そして、蛭子影胤が起こした一件を中心とした影胤編は前回で終了。
今回からは第2章、ティナ・スプラウト編のスタートとなります!
…といっても、今回は殆ど次回以降の説明会になりますけどね^^;
新たなステージへ
蛭子影胤や天童菊之丞が起こした今回のステージ5のガストレア…ガストレア・スコーピオンに関する事件が解決してから約1ヶ月の時が過ぎた。
先の事件を以降蛭子影胤事件と呼ぶことにしよう。
蛭子影胤事件を解決するために依頼を受けていた多くの民警達は漆黒の騎士団、及び天童民間警備会社のメンバーを除いて全滅。
また、影胤を倒したのが蓮太郎、儀式を止めたのが夜桜達であることから、報酬であった1億はこの2つの組織に半分ずつ送られた。
これを報告し、報酬である大量の札束が目の前に来た時は、社長の木更も「きゃーっ!夢にまでみた大量報酬よ!」と騒ぎ立てていたものだが、この先来たるべき時が来ると意味深な言葉を残すと必要最低限の金額を除き、全て貯金してしまった。
そのため、会社自体で新しい武器を買ったり、会社の引っ越しやリフォームが行われることはなかったというわけである。
序列6桁の里見ペアが序列134位の影胤ペアを撃破した(正確には少し違うが)という事実は大ニュースになり、蓮太郎の序列は1000位まで上がった。
また、朝山ペアも非常に優秀な貢献をしたと評価され、序列が9200位まで上昇。
あちこちのマスコミで取り上げられたり、聖天子に呼び出されたりと蓮太郎も忙しかったが、この1ヶ月の間でようやく落ち着いてきたというところである。
今日は特に依頼もなく、会社のメンバーである木更、蓮太郎、延珠、蓮斗、結愛、夏世の全員が会社内に集まっていた。
★Side 蓮太郎★
「あー…暇だな。こんだけ暇だと依頼が全く来なかったあの頃を思い出すぜ。」
「蓮太郎はあちこちに呼び出されてて忙しいのに、英雄扱いされて指名系の依頼が殺到しておったからのう… 妾としては嬉しい限りだが、蓮太郎がちやほやされてるのを見るとちょっとムカつくの…」
「私としては、里見君のお陰で依頼も増えて知名度も上がったんだから万々歳だけどね。」
「勘弁してくれよ… 俺は英雄でも何でもないっつーの。 期待ハズレだって、追い返された依頼だって少なくないぜ? 俺を何だと思ってんだか…」
どうやら序列が上がろうが、蓮太郎が自身の力を使うことを嫌っているという事実が変わったわけではなく本気を出さない蓮太郎に対してのクレームも少なくなかったようだ。
「その度にフォローに入る私達の身にもなってくださいよ蓮太郎さ~ん… 別に私は蓮斗さんがどうなろうと構わないですが、依頼の多さに流石に私達もクタクタです…」
「っておい!ペアの俺に対する扱いと蓮太郎の扱いに何でそんな差があるんだよゆあちー!」
「いや、悪いな結愛… 確かに、お前たちにも結構迷惑かけてたかもしれない…」
「結構どころではないぞ蓮太郎? この間のガストレア討伐の仕事の時だって、蓮太郎は本気出さないわ、蓮斗はタバコ吸って仕事サボるわで、ほとんど敵を倒していたのは妾と結愛ではないか!」
「ぐっ… それを言われると何も言い返せないな…」
そんな話をしていると、会社の電話が鳴った。
木更はまた仕事の依頼が来たと嬉しそうに電話を取るが、電話の相手の声を聞いた途端表情が変わる。
それを見た面々も自然と静かになり、木更の電話が終わるのを待っていた。
「里見君、聖天子様から連絡よ。また来て欲しいって。」
「おいおい、もうマスコミの相手はたくさんだってこの間聖天子様にも説明したはずなんだが…」
「今回はそれとは全くの別件。里見君を直接指名しての依頼だそうよ。それも少人数。今回は朝山ペアの同行はなしで、2人だけで来て欲しいみたい。」
