堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

119 / 179
この場で改めてまして、貴重な意見や評価にお気に入りをしていただきありがとうございます。
これからも頑張っていきますのでよろしくお願いいたします



学園大戦 決着

マギが闇の魔法、気炎万丈 劫火を発動しアーチャーと決着をつけようとしているのと同時期にネギも超と決着をつけようとしていた。

超の元へ向かう道中、色々なことが起こった。刹那とプールスに妖怪達の相手を任せた後にのどかがネギを護るために銃弾の餌食となり、まだ迷っているネギを叱咤しながらも一押してくれた夕映。

学園の一般生徒の尽力のおかげで超が遥か上空、飛行船の上に佇んでいるのを発見した。超の元へ飛んでいく最中も飛行型の田中や茶々丸妹がネギの前に立ちはだかるが、小太郎やアスナに高音に魔法先生達がネギを超の元へ行かせるために、茶々丸妹達の前に立ちはだかる。皆の助力があり漸く超の元へたどり着くことができた。

超の起こそうとしている認識魔法の発動まであと少し、超側についた葉加瀬が最後の詠唱を終えば魔法は発動し超の元へ勝利となる。

自身の勝利を確信した超は最後となる自分の仲間にならないかと甘い誘惑を囁いてきた。これで魔法が知れ渡れば救われる人は必ず居る。それを聞けばネギは揺れ動き超の想いに賛同してくれるとネギに手を伸ばした。

しかしネギはその手を優しくだが意志を固くしながら払いのけた。これには超も少々驚き目を見開いた。てっきり少しは迷うと思っていたのだ。

 

「超さん、僕も此処へ来るまで色々と考えました。超さんの行おうとしていることは間違っている。けど救われる人がいるのも確実に居ます。それでも今僕が考え抜いた答えはこれです……僕は皆さんといるこの日常が大好きで大切にしていきたい。だからこそ、僕や皆さんの日常を護るために超さんを止める悪になります。そして、これからの未来は僕達がより良い未来に向かうように頑張ります。だから超さん、貴女が未来を変えるようなそんな事はもう止めてください」

 

これがネギの答えだ。ネギの答えを聞き一瞬ではあるがネギに失望した表情を浮かべるが、また一瞬で微笑みに戻り。

 

「そうカ薄々感ヅいテいたガ、そレが貴方の答えカ。なら……ここいらデご退場願おうカ」

 

背中に取り付けたカシオペアでネギの背後に時間跳躍し、手に持っていた銃弾を当てようとする。しかしネギも持っていたカシオペアで超の背後に時間跳躍をし、超の背中を蹴り飛ばした。

蹴り飛ばされ前のめりに倒れる超。背中のカシオペアもネギに蹴られたことでひびが入り紫電が走る。

 

「ふ、考える事ハ一緒カ。どうやらこの短時間デカシオペアを上手く利用出来テいるようだナ。開発しタ当人としてハ嬉しい限りだガ、これ程厄介ナ物はないナ」

「残念ですが有利な立場を潰させて貰いました。これでカシオペアを使えるのも3回が限度でしょうね。因みに僕が持っているカシオペアもあと3回最悪1回時間跳躍で使用出来なくなります。これで対等になったですかね?」

 

子供が見せるやったぞと言いたげな笑顔を浮かべるネギ。これで時間跳躍という強力なスキルの制限もついたことで超も幾段か状況が変わった。

 

「しかし私にハまだ自前の科学が残っていル。カシオペアが封じられタからと言っテ私ガ不利になったと思うのハ早計ダ」

「いえ全く、僕が有利になったなんて毛ほどにも思ってません。少しだけ超さんの戦力を削ることが出来た。その程度しか思ってません。だから油断せずに貴女を止めます」

 

そして超とネギがぶつかり合い始める。その光景は飛行船の近くに飛んでいるヘリコプターから撮影され地上にいる人達の目に入ることになる。

超が背中に装備しているビット兵器を飛ばし、ネギに向かってビームを撃つがネギは紙一重で避けそのままビット平気を破壊する。ならばと今度は空中に銃弾を数百発空中に浮かせてそのまま一斉掃射を放つ。一発でも当たれば即アウトな銃弾をネギは魔力で高速化させて一斉掃射を難なく避けきってしまう。

遠距離が効かぬなら接近戦、飛行船の上で互いの中国拳法を振るう。自身の力と力がぶつかり合うのとカシオペアの駆け引きによって一進一退の攻防が続くが魔力で強化されているネギが段々と押し始めた。

 

「超さん、もうここまでです。魔法を使えない貴女ではもう僕に勝てる可能性はもうありません」

 

