ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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ほのぼのとした作業風景をご覧下さい。


その40「きのみ屋さんと畑作り」

 ホムラさんから木の実栽培の依頼を受けた後、僕らはいつもどおり午前の仕事に励んだ。

 アサ婆ちゃんに木の実パンを売り、種類豊富な木の実をお客さんの要望に応えて売り、加工商品を売ったり宣伝したり。

 シンオウ地方に帰った次の日は久々の開業ということで忙しかったが、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。愛用してくれて嬉しいなぁ。

 

―で、あっと言う間にお昼休み。

 

「今日は新しく専用の畑を作ろうと思います」

 

 ポケモンフーズをモグモグしている家のポケモン達に発表。僕はサンドイッチを食べ終えました。

 「どうしたのいきなり」と言っているようにポケモン達はこちらを見ているので、彼らに説明する事に。

 

「今日は超珍しい木の実を貰って、これを育てる事になりました。けど僕も初めて育てる木の実なので、しっかり管理しようと思ってね」

 

 それに加えて会社から依頼されたことだ。今までの栽培は趣味でやっていたけど、今度ばかりは管理を徹底的にしないといけない。

 徹底といってもさほど難しい話ではなく、店を開く前のように少ない木の実を厳重に見張り、水遣りや土弄りに気を使うっていう程度だけど。

 

「というわけで皆にも手伝って貰う事もあるから、そこんとこよろしくー」

 

 そう言うと皆は快く返事をしてくれた。うん、我が家のポケモンは頼りになるね。新入りズはともかく。

 こういう時は人間の手もいいけど、ポケモンの手はもっと便利だからありがたい。

 

 

 

―――

 

 そんなわけでお昼休みも終わり、時刻は午後1時。作業着も着たし、道具も揃えたから準備万端!

 隣には土弄りの得意なサンドパンことサンちゃんが並び、気合を入れているかのように『つめとぎ』をしている。

 

「新しい畑はココと……」

 

 ザリザリと棒で地面を削り、囲いを作る。まずは池と畑の間に1つ。

 

「ココに作ります」

 

 少し歩いて、店と畑の間に1つ。ザリザリっと囲いを作って目印を作る。

 この二箇所は本来通路用として広めに開けといた所だが、同時に新しく手に入った時の為の予備でもある。何事も予備があると便利だからね。

 加えて大事な木の実なので、店側は即座に駆け付けられるし、池側はガーさんがいるので防衛としても便利になるはず。

 

「最初は店に近い方から耕そう。サンちゃん、『あなをほる』お願いね」

 

 木の実の個数が少ないから、まずは増やすことから始めないとね。

 

 サンちゃんは「よっしゃー!」と言っているように爪同士を擦りつけ、線で囲った芝生を掘り始める。

 Nの字を描きながら長方形になるよう正確に掘り進み、その土をゴーさんの手で綺麗に埋めなおし、僕が鍬で耕す。

 その耕した土に埋まりたいと駆け寄ってきたナゾノクサをローちゃんが止め、それでも入ろうとする奴は……お、ミノちゃんが追い払ってる。

 

 ザックザックと鍬を振るっている内にサンちゃんが掘り終え、ゴーさんから見て反対側から掘り返した土を埋めていく。

 それを見たゴーさんが張り切って土を埋めていくが……全部埋め終えるのも時間の問題だな。そしたらサンちゃんと交代してもらおうっと。ザクザク。

 

 ふと見てみると、掘り返した土に混ざる雑草を手のような葉っぱで払うキッパさんの姿が。おお、何も言わずにやってくれるとは利口な子だな!