「… わかった。とりあえず行ってくるよ。」
「了解なのだ!」
「聖天子様はどんな様子でしたか…?」
蓮太郎と延珠が出かけると、入れ違いのように給湯室から正式に天童民間警備会社に所属になった新たな仲間、千寿夏世がお茶を持ってひょっこりと顔を出す。
先ほどの様子を見ていたのか、出際よく動きお茶の数が2つ減っていた。
「いつにもましてかなり真剣な様子だったわね。また何かが起こる…そんな気がするわ。」
「そうですか。里見さん達に何もなければいいのですが…」
「あ、そうだ!!」
いきなり大声でばっと立ち上がると、場の空気を粉砕する蓮斗。
ニコニコしているのでまた何かろくでもないことを考えているのだろうと予想をしておきながら敢えてそれを聞く。
「今社長さん達大事な話をしてるんですから静かにしててくださいよ蓮斗さん… それとも、何か大切な急用でも?」
「大事な話だぜ!社長、俺達に休みをくれ!!」
「「「・・・は??」」」
会話の前後が全く関係ない突然のセリフに一同が唖然とする。
流石の木更も反応に困るのか顔が引きつっていた。
「ま、まあ貴方はともかく結愛ちゃんはよく働いてくれてるし、最近は仕事も増えてきてるから会社に影響がない程度には休みを出してもいいけど、何か特別な事情があるのかしら?」
「いーや?最近働いてばっかりで疲れたしな。たまには家に帰ってゴロゴロしたいんだよ。あー働きたくないでござる働きたくないでござる。」
「も・う・す・こ・し、マシな理由を考えろー!!」
「ギャアアアアアアアア!!」
結愛の怒りが爆発し、大声と強烈な拳とともに蓮斗の姿は3階の窓から消えていった。
「すみません、うちのプロモーターが馬鹿で礼儀知らずで本当にすみません!」
「い、いえ…別に構わないけど…」
「朝山さんが死んでないか心配って顔をしていますね天童社長は」
「あー、いいですよ。そのうち何事もなかったかのように戻ってきますから。この間自分のこと「俺は絶対無敵の炎の不死鳥、フェニックス蓮斗だぜ!!」…とか言ってましたし。」
そういう問題ではないだろう。と突っ込む体力は最早木更には残っていなかった…
「けど、確かに忘れてたわね… 今までは、社員は里見君と延珠ちゃんしかいなかったし、依頼もほとんどなかったから考えたこともなかったけど、今はメンバーも増えたし、依頼も多くなってるから非番や休みを考える必要もあるわね。」
「本当にすみません… でも、正当な理由としては外周区のみんなの様子を見に行きたいんだと思います。」
「外周区の?」
「はい。以前にもお話しましたが、私と蓮斗さんは自分たちの家の他に、35区で暮らしている呪われた子ども達のお世話もしているんです。最近は中々会いに行ってあげられませんでしたし、きっと蓮斗さんはそれが心配なんじゃないかって…」
「なるほどね…。別にいいわよ? 今は依頼が里見君に対して殺到しているし、貴方達は今のうちに休んでおくのも良い判断だと思うわ。」
「では、私達は忙しくなりますね…」
「ごめんねー夏世ちゃん。貴女にはこれまで通り、事務作業の方頑張ってもらうけど、里見君が依頼で忙しくなって、結愛ちゃんが抜けると大変になっちゃうわね…」
「問題ないですよ。今の私は救われた命を皆のために使える… それだけで幸せですから。」
★Side 零★
「って待てええい!! せめて俺が戻って来る所までやってから場転しろよ!!」
★Side 零★
一方、漆黒の騎士団の方はあの事件以降も特に変化はなかった。
…最も、組織自体どこにあるかもわからず、メンバーの詳細がわからない謎の集団をマスコミが捜査するのは難しいからである。
