堕落先生マギま!!   作:ユリヤ

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戻れ!あの日へ!

超の亡骸をエヴァンジェリンの家の裏手にて、手厚く葬るネギ達。手を合わせ、少しでも超の魂が報われるようにお祈りをする。

未だに泣き止まない古菲はアスナやプールスにこのかが少しでも元気が戻るように一緒にいて慰める。

そしてネギとカモに、刹那と楓にハルナと夕映がこれからどうするか話し合う。

 

「超さんが言っていた通りなら、もう時間がありません。急いで世界樹の根子の部分へ行き、カシオペアで一週間前に戻るべきです」

「そうでござるな。最早一刻の猶予もないでござる」

「でも、学園にいたあのゾンビ擬きはどうすんの?あいつら、攻撃が全然効いてなかったじゃん。それにあのでっかい奴も」

 

ハルナの言う通り、ナにか達は自衛隊の攻撃をものともしなかった。さらにネギの魔法の矢を食らっても直ぐに起き上がり、雷の暴風でようやく倒したようなものだった。だが、雷の暴風をそう何回も連続で出せる魔法ではない。

 

「そのことなのですが、あの黒いナニか達はマギ先生の眷属であり、魔力で操られているなら、私の神鳴流が役立つのではないでしょうか?」

「……確かに刹那の嬢ちゃんの剣術は魔物とかにはもってこいのものだな」

「あの、確かアスナさんのアーティファクトは召喚した魔物等に効果的だったはずだと思うのですが、今回の相手にも効果はあるんじゃないでしょうか?」

 

夕映がアスナのアーティファクトである、ハマノツルギが効果があるか聞く。確かにアスナのハマノツルギはこう言った場合は大きな力を発揮するだろう。

 

「確かに、アスナさんのアーティファクトをは強力です。ですが、その分リスクが……」

「なに言ってるのよネギ。リスクとかそんな今さらじゃない。それに今は使える手はどんどん使うべきじゃない?」

 

泣き止んだ。古菲を連れたアスナが戻ってきて、呆れながらも、覚悟を決めた目をネギへ向ける。

 

「正直、まだまだ戦いはこの中じゃ下の方だし絶対足を引っ張るだろうけど、でも今はやるっきゃない!!……って状況でしょ?」

「ネギ坊主、超はあんな所で逝くことはなかったはずアルよ。だからこそ、こんな世界は間違っているアル。この世界を元に戻すためなら私は何でもやるアル」

 

また超のことを思い出したのか、涙が出そうになるが、堪えて握り拳を作る古菲。

プールスがネギに近づき、ネギのズボンの裾を数回、引っ張る。

 

「ネギお兄ちゃん、マギお兄ちゃんに会いたいレス……」

「プールス……そうだね、僕もお兄ちゃんに会いたいよ」

 

今にも泣きそうなプールスを優しく抱きしめる。ネギに抱きしめられ、いくらか落ち着いたかひとすじの涙を流した後は涙を流すことはしなかった。

 

「皆さん……いきましょう」

 

迷いを捨てたネギは杖を強く握りしめ、覚悟を決めた男の顔になる。

 

「そうね!さっさとこんな所、おさらばしちゃいましょ!」

「うん!!」

「この刹那、最後まで御守りいたします」

「拙者の忍術、思う存分使わせていただくでござる」

「超のためにもここで立ち止まる訳にはいかないアル!」

「私、アーティファクトを使うことは出来ませんが、皆さんの迷惑はかけずに頑張ります!」

「のどか同じです!」

「まっのどかと夕映は私がしっかり護るから、安心して!」

「手元には絆創膏と消毒液しかないけど、怪我したらウチが治すから!」

 

アスナ、このか、刹那、楓に古菲にのどか夕映、ハルナと亜子がネギに続いて決意を露にした。

そして学園に向かおうとして、気付く。1人だけまだ何も言っていないことに。膝を抱え、座り込んでいる千雨だ。

 

「あの、千雨さん大丈夫ですか?」

「……いい、アタシはここに残る」

 

ネギが千雨に声をかけた瞬間にそう返す。その声色は何もかも諦めたそんな声だった。

 

「そんな!何を言ってるんですか!?そんな事言わないで一緒に戻りましょう!」

 

