ブラック・ブレット 漆黒の魔弾   作:Chelia

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復讐のその先に

「結愛ぁぁぁぁ!!!!」

 

結愛の安否を願い叫ぶ蓮太郎。

正直この状況ではどちらの味方をすればいいのかわからないが、命の危険が迫っている以上そんなことを言っている場合ではない。

すぐにでも彼女の元へ飛んでいってあげたいが、それを夜桜の麻痺の霧(バインドミスト)が阻害する。

 

「七皇のトップを相手にここまで粘ったのは褒めてやる。もういいからいい加減休め…」

 

「まだだぁぁぁぁ!!!!」

 

零はそれでも結愛を仕留めきっていないことに気づいているのかそう語りかけるが、結愛は服はボロボロに破れ、全身血だらけ傷だらけの状態で穴から飛び出し再び牙を剥く。

並大抵の精神力ではない。それほどまでに憎いのだ、二年前の事件の犯人が。

 

「朝山式抜刀術・五ノ型・幻氷!」

 

今度は忍術を唱えるように刀を横向きに倒し、上記を言う結愛。

すると結愛の体が分身していくようにみえ、2人、3人…その数が合計5人にまで増えた。

 

「なにっ!?」

 

流石の零もこれには驚く。

増えた5人の結愛は、それぞれが雪月花を握り次々と零に斬りかかる。

 

「ちっ… 破壊するのが先か、原理を突き止めるのが先か… 黒龍棍!」

 

接近させまいと闇雲に放つが、具体的に一体を狙って放ったわけではないので外れる。

幻氷。名前から察するに本体以外は全て虚像なのだろうが、衣類や怪我などまでもが完全に再現されているだけでなく質量までもが本人と差異がない。

目視で判断するのは少々無謀そうだ。

 

「だったら5人まとめて全滅させてやるぜ!くらいやがれ…俺の渾身の一撃!黒龍槍・寄進!!」

 

零は今度は右腕を槍状に変形させるとそれをマシンガンのように出したり引っ込めたりを繰り返し、百烈拳のような猛攻を繰り出した。

その速度は、そこらのサブマシンガンの発砲速度とさほど変わらない。

零の必殺技と呼んでも過言ではない百撃が5人の結愛を襲う。

結愛の分身たちは次々と破壊され、全滅した。

破壊されるときに氷の欠片が飛び散っていたことから、やはり生成物は氷。

その透明度を利用した光の反射と、ガストレアウイルスを使用することによって、自分と全く同じ姿の虚像を周りの人間に見せていたのだろう。

しかし、これが結愛の奥の手だとするならこれで勝負が決まったも同然………

 

「破壊した相手は1、2、3、4………4!?」

 

「ずっと待ってました… 隙のない貴方が隙をつくるこの瞬間を!! これが私の持てる最大で最高、最強の一撃!! 朝山式抜刀術・二ノ型・斬鉄!!」

 

零が本体を叩けていないことに気づいたときはもう遅く、零の背後で跳躍した結愛が既に標的めがけて飛びかかった後だった。

その手に握る雪月花の刀身は、氷の使い手には似合わない真紅に染まっている。

炎技というわけではなく、その色は刀鍛冶が鉄を溶接するときの色に酷似している。

朝山式抜刀術・二ノ型・斬鉄はどんな鋼鉄な物質すらも真っ二つに両断することのできる最高火力を誇る技。

しかし、両断する為には相手の物質の硬さの把握、斬り込む角度、斬り抜く角度、そして発動者本人の精神力、集中力が必要となるため発動までに最低でも10秒は硬直しなければならない。

ところが、結愛は自分の分身を使うことでそのチャージ時間を見事に短縮してみせた。

零は右腕を硬質化させ慌ててガードモーションに入るが、刀は腕をバターのように寸断し、零の上腕二頭筋よりしたが地面に落ちる。

鉄同様の物体なのでそこまでグロテスクではなかったが、その痛みは想像を絶するものであることは間違いない。

 

「ぐぁぁっ…あっぐっ…ぁぁぁぁっ!!」

 

悲鳴とも奇声とも取れる声で零が叫ぶ。

 

「零!」

 

流石にまずいと判断したのか夜桜が止めに入ろうとするが零はそれすらも拒絶した。

 

「邪魔すんな夜桜… これはこいつと俺の戦いだ… 誰かが間に入っちまったら意味がないんだよ…」

 

