ブラック・ブレット 漆黒の魔弾   作:Chelia

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蓮太郎&結愛vs将監&夏世

「ほんっとにもう! 蓮太郎さんは最低です…見損ないました…」

 

「だから悪かったって言ってるだろ…」

 

前回の一件の帰り道、蓮太郎と結愛は二人で道路を歩いていた。

桜は他の人達の治療、木更は何故か聖天子様直々に呼ばれることになったらしく、これからの作戦の準備をするために先に二人で帰ることになったのだが…

 

この気まずい空気の中、徒歩である。

リムジンなんて高級な物は当然ウチの会社で手配できるはずもなく、行きに乗った車は片道だけの物のようだった。お陰様でこんな長い距離をずっと結愛の説教を受けながら歩かなければならなくなった蓮太郎はどっと重いため息をついた。

 

「何ため息ついてるんですか… つきたいのはこっちなんですけど?」

 

ぷくっと頬を膨らませる結愛。怒ってる結愛ものすごく可愛いのだがそんなことを言えば自身も蓮斗的な扱いを受けるだろうし、木更や延珠に何を言われるかわかったものではない。

なのでとりあえず話を逸らすことにした。

 

「そういえば、何だか色々あって言いそびれたがお礼言っとかなきゃな。」

 

「………え?」

 

「俺の事守ってくれてありがとな… 将監の時といい、影胤の時といい、何だか結愛には守ってもらってばかりな気がしたからな。」

 

「それは、イニシエーターとして当然のことをしたまでで…」

 

「蓮斗に関してもそうだ。無事に延珠が見つかったのはあいつのお陰だろ?さっき電話が来た時、心底安心したからな… お前らのペアには感謝してもしきれねえよ…」

 

「ふふっ…同じ会社のメンバー同士、これからもよろしくお願いしますね? 私としては、何やらやる気になった蓮太郎さんがどんな活躍をしてくれるのか気になるんですけど?」

 

「おいおい…」

 

小悪魔的な笑みを浮かべる結愛。

何だかんだで恥ずかしいセリフを色々聞かれたからな…

そんなことを考えていると、一発の弾丸が蓮太郎の頬を僅かにかすめた。

 

「結愛、警戒しろ…」

 

「もうしてます… 頬、大丈夫ですか?」

 

「ただのかすり傷だよ。…っつ!?」

 

突然の襲撃者に警戒をする2人。

銃声から判断してアサルトライフルだろう…となれば、そこまで距離は離れていない。

蓮太郎と結愛。2人の関係はまだそこまで深くはないので、2人まとめての襲撃かもしれなければ、どちらか片方だけを狙っている可能性もある。

敵の正体を推測するのは一先ず破棄し、お互いに背中合わせになる形で死角を塞ぐ。

二撃目…今度はライフルではなく、手榴弾のようだ。

蓮太郎はピンの抜ける音を漏らさず聞き取ると、そこに向かってXDを突きつける。

銃口の先には意外にも先程の会議室で見かけたイニシエーターがいたのだから発砲を躊躇ってしまうのも無理はない。

 

「蓮太郎さん!!」

 

背中を預けている結愛に活を入れられると、慌てて発砲。

投擲された手榴弾は、何とかどちらにも被害を与えることなく破壊された。

心を入れ替えて頑張るとはいえ、結愛に叫ばれなければ咄嗟の判断でミスを起こしていた。

まだまだだな…それが蓮太郎の自分に対する素直な評価だった。

 

「にしても、アンタが俺を狙ってくるとは思わなかったぜ… 恨みでもあんのか?」

 

「いえ…里見さんのお命を奪いたいのは、貴方の後ろにいる方です。私は、その方の命令を受けたに過ぎません…」

 

「だらぁぁぁ!」

 

蓮太郎の質問に目の前にいる金髪の少女は答えた。

そう…聖天子様の演説の時に目があったお腹すいたの少女である。

 

そして、荒声をあげながら蓮太郎の後ろでバスターソードを振り下ろす男こそ伊熊将監であった。

会議室の時同様、結愛の雪月花が完璧にバスターソードを捕らえガードしているのが見て取れた。

 

