堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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今回は早めに投稿をしました
最近は安定してる私ですが
気持ちのアップダウンが結構起こってしまう
そんな中でも何とか頑張ってやってます


世界樹前広場での決闘

「遅かったなマギ……どうしたお前?随分というか気持ち悪い位に顔がテカってるぞ」

「いや、ちょっと色々とあってな」

 

外で待っていたエヴァンジェリンだが、漸くマギが来た事に待ちくたびれた様子を見せようとしたら、マギが気持ち悪い位に顔が艶々していたので引いていると、マギが訳を話す。

 

 

 

 

 

『……なぁ亜子、なんだそのデカい注射器は?』

 

エヴァンジェリンの元へ行こうとした最中に亜子が少しでも自分もマギの役に立ちたいと思い、アーティファクトをアデアットすると、巨大な注射器が現れたのだ。

 

『綾瀬さんに調べて貰ったら、凄いお薬で注射したらたちまち疲れとか吹っ飛ぶんやって』

『そんな凄い薬なんだな。で、何処に刺すんだ?』

 

薬の効果に今の自分には有難いと思っていたが、次の亜子の言葉に固まる。

 

『……お尻』

『……尻か?』

『うん、お尻に、ブスッと、注入』

『………マジかぁ……』

 

渋る暇もないので一思いにやってくれと亜子に言い、亜子もマギに応えるように思い切り針をマギの尻に刺した。

思わず変な声をネギ達がいる前で出してしまい、この事は直ぐに忘れてくれと懇願するマギであった。

 

 

 

 

「なるほどな。お前の初めては和泉亜子に奪われてしまったというわけか」

「いや何で下ネタみたいな感じになるの?別にいかがわしいことはしてねぇから」

 

エヴァンジェリンの下ネタマギがツッコミを入れる。エヴァンジェリンはニヤニヤ笑っているが直ぐに笑みは引っ込んだ。

 

「……腕の調子は大丈夫か。変に痛んだりするか?」

「万全じゃあないが大丈夫だ。ありがとうな心配してくれて」

 

微笑みながらお礼を言うが照れたのかそっぽを向くエヴァンジェリンを見て、笑みを深めるマギ。

 

「マギお兄ちゃん!」

 

プールスがマギの足にしがみつく。

 

「私もいっしょに連れてってほしいレス!!」

 

またマギが自分の目の前から居なくなってしまうと思ったのだろう。離れようとしないプールスの健気さに心打たれるマギ。

 

「やれやれだぜ困ったお嬢さんだ。プールス」

 

優しくプールスを呼ぶマギはそのままプールスを抱き上げると自身の額をプールスの額に優しく当てる。

 

「約束だ。お前達の前に必ず戻ってくる。そしたら、そうだな……一緒に何処か遠い所に出掛けよう。出掛けて一杯遊んで美味しいものを腹一杯に食べるんだ。絶対楽しいぞ」

「本当?マギお兄ちゃん?」

「あぁ本当さ。だから今はネギ達と一緒に良い子でいるんだ。出きるな?」

「……はいレス!!」

 

良い子だと下ろしたプールスの頭を優しく撫でるとネギの方を向く。

 

「それじゃ頼んだぜ」

「お兄ちゃんも健闘を祈ってるから」

 

互いの健闘を祈りネギ達は一足先に超のいる場所へ向かう。

 

「さて、私達も行くぞマギ」

「おう」

 

杖よと唱えたマギの手元に杖が飛んできてその杖を掴む。

準備も整い目的の場所に向かおうという所で茶々丸が

 

「マスター、申し訳ありません。私は私がやらなければならない事をします」

「そうか好きにしろ。マギは私がいれば十分だからな」

「ありがとうございます。マギ先生、どうか無事をお祈りします」

「ありがとな。茶々丸も無理しないようにな」

 

ではと会釈した茶々丸は歩き去る。自分がしなければいけない場所へ向かうために。

 

「全くロボだからか成長が早いもんだな」

「寂しいのか?」

「まさか。初めの頃はずっと付きっきりで鬱陶しいぐらいだったのが漸く独り立ち出来そうで精々してるところだ」

 

エヴァンジェリンの素直じゃない性格にそっかと微笑むマギ。

しかしほのぼのとした空気はもう終わりだ。

 

「それじゃ行くか」

「あぁ」

 

覚悟を決めたマギとマギの側を離れないと誓ったエヴァンジェリンが敵のもとへ向かう。

 

 

 