「わかってるじゃないですか… わざわざ私に殺される舞台を自分で作るなんて、少しは自覚が出てきたようですね… 次で終わりにしましょう。」

 

「勘違いするんじゃねぇよ… これは俺が殺される舞台じゃない… お前が今、自分がどれだけ愚かな行為をしているか自覚させるための舞台だ! ステージ4のガストレアの群れですら跡形もなく消し飛ばせる俺の持ち技… できれば使いたくなかったが、こうなっちまったらやむを得ないぜ!!」

 

最後の力を振り絞り、互いに構えをとる。

これが決まってしまえば確実にどちらかは死ぬだろう…

しかし、この場にいる誰もがそれを止めることを許されていない。

ゲームの体力で言えば、既にHPがマイナスに行っててもおかしくないくらいの蓄積ダメージのある結愛。

右腕が吹き飛び、想像を絶する痛みを伴っているはずの零。

そのどちらもが、まるで辛いことを感じさせないかのような表情で互いを睨みつけ、お互いの持てる最高の技の発動条件を整える。

 

「朝山式抜刀術・二ノ型・斬鉄!!」

 

やはり、先に動き出したのは結愛だ。

零に向かって最後の一撃を決めにかかる。

しかし、それに対抗したのは零ではなかった。

 

★side 零・蓮太郎・蓮斗★

 

いよいよ3つのサイドが合併します。

 

「朝山式抜刀術・四ノ型・緋炎!!」

 

突如零の背後から現れた蓮斗が零を飛び越え、そのまま上からの奇襲を結愛にかける。

刀…特に日本刀は、正しい角度で攻撃し、正しい使い方を維持していなければすぐにダメになってしまう扱いにくい武器。

蓮斗はそんな刀の特性を逆に利用し、刀を扱う者として禁忌とも呼べる角度から自分の全力を結愛の雪月花にぶつけたのだ。

焔と雪月花、炎と氷…相性でいえば圧倒的不利ともいえる雪月花は悲鳴をあげ、その刀身は光を失い真っ二つに折れた。

 

「あっ………あぁぁっ………」

 

自分の魂とも呼べる武器が消え去ると、絶望するかのように刀の柄を握り締めながら膝をつく結愛。

その時、横目で見た蓮斗の表情が怒り狂っていたのをみて、零が伝え続けようとしていた自分の行っていた愚かな行為をようやく自覚することができたのだ。

様々な思考、感情が押し寄せ、もはや立っていることも自我を保つことも出来なくなった結愛は地面にへたり込むと、そのまま子鹿のように震え出す。

 

「蓮斗…さん?」

 

「いい加減にしやがれ結愛!!俺がこんな結末を本気で望んでると思ってんのかよ!! 俺が…こんなことされて喜ぶと本気で思ってんのかよ!!」

 

結愛に対して怒鳴り散らす蓮斗は泣いていた。

蓮斗は辛かったのだ。結愛の小さい頃からずっと面倒を見て、事件を経ても2人仲良くやってこれていると思っていた蓮斗にとって、目の前の光景はただの屈辱だったのだから。

 

「私の方で、大まかな経緯は説明しておきました。後は2人次第でしょう…」

 

「よくやりました紗雪… ギリギリでしたけどね…」

 

蓮斗を連れて戻ってきた紗雪が言う。

戦闘など面倒ごとに巻き込まれていたにも関わらず、呼吸一つ崩していないのは流石だと言わざるを得ない。

夜桜は、不要と判断したのか蓮太郎と夏世の毒を解除した。

その直後、延珠もこちらに合流する。

 

「蓮太郎!!」

 

「よかった、無事だったんだな延珠…」

 

「うむ!…しかし、これは一体どうなっておるのだ?」

 

「少し黙って、成り行きを見守ろう… これは蓮斗達にとって、必要なことなんだと思うからな…」

 

「承知した…」

 

蓮太郎に延珠、夜桜に紗雪、夏世、そして、戦い、片腕を失った零。

その誰もが、安堵の笑顔で2人の成り行きを見守った。

 

「私は…いつもの蓮斗さんに戻って欲しかった… 師範が死んでしまったあの日から、蓮斗さんは人が変わってしまった… 何に対してもやる気がなくなって、私との接し方も変わってしまって…」

 

「俺がこの二年間、ただの馬鹿をやってただけだって本気で思ってたのか?勘違いしてるようだから言っとくけど、あの事件を通じて人が変わったのは俺じゃない。ゆあちー、お前だよ…」

 

「…私、ですか?」

 