聖天子が発表した「漆黒の騎士団が活躍した」という公のニュースは取り上げられるも、あくまでそれまでである。
ただ1つこの組織で変わったことがあるとすれば、現在戦力が大幅に激減しているということである。
「夜桜…紗雪…」
零は今、一人病院に来ていた。
儀式を止めろと命令したが最後、この2人は眠ったまま1ヶ月経った今も目覚めないのである。
あの後、政府が現場捜査を入れ、早々に2人を発見しなければ命は危なかったというが、現在も意識不明のまま目覚めないとなれば、このまま2度と目を覚まさないのではないかと心配になるのも無理は無い。
「朝霧さーん…お花、買ってきました。」
そう言って病室に入ってきたのは七皇の★7である桐城氷雨。
相馬、セレーネは最近忙しそうにしているのか組織内でもあまり姿を見せず、恭介は色んな意味でアホな為、実質今組織で一番零が唯一頼りにできる仲間と言っていい。
「サンキューな、氷雨。最近はお前ばっかコキ使っちまってすまない。」
「いえいえ… 朝霧さんだって大変なんですから、他人の心配ばっかりしないでくださいね。 それより、2人は今日も…ですか。」
「ああ… 不謹慎だが、本当に死んじまったんじゃないかってくらい目覚めない。」
「2人とも体を構成している物質が特殊なので詳しいことはわかりませんが、お医者様の話では、発見された日から2,3日で目を覚ます…という話でしたよね?」
「医者だけじゃない。俺の目で見てもそのくらいだろうと予想はしてたんだが、これは明らかに異常事態だ。」
「朝霧さん…やはり、天童民間警備会社の人達に連絡したほうが…」
「いってどうするんだよ。治るわけじゃない。それに、蓮太郎は今忙しい時期だろうからな… 余計な心配をかけるわけにはいかないんだ。」
唐突にこちらでもケータイが鳴る。
病院内なのでマナーモードにしていたが、バイブの方が鳴ったようだ。
「悪い氷雨、ちょっと出てくる。」
「はい、私はお見舞いしてますね…」
番号は知らない所からのもの。
目覚めない夜桜と紗雪のお見舞い中だった為、はっきりいって機嫌が悪い。
誰だ、こんな空気の読めない時に電話してくる非通知野郎は(当然態度には出さないが)と思いながら零は電話にでた。
「ちーっす、この間はウチのゆあちーが迷惑をかけたな。番号は蓮太郎から聞いたぜ?」
「…お前か、確か天童民間警備会社の朝山蓮斗…だったか?」
「あー、そうそう。さっすが七皇さん。調べてるね~」
「何の用だ?結愛の一件なら気にしてねえよ。俺も暇じゃないんだが…」
「実はウチのゆあちーの友達がそっちにいてさ、その子ご指名で依頼を出したいんだ。依頼主は俺。詳細は追って連絡する。」
「…氷雨に? 確かに、あいつは今は仕事なくて空いてはいるが、民警が他人に仕事を依頼するとは、随分と滑稽なマネをするな。」
「生憎、俺個人にはプライドのカケラもないんでね。…それに「そいつ」にしかできない依頼だったとしたらどうするよ?」
「………」
(そいつにしかできない…か。確かに、世界のどこかを探せば夜桜達の状態がわかる人間に出会えるかもしれない。 身内だけで何とかしようとしても無理…ね。まさか、こんな所でヒントをもらうことになるとは…)
「わかった。氷雨には俺から話を通しておく。ウチの仲間をよろしく頼むよ。」
「依頼了承サンキュー! それじゃあな。」
電話を切ると零はその場で立ったまま少し考え事をしていた。
蓮斗という人間…一件すれば恭介のようなただの馬鹿に見えるが、内心では何を考えているかさっぱり読めないタイプ。
零はこのような、相手の心の奥底を読むのが苦手だ。
相馬達は何を考えているのかさっぱりわからず、2人は大怪我…こんなバラバラになっていて、一統率者としてどうなのだろうか?