 

 

 

マギとエヴァンジェリンが目的地へ向かう一方、刹那がいる湖の湖岸前では未だに激闘が繰り広げられていた。

 

「うぉぉぉ、漢魂!!」

「裂空掌!!」

 

一般人ながらも気を扱う豪徳寺薫と中村達也が妖怪達に抗っていた。だが所々に切り傷があり息も上がっており善戦というわけではなさそうだ。

 

「中々楽しませてくれるやないかあの兄ちゃん達。だがまだまだこっちはぎょうさんおるでぇ。まだ倒れてくれるなよ!」

 

妖怪達の勢いは滞ることはなく、狐のお面を被った妖怪が豪徳寺薫に向かって刃を振るう。

 

「くっうぉぉぉ!」

 

紙一重で避け拳を相手に向かって振るうが相手は余裕綽々に後ろに避ける。いくら実力があっても相手の方が上手なら遊ばられるのも無理はない。

 

「もう充分です!無理をせず後退を!」

「馬鹿言うんじゃねぇよ。俺達はまだまだやれる―――――!!嬢ちゃんあぶねえ!!」

 

中村達也がなにかの気配を感じ取り、刹那を突き飛ばす。

刹那が見たそれは黒い銃弾だった。黒い銃弾が中村達也に直撃した瞬間、黒い膜が中村達也を包み込む。

 

「なっなんだこい」

 

最後まで言いきることなく、次の瞬間には中村達也は目の前から消えてしまった。

 

「え?おっおい達也、お前何処にいっちまった!?」

 

目の前で消えたことに動揺し動きを止めてしまう豪徳寺薫。

このような場で動きを止めてしまったら狩る側としては格好の獲物だ。

黒い弾丸が豪徳寺薫を狩り取るために放たれる。

 

「!!漢魂ァ!!」

 

だが実力を持っている豪徳寺薫は自分に向かってくる敵意に反応して気を放った。

しかし、豪徳寺薫が行ったのは補食される獲物の最後の足掻きと同じだった。

漢と書かれた気の塊と銃弾が衝突し、気の塊は銃弾に貫かれあっさり消滅してしまい、黒い銃弾は豪徳寺薫に直撃し中村達也と同じように黒い膜が彼を包む。

 

「くっくそおぉぉぉ!!」

 

くやしみの雄叫びをあげなら豪徳寺薫も刹那の目の前から消えてしまった。

 

「気をつけなさい刹那!たった今2人を消し飛ばしたのは恐らく空間転移の魔法、当たったら最後と思いなさい!」

 

そう言った刀子の元へ黒い弾丸が襲いかかる。刹那よりも実力が上でもある刀子は自身に向かってくる弾丸に刃を振るう。

鉄と鉄がぶつかり合う甲高い音が響き、弾丸は縦に切られ左右に飛んでいった。

 

「他愛なし……」

 

そう呟く刀子。だが今回は相手の方が上手だった。左右に飛んでいった銃弾から魔方陣が展開し、左右から刀子を包み込む。

 

「そっそんな―――」

 

刀子もさっきの2人のように刹那の前から消えてしまった。気配を感じず、遠方からの正確な狙撃、これほどまでの腕を持つ者を刹那は知っている。

 

「あの黒い嬢ちゃん、余計な真似をしよってからに。これじゃ興醒めやないか」

 

鬼の親分が不満そうに文句を溢す。やはり狙撃手は真名だった。真名の実力は知っている。正直目の前の妖怪達を相手しながら真名の狙撃も警戒しないといけないとなると、難易度はかなり上がってしまう。

どう対処すればいいか考えを巡らせていると、刹那の名を叫びながらカモが肩までよじ登ってきた。

 

「刹那の嬢ちゃん、ここはもう駄目だ。相手も本腰入れ始めたのかロボ軍団も脱がすビームじゃなくて当たった奴を消し飛ばす弾を使い始めやがった!一般人の参加者や魔法使い関係なく消し飛ばしていきやがる」

「私も目の前で刀子さん達が消えてしまったのを見ました。しかも彼方には真名が居ます。弾を切っても消し飛ばされるならこちらとしてはどうしようもありません」

 

あの嬢ちゃんが……と歯噛みをするカモ。カモも真名の実力は知っているし、仕事になれば例えクラスメイトでも容赦ない仕事人だ。

 