ネギは自分の勝利を確信している。しかし超は不敵な笑みを浮かべている。まるでまだ自分には戦える手段があるかのように。

 

「ふふ、ネギ先生確かに貴方の力は強力ダ。だがこの私を甘く見てもらったら困ル。この私にモまだまだとっておきノ術が残っているのダからな……コード 呪紋回路解放 封印解除 ラスト・テイル・マイ・マジック・スキル・マギステル」

 

超がいきなり呪文を詠唱し始めたことにネギは目を見開くが、超は詠唱を続ける。

 

「契約に従い我に従え炎の覇王 来たれ浄化の炎 燃え盛る大剣 ほとばしれよソドムを焼きし 火と硫黄 罪ありし者を死の塵に」

「それは呪文詠唱!!なぜ超さんが!?」

「ふふ私は偉大な魔法使いの子孫ダ。これぐらい造作もないヨ」

 

超が詠唱をしてる魔法はかなり強力なもの。ネギは自身が使える最大障壁を展開する。超の掌に魔力が集まりそして、放たれた。

 

「燃える天空!!」

 

超強力な炎の爆裂魔法がネギを包み込んだ。あまりの衝撃にネギ達をカメラに納めているヘリコプターが吹き飛ばされそうになった。

下でネギの戦いを見ていた者達は何人かが悲鳴を挙げる。超が放った強力な魔法が演出だと思っていても爆心地に居るネギが無事ではないとそう思っていた。

そんな人達の不安を裏切るかのように、爆炎が晴れると煤だらけだが五体満足のネギの姿を見て歓声を挙げている。

ネギは混乱で頭が追い付いていないでいた。何故超が魔法を使えているのか、そんなネギに追い討ちをかけるかのように今度は炎の精霊を召喚しネギに向かって放つ。対するネギも風の精霊を召喚して超が召喚した炎の精霊と相殺する。

何故超が魔法を使えるのか、それは超の体に異様な紋様が刻まれているのを見てその紋様で呪文処理を行い魔法を強引に使っていることに気づく。そしてその紋様が見たことがなく科学の力だと言うことも気づいた。

しかし魔法を行使している超の顔は辛そうで、一瞬でも気を抜いたらそのまま意識を失いそうだ。

 

「待ってください超さん!今の貴女がそんな魔法を使い続けたら体が耐えきれなくなって下手をすれば再起不能に―――!!」

「問答無用ネ!!」

 

ネギが超に魔法の使用を止めるように訴えかけるが、超は聞く耳持たず魔力で空を飛び、強制的に自身を強化してネギに殴りかかる。

ネギは超の拳を防いで聞く。超の体の悲鳴を、超の口から一筋の血が流れ出てきたのがその証拠だ。

 

「超さん!これ以上自身の体を酷使しないで!それ以上は本当に取り返しがっ!!」

 

超に水月を殴られ意識が飛びそうになるが、なんとか踏ん張って耐えた。超は口から流れる血を荒く拭い不敵に笑う。

 

「今さら手を緩めれば死ぬことになるゾ。それに意見を違えた君と話すことは何もなイ。私はこのためだけに、この時代にやって来タ。2年の歳月と全ての労力をこれに注いダ!この計画は今の私の全て!言葉だけではもう止まらぬヨ!!」

「……!全てってそんな事言わないでください!!」

 

ネギは叫びながら魔法の矢を放ち、超も魔法の矢を放つ。互いの力が拮抗しどこかで綻びが出てしまえば勝敗は見えて来るだろう。

そしてネギも決めた。もう言葉で超に止めろと言っても無意味、なら自身の全力を持って超を止める。

ネギの本気を感じ取ったのか微笑みを浮かべる超。

 

「そうダ。それでいいそれでこそサウザントマスターの息子だ」

「超さんもう僕は言葉で貴女に止めろとは言いません。僕は僕自身の全力で貴女を止めます。ですが教えてください。このためだけにこの時代に来たそれが全てだと……ではくーふぇさんや葉加瀬さん、クラスの皆さんと過ごした2年間は超さんにとって何だったですか?」

「そうだな……私にとって最高で、儚い夢のような思い出だったヨ」

「そうですか。その答えを聞けて安心しました……では行きます!」

「来い!私の全力を君の全力で打ち破ってみせヨ!!」

 

そして互いに詠唱を始める。

 

「ラスト・テイル・マイ・マジック・スキル・マギステル!」

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!」

「契約に従い 我に従え炎の覇王!!」

「来たれ雷精 風の精!!」

「来たれ浄化の炎 燃え盛る大剣 ほとばしれよソドムを焼きし」

「雷を纒いて吹きすさべ 南洋の嵐!!」

 