そんな自分に対する不安がこみ上げてきたのである。
「…って、何自信なくしてんだか。俺は俺にできることをすればいい…。そうだろ?桜…」
病室に戻ると、先の電話の内容を氷雨に伝える零。
「えっ!?ゆあちゃんと仕事!?」
「仕事かどうかはわからないけどな。詳細は追々だと。俺の方で許可は出したから、行ってきてくれないか?」
友達である結愛と一緒にいられること、零がそれを承諾したことに対して氷雨は心の底から嬉しそうな顔をするが、ここが病室であることを思い出すとハッ…と我に帰る。
「あ…すみません。私…」
「そんな顔するな。最近はお前頑張ってたしな。依頼を受けている間って制約はつくが、思いっきり楽しんでこいよ?」
「でも、私がいなくなったら朝霧さん実質一人で…」
「むしろ1人だから動きやすいってこともある。それにな、お前はそもそも10歳の1人の女の子なんだ。こんな難しい話とか、辛い現実を目の当たりにしてるほうがおかしいんだよ。だから許可した。お前は研究所をでてから、ロクに遊んだこともないんだから、結愛に最近の遊びの1つや2つ教わってこい。」
「…はい!」
零の好意を受け取ると、氷雨は再び嬉しそうに笑うのであった。
★Side 蓮太郎★
蓮太郎は再び聖天子のいる聖居を訪れていた。
この時代に相応しくない豪華な作りに、見るからに高級そうなスーツやドレスを着ている連中を見てしまえば、何度来たとしてもここに慣れることはないだろう。
聖天子は入り口の近くにいて、蓮太郎が中に入るとすぐに話しかけてきた。
「急にも関わらず来てくださってありがとうございます、里見さん。早速お部屋へご案内しますので、ついてきてください。」
口調こそ丁寧なものの、相変わらず無表情で淡々と話す聖天子。
これでも蓮太郎と同様の16歳なのである。
幼少期に両親を失い、苦しみから逃れるように力を手にした蓮太郎、王族として政治の勉強を続け、若いながらにこの東京エリアをまとめ上げる聖天子。
人間は生まれや、生まれてからの生活の違いでここまで変わるものなのかと思わず比較してしまいそうになる人間の一人だった。
案内された部屋は以前のような大広間ではなく、他の音を遮断するかのような大きな扉が待ち構える個室だった。
(個室といっても、天童民間警備会社の社内敷地より全然広いのが妙に悔しい)
白い机と椅子が用意されており、蓮太郎は聖天子の指示通りに向かい合って座る。
「では、お話を始めましょう。今回貴方を呼んだのは、私の依頼を受けていただくためです。」
「その話は木更さんから聞いた… けど、受けるかどうかは俺が決める。勝手に決定事項じみた話し方をするのは気に食わないからやめてくれ。」
「これは失礼しました。では、判断していただくために依頼の内容をお話しましょう。まず、受けていただく仕事のジャンルは護衛任務です。」
「護衛任務… 俺は誰を護ればいいんだ?」
「里見さんには、私を直属で護衛してもらうことになります。」
「…は?」
蓮太郎が驚くのも無理は無い。
聖天子の外出の際、周りには何人もの護衛隊がつくことになっているためわざわざ別の護衛を…それも、ガラの悪いと評判の民警を雇うことなどまずありえないからである。
しかし、聖天子は蓮太郎を個人指名してまで呼び出した。
蓮太郎は当然ともいえる疑問をぶつけていく。
「アンタは何か勘違いしている。前回の働きがどうだとか、マスコミ何かは商売のために持ち上げるが、アンタは王族、俺はタダの民警であることに変わりはない。そうやって特別扱いしていれば問題が発生することくらい、行政業務をこなしているアンタの方が詳しいはずだろ?」
「…確かに、そうかもしれません。しかし、今回ばかりはそうもいってられないのです。貴方を護衛につける間私がこなす業務…それは、大阪エリア代表斉武宗玄様との会談を行うためなのですから」