「……ここは一旦引くぜ。恐らく兄貴達も復活して動き出しただろうから、合流して兄貴の護衛をした方が超の嬢ちゃんにたどり着く確率も高くなるだろうからな」

「その意見には賛成ですが、目の前のこれをどうにかしなければ……話はそれからです」

 

刹那の言うとおり目の前には百を越える妖怪達が。まずはこいつらをどうにかしなければいけない。

 

「俺っちに巻かせな刹那の嬢ちゃん。こんなこともあろうかと、策は用意してあるんだぜい!」

 

そう言って何処から出したのかと大量のマグネシウムとライターを取り出したカモ。それを見ただけでカモが何をするのか理解した刹那は腕で顔を覆う。

マグネシウムに火をつけた瞬間には眩い光が妖怪達の目を一時的に潰されたことに叫び声を挙げる妖怪が何人かいた。

中には嗅覚に優れている妖怪もいる。匂いで刹那を嗅ぎわければいいと鼻をひくひくとして刹那を探す。

だが全く鼻がきかない。何故なら

 

「戦いっていうのは先を読んでおくもんだぜ。楓の嬢ちゃんに臭い付きの煙り玉を貰っておいて正解だったぜ!」

「流石の用意周到さですね。これなら真名の狙撃も阻害できる」

 

煙幕のお陰で真名も狙撃が出来ないでいた。真名の仕事人ぷりは知っている。いざというときに弾の消費がないように無駄撃ちはしないだろう。

 

「飛べ嬢ちゃん!一気に飛んじまえば射程距離から離れるだろうさ。今の状況なら羽の生えた嬢ちゃんも演出の1つと思われるだろうぜい」

「分かりました。一気に上昇するので確り捕まってください」

 

刹那は一気に空へと舞い上がる。上空で一時停止をし目的地の方角へ羽ばたいた。

真名は刹那が煙から出た瞬間銃を構える。が、刹那は自身の出せる最高速度で一気にその場を離脱。直ぐに射程圏内から出てしまった。潔い身の退きかたに感心しながら銃の構えを解く。

目が戻り、煙が晴れた後には刹那の姿が無かったことに落胆の色を見せる妖怪達。

 

「仕方ない、今から自由行動や。1人で動いてもええし、団体で動いてもええ。おもろそうな奴と出会ったら思う存分暴れてこい。まぁカタギの奴に出会ったら適当に襲う振りして、大袈裟にやられた振りをして目の前から逃げろ。まぁ、節分みたいなものやな」

 

親分が修学旅行の引率の先生みたいに子分の妖怪達に指示を出す。

親分はどうするんですか?と1人の鬼が聞くと

 

「あの大きな木の下の元に面白いもんが集まろうとしとる。悪いが、今回は独り占めさせてもらうで。戻ったら土産話聞かしてやるからな」

 

子分達が快く親分を見送り、地響きを立てながら自身が向かう場所へ赴く。しかしそこは、マギとアーチャーが戦う場所であった。

一方の真名も

 

「刹那が退いたということは、ネギ先生も動き始めたということか。なら私も動くとするか……すまないなネギ先生、私は超の考えに賛同して超側に付いた。超の計画が完遂させるために障害として排除させてもらうよ」

 

自身の役目を果たすために、場所の移動を始めるのであった。

 

 

 

そして場面はマギとエヴァンジェリンへと戻る。

 

「―――漸く来たか。怖じけて逃げ出したのかと思ってヒヤヒヤしていた所だ」

 

世界樹前広場でアーチャーが大胆不敵に佇みながらそう言った。

 

「約束の場所には5分前に到着が常識だろう?本当はどっかの決闘宜しく遅れて油断したところを討つなんてことも考えてたが、後味が悪いし、俺のキャラじゃねぇからやらなかったぜ。ありがたく思いな」

 

相手の挑発に挑発で返す。両者の眼前で火花が飛び散る。

 

「ここで貴様を消して、私の因縁に決着をつける」

「ほんとさ、お前そればっかじゃん。そこまでお気に入りなのかそのフレーズ。いい加減聞きあきたしお引き取り願いたいんだが」

「悪いが私はマギと一緒に貴様の相手をするぞ。坊やからこの後起きるかもしれない事を聞いたからな。貴様を倒せるならさっさと倒してしまった方が良いからな」

 

アーチャーは夫婦剣、干将と莫耶を具現化させ構えマギは仕込み杖の刃を抜く。そして

 

「「―――――!!」」

 

雄叫びをあげながら、目の前の自分の敵にむかって刃を振るった。

 

 

 

 

 

 


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