ネギが千雨にそう言うが、千雨は鼻で笑いながらネギを見る。冷めた、とても冷たい眼差しだ。

 

「そんな事?なに言ってるんだよネギ先生。これがアタシだよ。一週間も時を越えるわ、世界は滅亡しかけるわ、マギさんはおかしくなってるわ、事の発端の超は目の前で死んじまうわ……もう頭の中が一杯でぐちゃぐちゃに掻き混ざって、うんざりなんだよ。やっぱりあんたらに着いていったのは間違いだったわ、もうほっといてくれ」

 

かなりやさぐれていた。しかし当然と言ってもしょうがないだろうとネギ達はそう思っている。千雨は魔法に対して拒絶があった。ネギ達に着いていったのは自分の普通の生活を取り戻すため。なのにいざというところで最悪の形で出鼻を挫く事になれば、自暴自棄になるだろう。

 

「何言ってるのよ千雨ちゃん!まだ帰られる方法は残ってるのよ!?諦めないで、最後まで頑張りましょ!」

「頑張る?そうは言うが神楽坂よ、ここからその地下深くまで無事にたどり着く保障はあるのかよ?自衛隊でも太刀打ち出来なかった化物を相手に……マギさんを相手にたどり着くことは出来るのかよ?」

「そっそれは……」

 

痛いところを突かれ、言葉が詰まるアスナ。先程はその場の勢いというのもあったが、100%確実に何事も起こらずに成功するなんてあり得ない。それに暴走しているマギに遭遇して、戦えるのだろうか……

 

「それにあの化物共はマギさんの仲間みたいなもんなんだろ?だったらアタシはその仲良くその仲間になってやるよ。それでいいだろ?」

 

負の感情を吐露する千雨。普段の場合は皆の気持ちを下げる発言をする千雨を強く注意するだろう。しかし千雨はこの中ではあまり精神力は強いと言われれば微妙な立ち位置、それに千雨の気持ちも理解できるため、誰も強く言うことが出来ない。

先程の決意は何処へ行ってしまったのか、沈んだ空気がネギ達を包む。

急がなければいけないのに、千雨が立ち上がろうとしないために動けないでいた。

古菲と楓がアイコンタクトで頷く。埒があかないために、千雨を気絶させて連れていく力業を使おうとする。

実行しようとしたその時、意外な人物が動いた。のどかが確かな歩みで千雨に歩み寄る。そして目と鼻の間の距離まで近づく。

 

「長谷川さん……」

「なんだよ宮崎、お前も頑張ろうとかいうのか?悪いけどアタシはもうどうでもいいんだ。ほっといてくれってさっき言ったんだけどな」

「最初に言っておきます。ごめんなさい」

 

のどかが謝った瞬間に鈍い音が鳴り、皆が目を見開いて驚いた。

何故なら、のどかが千雨を殴ったからだ。平手打ちではなく拳で。

 

「ちょっ!?」

「のっのどか!?」

 

ハルナと夕映は目を見開く。親友がまさか平手打ちではなく、拳を行使したことに驚きを隠せなかった。

それと補足であるが、のどかは転んだりおどおどしたりとおっちょこちょいな所があるが、夕映やハルナやこのかと同じ図書館探検部の一人、危ない所も向かったりしている事もあり、普通の女子よりも体力や筋力はある。

対して千雨は帰宅部であり、特に運動もしておらずのどかの拳に耐えられる事もなく、そのまま床に倒れこむ。

最初は呆然としていた千雨だが、のどかに殴られたと理解し段々と怒りがこみ上げてきた。

 

「いってぇ……いきなりなにす――――!」

 

最後まで言いきることは出来ず、千雨はそのままのどかに優しくだが胸ぐらを掴まれた。

その表情は夕映がみたことないような無表情で目が据わりながらも、黙って千雨を見つめていた。

 

「なんだよ、何か言いてぇならさっさと言いやがれよ!!」

 

黙って何も言わないのどかに痺れを切らした千雨が負けじと怒鳴る。そしてのどかが口を開いた。

 

「千雨さんはマギさんの事が好きですか?」

「……はぁっ?」

 

マギが好きかと聞かれた千雨は思わず上ずった声をあげる。千雨の返答も聞かずにのどかは続ける。

 