「貴方も懲りないんですね…伊熊さん…」

 

「作戦決行、敵は1人… 立った一人を相手に何人もの奴で仲良しこよし戦うなんざ馬鹿のやることだ… 倒すのはこの俺!莫大な金額を手にするのは、この俺だけだ!」

 

要するに、報酬である1億を独り占めしたいがために、邪魔な一緒に戦う仲間を潰しに来たという事だろう。

民警同士が仲の悪くなるための原因とも言えるような奴だ。

 

結愛が刀の角度を変え、アームドブレイク(武器破壊)の構えを取ろうとすると、流石に知識があるのか重そうな外見に反して軽い身のこなしでバックステップを取り、距離をおいた。

 

「ホント…腐ってんだよこの世界は… 何でこんな奴らばかりしかいないんだよ… なぁ、伊熊将監!」

 

「口の聞き方には気をつけろよ小僧。この世界は何も腐ってなんかいねえ… 強い奴が正義、強い奴が最強のわかりやすい世界じゃねぇか!序列元134位だか黒の七皇だかなんだか知らねえが、あいつらを殺すのはこの俺様だ!金も名声も、全部俺様のモノなんだよ!!」

 

「その割には、真っ先に私達の元に来るんですね… さしずめ、七皇の方々には簡単に勝てないから、先ずは雑魚狙いといった所でしょうか?」

 

相手の民警ペアに挟まれているにも関わらず、堂々と煽っていく結愛。どうやら、このような血の気の多い人間の相手の仕方には慣れているようだ。

こう言った相手は怒らせれば自然と攻撃的になるので、持ち技を相手に好きなだけ使わせ、手の内が見えたところで隙を見てカウンターを入れるのがセオリーだろう。

 

「う、うるせえ!てめえ等は俺を怒らせたから真っ先に倒してやろうと思っただけだ!聞けばてめえ等、序列5桁と6桁のクソ雑魚らしいじゃねか… その程度の分際でこの俺様直々に殺してもらえるんだ。光栄に思いやがれ!」

 

詰まった辺り、図星だったのだろう…

こんな奴に協力する理由がどこにあるというのだろうか…

もう将監を煽るのを楽しんでいるようにすら見える結愛はさておき、蓮太郎の目線は目の前の少女に行く。

 

「千寿夏世といいます。序列1584位、伊熊将監さんのイニシエーターです。」

 

目線が合うと、先に自己紹介をしてくる夏世。

蓮太郎が聞くまでもなく先に名乗ってくるあたり、この状況下での必要事項は頭に入っているという事か…

 

「お前も金とか欲しいのかよ…」

 

「いえ、正直言って興味はありませんが、プロモーターの命令に従うのはイニシエーターの役目ですから。」

 

信じられなかった。

否、こういう事実から目を背けていただけだった。

呪われた子供達は現在差別的な扱いを受けているのはもはや周知の事実。

それはイニシエーターである彼女達も何ら変わりもなく、例外もない。

呪われた子供達が裕福な暮らしをするための唯一の道は、IISOに認められ、引き取られ、そこで裕福なプロモーターに自分を選んでもらうことだけ。

そうすれば、自然とプロモーターと同居し、外周区に住んでいる頃よりも生活はかなり裕福になる。

しかし、それは楽しいのだろうか?大抵のプロモーターは、使える奴隷を選ぶかのようにIISOに待機しているイニシエーターを選びに来る。

選ばれたイニシエーターは、プロモーターの命令は絶対であり、破る事は決して許されないと厳しく教育されているため、その制度、生活に何の疑問も抱くことはないであろう。

だから、目の前の夏世が将監の命令で蓮太郎に銃口を向けているのは不思議なことではない。

 

むしろ、延珠や結愛、氷雨など、プロモーターに寵愛してもらったり、二人仲良くやっているイニシエーターの方が異常なのだ。

 

「手が震えてる… 本当は嫌なんだろ?こう言うの」

 