「そうだ。復讐のために強くなろうと必死だったお前は、あれから無口になった。ただひたすらに強さだけを追い求め、修行に励んだ。俺と会話することさえ忘れてな…」

 

「そんな…そんなはずない! 私は…蓮斗さんが!!」

 

「人は、自分のキャパシティを越えたショックを受けた時、その対処法の1つとして逃避っつー選択肢があんだよ… それが重度化すると、今のゆあちーみてぇにありもしない記憶、自分の都合の良い記憶に脳が勝手に書き換えるケースがある。自分じゃ気づけないんだから無理もないだろうが、残念ながらこれが全ての真実だ…」

 

「じゃあ… 私はずっと一人で勘違いしてたってことですか?」

 

「だから俺は、お前と話すこと、お前を笑わせる事に必死だった。大切な者を失った俺たちに必要なのは復讐じゃない… 辛い過去を乗り越えることのできる勇気だ。 俺はただ、お前に笑っていて欲しかっただけなんだよ…」

 

蓮斗が呪われた子供達のカウンセリングを続けていた理由、そういった勉強をしていた本当の理由は、いつか結愛を元に戻してやりたいという願いがあったからなのかもしれない。

そして、今までは剣の道しか歩んでこなかった彼女に、普通の女の子として過ごして欲しいというのも蓮斗の願いだった。

 

「…私、やっと帰ってこれたんですね…復讐に囚われた偽りの人生じゃない、結愛としての私の人生に…」

 

「ああ…」

 

「じゃあ呼んでください… 今みたいなふざけたあだ名じゃなくて、昔みたいに私の名前を…」

 

「ああ…おかえりだぜ、「結愛」。」

 

「お兄…ちゃん……… うっ…うわああああああああああん!!」

 

これまで見てきた誰よりも激しく号泣する結愛。

そんな結愛を蓮斗は優しく抱きしめる。

ガストレアという一つの存在のせいで、人々は過酷な生活を強いられてきた。

だからこそ、必要以上に他者に気を配ってしまう… しかし、互いにその意思を上手く伝えることのできない不器用な人間が多いのだ。

それは何も零や夜桜だけではない、相手を思いやるが故に空回りをした蓮斗、自分の気持ちを素直に伝えられなかった結愛もまた不器用だったのだから…

 

「記憶の錯乱…ですか…」

 

「どうした紗雪?」

 

「いえ、何故かその言葉が思考に引っ掛かりを覚えたので… すみません兄さん、帰ったらメンテナンスですね。」

 

「いや、いいさ… 今のは聞かなかったことにしとくよ…」

 

しばらく泣いていた結愛が泣き止むと、蓮斗に抱きかかえられて零の前に連れてこられる。

 

「本当に…本当に申し訳ありませんでした!!」

 

「ま、土下座まではしなくていいけどよ… 戦った相手が俺じゃなければお前は殺人者になっていた。 これからは、その力を正しいことに使うことだ。 にしてもお前、結構見所あったぜ?」

 

「でも… 私、お腹や腕を…」

 

「過ぎたことを気にしたってしょうがねえだろ? 生憎俺は、腹の痛みは桜の治癒で止められるし、切断された腕もセレーネに縫合してもらえば元通りになる。そんな話より、俺はアンタらの経験した事件の方が気になる。 流石に俺と似た能力ってワードを聞いたら無関係とは思えないからな…」

 

結愛は蓮斗の方を向くと、蓮斗は自分のやりたいようにやれとただ頷くだけだった。

 

「ではお話します… 二年前のあの日、35区は武装したどこかの機関の襲撃を受けたんです…」

 

そう、この事件はそもそも朝山家だけの問題ではなく35区の問題。

答えから先に言うと、この機関の正体は以前零達が所属していた研究機関である。

そこの研究機関が35区の呪われた子供達や、現在では中々手に入れることのできない異能の力などを一網打尽にするため、大量の捕獲員を送ったというのが事件の真相である。

その時、蓮斗は世話をしていた呪われた子供達を守るために自宅を離れ、家には師範と結愛の2人がいた。

師範は結愛を隠すと、1人で捕獲員達を倒していく。

今まで私達に剣術を教えてくれた最強の師範が負けるわけがない。

結愛はそう信じ続けていた。事実、その辺の敵など相手にもならず師範が無双するかのように切り刻んでいる姿を伺うことができた。

このままなら撃退できる…そういった安心の思考は死亡フラグ。

研究機関も、それに気づいたのか研究機関最強の兵士… この事件の犯人を送り込んだ。

犯人は体をバラニウム金属で硬質化させると、尽く師範の剣術を無効にし、その心臓を一突きにする。

泣きながら結愛が近づいた時はもう遅く、師範は息を引き取った後だった。

そして、その犯人は結愛を襲うわけでも捕えるわけでもなくただこう言ったのだ。

 

