ブラック・ブレット 漆黒の魔弾   作:Chelia

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少女を救って、そして…

蓮太郎の持つXD拳銃から放たれた黒い銃弾は、千寿夏世の頭を撃ち……………抜かなかった。

目の前に立っていたのは先程別れたばかりで、夏世と同様に片腕を失っていた人物である。

 

「…やれやれ、危ないところだったな。危うく、延珠ちゃんの前で大事な仲間を殺しちまうところだった。」

 

「朝霧さん…何を……… 早くしないと、私………もう苦しいんです… お願いですから死なせてください…」

 

零はその現場に乱入すると、蓮太郎の銃弾を残った左腕を硬質化させて弾いた。

夏世はその現実に喜ぶわけでもなく、ただ事実を受け入れて消えていきたいと完全に絶望してしまっている。

 

「俺は延珠ちゃんのお願いを聞いてやろうと思って、割り込ませてもらったけだが…何だ、死にたいのか?」

 

「私は既に体内侵食率が50%を越えています… 選択肢は1つしかないんですよ…」

 

「じゃあ、生きるか死ぬか、2つの選択肢が用意されていたとしたら、お前はどうしたい?」

 

「………えっ?」

 

「正直な所、お前の足止めがなければ俺達は五体満足で戦うことはできなかった。 それに、あそこでお前が1人で戦うことを選んだ時、それを止めることができなかった俺のミスでもある。…だから俺は、千寿夏世という人間に生きたいのか死にたいのか、2つの選択肢を与えたいって言ってるんだ。」

 

「さっきから何言ってんだよ零… いくらお前が★1だろうが、人間がガストレア化する数値を変動させることは現在の医学では100%不可能だ! これ以上延珠や夏世を惑わせないでくれ!」

 

さっきから展開されるわけのわからないやり取りに蓮太郎は口を挟む。

しかし、零も夏世もそちらを見ることはなく、ただお互いの瞳だけを見つめ続けていた。

零ほどの人間であれば、今の夏世の状態を見れば体内侵食率が臨界点を越えていることなどとっくに理解しているだろう。

にも関わらず、そんな無駄な会話をするために自分の休息の時間を削ってまでわざわざここまで飛んでくることはありえない。

夏世は薄れ行く意識の中、零の伝えたい事を理解しようとしていた。

そして、自分の中での答えを決める。

 

「そうですね…もし、私に朝霧さんの言う通り生き残ることのできる可能性が1%でも残されているというなら、私は生きてみたいです… 里見さんの言った違う生き方をしてみたい…延珠さんの言った友達と遊んでみたい。…そして、普通の女の子として過ごしてみたい… よく考えたら、死ぬ前にやりたいこと…いっぱいありました。」

 

「ふっ…オーケー、なら、その願いを叶えよう… 千寿夏世。お前はここで死ぬべき人間じゃねぇ… だから助けさせてもらうぜ!」

 

零は軽く微笑むと夏世に近づき、その動いているガストレアウイルスに向けて手をかざした。

 

「死滅する疫病(ダ・カーポ)…」

 

零の左手から青白い光が流れ出る。

その光は、夏世に侵食を続けているガストレアウイルスをみるみるうちに破壊していった。

外側から見ても、固体化しているガストレアウイルスは死滅し、液体状の紫色の物質量も減少している。

おそらく、体の中でも同様の現象が起こっているのだろう。

顔の血色も元通りになり、まるでさっきまでの感染が嘘であるかのように夏世は目の前に座っていた。

 

「あっ……ぐ… 痛いです…」

 

「悪いが俺に治癒能力はないからな…それは我慢してくれ… ただ、お前は死なない。痛みを感じるというのは生きているって証だ。」

 

「どういうことだよ…」

 

蓮太郎は目の前の現実に唖然としていた。否、たとえ目の前の現実が本当であるなら、今までそれが原因で死んでいった多くの人々にかける言葉がないからだ。

夏世のガストレアウイルスによる侵食は完全に停止しており、先程まで固体化して膨らんでいたウイルスも今は跡形もない。

つまり、50%という臨界点を越えたにも関わらず目の前の少女は生きているのだ。

 

