堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

125 / 179
続 シスター美空のお悩み相談

裕奈、風香史伽、千鶴の悩みを相談を受けとても良かったと評判をもらった美空はさっそく懺悔室にて待機していた。

 

「いやぁまさかあそこまで好評だったとはねーこれはお悩み相談室延長するしかないっしょ」

「美空、調子に乗ったらいつかばれる」

 

ココネが注意しても美空は心配ご無用と気楽な感じで魔法で神父の姿に化ける。

 

「このように幻惑魔法で神父の姿に変身!なので身バレの心配もございません」

 

声も昨日使っていた声に変えている。これで誰がどう見ても神父だと思うだろう。

ココネはもう何も言わない。どうせ美空が酷い目にあうのがオチだとそう判断したのだ。

準備は完了。後は迷っている人が来るのを待つばかりだが、早速誰か懺悔室に入ってきた。

 

(おっと、早速誰か来たっすねーどれどれー誰が来たかなー)

 

最初の迷い人は

 

「神父様。どうか私の悩みを聞いていただけないでしょうか」

 

のどかであった。

 

(ほうほう本屋ちゃんか。まぁある程度予想はしてたけどね)

「よく来ましたね。さぁ貴女が抱えるものをどうかお話なさい」

 

厳格であるがどこか優しさを含んだ声で美空はのどかに語りかける。

 

「私の好きな人が事故で記憶を失くしてしまったんです。私が好きな人には私以外にも好意を向けている女の子がいます。その中には私の親友もいます。好きな人……マギさんが私達の事を忘れちゃったことは悲しいです。けど……どこか安心したような……そんな気持ちが頭の中にあるんです」

「安心……ですか」

(おおっとー。安心とか随分とブラックなことを考えているようで)

 

はいとうつむきながら話を続けるのどか。

 

「一番辛いのはマギさんです。それなのに今度は私を見てもらおう。もっと私に振り向いてもらおう……こんな感覚初めてで、正直こんな気持ちをもっている自分が嫌……です。神父様もこんな私の感情変だと思いますよね」

 

……一瞬のどかから黒いオーラみたいなのが見えたような気がしたが美空は思春期の気の迷いだと気にしないようにした。

 

「変、そう言いましたな。ですが気になる好きになった人に振り向いてもらいたいというその気持ちは恥ずべきものではなく当たり前の感情なのですよ」

(まぁまだ男の人好きになったことはないけど本屋ちゃんのマギさんに対する気持ちは、まぁ普通なんじゃないすかねー)

「そう……ですか」

「まあ記憶喪失というのは特殊な事例ですからな。ですがその人を好きで慕っているのなら支えなさい。もっと自分に正直になり誠心誠意尽くすことがきっと貴女のためになりますよ」

「はい……」

 

美空のアドバイスで表情から暗さが多少和らいだのどか。そのまま美空にお礼を言い懺悔室を後にした。

 

「いやーなんか本屋ちゃんの闇の部分を垣間見たような、いけないものを見た感じっすねー」

 

なんて呑気な事を言っていると今度は夕映が懺悔室に入ってきた。

 

(おおっと本屋ちゃんの親友がご来店ってね。さてさて何の話をするのかね。まぁだいたい話す内容は一緒だろうけど)

「神父様、どうか私の罪をお聞きくださいです。私には親友と呼べる女の子がいるです。その子は私達の先生を好きになりました。私はその子の恋を一生懸命応援しようと決めました。それなのに私はあろうことか同じ人を好きになるというその子を裏切ることをしてしまったです。しかもその先生はマギさんは事故で記憶喪失になってしまいました。そんな不幸な事故があったのに私は心のどこかでチャンスと思ってしまった。親友の……のどかの頑張りがまた振り出しに戻って私にもマギさんを振り向かせることが出来るかもしれない。そんな事を考えてしまう、卑下な自分が許せないんです!」

(うおっとお!!一気に畳み掛けてきたぞー!色々と思い悩んでいたっぽいし、まさかと思ってたけどここまでとはーー!!)

「あー落ち着きなさいお嬢さん、そんなに自分を卑下にしても良いことなんかありませんぞ」

「でも私は友を裏切りました。それは絶対にいけない行為です。マギさんが記憶を失ったのなら私は身を引くべきなんです。それなのに心が拒否をしてるんです。可笑しいんです。こんな気持ちあっちゃいけないんです」

(あー綾瀬さんって勉強は苦手だけど地頭は良い方だからなー。人の意見は聞けるけど、自分の考えが強すぎるって感じだよなー)

 

こりゃ骨が折れそうっすねーと夕映をどう導くべきか考える。

 

「お嬢さん。友の恋を応援していたら同じ意中の人を好きになるということはよくあることです。もっと貴女は自分の気持ちに素直になることですよ」

「でも私は……のどかを応援すると……」

(ああもう焦れったい!youもっと素直になるっすよ!!)

「では意地悪な聞き方ですが、貴女はその親友に人生を捧げるような生き方をするのですかな?」

「それは……」

 

美空の問いかけに言葉が詰まる夕映。やはり言葉ではいくらでも言えるが心は正直で、マギに対しての想いはとても強かった。

 

「人生はたった一度きり。友を裏切るよりも自分の想いを裏切る方がその親友は許さないと思いますぞ。なら貴女はしっかりと自身の想いと向き合いなさい。それが貴女の贖罪となりましょう」

「はい……ありがとうございましたです。今はまだ納得出来ていない自分がいるですが、自分の想いと向き合ってみるです」

 

美空に礼を言い、夕映は懺悔室を後にする。その目には少しだけ迷いに色があったが、きっといい方向へ進んでいくだろう。美空はそう信じている。

 

「さて今度は誰が来るかなー。今度はあまり重くない相談なら良いんだけどなー」

 

美空、フラグを投入する。次に懺悔室に入ってきたのはあやかだった。

 

「神父様。私は愛するネギ先生と今度デートをする約束をしました。しかしネギ先生のお兄様であるマギ先生が記憶喪失という大変な事になってしまいました。それなのに!私は!雪広あやかは悲しげな顔を浮かべているネギ先生を見て心の何処かでデートが出来ないことを残念に思ってしまった!私は、私はなんて恥知らずな女なんでしょう!!」

 

風香や史伽に夕映以上に大号泣するあやか。あまりの声量に懺悔室がびりびりと震える。

 

(うっっっっさ!!鼓膜に響く!こりゃ早々に帰ってもらわないと鼓膜がダメになる!)