「朝霧。それが、貴様の恩師を殺した名だ…」

 

と…

 

「これが、私が見てきた二年前の事件の全てです…」

 

「なるほどな… それで、色んな部分が俺に似てて後ろから刺したと…」

 

「本当にすみませんでした!! …私、なんてことを…」

 

「あ、いや… 責めるつもりじゃないんだ。ただ、話を聞いた限り、こっちの秘密を話してもいいと思ってな。俺がその犯人でない証明にもなる。」

 

「兄さん、その話をするのは私達の不利益とイコールになります。その女は愚か、天童民間警備会社の人間が外部に漏らすとも限りません。」

 

「いいんだ紗雪、俺の決めたことだ。それに俺が見てきた限り、ここでそんなことするやつは誰もいねーよ… 俺達の昔話も少ししてやるから、まあ聞けよ…」

 

そうして零は話し出す。

 

「今回1番知ってもらいたいのは俺達七皇は、恭介以外の全員がとある研究所のモルモットだったってことだ。そして、俺、桜、紗雪は7年前にその場所から始めて脱獄を企て成功させた最初の反逆者なんだよ…」

 

「ってことは、ひーちゃんも…」

 

「ああ、結愛は友達なのに氷雨が七皇だってことを最近まで知らなかったろ?俺達の情報は、研究機関に拾われることを避けるために必要最低限に留めてるんだ。だから、大抵の人間は漆黒の騎士団という組織名は知っていても所属者の名前や行動目的まで知っている人間はほとんどいない。」

 

「え………と、それが私の話とどう関係するんですか?」

 

「俺達の外見や持つ能力は全部そこにバレてる。つまり、その研究機関の誰かが俺になりすまし結愛という人間を間接的に刺客として送り込むことで七皇を潰すように企てた可能性が非常に高いってことだよ。」

 

「あ………」

 

結愛もこれで全ての納得がいく。

というより、この事実さえ知ってしまえば零が犯人でないことなど簡単にわかることだった。

そもそも、政府や世間にその圧倒的な力を示し認めさせるための活動を続けていた七皇のトップが人殺しをするということは、メリットどころかデメリットしかないからである。

更に、零達が研究材料にされていたということはそのデータは当然研究所に保管されている。

七皇の殆どのメンバーを容赦なく収容できるような恐ろしい場所なら、本人の充分なコピーを用意することも、そのコピーが本人と同じ技を使うことも不可能ではない。

 

「その研究機関の名前は「能力特別開発研究所」。機械化兵士から呪われた子供達、異能の力を持つ能力者に、超イニシエーター… これからの未来に活用できそうな有能な人間(モルモット)を集めては極悪非道の実験を繰り返し、多くの死者を出している恐ろしい場所だ。」

 

「能力特別開発研究所… そこの人間に私達の師範が…」

 

「ゆあちー。」

 

「わかってます、蓮斗さん。私はもう間違ったりはしません。」

 

「そういうことなら、話した俺も安心出来るってもんだ。けど、昔俺がいた場所のせいでアンタらの師匠がいなくなっちまったのは、心の底からお悔やみ申し上げるよ… できれば、助けてやりたかった…」

 

「ふふっ、それこそ貴方がさっき言った過ぎたことはしょうがないってやつです! 零さん、私が貴方にしてしまったことは取り返しのつかない大罪です… だから、微力でも貴方達の役に立ちたい…私にできることがあれば何でも言ってくださいね?」

 

「ははっ、いきなり下の名前かよ…」

 

「すみません… わかっていてもやっぱり朝霧ってワードを口にしたくなくて… 失礼ですよね?」

 

「いや、零でいいよ。それに、微力なんかじゃない… 結愛の力は対峙した時に充分感じさせてもらった。 素質もあるし、お前はもっともっと強くなれる… 天童民間警備会社っていう、今のお前の居場所、大事にしろよ?」

 

「あ………はいっ!!」

 