「これが俺の…俺だけの力、死滅する疫病だ。どういう原理かは知らないけどな… 俺は左手をかざすことで、対象としたガストレアウイルスを破壊する力を持ってるんだよ。今、夏世の体内侵食率を50%から40%になるように調整してガストレアウイルスを破壊させてもらった。痛みを感じるのは体内のガストレアウイルスが減少して、自然治癒が遅れているのが原因だよ。」

 

「じ、じゃあ… 私…生きられるんですか?」

 

「ああ…」

 

零が微笑むと、あの無表情でポーカーフェイスな夏世が泣いた。

今まで誰もが諦め、誰もが信じてこなかった奇跡が今、目の前で起こったのだから。

 

「…信じられるかよ。こんなの…」

 

「蓮太郎、お前の言いたいことはわかる。けどな、今は過去に消えてしまった人々への謝罪の言葉を考えるより、目の前で一命を取り留めた夏世を迎え入れる言葉を考えるほうが先だ。」

 

「すごいではないか零!これならみんな死なずにいられる!!」

 

「はしゃいでもらうのは勝手だが、俺の力とて万能じゃない。この力は未だどんな手を使っても解明することはできず、俺しか使えないんだ。だから、今はガストレアウイルスを消せるってことがわかってるだけで他にどんな効果があるかはわからない。それに、俺の目の前の人間しか救えない…そう考えるとちっぽけなもんだろ?」

 

それだけではない。未知の力というものは、世界から煙たがられるものである。

零が今こうして普通に民警としての活動を行っていられるのは、この力のことを同じ七皇メンバーなどの一部の関係者を除き、誰も知らないからである。

もし、体内侵食率を下げることができる…なんて事実が発覚した場合、零は世界中の医療機関から、世界中の呪われた子供達から、世界中のガストレア達から狙われることになるだろう。

あるいは、能力特別開発研究所のような闇の組織に捉えられ、モルモットにされてしまうかもしれない。

零本人としては、誰もが願いし平和を求めて今の活動を行っているため、是非ともこの力を世界のために使いたいのだが、今の段階ではそれすら許されない。

守る術があるのにそれを使えない…零にとって、これ程苦痛なことはないのだ。

 

夏世はしばらくして泣き止むと、蓮太郎達の方を見た。

 

「里見さん…私、生きてていいんですよね?」

 

昔のことを思い出し、表情が強ばる蓮太郎にそう訴えかける。

自分の身を利用してまで蓮太郎の心配をする…そんなことをすることのできるような優しい子が、生きてていけないはずがないのだ。

だから蓮太郎はこう答えた。

 

「ああ、もちろんだ。」

 

★side 凌牙★

 

時は遡り、零達が影胤と、夜桜達がケルベロスと戦闘を行っていた時とほぼ同時刻…

★4こと相馬凌牙、★5ことセレーネ・E・トルスタヤの2人は作戦通り別行動をとっていた。

場所は聖居のすぐそば、一区である。

零達の戦闘が、立ちはだかる敵を倒す表面の仕事だというなら、今相馬達が行っている仕事は裏面の仕事と言えるだろう。

一区の具体的にどこかと言うと、天童の屋敷に来ている。

聖居並に豪華な場所とはいえ、どこか和風をイメージさせる昔懐かしい仕組みになっている天童家の屋敷… 相馬のピッキングで簡単に鍵を開けると、2人は屋敷の中に侵入していた。

 

「凌牙様… まさか、今回の事件の犯人って…」

 

「お察しの通り天童だ。まさか、今の東京エリアの政治を筆頭として動かしているような家計が、事件の犯人だなんて誰も思わないだろう… 疑うやつなんて、俺達のように頭のとち狂った天才ハッカーくらいなもんだ。」

 

「具体的にどうすればよいのですか?」

 

「お前はただ、黙って俺のあとをついてくればいい…」

 

「………はい、凌牙さま♪」

 

