ドラゴンボールTH ~地球育ちのサイヤ人の幻想入り~   作:超野菜

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5月9日に投稿するといったな。
あれは嘘だ。(震え声)
間に合いませんでした。申し訳ございません。


長き冬の終わり

 

 

 

 

 

「わくわくしてきたぞ・・・か・・・

 貴方らしいわね。流石は戦闘民族サイヤ人と言った所かしら。」

 

紫は幽々子が集めた西行妖の桜の気を借り、

超サイヤ人の悟空とも渡り合える力を手に入れた。

 

だが、それでも悟空の方が闘い慣れている上、

余力を残しているので、まだ紫が不利という状況なのは変わらない。

 

 

(きっとまだ悟空さんは全然力を出していないわ。

 この状態でもまともに闘ったら勝ち目はない。

 私の勝ち目は、スキマの能力をどう活用していくか・・・!)

 

 

紫の気が上がったことにより、パワーやスピードだけじゃなく、

紫のスキマの能力もパワーアップしていた。

単純な力比べでは悟空には敵わないものの、

能力を駆使した闘いでは、十分紫にも勝ち目はある。

 

 

(さっきの闘いは参考にはならねえ・・・

 紫のスキマはかなり厄介な能力だからな・・・)

 

スキマの脅威を先の闘いで理解している悟空。

先程までとは比べ物にならない程強くなった紫が

どんな戦法で来るのか、ある程度は予想して対策を練る必要があった。

 

 

「・・・考えてばっかいても仕方ねえな。

 時間がねえんだ・・・さっさとやろうぜ・・・!」

 

 

「ええ・・・これが、お互い本気の最終決戦!」

 

 

今、幻想郷のレベルを超えた、春を賭けた最後の闘いが始まるーーー

 

 

 

一方、魔理沙は悟空を追いかけようとする籃と闘っていた。

悟空から気を分けてもらった魔理沙は籃を相手に善戦していた。

 

 

「ぐっ・・・こんな人間の魔法使いに苦戦するとは・・・!」

 

 

「あんまり私を舐めてもらっちゃ困るぜ。」

 

予想以上の魔理沙の実力を思い知った籃。

自分の中にあった魔理沙の力の予想を完全に無くし、

戦闘を仕切り直して再び闘いが始まるーーーーーと思われた。

 

 

「っ!? 何だ・・・この感じは・・・?」

 

突然、魔理沙と籃に強烈な力の波動が襲った。

悟空の超サイヤ人程ではないが、十分凄まじい力だ。

 

 

(この力は・・・紫様の力だ!)

「ふふっ・・・どうやら間に合ったようだぞ。」

 

先程までの苦しそうな表情は消え、急に笑い出す籃。

その行動に魔理沙は何が起こったのか分からず、苛立っていく。

 

 

「どういうことだ・・・何が言いたい!?」

 

 

「私とお前の闘いはもう終わりだということだ。

 もうお前を倒して悟空さんを追う必要はなくなったのだからな。」

 

 

完全に闘うことを止めた籃。

しかし、その勝ち誇った表情は魔理沙の苛立ちを加速させてしまった。

 

 

「そうかよ・・・でも、まだ勝負は続いているぜ・・・!」

 

無防備な状態の籃に魔理沙は容赦の無い弾幕で攻撃する。

しかし、そこに現れた紫のスキマが籃を回収していった。

 

 

「ちっ、逃げられちまったか・・・

 それにしても、嫌な予感がするぜ・・・」

 

(悟空・・・大丈夫なのか・・・?)

 

先程の力の波動を感じ取った魔理沙は一瞬だが、恐怖を感じた。

これまでのどんな相手よりも強い。それも比べ物にならない程。

もしかしたら、悟空が負けてしまうかもしれない。

どうしてもその考えが魔理沙の頭から離れなかった。

 

魔理沙が悟空の心配をしていると、そこに何かが飛んできた。

 

 

「ふうっ・・・紫の奴やっぱ強えな~!

 とにかく、あのスキマっちゅうのを何とかしねえとな・・・」

 

 

飛んできたのは悟空だった。

どうやら吹き飛ばされたらしく、

激しく回転しながら魔理沙へ突っ込んで来た。

 

危うく魔理沙に当たるところだったが、

悟空は地面に激突する前に受け身で体勢を立て直し回避した。

 

 

「悟空っ!! お前大丈夫なのか!?