超は先程放った燃える天空、対するネギは雷の暴風。威力は燃える天空よりも落ちるが詠唱が終わるのはネギの方が早い。

 

「行けぇ!!」

「火と硫黄 罪ありし者を死の塵に!!」

「雷の暴風!!」

「燃える天空!!」

 

雷を纏った強力な暴風と空が焼失してしまいそうな爆裂がぶつかり合う。

 

「わああああぁぁぁぁ!!」

「くっあああぁぁぁぁ!!」

 

互いに魔力を出し合い、強力な魔法が拮抗しあう。しかし

 

(あ駄目ダ。私の負けダ)

 

超が自身の敗北を悟ったの同時に額にあった紋様が割れ、体に纏っていた紋様も消えてしまった。

魔力切れ、最後は呆気なく超は雷の暴風に飲み込まれてしまった。

 

「超さん!!」

 

雷の暴風に飲み込まれて気を失い下へ落下する超を見て杖を飛ばして救出しようとするネギ。

 

「超さん!!」

 

先程まで飛行船の上で認識魔法を発動するための詠唱をしていた葉加瀬も詠唱を終え、背中のフライトユニットを展開して同じく救出しようとしたその時

赤黒い極光が飛行船を貫き大爆発を起こす。

 

「きゃあああああ!?」

 

飛行船の大爆発に巻き込まれ吹き飛ぶ葉加瀬。

 

「葉加瀬さん!?」

「私は大丈夫です!!それより超さんを!!」

 

葉加瀬が爆発に巻き込まれたのを見て驚愕するネギだが、葉加瀬は間一髪で回避したようで大事にはなっていなかった。

葉加瀬に頼まれ、超の元へ急ぎ飛ばすネギ。そしてネギが超の手を掴んだ。

 

「超っさん……!」

 

もう大丈夫。そう思った矢先ぷっつんとネギの中で何かが切れ、体に力が入らなくなる。

 

「魔力、ぎ……れ…こ、こんな……時に」

 

飛ぶ魔力どころか指一本も動かすことが出来そうにない。超を助けようとしたのにこのままでは二人仲良く地面にまっ逆さまだ。

 

「よく頑張ったナネギ坊主」

 

せめてもと超がネギを抱きしめ自身が下敷きになるようにする。

 

(最期にご先祖様と本気で戦う。これほど満足する一生はないだろう)

 

辞世の句を読みながら自身の一生を見つめ直す。あぁ早足な人生だったかもなと何処か他人事のように思いながら目をつむり地面に落ちるのを待った。

が目を瞑りすぐ後に何か固いものが背中に当たった。

 

(……随分と近くに地面があったのだナ)

 

と目をゆっくりと明けるとそこにはクラスメイトが自分の顔を覗き込んでいた。

 

「超ちゃん大丈夫!?凄い怪我じゃん!!」

「大丈夫やて、これぐらいの怪我ならうちがちょちょいと治してあげるからなー」

 

クラスの何人かが超の怪我の具合に騒ぐがこのかが自分が治してあげると優しく言う。

 

「そうか、これはこんなこともあろうかと、我が路面電車屋台に備えてあった飛行機能。五月カ」

 

五月が超に会釈している。電車屋台に飛行機能を備えていたことにクラスメイト達は超の頭脳に下を巻く。

 

「ネギ、ご苦労様。カッコよかったわよあんた」

 

アスナがボロボロになったネギを抱きしめている。と桜子がはっとして

 

「そう言えばボスの超ちゃんネギ君が倒したけどこれって勝敗はどうなったの!?」

 

桜子の言ったことにアスナやこのか、魔法関係者は内心焦る。もしかしたら間に合わなくなり魔法が知れ渡ってしまうのではと最悪のビジョンを思い浮かべていると。

 

「それは大丈夫ですよ」

 

とフライトユニットで飛行している葉加瀬が屋台と平行して飛びながら、空間にディスプレイを出現させ地上の映像をハッキングしてアスナ達に見せた。

今まさに巨大ロボット達が消滅していく映像が移っており、最後の防衛拠点もギリギリの所だったようだ。

 

『さぁ!魔法騎士団の皆さん!ロボット軍団や妖怪軍団はあらかた壊滅し、巨大ロボットも皆さんの活躍で消滅しました!そしてラスボスも子供先生との激闘で倒され子供先生が勝利を収めました!よって!この長かったようで短かった魔法大戦は、我々の完!全!勝利です!!』

 