真面目に答えてもらえないにも関わらず、幸せそうな笑顔で答えるセレーネ。

相馬はだだっ広い屋敷にも関わらず、まるで自分の家かのように真っ直ぐ進んでいく。目指すはこの屋敷の主であり、現東京エリア最高峰の地位に君臨する聖天子を補佐する人間、天童菊之丞の部屋だ。

不意打ちと言わんばかりに扉を蹴り破ると、セレーネの縫合針がその部屋の中にいた菊之丞の首元に一瞬で突き付けられる。

 

「チェックメイトだ…天童菊之丞…」

 

「…やはりお主が来おったか。相馬の小僧…」

 

「クシクシ… あまりセレーネを怒らせない方がいいですよ? うっかり手が滑って、縫合針が刺さってしまうかもしれません…」

 

お淑やかな物言いだが、その表情は明らかに狂っている。まるでそれを楽しんでいるかのような悪魔の笑み…相馬が止めていなければ確実に串刺しにしているという様子が表情から一瞬で読み取ることができる。

 

「ワシの所に来れたことは褒めてやるが、すぐに警備の者が来る… その短い時間に何ができる?」

 

「クッ…フハハハハッ!! 甘ちゃんかてめぇは… お前の屋敷に住んでる雑魚みたいな警備隊なんざ、みんなセレーネの毒で眠ってんだよ… さあ、俺とゆっくり話をしようぜ?当然、その状態でな…」

 

菊之丞は一歩も動けない状態だというのにも関わらず、全く慌てていなかった。

どうせ二人には自分を殺すことはできないという安心感か、あるいは別の何かか…

隠しても無駄と判断したのか、菊之丞はこう切り出した。

ここからは、政治家と頭脳派の頭の戦いになる。

 

「どうしてここがゴールだと判断した?」

 

「お前が蛭子影胤の依頼主であることは、会議室での奴のジャックの時点で気づいていた。 確信したのは電話応対時。 目の前で影胤が大掛かりな動きをすることにより、全員の注意は奴に向いた。当然だな?目の前にいる未知数の力を持った強者だ…しかも、通常の人間には考えられないような奇怪な動き… 誰も彼もが奴に注意を向けるしかなかったんだ。」

 

「ふむ… で、貴様は向けなかったと…」

 

「本来、付き人であるお前はずっと聖天子の側にいなければならない。しかし、奴が電話にでる直前、お前は席を外したな?影胤に電話を掛けたのは貴様だ菊之丞。七皇全員の横槍を受け、計画を変更せざるを得なくなったんだろ?」

 

「…お手洗いに行っていただけだ。」

 

「今時そんな嘘は子供でもつかない…」

 

睨み合う2人。元々、相馬と菊之丞は仲が良くないこともあり尚更だ。

理由としては、七皇のデメリットについてある。

漆黒の騎士団は、最強の強さを誇る独自の民警として、その存在を周りに見せしめていった。

その過程で、様々な他の民警や政治家なども認めていくことになるわけだが、ただ一つ、天童家だけはこれを認めなかった。

しかし、天童家のトップである菊之丞でさえ、聖天子の補佐という地位止まり…

聖天子が七皇を認めてからは表立って言うことはなくなったが、それでも自分が認めていない組織が自分の統括しているエリア内で好き勝手しているというのは気持ちのいいものではないだろう。

だからこそ、菊之丞は七皇に対してただ一つ、機密情報のアクセスキーだけは絶対に渡さなかった。

正規の民警であれば、序列10位以内の民警にはこの国の全てを知ることのできる最高の権限、レベル12のアクセスキーを手にすることができるわけだが、菊之丞の反対により、現在七皇は序列1000位相当の民警が手にすることのできるレベル3相当のアクセスキーしか持っていない。

表向きの理由は、10代しかいない若造達に最高権限を与えてしまうのは責任を取り切れないとのことで…

七皇の頭脳である相馬にとって、作戦を立てたり、情報を集める上で機密情報のアクセスキーは喉から手が出るほど欲しいものだ。

それをお預けされてしまえば、相馬とて仲良くできるはずもない。

 