「…だったら何ですか。私は将監さんの命令以外に生きている理由なんてない!」

 

「そうだ夏世。そんな雑魚の言葉に耳を傾けるな。お前への命令はただ1つ!」

 

……………『殺せ』……………

 

将監のその言葉が引き金となり、戦闘がはじまった。

現在、将監ペアが挟み撃ちにする形で背中合わせの蓮太郎と結愛の前に立ちはだかっている。

XDを構える蓮太郎とアサルトライフルを構える夏世が…そして、雪月花を構える結愛とバスターソードを構える将監が向き合っている。

本来、民警同士の戦いでは単純戦闘力ではイニシエーターがプロモーターを圧倒的に上回る。

しかし、イニシエーターは基礎教育に欠けていたり、プロモーターの命令でしか動いた経験のないものが多いため、プロモーターを失えばまともに機能しなくなる場合が多い。

つまり、どちらのイニシエーターが相手のプロモーターを先に討ち取れるかというスピード勝負になるわけだ。

 

先ずは夏世がライフルを連射する。

この道路は縦に一直線。横には民家があるため、簡単には避けられないだろう… ここで蓮太郎が回避行動をとれば、後ろにいる結愛に当たってしまう可能性もある。

地形を活かした攻撃だ。

 

「けど、それは基礎戦闘スタイルを逸脱してるわけじゃねぇ!」

 

蓮太郎はXDを素早く2発速射する。

狙いは2箇所で、先ずはトリガーを握る夏世の手元だ。手元の少し上に弾丸を当てることにより、ライフルの銃口が上を向き敵の弾丸を命中させない。

そして次は、敵のライフルの銃口である。まるでその位置に銃口が移動するのを読んだかのように発砲されたバラニウム弾は、夏世のライフルの銃口を容赦なく潰した。

これでライフルは使えなくなるだろう。義眼をフル活用した、蓮太郎ならではの戦い方である。

 

「貴方には痛い目を見てもらいますよ… 朝山式抜刀術…一ノ型・隼!」

 

目にも止まらぬ抜刀速度で一瞬で将監との距離を零距離に変える結愛。

将監はそれに何とか食らいつき近接武器同士がぶつかり合う音が再び聞こえた。

 

「こいつ…はええ!」

 

将監は接近戦になればなるほど不利と判断したのか、バスターソードを回転斬りのように大振りで振る。

そのリーチのあまりの長さに後退を強制される結愛は渋々元の位置に戻った。

小柄な体型を生かし、大振りを躱して攻撃を仕掛けてもいいが、相手がサブウェポンを隠している可能性が捨てきれない以上避けるべき一手だろう。

それ以前に…

 

「私は守備…いえ、防御を得意とするイニシエーターですので、攻撃は得意ではありませんしね…」

 

「何ブツブツ言ってんだよ!」

 

再び武器のリーチを生かして結愛にバスターソードを振り降ろす将監。

本来なら、体型も武器も小さい結愛が圧倒的に不利だが、超イニシエーターである結愛にとっては、そんなものハンデでも何でもない。

 

「貴方には心底ガッカリです… 救済の余地もないので、さっさと決着をつけてあげます… 朝山式抜刀術・四ノ型・護氷壁!!」

 

そう叫ぶと、結愛は自分の刀を地面に突き刺す。

すると、地面から巨大な氷の壁(どちらかというと山のような形に近い)が表れ、将監の一撃を無効…更には、時間差でもう一つ壁が表れると2つの壁でバスターソードをがっちりと挟み込み、使用を不可能にさせた。

 

「な、何だこれは!?抜けねぇ!」

 

「私と蓮太郎さんに2度も手を出した罰です。死んで詫なさい…」

 

結愛は慣れた様子で自らが生成した氷の壁をヒュンヒュンと登っていき、上から無様な将監を見下ろす。

さっさと武器を諦め、防御、或いは回避行動に移ればいいものの、バスターソードに未練があるのか将監は壁からソードを抜こうと必死だった。

結愛からしてみればただの的である。

 