和美が勝利宣言を叫んだのと同時に世界樹に光が収束しそして花火のように光が弾け大歓声に学園が包まれた。

 

「計画開始直前に超さんが宣言していたんです。ネギ先生と真っ向勝負をして自分が負ければ潔く身を引くと、超さんが負けた瞬間に強制認識魔法から別の無害な魔法へと変換する流れとなっています」

 

葉加瀬の言ったことにほっと胸を撫で下ろすアスナ。

こうして色々と激闘があったが、ネギの勝利で超の計画を止めることが出来たのだ。

 

「お兄ちゃん……僕、やったよ……」

 

ネギはマギに向けた寝言を呟き、アスナはそんなネギの頭を優しく撫でてあげた。

 

「はて、そう言えば先程の光線は何だったのでしょうか……」

 

葉加瀬は飛行船を破壊した光線の正体は何だったのかと首を傾げる。奇しくも赤黒い極光が放たれた方向はマギとアーチャーが戦っていた場所であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオォォォォアアァァァァ!!」

 

闇の魔法、気炎万丈 劫火となったマギが剣となった左腕を振るう。

アーチャーも干将と莫耶を振るうがマギの左腕に当たった瞬間に簡単に砕け散ってしまう。

短く舌打ちをするアーチャーは後ろに下がり、双剣ではなく弓と数本の矢を具現化させ、数本纏めてマギに狙いをつけて放つ。

魔力によって高速で放たれた矢はマギに向かっていくが

 

「ハァァァ!!」

 

大砲になった右腕が放たれた矢に向かって魔力の塊を放ち矢を吹き飛ばしてしまう。

 

「この程度は無駄か……なら」

 

今度はただの矢ではなく刺々しい剣を具現化させると、それを細長く矢の状態にして魔力を込める。

 

「疾!」

 

矢となった剣が赤い閃光を光らせマギに向かっていく。

 

「がああ!」

 

マギは剣の矢を左腕で弾き飛ばした。が弾きとんだ矢先に剣の矢は起動を戻しまたマギに戻って来た。

 

「なっこのでたらめがぁ!」

 

マギは再度戻って来た剣の矢を破壊するために左腕を振るう。がまたも弾きとんでまたマギに向かって飛んでくる。

弾いても何度も戻って来る自動追尾弾のような剣の矢に段々と苛立ち始め

 

「だぁぁ!しゃらくせぇ!!」

 

叫びながら右腕の大砲を剣の矢に向けて放った。剣ではなく大砲の火力には耐えきれなかったのか砲撃で粉々に砕け散った。

 

「くそ、思ったよりも時間をくっちまった。残り時間もあと半分位だろうし、あの野郎人の制限時間察した途端にチマチマと遠距離攻撃しやがって……」

「弓兵を謳っているのだから遠距離での攻撃は当たり前だと思っているのだがね。それよりも無駄口を叩いている暇はあるのかな?」

 

そう言ってアーチャーはまた剣の雨をマギに向かって降り注がした。

 

「おんなじことやって、芸のない奴だなぁ!!」

 

今度は両腕を使い、迫り来る剣の雨を蹴散らしていく。がすぐに巨人が振るうような巨大な剣が数本、ミサイルの如く向かってき、マギの左腕とぶつかり合い、火花が散る。

 

「ぐっ……うぉぉぉぉぉ!!」

 

叫びながら巨大な大剣を砕いた。だが着実に制限時間が迫ってきていた。

破壊衝動がマギを包み込もうとしているのか段々と意識が遠退きそうな所をなんとか踏ん張る。

 

『おい急げ!なんとか踏ん張ってるが思ったよりも黒マギさんの侵食が早い!!頑張っても1分位しかもたん!!』

「あぁ、分かってる……!」

 

理性の白マギが頭の中で警鐘を鳴らす。マギ自身もがんがんと破壊衝動が身体中を巡っている感覚がある。もう時間がない。

 

「どうやらもう貴様の人としての時間はあと少しで、限界時間を達したら化生に成り果てるか……ならせめてもの情け、人として果てれるようにしてやろう」

 

そう言いながらアーチャーは上へと飛び浮遊術を使い空中に留まる。そして今度は螺旋状の剣を具現化してまた剣の矢に変える。

 

「I am the bone of my sword.」

 

詠唱を始めるアーチャー。その詠唱は修学旅行時映画村でマギの闇の業火を打ち破ったもの。あれ程の破壊力を持った矢を放たれれば被害は尋常ではない。ならば打ち勝つしかない。

 

「全身解放 右腕固定 闇の業火 左手固定 奈落の業火 双肩固定 終焉の劫火 術式統合! 炎神剣 邪神殺し!!」

 