「大体、聖天子様を守る立場にいる私がなぜステージ5なんぞを呼ばねばならん? それこそ、辻褄があわないだろう…」

 

「確かにその通りだ。俺も最初はそこが疑問だったが、そうでもない。零のやつが最近気に入って出入りしている民警について調べていた時、面白い事実を手に入れた。」

 

 

『天童木更』

 

 

その言葉が相馬の口から出ると、場の空気が凍りついた。

 

「お前達天童家と、その娘であるこいつには随分と深い因縁があるようだな… そして、今回聖天子主催の作戦には憎き天童民間警備会社も参加している。お前は早いうちに天童木更を潰したかった…」

 

「………」

 

「そして、決め手になるのはガストレア新法という法律だ… 確かお前は、これに反対派だったな?」

 

ガストレア新法とは何か?

これは、東京エリアのトップである聖天子がこれからの未来を生きる呪われた子供達のために作り上げようとしている新たな法律である。

その一番の目的は、呪われた子供達の差別化の撤廃。彼女達を人間として見て、共存していくというものだ。

しかし、ここ東京エリアだけでなく世界中で呪われた子供達は差別対象となっているし、そんな法律は奪われた世代が許すわけもない。

この法律は、零達の望む誰もが願いし平和(ゼロ・ワールド)とも一致することから、聖天子はこれからを生きる10代の人々の代表格、菊之丞は呪われた子供達に反対する奪われた世代の代表格となるだろう。

 

「なるほど… 慕っているように見せかけて、内側から潰していくタイプか… えぐいな。」

 

「馬鹿なことを言うな!聖天子様の事は敬愛している… あの様な素晴らしい方は他にはいない! 貴様達の方こそ、あの方を呼び捨てにするなど言語道断だろう!」

 

「くだらんな… 呼び方一つでそんなに気なんか使ってるから、階級制度はなくならないんだよ。その時点で差別撤廃なんて夢のまた夢だ。素直に答えてもらおうか… なぜ聖天子を敬愛しておきながらそれに背く行動を取る?」

 

「だからこそ許せぬこともある!!」

 

菊之丞は先程まで落ち着いた物言いで話していたにも関わらず、急に怒鳴り散らした。

その後、首元に針を突きつけていたセレーネの不意を突き一瞬で弾き飛ばすと、懐にしまっていたリボルバーを相馬の頭に向ける。

 

「これからの未来を担うお方が、こんなゴミクズのことなど気にかけてはならんのだ!! ガストレアは全て滅するに限る! 呪われた子供達だ? その赤目を持っている時点で、どこも化物と変わらないだろうが!! 汚い穢れた目だ!虫酸が走る!ワシの前から立ち去らんか!!」

 

セレーネの悪口を目の前で言われているにも関わらず、相馬は特に気にした様子もない。

蓮斗のようにキレるわけでもなく、そんなことを考える暇があるなら次の言葉を考える…そんな様子だった。

 

「………それがおまえの本性か。まあ、ぶっちゃけいえば、俺もこんな奴どうでもいい。俺の都合のいい駒であるならな。だが、お前のやってることは相変わらず気に食わないな。聖天子の考えが気に食わない… そんな小さな理由で東京エリア全てを巻き込むな! 貴様のやってることは家族内の痴話喧嘩を火種に世界戦争に発展するレベルの暴動を起こしたことだと深く反省しろ!!再起不能になるまで叩き潰してやる…」

 

「も、申し訳ございません凌牙様… それは少々難しいかと。」

 

本当に申し訳なさそうにセレーネが会話を阻む。

相馬が振り返れば、後ろには影胤・小比奈ペアがおり、小比奈の小太刀がセレーネの首に、影胤のベレッタが相馬の頭に突きつけられていた。

 

「ちっ…役立たずが…」

 

「お主は援軍は来ないと判断したようだが、残念だったな。」

 

「キヒヒヒヒ!中々興味深い会話を聞かせてもらって感謝しているよ相馬くん。それじゃあ、死んでもらおうかな?」

 