「一目惚れだったけど、私を助けてくれて私と同じ本を持っていて、私と楽しく本の事を話してくれる、強くて優しいマギさんの事が大好きです。いつかマギさんとしっかりお付き合いして、結婚をして、子供と一緒に楽しく本を読みながら過ごしたいです。だから、だからこんなところで立ち止まっている訳にはいかないんです。学園祭最終日に戻って、私はマギさんを助けたいんです」

 

皆の前でマギが好きな事をそしてその後の将来設計を恥じらう事なく言いきった。話を聞いていた皆が顔を赤らめるか、のどかの言いきったことに驚き感心するなか、親友のハルナは興奮し叫んでいるのを抑え込む夕映。

 

「千雨さん、その……私がこんな事を言った後でなんですけど、あなたはマギさんが好きですか?」

 

今更恥ずかしくなったのか、おどおどしながら改めて千雨に問いかける。

数秒黙っていた千雨だが、観念したのか深い溜め息を吐きながら俯きポツりと呟くように答えた。

 

「……好きだよ。それに宮崎さんみたくしっかり面と向かって告白してないから、こんな世界からさっさと戻ってちゃんと告白……って、何言わせるんだよ!!とんだ公開処刑じゃねぇか!!」

 

最後はヤケクソで叫ぶ千雨を見て、何時もの調子が戻ってきたと思うネギ。色々といざこざが起こったが、漸く皆の心が一つになった。

 

「言っとくが、アタシは運動はからっきしのモヤシ女だ。絶対あんたらの足を引っ張るってことは覚えとけよ」

「大丈夫です!千雨さんがここにいる皆さんと同じ位ガッツがあるって僕は信じています。だって千雨さんは人気ネットアイドルの"ちう"さんですから!!」

「いや、体力ないのとネットアイドルは関係ない……って、おいネギ先生!!何ポロっとカミングアウトしてんだアンタ!?」

 

流そうとしたが、ネギがポロっと自身の秘密をカミングアウトしたことにツッコミを入れる。

 

「ええー!アイドルなんかやってるの!?どんなことやってるか教えて教えて!!」

 

賑やかし筆頭のアスナに質問攻めをされ、最終的に折れた千雨が元の時間に無事に戻ったら口外するなと約束をし、質問に付き合った後、漸くエヴァンジェリンの家を後にした。

 

 

 

 

 

 

もう一度学園に戻って来たネギ達、先程まで気分を落ち着かせることが出来たが、ここに戻ってきていやがおうにも気持ちを引き締め直す。

周囲に敵が来ないか、警戒を怠ることなく、図書館島まで到着する。いざ、世界樹の根子その深部へ乗り込む。

がそう簡単に、事が進む訳がなかった。

 

「―――――――!!」

 

自衛隊を壊滅させた巨大なナニかが他のナニかの群れを連れて此方へ向かってきていた。

更に今回はナニかの群れだけに終わらなかった。

 

「クスクスクスクス」

「ウフフフフフフフ」

「アハハハハハハハ」

 

高音と愛衣に三つ編み眼鏡少女が他の魔法生徒や先生を連れて何が可笑しいのか狂った様に笑いながら歩み寄ってきた。

見た目はいつも通りに見えるが、よく見れば尖った牙が見える。何よりも禍々しい雰囲気をひしひしと肌に感じていた。

 

「高音さん……」

「フフ、ネギ先生漸く見つけました。早く、早くマギ先生の下僕になりましょう?とても素晴らしく気持ちのいい力ですわ。もう立派な魔法使いがどうでもよくなるくらいに。ウフフアハハ」

 

ネギは杖を強く握りしめる。立派な魔法使いになるために切磋琢磨していた高音の変わり様を見て、怖さよりも絶対歴史を元に戻す事を改めて決意をする。

 

「――――――――!!」

 

巨大なナニかが再度咆哮を挙げたのが合図となり、ナニかの群れや高音達が一斉にネギ達へ向かってくる。

明らかに多勢に無勢だが、迎え撃とうとしたネギ達。だがその時

一発の銃声と同時に巨大なナニかの目に命中しそのまま目が抉れていた。

 

「――――!!?」

 

先程の咆哮とは別の悲痛な悲鳴をあげながら、巨木の様な腕を矢鱈に振り回す。巨大なナニかの近くに居たナニかの群れや魔法生徒や先生が吹き飛ばされる等被害が起こる。

 