「本来、朝山式抜刀術は刀と媒体とし、自らに眠る潜在能力を具現化させる戦闘術ですので、刀がなければ特殊技をつかうことはできません。しかし、私や蓮斗さんのように、自身の能力を理解し、一定以上の強さを併せ持っていれば、刀がなくともある程度の技が使えるようになります。…これが、貴方を倒す一撃の名!氷槍の雨(アイシクル・ペネトレイション)!!」

 

結愛は両方の手のひらを将監に向けると、そこから大量の氷柱の雨を浴びせた。1つ1つの大きさはそこまでではないが、その圧倒的な数、速さは、氷でできた散弾銃を連想させた。

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!!」

 

氷槍が次々と刺さり、血が吹き飛び、やがて耐えきれずに後方に吹き飛ばされる将監。

そのまま大の字に倒れ、完全な敗北となった。

 

「将監さん!?」

 

「夏世…お前は、もっと人間の明るさを見た方がいい… お前達の戦い方と俺達の戦い方の違いを見れば、理解出来ただろう。」

 

夏世はその後、サブウェポンで対応しようとしたが、蓮太郎の天童式戦闘術の前に敗れ、後ろから羽交い締めにされ、拘束されていた。

 

「貴方達は、最初から殺すつもりはなかったんですね… 結愛さんの方も、トドメの一撃はかなり威力を殺していました。」

 

「いつ俺達がお前等を殺すなんて言ったんだよ。」

 

「ごめんなさい夏世さん… できるだけ手加減したんですけど、気絶は免れなかったみたいで…」

 

戦闘を終えた結愛が罰が悪そうに蓮太郎質の方へ戻ってくる。

 

「何故ですか…私達はあなた方を殺そうとしたんですよ?敗北の場合、私は最悪あなた方に殺されてもいいと思っていました… なのに…」

 

「俺達は、別に他の民警を憎んでないし、殺す理由もなかった。それだけだ…」

 

「確かに、そういう人も大勢いるのは私達も知っています… でも、そんな人達だけが、この東京エリアを占めているとだけは思わないで欲しいんです… 私達みたいに、プロモーターもイニシエーターも関係なく、仲良くしている人だっているってこと、夏世さんも是非知ってください。」

 

蓮太郎は夏世を放した。

元々、少女を拘束して楽しむ趣味もないし、将監を失った今、彼女がどういう反応をするか見てみたかったのだ。

 

「撃ちたけゃ打て。でもな夏世… 俺はお前の本音と語り合ってみたい。銃口を突きつけてきた時、お前の手は震えていた。俺はそれを信じている。」

 

夏世は少し悩んだ後、身につけていたナイフ、ハンドガン、手榴弾を全て地面に置き、両手を上げて降伏の意を示した。

 

「降参です…私の負けですよ…」

 

「よかった…じゃあ!」

 

「はい、あなた方のお話を伺うことにします。結愛さん…」

 

結愛と夏世はお互いに微笑むと、握手をした。

どうやら、事態は良い方向に進んだようだ。

 

「里見さんは先程、この世界が腐っていると仰っていましたが、私も全くの同意見です。ただ、そう思っていたとしても自分の境遇も、ガストレアが世界を支配し、呪われた子供達が差別を受けている現状も変化することはありません。結局のところ、考えるだけ無駄という事なんですよ…」

 

夏世の言葉は、現状の日本、否世界全体の状態そのものであった。

そして、このような現状が続くことにより、呪われた子供達は幸せな生活、平和な暮らし…そういったものが存在しているということ自体を忘れつつあるのだ。

夏世の場合は、モデル・ドルフィン…イルカのイニシエーターで、10歳でありながらもIQは200を越えているという。

実体験ではなく、知識的な面で上記のものを記憶していたというわけだ。

ただ、知識だけだとしてもそういう存在があるということが理解できているだけ、今回の場合は運が良かったのかもしれない。

 

「確かに無駄かも知れない… けど、抗うことなく諦めちまったらきっと後悔する。俺も一度は諦めかけていたけど、今ならはっきり言える… 俺は奪われた世代も呪われた子供達も関係ない… みんなが幸せに暮らせる世界を作りたいってな…」

