度とか交流がないわけだ」

「さながら鎖国だな」

 

 和美がドネットの言った情報をメモし、魔法世界の流通を鎖国と例える千雨であった。

 

「まだ1時間位時間があるわね」

「それじゃあここらへんで朝ごはんを――――」

「飯アルか?」

「早よ食わんとなくなるでー」

 

 勝手に朝食を食べ始めた古菲と小太郎に全部食べられないようにマギ達も朝食を食べ始めた。

 

「――――」

 

 マギ達を黙って見ている者の視線に気づかずに……

 

 

 

 

 

 

 

 朝食を食べ終え、ゲートが開く時間が迫っていた。いよいよ魔法世界へ出発だ。

 

「いよいよだなネギ」

「うん。そうだね……」」

「どうしたんだい兄貴。武者震いですかい?」

 

 肩に乗るカモがネギの表情が固いことを指摘すると

 

「いや、さっきから空気が違うように感じるんだ。こう圧迫感というか」

「ネギも感じてるのか?俺もさっきから嫌な気配をピリピリと感じるんだ」

「おふたがたもですか?私も先程から誰かに見られている気配を感じていますが、相手の正体だけが分からない状態です」

 

 刹那も何かの気配を感じ取っていたようだ。しかし周りには同じ白フードだらけで誰が誰なのか分からずじまいだ。

 

「ドネットさん。この場所って結構野ざらしだけど、悪い奴とかの襲撃とかは大丈夫なのか?」

 

 警戒を兼ねて再度マギがドネットに尋ねると

 

「まさか。確かにここは野ざらしだけど、警戒もチェックも厳重よ。此処に忍び込める曲者がいるとしたら、それは最強クラスの魔法使いか、人間じゃないわね」

 

 ドネットがここまで自信満々に言い切るのならば、ゲートのセキュリティは本当に厳重なのだろう。

 

「そこまで言うのなら大丈夫なのかもな。色々と緊張しすぎて逆に変に気配に敏感だったのか?」

「そうかもしれないね。多分気のせいだったんだよ」

 

 ネギは緊張しての気のせいと言い聞かせていた。あまりピリピリしすぎてアスナ達を心配させないように、平常心を取り戻そうとしている。

 

「……どう思う刹那」

「私の三重の危険感知の術法にも異常はありません。問題ないと思いますが」

「用心したことに越したことはない……か」

 

 少しでも動けるもので警戒していた方がいい。マギは雪姫達にもアイコンタクトを送った。

 しかし……いよいよ魔法世界だ。時間なのかゲートの地面が眩い光を発し始めた。

 

「ビビってるかネギ」

「そうだね。緊張してるけど……どこかワクワクしてる僕もいるよ」

「俺もだ。どんな世界が広がっているか全然想像できねぇよ」

 

 アスナ達も魔法世界がどんな所か話の花を咲かせている。

 

「なんか遠足の引率みたいだなぁ」

「まぁこれぐらい気楽に行けたらいいんだけどな」

 

 まぁなんにせよ

 

「行くか!魔法世界へ!!」

『おー!!』

 

 光に包み込まれ遂にマギ達は遂に魔法世界へと旅立ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からは遂に魔法世界編です。
正直言ってここまで長かったです。一時期はこのまま続けられるか心配な所がありましたが、これまで登録してくださった皆様や読んでくださる読者の方々
そして評価をしてくださった方や感想を送って頂いた皆様のおかげで続けることが出来ております。
まだまだ完結は先になりそうですが、どうか最後まで見ていただけると幸いです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。