激戦の末、零と結愛はようやく和解することができた。

結愛は満面の笑みで微笑んだあと、力尽きてそのまま意識を失う。

それはそうだ…本来ならば零のブラッディ・ニードルを受けた時点で既に結愛は負けていた。

そこから先はHP0の状態で気力と復讐心のみで体を動かしていたのだ。それが安堵と共についに崩れ落ちたのである。

 

「アンタには本当に迷惑をかけちまったみてぇだな…」

 

「イニシエーターの暴走なんて珍しくもないだろ… ただ、それが超イニシエーターになると物凄く厄介になるのは俺もたった今学んだけどな…」

 

やはり下調べは済んでいたのか、零は結愛が超イニシエーターであることを知っていた。

蓮斗は零に深く頭を下げると、蓮太郎達に向き直る。

 

「わりいなみんな… 俺とゆあちーはここで戦線を離脱させてもらう。病院で治療しなきゃならないし、俺の方も連戦続きで力を使い過ぎちまってな… 俺達の技は体内の潜在能力を強引に引き出すものだ… 体がボロボロになるから本当はバンバン使っていいものじゃないんだよな。」

 

「いや、蓮斗と結愛がいなきゃ俺達はヘリから降りた時点で死んでた。感謝してるよ… 後は俺達に任せてくれ!」

 

「あー、モノリス内に戻るならついでに俺の腕も持ってっといてくれないか?流石に、こんなの持ち歩きながら戦いたくないしな…」

 

「俺は断れる立場なんかじゃねえよ… ついでに届けておくぜ。」

 

「このポイントに兵藤恭介という男を待たせておきます。この機械と兄さんの腕は彼に渡してください。」

 

紗雪は延珠からそれを回収すると、ポイントを表記しなおして蓮斗に渡す。

蓮斗は一刻も早く結愛を休ませたいのか、手を振ると戦線を離脱した。

さて、これでようやく本来の職務に復帰できるわけなのだが…

 

「兄さんまずいです… ステージ5召喚の儀式が始まりました。おそらく、遺産は回収されてしまったかと… 場所は北エリアの奥に隠されている教会です。」

 

「すげえ…そんなことわかんのかよ…」

 

「紗雪の体は特別でな… ガストレアウイルスを敏感に感じ取れるんだ。夜桜、紗雪その協会に行って儀式を止めろ。遺産は最悪破壊しても構わない。」

 

「零はどうするのですか?」

 

「俺は見てのとおり手負いだからな…あまり激しいことはできない。それに、お前達が教会を襲撃すれば、確実に影胤が妨害に入るだろう。俺はそっちの援護をする。てなわけで蓮太郎…影胤を倒すの、協力してくれるか?」

 

「当たり前だ!俺もあいつとは決着をつけなきゃ行けないからな。こっちこそよろしく頼む!」

 

こうして夜桜、紗雪は教会へ、残りのメンバーは湾岸エリアに向かう。

最後の戦いが今、始まろうとしていた…




★夏世ちゃんの文句コーナー!★

作者「ちょっと待て、誰だこんなの作ったのは…」

夏世「こんにちは夏世です。今日は日頃から溜まっている文句を一気にぶつけようと思ってやってきました。」

作者「ゑ?」

夏世「読者の皆様から私の性格がイメージと違う。というご意見を多々頂いていまして… これは俗に言う、キャラ崩壊というやつではないかと。 そこのところどうなんですか?」

作者「人聞きの悪い!元々夏世は原作であまり出番がなかったから私生活等々不明な点が多いんですよ。けど、IQが高いことから蓮太郎に毒を吐くシーンも多かったのも事実。なので、ウチの小説では口だけでなく行動もSっぽくしようという方針の元、今の夏世がいるわけですね。」

夏世「なるほど… 設定はちゃんと考えていたと…」

作者「( ・´ー・`)どやぁ」

夏世「うざい」

作者「ハイ」

夏世「私の文句はまだあります。今回の話、私ずっといるはずなのに…この7500文字の間なんで一言も喋ってないんですか!!」

作者「いや、だって夏世ちゃん諦めてたじゃんさ…」

夏世「確かに私では結愛さんのお力にはなれないと思いましたが、夜桜さんのように一言だけでもセリフを入れるとかそういう配慮があっても………あ。」

作者「ん?」

夏世「そういえば、原作だと私がそろそろ死ぬシーンだったと思うんですけど、そこのところどうなんですか?」

作者「」

夏世「あの………死なない…ですよね?」

作者「」

夏世「黙秘権使いだしました… 次回以降がすごく怖くなりそうですね…」



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