魔力を収束し解放、双肩の砲台に集まった魔力が巨大な炎の剣の形へと変わった。

 

「偽・螺旋剣!!」

 

限界にまで引き絞られたアーチャーの螺旋剣の矢が放たれる。まさしく流星と謂われそうな高速の矢がマギに向かう。

 

「業炎 滅却!!」

 

マギも炎の巨大剣を発射する。マギが放った炎の剣とアーチャーが放った螺旋剣の矢がぶつかり合い。押し押されのせめぎ合いを繰り広げた。

マギは炎の剣を壊されないように全力で魔力を回していたが、突然吐き気と頭痛がマギを襲い、足の踏ん張りが効かなくなり膝から崩れ落ちそうになる。

 

「マギ!!」

 

エヴァンジェリンの叫び声が聞こえるが、マギはその叫びに応えられる状態ではなかった。吐き気と頭痛と一緒に殺せ壊せと囁かれているからだ。

 

『悪ぃ俺、もう黒マギさんが俺の腰まで来てやがる。もう限界だ。あと少ししたら黒マギさんに呑み込まれちまう』

 

白マギの声もノイズが混じって辛うじて聞こえている程度。もう時間切れ。

あれだけ踏ん張って結局は時間切れでGAMEOVER。なんとも呆気ない幕引きだろうか。

……否、断じて否。こんな終わり方あっていいはずがない。

 

「なぁ俺、もう1つ注文だ……!あと10秒延長してくれ。その10秒できっちり蹴りつけるからよ。だからあと10秒だけ耐えてくれ……!」

『……たく注文の多い俺だぜ。分かったよ出血大サービスだ。10秒だけ耐えてやるからきっちり決めろよ。く……うぉぉぉぉぉあああぁぁぁぁ!!』

 

白マギの気合いの咆哮が頭で響いたのと同時にノイズと黒マギの囁きが聞こえなくなった。本当に10秒白マギが持たせてくれているようだ。ありがとうと内心でお礼を言う。

 

『お礼はいいから早くしろ!そっちの10秒でもこっちは1分位は耐えてるから!まじで1分1秒も無駄にすんな!!』

 

白マギがツッコミを入れる。本当にいっぱいいっぱいのようだ。

 

―――10……9……―――

 

足を踏ん張り、剣の左腕に残っているありったけの魔力を込める。

 

―――8……7……―――

 

「いっけええぇぇぇぇ!!」

 

剣を前へと突き出すと、剣から赤黒い極光が出て炎の剣の柄に当たり、 それが炎の剣の力を増大させる。

 

―――6……5……―――

 

炎の剣と螺旋剣の押し合いは段々と炎の剣が押し始め、螺旋剣に段々と罅が入りついに

 

―――4……3……―――

 

螺旋剣が打ち負け、粉々に砕け散った。炎の剣は勢いがなくなることなく、真っ直ぐとアーチャーに向かって飛んでいく。

 

―――2……1……―――

 

「届けぇぇぇぇぇぇ!!」

 

炎の剣赤黒い極光を纒いそのままアーチャーを呑み込もうとしたが寸での所で巨大な鷹の妖怪がアーチャーを肩を掴み何処かへ連れ去ってしまった。

そして炎の剣は赤黒い極光の柱となり、空に浮かんでいた飛行船を貫き飛行船を爆散させ、そのまま天へと上っていき消えていった。

 

―――1……0

 

「くそ、仕留めきれなかった。けど、最後は尻尾巻いて逃げて行きやがった。ざまー……みや、が…れ……」

 

アーチャーの敗走を見て、満足げに笑みを浮かべたマギは闇の魔法の効果も消え変身も解けて何時ものマギの姿へと戻り、そのまま意識を手放し前のめりに倒れそうになる。

 

「マギ!!」

 

漸く体の痺れも完全に取れたエヴァンジェリンは倒れそうになったマギを支え、そのまま自身の膝にマギの頭を乗せた。

 

「よく頑張ったな。それと……何もしてやれなくてすまなかった」

 

エヴァンジェリンは優しくマギの頭を撫でながら携帯電話で茶々丸に連絡を入れてこちらに来るように命令した。エヴァンジェリンに撫でられているマギは意識を失いながらも安らかな顔を浮かべていた。

こうしてマギ対アーチャーの戦いは途中で乱入あり、マギの大変身ありと様々な展開が巻き起こったが、辛うじてマギが勝利を納めることが出来たのであった。

 

 

 

 

 

 




学園祭編はこの話とあと1話で終わります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。