 

「無理です。貴方個人で世界を動かすなんて確実に…」

 

「俺だけじゃない。こういう目的で動いてる団体だってある… 今は差別主義だから、公にできないだけであってな… そして、その団体には漆黒の騎士団もいるんだぜ?さっき俺が話していた★2(ブラックナンバーツー)の桜も、心からそういう世界を願っていたよ…」

 

夏世はしばらく口をぽかんと開けていたが、やがてクスクスと笑いだした。

 

「れ、蓮太郎さんは本気ですよ!?それを笑うなら私!」

 

「いえ、ごめんなさい… ただ、素性がわからず、何をしてるかわからなかった漆黒の騎士団の目的が世界平和なんて…ぷっ あんなに真っ黒の格好してるので、私は悪の組織か何かと思ってましたよ…」

 

「あー、それ本人達に絶対言うなよ?ああいう厨二病全開の奴らはそれに気づいた時、本気で死にたくなるらしいからな」

 

「ふーん…やけに詳しいんですね!蓮太郎さん!」

 

「里見さんは元厨二病だったんですか?」

 

「そういうとこだけ食いついてくんな!」

 

美少女二人がキラキラした目でこちらを見てくる。

みるなぁ…そんな目で俺をみるなぁ!

 

「と、とにかくだ!なぁ夏世…どうせこんな生活を続けるんだったら、1回くらい抗ってもいい…馬鹿やってもいいって思わないか? 強力な味方もいるし、もしかしたらころっと世界が変わるかもしれない…例えそれが1%に満たない確率だったとしてもだ。」

 

「私が頭脳担当だという話は先程させていただいたと思うのですが、それでも尚、そういった非現実的な話で私を勧誘するなんて… 蓮太郎さんは確かに馬鹿のようですね…」

 

「おいおい…」

 

確かに馬鹿やってもいいとは言ったがそれは言葉のあやだ…何て言わなくてもおそらく夏世は理解しているだろう。

完全に馬鹿にされてしまっている…まあ、IQ200相手に話術で勝てるとは蓮太郎本人も思っていないだろうが…

 

「私も…その馬鹿の仲間に加わりたいです…」

 

「夏世さん…」

 

「ここでこの誘いを断れば、後悔することになると直感が告げているので… しかし、どうするつもりですか?イニシエーター1人の権限では何もできませんが…」

 

「そこは俺の方でなんとかするさ…三ヶ島ロイヤルガーダーには貸しもあるし、木更さん、最悪七皇のコネを使って何とかして夏世をフリーにさせてやるよ…」

 

「では、その辺は里見さんにお願いします… これが私の連絡先になりますので… その…これからよろしくお願いします。」

 

「こうして、里見蓮太郎はまた一人、美少女のアドレスを集めていくのであった… 続く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て、何変な方向で纏めようとしてるんだお前は…」

 

「てへっ☆」

 

「てへじゃねえ…」

 

「ふふっ…天童民間警備会社には愉快な方が多いんですね…」

 

「俺と結愛がペアじゃないことに気づいていたのか?」

 

「いえ、あの後将監さんがあなた達のことを社長に聞いていて、その場に私もいたので… それより、仲間になる前に私のお願いを2つ聞いてください。」

 

真剣な目で夏世がいう。恐らくは、蓮太郎達の本気具合を見る試験のような物だろう。

 

「1つは、将監さんを病院に連れて行くのを手伝って欲しいんです…こんな人でも私のプロモーターですから… それが私のけじめです。 2つ目は、今回の蛭子影胤に関する事件。この一件を私に見届けさせてください。仲間になるとは言いましたが、私はそう簡単に三ヶ島ロイヤルガーダーを除籍するつもりはありません。里見さんは、恐らくそれ以上のことを望んでいるでしょうから、私の心を動かせるほどの判断材料を提供して欲しいということです。」

 

「…分かった。ステージ5は呼ばせないし、これ以上影胤の好きにはさせない。止めてやるよ…絶対にな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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