 くっそ・・・あの野郎・・・!!」

 

 

悟空の体にはほとんど傷はなく、ダメージも無かった。

だが、紫への怒りが込み上げてきた魔理沙は

悟空に変わって紫を倒そうと飛んで行こうとする。

 

 

「待て魔理沙っ!!」

 

しかし、悟空はそれを許さなかった。

 

 

「何で止めるんだよ悟空・・・今苦戦しているだろ?

 足手まといだって言いたいのか?・・・私だって少しは役に立てる!」

 

 

魔理沙は紅霧異変の直後から修行を積み重ね、

以前よりもかなり実力を上げていた。

それは魔理沙は勿論、悟空も理解していた。

 

 

「そうじゃねえんだ魔理沙・・・

 ただ、オラは自分一人の力であいつと闘いてえんだ。

 やっぱ、オラも闘いが大好きなサイヤ人だからかな・・・

 昔から直らねえ、オラの悪いクセだ。

 だけど、必ず勝ってみせる! 頼む、オラに任せてくれ!!」

 

[一対一で闘いたい。]

悟空の信念とも言えるこの想い。

魔理沙は何となくその想いを理解していた。

 

 

「・・・分かったぜ。お前は変わらないな悟空。

 だけど、私が譲ってあげたんだから、責任持ってしっかり勝てよ!!」

 

魔理沙は悟空に向かってグッとbサインを突き出した。

悟空はそれに対し同じようにbサインで返し、

もう一度気合いを入れ直し、紫の所へと飛んでいった。

 

 

「悪いな紫。随分と待たせちまった。」

 

 

「レディーを待たせるなんて男として失格よ。

 ・・・私がこの状態でいられる時間も少ないわ。

 勝負を楽しみたい貴方には悪いけど、本気の弾幕で終わらせるわ。」

 

 

悟空も紫も相手の動きを待っている為、一向に動きを見せない。

互いに試行錯誤しながら相手の隙を窺っている。

 

 

「・・・よし!! いくぞっ!!」

 

先に動き出したのは悟空だった。

気を一気に開放し、紫に向かって突撃していく。

 

 

「結界[光と闇の網目]!!」

 

紫は突っ込んでくる悟空の動きに対応し、スペルカードで反撃する。

このスペルも紫自身が強くなっているので、より凄まじさが増していた。

 

悟空はこれに多少驚きながらも、洗練された動きで回避していく。

この動きが出来るのも、悟空が死闘を積み重ねてきたからだろう。

 

 

「そこだっ!!」

 

悟空は紫の弾幕の僅かな隙を逃さず、弾幕で攻撃する。

しかし、紫もそう簡単に攻撃を食らうようなことはしない。

悟空の弾幕をスキマで回収し、すぐに悟空に反撃する。

 

 

(くそっ・・・これでも当たらねえか・・・!

 もっと確実に攻撃が当たるタイミングで攻撃しないといけねえな。)

 

上空から降り注ぐ弾幕を回避し、一旦地上に引き返す悟空。

しかし、今度は地面からスキマが現れ弾幕を放ってきた。

予想外の攻撃に怯んでしまった悟空だが、

その弾幕もバク転で回避し、落ち着いて対処していく。

 

 

「罔両[ストレートとカーブの夢郷]!!」

(これに、悟空さんの弾幕を加えるっ!!)

 

全方位からの凄まじい弾幕が悟空を襲う。

悟空の逃げ場は完全になくなってしまった。

 

(さぁ・・・瞬間移動か、気合いで吹き飛ばすか・・・

 どっちが来ても、今の私なら対処出来るわ!)

 

悟空の動きから目を放さないようにする紫。

ここで悟空がとった行動は[瞬間移動]だった。

 

「そこだぁ!!」 「させないっ!!」

 

至近距離から弾幕で攻撃しようとする二人。

しかし、事前に悟空の動きを察知していた紫の方が

僅かに素早く反応した為、悟空の攻撃は届かなかった。

 

 

「残念。そいつは残像だ!!」

 

だが、紫が攻撃した悟空に手応えは無かった。

紫の攻撃が当たる寸前に悟空は残像拳で後ろに回り込んでいたのだ。

 

今度ばかりは紫の予想を悟空が上回っていた。

決定的な隙を作ってしまった紫に悟空は至近距離で弾幕を放つ。

紫が避けられるハズもなく、大きく吹き飛ばされてしまった。

 

 

「ぐっ・・・なんて強烈な弾幕なのよ・・・!」

 

まだ悟空はスペルカードを使っていないにも関わらず、

普通の弾幕でも凄まじい威力を誇っていた。

紫が桜の気で強化されていなければ今ので終わっていただろう。

 