「今の銃撃は!?」

 

楓は銃声が鳴った方を見る。そこに居たのは

 

「対魔物様徹甲弾。普通の弾丸よりも効くだろう?それよりも、遅かったじゃないかネギ先生、楓。こっちは結構な時間を待たされたぞ」

 

対戦車ライフルを肩に担ぎ、多少汚れながらも不敵な笑みを浮かべる真名がそこに居た。

 

「龍宮隊長!」

「真名、無事でござったか」

 

真名は弾をリロードしながらネギ達に近付いてくる。

 

「超の奴が言っていたんだよ。この日にネギ先生達が戻ってくるってね。しか待てど待てども来る気配がないからまさかこいつらにやられたと思っていた所だったよ。まぁ、その心配は杞憂に終わったわけだが」

「良かった。無事な姿を見れて安心しました」

 

体感ではついさっきなのだが、一週間ぶりの真名との再会に喜ぶネギ達であるが、その再会に邪魔するかのように、またもや襲いかかってくる高音達。だが、助けに入ってきたのは真名だけではなかった。

無数に飛んできたミサイル群とレーザー等の光線が高音達に向かってくる。

 

「ネギ先生、皆さん。ご無事で何よりです」

「僭越ながら、助太刀に参りました!」

 

重厚な装備を身に纏った茶々丸とこれまた重厚な装備で身を固めたロボットに乗り込んだ葉加瀬がジェット噴射をしながら飛んできた。

 

「茶々丸さん!」

「葉加瀬、無事だったアルか!」

 

のどかと古菲が助っ人の登場に声をあげる。

 

「もう後が無くなっていた超さんがネギ先生達がこの時間に来ると教えてくれました。事の発端の一人として、尻拭いはしっかりやらせていただく所存です」

「3ーAのクラスの皆さんは私の予備の体が護っています。私は全エネルギーが切れるまで、ここで足止めをします」

 

そう言いながら茶々丸は肩に担いでいたミサイルランチャーを一斉掃射し、ナニかの群れを吹き飛ばす。

真名に茶々丸そして葉加瀬、彼女達がここへ来て何をしようとしているのか、ネギ達も察する。

真名はネギ達の方を向き、微笑みを浮かべながら言う。

 

「あまり縁起のいいものじゃない台詞だが、ここは任せて先に行けっていうやつさ。コイツらの相手は私らでやるからさっさと元の時間へ戻るんだな」

 

真名の様な実力者や戦闘面でも実力を発揮出来る茶々丸、重厚なロボットに乗った葉加瀬。しかし目の前の敵の群生では無事では済まないだろう。

アスナや刹那に楓古菲が加勢しようと前に出ようとする。しかしネギが手で制止をかける。

 

「……よろしくお願い、します……」

「ネギ、アンタ……!」

 

アスナがネギの行動に反論しようとするが、はたと気付く。ネギが杖を折れるかの如く握りしめ、肩が揺れている事に。

真名達に加勢し、目の前の敵と戦い一週間前に戻るタイミングを逃してしまえば水泡に帰してしまう。

だからこそ、ネギは真名達に任せ先へと急ぐ。それは自分の生徒を見捨てる、ネギにとっては辛い選択であった。

ネギの辛い覚悟を汲み取ったアスナ達は、図書館島の地下へと足を向ける。

 

「ネギ先生傭兵としての私の依頼、もといお願いだ。どうか……こんなふざけた世界なかったことにしてくれ」

「分かりました。絶対こんな世界にさせないと約束します」

「ありがとう。楓、後は任せるぞ」

「一切承知」

 

と今度は葉加瀬が古菲を呼び止める。

 

「古菲さん、超さんは最期はあなた達の元へたどり着く事が出来ましたか?」

「あぁ」

「超さんは、自身の職務を全うしましたか?」

「……あぁ、超は最期まで立派だったアル。流石は私達の親友アル」

「そうですか……それが聞けて良かったです。さぁ、早く行って下さい!」

 

涙を堪えながら、迫ってきたナニか一体をロボットの腕で殴り飛ばしながら葉加瀬はそう叫ぶ。

そして最後は茶々丸がのどかを呼び止める。

 