 そう思ってキッパさんを見ていると視線に気付くと、木の実畑の方をチラチラ見る……ああなるほど。

 

「後で好きな木の実を上げるから頑張ってね。ただしチイラとヤタピはアカン」

 

「Σく(>■< )(合点!)」

 

 ご褒美狙いってわけね。流石はサファリパークで幾多もの餌を横取りした知恵者、といった所か。狡賢いとも言う。

 狡賢いとはいえ賢い子には違いないので、今度色々と教えてみようかな?バトル以外にも活躍の場があるっていいよね。

 

 今度は足元に何かいるのを察知して、ナゾノクサかと思って見下ろしてみると、ナエトルのダイトさんが居た。ローちゃんが通したんだろう。

 ヨイショヨイショと前脚で土を埋めている。お手伝いのつもりだろうか……可愛いから許したいけど、仕事の邪魔なんだよなぁ……。

 

「クァー」

 

 そう思っているとアーさんが歩いて近づき、嘴でダイトさんの背中を摘んで持ち上げ、背中に置く。

 ダイトさんはすっかりアーさんに懐いており、キャッキャと嬉しそうに背中の上ではしゃぐ。心なしかアーさんも嬉しそう。

 そしてダイトさんを背中に乗せたまま、テクテクと歩いて畑を出ていく。お父さんしているなぁアーさん。輝いて見えるよ(光の反射的にも)。

 

 いやー、ポケモンが増えると楽しくて仕方ないや。……だがイーくん、土遊びするだけなら畑からさっさと出なさい。

 さてと、土を埋めなおして反対側からサンちゃんが耕しているようだし、僕は肥料を出してくるとしますかね。

 

 

 

―――

 

 土よし。広さよし。肥料よし!ちなみに反対側も耕しました。

 この良い畑に埋まりたいとナゾノクサ達が羨望の眼差しで見て来たので、ギブアップして新しい畑を別に作ったんだ。おかげで午後の開店時間ギリギリだよ。

 幸せそうなナゾノクサ達を見れてホッコリしたので、店側の畑に木の実を植えるとする。

 

「さてこれを植えて……っ!?」

 

―殺気ならぬ、食気!

 

 うちのポケモンは食いしん坊が多いからか、食べたいなーっていうオーラが解るようになっている。

 そんなオーラが周囲から注がれていることに気付いた僕は周囲を見渡し……そいつらを見つけた。

 

 超珍しい木の実の僅かな匂いに誘われたのか、ジグザグマとゴクリンの群れが裏庭に入り込んでいた。いつのまに。

 手に持ったチイラの目をじーっと見つめ、口から涎を垂らすジグザグマとゴクリン達。食べたいっていうオーラ全開だなぁ……。

 試しに右から左へ木の実を持つ手を移動し……視線が左へ移る。うん、絶対木の実狙っているわコイツら。

 

「総員……」

 

 ジリジリと近づいてくるジグザグマ達が、ついに木の実に向けて飛び掛ってきた!

 

「かかれー!」

 

 だが渡さん!この木の実は僕の物だー!

 

 次々と飛び掛ってくるジグザグマをガーさんの『はたきおとす』で文字通り叩き落とし、大口を開けて飛んできたゴクリンをヤーやんの『サイコショック』で落とす。

 ローちゃんとミノちゃんの『マジカルリーフ』による援護を受けながら、僕は木の実を抱えて必死にジグザグマ達から逃げる。

 ワラワラと集まってきたジグザグマ達も負けてはいない。『なきごえ』で油断を誘い、『たいあたり』で一気に飛びかかるなど攻撃的になる。

 ゴクリン達は『スモッグ』で僕の動きを封じようとするが、それを防ごうとクケちゃんが行く先を塞ぎ『ぎんいろのかぜ』で吹き飛ばす。

 

 おおクケちゃん、君はやっぱりバトルでこそ輝くよ!偉い!カッコイイ!キャークケちゃーん!

 

 と言っていたら回り込まれたので、急いで方向転換して逃げる。

 くそう、珍しい木の実があるだけで野生のポケモン達がここまで頑張るとは!

 

 

 今回の木の実栽培……油断していたら負けるっ!

 

 

―続く―




しばらくは木の実栽培でアレコレ起こる予定です。
とりあえず今の課題は「ジグザグマとゴクリンの猛攻に耐えれるか否か」ですね(笑)

後、ORAS要素もチョビチョビ加えたいですね。ミツル君帰還とか主人公ズ再来とか。

誤字や語弊など多くなると思いますが、ご了承ください。報告も遠慮なくどうぞ。

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