 

(どっちにしても、もう一度でも食らったら負けね。

 仕方ないけど、次の攻撃で決着をつけないといけないわ。)

「式神[八雲藍]」

 

紫は自分の式神である藍を呼び出した。

 

「藍、橙を呼び出して。」

 

「分かりました。式神[橙]」

 

そして紫の式である藍も自身の式である橙を呼び出した。

 

「二人とも。次の攻撃で決めるわよ。

 私が合図したらありったけのスペルで悟空さんを攻撃して。」

 

二人の式にそれだけ言い、悟空の所に戻る紫。

何時になく真剣な紫の表情に藍、橙も覚悟を決めるのだった。

 

 

「これでさっきの借りは無しだな紫。」

 

 

「待っていてくれたのは正直助かったわ。

 貴方が待ってくれなかったら、こうも簡単に準備はできなかった。」

 

悟空は先程、紫が待っていてくれたのを理由に

紫が最後の攻撃をする準備を待っていた。

本当は[闘いが面白くなるから]という理由なのだが。

 

 

「次の攻撃で私の体力はきっと尽きるハズよ。

 このスペルカードを凌ぎきったら貴方の勝ちよ。」

 

「楽しみだぜ・・・おめえの本気、オラも本気で応える!!」

 

互いに力を高めている。

白玉桜全域の空気が悟空と紫の周りに集まっていく。

 

 

「行くわよっ!![人間と妖怪の境界]!!

 結界[生と死の境界]!! 紫奥義[弾幕結界]!!」

 

一気に三枚のスペルカードを使った紫。

完全にルール違反だが、超サイヤ人の悟空相手では問題はない。

むしろ、これくらいしなければ悟空にダメージすら与えられない。

 

「なんちゅう弾幕だ!!

 これじゃ近づくどころか攻撃すら出来ねえ!!」

 

流石に弾幕の数が多すぎて対処できなくなっていく悟空。

それでも弾幕を弾きながら何とか踏ん張る。

 

「確かにすげえ弾幕だけどよ・・・!!

 おめえ自身が隙だらけだ!! かめはめ波ァーーーっ!!」

 

 

「やはりそう来たわね・・・結界[魅力的な四重結界]!!」

 

攻撃を食らうのを覚悟して悟空は紫にかめはめ波を放った。

しかし、紫はさらに強化された四重結界でこれを防ぐ。

 

 

「くっ・・・!! 防がれちまったか・・・!」

 

一旦動きを止めてしまったせいで一気に攻撃を食らってしまった。

悟空は体制を立て直す為に距離を取った。

 

 

(あの結界を壊すことが出来れば・・・

 仕方ねえな・・・オラも得意な闘い方で行くぜ!!)

「・・・はああああああああっ!!」

 

更に気を上昇させ、悟空の周りのオーラが激しさを増していく。

ビリビリと伝わってくる悟空の気に紫は合図を出す。

 

 

「合図だ! 行くぞ橙!」 「はい藍様!」

 

二人の式が動き出した。

紫の結界の中に入りスペルカードを使う。

 

「式輝[狐狸妖怪レーザー]!!

 式弾[アルティメットブディスト]!!」

 

「童符[護法天童乱舞]!!

 鬼神[飛翔毘沙門天]!!」

 

 

藍と橙のスペルカードも加わり、さらに激しさを増した弾幕。

悟空は少し首の骨を鳴らした後、動き始めた。

 

 

「さぁ・・・オラのスピードに付いてこれるかな!!」

ーーー彗星[ブレイジングスター]ーーー

 

そのスピードは先程までとは比べ物にならない程上がっており、

紫達の目に映らないスピードで凄まじい弾幕を避けていく。

そしてその軌道からは無数の弾幕が放たれる。

 

これは元々、魔理沙のスペルカードなのだが、

悟空がアレンジし、更に超サイヤ人で使っているので

そのスピードも凄まじく、弾幕の数もどんどん増えていく。

紫達の目からは目にも見えぬスピードで

弾幕が放たれている様に見えている。

 

次第に悟空の弾幕が紫達の弾幕を打ち消していった。

たった一枚のスペルカードで一気に形勢逆転されてしまった紫。

とは言え、これ以上弾幕を作り出すのは無理だった。

 

 

(まだよ・・・この弾幕を凌ぎきればまた弾幕で押し返せる!)

 

結界で悟空の弾幕を防ぎながら反撃の機会を窺う。

もう少しで悟空の弾幕も終わると踏んでいたのだ。

 

(よし! 後は結界を壊すだけだ!!)