「貴女はそこまで感情を露にするほどその先生を慕っておるようですな。ならば辛い状況である先生を支えるために気分転換に誘うのはまたよい手段かもしれませんぞ」

「っっっ!!そうでしたわ……今のネギ先生はマギ先生を思って心を磨り減らしているはず。ならばこの私が、私がやるべきことはただ1つ!ネギ先生に寄り添い支え心の傷を癒して差し上げることですわ!!!」

 

待っていてくださいネギ先生と叫びながら懺悔室を飛び出しそのまま何処かへ走り去っていった。さっきまで騒がしかった懺悔室が一瞬で静まり返る。

 

「いやー嵐のような人だったすねー」

 

ぽつりと呟く美空。元々芯がしっかりしているあやかは道標を見せたら突っ走る性格、ネギの為ならどんな事でもやる覚悟の持ち主だ。

と今度は刹那が周りの視線を忍ぶようにそわそわしながら懺悔室に入ってきた。

 

「あの……女性同士の接吻は、許されざるものなのでしょうか……」

 

顔を真っ赤にしながら自身の想いを打ち明ける刹那に思わずほっこりとする美空。

 

「愛に国境や性別など関係ありません。自分の心に正直になりなさい。相手の女性も待っているかもしれませんぞ」

(まぁあのほんわか大和撫子ならウェルカムだろうしな。ビビってもしょうがないっしょー)

 

美空にお礼を言い、懺悔室を後にする刹那。刹那がさった後に次々に3ーAの生徒達が続々と懺悔室に入ってくる。

といってもペットの猫の爪研ぎや駅近の牛丼屋が移店したとかしょうもない内容だった。中には

 

「悩みが……悩みが思い浮かばなくて……」

「……まぁそんな時は無理して来なくても大丈夫ですよ」

 

泣きながら懺悔室に入ってきたまき絵にお引き取り願ったり

 

「最近、よく脱げるんです……」

「……心中、お察しします」

 

3ーA以外の者もやってきた。

 

「ホントに結構来たなぁ。こりゃ昨日より時間かかりそうだなー」

 

大きく伸びをしながら次に来るであろう悩みを抱えた人を待っていると今度は亜子が懺悔室に入ってきた。

 

「神父様、ウチ、自分の人生の主人公は自分って言ってくれた好きな人を助けようとしたけど、あんまり助けることが出来ませんでした。やっぱり分不相応なことしないで隅っこにいた方がいいんでしょうか……」

 

うつむきながら悩みを打ち明ける亜子。

亜子は巻き込まれる形で魔法の関係者になり、マギと仮契約をした。亜子のアーティファクトはサポートタイプ。アスナのように一緒に戦えるものではない。今回の超との戦いでは時間跳躍弾の餌食となり脱落し、終わったときにはマギの記憶が失くなっていた。何も出来なかった自分が嫌だったのだろう。

亜子のアーティファクトのお陰でマギは戦えた所もあった。しかし戦いの中で何も出来なかったのが尾を引いてしまっているのだろう。

 

「お嬢さん、世の中には色々な人がいます。早くから才能を開花する人がいれば、遅咲きで開花する人もいます。焦らず自分が出来ることを好きな人に精一杯やりなさい。好きな人の言葉を借りますが貴女の人生は貴女だけのもの。悔いのないように生きなさい」

 

美空の言葉に少しだけ表情の色が戻った亜子は美空にお礼を言い、懺悔室を後にする。

 

「さて……と此処まで色々な悩める少女達を導いて来たっすけど、ここいらでどどーんと大物有名人みたいな人来ないっすかねー」

 

多くの悩める人を捌いてきた美空は段々と調子に乗り出していた。

だがこの数分後、美空は自身の言った言葉に強く後悔したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

(あーココネー。ココネの言う通りあんまり悪ふざけはやりすぎると後の罰が怖いって言うのは今よーく骨身に刻んだよ)

 

体を小刻みに震わした美空は顔や身体中汗を流していた。何故なら

 

「さて、この私の悩みを聞いて貰おうか春日美空。もしふざけた事を言えば……分かっているだろうな」

(何かバレてるしー!!)

 

懺悔室には似つかわしくないであろうエヴァンジェリンが足を組んで座っていたからだ。多少の魔力を発しているのか、懺悔室の中はひんやりしており、自身の震えもこの寒さのせいだと言い聞かせる美空。

 

「あー見目麗しいお嬢さん誰かと勘違いしてるのではないですか。私はこ教会の」

「お粗末な幻惑魔法で気付かれないと思っていたのか。いいから早く私の話を聞け。こういった所は私の肌には合わないからな」

 

美空の幻惑魔法はエヴァンジェリンにとってはお粗末なものであり、生半可なことを言えばおそらくアウトだろう。

つまり、今の美空の状態は"詰み"である。

 

(え?どうなるの?私の人生ここでtheendっすか?)

 

果たして美空の運命はどうなってしまうのか。

それは神のみぞ知るものである。

 

 

 

 

 

 

 




あともう少しだけ続きます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。