「なん…だと…?」
斉武宗玄。東京エリアの代表が聖天子であるように、別地区大阪エリアを代表する統治者である。
蓮太郎は以前から面識があり、その恐ろしさを知っていることから聖天子の言葉を聞き、驚いたのだ。
彼を一言で表すなら「独裁者」なのである。
聖天子とは正反対に、力で全てを支配し歯向かう者は全て力で迎撃する。
そんな方法を使っての統治を続けてきたことから、周りから恐れられている。
その事実を知っているというそれだけで、今回の会談でも聖天子が何かしらのミスをしてしまえば、それにつけ込み攻められることになる。
このくらいは、蓮太郎でも容易に予想することができた。
「だったら尚更俺は依頼を受ける気はない。あいつの抑止力としての用心棒を雇いたいなら、俺より強い人間なんていくらでもいるはずだ。それこそ、民警のような連中を雇うレベルまで切羽詰まってるんなら七皇にでも頼めばいいだろ…」
「あら、知らないのですか?漆黒の騎士団は今… いえ、今それは関係ありませんね…
私としても、貴方と斉武様との人脈を期待して貴方を推薦しているわけではありません。あくまでも、仕事に私情は挟みませんよ。」
「なら…!!」
蓮太郎は勿体ぶるような発言をする聖天子に腹を立てガタッと立ち上がるが、聖天子は冷静なままこれを静止する。
聖天子としても、序列1000位としての蓮太郎にどこまで話すべきなのか、話していいのかを吟味するとどうしてもこのような話し方になってしまうのは仕方の無いことだが、それをわかっていても尚、蓮太郎は苛立ちを隠せない。
それほどまでに厄介な人間なのだ。斉武宗玄は…
「私情抜きでも、貴方でなければならない理由があったので私は貴方を推薦している。ただそれだけのことです。この護衛任務が里見さんではなくてはならない理由… 最低限の強さをもっているのは当然の事、貴方の残した実績の意外な面を彼は評価したのです。」
聖天子の言う意外な面とは、今蓮太郎が英雄と騒がれている実績の政府側の面である。
一般人からしてみれば、凶悪なステージ5を撃退した英雄として祭り上げられているが、政府はそうではない。
特に斉武宗玄が今回の件で蓮太郎を高く評価したのは、ステージ5を倒すことのできる最終兵器「天の梯子」を使用せずに今回の事件を乗り切ったという事実である。
天の梯子は、超電磁砲を放つことのできる強力な巨大兵器だが、まだ未完成の状態で、1度放ってしまえば2度と使えなくなることは目に見えていた。
しかし、これを完成させれば人間に対してもガストレアに対しても協力な抑止力となる。
そのため、斉武宗玄は異常なまでにこれを欲しがっていたのだ。
この天の梯子はちょうど、前回の戦場であった未踏査領域に存在していたため、使われるのもやむなしとされていたが、結果的に儀式は未然に防がれ天の梯子は無事。
まだ自分の手に渡っていないにも関わらず、彼はこの件を大変喜んだという。
「つまり、あいつから見ても英雄扱いになっている俺を後ろに立たせておけば、それだけで会談を有利に進めることのできるカードになりうるわけか… 人を道具のように扱うな。アンタ…」
「気乗りしない…それは百も承知です。しかし、私は嘘偽りなく真実を貴方に伝えた。それは、貴方を信用すると共に、貴方はこの東京エリアの平和を心の底から願ってくれていると…そう思ったからです。私には、この国のためにこの身をどれだけ削っても守りぬくという強い信念と覚悟があります。…貴方は、どうですか?」
「延珠のため、みんなのために、自分を犠牲にする覚悟…か。俺もここらで変わらなきゃいけない…確かにそうは思ってたさ。この機会、利用させてもらうことにするぜ。」
「…!! ありがとうございます。では、改めてよろしくお願いしますね、里見さん。」