ーーー超打[メテオスマッシュ]ーーー

 

ブレイジングスターの時間切れとともに

悟空はすぐに次の攻撃を打ち込む。

紫の弾幕が悟空を襲うが、それでも悟空が怯まない。

 

そして、遂に紫の結界にも限界が近づいてきていた。

[ピシッ]っと言う音とともに結界に亀裂が入る。

 

 

(!! もう少しだ・・・!!)

「うおりゃあああああーーーーっ!!」

ーーー龍打[超龍激拳]ーーー

 

既に悟空は紫の弾幕を何発も食らっていた。

悟空の体と紫の結界の我慢比べ。

それを制した方がこの闘いの勝者となる。

 

 

(これ以上は結界が持たない・・・!)

「っ・・・これでも食らいなさいっ! 幻巣[飛光虫ネスト]!!」

 

苦し紛れに悟空に弾幕を放つ紫。

流石に耐えきれずに悟空は吹き飛ばされてしまった。

 

だが、何とか地面に激突することは回避した。

 

 

「オラは・・・負けるわけにはいかねえんだっ!!

 次のこの一撃に・・・オラの全てを賭けるっ!!!」

 

幻想郷の春を取り戻す為。

そして、自分に託してくれた魔理沙の為。

悟空は絶対に紫に負けるわけにはいかなかった。

 

悟空の気が右手に集まっていく。

そして、悟空は紫に向かって突撃していく。

 

 

ーーー超龍[龍拳]ーーー

「・・・龍拳だああああああーーーーーっ!!!」

 

悟空の気が黄金の龍に変わる。

その圧倒的な気迫は紫に恐怖を抱かせる程だ。

 

 

(あれはまともに食らったら・・・ヤバい!!)

「廃線[ぶらり廃駅下車の旅]!!」

 

紫もスペルカードを使い、悟空の龍拳を迎え撃つ。

そして、悟空の龍拳と紫のスペルがぶつかり合う。

 

 

「・・・うおりゃあああああーーーーーっ!!!」

 

しかし、紫のスペルは悟空の龍拳を止めることは出来なかった。

悟空の龍拳は勢いを増しながら紫の結界に迫っていく。

 

そして、遂にーーー

 

 

[パリイン]「私達の・・・負けか・・・」

 

紫の結界は壊れ、紫は力尽きてしまった。

そのまま地面に叩きつけられるかと思われたが、

地面にぶつかる前に藍が何とか回収した。

 

 

「紫様・・・お疲れ様でした。

 今はゆっくりと休んでください。」

 

力尽きてしまった紫をゆっくりと下ろすと

藍は近くに降りてきた悟空の方に振り向いた。

 

 

「・・・我々の完全な敗北です。

 紫様は春の力を使い果たしました。

 きっと幻想郷に春は戻っていくでしょう。」

 

「そうなんか・・・それよりも紫は大丈夫なんか?」

 

悟空は超サイヤ人を解き、何時もの黒髪のツンツン頭に戻った。

 

 

「きっと遅くても数日後には目を覚ますはずです。

 体に異常は無いので、割と大丈夫のはずです。」

 

 

「そうか・・・そんじゃ、紫に伝えといてくれ。

 [面白え闘いだった。またやろうな。]ってな!」

 

 

「・・・分かりました。伝えておきましょう。」

 

それだけ言うと悟空は魔理沙達の所に向かった。

そこでは、いつも通りの悟空と魔理沙達の風景があった。

 

 

「ふふふ・・・本当に面白いのは悟空さんですよ。

 さてと・・・橙! 私達も帰るぞ。」

 

藍は紫は抱えながら橙とともにマヨヒガに帰っていった。

 

 

 

「そんじゃ無事に異変も解決したことだし、オラ達も帰るとすっか!」

 

「次の異変は私にやらせろよな悟空!」

 

「宴会の場所はまた博麗神社でいいかしら?」

 

「何でまた私の所なのよ!?

 全く・・・あんたらが集まるとまた神社の評判が・・・」ブツブツ

 

 

これで、幻想郷の春を取り戻す闘いは幕を閉じたのだった。

後に、この闘いは[春雪異変]と呼ばれ、人々の記憶に記された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、次の異変はすぐそばまで迫っていたのだった。

 

 

 

ーーー萃夢想の章に続くーーー

 

 

 

 

 




次回から萃夢想の章始まります!

「次回も見ていってくれよな!」

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