「セレーネ、やれ…」

 

「狂ったお茶会(クレイジー・ティーパーティー)…」

 

影胤が発砲しようとすると、相馬は短く命令する。

セレーネは小比奈の小太刀を利用すると右手と左手、合計10本の指に繋がれていた全てのワイヤーを切断した。

すると、屋敷中のあちこちでガラスが割れる音が次々に聞こえてくる。

その音の数は数え切れないレベルで、やがてこちらにも近づいてくる。

そして、この菊之丞部屋の天井に設置されていた四つのフラスコも破裂した。

それが破裂すると、中から赤、緑、黄色、紫の4色の気体が吹き出る。

 

「ほう…毒ガスか… だが、私の魔弾(銃弾)は毒より早く君を撃つ!」

 

影胤はベレッタを発砲するが、銃弾は相馬の目の前で粉々に砕け散る。

 

「凌牙様には指一本触れさせませんわ!」

 

「まさか…銃弾をワイヤーで切り裂いたっていうの!?」

 

セレーネのこの動きには小比奈も驚きである。

彼女の戦闘スタイルはトリックタイプ。無数のワイヤーを使い、攻撃と防御を同時に成すことのできる万能の兵士だ。

しかし、トリックというだけあって最も得意とする戦術は多種類の薬品を使った毒殺。

セレーネは常に大量の毒を携帯しており、それをフラスコや試験管などに入れ、それをワイヤーを使って好きな箇所に自由自在に配置し、罠を張るのだ。

狂ったお茶会はそんな配置した罠を全て同時に爆発させる技… 様々な毒が屋敷中に散布され、この部屋にいる人間以外は全て死んでいるだろう。

 

「俺は零のように優しくない… この部屋を除いた屋敷中の人間は今を持って全員殺害した。 さて、お前達が俺達を倒すのと、この部屋に毒が回るのどっちが早いだろうなぁ…」

 

「もうよい影胤…この場は奴らに勝たせてやるとしよう… 証拠になるもの、探したければ好きなだけ探すといい。最も、この屋敷にはさほど重要なものはおいていないがな…」

 

「キヒヒ…依頼主がそれでいいなら、私は失礼するよ。生憎、こんなところで死にたくはないのでね…」

 

「えーっ!パパつまんなーい!」

 

「小比奈、わかっておくれ… 私達は里見くん達にやられて手負いだ… 正直分が悪いのだよ… また彼らと出会った時、君には戦う最高の舞台を用意しよう。」

 

「はーい…」

 

影胤達も菊之丞も、撤退が決まればさっさと姿を消した。

ここは天童のメインともなる巨大な屋敷…ここを容易に手放せるというあたり、天童一族の強大さが伺える。

セレーネはささっと解毒剤を振りまくと、相馬の方に向き直る。

 

「しかし、凌牙様の命令とはいえ、屋敷中の人間を皆殺しにしてよかったのでしょうか? 報道されても、零達にバレても非常に厄介ですよ?」

 

「つまり、お前は俺のやってることが気に食わないといいたいのか?多人数殺せば足がつくとでも」

 

「そ、そんなことは…」

 

「お前は馬鹿なんだよ。俺のイニシエーターならもっと頭を磨け… 情報規制は勝手に菊之丞がやるさ。万一、この屋敷の騒動が周りに広まれば、奴がステージ5召喚の犯人であることがバレてしまう可能性が高まる。そんなリスクを背負うくらいなら、お得意の情報規制でさっさと隠してしまう方が、向こうにとっても楽だろうからな…」

 

「そこまで考えておられたとは…無能な発言、お許しください…」

 

「ふん、だから黙っていうこと聞いてろといつも言っているだろう… さっさと必要な資料を集めて俺達も撤収するぞ。」

 

「はい、凌牙様!」

 

漆黒の騎士団に所属しておきながら、ただ一人零とは全く違う思想を持つ相馬。

彼の目的は一体なんなのだろうか?

七皇1の頭脳ということもあり、ある程度彼を自由にさせてしまったことを、零は後に後悔することになる…

 

 

 


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