「のどかさん、もし道中でマスターにお会いしたらこう言い伝えて下さい。最後まで貴女の側にいられず申し訳ありませんと」

「分かりました。その、こんな事言うのは、その、あの……茶々丸さんお元気で!」

「……ええ。のどかさん、ネギ先生、皆さんも無事に戻れることを祈っています」

 

茶々丸はネギ達へ微笑みを浮かべる。

 

「そろそろ別れの言葉はいいか?そろそろ喋りながらコイツらの相手をするのは無理そうだ」

 

そう言いながら、対戦車ライフルを打ちながら、時折アサルトライフルを乱射する。

 

「……皆さん行きましょう!」

 

ネギの号令でアスナ達は図書館島の地下へと下りていく。

階段を下り始め、数十秒後に轟音と一緒に地下への入り口が崩れ落ちる真名が手榴弾か何かで起こした爆発だろう。

アスナや刹那に古菲が後ろを振り向こうしたが

 

「走って!前へ!前へ前へ!前へ!!」

 

ネギが立ち止まらせないように、先へと急ぐように叫び促す。しかしそれは周りに促すよりかは必死に自分に言い聞かせているようだった。

どんどんと下に下りていくにつれ、段々と真名達の戦闘音が小さくなっていく。

そして完全に音が聞こえなくなった所で、ネギの限界が来た。

 

「うぅぅぅぅ、あぁぁぁぁ………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

泣きながら目的地へ駆けるネギにつられるように、のどかや夕映にこのかにプールスも大泣きを始める。他の者は静かに泣くか、下唇を噛み泣かないとしていた。

もう立ち止まりたかった。しかし、今のネギ達に立ち止まることは許されていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一心不乱に世界樹の根子を目指し駆け、漸く目的の最深部に着いた時にはネギ達の涙は出しきっていた。

最深部の世界樹の根子はぼんやりとだが、魔力の光を発していた。

 

「ここが最深部だ!兄貴、タイムマシンは動いてますかい!?」

「うん!微かにだけど動き始めた!」

 

ネギがカシオペアを見ると、微かに秒針が動き始めた。だが直ぐに秒針が止まってしまう。見れば、根子光が少しずつ消え始めている。急がないと間に合わない。

 

「皆さん急いで!急いで中心部へ!!」

 

ネギ達は光が消え始めている根子を追う形で中心部へ急ぐ。

そして、中心部へ到着する。そこは学園には無さそうな遺跡であった。中心部では世界樹の残りの魔力が集まっていたが、いずれ消えて無くなる。

急いで中心部へ駆けようとするが、ネギが足を止める。

 

「ネギ!?」

 

ネギだけが足を止め、アスナ達も足を止める。魔力まであと少しなのに、何故足を止めるのか

何か何かが近付いてくる。懐かしい中に禍々しい物が混じった何かがこっちに近付いて来る。

そして全身でその気配を感じ取った瞬間

 

「皆さんその場から離れて!!」

 

ネギが叫ぶ。叫んだ瞬間、遺跡の天井の一部が爆ぜ瓦礫がネギ達に降り注ぐ。

 

「危ない!」

「はぁっ!!」

「忍!」

 

ネギと刹那と楓が魔法の矢や斬空閃に巨大な手裏剣にて落ちてくる瓦礫を破壊する。

 

「残った瓦礫はあたしが!」

「私もやるアル!」

「私もやるよー!」

 

破壊され細かくなったが、驚異には変わりないため、アスナのハマノツルギや古菲の拳にハルナも自身のアーティファクトに持ち前の早書きでタワーシールドを装備した騎手のゴーレムを召喚し、非戦闘員であるのどか達を瓦礫から護る。

 

「一体何が……」

 

いきなり自分達に危険が迫った事に危機を覚えていると、爆ぜた天井の穴から何かが飛び出してきてネギ達の前に落ちてきた。

落ちてきた者の正体を見て、絶句をするネギが呟くように目の前の者の名を呼ぶ。

 

「お、お兄ちゃん?」

 

超が言っていた正に黒い悪魔と化したマギが唸り声をあげながら、ネギ達を威嚇していた。

目的の場所まであと少しという所で、暴走したマギと遭遇。最悪の場所で最悪の敵と対決することになった。

 

 

 

 

 

 


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